JP3871231B2 - 撓み噛み合い式歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角度伝達精度の低下や振動の増加を抑制可能な撓み噛み合い式歯車装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
典型的な撓み噛み合い式歯車装置は、環状の剛性内歯歯車と、その内側に配置されたカップ形の可撓性外歯歯車と、この内側にはめ込まれた楕円形の輪郭形状をした波動発生器を備えている。可撓性外歯歯車は楕円形の波動発生器によって楕円形状に撓められることにより、その楕円形の長軸方向の2箇所で剛性内歯歯車の側に噛み合っている。波動発生器はモータ等の回転源に連結された入力要素として機能し、この波動発生器が回転すると、それに伴って、剛性内歯歯車に対する可撓性外歯歯車の噛み合い位置も円周方向に移動する。この結果、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車の歯数差に対応した相対回転がこれら両歯車の間に発生する。一般的には、剛性内歯歯車が装置ハウジング等の固定側部材に締結され、可撓性外歯歯車から相対回転、すなわち、減速回転が出力される。
【0003】
固定側部材に締結される剛性内歯歯車は、矩形断面の環状部材と、この環状部材の内周面に形成した内歯を備えており、環状部材には、その両側の環状端面の間を貫通する状態に締結用ボルト孔が複数個形成されている。これらのボルト孔のそれぞれに、締結用ボルトを装着して、剛性内歯歯車を固定側部材に締結している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、複数本の締結用ボルトによって適切な状態で剛性内歯歯車が固定側部材に締結されていないと、それに起因して、当該撓み噛み合い式歯車装置を介して伝達される回転に伝達誤差が現れ、その分、伝達精度が低下してしまう。また、複数本の締結用ボルトの締めつけに起因して剛性内歯歯車に膨らみが発生したり、締めつけ状態の良否に起因して装置剛性が変動したりして、振動の増大等といった弊害も発生するおそれがある。
【0005】
例えば、図3(A)に示すように,剛性内歯歯車2が点対称の8ヵ所の位置で固定側部材で固定されている場合、剛性内歯歯車2と可撓性外歯歯車3が点対称の位置で噛み合う場合、例えば直径方向の2ヵ所で噛み合う場合には、点対称の位置関係にある締結位置では締結による変形状態(ふくらみ、へこみ)が同一状態となっている。例えば、点対称の位置(1)と(5)では、共に締結により剛性内歯歯車2が膨らみ状態となっている。この結果、楕円形の波動発生器4が回転すると、その長軸方向の両端位置A、Bが括弧付き番号1乃至8で示す位置を順次に移動した際に発生する伝達誤差あるいはトルク変動は、図3(B)においてA、Bで示すように同位相の波形となる。この結果、全体の伝達誤差あるいはトルク変動は、これらを合成した波形(A+B)となり、増幅されてしまう。
【0006】
本発明の課題は、このような剛性内歯歯車の締結状態の良否に起因する伝達精度の変動、振動の増大等を抑制可能な構成を備えた撓み噛み合い式歯車装置を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置され前記剛性内歯歯車の内歯に噛み合い可能な外歯を備えた可撓性外歯歯車と、この内側に配置され前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて前記外歯を点対称の位置で部分的に前記外歯に噛み合わせると共にこれらの噛み合わせ位置を円周方向に移動させる波動発生器とを有する撓み噛み合い式歯車装置において、前記剛性内歯歯車を固定側部材に締結するための奇数本の締結金具を有し、これらの締結金具の前記剛性内歯歯車に対する装着位置は前記締結金具と同一数の奇数であり、当該装着位置は、前記剛性内歯歯車に対して同心円上の位置において円周方向に等ピッチに形成されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1および図2には本発明を適用したカップ型の撓み噛み合い式歯車装置を示してある。カップ型の撓み噛み合い式歯車装置1は、環状の剛性内歯歯車2と、この内側に配置されたカップ形の可撓性外歯歯車3と、この内側にはめ込まれた楕円形の波動発生器4とを有している。カップ形の可撓性外歯歯車3は、円筒状の胴部31と、この胴部31の一端を封鎖している環状のダイヤフラム32と、このダイヤフラム32の中心に一体形成されているボス33と、胴部31の他方の開口端の外周面に形成された外歯34とを備えている。
【0009】
この可撓性外歯歯車3は、波動発生器4によって楕円形に撓められて、その楕円形状の長軸方向の両端の部分の外歯34が、内歯歯車2の内周面に形成した内歯21に噛み合っている。波動発生器4がモータ回転軸等により回転すると、両歯車の噛み合い位置が円周方向に移動する。内歯21と外歯34の歯数は2N(Nは正の整数)だけ差があるので、この歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。一般には、内歯歯車2の側が固定されているので、カップ形の可撓性外歯歯車3の側から、両歯車の歯数差に応じて大幅に減速された回転が出力される。
【0010】
ここで、剛性内歯歯車2は、複数本の締結ボルト5−1乃至5−5によって、固定側部材である装置ハウジング6の側に締結固定されている。このために、剛性内歯歯車2には、その一方の環状端面2aから他方の環状端面2bに向けて貫通した複数のボルト孔が形成されている。図示の例では、奇数である5つのボルト孔7−1乃至7−5が同心円上に等ピッチで形成されている。換言すると、5つのボルト孔7−1乃至7−5は、相互に、剛性内歯歯車2の中心1aに対して点対称とはならない位置に形成されている。各ボルト孔7−1乃至7−5には、それぞれ締結ボルト5−1乃至5−5が装着され、これらのボルトによって剛性内歯歯車2は装置ハウジング6の側に形成した取り付け面6aに締結されている。
【0011】
このように、図示の撓み噛み合い式歯車装置1では、剛性内歯歯車2を固定側部材である装置ハウジング1の側に締結するための締結ボルト5−1乃至5−5の装着位置であるボルト孔7−1乃至7−7を奇数にすると共に、これらのボルト孔を同心円上において等ピッチに配置してある。この結果、従来のように、偶数個の締結ボルトを等ピッチ(点対称位置)に装着することにより、剛性内歯歯車を固定側部材に締結していた場合に比べて、この締結部分の締結の良否に起因した伝達精度の変動、振動の増大等を抑制できる。
【0012】
例えば、図4に示すように、締結位置を図3(A)に示すような点対称の8ヵ所から括弧付きの番号1〜7で示す点対称にはならない位置に変更すると、波動発生器4の長軸両端の位置A、Bにおける締結による膨らみあるいはへこみに起因する伝達誤差またはトルク変動は図4(B)に示すように、逆位相の波形となる。従って、全体の伝達誤差あるいはトルク変動(A+B)は、双方の変動を打ち消し合った状態となり、非常に小さな振幅変動となる。
【0013】
なお、締結ボルトの本数は5以外の奇数としてもよい。
【0014】
(その他の実施の形態)
上記の例は本発明をカップ形の撓み噛み合い式歯車装置に適用したものである。撓み噛み合い式歯車装置は、その可撓性外歯歯車の形状に着目すると、上記のカップ型撓み噛み合い式歯車装置の他に、シルクハット形のもの、フラット形のものがある。これらの撓み噛み合い式歯車装置に対しても本発明を同様に適用できる。
【0015】
また、上記の波動発生器は、楕円形の輪郭をしたカム板を備えた構成のものであるが、この他に、1対のローラによって可撓性外歯歯車を楕円形に撓める構造の波動発生器を用いた形式の撓み噛み合い式歯車装置に対しても本発明を同様に適用できる。
【0016】
さらには、上記の説明では、締結用ボルトを用いて剛性内歯歯車を固定側部材に締結しているが、締結用ボルトの代わりに、あるいはこれと共に、ノックピン等の締結金具を用いて剛性内歯歯車を固定側部材に固定する場合にも本発明を同様に適用できる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撓み噛み合い式歯車装置では、その剛性内歯歯車を固定側部材に締結するための締結金具の装着位置を、前記剛性内歯歯車に対して同心円上の位置において円周方向に等ピッチに設定している。この構成を採用すれば、従来のように偶数本の締結ボルトを等ピッチで装着することにより剛性内歯歯車を固定側部材に締結していた場合とは異なり、剛性内歯歯車の締結状態の良否に起因した伝達精度の変動、振動の増大等の弊害を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用可能なカップ型の撓み噛み合い式歯車装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】 図1の装置の概略正面図である。
【図3】 締結による変形に起因した伝達誤差あるいはトルク変動を説明するための説明図である。
【図4】 本発明を適用した場合における締結による変形に起因した伝達誤差あるいはトルク変動を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 撓み噛み合い式歯車装置
2 剛性内歯歯車
21 内歯
2a、2b 剛性内歯歯車の環状端面
3 可撓性外歯歯車
4 波動発生器
31 胴部
32 ダイヤフラム
33 ボス
34 外歯
5 締結ボルト
6 固定側部材(装置ハウジング)
6a 剛性内歯歯車の取り付け面
7 ボルト孔
Claims (2)
- 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置され前記剛性内歯歯車の内歯に噛み合い可能な外歯を備えた可撓性外歯歯車と、この内側に配置され前記可撓性外歯歯車を半径方向に撓めて前記外歯を点対称の位置で部分的に前記内歯に噛み合わせると共にこれらの噛み合い位置を円周方向に移動させる波動発生器とを有する撓み噛み合い式歯車装置において、
前記剛性内歯歯車を固定側部材に締結するための奇数本の締結金具を有し、
これらの締結金具の前記剛性内歯歯車に対する装着位置は前記締結金具と同一数の奇数であり、当該装着位置は、前記剛性内歯歯車に対して同心円上の位置において円周方向に等ピッチに形成されていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置。 - 請求項1において、
前記締結金具は締結ボルトであり、前記剛性内歯歯車における前記装着位置にはボルト孔が形成されていることを特徴とする撓み噛み合い式歯車装置。
Priority Applications (1)
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JP30929296A JP3871231B2 (ja) | 1996-11-20 | 1996-11-20 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30929296A JP3871231B2 (ja) | 1996-11-20 | 1996-11-20 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10148239A JPH10148239A (ja) | 1998-06-02 |
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Family
ID=17991251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30929296A Expired - Fee Related JP3871231B2 (ja) | 1996-11-20 | 1996-11-20 | 撓み噛み合い式歯車装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3871231B2 (ja) |
-
1996
- 1996-11-20 JP JP30929296A patent/JP3871231B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10148239A (ja) | 1998-06-02 |
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