JP3873110B2 - 生理用ナプキン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体的なギャザーカフスを有する生理用ナプキンに関する。
【0002】
【従来の技術】
生理用ナプキンにおいて、体液の横漏れ防止を図ることはきわめて重要である。このために、第1先行例としての特公平7−71570号公報には、両側にギャザーフラップを形成し、このギャザーフラップにて体液の横漏れを堰き止めるようにしたものが開示されている。また、第2先行例としての特開平8−280735号公報には、吸収要素の両側から幅方向外方に延在するバックシート上に、フラップを固定し、このフラップの先端部に幅方向外方に折り返した防漏面を形成したものを開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の先行例では、仮に横漏れ防止を確実にならしめるために、ギャザーフラップの起立高さを高くする場合には、ギャザーフラップが内側または外側に倒れがちとなり、肌との接触が離れることがあり、横漏れ防止効果が十分でない。
【0004】
第2の先行例では、フラップの先端部に幅方向外方に折り返した防漏面を形成したものであるから、フラップが内側に伏倒することがなく、防漏面が肌に沿って広がるので、防漏性は改善されるものと考えられる。
【0005】
しかし、そのフラップは吸収体との間にサイドポケットを形成することにより、トップシートを伝わって流れる体液をサイドポケットで阻止するとの思想に基づくものであり、フラップを大きく起立させるとの考えはない。
【0006】
しかるに、特に夜用など長時間装着するナプキンでは、横漏れ防止効果を一層高める必要があり、また、夜用に対しては製品としての安心感を与えることも必要である。
【0007】
したがって、本発明の課題は、ギャザーカフスの起立高を高め、優れた横漏れ防止効果および肌への柔らかいフィット性を発揮する生理用ナプキンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0009】
<請求項1記載の発明>
使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部と、これから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部と、を有し、
前記折り返し部分近傍に起立用弾性伸縮部材が固定され、この起立用弾性伸縮部材より幅方向内方の前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定されている、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0010】
(作用効果)
A.第1自由部と第2自由部とのを折り返し部分近傍に起立用弾性伸縮部材が固定されているから、装着時において前後方向の湾曲に伴ってその起立用弾性伸縮部材の収縮力により、ギャザーカフスが使用面側に起立する。この起立ラインを起点として、第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定されていることもあって、当接用弾性伸縮部材の収縮力により、第2自由部の製品幅方向内側(以下「内側」「内方」及び「外側」「外方」とは製品の幅方向に関して言う。)部分が前記起立ラインより使用面側により高く起立する。したがって、ギャザーカフスの起立高を大きくでき、装着者の動きが極端であっても、その動きに良好に追従して常に肌に接するから、横漏れ防止効果が高いものとなる。
B.ギャザーカフスを形成するに、第1自由部と第2自由部との折り返し形態を採っている。折り返し形態を採らない場合には、ギャザーフラップの前後を製品に固定するとき、たとえばギャザーフラップを内向きで前後を製品に固定する場合には、そのギャザーフラップの起立高を大きくするときに、両内側縁間の幅方向離間距離(体液受け入れ有効幅距離)が極端に短いものとなり、体液受け入れ性が悪くなり、逆に、ギャザーフラップを外向きで前後を製品に固定する場合には、そのギャザーフラップの起立高を大きくするときに、両内側縁間の幅方向離間距離が極端に大きいものとなり、ギャザーフラップの起立線を内側寄りにせざるを得ないことにより、そして、着用者の股間部幅に対応した製品とするためには、両ギャザーフラップの起立線を吸収体の幅方向中央線に近いものとする必要があり、結果として、吸収体の幅方向中央部のみから体液の吸収開始を行うものとなり、浸透性の点で吸収体のある程度大きい面積領域から体液の吸収開始を行うことが望ましいことに反する。
これらの欠点のほか、いずれにしても、折り返し形態を採らない限り、ショーツからの肌への持ち上げ力などによりギャザーフラップが平坦化する、特にギャザーフラップの幅を広くするときに平坦化する傾向があることを知見した。
しかるに、本発明に従って、第1自由部と第2自由部との折り返し形態を採ることにより、幅方向にある程度狭い幅内において、第1自由部及び第2自由部を起立させることができるので、体液受け入れ性に優れ、及び体液の浸透開始有効面積を広く取ることができる。しかも、装着時において製品の前後方向の湾曲に伴って、起立用弾性伸縮部材の収縮力により、比較的幅狭の第1自由部が平坦化することなく確実に起立し、当接用弾性伸縮部材の収縮力により、同様に比較的幅狭の第2自由部が平坦化することなく確実に起立するので、ギャザーカフス全体として、幅狭でありながら、大きくかつ確実に起立するギャザーカフスが得られる。そして、第1自由部自体として確実に起立し、第2自由部自体も確実に起立することは、製品の面と直交する方向のギャザーカフスのクッション性を高め、肌へのフィット性を良好にし、横漏れ防止効果を高める。さらに、第2自由部は、肌と当接するとき、折り返し部を境にして折曲し肌と平行になりながら起立するので、肌とはほとんど面接触するようになり、肌に対するフィット性に優れたものとなる。
【0011】
【0012】
C.ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、製品の装着時においてフラップは前後方向の湾曲が安定しないものの、半剛性を有する吸収体は着用者の股間形状に確実に沿う形状をもって湾曲するので、ギャザーカフスの起立が確実に行われる。
G.体液の透過を実質的に許さないギャザーカフスシートと漏れ防止シートとで、他の材料を使用することなく製品の側部フラップを構成できる。ギャザーカフスシートは不織布により構成することにより、漏れ防止シートがプラスチックシートであっても、肌への感触性に優れたフラップとなる。
【0013】
<請求項2記載の発明>
前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第1自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第2自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している請求項1記載の生理用ナプキン。
【0014】
(作用効果)
D.第1自由部が大きく(強く)起立し、第2自由部が小さく(弱く)起立する形態を得ることができる。
【0015】
<請求項3記載の発明>
使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部とこれから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部とを有し、前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定され、前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第1自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第2自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0016】
(作用効果)
E.請求項1では、折り返し部分近傍に起立用弾性伸縮部材が固定されているが、請求項3記載の発明に従って、起立用弾性伸縮部材を有しない場合でも、当接用弾性伸縮部材の収縮力により第1自由部及び第2自由部は肌側に起立する。このとき、前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第1自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第2自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位していると、第1自由部が大きく起立し、第2自由部が小さく起立する形態を得ることができる。
【0017】
<請求項4記載の発明>
使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部とこれから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部とを有し、前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定され、前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第2自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第1自由部の前後方向延長部分の前記第2自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している、
ことを特徴とする生理用ナプキン。
【0018】
(作用効果)
F.請求項1では、折り返し部分近傍に起立用弾性伸縮部材が固定されているが、請求項4記載の発明に従って、起立用弾性伸縮部材を有しない場合でも、当接用弾性伸縮部材の収縮力により第1自由部及び第2自由部は肌側に起立する。このとき、前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第2自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第1自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位していると、第1自由部が小さく起立し、第2自由部が大きく起立する形態を得ることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
<請求項5記載の発明>
前記起立用弾性伸縮部材の伸張応力が、前記当接用弾性伸縮部材の伸張応力より大きい請求項記載の生理用ナプキン。
【0022】
(作用効果)
H.起立用弾性伸縮部材の伸張応力は相対的に大きいので、第1自由部の起立を確実にする。当接用弾性伸縮部材の伸張応力は相対的に小さいものであるために、肌に対する過度の圧接を防止して、柔らかく当接する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1において上側が製品の前側である。本発明の生理用ナプキンは、使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素10と、この裏面側にあって吸収要素10から裏面側への体液の漏れを防止するポリエチレンシートなどからなる漏れ防止シート30と、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さないギャザーカフスシート21に対して、たとえば糸ゴムなどからなる弾性伸縮部材22A,22Bを有し、製品の装着時その弾性伸縮部材22A,22Bの収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフス20とを備える。
【0025】
吸収要素10は、使用面側に位置し体液を透過させる、不織布や好適には外面から内面方向には体液を通すが逆戻りを防止する小孔を有するポリエチレンシートを用いた表面シート11と、透過した体液を受け入れて内部に保持する綿状粉砕パルプおよび必要によりさらにその上下面もしくは全面を包む吸収紙(図示せず)を有する、中高部12Aが形成された吸収体12とを有している。もちろん、高分子吸収ポリマーを含有させることができる。実施の形態では、表面シート11は、吸収体12の使用面を覆っている。
【0026】
前記各ギャザーカフス20は、吸収要素10の半剛性を有する吸収体12がある位置に設けられ(形成され)ている。
【0027】
漏れ防止シート30は、吸収要素10の側縁より外方に延在してフラップの構成部材としてある。
【0028】
ギャザーカフスシート21は、疎水性または撥水性などの不織布材料からなる。その基部21Aの長手方向全体が、表面シート11の表面にホットメルト接着剤などにより固定されている。このギャザーカフスシート21は、吸収要素10の側縁より外方に延在しており、その延在部21Bが、漏れ防止シート30上に重ね合わされ、ホットメルト接着剤などにより相互が一体化され、フラップ40を構成している。フラップ40は、前側フラップ40A、ショーツの股間部に巻き込むためのウイング部40B、及びほぼ長手方向中間から後部に向かって大きく翼を広げる後側フラップ40Cに区分して構成してある。
【0029】
ギャザーカフスシート21は、基部21Aの内方縁の第1折り返し線L1において折り返され、幅方向外方に向かう第1折り返し部21Cが形成され、この第1折り返し部21C終端の第2折り返し線L2において折り返され、幅方向内方に向かう第2折り返し部21Dが形成され、さらに弾性伸縮部材22A,22Bを内包させるために、第2折り返し部21Dの終端の第3折り返し線L3において折り返しされ、重合部21Eおよび重合部21Fとして、第1折り返し部21C及び第2折り返し部21Dに対してホットメルト接着剤などにより重合状態で固定されている。
【0030】
ギャザーカフス20を構成するために、ギャザーカフスシート21は、製品の長手方向両端部のみにおいて、第1折り返し部21Cが、製品の使用面側に、実施の形態では基部21Aの表面に、ホットメルト接着剤などにより固定されている(この固定領域を図1の破線によるハッチングにより示した)。しかも、第2折り返し部21Dが、重合部21Eを介して、重合部21F及び第1折り返し部21Cにホットメルト接着剤などにより重ね合わせ状態で固定されている(この固定領域を図1の実線によるハッチングにより示した)。なお、各固定領域は全面でなく、間欠的に固定することもできる。
【0031】
他方、図4に明示されているように、製品の長手方向両端部間においては、第1折り返し部21Cが、製品の使用面側に非固定であり、かつ、第2折り返し部21Dが第1折り返し部21Cに非固定とされ、外方に向かう第1自由部Xとこれから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部Yとが構成されている。
【0032】
前記第2折り返し線L2近傍(±1.5mm以内)には、起立用弾性伸縮部材22Aが固定され、この起立用弾性伸縮部材22Aより幅方向内方の第2自由部Yに当接用弾性伸縮部材22B,22Bが固定されている。
【0033】
ギャザーカフス20を平坦化したときのその平面視の幅(第1自由部Xの幅または第2自由部Yの幅でもある)としては、8〜18mmが望ましい。
【0034】
他方、吸収要素10には吸収体12のよれ防止、体液の拡散防止、ならびにフィット性向上などのためのエンボス50、51が形成されている。
【0035】
ここで、各弾性伸縮部材としては、糸ゴムのほか、弾性伸縮性発泡体(たとえば発泡ウレタン)などの採用も可能である。糸ゴムを使用する場合、起立用弾性伸縮部材22Aとしては、第2折り返し線L2近傍に3本以内の数で設けることができる。当接用弾性伸縮部材22Bとしては、第2折り返し部21Dにおいて1本でもよいが、幅方向に複数、たとえば2本とするのが起立・持ち上げ性に優れる。最高で6本以内の配設が可能である。ただ、第2折り返し部21Dの内方縁(第3折り返し線L3)の内方に当接用弾性伸縮部材22Bを設けず、その内方縁から1〜3mm程度離間させることが、肌への接触性が優れる。
【0036】
弾性伸縮部材の固定に際しては、当該弾性伸縮部材にホットメルト接着剤を塗布してギャザーカフスシート21に固定するほか、ギャザーカフスシート21にホットメルト接着剤を塗布して弾性伸縮部材を固定する形態によってもよい。起立用弾性伸縮部材22A及び当接用弾性伸縮部材22B,22Bの伸張率は110〜200%、特に130〜180%が好ましい。
【0037】
起立用弾性伸縮部材22Aの伸張応力が、当接用弾性伸縮部材22Bの伸張応力より大きいことがギャザーカフス20全体の起立性の点で望ましい。それらの伸張応力の差は10〜40%が好ましい。
【0038】
さらに、前後の少なくとも一方の端部、好適には両端部において、製品の長手方向中央からの基準で、第1自由部Xの延長部分の固定開始位置が、第2自由部Yの前後方向延長部分の第1自由部Xへの重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位していることが望ましい。すなわち、図1に図示するように、第1自由部Xの収縮有効長さD1が、第2自由部Yの収縮有効長さD2より長い方が望ましい。
【0039】
かかる構成の下で、本発明のナプキンを装着する場合には、漏れ防止シート30の裏面(表面)に設けた粘着剤(図示せず)をショーツ内面に当てて仮止めするとともに、ウイング部40Bをショーツの外面に巻き込み粘着剤(図示せず)により仮固定する。
【0040】
装着状態を概念的に図5および図6に示した。ナプキンは前後方向に股間部に沿って湾曲する。このとき、弾性伸縮部材22A,22Bの収縮力により、ギャザーカフス20が起立する。したがって、ギャザーカフス20が横漏れ防止用バリヤーカフスを構成する。
【0041】
このとき、第1自由部Xと第2自由部Yとの折り返し部分(第2折り返し線L2)近傍に起立用弾性伸縮部材22Aが固定されているから、装着時において前後方向の湾曲に伴ってその起立用弾性伸縮部材22Aの収縮力により、ギャザーカフス20が使用面側に起立する。この起立ライン(第2折り返し線L2)を起点として、第2自由部Yに当接用弾性伸縮部材22B,22Bが固定されていることもあって、当接用弾性伸縮部材22B,22Bの収縮力により、第2自由部Yの製品幅方向内側部分が前記起立ラインより使用面側により高く起立する。したがって、ギャザーカフス20全体の起立高を大きくでき、装着者の動きが極端であっても、その動きに良好に追従して常に肌に接するから、横漏れ防止効果が高いものとなる。
【0042】
ギャザーカフス20を形成するに、第1自由部Xと第2自由部Yとの折り返し形態を採っている。しかるに、第1自由部Xと第2自由部Yとの折り返し形態を採ることにより、幅方向にある程度狭い幅内において、第1自由部X及び第2自由部Yを起立させることができるので、体液受け入れ性に優れ、及び体液の浸透開始有効面積を広く取ることができる。しかも、装着時において前後方向の湾曲に伴ってその起立用弾性伸縮部材22Aの収縮力により、比較的幅狭の第1自由部Xが平坦化することなく確実に起立し、当接用弾性伸縮部材22Bの収縮力により、同様に比較的幅狭の第2自由部Yが平坦化することなく確実に起立するので、ギャザーカフス20全体として幅狭でありながら、大きくかつ確実に起立するギャザーカフス20が得られる。そして、第1自由部X自体として確実に起立し、第2自由部Y自体も確実に起立することは、製品の面と直交する方向のギャザーカフスのクッション性を高め、肌へのフィット性を良好にし、横漏れ防止効果を高める。
【0043】
他方、図1に図示するように、第1自由部Xの収縮有効長さD1を、第2自由部Yの収縮有効長さD2より長くすることができる。これにより、第1自由部Xの収縮有効長さD1範囲が長いので、第1自由部Xの起立高さが高い(強い)ものとなり、これに対して第2自由部Yの収縮有効長さD2範囲は短いので、第2自由部Yの起立高さは小さい(弱い)ものとなる。したがって、第1自由部Xは十分な起立高さを有する体液阻止用ポケットを形成し、これに対して、第2自由部Yは起立高さが小さい(弱い)状態で、肌に接触するようになるから、第2自由部Yはほぼ肌と面接触するようになり、かつ柔らかいフィットとなる。
【0044】
<第2の実施の形態>
図7に示すように、第1自由部Xの収縮有効長さD1を、第2自由部Yの収縮有効長さD2より短くすることができる。これにより、第1自由部Xの収縮有効長さD1範囲が短いので、第1自由部Xの起立高さが小さいものとなり、これに対して第2自由部Yの収縮有効長さD2範囲は長いので、第2自由部Xの起立高さは大きいものとなる。したがって、第1自由部Xの起立高さが大きいものではないとしても、第2自由部Yが大きく起立するので、肌に確実に接触するようになり、横漏れ防止効果が大きい。
【0045】
<第3の実施の形態>
図4と対比して図8に示すように、起立用弾性伸縮部材22Aを設けないことができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、ギャザーカフスの起立高を高めて優れた横漏れ防止効果を発揮する生理用ナプキンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生理用ナプキンの使用面側からの平面図である。
【図2】 図1の2−2線矢視図である。
【図3】 図1の3−3線矢視図である。
【図4】 本発明の生理用ナプキンの使用状態におけるギャザーカフスの長手方向端部と中央部との関係を示す要部拡大断面図である。
【図5】 使用状態の斜視図である
【図6】 図1の6−6線に沿う使用状態における側面図である。
【図7】 第2の実施の形態の使用面側からの平面図である。
【図8】 第3の実施の形態におけるギャザーカフスの長手方向端部と中央部との関係を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10…吸収要素、11…表面シート、12…吸収体、20…ギャザーカフス、21…ギャザーカフスシート、21A…基部、21C…第1折り返し部、21D…第2折り返し部、21E,21F…重合部、22A…起立用弾性伸縮部材、22B…当接用弾性伸縮部材、30…漏れ防止シート、40…フラップ、L1…第1折り返し線、L2…第2折り返し線、L3…第3折り返し線、X…第1自由部、Y…第2自由部。

Claims (5)

  1. 使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
    前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
    前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部と、これから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部と、を有し、
    前記折り返し部分近傍に起立用弾性伸縮部材が固定され、この起立用弾性伸縮部材より幅方向内方の前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定されている、
    ことを特徴とする生理用ナプキン。
  2. 前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
    前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第1自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第2自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している請求項1記載の生理用ナプキン。
  3. 使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
    前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
    前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部とこれから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部とを有し、前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定され、前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
    前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第1自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第2自由部の前後方向延長部分の前記第1自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している、
    ことを特徴とする生理用ナプキン。
  4. 使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さない不織布からなるギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスと、前記ギャザーカフスシートにおける吸収要素の側縁より外方に延在した延在部と漏れ防止シートとが一体化されて構成された側部フラップと、を備え、
    前記ギャザーカフスシートは、前記吸収要素の側縁より幅方向内方までにおいて製品の使用面側に固定されることにより、前記ギャザーカフスの基部が前記吸収要素の半剛性を有する吸収体がある位置に設けられた構成とされ、
    前記ギャザーカフスは、長手方向前後が製品の使用面側に固定され、これらの固定部分の間がそれぞれ製品の使用面側に非固定である、幅方向外方に向かう第1自由部とこれから折り返されて幅方向内方に向かう第2自由部とを有し、前記第2自由部に当接用弾性伸縮部材が固定され、前記第1自由部の前後方向延長部分が、製品の使用面側に固定され、前記第2自由部の前後方向延長部分が前記第1自由部の前後方向延長部分に重ね合わせ状態で固定され、
    前後の少なくとも一方の端部において、製品の長手方向中央からの基準で、前記第2自由部の延長部分の固定開始位置が、前記第1自由部の前後方向延長部分の前記第2自由部への重ね合わせ固定開始位置より、製品の長手方向端縁側に偏位している、
    ことを特徴とする生理用ナプキン。
  5. 前記起立用弾性伸縮部材の伸張応力が、前記当接用弾性伸縮部材の伸張応力より大きい請求項記載の生理用ナプキン。
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