JP3873087B2 - 光学的分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、たとえば尿などの試料が採取された試験片の定着部に対して光を照射することにより、光学的に試料を分析する光学的分析装置に関し、特に、発色むらの検出に優れた効果を発揮する光学的分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、尿などの試料を分析対象とした光学的分析装置には、CCDを用いたリニアセンサまたはエリアセンサ方式のものがある。このようなCCDを用いた光学的分析装置においては、尿などの試料が採取された試験片の定着部をCCDにより撮像し、それにより得られた画像情報に基づいて色調や呈色状態を判定することにより、その定着部において呈色反応を示した試料中の含有成分が分析されるようになっている。
【0003】
一方、この種の他の光学的分析装置には、試料が採取された定着部に光源より光を照射しつつ、測光領域を限定した光学的測光手段を定着部に対して移動させながら、定着部からの反射光量に応じた受光データに基づいて光学的に試料を分析する小型化されたものがある。
【0004】
このような定着部からの反射光量を用いる光学的分析装置では、定着部からの反射光を図示しない光学系を介して受光する図4に示すような受光素子33をもつ測光系を備えている。この受光素子33には、一定の大きさの受光領域Rが設定されており、この受光領域Rの形状と対応した定着部上の領域画像が上記光学レンズ系などを介して上記受光領域Rに投影されるようになされている。上記測光系は、測光対象である定着部に対して相対的に移動する。そして、受光領域Rの受光量に応じた出力信号が増幅器34を介して図示しないA/Dコンバータに出力され、このA/Dコンバータによってデジタルの受光データが得られるようになっている。このようにして得られた受光データは、反射光量に応じたデジタル情報としてマイクロコンピュータなどによって処理されることとなる。このような受光データに基づいて定着部の試料の色調などを判定するために、上記の受光領域Rの径dは、略3mm程度の比較的大きな寸法が必要とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のCCDおよび反射光量を用いた光学的分析装置のいずれによっても、尿などを試料として分析対象とした場合、尿中の含有成分である血球が溶血しないことを原因として、定着部に点在する血球により部分的に発色むらが生ずることがある。このような発色むらを検出するためには、上記従来のCCDを用いた光学的分析装置では、以下に述べるような不具合があった。
【0006】
すなわち、CCDにより得られた画像情報に基づいて発色むらを検出するような画像処理システムを構築しなければならず、そのような画像処理システムでは、キャリブレーションなどの調整を必要としてシステム自体が複雑となってしまう。また、CCDによる撮像光学系が大型なものとなってしまい、しかも、画像情報によっては、血球を原因とした発色むらを検出する精度が劣ってしまう。
【0007】
一方、上記従来の反射光量を用いた光学的分析装置では、CCDによるような不具合はなく、シンプルで小型化されたものであるが、図4に示すように受光領域Rの径dが略3mm程度と比較的大きいため、このような受光領域Rに投影される画像中に発色むらが小さく部分的に点在する状況であっても、受光領域R全体の光量に大きな変動を与えることができず、定着部上の発色むらを精度よく検出することができないという不具合があった。
【0008】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、試料が採取された定着部における発色むらを検出するために、シンプルかつ小型であり、しかも精度よく発色むらを検出することができる光学的分析装置を提供することをその課題とする。
【0009】
【発明の開示】
上記課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
すなわち、本願発明の第1の側面により提供される光学的分析装置は、試料が採取され、呈色反応を起こさせた所定の面積を有する定着部を光源からの光を照射しつつ連続的に移動させ、上記定着部から反射した反射光を光学レンズを介して所定の測光領域において受光素子によって受光し、これにより得られた受光データに基づいて、上記試料の分析を行う光学的分析装置であって、上記定着部で反射して上記光源から上記受光素子へと導かれる光の光線束を可変調整することにより、上記測光領域を上記定着部の面積と対応した領域より小の領域に絞ることができる光線束可変手段を上記受光素子に近接して備えることにより、上記定着部における発色むらの検出を可能としたことを特徴としている。
【0011】
上記技術的手段が講じられた第1の側面により提供される光学的分析装置では、光線束可変手段が光源から受光素子へと導かれる光の光線束を可変調整することにより、受光素子による受光領域が変化するようになっている。このような受光領域は、測光対象となる定着部の測光領域に対応したものであることから、定着部の測光領域が変化するとも言える。すなわち、光線束可変手段が光線束を可変調整することによって、定着部における測光領域が可変されることとなり、この測光領域が最大とされると、最大領域の反射光量に応じた受光データが得られ、一方、測光領域が最小とされると、最小領域の反射光量に応じた受光データが得られることとなる。このようにして得られた最大領域に基づく受光データのみでは、測光領域全体の光量に大きな変動を与えることができず、測光領域中に点在する状況の発色むらを捉えることは困難であるが、最小領域に基づく受光データを用いることによって、部分的に小さく点在する発色むらを捉えることが可能となる。また、光線束可変手段は、受光素子に近接した位置に配置されているので、定着部から導かれる反射光の光線束が可変調整された直後、受光素子によって受光されることとなり、受光領域の変化に応じた受光データを確実に得ることができる。
【0012】
したがって、第1の側面により提供される光学的分析装置によれば、光線束可変手段が光線束を可変調整することにより、定着部における測光領域が最大/最小とされ、それに応じて最大領域に基づく受光データと最小領域に基づく受光データとが得られる。このようにして得られた最小領域に基づく受光データを用いることによって、部分的に小さく点在する発色むらを捉えることが可能となるので、そのような発色むらを検出するための装置としてシンプルかつ小型であり、しかも高精度な発色むらの検出を実現することができる。
【0013】
受光素子としては、たとえばフォトダイオードが適用可能であるが、特にそれに限ることはなく、他の受光素子、たとえばフォトトランジスタやCdSセルなどであってもよい。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記光線束可変手段は、光の通過部分に位置する液晶を制御することにより光線束を可変調整する液晶パネルよりなる。
【0015】
このような実施形態によれば、光線束可変手段は、光の通過部分に位置する液晶を制御することにより光線束を可変調整する液晶パネルよりなるので、光源から受光素子にかけての光路上に液晶パネルを配置するだけで、従来より既存の光源や受光素子などの光学測定系を改良することなくそのまま利用することができ、コストを低く抑えて比較的簡単に製作することができる。
【0018】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1は、本願発明にかかる光学的分析装置の一実施形態を模式的に示した概略構成図であって、この図に示すように、光学的分析装置は、尿などの試料が採取された試験片1の定着部1aに対して光を照射しつつ、その定着部1aからの反射光を受光することにより、得られた受光データに基づいて上記試料を光学的に分析するものである。この種の光学的分析装置に使用される一般的な試験片1は、細長短片状の基材1bに対して複数箇所に配列された略矩形状の定着部1aを有しており、各定着部1aには、あらかじめ異なる種類の含浸試薬が付着されている。このような定着部1aに対して尿などの試料が付着されると、その定着部1a全体が呈色反応を示し、色調や呈色状態に基づいて試料中の含有成分が分析可能とされている。また、試験片1は、図示しないスライド機構によって移動可能とされており、それにより、試験片1の各定着部1aが照射位置Pを移動しつつ測光されるようになっている。
【0021】
光学的分析装置は、光源10、光学レンズ11、光線束可変調整部12、受光部13、増幅器14、A/Dコンバータ15、およびマイクロコンピュータ16により概略構成されている。この光学的分析装置では、光源10、光学レンズ11、および光線束可変調整部12によって光学系が構成され、受光部13、増幅器14、A/Dコンバータ15、およびマイクロコンピュータ16によって測光系が構成されている。また、光学系は、外部の光の影響を受けないように筐体内部に配置されており、光学系の適当な光路位置には、図示しない分光フィルタが切り換え可能に配置されている。この分光フィルタを切り換えることによって特定波長の光に基づく受光データが得られるようになっている。
【0022】
まず、光学系について説明すると、光源10は、白色光を照射する単色発光体として、たとえばハロゲンランプが用いられており、筐体の一部に開口された照射位置Pに向けて光を照射するように配置されている。
【0023】
光学レンズ11は、照射位置Pの直下に位置する定着部1aからの反射光を集光しつつ、光線束可変調整部12を介して受光部13へと導くように配置されている。すなわち、この光学レンズ11によれば、定着部1aから導かれる反射光の焦点が受光部13の後述する受光素子上に結像するように調整されている。
【0024】
光線束可変調整部12は、ディスプレイ装置として一般に利用されている液晶パネルとほぼ同様のものであって、光の通過部分に位置する液晶を制御することにより、光学レンズ11を介して導かれる反射光の光線束を可変調整するものである。このような光線束可変調整部12は、後述する受光部13の受光素子に近接して配置されており、後述するマイクロコンピュータ16からの制御信号に基づいて液晶を制御するようになっている。なお、液晶制御についての原理や液晶構造については、従来より利用されている液晶パネルと同様であるため、その説明を省略する。図2は、この光線束可変調整部12を示した全体斜視図であって、この図を参照して具体的に説明すると、光線束可変調整部12は、光遮断面12aおよび光透過面12bを有しており、この光遮断面12aは、一方から他方への光の透過を完全に遮断している。また、光透過面12bは、内部の液晶を駆動制御することで光の透過範囲が可変されるようになっている。さらに詳細に説明すると、図2によく示されるように、光透過面12bにおける平面的環状部分の液晶が駆動制御されるようになっており、たとえばその液晶がネマティック型である場合、駆動電圧が印加されていない状態で光を透過可能とすることから、透過範囲が最大となる。一方、駆動電圧が印加されると、その部分の光が遮断されることにより透過範囲が最小となる。このようにして、光透過面12bの透過範囲が最大とされた場合、実線で示される光が透過し、一方、透過範囲が最小とされた場合、仮想線で示される光が透過することとなり、光線束が可変調整されるようになっている。このような光線束の可変調整により、光線束可変調整部12は、光学レンズ11を介して定着部1aより導かれてくる反射光を絞りつつ、受光部13の後述する受光素子へと導いている。この光線束可変調整部12によって絞られた定着部1aからの反射光は、後述する受光領域をもって受光素子に受光されるように設定されている。ここでいう受光領域とは、定着部1a上の一定領域に相当する画像、すなわち受光素子側からみた定着部1a上の測光領域に対応するものであり、光線束可変調整部12による光線束の可変調整に応じて変化することとなる。
【0025】
すなわち、光線束可変調整部12は、光源10から受光素子13aへと導かれる光の光線束を可変調整することにより、受光素子13aによる受光領域を変化させる光線束可変手段を実現している(図3参照)
【0026】
次に、図3は、図1に示す受光部13の内部構成を示すとともに、その大きさを相対的に示した概略説明図であって、この図も参照して測光系について説明する。
【0027】
図3によく示されるように、受光部13は、定着部1aにおける一定の大きさの測光領域、すなわち受光領域Rを受光面上に捉える受光素子13aを備えており、この受光素子13aが後述する増幅器14を介してA/Dコンバータ15に接続されている。
【0028】
受光素子13aは、たとえば受光量に応じた出力信号を得るフォトダイオードであって、受光領域Rの受光量に応じた出力信号を増幅器14に対して出力するようになっている。この受光領域Rは、上記光線束可変調整部12における光透過面12bの透過範囲に応じて変化するものであり、最大領域R1とされた場合には、定着部1aにおける測光領域も最大とされ、最小領域R2とされた場合には、測光領域も最小とされることとなる。これにより、受光領域Rの大きさに応じた出力信号が受光素子13aから増幅器14を介してA/Dコンバータ15に出力される。
【0029】
増幅器14は、受光部13における受光素子13aからの出力信号を増幅しつつ後段のA/Dコンバータ15に供給するものである。
【0030】
A/Dコンバータ15は、増幅器14を介して入力された受光素子13aからの出力信号をデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ16に出力する。このようなA/Dコンバータ15によって出力されたデジタル信号は、受光データとしてマイクロコンピュータ16によって処理されることとなる。
【0031】
マイクロコンピュータ16は、A/Dコンバータ15を介して得られた受光データに基づいて各種のデータ処理を行うことにより、定着部1aにおける発色むらを検出したり、あるいはその色調などを判定することで試料中の含有成分を分析する。このようにして分析された結果は、マイクロコンピュータ16に接続された図示しないプリンタによって印刷されたり、モニタ画面に表示されることとなる。
【0032】
次に、上記構成の光学的分析装置における動作の要点について説明する。
【0033】
まず、光源10から定着部1aに対して光が照射されると、定着部1aからの反射光が光学レンズ11によって集光されつつ、光線束可変調整部12を介して受光素子13aへと導かれる。
【0034】
この際、光線束可変調整部12における光透過面12bの透過範囲が最大である場合、受光領域Rが最大領域R1をもって受光素子13aにより受光されることとなり、この受光素子13aから最大領域R1の光量に応じた出力信号がA/Dコンバータ15に出力される。
【0035】
そして、A/Dコンバータ15は、最大領域R1に応じたデジタルの受光データをマイクロコンピュータ16に出力し、マイクロコンピュータ16は、最大領域R1に基づく受光データに基づいて、定着部1aにおける色調などの判定処理を行うとともに、その判定結果に基づいて定着部1aにて呈色反応を示した試料中の含有成分を分析する。なお、このような色調の分析に関しては、図示しない分光フィルタを切り換えることで得られた、特定波長の光に基づく受光データが用いられることとなる。
【0036】
このような状況において、光線束可変調整部12における光透過面12bの透過範囲が最小に切り換えられると、受光素子13aにおける受光領域Rも最小領域R2となり、受光素子13aから最小領域R2の光量に応じた出力信号がA/Dコンバータ15に出力される。
【0037】
これにより、最小領域R2に基づく受光データがマイクロコンピュータ16に入力されることとなり、このマイクロコンピュータ16は、その最小領域R2に基づく受光データに基づいて、定着部1aにおける部分的な発色むらを検出することとなる。このような発色むらの検出は、定着部1aが順次連続して移動する際、光線束可変調整部12における光透過面12bの透過範囲を最大/最小に切り換えることで行われる。
【0038】
このようにして得られた受光領域Rの最大領域R1に基づく受光データのみでは、定着部1aにおいて部分的に発色むらがあっても、その最大領域R1全体中に点在する状況の発色むらを捉えることは困難であるが、受光領域Rの最小領域R2に基づく受光データを用いることによって、部分的に小さく点在する発色むらを捉えることが可能となる。その理由としては、最大領域R1全体の大きさに対して部分的に点在する発色むらでは、その最大領域R1の光量に応じた受光データに大きな変動がみられないが、最小領域R2に基づく受光データでは、部分的に点在する発色むらがその領域内において大きな割合を占めるからである。
【0039】
したがって、上記構成、動作の光学的分析装置によれば、光線束可変調整部12が光線束を可変調整することにより、定着部1aの測光領域に対応した受光領域Rが最大/最小に切り換えられ、それに応じて最大領域R1に基づく受光データと最小領域R2に基づく受光データとが得られる。このようにして得られた最小領域R2に基づく受光データを用いることによって、部分的に小さく点在する発色むらを捉えることが可能となるので、そのような発色むらを検出するための装置としてシンプルかつ小型であり、しかも高精度な発色むらの検出を実現することができる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、光源に単色発光体を用いて分光フィルタにより特定波長の光を受光するように構成したが、これとは別に、複数種類の発光体を用いて分光フィルタを排除したような構成であってよい。この場合、複数種類の発光体を切り換えることによって特定波長の光を照射することが可能となる。特定波長の光を照射する発光体としては、たとえばLEDが適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかる光学的分析装置の一実施形態を模式的に示した概略構成図である。
【図2】図1に示す光線束可変調整部を示した全体斜視図である。
【図3】図1に示す受光部の内部構成を示すとともに、その大きさを相対的に示した概略説明図である。
【図4】従来の反射光を用いた光学的分析装置における受光部の相対的大きさを示した概略説明図である。
【符号の説明】
1 試験片
1a 定着部
10 光源
11 光学レンズ
12 光線束可変調整部
13a 受光素子
15 A/Dコンバータ
33 受光素子
R 受光領域(測光領域)
R1 最大領域
R2 最小領域

Claims (2)

  1. 試料が採取され、呈色反応を起こさせた所定の面積を有する定着部を光源からの光を照射しつつ連続的に移動させ、上記定着部から反射した反射光を光学レンズを介して所定の測光領域において受光素子によって受光し、これにより得られた受光データに基づいて、上記試料の分析を行う光学的分析装置であって、
    上記定着部で反射して上記光源から上記受光素子へと導かれる光の光線束を可変調整することにより、上記測光領域を上記定着部の面積と対応した領域より小の領域に絞ることができる光線束可変手段を上記受光素子に近接して備えることにより、上記定着部における発色むらの検出を可能としたことを特徴とする、光学的分析装置。
  2. 上記光線束可変手段は、光の通過部分に位置する液晶を制御することにより光線束を可変調整する液晶パネルよりなる、請求項1に記載の光学的分析装置。
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