JP3873431B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディーゼルエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コモンレール式燃料噴射装置を特徴づけるものにパイロット噴射があり、このパイロット噴射を行うことにより、燃焼騒音と排気の同時低減を図るようにしたものが提案されている(特開平5−321732号公報、特開平7−63104号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来装置では、特に経時劣化や圧力センサのバラツキにより、パイロット噴射量やパイロット噴射間隔が最適値からずれ、それに伴って燃焼騒音が大幅に悪化することがある。
【0004】
これを説明すると、図5は、燃焼騒音が敏感に感じられるアイドル時(ただし暖機後)を対象として、パイロット噴射量、パイロット噴射時期、メイン噴射時期の変化が燃焼騒音にどのような影響を及ぼすかを調べたものである。
【0005】
まずパイロット噴射量を変数としたとき、燃焼加振力との相関の高い筒内圧レベルCPLには極値が存在しており、筒内圧レベルCPLが極値をとるときのパイロット噴射量より実際のパイロット噴射量が大きくなっても小さくなっても、筒内圧レベルCPLが大きくなる(図5(b)参照)。このことから、たとえば、当初は筒内圧レベルCPLが極値を採るパイロット噴射量を目標値として与えるようにしていても、コモンレール圧を検出するセンサの故障(あるいはバラツキ)で規定値(目標値)よりもコモンレール圧が低下してしまった場合で考えると、このときもコモンレール圧が規定値となっている場合と同じ開時期、閉時期でパイロット噴射行ったのでは、実際のパイロット噴射量が目標値より少なくなり、筒内圧レベルCPLが大きくなる(燃焼騒音が大きくなる)。
【0006】
次に、パイロット噴射時期やメイン噴射時期を変数としたときは制御域内に筒内圧レベルCPLの極値が存在せず、噴射時期を遅角するほど筒内圧レベルCPLが大きくなる(図5(d)、(f)参照)。この特性より、たとえばバッテリ電圧の低下に伴い噴射弁の駆動が遅れてしまう場合で考えると、パイロット噴射時期、メイン噴射時期とも遅れることになり、そのぶん筒内圧レベルCPLが大きくなる。
【0007】
このように、コモンレール式燃料噴射装置では、パイロット噴射の量と時期、メイン噴射の量と時期、さらにコモンレール圧と制御パラメータが非常に多く、個別に精密な制御を行うことはしていないため、全体として制御精度がよいとはいえないので、経時劣化や圧力センサのバラツキ、劣化による影響をパイロット噴射が大きく受けることになっており、燃焼騒音を最適値に制御することが難しいのである。
【0008】
そこで本発明は、燃焼圧力を検出し、燃焼騒音と相関のある燃焼圧力の2階時間微分値を求め、これが目標値と一致するようにパイロット噴射量、パイロット噴射時期、メイン噴射時期、コモンレール圧を最適に制御することにより、経時劣化や制作バラツキあるいは環境変化があっても、燃焼騒音が悪化しないようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図9に示すようにメイン噴射に先立つパイロット噴射が可能な燃料噴射装置71と、燃焼圧力を検出する手段72と、この検出された燃焼圧力の二階時間微分値を演算する手段73と、この演算された二階時間微分値が目標値と一致しないときは前記パイロット噴射の噴射量を二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記パイロット噴射の噴射量を補正する手段74と、この補正されたパイロット噴射量で前記パイロット噴射を行わせる手段75とを設け、パイロット噴射量の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはパイロット噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記パイロット噴射の開始時期を補正する
【0010】
第2の発明では、第1の発明においてパイロット噴射量の前記補正値に基づいてパイロット噴射量学習値を演算して記憶させ、前記パイロット噴射量補正値に代えてこの学習値を用いる。
【0012】
の発明では、第の発明においてパイロット噴射時期の前記補正値に基づいてパイロット噴射時期学習値を演算して記憶させ、前記パイロット噴射時期補正値に代えてこの学習値を用いる。
【0013】
の発明では、第の発明においてパイロット噴射時期の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはメイン噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記メイン噴射の開始時期を補正する
【0014】
の発明では、第の発明においてメイン噴射時期の前記補正値に基づいてメイン噴射時期学習値を演算して記憶させ、前記メイン噴射時期補正値に代えてこの学習値を用いる。
【0015】
の発明では、第の発明において前記燃料噴射装置がコモンレール式燃料噴射装置である場合に、メイン噴射時期の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはコモンレール圧力を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記コモンレール圧力を補正する
【0016】
の発明では、第の発明においてコモンレール圧の前記補正値に基づいてコモンレール圧学習値を演算して記憶させ、前記コモンレール圧補正値に代えてこの学習値を用いる。
【0017】
の発明では、第1、4のいずれか一つの発明において前記二階時間微分値と筒内圧レベルとの相関が高い領域以外の領域で前記補正を中止する。
【0018】
の発明では、第2、のいずれか一つの発明において前記二階時間微分値と筒内圧レベルとの相関が高い領域以外の領域で前記学習値の演算を中止する。
【0019】
10の発明は、図に示すようにメイン噴射に先立つパイロット噴射が可能な燃料噴射装置71と、アイドル時に燃焼圧力を検出する手段81と、この検出された燃焼圧力の二階時間微分値を演算する手段82と、この演算された二階時間微分値が目標値と一致しないときはアイドル時のパイロット噴射量を二階時間微分値が小さくなる側に補正する手段83と、この補正量で低温予混合燃焼域と通常のディーゼル燃焼域との境界付近で行うパイロット噴射量を補正する手段84と、これら補正されたパイロット噴射量でアイドル時と前記境界付近でのパイロット噴射を行わせる手段85とを設けた。
【0020】
11の発明では、第10の発明においてアイドル時のパイロット噴射量の補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはアイドル時のパイロット噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する。
【0021】
12の発明では、第11の発明において前記アイドル時のパイロット噴射の開始時期の補正量で前記境界付近でのパイロット噴射の開始時期を補正する。
【0022】
【発明の効果】
たとえば、何らかの原因により実際のパイロット噴射量が目標値より低下し、これによって実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しなくなった場合で考えると、第1の発明では補正量の分だけ、また第2の発明では学習値の分だけパイロット噴射量を増量補正することで、図5(b)の特性より判断して、実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値に近づいてゆく。
【0023】
また、何らかの原因により今度は実際のパイロット噴射量が目標値より多くなり、これによって実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しなくなった場合のときは、第1の発明によれば補正量の分だけ、また第2の発明によれば学習値の分だけパイロット噴射量を減量補正することで、このときも図5(b)の特性より判断して、実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値に近づいてゆく。このように、第1の発明では、燃焼圧力をセンシングして燃焼騒音と相関のある燃焼圧力の二階時間微分値を求め、この実際値が目標値と一致するようにパイロット噴射量を補正し、また第2の発明では、補正値に代えて学習値でパイロット噴射量を補正するので、経時劣化や制作バラツキあるいは環境変化により実際のパイロット噴射量が目標値よりずれることがあっても、燃焼騒音の悪化を防止できる。
【0024】
また、第、第の各発明によればパイロット噴射量の補正によっては実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しない場合においても、第、第の各発明によればパイロット噴射量およびパイロット噴射時期の補正によっては実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しない場合においても、第、第の各発明によればパイロット噴射量、パイロット噴射時期およびメイン噴射時期の補正によっては実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しない場合においても、燃焼騒音の悪化を防止できる。
【0025】
燃焼圧力の二階時間微分値と筒内圧レベルとの相関が高い領域以外の領域では、燃焼騒音がそれほど問題とならない。第、第の各発明では、この燃焼騒音がそれほど問題とならない領域で補正、学習を中止することで、無用な制御を行わなくて済む。
【0026】
10、第11、第12の各発明によれば、低温予混合燃焼域と通常のディーゼル燃焼域との境界付近での燃焼騒音の悪化をも確実に防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は全体的な構成を示すもので、21はディーゼルエンジン本体、52は排気通路、53は吸気通路であり、排気の一部を吸気通路53に還流するための排気還流通路54が設けられ、その途中には排気還流量を制御するための排気還流制御弁55が設けられる。なお、57は吸気を加圧する過給機である。
【0028】
エンジン燃焼室56に直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁1が設けられ、この燃料噴射弁1には、後述するように、コモンレール(高圧燃料蓄圧室)26に蓄圧された高圧燃料が供給される。
【0029】
排気の一部を吸気中に還流しつつ低温予混合燃焼を実現するため、図示しないが、燃焼室56内において燃料と空気の混合を促進するためのガス流動を生起させるスワールの制御手段などが設けられる。
【0030】
この低温予混合燃焼時の着火遅れ期間が燃料噴射期間よりも大きく(長く)なるように制御するため、メイン噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量の最適値を予め定めており、コントローラ60が、メイン噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量を制御するようになっている。
【0031】
このため、コントローラ60には、アクセル開度を検出するセンサからの信号、さらには冷却水温信号などが入力し、これらに基づいてメイン噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量を制御する(図8(A)、(B)参照)。また、運転状態に応じて前記排気還流制御弁55の開度を制御し、部分負荷域などで排気還流量を大きく、高負荷域で排気還流量を小さくまたは停止させる(図8(C)参照)。
【0032】
コントローラ60ではまた、燃焼騒音を低減させるため、メイン噴射に先だってパイロット噴射を行う。パイロット噴射時期、パイロット噴射量は燃焼騒音が規定のレベルになるように予め定めており(ほぼ一定値)、コントローラ60では、図4に示したように極く低回転低負荷時(主にアイドル時)のほか通常のディーゼル燃焼域に隣接する低温予混合燃焼域でもパイロット噴射を行っている。通常のディーゼル燃焼域に隣接する低温予混合燃焼域でもパイロット噴射を行うのは、この領域ではメイン噴射の噴射期間が延びて完全な低温予混合燃焼とならず、燃焼騒音が悪化する傾向にあるので、これを防止するためである。
【0033】
次に、図2に燃料噴射弁、図3に燃料噴射システムのそれぞれ詳細を示す。
【0034】
図2において、燃料噴射弁1は、噴射ノズルホルダ2、噴射ノズル3および噴射弁駆動部4から構成されており、リテーニングナット5により、噴射ノズルホルダ2と噴射ノズル3が一体化されている。噴射ノズル3内には針弁摺動孔6および燃料溜まり室7が形成され、先端には燃料溜まり室7に連通するノズル孔8が形成されている。
【0035】
針弁摺動孔6には、針弁9の大径部10が摺動自在に嵌合される。この針弁9の大径部10には連結部11が形成されるとともに、下方先端部には小径部12および弁体部13が一体形成されている。そして、この弁体部13によって、シート部Xが開閉され、ノズル孔8からの燃料噴射がオン・オフされる。
【0036】
針弁9の連結部11の先端にはプッシュロッド14が当接し、さらにバネ16により閉弁方向に付勢される。また、ピン17は噴射ノズル3と噴射ノズルホルダ2の位置決めを行う。前記プッシュロッド14は噴射ノズルホルダ2に形成されたシリンダ15内に摺動自在に嵌合されている。
【0037】
噴射ノズルホルダ2の上部には、針弁9およびプッシュロッド14を駆動する噴射弁駆動部4が配設され、噴射弁駆動部4内には圧電素子22が積層されており、コネクタ部23を介して電源が供給される。
【0038】
圧電素子22は通電電圧値に応じて伸縮し、この圧電素子22にはプッシャー20が当接し、プッシャー20はプッシュロッド14を押圧し、通電電圧の減少により圧電素子22が収縮するときにリターンスプリング21により引き上げられる。
【0039】
なお、噴射弁駆動部4はロックナット25により、噴射ノズルホルダ2に結合される。なお、燃料噴射弁1内のリーク燃料は燃料出口24より、燃料タンク内に戻される。
【0040】
噴射ノズルホルダ2には高圧燃料の燃料供給通路19が形成され、その一端が噴射ノズルホルダ2のインレット18に接続し、他端が前記燃料溜まり室7に連通する。前記コモンレール26の高圧燃料は、前記インレット18、燃料供給通路19を介して燃料溜まり室7に供給される。
【0041】
通常、針弁9はプッシュロッド14およびプッシャー20により閉方向に付勢されているが、この状態から圧電素子22への通電を制御することにより、そのリフト量が制御される。つまり圧電素子22への通電時間を減少すると圧電素子22が収縮し、プッシャー20がリターンスプリング21により戻され、プッシュロッド14は背部からの押圧が減るため、燃料溜まり室7に付加されている燃料圧力により針弁9がリフトして開弁し、燃料が噴射される。
【0042】
このときの針弁9の最大リフト量は圧電素子22に対する印加電圧値により変化し、電圧値を減少させるほどリフト量は大きくなる。
【0043】
圧電素子22に印加する電圧を大きくすると圧電素子22の伸び量が大きくなり、プッシャー20、プッシュロッド14を介して押圧される針弁9が閉弁し、燃料の噴射が停止する。
【0044】
次に図3において、各気筒ごとの燃料噴射弁1は噴射管27を介して各気筒共通の高圧蓄圧配管、いわゆるコモンレール26に接続されている。このコモンレール26には供給管28、チェック弁29を介して高圧供給ポンプ30が接続される。この高圧供給ポンプ30は燃料タンク31から燃料フィルタ32を介して、燃料フィードポンプ33を経て吸入された燃料を所定の圧力にまで昇圧制御する。この場合、エンジン回転に同期してカムを有するドライブシャフト34が回転し、高圧供給ポンプ30内のピストンが往復運動し、燃料フィードポンプ33からの燃料が加圧され、コモンレールに供給される。また、高圧供給ポンプ30には常にコモンレール圧を所望の圧力に制御するための吐出量制御用の電磁弁35を備えている。
【0045】
さらに、コモンレール内の燃料圧力(コモンレール圧)を検出する圧力センサ37がコモンレール26に配設され、前記コントローラ60はこの検出圧力が予め負荷やエンジン回転数に応じて設定して最適値(図8(D)参照)となるように、電磁弁35を介して吐出量をフィードバック制御する。
【0046】
さて、従来装置では、特に経時劣化や圧力センサ37のバラツキにより、パイロット噴射量やパイロット噴射間隔が最適値からずれ、それに伴って燃焼騒音や排気性能が大幅に悪化することがある。
【0047】
そこで、燃焼騒音が敏感に感じられるアイドル時(ただし暖機後)を対象として、パイロット噴射量、パイロット噴射時期、メイン噴射時期の変化が燃焼騒音にどのような影響を及ぼすかを調べたところ、図5に示す結果が得られた。
【0048】
同図より、パイロット噴射量を変数としたときは、筒内圧レベルCPLに極値が存在し、このCPLが極値をとるときのパイロット噴射量より実際のパイロット噴射量が大きくなっても小さくなっても、CPLが大きくなること(図5(b)参照)、またパイロット噴射時期やメイン噴射時期を変数としたときは制御域内に筒内圧レベルCPLの極値が存在せず、噴射時期を遅角するほどCPLが大きくなる特性であることがわかった(図5(d)、(f)参照)。
【0049】
ここで、CPLと燃焼圧力の2階時間微分値との間には図6に示したように強い相関があることが知られている。
【0050】
そこで本発明の実施の形態では、CPLと相関のある実際の燃焼圧力の2階時間微分値を求めてこれを目標値を比較し、実際値が目標値と一致しないときは、図5の実験結果に基づいて実際値が目標値と一致するようにまずパイロット噴射量を補正し、それでも一致しないときはパイロット噴射時期を補正し、それでも一致しないときはメイン噴射時期を補正し、それでも一致しないときはコモンレール圧を補正する。
【0051】
コントローラ60で実行されるこの制御について、図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0052】
このフローチャートは一定時間毎に繰り返されるもので、ステップ1、2では暖機完了後であるかどうか、アイドル時であるかどうかをみる。
【0053】
暖機完了後のアイドル時に限りステップ3に進み、筒内圧力センサ61(図1参照)により検出される燃焼圧力を読み込む。筒内圧力センサは、たとえばシリンダ内に取り付けておく。
【0054】
ステップ4、5ではこの燃焼圧力から燃焼圧力の二階時間微分値(実際値)を演算するとともに燃焼圧力の二階微分値の目標値を読み込み、これらをステップ6において比較する。
【0055】
実際値が目標値と一致するときはそのまま今回の処理を終了し、実際値が目標値と一致しないときはステップ7に進み、パイロット噴射量の補正値を算出済みかどうかみる。当初は算出済みでないので、ステップ8、9に進み、パイロット噴射量の補正値HQpltを算出し、これをメモリに記憶させる。これでパイロット噴射量補正値の算出が終了したので、算出済みフラグ1(始動時に “0” に設定)を “1” にセットして今回の処理を終了する。
【0056】
図示しない別のフローでは基本パイロット噴射量QMpltを算出しており、暖機完了後のアイドル時にだけこの基本パイロット噴射量QMpltに補正値HQpltを加えた値を指令パイロット噴射量としてパイロット噴射が実行される。
【0057】
たとえば、圧力センサの故障によりコモンレール圧が規定値より低下したたために実際のパイロット噴射量が目標値より低下し、これによって実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しなくなった場合で考えると、補正値HQpltの分だけパイロット噴射量を増量補正することで、図5(b)の特性よりCPLが小さくなる側に向かう(実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値に近づいてゆく)。
【0058】
また、何らかの原因によりコモンレール圧が規定値より上昇したたために実際のパイロット噴射量が目標値より多くなり、これによって実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致しなくなった場合であれば、補正値HQpltの分だけパイロット噴射量を減量補正することで、このときも図5(b)の特性よりCPLが小さくなる側に向かう(実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値に近づいてゆく)。
【0059】
したがって、このパイロット噴射量の補正により目標値と一致したときは、以後、図7においてステップ6よりステップ7以降に進むことなく処理を終了する。
【0060】
なお、コモンレール圧が規定値より低下したときは補正値HQpltをプラスで、この逆にコモンレール圧が規定値より上昇したときは補正値HQpltをマイナスで与えるため、図示しないアイドル回転数制御の結果を利用する。つまり、コモンレール圧が規定値より低下したか上昇したかはアイドル回転数制御により判断が可能である。たとえば、コモンレール圧が規定値より高くなると、同一パルス幅でも噴射量が多くなるため、目標アイドル回転数を維持するには基準のパルス幅情報を小さくする必要がある。したがって、アイドル回転数制御において基準のパルス幅情報を小さくしたときはコモンレール圧が規定値より高くなったと、また基準のパルス幅情報を大きくしたときはコモンレール圧が規定値より低下したと判断させるのである。
【0061】
一方、パイロット噴射量を補正したにも拘わらず目標値と一致しないときは、図7において、ステップ6、7よりステップ11に進み、パイロット噴射時期の補正値を算出済みかどうかみる。これも当初は算出済みでないので、ステップ12、13に進み、パイロット噴射時期の進角補正値HITpltを算出し、これをメモリに記憶させる。これでパイロット噴射時期補正値の算出が終了したので、算出済みフラグ2(始動時に “0” に設定)を “1” にセットして、今回の処理を終了する。
【0062】
図示しない別のフローでは基本パイロット噴射時期ITpltを算出しており、暖機完了後のアイドル時にだけこの基本パイロット噴射時期ITpltより補正値HITpltだけ進角させた値を指令パイロット噴射時期としてパイロット噴射が実行される。このパイロット噴射時期の補正によりCPLが小さくなる側に向かうので、実際の燃焼圧力の二階時間微分値が目標値と一致したときは、以後、図7においてステップ6よりステップ7以降に進むことなく処理を終了する。
【0063】
パイロット噴射時期を補正したにも拘わらず目標値と一致しないときは、図7において、ステップ6、7、11よりステップ15以降に進む。このうちステップ15〜18はステップ11〜14と同様である。つまり、当初はメイン噴射時期の補正値の算出済みでないので、メイン噴射時期の進角補正値HITを算出してメモリに記憶させるとともに、算出済みフラグ3(始動時に “0” に設定)を “1” にセットして、今回の処理を終了する。図示しない別のフローでは基本メイン噴射時期ITMを算出しており、暖機完了後のアイドル時にだけこの基本メイン噴射時期ITMより補正量HITだけ進角させた値を指令メイン噴射時期としてメイン噴射が実行される。このメイン噴射時期の補正により目標値と一致したときは、以後、図7においてステップ6よりステップ7以降に進むことなく処理を終了する。
【0064】
それでも目標値と一致しないときは、図7において、ステップ6、7、11、15よりステップ19に進み、コモンレール圧の補正値を算出済みかどうかみる。これも当初は算出済みでないので、ステップ20、21に進み、コモンレール圧の減量補正値HPcomを算出し、これをメモリに記憶させる。これでコモンレール圧の補正値の算出が終了したので、算出済みフラグ4(始動時に “0” に設定)を “1” として今回の処理を終了する。
【0065】
図示しない別のフローでは基本コモンレール圧PMを算出しており、暖機完了後のアイドル時にだけこの基本コモンレール圧PMから減量補正値HPcomを差し引いた値を指令コモンレール圧Pcomとしてコモンレール圧が制御される。このコモンレール圧の補正により目標値と一致したときは、以後、図7においてステップ6よりステップ7に進むことなく処理を終了する。
【0066】
このように、実施形態では、暖機完了後のアイドル時に燃焼圧力をセンシングして燃焼騒音と相関のある燃焼圧力の二階時間微分値を求め、この実際値が目標値と一致するようにパイロット噴射量、パイロット噴射時期、メイン噴射時期、コモンレール圧の順に最適に制御するので、特に経時劣化や圧力センサのバラツキに伴う燃焼騒音の悪化を防止できる。
【0067】
実施形態では、メイン噴射に先立つパイロット噴射が可能な燃料噴射装置として、コモンレール式燃料噴射装置を挙げたが、これに限られるものでない。
【0068】
上記の各補正値HQplt、HITplt、HIT、HPcomに代えて、学習値を用いることもできる。たとえば、パイロット噴射量補正値HQpltに基づいてパイロット噴射量学習値を演算して記憶させ、HQpltに代えてこの学習値を用いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体構成図。
【図2】同じく燃料供給系統の構成図。
【図3】同じく燃料噴射弁の断面図。
【図4】パイロット噴射の領域図。
【図5】アイドル時のパイロット噴射の量、時期、メイン噴射時期とCPLの関係を示す図。
【図6】燃焼圧力の二階時間微分値とCPLの相関図。
【図7】制御動作を示すフローチャート。
【図8】燃料噴射量、燃料噴射時期、排気還流率、コモンレール圧の各特性図。
【図9】第1の発明のクレーム対応図。
【図10】第10の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁
26 コモンレール
51 ディーゼルエンジン
55 排気還流弁
60 コントローラ

Claims (12)

  1. メイン噴射に先立つパイロット噴射が可能な燃料噴射装置と、
    燃焼圧力を検出する手段と、
    この検出された燃焼圧力の二階時間微分値を演算する手段と、
    この演算された二階時間微分値が目標値と一致しないときは前記パイロット噴射の噴射量を二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記パイロット噴射の噴射量を補正する手段と、
    この補正されたパイロット噴射量で前記パイロット噴射を行わせる手段と
    を設け
    パイロット噴射量の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはパイロット噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記パイロット噴射の開始時期を補正する
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. パイロット噴射量の前記補正値に基づいてパイロット噴射量学習値を演算して記憶させ、前記パイロット噴射量補正値に代えてこの学習値を用いることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  3. パイロット噴射時期の前記補正値に基づいてパイロット噴射時期学習値を演算して記憶させ、前記パイロット噴射時期補正値に代えてこの学習値を用いることを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  4. パイロット噴射時期の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはメイン噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記メイン噴射の開始時期を補正することを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  5. メイン噴射時期の前記補正値に基づいてメイン噴射時期学習値を演算して記憶させ、前記メイン噴射時期補正値に代えてこの学習値を用いることを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  6. 前記燃料噴射装置がコモンレール式燃料噴射装置である場合に、メイン噴射時期の前記補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはコモンレール圧力を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正する補正値を算出し、この補正値で前記コモンレール圧力を補正することを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  7. コモンレール圧の前記補正値に基づいてコモンレール圧学習値を演算して記憶させ、前記コモンレール圧補正値に代えてこの学習値を用いることを特徴とする請求項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  8. 前記二階時間微分値と筒内圧レベルとの相関が高い領域以外の領域で前記補正を中止することを特徴とする請求項1、4のいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  9. 前記二階時間微分値と筒内圧レベルとの相関が高い領域以外の領域で前記学習値の演算を中止することを特徴とする請求項2、のいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  10. メイン噴射に先立つパイロット噴射が可能な燃料噴射装置と、
    アイドル時に燃焼圧力を検出する手段と、
    この検出された燃焼圧力の二階時間微分値を演算する手段と、
    この演算された二階時間微分値が目標値と一致しないときはアイドル時のパイロット噴射量を二階時間微分値が小さくなる側に補正する手段と、
    この補正量で低温予混合燃焼域と通常のディーゼル燃焼域との境界付近で行うパイロット噴射量を補正する手段と、
    これら補正されたパイロット噴射量でアイドル時と前記境界付近でのパイロット噴射を行わせる手段と
    を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  11. アイドル時のパイロット噴射量の補正後に前記二階時間微分値が目標値と一致しないときはアイドル時のパイロット噴射の開始時期を前記二階時間微分値が小さくなる側に補正することを特徴とする請求項10に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  12. 前記アイドル時のパイロット噴射の開始時期の補正量で前記境界付近でのパイロット噴射の開始時期を補正することを特徴とする請求項11に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
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