JP3872921B2 - 射出圧縮成形方法および射出圧縮成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して物品を成形する射出圧縮成形方法および射出圧縮成形装置に関する。たとえば、熱可塑性樹脂を射出圧縮成形して、高精度、かつ、高品質な眼鏡レンズを成形するのに好適な射出圧縮成形方法および射出圧縮成形装置に関する。
【0002】
【背景技術】
たとえば、熱可塑性樹脂からレンズを得る成形法として、特開平2−26723号公報や実公平6−9826号公報などに開示された射出圧縮成形法が知られている。ちなみに、眼鏡レンズでは、レンズ度数+4.00〜−8.00D(D:ジオプター)程度のレンズ度数範囲のものが、この成型法に好ましく用いられている。
射出圧縮成形法は、溶融樹脂の収縮を補正して均一で高度な形状精度を得るために、レンズ成形用キャビティ内に圧縮代を残して金型を型締めし、ついで、前記レンズ成形用キャビティ内に溶融樹脂を射出充填したのち、前記圧縮代を圧縮して、レンズを得る成形法である。
【0003】
ところで、レンズは、レンズ前面側と後面側との曲率が異なると、レンズ厚に偏肉差が生じる。偏肉差があるものとして、中央部肉厚が周辺部肉厚より厚いプラスレンズと、中央部肉厚が周辺部肉厚より薄いマイナスレンズとの2種類ある。
また、レンズ厚は光学レンズ設計により異なるが、たとえば、屈折率が1.50程度の非球面レンズでは、レンズ度数が+2.00Dの場合、中心厚4.2mm、周辺厚1.0mm、また、レンズ度数が−4.00Dの場合、中心厚1.4mm、周辺厚7.9mm程度の設計値である。
【0004】
このような偏肉差があるレンズの射出圧縮成形法では、その形状特性の差異により、次のような不具合がある。
たとえば、プラスレンズ成形においては、レンズ中央部に対して周辺部が薄肉であるから、ゲート付近に「ヒケ」と呼ばれる成形収縮を含む形状変化が発生しやすく、周辺部の形状精度の維持が困難であるという問題がある。
また、マイナスレンズ成形においては、レンズ中央部が周辺部に対して厚みが薄いから、キャビティ中央部が流動抵抗が大きい。そのため、キャビティ内に射出された溶融樹脂は、キャビティ中央部を流れ難く、分流して周辺部から中央部に回り込むため、中央部においてウエルドマークが多く発生しやすいという問題がある。
【0005】
そこで、従来では、プラスレンズ成形型については、「ヒケ」の発生を極力抑えられるように、ゲートの開口形状を小さくした構造のものを用意していた。
また、マイナスレンズ成形型については、溶融樹脂のキャビティへの流動がスムーズでないと、ウエルドマークの発生が顕著になる傾向があるため、溶融樹脂の流動性を確保するため、ゲートの開口形状が比較的大きな構造のものを用意していた。
しかし、これらのゲート開口形状については、レンズの偏肉差の度合いによっても微妙に異なるから、結局、ゲートの開口形状の異なる多数の成形型を用意しなければならず、経済的負担が大きい。
【0006】
このようなことから、本出願人は、先に、ゲート部分を交換可能に構成したレンズ成形用射出成形型を提案した(特願平8−6407号)。
これは、成形型のゲート部分を交換可能に構成するとともに、ゲートの開口形状を決めるゲート駒部材を複数種類用意しておき、これらの中から成形するレンズ形状に応じたゲート開口形状を有するゲート駒部材を選択し、このゲート駒部材を成形型のゲート部分に交換可能に取り付けた構成である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ゲート駒部材を、成形するレンズ形状に応じて選択する方法でも、レンズ形状に応じてゲート駒部材を交換しなければならないから、手間がかかり、作業性の飛躍的向上は望めない。
また、ゲートは、通常、キャビティへの溶融樹脂の充填時には抵抗が少ないことが望ましく、また、キャビティ内に溶融樹脂が充満したのちは溶融樹脂をキャビティ内に封じ込めることが望ましいから、ゲートの開口形状や大きさは、これらの相反する要求の適当な妥協点で決めるしかない。
従って、上述したように、レンズ形状に応じたゲート開口形状を有するゲート駒部材を用意しておくとしても、それらのゲート開口形状は、相反する要求の適当な妥協点で決めなければならないから、相反する2つの要求を同時に満足させることはできないうえ、それらの要求をできるだけ満足させるためにはゲート開口形状の複雑化を招き、製造コストの上昇につながる。
【0008】
本発明の目的は、このような従来の課題を解消し、作業性を向上させることができるとともに、高度の形状精度、かつ、高品質な物品を成形することができる射出圧縮成形方法および射出圧縮成形装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゲートに求められる上記の2つの要求(キャビティへの溶融樹脂の充填時には抵抗が少ないことが望ましく、キャビティ内に溶融樹脂が充満したのちは溶融樹脂をキャビティ内に封じ込めることが望ましい)に対して、各要求の時期的なずれを利用して別個に達成できれば、上記の2つの要求を同時に満足させることができる点に着目し、溶融樹脂のキャビティ内への射出充填後にゲートの開口を閉じるようにしたものである。
【0010】
本発明の射出圧縮成形方法は、相対移動可能な一対のキャビティ形成部材を含む少なくとも1以上の眼鏡レンズ成形用キャビティおよびキャビティにゲートを介して連通する樹脂流路を内部に有する開閉可能な成形型を用い、まず、前記成形型を閉じるとともに、キャビティ内に予め設定した設定圧縮代が形成されるように一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティの大きさを設定し、ついで、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出充填し、少なくとも溶融樹脂の射出完了前の時点以降に一対のキャビティ形成部材を相対移動させながらキャビティを縮小して溶融樹脂を圧縮する射出圧縮成形方法であって、 前記キャビティ内の設定圧縮代および前記ゲートの開口空間を、キャビティ及びゲート開口空間制御手段により、成形するマイナスレンズ、プラスレンズ形状およびレンズ度数に対応して予め設定した設定値に設定し、前記溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートの開口を閉じるとともに、そのゲートの開口を閉じる動作を、前記キャビティ縮小時の一対のキャビティ形成部材の相対移動に同期して行うことを特徴とする。
【0011】
ここに、ゲートの開口を閉じるとは、溶融樹脂の射出完了後以降、好ましくは、溶融樹脂の射出完了直後に閉じられていればよく、ゲートの開口を閉じる動作の開始時点が溶融樹脂の射出完了前の時点であってもよい。
また、ゲートの開口が閉じられたときの状態は、キャビティ内に射出充填された溶融樹脂が、冷却時において、ゲートから樹脂流路へ戻るのを防ぐことができる程度のクリアランス、好ましくは、2mm以下のクリアランスがある状態のみならず、ゲートの開口が完全閉塞の状態をも含む。
また、キャビティの数は1または複数であってもよい。さらに、キャビティの種類としては、とくに問わないが、高精度かつ高品質が要求されるメニスカス形状を有する眼鏡レンズ成形用キャビティが好適である。
【0012】
このような射出圧縮成形方法によれば、溶融樹脂の射出完了後にはゲートの開口が閉じられているから、冷却時において、溶融樹脂がゲートから樹脂流路へ戻るのを防ぐことができる。従って、内部歪みの発生を抑え、高精度、高品質な物品を成形することができる。
このことは、溶融樹脂がキャビティへ流入するときのゲート開口形状については、溶融樹脂の流動性などを考慮するだけでよいから、レンズ成形の場合において、従来のように、レンズ形状に応じたゲート開口形状を有するゲート駒部材に交換する作業も必要がなく、作業性の向上が期待できる。
【0015】
また、キャビティ内の設定圧縮代およびゲートの開口空間をレンズ形状、たとえば、プラスレンズやマイナスレンズに対応して、あるいは、レンズ度数に対応して設定しても、溶融樹脂の射出完了後にはゲートの開口が閉じられているから、冷却時において、溶融樹脂のゲートから樹脂流路への戻りを防ぐことができる。従って、溶融樹脂のゲートから樹脂流路への戻りの防止を考慮することなく、キャビティ内の設定圧縮代およびゲートの開口空間をレンズ形状に対応して任意に設定できる。
たとえば、プラスレンズ成形では、「ヒケ」の発生を極力抑えられるように、ゲートの開口形状を小さく設定できる。マイナスレンズ成形では、キャビティ内の設定圧縮代およびゲートの開口空間を大きく設定できる。ちなみに、マイナスレンズ成形において、キャビティ内の設定圧縮代およびゲートの開口空間を大きく設定すると、溶融樹脂は、大きく設定されたゲートを通ってキャビティ内に流入するから、ゲートにおける樹脂の流動性が確保できる。また、キャビティ内に流入した溶融樹脂は、キャビティ内の空間が大きく設定されていることによって、分流することなくキャビティ中央部を通って周辺部へ流れ込むため、中央部におけるウエルドマークの発生を防止できる。
【0016】
以上の射出圧縮成形方法において、前記ゲートの開口空間は、前記キャビティの大きさ設定および縮小動作とは別の駆動手段によって駆動、制御してもよく、さらに、そのゲートの開口を閉じる動作は、前記駆動手段によって行われることが望ましい。
このようにすれば、ゲートの開口空間をキャビティの大きさ設定動作とは別に任意の大きさに設定することができるとともに、溶融樹脂の射出完了後にゲートの開口を閉塞することができるから、その後に、一対のキャビティ形成部材の相対移動によってキャビティ内の溶融樹脂が次第に圧縮されて、溶融樹脂にかかる圧力が高くなっても、ゲートの開口が塞がれているから、ゲートから樹脂流路へ樹脂が戻るのを確実に防止できる。
【0018】
本発明の射出圧縮成形装置は、相対移動可能な一対のキャビティ形成部材を含む少なくとも1以上のキャビティおよびキャビティにゲートを介して連通する樹脂流路を内部に有する開閉可能な成形型と、前記成形型を閉じるとともに、前記キャビティ内に予め設定した設定圧縮代が形成されるように一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティの大きさおよびゲートの開口空間を、成形するマイナスレンズ、プラスレンズ形状およびレンズ度数に対応して予め設定した設定値に設定するキャビティ及びゲート開口空間制御手段と、このキャビティ及びゲート開口空間制御手段によって設定されたキャビティ内に溶融樹脂を射出充填する射出手段と、少なくとも溶融樹脂の射出完了前の時点以降に前記キャビティが縮小するように一対のキャビティ形成部材を相対移動させるキャビティ縮小手段と、前記溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートの開口を前記キャビティ縮小時の一対のキャビティ形成部材の相対移動に同期して閉じるゲート制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
このような射出圧縮成形装置によれば、成形型を閉じるとともに、一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティの大きさを設定し、次に、このキャビティ内に溶融樹脂を射出充填したのち、少なくとも溶融樹脂の射出完了前の時点以降に一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティを縮小して溶融樹脂を圧縮する。この際、溶融樹脂の射出完了後にはゲートの開口が閉じられているから、冷却時において、溶融樹脂のゲートから流路への戻りを防ぐことができる。従って、内部歪みの発生を抑え、高精度、高品質な物品を成形することができるとともに、従来のように、レンズ形状に応じたゲート開口形状を有するゲート駒部材に交換する作業も必要もなく、作業性の向上が期待できる。
【0020】
以上の射出圧縮成形装置において、前記ゲート制御手段としては、溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートの開口を閉じることができるものであれば、いずれの構造でもよいが、前記ゲート内に突出可能なゲートシャット部材を含む構成が望ましい。
この場合、ゲートシャット部材を、一対のキャビティ形成部材のうち可動側のキャビティ形成部材側に固定すれば、キャビティ形成部材の相対移動に簡単に同期させることができる。このことは、キャビティ形成部材の相対移動によってゲートシャット部材もゲート内に突出し、また、ゲート内から後退するから、キャビティ設定手段によって一対のキャビティ形成部材が相対移動されたとき、ゲートの開口形状が決定される。従って、そのときのゲート内に突出するゲートシャット部材の突出量を決めれば、溶融樹脂のキャビティ内への流入時におけるゲートの開口形状を任意に設定できる。
【0021】
あるいは、ゲートシャット部材を、一対のキャビティ形成部材のうち可動側のキャビティ形成部材側にその可動方向へ移動可能に設けるとともに、このゲートシャット部材を可動側のキャビティ形成部材とは独立的に移動させる駆動手段を設けるようにしてもよい。
このようにすれば、上述したように、溶融樹脂の射出完了後にゲートの開口を閉塞することができるから、その後に、一対のキャビティ形成部材の相対移動によって溶融樹脂が圧縮されて、溶融樹脂にかかる圧力が高くなっても、ゲートの開口が塞がれているから、ゲートから樹脂流路へ樹脂が戻るのを確実に防止できる。
【0022】
また、一対のキャビティ形成部材は、ゲートとは独立して成形型内に配置された眼鏡レンズ成型用オプティカルインサートで、眼鏡レンズの度数により交換可能になっていることが望ましい。
このようにすれば、眼鏡レンズの度数により眼鏡レンズ成型用オプティカルインサートを交換することができるとともに、インサートを交換してもゲートおよびゲートシャット部材はそのままであるから、インサートを交換する毎に、ゲートシャット部材を交換しなくてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は本発明にかかる射出圧縮成形方法を眼鏡レンズ(メニスカス形状の眼鏡レンズ:単焦点、多焦点、累進多焦点)の射出圧縮成形装置に適用したもので、図1に本実施形態の全体構成が示されている。なお、ここで成形される眼鏡レンズの材料は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)やPC(ポリカーボネート)などの熱可塑性樹脂である。また、本実施形態では、脈理、光学歪みなどを防ぐために、低圧出力の射出を用いている。
【0024】
本実施形態の射出圧縮成形装置は、射出成形型50を有する型締装置60と、原料樹脂を可塑化する可塑化装置70と、この可塑化装置70によって可塑化された溶融樹脂を計量して前記射出成形型50内に射出充填する射出手段としての射出装置80と、前記射出成形型50の温度を予め設定された温度に制御する金型温度調整装置51とから構成されている。
【0025】
前記型締装置60は、固定ダイプレート61と、この固定ダイプレート61に複数本のタイバー62を介して固定されかつ型締めシリンダ63を搭載したシリンダ固定プレート64と、前記タイバー62に沿って昇降自在に設けられ前記型締めシリンダ63のピストンロッド65に連結された可動ダイプレート66とから構成されている。固定ダイプレート61には、可動ダイプレート66を型締めシリンダ63の型締め力に抗して押し上げる油圧補助シリンダ67が設けられている。なお、固定ダイプレート61と可動ダイプレート66との間には前記射出成形型50が取り付けられている。なお、これらの型締装置60や油圧補助シリンダ67を含んで、キャビティ設定手段およびキャビティ縮小手段が構成されている。
【0026】
前記可塑化装置70は、ホッパ71から投入された原料樹脂をスクリュ72で送りながらヒータ73で可塑化・混練する可塑化シリンダ74によって構成されている。なお、スクリュ72は油圧モータ75によって回転される。
前記射出装置80は、内部にプランジャ81を有する射出シリンダ82と、この射出シリンダ82のプランジャ81を摺動(上下動)させる油圧シリンダ83とから構成されている。射出シリンダ82の先端(上端)には、射出ノズル85が取り付けられている。また、射出シリンダ82の外周上部位置には、バンドヒータ86が巻かれている。
【0027】
前記金型温度調整装置51は、前記射出成形型50に温調流体(加熱流体および冷却流体)を供給する温調流体供給装置52と、この温調流体供給装置52から成形型50の各部に供給される温調流体の温度を温調流体供給装置52に指令する制御装置53とから構成されている。制御装置53には、予め成形するレンズの種類に応じて複数種の金型温度制御曲線が記憶されている。これにより、いずれかの金型温度制御曲線が指定されると、指定された金型温度制御曲線に従って温調流体供給装置52から成形型50の各部(後述するインサートガイド部材5,9、上型インサート11、下型インサート12など)に供給される温調流体の温度が制御されるようになっている。
【0028】
図2は前記射出成形型50の断面図、図3は図2の III−III 線断面図、図4は図2のIV−IV線断面図である。同射出成形型50は、図2に示すように、パーティングラインPLにおいて上下に型分割される上型(可動型)1と下型(固定型)2とを備える。これらの間には、2個の眼鏡レンズ成形用キャビティ3と、この各眼鏡レンズ成形用キャビティ3にゲートGを介して連結されこれらキャビティ3を結ぶランナ49とが形成されている。ランナ49に対してはスプルーブッシュ47によって形成されるスプルー48が直角に形成されているとともに、これらに対して把手部46(図4参照)が直角に形成されている。ここに、2個の眼鏡レンズ成形用キャビティ3、ランナ49、スプルー48および把手部46を有するモールド構成体45が形成されている。なお、ランナ49およびスプルー48は、射出成形型50内の樹脂流路を形成している。
【0029】
前記上型1の型本体4は、インサートガイド部材5および型板6,7からなる。下型2の型本体8は、インサートガイド部材9および型板10からなる。各インサートガイド部材5,9の内部には、前記キャビティ3を形成するキャビティ形成部材としての眼鏡レンズ成形用オプティカルインサート11,12がパーティングラインPLに対して直角方向へ摺動可能に収納されている。なお、インサートガイド部材5,9およびインサート11,12などには、図示していないが、前記温調流体供給装置52から供給される温調流体を循環させる温調流体循環溝が形成されている。
前記下型2の型本体8は、前記固定ダイプレート61上に固定された型取付部材15に固定されている。前記上型1の型本体4は、上部材16Aと下部材16Bとからなる型取付部材16に図3に示すボルト17で連結されているとともに、型本体4と型取付部材16との間にはボルト17の外周に挿入された皿ばね17Aが介装されている。型取付部材16は、前記可動ダイプレート66に固定され、型締めシリンダ63の下向き型締め力と、油圧補助シリンダ67の上向き押し上げ力とが作用するようになっている。
【0030】
前記型本体4と型取付部材16との間には、隙間Sが設けられるようになっており、型本体4と型取付部材16とはガイドピン18でガイドされながら隙間S分だけ上下に開閉するようになっている。すなわち、型閉じ後に可動ダイプレート66の下降により、所定の隙間Sが形成され、圧縮時の型締めシリンダ63の下向き型締め力によって、可動ダイプレート66を介して型取付部材16が押し下げられることにより、隙間Sが閉じられる。
【0031】
前記型取付部材16には、下向きの油圧シリンダ19が上下動自在に設けられている。油圧シリンダ19のピストン20に連結されたピストンロッド21は、シリンダ19の下面に固定されたバックインサート22内を貫通し、その先端にT字クランプ部材23を備えている。T字クランプ部材23は、前記インサート11の上端面に形成されたT字溝24に係脱自在に係合されている。これにより、インサート11が交換可能になっている。
前記型取付部材15には、上向きの油圧シリンダ26が設けられている。油圧シリンダ26のピストン27に連結されたピストンロッド28は、型取付部材15内を貫通し、その先端にT字クランプ部材29を備えている。T字クランプ部材29は、前記インサート12の下端面に形成されたT字溝30に係脱自在に係合されている。これにより、インサート12が交換可能になっている。
【0032】
前記油圧シリンダ19の上端には受圧部材32が固定されている。型取付部材16に形成された孔33から挿入されたエジェクトロッド34により受圧部材32が押し下げられると、油圧シリンダ19、バックインサート22およびインサート11も押し下げられ、キャビティ3で成形されたレンズが上型1および下型2の型分割時に突き出されるようになっている。
前記上型1および型取付部材16の中央には、エジェクトピン35が上下動自在に配置されている。エジェクトピン35の上端には、上限位置から一定ストロークで下降可能な受圧部材36が固定されている。型取付部材16に形成された孔37から挿入されたエジェクトロッド38により受圧部材36が押し下げられると、エジェクトピン35が押し下げられる。
【0033】
なお、受圧部材32には、エジェクトリターンピン39の外周に巻回されたばね40のばね力が上向きに作用している。また、受圧部材36にも、図4に示すように、エジェクトリターンピン41の外周に巻回されたばね42のばね力が上向きに作用しており、さらに、その受圧部材36が所定の位置に位置決めされている。従って、エジェクトロッド34,38が上昇すると、受圧部材32,36も上昇して旧位に復帰するようになっている。
【0034】
図5はノズルシャット機構90を示している。同ノズルシャット機構90は、遮断部材としてのノズルシャットピン91を備えている。ノズルシャットピン91は、前記スプルーブッシュ47の側壁にそのスプルーブッシュ47の中心線とほぼ垂直方向に進退可能に嵌挿され、その後端が接続片92を介して油圧シリンダ93のピストンロッド94に連結されている。油圧シリンダ93は、シリンダ取付板95を介して前記型取付部材15に固定されている。スプルーブッシュ47に射出ノズル85が圧接した状態において、ノズルシャットピン91がスライドして射出ノズル85の先端開口部を塞ぐことにより、樹脂の逆流が阻止されるようになっている。このとき、図6および図7に示すように、ノズルシャットピン91の先端面91Aおよび先端部側面91Bは、スプルーブッシュ47(スプルー48)の内壁に接しないようになっている。
【0035】
図8はゲートシャット機構110を示している。同ゲートシャット機構110は、溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートGの開口形状を閉じるゲート制御手段を構成するもので、前記ゲートG内に出没可能なゲートシャット部材としてのゲートシャットピン111を含んで構成されている。ゲートシャットピン111は、上端部112がバックインサート22とシリンダ19との間に挟持された状態で固定され、下端が前記前記インサートガイド部材5を貫通して前記ゲートG内に突出可能に配置され、かつ、下端の突出端部にそのゲートGからキャビティ3へ向かうに従って次第に下方へ傾斜した斜面113を有する。
なお、図9は図8の状態から溶融樹脂を1ショット射出量の約90%射出したときの状態を示す図、図10は図9の状態からキャビティを縮小したときの状態を示す図である。また、プラスレンズ成形では、図8に対応する状態が図11、図10に対応する状態が図12である。
【0036】
図13は、主として、キャビティおよびゲートを所定の大きさに設定する制御手段およびキャビティおよびゲートを縮小するための制御手段の主要構成を示している。同図において、制御装置140は、中央処理装置(CPU)141を備える。CPU141には、射出圧縮成形装置全体を制御するための制御プログラムを記憶したROM142、パラメータ条件などを記憶するための不揮発性メモリ143、条件などを一時的に記憶するRAM144および各種インターフェース145,146,147,148がそれぞれ接続されている。
【0037】
その他インターフェース145には、CRT/操作盤151と、運転モード切換スイッチなどを配置した本体操作盤152と、射出速度、金型温度、キャビティの寸開き量などの成形条件を記憶した外部記憶装置153とがそれぞれ接続されている。CRT/操作盤151において、キャビティおよびゲートの設定値や、キャビティおよびゲートの縮小条件値を入力すると、これらはRAM144、不揮発性メモリ143、あるいは、外部記憶装置153に記憶される。既設定値や条件値が外部記憶装置153や通信(後述するLAN150による)によって用意されている場合には、これをRAM144や不揮発性メモリ143にロードすることができる。
通信インターフェース146にはLAN150が接続され、これにより、ネットワークを介して制御可能になっている。
【0038】
バルブ機構インターフェース147には、公知の電気−油圧変換式サーボバルブおよび圧力制御バルブを有するバルブ機構Aを介して前記型締シリンダ63が、また、パルスに同期してステップ状に油を吐出するバルブ機構Bを介して前記油圧補助シリンダ67が、さらに、電気−油圧変換式サーボバルブを有するバルブ機構Cを介して前記油圧シリンダ83がそれぞれ接続されている。
センサインターフェース148には、可動ダイプレート66の位置を検出する位置センサ、射出シリンダ82内のプランジャ81位置を検出する位置センサなどの位置センサのほか、圧力センサ、温度センサなどの各種センサ157が接続されている。
【0039】
ここで、CPU141の機能を簡単に説明しておく。
CPU141は、バルブ機構インターフェース147を介してバルブ機構Aおよびバルブ機構Bを動作させ、型締シリンダ63および油圧補助シリンダ67に油を供給して、ピストンを作動させる。そのとき、CPU141は、可動ダイプレート66の位置を検出する位置センサからの現在値信号を監視しながら、これがRAM144や不揮発性メモリ143に記憶されているキャビティおよびゲートの設定値に達したことを検知すると、直ちにバルブ機構Bの流路を遮断する。これにより、可動ダイプレート66が停止されることにより、キャビティ3およびゲートGが所定の大きさに設定される。
【0040】
キャビティ3およびゲートGが所定の大きさに設定されたのち、CPU141は、バルブ機構インターフェース147およびバルブ機構Cを介して油圧シリンダ83を駆動させる。すると、溶融樹脂が、スプルー48、ランナ49、ゲートGを通ってキャビティ3内に射出充填されていく。この間、CPU141は、センサインターフェース148を介して入力される位置センサからの信号(射出シリンダ82内のプランジャ81の位置信号)を監視し、これがRAM144や不揮発性メモリ143に記憶されているキャビティ3およびゲートGの縮小条件値に達したことを検知すると、直ちにバルブ機構Bの流路の遮断を解除する。これにより、バルブ機構Aおよびバルブ機構Bの動作により、型締シリンダ63が前進する。型締シリンダ63の前進によりキャビティ3およびゲートGが縮小され、キャビティ3内の溶融樹脂が圧縮される。
【0041】
次に、本実施形態における作用を説明する。
まず、成形しようとするレンズの種類に応じて、インサート11,12を交換する。インサート11,12の交換にあたっては、型取付部材16を含む上型1を上昇させて、下型2から型分割させる。また、油圧シリンダ19のピストンロッド21を下降させるとともに、油圧シリンダ26のピストンロッド28を上昇させ、これらピストンロッド21,28の先端に取り付けられたT字クランプ部材23,29をインサートガイド部材5,9から突出させる(図14参照)。
【0042】
新たに上型1および下型2の型本体4,8に装着されるインサート11,12を、図示しないロボットのアームで保持しながら水平移送させ、インサート11,12のT字溝24,30をT字クランプ部材23,29に係合させる。こののち、油圧シリンダ19のピストンロッド21を上昇させてインサート11を引き上げ、また、油圧シリンダ26のピストンロッド28を下降させてインサート12を引き下げる。これにより、インサート11,12はインサートガイド部材5,9に嵌合される。
このようにして、プラスレンズ成形の場合には、中心肉厚が周辺部より厚いキャビティ3を有するインサートに、また、マイナスレンズ成形の場合には、中心肉厚が周辺部より薄いキャビティ3を有するインサートにそれぞれ交換する。
【0043】
さて、メニスカス形状を有する眼鏡レンズの成形にあたっては、図15のフローチャートに示す手順で行う。
まず、可塑化装置70によって可塑化された溶融樹脂を射出装置80の射出シリンダ82内に導入して計量する(計量工程)。ここでは、2個のレンズ成形用キャビティ3、ランナ49、スプルー48および把手部46を有するモールド構成体45に必要な量の溶融樹脂を計量する。
【0044】
次に、成形型50を型閉じする。つまり、型締めシリンダ63によって上型1を下降させ、上型1の型板6が下型2の型板10に接し、かつ、皿ばね17Aが圧縮されない状態に型閉じする(図2、図3および図4に示す状態に型閉じする)。この状態では、隙間Sは最大寸開き量(約15mm)に設定されている。
【0045】
次に、寸開き量(圧縮代)をレンズ形状に応じて設定する。このとき、プラスレンズ成形では0.8mm以下の寸開き量を、マイナスレンズ成形では0.8mmより大きい寸開き量を設定する。とくに、マイナスレンズ成形の場合には、レンズ度数が強くなるほど寸開き量を大きく設定した方がウエルドライン対策として好ましい。また、レンズ度数毎に設定しなくてもよく、ある一定度数範囲単位でも設定可能である。
まず、プラスレンズ成形の場合には、型締めシリンダ63の駆動により型取付部材16をさらに下降させ(このとき、皿ばね17Aが圧縮される)、隙間Sを完全になくした後、補助シリンダ67の駆動により型取付部材16を型締めシリンダ63の型締め力に抗して前記寸開き量だけ上昇させて寸開き量を設定する。一方、マイナスレンズ成形の場合には、型締めシリンダ63の駆動により型取付部材16を前記寸開き量を残した位置まで下降させ(このとき、皿ばね17Aが圧縮される)、その位置で停止させて、寸開き量を設定する。
すると、たとえば、マイナスレンズ成形の場合には図8の状態になり、プラスレンズ成形の場合には図11の状態になる。各々の状態では、ノズルシャットピン91が進出しており、射出ノズル85は閉塞されている。
【0046】
次に、成形型50を設定温度にする。これには、温調流体供給装置52から成形型50の各部(インサートガイド部材5,9、上型インサート11、下型インサート12など)に温度調整された温調流体を供給して成形型50を設定温度にヒートアップする。
【0047】
次に、射出ノズル85を開く。つまり、ノズルシャット機構90のノズルシャットピン91をスプルー48内から後退させる。これにより、ノズルシャットピン91によって塞がれていた射出ノズル85の樹脂通路が開かれる。
【0048】
次に、前記計量工程によって計量された溶融樹脂を射出ノズル85の通路を通じて前記モールド構成体45に射出する。つまり、射出装置80の射出シリンダ82内に導入して計量した溶融樹脂をプランジャ81の上昇により射出する。すると、マイナスレンズ成形の場合には、図9に示すように、溶融樹脂が射出ノズル85、スプルーブッシュ47のスプルー48、ランナ49およびゲートGを通じてキャビティ3内に充填されていく。このとき、ゲートシャットピン111の下端がゲートG内にあまり突出していないから、つまり、ゲートGの開口が十分に確保されているから、樹脂の流動が阻害されることがない。
【0049】
ここで、プラスレンズ成形の場合には、溶融樹脂の射出充填完了後、ノズルシャット機構90によって射出ノズル85を閉じ、つまり、ノズルシャットピン91をスプルー48内に突出させて射出ノズル85の通路先端を閉じたのち、型締めシリンダ63を駆動(下降)させる。
一方、マイナスレンズ成形の場合には、溶融樹脂の射出充填完了直前に型締めシリンダ63の駆動を開始、具体的には、射出すべき溶融樹脂の約90〜95%が射出されたとき、型締めシリンダ63の駆動(下降)を開始し、全ての溶融樹脂の射出完了後にノズルシャット機構90によって射出ノズル85を閉じる。
【0050】
ここで、型締めシリンダ63が駆動(下降)すると、可動ダイプレート66を介して型取付部材16が押し下げられることにより、インサート11がインサート12に向かって下降し、これによりキャビティ3の容積が次第に縮小されていく。これと同時に、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出し、ゲートGの開口を次第に閉じていく。
このとき、プラスレンズ成形の場合には、溶融樹脂の射出充填完了後に、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出することになるから、溶融樹脂のキャビティ3内の流入がゲートGで阻害されることがない。一方、マイナスレンズ成形の場合には、溶融樹脂の射出充填完了直前に、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出することになるが、その突出時点が溶融樹脂の約90〜95%射出後で、しかも、この時点ではゲートGの開口がゲートシャットピン111によって僅か閉じられた状態であるから、いずれにしても、溶融樹脂のキャビティ3内の流入が阻害されることがない。
【0051】
やがて、型締めシリンダ63の駆動(下降)が最終位置(寸開き量が0の位置も含む)に達すると、マイナスレンズ成形の場合には、図10に示すように、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出し、ゲートGの開口を略閉じた状態とする。このとき、ゲートGの開口寸法、具体的には、ゲートシャットピン111の下端とゲートGの下壁とのクリアランスが、2mm以下に設定される。これにより、キャビティ3内に充填された溶融樹脂が、冷却時において、ゲートGからランナ49へ戻されるのが防止される。
プラスレンズ成形の場合でも、図12に示すように、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出し、ゲートGの開口を略閉じた状態とする。
【0052】
このようにして、キャビティ3内に充填された溶融樹脂がゲートGからランナ49へ戻されるのが防止された状態において、溶融樹脂を加圧圧縮している間に、成形型50を冷却し、熱可塑性樹脂を凝固させる。
最後に、図16に示すように、型開きしたのち、凝固したものをエジェクトすると、図17に示す成形品101が得られる。この成形品101は、前記2個のレンズ成形用キャビティ3によって成形された眼鏡レンズ102と、前記ランナ49によって成形され前記2個の眼鏡レンズ102を連結する連結部103と、前記スプルー48によって成形され前記連結部103の中央部から直角にかつレンズ102の厚み方向へ延びる棒状部104と、前記把手部46によって成形され前記連結部103および棒状部104に対して直角に延びる把手105とから形成されている。
【0053】
この後、成形品101は、図18に示す浸漬作業具130の摘み部材133に把手105が保持された状態で、耐摩耗性ハードコート液にレンズ102部分が浸漬される。従って、成形品101のレンズ102部分を耐摩耗性ハードコート液などに浸漬処理する際に、把手105を持って浸漬処理できるから、浸漬処理を容易にできる。
一定時間浸漬されたのち、レンズ102と連結部103とがカッタ装置により切り離される。これにより、1個の成形品101からハードコート液によるコーティング膜で被覆された2個の眼鏡レンズ102を同時に得ることができる。
【0054】
従って、本実施形態によれば、ゲートシャットピン111をインサート11の動作に同期してゲートG内に突出可能に設けたので、プラスレンズ成形にあっては、キャビティ3内への溶融樹脂の射出完了後に、また、マイナスレンズ成形にあっては、射出すべき溶融樹脂の約90〜95%が射出され後に、インサート11がインサート12に向かって移動しながら溶融樹脂を圧縮するとき、ゲートシャットピン111がゲートG内に突出してゲートGの開口を次第に閉じていくので、キャビティ3内の溶融樹脂がゲートGからランナ49へ戻されるのを防止できる。そのため、内部歪みの発生を抑えることができるから、高精度、高品質な眼鏡レンズを得ることができる。
しかも、寸開き量の設定時には、ゲートシャットピン111は、ゲートG内にさほど突出していないから、溶融樹脂に対する流動抵抗が小さく、溶融樹脂の流動性を確保できる。よって、プラスレンズ成形やマイナスレンズ成形によってゲート駒部材を交換する必要もない。
【0055】
なお、上述した実施形態では、ゲートシャットピン111の上端部112をバックインサート22とシリンダ19との間に挟持した状態で固定し、インサート11の下降動に同期して、ゲートシャットピン111の下端をゲートG内に突出させ、ゲートGの開口を次第に閉じるようにしたが、ゲートGの開口を閉じる動作をインサート11の下降動とは別の駆動手段を備えたゲートシャット機構によって行ってもよい。
たとえば、図19に示すようなゲートシャット機構110Aでもよい。これは、インサート11とともに上下動するバックインサート22に摺動穴121を形成し、この摺動穴121内にゲートシャットピン111の上端部112を移動可能(上下方向へ移動可能)に設けるとともに、この上端部112を上方へ付勢するスプリング122を収納し、このゲートシャットピン111の上端部112の上方部材(シリンダ)19に圧力流体を上端部112へ向かって噴出する流体流路123を形成し、この流体流路123への圧力流体の供給によってゲートシャットピン111の上下動をインサート11の動作とは独立的に行うようにした構造である。ここに、摺動穴121、スプリング122および流体流路123によって、ゲートシャットピン111をインサート11とは独立的に移動させる駆動手段124が構成されている。
【0056】
このようにすれば、ゲートシャットピン111の上下動をインサート11の動作とは独立的に行うことができるから、たとえば、溶融樹脂の射出完了後にゲートシャットピン111をゲートG内に突出させてゲートGの開口を閉塞することができる。従って、その後に、インサート11の下降によって溶融樹脂が圧縮されて、溶融樹脂にかかる圧力が高くなっても、ゲートGの開口が塞がれているから、ゲートGからランナ49へ樹脂が戻るのを確実に防止できる。
【0057】
また、図20に示すようなゲートシャット機構110Bでもよい。これは、図21に示すように、ゲートシャットピン111の下端部に前記斜面113とは反対側側面に、キャビティ3の外周面に一致した凹円弧面114を有する膨出部115が形成された構成である。これにより、ゲートシャットピン111がゲートGを完全に閉じると、キャビティ3で成形されたレンズ102はゲートGおよびランナ49から完全に分離される。つまり、図22に示すようなレンズ102が得られる。この成型法によれば、レンズ102からランナ49を切断するなどの後加工が不要になる利点がある。
【0058】
以上の実施形態では、モールド構成体45は2個のレンズ成形用キャビティ3を含んでいたが、1個のみのレンズ成形用キャビティでもよく、あるいは、3個以上のレンズ成形用キャビティを含んだものでもよい。
また、モールド構成体45は、把手部46を含んでいたが、把手部46がないものでもよい。
【0059】
また、成形時の圧縮代を、型本体4と型取付部材16との間に形成した寸開き量により設定するようにしたが、他の成形型を用いてもよい。たとえば、キャビティ3内に突出するキャビティコアを設け、このキャビティコアの位置から圧縮代を設定したのち、キャビティコアをキャビティ3内に突出させることにより圧縮するようにした構造の金型を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、マイナスレンズ成形時において、溶融樹脂を約90〜95%射出した時点で寸開き量の圧縮を開始するようにしたが、このときの%もキャビティ3の容積、樹脂の種類、レンズの特性などに応じて任意に決定すればよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、眼鏡レンズの射出圧縮成形装置について説明したが、必ずしも眼鏡レンズに限られるものでなく、他のレンズ一般、さらには、レンズに限らずディスクなどの成形にも利用できる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の射出圧縮成形方法および射出圧縮成形装置によれば、作業性を向上させることができるとともに、高度の形状精度で、かつ、高品質な物品を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の方法を適用した射出圧縮成形装置を示す図である。
【図2】同上実施形態の射出成形用金型を示す断面図である。
【図3】図2の III−III 線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】同上実施形態のノズルシャット機構を示す拡大断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】同上実施形態において、マイナスレンズ成形時の状態を示す拡大断面図である。
【図9】図8の状態において、溶融樹脂を射出充填した状態を示す拡大断面図である。
【図10】図9の状態から溶融樹脂を圧縮した状態を示す拡大断面図である。
【図11】同上実施形態において、プラススレンズ成形時の状態を示す拡大断面図である。
【図12】図11の状態から、溶融樹脂を射出充填したのち、圧縮した状態を示す拡大断面図である。
【図13】同上実施形態におけるキャビティおよびゲートの設定、縮小を主に行う機能を示すブロック図である。
【図14】同上実施形態においてインサート交換時の状態を示す図である。
【図15】同上実施形態においてレンズ成形の手順を示すフローチャートである。
【図16】同上実施形態において型開き時の状態を示す図である。
【図17】同上実施形態で得られる成形品を示す斜視図である。
【図18】同上実施形態で得られる成形品のコーティング処理の様子を示す図である。
【図19】ゲートシャット機構の他の例を示す拡大断面図である。
【図20】ゲートシャット機構のさらに異なる他の例を示す拡大断面図である。
【図21】図20で用いたゲートシャットピンを示す斜視図である。
【図22】図20,21によって成形されたレンズの斜視図である。
【符号の説明】
3 眼鏡レンズ成形用キャビティ
11 上型インサート(レンズ凹面成形用キャビティ形成部材)
12 下型インサート(レンズ凸面成形用キャビティ形成部材)
22 バックインサート
45 モールド構成体
48 スプルー(樹脂流路)
49 ランナ(樹脂流路)
50 射出成形型
60 型締装置(キャビティ設定手段、キャビティ縮小手段)
67 補助シリンダ(キャビティ設定手段、キャビティ縮小手段)
80 射出装置(射出手段)
110,110A,110B ゲートシャット機構(ゲート制御手段)
111,111B ゲートシャットピン(ゲートシャット部材)
124 駆動手段
Claims (7)
- 相対移動可能な一対のキャビティ形成部材を含む少なくとも1以上のキャビティおよびキャビティにゲートを介して連通する樹脂流路を内部に有する開閉可能な成形型と、
前記成形型を閉じるとともに、前記キャビティ内に予め設定した設定圧縮代が形成されるように一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティの大きさおよびゲートの開口空間を、成形するマイナスレンズ、プラスレンズ形状およびレンズ度数に対応して予め設定した設定値に設定するキャビティ及びゲート開口空間制御手段と、
このキャビティ及びゲート開口空間制御手段によって設定されたキャビティ内に溶融樹脂を射出充填する射出手段と、
少なくとも溶融樹脂の射出完了前の時点以降に前記キャビティが縮小するように一対のキャビティ形成部材を相対移動させるキャビティ縮小手段と、
前記溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートの開口を前記キャビティ縮小時の一対のキャビティ形成部材の相対移動に同期して閉じるゲート制御手段とを備えたことを特徴とする射出圧縮成形装置。 - 請求項1に記載の射出圧縮成形装置において、
前記ゲート制御手段は、前記ゲート内に突出可能なゲートシャット部材を含んで構成され、前記ゲートシャット部材は、前記一対のキャビティ形成部材のうち可動側のキャビティ形成部材側に固定されていることを特徴とする射出圧縮成形装置。 - 請求項1に記載の射出圧縮成形装置において、
前記ゲート制御手段は、前記ゲート内に突出可能なゲートシャット部材を含んで構成され、前記ゲートシャット部材は、前記一対のキャビティ形成部材のうち可動側のキャビティ形成部材側にその可動方向へ移動可能に設けられているとともに、このゲートシャット部材を可動側のキャビティ形成部材とは独立的に移動させる駆動手段が設けられていることを特徴とする射出圧縮成形装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の射出圧縮成形装置において、
前記一対のキャビティ形成部材は、前記ゲートとは独立して成形型内に配置された眼鏡レンズ成形用オプティカルインサートで、成形する眼鏡レンズの度数により交換可能になっていることを特徴とする射出圧縮成形装置。 - 相対移動可能な一対のキャビティ形成部材を含む少なくとも1以上の眼鏡レンズ成形用キャビティおよびキャビティにゲートを介して連通する樹脂流路を内部に有する開閉可能な成形型を用い、まず、前記成形型を閉じるとともに、キャビティ内に予め設定した設定圧縮代が形成されるように一対のキャビティ形成部材を相対移動させてキャビティの大きさを設定し、ついで、前記キャビティ内に溶融樹脂を射出充填し、少なくとも溶融樹脂の射出完了前の時点以降に一対のキャビティ形成部材を相対移動させながらキャビティを縮小して溶融樹脂を圧縮する射出圧縮成形方法であって、
前記キャビティ内の設定圧縮代および前記ゲートの開口空間を、キャビティ及びゲート開口空間制御手段により、成形するマイナスレンズ、プラスレンズ形状およびレンズ度数に対応して予め設定した設定値に設定し、
前記溶融樹脂の射出完了後に前記ゲートの開口を閉じるとともに、
そのゲートの開口を閉じる動作を、前記キャビティ縮小時の一対のキャビティ形成部材の相対移動に同期して行うことを特徴とする射出圧縮成形方法。 - 請求項5に記載の射出圧縮成形方法において、
前記キャビティは、メニスカス形状を有する眼鏡レンズ成形用キャビティであることを特徴とする射出圧縮成形方法。 - 請求項5または請求項6に記載の射出圧縮成形方法において、
前記ゲートの開口空間は、前記キャビティの大きさ設定および縮小動作とは別の駆動手段によって駆動、制御され、さらに、そのゲートの開口を閉じる動作は、前記駆動手段によって行われることを特徴とする射出圧縮成形方法。
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