JP3872406B2 - 発電プラントの負荷制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は火力発電プラントの負荷制御に係わり、特にガスタービンの燃料流量を調節して負荷制御を行うプラントの調速負荷制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電プラントは中央給電所からの発電指令値に応じて、発電設備であるガスタービンの燃料流量を制御、あるいは蒸気タービンの蒸気流量を制御する。この場合、系統周波数(東日本で50Hz、西日本で60Hz)を安定させるため、調定率と言われる系統寄与率に応じて、速度信号による発電量の調整を行い系統周波数を安定させる。すなわち、系統の総負荷量の変動に応じて変動する系統周波数の情報から、例えばガスタービンの燃焼器に供給する燃料流量を系統寄与率に基づいて制御し、系統周波数を安定させる。これは、調速負荷制御あるいはガバナフリー制御と呼ばれている。
【0003】
例えば、調定率5%の発電設備で100%速度が50Hzであるとき、5%の速度である2.5Hz当りの発電定格出力100%分の燃料を、元の燃料流量指令値に上乗せして調速負荷制御を行う。実際の系統周波数は定格近辺では相対的に安定しているので、周波数変動1%以下となるのが普通である。
【0004】
図10に示すように、調速負荷制御における系統周波数と燃料流量の関係は、仮に1%の周波数変動があると、上記のように5%当り100%負荷調整となるため、1%に対しては定格の20%の燃料流量を元の指令値に加/減することになる。また、調速負荷制御の機能は系統周波数の安定化と共に、系統事故等によりタービンの回転数が急上昇した場合に燃料を絞り込むので、タービンあるいは発電機の過速度防止の働きも持っている。調定率5%のプラントの場合、5%に対して100%負荷分の燃料流量を回転速度に応じて操作するため、過速度が105%になった時点で、瞬時に負荷出力指令は0%となり、逆に105%を超える軸速度となった時点で、出力的には負の値、つまり回転数にブレーキをかける働きとなる。
【0005】
一方、ガスタービン発電プラントは燃料と圧縮空気を燃焼器に供給し、その燃焼ガスによってガスタービンを駆動する。このとき調速負荷制御を行なうと、系統周波数のわずかな変動に対して上述のように高ゲインの燃料流量調節を行う。高ゲインによる燃料指令値の変化が急激ないし頻繁になると、燃焼器の燃空比が急変して燃焼不安定となり失火や逆火の原因となる。また、燃料の供給量が増大して上限値を超える温度上昇や熱応力が発生すると、ガスタービンの熱ストレスが増大し、蓄積される。この熱ストレスは燃焼器やタービンブレードなど、機械設備の劣化の主要因となり、設備の寿命が短くなる。
【0006】
この対策として、例えば特開平8−218897号では、ガスタービンの排ガス温度に上限値を設定するとともに調速負荷制御の燃料供給指令にゲタをはかせて、この上限値との温度差が零に近づくと温度負荷制御を優先し、ガスタービンの負荷一定制御を行なう。これにより、過大な熱ストレスを抑制するガスタービン制御方式を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の火力発電プラントにおけるガスタービン制御は、上述した調速負荷制御や温度負荷制御の外に起動制御、停止制御、加速度制限制御、ロードリミッタなどの制御出力を組み合わせ、運転パターンやプラント状態に応じて低値となる制御信号を選択して負荷制御を行なっている。
【0008】
しかしながら、ガスタービンの定格負荷近傍の運転では燃焼ガス温度が上限値に近づくため、引用例のような制御方式では温度負荷制御が選択されて調速負荷制御が機能しないため、系統の発電計画に基づいて設定されている調停率を事実上維持できなくなる。一方、温度負荷制御が選択されない部分負荷運転時にはガバナフリーとなるが、その制御指令の変化による燃焼不安定を解消することができず、特に低Nox燃焼器のような燃空比制御の難しい設備では問題が多い。なお、上述の熱ストレスの発生は特にタービンブレードに集中し、蒸気流量の変動による蒸気タービンの場合にも同様な問題がある。
【0009】
このように、従来の火力発電プラントでは熱応力による寿命低下や燃焼不安定を重視して温度負荷制御を行なうと、系統の負荷変動に起因する周波数変動を押さえることができない。一方、系統が不安定な場合に系統の調停率を維持しようとする調速負荷制御を行なうと、系統側が不安定な場合は負荷指令の変動も大きくなるため、熱ストレスや燃焼不安定を増大させてしまうというように、相反する問題点を抱えている。
【0010】
本発明の目的は、上記した従来の技術の問題点を克服し、調速負荷制御による系統寄与を維持しつつ設備の長寿命化、燃焼の安定化を可能にする火力発電プラントの負荷制御方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、軸結されたタービンと発電機を持つ発電プラントに対し、系統周波数の変動に応じて中給から指示される発電指令値(MW指令)、発電電力や軸速度の計測値及び所定の調停率(系統寄与率)とから調速負荷制御信号を求めて、系統周波数を安定化するようにタービンの負荷制御を行なう発電プラントの負荷制御方法において、前記調速負荷制御信号にその変化を制限する負荷制限関数を乗じて求めた操作指令値により、前記タービンの負荷制御を行なうことを特徴とする。
【0012】
前記タービンが燃焼器を具備するガスタービンの場合、前記操作指令値は燃料供給量であり、前記負荷制限関数はガスタービンの熱応力及び不安定燃焼の少なくとも一方を抑制するように設定する。また、前記タービンが蒸気タービンの場合、前記操作指令値は蒸気供給量であり、前記負荷制限関数は蒸気タービンの熱応力を抑制するように設定する。
【0013】
また、前記負荷制限関数は、系統寄与率に対して機械的イナーシャーなどから実効的に定まる有効寄与率に応じて設定する。そして、有効寄与率と熱応力の限界値あるいは燃焼安定度の兼ね合いから、シミュレーション等により最適な制限値が設定される。
【0014】
前記負荷制限関数は、前記調速負荷制御信号の変化率を制限する係数、または前記調速負荷制御信号の信号値に応じてその変化率を可変制限する関数により設定する。あるいは、一時遅れなどの時定数によってもよい。
【0015】
さらに、本発明は定格速度の所定範囲内で定格負荷ないし部分負荷の運転を行なう通常時には、前記負荷制限関数を乗じた前記操作指令値により前記タービンの負荷制御を行なう。一方、前記軸速度が前記所定範囲の上限を超える過速度時は、前記負荷制限関数による制限をしない前の調速負荷制御信号、つまりガバナフリー制御信号を選択して前記タービンの負荷制御を行なうことを特徴とする。
【0016】
これにより、通常の定格運転またはその近傍で、定格近傍の系統周波数のときは燃料指令値の急激な変化を制限して燃焼不良や熱ストレスを回避し、軸速度(系統周波数)が過速度時(例えば、定格の110%超)は燃料供給を急速に絞り込んでプラントの過回転を抑制することができる。
【0017】
本発明の作用を原理的に説明する。火力発電プラントのガバナフリー制御信号は系統周波数の変化に高ゲインで追従してタービン負荷を制御し、系統周波数の安定化に努めている。系統の周波数変動は系統上の負荷の総量の変化分を意味し、発電設備がガスタービンの場合、燃料流量指令値の変動分は主として系統の周波数変動の値による。しかし、実測値によるとタービンなど機械設備が追従できる系統周波数の変化には限界があり、ある変化レート以上では調速負荷の働きを伸長することなく発電設備に負担をかけ、熱応力や不安定燃焼を引き起こす要因となっている。
【0018】
本発明はこの点に着目してなされたもので、調速負荷制御信号の変化を発電設備の追従可能な範囲に制限することで、タービンの熱応力や不安定燃焼の発生を抑制するとともに、定格負荷ないし部分負荷の運転で常時、ガバナフリー制御を機能させている。このガバナフリーの制限の指標の一つとして、有効寄与率がある。
【0019】
図2に、系統寄与率及び燃焼安定度と負荷制限係数の関係を示す。ガバナフリー制御信号に乗ずる負荷制限係数が0%(変化率が0)から、制限係数が100%(制限なし)まで、理論的な系統寄与率は図示の実線のように0%〜100%となる。また、燃焼の安定度は一般には変化が小さいほど安定するから、制限値が0%(負荷一定制御)で最も高く、制限値100%に向かって低下する。同様に、ストレスとなる熱応力も負荷変化が小さいほど低下する。
【0020】
仮りに、±1%の系統周波数変化が0.5%/秒の変動率で発生すると、発電設備の機械的イナーシャーなどから実際の系統寄与率は点線のように鈍化し、図示の例では制限値70%と制限値100%の有効寄与率に大差がない。つまり、ガバナフリー制御信号の変化率に制限を加えない場合も、70%制限を加えた場合も、周波数変化を安定させる機能に実質的な差がないことになる。
【0021】
したがって、変化率を70%に制限するリミッタを介して調速負荷制御信号を出力して系統寄与率を維持する一方で、変化率を70%に制限した分だけ燃焼不良や熱ストレスを抑制低減できる。この結果、運転熱特性の向上により、定格負荷ないしその近傍での調速負荷制御が可能になる。
【0022】
以上のように、本発明によればガバナフリー制御に対する簡単な追加で常時その機能を発揮させ、発電設備として系統寄与率を維持しながら(あるいは実質的に向上させながら)、設備の長寿命化や燃焼の安定化をはかることができる。
【0023】
また、上述の制限機能を付加した場合、調速負荷制御機能が持っている過速度緩和機能が低下するが、過速度時に制限機能を解除するかまたは制限機能のない従来型の調速負荷制御機能を併用することで、フェイルセーフな運転が可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図3に本発明を適用する火力発電プラントの構成を示す。本発電プラントは負荷制御の対象となる燃焼器1と圧縮器2とタービン3を持つガスタービンと、1軸に構成される発電機5からなる。LNGタンクからの燃料は燃料流量調節弁4により調節され、圧縮器2からの空気とともに燃焼器1に供給され、その燃焼ガスによってタービン3に回転トルクを発生させる。タービン3からの排気は排熱回収ボイラにより熱回収され、煙突より排気される。
【0025】
圧縮器2を介して燃焼器1に供給される空気はIGV弁6より取り込まれる。ガスタービン制御では、圧縮機2が定格速度において常に一定負荷となるため、IGV弁6も一定開度となる。一方、ガスタービン制御装置10による負荷制御信号によって燃料流量弁4を制御し、燃料供給量の制御が行なわれる。一般に、燃料流量弁の応答性はIGV弁より1桁以上も高い。また、発電機5に具備する発電電力センサ7、軸速度センサ8、タービン3に具備する排ガス温度センサ9でそれぞれ検出し、検出信号をガスタービン制御装置10に送る。
【0026】
図1に、一実施例によるガスタービン制御装置の構成を示す。ガスタービンの燃焼器1の燃料流量弁4に送られる燃料指令値10dは、調速負荷制御部100及び他の制御負荷部200の指令値に対する低値選択部(LS)300の選択により与えられる。
【0027】
他の制御部200は、起動時に有効(指令値が最小となる)となる起動制御部200−1、停止時に有効となる停止制御部200−2、速度変動が上限(110%)を越えた場合に有効となり過速度を回避させる加速制限制御部200−3、発電指令値(MW指令)が所定範囲外となったときに有効となり負荷の上下限を抑制する負荷制限制御部(ロードリミッタ)200−4、拝ガス温度が上限値を越えた場合に有効となり、燃料供給を所定量にして排ガス温度を低下させ発電設備を保護する排ガス温度制御部200−5を有し、これらは従来と同様の構成である。
【0028】
調速負荷制御部100は、中央給電司令所などから指示される発電指令値101dと発電電力センサ7からのMW値102dとの偏差を求める加算器101、正負に一定値以上の偏差値を求めるモニタリレー(MR)102、MRの出力に応じて予め設定されている一定の変化レートにより負荷設定値103dを生成するアナログメモリ(AM)103と、負荷設定値103dと発電機速度センサ8からの速度信号104dとの偏差を求める加算器104と、この偏差値に調停率(R)の逆数をかける乗算器105と、この乗算器出力に無負荷オフセット値である定格無負荷燃料指令値(FSNL)105dを加算して燃料流量指令値106dを出力する加算器106と、燃料流量指令値106dの急激な変化を抑制して調速負荷制御指令100dを出力する燃料指令制限器107から構成されている。
【0029】
上記で、アナログメモリ103に設定される変化率には負荷信号の速度成分への変換を含み、この速度成分で表わした負荷設定値103dはガバナ設定値と呼ばれる。このガバナ設定値103dと軸速度104dの偏差信号(ガバナフリー制御信号)105dを、燃料指令値へ重畳することをガバナフリー制御と呼んでいる。つまり、常に変動する負荷の総量を速度の変化として捉え、その速度変動を抑制することで系統周波数の変動を安定させる働きをする。この速度偏差に調定率Rの逆数であるガバナゲインを乗じ、調定率に応じた負荷制御を行なう。
【0030】
例えば、調定率が5%の場合、1/Rは1/0.05となる。したがって、定格に対し5%の速度増が発生した時に、プラントの100%定格の燃料流量を元の負荷設定値に対して重畳して200%の燃料を供給し、反対に5%の速度減が発生すると0%の燃料供給となる(オフセットのFSNLのみとなる)。
【0031】
次に、本調速負荷制御部100の特徴をなしている燃料指令制限器107の構成と動作を説明する。
【0032】
図4に、燃料指令制限器の一実施例を示す。燃料指令制限器107は、従来のガバナフリー制御信号である燃料流量指令値107dと変化率制限後の前回値106d’(100d)との差分に一定ゲインKを掛ける乗算器111と、その乗算結果の変化率を上限・下限設定値で制限するリミッタ(LIM)112と、制限後の偏差値を前回値に積算する積分回路113から構成されている。
【0033】
これにより、燃料流量指令値106dの変化率がLIM112の上限(上昇変化率の制限値)/下限(下降変化率の制限値)以下の場合は、燃料流量指令値106dがそのまま出力される。また、変化率が上限/下限を超える場合は設定された変化率制限値に押さえられた指令値100dとなる。変化率の制限値は、例えばガスタービンの熱動特性による熱応力や燃空比の制約と、系統寄与率の兼ね合いから設定される。
【0034】
図7に、調速負荷制御によるプラントの挙動を示す。(イ)は系統周波数、(ロ)は燃料指令、(ハ)はガスタービンの熱応力の変化を示す。同図(a)の挙動は、燃料指令制限器107を具備しない従来型の調速負荷制御の例で、速度が定格100%に対して1%の範囲で変動する場合を示す。
【0035】
調定率5%のプラントは、1%の速度変動に対しては20%の燃料指令を重畳させるので、(a)の速度(系統周波数)変動に追従して(b)の燃料指令値107dとなる。このとき、ガスタービンの熱応力は燃料指令値、系統周波数の変動に応じた傾向を示し、(c)のように燃料指令値の変化の大きいところで大きな熱応力を発生し、設備仕様に基づいて設定される熱応力限界値を超過することがある。
【0036】
従来のガスタービン制御システムの調速負荷制御では、熱応力がその限界値を越えても特に対策しないのが普通であり、発生した熱応力値の監視のみを行い、観測された応力値のフィードバックにより寿命計算など主機の耐久力を計算するにとどまっていた。あるいは、従来技術に引用したように、調速負荷制御から排ガス温度制御による負荷一定制御に切り替え、熱応力が限界値以下となるように制御していた。
【0037】
図7(b)は本実施例によるプラントの挙動を示し、調速負荷制御部100に燃料指令制限器107を設けた場合である。(a)の速度変化を同じとして、(b)の燃料指令100dが実線のように変化する。ここで、一点鎖線はLIM107による変化率制限値を示している。燃料指令100dはその変化率が制限値内に押えられているので、従来の指令値107d(点線)より変化が緩やかになる。この結果、(c)のように、熱応力はその限界値以下に抑制することができる。
【0038】
なお、図示では燃料指令の変化率制限の効果を熱応力の抑制の例で示したが、燃空比の急変による燃焼不安定の回避に対しても、直接的な効果をもたらすことは言うまでもない。さらに、発電プラント全体の働きとしては、速度(系統周波数)の変動分に対するガバナフリー制御としての働きを保っている。ちなみに、LIM107の変化率制限値が図2に示した有効寄与率の範囲内であれば、ガバナフリー制御に対するLIM107の制限の影響は実質的には存在しない。
【0039】
図5に、燃料指令制限器の他の実施例を示す。図4との相違は、リミッタ112の上限・下限設定値を一定値とせず、燃料流量指令値に対する関数値とするための関数発生器FG(1)、FG(2)を設けた点にある。図5(b),(c)に、上限用の関数発生器FG(1)と下限用のFG(2)について、燃料流量指令と制限値の関係の一例を示す。
【0040】
これにより、燃料流量指令値の変化率だけでなく、ガバナフリー制御によって重畳される燃料流量指令値の絶対値をも考慮している。つまり、燃料指令値が大きいときには上昇・下降設定値を下げることで変化率をさらに押さえ、逆に燃料指令値が小さいときには上昇・下降設定値を上げることで変化率の制限を緩める。この結果、熱応力や燃焼不安定の発生しやすい高負荷運転の範囲において制限値を大きくできるので、過大な熱応力や燃焼不安定の発生を回避しながら、定格負荷近傍でのガバナフリー性能をいくぶん低下させながらも維持し、系統への周波数安定化機能を確保することができる。
【0041】
図6に、燃料指令制限器のさらに他の実施例を示す。本実施例の燃料指令制限器107は、図5(b)のFG(1)、FG(2)の関数発生器の入力に、燃焼器燃焼モード、燃料流量指令値、中給発電指令値、燃焼温度などの1つまたは複数を取り込むもので、燃焼器状態などに応じたよりきめ細かな制限を実現できる。
【0042】
さらに、燃料流量指令値の変化率に加え、燃料流量絶対値の制限を行なうLIM114を設け、その上限値(正側の最大値)及び下限値(負側の最大値)を設している。LIM114の上限値や下限値はプラント側の状態による最適なパラメータ値が選択される。
【0043】
以上のように、本実施形態の発電プラントの負荷制御装置によれば、調速負荷制御による燃料流量指令値に対しその変化率または変化率と絶対値を制限する機能を設けているので、指令値の急激な変化による燃焼不安定や過大な熱応力の発生を抑制でき、調速機能を維持しながらガスタービンの安定運転や長寿命化をはかる効果がある。
【0044】
なお、理論的には燃料流量指令値の変化を制限する分だけ系統寄与度が低下することになるが、機械的イナーシャなどを考慮した有効寄与率との兼ね合いで制限すれば、調速機能の実質的な低下は少ない。
【0045】
また、従来は燃料流量指令値の変化が大きいと、定格負荷近傍では熱応力をもたらす限界温度値を超えたり燃焼不安定になることが多く、これを回避するためには調速負荷制御を中断して温度負荷制御に切り替える必要があった。しかし、本実施例によれば部分負荷はもちろん、定格負荷ないしその近傍での調速負荷制御が可能になり、実質的な系統寄与度を向上できる効果がある。
【0046】
次に、本発明による発電プラント負荷制御装置の他の実施形態を説明する。発電機に接続される系統負荷が急減した場合、運転モードが正常なときは燃料流量指令値による供給量と負荷のバランスが取れているので、軸の回転速度は定格近辺で安定に制御される。しかし、系統事故などにより負荷が急減した場合は、燃料流量指令値と負荷のバランスが崩れるため、タービン回転速度が急上昇する。
【0047】
調速負荷制御機能はタービン速度を安定させる制御であるから、タービンが過速度状態になった場合に燃料を絞り込む働きをする。一般に、タービンの設計としては定格の110%速度まではタービンブレードが遠心力等の応力に耐えられるように設計され、このスピードを超える前にすみやかに停止させる必要がある。この際、機械的な緊急停止よりも、燃料を絞り込んで停止させる方が設備寿命の上で望ましい。
【0048】
ところで、図1に示した調速負荷制御部100は燃料指令100dの急激な変化を制限しているので、過速度時の減速機能が十分に働かなくなる。図8(a)に、この場合の系統事故発生時のプラントの挙動を示す。系統事故発生直後より(イ)速度が急増する。このとき、(ロ)燃料流量指令値が制限前の指令値106d(点線)から制限後の指令値100d(実線)に変化するので、燃料の絞り込みが遅れて軸の回転速度が過速度限界(一般的には110%)を超えてしまう。したがって、調速負荷制御装置からの燃料指令は通常時には変化率を制限し、過速時には制限しないことが望ましい。
【0049】
図9に、本実施形態によるガスタービン制御装置の構成を示す。本ガスタービン制御装置10は、通常運転時に燃料流量指令値の変化を制限する図1と同じ調速負荷制御部100と、過速時に燃料を絞り込んで減速するバックアップ用調速器150を併せ持っている。
【0050】
バックアップ用調速器150は、AM103からの負荷設定値103dに信号発生器(SG)151からの補正用信号を付加した値と軸速度104dの偏差によりガバナフリー制御信号を演算する加算器152と、この制御信号にガバナゲイン(1/R)を掛ける乗算器153と、無負荷オフセットのFSNL105dを付加する加算器154と、通常時には過速度用調速器150の燃料流量指令150dが調速負荷制御部100の指令値より高値となるように、待機用オフセット値を付加する加算器155から構成されている。
【0051】
図8(b)はバックアップ調速器を設置したプラントの挙動を示している。(イ)の速度変化は、同図(a)の場合と同じで、系統事故発生時点から急増する。(ロ)の燃料流量指令値は、事故発生前には調速負荷制御部100からの指令値100dとなる。このとき、バックアップ調速器150の指令値150dは待機用オフセットだけ高く設定されるので、低値選択回路300により選択されることはない。事故発生後は指令値150dが急減するのに対し、指令値100dは変化率制限により緩やかに低下する。このため、150d<100dとなるタイミングで、バックアップ調速器150の指令値150dが選択され、燃料を急速に絞り込む。この結果、(イ)のように速度が急減速され、過速度限界への超過を回避できる。
【0052】
なお、図9ではバックアップ調速器150を別置したが、図1の調速負荷制御部100の燃料指令制限器107にバイパスを設け、一定速度以上で制限器107とバイパスの切り替えを行なうようにしてもよい。
【0053】
図11に、本実施例による系統周波数と燃料流量の挙動を示す。系統周波数が50HZの±1%以内で変化している通常時は、燃料流量は調速負荷制御部100の指令値100dに従って実線のように変化する。このとき、バックアップ調速器150の指令値150dは、指令値100dより+20%増しとし、指令値100dの上側となるようにして待機させている。1%以上の過速時において150d<100dになると、燃料流量は指令値150dに従う。ちなみに、+5%過速の場合、指令値150dは定格100%分の絞り込みとなるので、実際の燃料流量はオフセット値20%に向けて急速に絞り込まれる。
【0054】
以上、本発明による火力発電プラントの負荷制御装置を、発電設備にガスタービンを利用する例で説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンバインド・ガスタービンプラントにおいて後段のボイラの熱応力を制限する調速器や、蒸気タービンの熱応力を制限する調速器などとしても適用可能である。これらの場合、負荷制御指令は蒸気流量とすればよい。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、調速負荷制御信号の変化を、その変化率や値について制限した操作指令値でタービン負荷制御を行なうので、調速負荷制御を維持しながら発電設備の熱ストレスや燃焼不良を回避できる効果がある。
【0056】
この効果に加えて、定格負荷近傍での調速負荷制御が可能になり、系統寄与率を実質的に向上できる。
【0057】
さらに、通常時に調速負荷制御信号の変化を制限し、過速時に制限を解除するので、ガバナフリー制御が本来有している絞り込み作用を発揮でき、プラントをフェイルセーフに運転できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による発電プラント制御システムの構成図。
【図2】本発明の負荷指令値の制限の一指標となる有効寄与率の概念を示す説明図。
【図3】本発明を適用する発電プラントの一例(ガスタービン方式)を示す構成図。
【図4】燃料指令制限器の一実施例を示す構成図。
【図5】燃料指令制限器の他の実施例の構成と制限特性を示す説明図。
【図6】燃料指令制限器のさらに他の実施例を示す構成図。
【図7】従来の制御と実施形態1の制御によるプラント挙動を示すタイムチャート。
【図8】実施形態1及び2の制御による速度と燃料指令の挙動を示すタイムチャート。
【図9】本発明の実施形態2による発電プラント制御システムの構成図。
【図10】従来の調速負荷制御における系統周波数と調停率分の燃料流量の関係を示す変化パターン図。
【図11】実施形態2(実施形態1も含む)調速負荷制御における系統周波数と調停率分の燃料流量の関係を示す変化パターン図。
【符号の説明】
1…燃焼器、2…圧縮器、3…タービン、4…燃料流量弁、5…発電機、6…IGV弁、7…発電電力センサ、8…軸速度センサ、9…排ガス温度センサ、10…ガスタービン制御装置、100…提調速負荷制御部、101,104,106…加算器、102…モニターリレー(MR)、103…アナログメモリ(AM)、105…乗算器、107…燃料指令制限器(LIM)、111…乗算器、112,114…LIM、113…積分器、150…バックアップ調速器、152,154,155…加算器、153…乗算器、200…他の制御部、200−1…起動制御部、200−2…停止制御部、200−3…加速制限制御部、200−4…負荷制限制御部、200−5…排ガス温度制御部、300…低値選択部(LS)、10d…燃料指令値、100d…調速負荷制御指令、150d…バックアップ調速器の燃料指令値、101d…発電指令値(負荷デマンド)、102d…発電電力(MW)、103d…負荷設定値(ガバナ指令値)、104d…軸速度、105d…ガバナフリー制御信号、106d…FSNL、107d…燃料流量指令値。

Claims (5)

  1. 軸接続されたタービンと発電機を備える発電プラントに対し、系統周波数の変動に応じて指示される発電指令値、発電電力や軸速度の計測値及び所定の調定率とから調速負荷制御信号を求めて、系統周波数を安定化するようにタービンの負荷制御を行なう発電プラントの負荷制御方法において、
    前記調速負荷制御信号に対する関数値となる負荷制限関数が設定され、前記調速負荷制御信号の信号値が大きいときには上昇・下降変化率の制限値を下げることで変化率を押さえ、信号値が小さいときには前記上昇・下降変化率の制限値を上げることで変化率の制限を緩めるようにする操作指令値により、前記タービンの負荷制御を行なうことを特徴とする発電プラントの負荷制御方法。
  2. 請求項1において、
    前記タービンが燃焼器を具備するガスタービンの場合、前記操作指令値は燃料供給量であり、前記負荷制限関数はガスタービンの熱応力及び不安定燃焼の少なくとも一方を抑制するように設定することを特徴とする発電プラントの負荷制御方法。
  3. 請求項1において、
    前記タービンが蒸気タービンの場合、前記操作指令値は蒸気供給量であり、前記負荷制限関数は蒸気タービンの熱応力を抑制するように設定することを特徴とする発電プラントの負荷制御方法。
  4. 請求項1、2または3において、
    前記負荷制限関数は、発電設備の所定の系統寄与率に対し機械的イナーシャーなどから実効的に定まる有効寄与率に応じて設定することを特徴とする発電プラントの負荷制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    定格速度の所定範囲で定格負荷ないし部分負荷運転を行なう通常時は、前記負荷制限関数で制限された前記操作指令値により前記タービンの負荷制御を行ない、
    前記軸速度が前記所定範囲の上限を超える過速度時は、前記調速負荷制御信号により前記タービンの負荷制御を行なうことを特徴とする発電プラントの負荷制御方法。
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