JP3870253B2 - Inorganic-organic hybrid thin film and method for producing the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な無機−有機ハイブリッド薄膜、その製造方法及び該薄膜を表面に形成してなる高潤滑性部材に関するものであり、更に詳しくは、各種の部材、例えば、光学レンズ、磁気ヘッド、磁気テープ、ハードディスク、フレキシブルディスク、ピストン、マイクロマシン用部品、人工歯根、義歯、義歯床などの表面の耐摩耗性を向上させ、表面の自由エネルギーを低下させることにより、表面潤滑性、更には、撥水、撥油性を著しく向上させることを可能とする新しい表面処理技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラスチックのような耐摩耗性に劣る基材の表面を、酸化シリコンに代表されるセラミックス薄膜で被覆し、耐摩耗性を向上させる表面改質が盛んに行われている。これらの基材は、一般的に、材料自身が耐熱性に劣るため、低温での表面改質技術が必要不可欠であり、例えば、ドライプロセス、ウエットプロセス、あるいはそれらの複合プロセスを利用した様々な表面改質方法が提案されている。
【0003】
しかし、いずれの処理方法にも、長所、短所がある。例えば、プラズマCVDやPVDに代表されるドライプロセスであれば、高価な真空装置が必要であるし、ディップコーティングに代表されるウエットプロセスであれば、液溜まりによって膜厚むらが生じるため、微小で複雑な形状の基材へ均一な薄膜を形成することは困難であった。また、基材のしゅう動性を向上させるために、固体潤滑材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を固定化する処理が盛んに行われているが、PTFEは化学反応性が極めて少ないため、基材と十分な密着性を確保することは困難であり、更に、高い焼き付け温度、処理時間が必要なため、必然的に処理できる基材にも制限があった。
【0004】
一方、近年、従来のメカトロニクス技術を更に小さなスケールとするマイクロマシン技術が注目を集めている。最近では、1ミクロンを切る高分解能を持つ内部硬化型マイクロ光造形法が開発され、直径45ミクロンのプラスチック製可動マイクロギアやシャフトなどが製造できることが報告されている。しかし、マイクロマシンへのプラスチック材料の適用は始まったばかりであり、プラスチック製しゅう動、可動部品のトライポロジーに関する科学的な知見は不明な点が多い。
先行技術文献として、1)Proc of IEEE MEMS 93, 42-47 (1993)、2) H. Brunner et. al., Langmuir 1996, 12, 4614-4617、3) M. Brinkmann et. al., Chem. Mater, 2001, 13, 967-972)、があげられる。
【0005】
また、これまでの潤滑層の形成技術、例えば、磁気ヘッドの保護膜となる炭素系薄膜へのフッ素含有エーテルやアルコールの水素結合による潤滑層形成技術では、基材と潤滑層間の密着性が不十分であるため、脆弱で剥離しやすいという問題点があった。そのため、既存の技術をそのままマイクロマシン用部品に適用することはできない。マイクロマシン技術を実用化、製品化するには、高寿命化、信頼性を確保することが必要不可欠である。そのためには、耐摩耗性層ならびに潤滑層をナノメートルスケールで基材表面に強固に化学結合させる表面改質技術が必要不可欠であると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、従来技術の問題を解決することが可能な新しい表面改質技術を開発することを目標として鋭意研究を進めた結果、基材表面を酸素プラズマや紫外線照射により親水化した後、この基材表面に、有機シラン化合物、有機金属化合物、セラミックス前駆体を気相から付着させることにより、膜厚が0.5〜500nmの膜を形成し、その後、その膜にプラズマや紫外線を照射することにより、膜中の炭素等の不純物が膜中から除去され、室温付近でセラミックス薄膜に化学変化され、基材、特にプラスチック基材の耐摩耗性が向上することを見いだした。更に、その表面に、長鎖フッ化炭素鎖及び/又は長鎖アルキル鎖を有する有機シランを気相から化学反応させることにより、膜厚が1〜500nmの低表面エネルギー薄膜を形成することにより、耐摩耗性、潤滑性が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
本発明は、新規な耐摩耗性及び潤滑性を有する無機−有機ハイブリッド薄膜及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、各種の部材、例えば、磁気ヘッド、磁気テープ、ハードディスク、フレキシブルディスク、ピストン、マイクロマシン用部品、人工歯根、義歯
、義歯床などの高い摩耗性、潤滑性が要求される材料として有効な、表面に上記無機−有機ハイブリッド薄膜を形成してなる優れた耐摩耗性、高潤滑性、撥水・撥油性を有する高潤滑性部材を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)基材表面の水酸基、あるいは酸素含有極性官能基に、有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体の内から選択された1種類以上を付着させて膜を形成し、その後、該膜を光酸化処理することで有機成分を除去してセラミックス薄膜に化学変化させた後、該セラミックス薄膜表面にフッ化炭素鎖及び/又は長鎖アルキル基を有する有機シランを化学反応させることにより低表面エネルギー薄膜でセラミックス薄膜表面を被覆したことを特徴とする耐摩耗性及び潤滑性を有する無機−有機ハイブリッド薄膜。
(2)基材が、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックの内から選択された1種類以上からなることを特徴とする前記(1)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜。
(3)基材表面の水酸基、あるいは酸素含有極性官能基に、有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体の内から選択された1種類以上を付着させて膜を形成した後、該膜を光酸化処理することにより有機成分を除去してセラミックス薄膜とし、次いで、該セラミックス薄膜表面にフッ化炭素鎖及び/又は長鎖アルキル基を有する有機シランを化学反応させることにより低表面エネルギー薄膜でセラミックス薄膜表面を被覆することを特徴とする耐摩耗性及び潤滑性を有する無機−有機ハイブリッド薄膜の製造方法。
(4)前記基材表面に、前記有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体の内から選択された1種類以上を気相を経て付着させることを特徴とする前記(3)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜の製造方法。
(5)前記基材に付着させた有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体が、紫外線、電子線、電磁波を透過する材料であることを特徴とする前記(3)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜の製造方法。
(6)紫外線、電子線、電磁波の内から選択された1種類以上を照射し、有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体の膜を光酸化及び/又は3次元架橋させることにより有機成分を除去してセラミックス薄膜に化学変化させることを特徴とする前記(3)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜の製造方法。
(7)前記セラミックス薄膜表面に、長鎖フッ化炭素鎖及び/又は長鎖アルキル鎖を有する有機シランを気相から化学反応させることにより低表面エネルギー薄膜でセラミックス薄膜表面を被覆することを特徴とする前記(3)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜の製造方法。
(8)前記(1)に記載の無機−有機ハイブリッド薄膜を表面に形成したことを特徴とする高潤滑性部材。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、様々な基材の表面を、例えば、予めプラズマ、紫外線、オゾンなどで親水化した後、該処理基材の表面上に、有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体を1種類以上、気相から付着させることにより、膜厚が0.5〜50nmの膜を形成した後、例えば、プラズマや紫外線を照射することにより、膜中の炭素等の不純物を膜中から除去し、セラミックス薄膜に化学変化させることにより、基材の耐摩耗性を向上させ、更に、該セラミックス薄膜表面に、長鎖フッ化炭素鎖や長鎖アルキル鎖などを有する有機シランを化学反応せることにより、膜厚が1〜500nmの低表面エネルギー薄膜でセラミックス薄膜表面を被覆することにより耐摩耗性、潤滑性、撥水・撥油性を著しく向上させる点に最大の特徴を有する。
【0009】
本発明では、基材として、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックなどの適宜の材料を任意に使用することができる。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、モリブデン、チタン、亜鉛、SUS、スズなどが、セラミックスとしては、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化スズなどが、ガラスとしては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラスなどが、プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネイト、アクリル、ポリスチレン、PET、ポリエチレンなどが例示される。これらの基材の形状は、例えば、板状、粉末状、チューブ状など任意な形状の基材を使用することができる。これらの基材の表面を、予め、酸素プラズマ、真空紫外光、オゾンなどを照射することにより、基材表面に付着した有機物を除去することにより親水化する。この場合、好ましくは、波長172nm以下の真空紫外光を使用するが、これに制限されるものではない。
本発明が好適に適用される基材の具体例としては、例えば、マイクロマシン用部品等の、耐熱性、耐摩耗性に劣るプラスチック基材で、更に微細で複雑な形状の基材が例示される。
【0010】
本発明で使用されるセラミックス前駆体の有機シランとしては、フッ化炭素鎖を有する有機シランとして、例えば、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランなどが例示され、また、長鎖アルキル基を有する有機シランとして、例えば、n−オクタデシル トリエトキシシラン、n−オクタデシル トリクロロシラン、n−オクタデシル メトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシル メチルジエトキシシラン、ノニルトリクロロシラン、n−オクタデシルジメチル クロロシラン、n−オクタデシルジメチル メトキシシランなどが例示される。
次に、セラミックス前駆体の有機金属化合物としては、n−ブチルトリクロロスズ、ブチルクロロジヒドロキシスズ、ジ−t−ブチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、メチルトリクロロスズ、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、チタンn−ブトキサイド、チタンクロライドトリイソプロポキサイド、チタンエトキサイド、チタンイソブトキサイド、チタンイソプロポキサイドなどが例示される。
【0011】
本発明においては、続いて、基材表面の水酸基、あるいは酸素含有極性官能基と、有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体の内から選択された1種類以上を反応させ、これらを基材に付着させる。反応方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、高価な反応装置、長い処理時間、高い処理温度を必要せず、少量の原料で処理可能な気相法が用いられる。特にプラスチック基材へ処理する場合、例えば、処理温度は約80℃、処理時間は約3時間以上であることが望ましい。処理膜の膜厚は、処理時間により0.5〜500nmまで任意に制御することが可能であるが、膜厚は300nm以下であることが望ましい。これは、膜厚が300nmを越えると、セラミックス薄膜への化学変化の効率が低下するためである。膜形成後、酸素プラズマ、紫外線、電子線などで処理表面を処理することによりセラミックス薄膜に化学変化させる。好ましくは、波長172nm以下の真空紫外光や電子線を利用する。これらは、赤外線を含まないため、室温〜40℃で処理することができる。例えば、真空紫外光を使用する場合、10〜1000Pa下で10分以上処理することが望ましい。大気圧下では、紫外光は雰囲気中の酸素分子に吸収されてしまうため、処理時間が真空下での処理と比較して長くかかるためである。
【0012】
更に、該セラミックス薄膜被覆基材の潤滑性を著しく向上させるために、該セラミックス薄膜表面の水酸基と、長鎖フッ化炭素鎖や長鎖アルキル炭素鎖を有する表面張力の低い有機シランを化学的に反応させ、表面に低表面エネルギー薄膜を形成する。反応方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、高価な反応装置、長い処理時間、高い処理温度を必要とせず、少量の原料で処理可能な気相法が用いられる。特にプラスチック基材へ処理する場合、例えば、処理温度は約80℃、処理時間は約3時間以上であることが望ましい。この処理により、該セラミックス薄膜表面に低表面エネルギー薄膜が形成される。該薄膜の膜厚は処理時間により1〜500nmまで任意に制御することが可能であるが、膜厚は300nm以下であることが望ましい。これは、膜厚が300nmを越えると、基材の光学特性が低下するためである。
【0013】
以上の方法により、基材表面に300nm以下のセラミックス薄膜、該セラミックス薄膜上に、300nm以下の低表面エネルギー薄膜で被覆した無機−有機ハイブリッド薄膜を形成することにより、該処理基材、特にプラスチック基材の耐摩耗性、潤滑性が著しく向上する、という作用効果が得られる。この現象は、基材表面に付着させたセラミックス前駆体を紫外線などを利用して化学的にセラミックス薄膜に化学変化させることにより耐摩耗性が著しく向上すること、更に、このセラミックス薄膜上に長鎖フッ化炭素鎖や長鎖アルキル炭素鎖を有する表面張力の低い有機シランからなる低表面エネルギー薄膜で表面を被覆することにより、表面自由エネルギーが下がり、基材の耐摩耗性、潤滑性が飛躍的に改善されることによる。また、表面自由エネルギーが低下するため、撥水・撥油性も著しく改善される。セラミックス薄膜上の水滴接触角は5°以下であるのに対し、低表面エネルギー薄膜を形成することにより、水滴接触角は約115〜120°まで増加する。また、流動パラフィンのような油に対する接触角も80〜90°まで増加し、基材表面は、著しく撥水・撥油性を示すようになる。
【0014】
セラミックス薄膜を形成する際に用いる有機シラン化合物、有機金属化合物のセラミックス前駆体は、液体で蒸気圧が高いものであることが望ましい。また、低表面エネルギー薄膜を形成する際に用いる有機シランは、フッ化炭素やメチル基といった、極性の低い、すなわち、表面エネルギーの低い官能基が少なくとも一つ入っていることが望ましい。なぜならば、極性が高い、すなわち、表面エネルギーが高いと、接触する物体との相互作用が大きくなり、摩耗が進行するためである。また、セラミックス薄膜表面と強固な化学結合を得るために、反応性官能基(OR:R=Cn H2n+1)が少なくとも三つ入っていることが望ましい。なぜならば、反応性官能基が少ないと、セラミックス薄膜表面と低表面エネルギー薄膜との界面で十分な密着性が得られないためである。なお、膜厚は、セラミックス薄膜と低表面エネルギー薄膜をあわせて350nm以下であることが望ましい。それは、350nm以下の膜厚であれば、基材表面の形状や光学特性に変化を起こすことがないためである。本発明の技術を用いることにより、従来技術では困難であった耐熱性に劣るプラスチック基材、特に、微細で複雑な形状の部品への処理が容易になる。
【0015】
上記の処理基材が高い耐摩耗性、潤滑性を示す理由は、処理表面に形成されたセラミックス薄膜と、その上に形成された長鎖フッ化炭素鎖や長鎖アルキル炭素鎖を有する低表面エネルギー薄膜からなる無機−有機ハイブリッド薄膜の形成により、耐摩耗性を上げ、更には表面自由エネルギーを下げるという、物理的及び化学的な相乗効果によりそれらの特性が出現することによるものと考えられる。本発明において、適宜の部材の表面に上記無機−有機ハイブリッド薄膜を形成することにより優れた耐摩耗性、高潤滑性、撥水・撥油性を有する高潤滑性部材が得られる。この場合、部材の種類に応じて、予め所定の形状に加工した部材の表面に上記薄膜を形成することも可能であり、あるいは、上記表面形成した材料を所定の形状に加工して部材を作製することも可能である。
これらの部材の具体例として、例えば、光学レンズ、磁気ヘッド、磁気テープ、ハードディスク、フレキシブルディスク、ピストン、マイクロマシン用部材、人工歯根、義歯、義歯床、窓ガラス、自動車用ガラスなどの部材が例示されるが、これらに制限されるものではなく、適宜の材料、部品からなる部材が包含される。
【0016】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
アクリル基材(旭化成製、デラグラスA(Registered))を大気圧下で30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して親水化した基材表面に、オルトケイ酸テトラエチル(C2 H5 O)4 Si(和光製)の蒸気を利用して、気相からオルトケイ酸テトラエチルを化学吸着させた。処理温度は80℃、処理時間は1時間とした。この試料表面に、再度、同じ光源を利用して、1000Paで30分間、真空紫外光を照射した。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図1に示す。
【0017】
実施例2
実施例1の基材表面に、気相から、長鎖フッ化炭素鎖CF3 (CF2 )7-を有するフッ化アルキルシランCF3 (CF2 )7 CH2 CH2 Si(OCH3 )3(信越化学製、KBM7803)からなる薄膜を形成した。処理温度は80℃、処理時間は8時間とした。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図1に示す。
【0018】
実施例3
ポリスチレン基材(旭化成製、OPSシート#3000)を1000Pa下で20分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して親水化した基材表面に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンC4 H16O4 Si4 (アズマックス製)の蒸気を利用して、気相から1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを物理吸着させた。処理温度は80℃、処理時間は3時間とした。この試料表面に、再度、同じ光源を利用して、1000Paで30分間、真空紫外光を照射した。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図2に示す。
【0019】
実施例4
実施例3の基材表面に、気相から、長鎖フッ化炭素鎖CF3 (CF2 )7-を有するフッ化アルキルシランCF3 (CF2 )7 CH2 CH2 Si(OCH3 )3(信越化学製、KBM7803)からなる薄膜を形成した。処理温度は80℃、処理時間は8時間とした。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図2に示す。
【0020】
比較例1
アクリル基材(旭化成製、デラグラスA(Registered))を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図1に示す。
【0021】
比較例2
アクリル基材(旭化成製、デラグラスA(Registered))を大気圧下で30分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して親水化した基材表面に、オルトケイ酸テトラエチル(C2 H5 O)4 Si(和光製)の蒸気を利用して、気相からオルトケイ酸テトラエチルを化学吸着させた。処理温度は80℃、処理時間は1時間とした。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図1に示す。
【0022】
比較例3
ポリスチレン基材(旭化成製、OPSシート#3000)を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図2に示す。
【0023】
比較例4
ポリスチレン基材(旭化成製、OPSシート#3000)を1000Pa下で20分間、波長172nmの真空紫外光に暴露して親水化した基材表面に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンC4 H16O4 Si4 (アズマックス製)の蒸気を利用して、気相から1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを化学吸着させた。処理温度は80℃、処理時間は3時間とした。この試料を原子間力顕微鏡(荷重:6μN、スキャン回数:5回、スキャン領域:1μm2 )を用いて摩耗試験を行った。その結果を図2に示す。
【0024】
以上の実施例1〜4、比較例1〜4で作製した試料の耐摩耗性を相対的に評価すると、比較例2≪比較例1≪実施例1≪実施例2(アクリル基材)、比較例4≦比較例3≪実施例3≪実施例4(ポリスチレン基材)となり、未処理のアクリル基材、ポリスチレン基材の耐摩耗性が最も低く、セラミックス薄膜と低表面エネルギー薄膜からなる無機−有機ハイブリッド薄膜を形成した各基材の耐摩擦性、潤滑性が最も優れていることが分かった。
【0025】
実施例5
(高潤滑性部材の作製)
上記実施例4で作製した上記無機−有機ハイブリッド薄膜を所定の形状に加工して優れた耐摩耗性、潤滑性、撥水・撥油性を有すマイクロマシン部品用高潤滑性部材を作製した。この場合、水接触角は約120°、流動パラフィンに対する接触角は約86°となった。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明は、基材と該基材表面に形成されたセラミックス薄膜と有機シラン薄膜からなる無機−有機ハイブリッド薄膜であって、該基材は、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックのいずれの材質においても、その膜厚は、350nm以下で構成されていることを特徴とする耐摩耗性・高潤滑性を有する薄膜及びその製造方法に係るものであり、本発明により、1)新規な耐摩耗性、高潤滑表面基材を提供することができる、2)各種部材、例えば、光学レンズ、磁気ヘッド、磁気テープ、ハードディスク、フレキシブルディスク、ピストン、マイクロマシン用部品、人工歯根、義歯、義歯床などの表面に優れた耐摩耗性と高潤滑性、更には、撥水・撥油性を付与することができる、3)気相反応を利用しているため、従来のような有機溶剤を使用するプロセスと比較して環境への負荷が小さい、4)気相反応を利用しているため、有機溶剤を使用するプロセスで問題となっていた、液溜まり、コーティングむら等を生じることなく、複雑形状を有する基材にも、均一に薄膜をナノメートルスケールでコーティングすることができる、5)プロセスが簡易であり、かつ、光や電子線を使用しているため、低温処理が可能な省エネルギープロセスにより、優れた耐摩耗性、高潤滑性を有する基材を作製することができる、6)優れた耐摩耗性、高潤滑性、撥水・撥油性を有する高潤滑性部材を提供することができる、等の格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例に係るアクリル基材の摩耗特性を示す説明図である。
【図2】実施例、比較例に係るポリスチレン基材の摩耗特性の変化を示す説明図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel inorganic-organic hybrid thin film, a method for producing the same, and a highly lubricious member formed on the surface thereof. More specifically, various members such as an optical lens, a magnetic head, By improving the wear resistance of surfaces such as magnetic tapes, hard disks, flexible disks, pistons, micromachine parts, artificial roots, dentures and denture bases, and reducing the surface free energy, surface lubricity and repellent properties are improved. The present invention relates to a new surface treatment technology that can remarkably improve water and oil repellency.
[0002]
[Prior art]
Currently, the surface of a base material that is inferior in wear resistance, such as plastic, is coated with a ceramic thin film typified by silicon oxide, and surface modification is being actively performed to improve wear resistance. Since these materials generally have poor heat resistance, the surface modification technology at low temperature is indispensable. For example, various materials using a dry process, a wet process, or a composite process thereof are used. Surface modification methods have been proposed.
[0003]
However, each processing method has advantages and disadvantages. For example, if it is a dry process represented by plasma CVD or PVD, an expensive vacuum device is required, and if it is a wet process represented by dip coating, film thickness unevenness occurs due to liquid pooling. It has been difficult to form a uniform thin film on a substrate having a complicated shape. In addition, in order to improve the sliding property of the base material, a solid lubricating material such as polytetrafluoroethylene (PTFE) is actively fixed. However, PTFE has extremely low chemical reactivity. In addition, it is difficult to ensure sufficient adhesion with the base material, and further, since a high baking temperature and a processing time are required, there is a limit to the base material that can be inevitably processed.
[0004]
On the other hand, in recent years, micromachine technology that makes the conventional mechatronics technology even smaller in scale has attracted attention. Recently, an internally cured micro stereolithography method with high resolution of less than 1 micron has been developed, and it has been reported that plastic movable micro gears and shafts having a diameter of 45 microns can be manufactured. However, the application of plastic materials to micromachines has just begun, and there are many unclear points regarding scientific knowledge regarding plastic sliding and the tribology of moving parts.
As prior art documents, 1) Proc of IEEE MEMS 93, 42-47 (1993), 2) H. Brunner et. Al., Langmuir 1996, 12, 4614-4617, 3) M. Brinkmann et. Al., Chem Mater, 2001, 13, 967-972).
[0005]
Also, conventional lubrication layer formation techniques, such as lubrication layer formation techniques by hydrogen bonding of fluorine-containing ethers or alcohols to carbon-based thin films that serve as protective films for magnetic heads, have poor adhesion between the substrate and the lubrication layer. Since it was sufficient, there was a problem that it was fragile and easily peeled off. Therefore, the existing technology cannot be applied as it is to a micromachine component. In order to put micromachine technology into practical use and commercialization, it is indispensable to ensure long life and reliability. For this purpose, it is considered essential to have a surface modification technique in which the wear-resistant layer and the lubricating layer are firmly chemically bonded to the substrate surface on the nanometer scale.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In such a situation, the present inventor, in view of the above-described conventional technology, as a result of earnestly researching with the goal of developing a new surface modification technology capable of solving the problems of the conventional technology, After hydrophilizing the base material surface by oxygen plasma or ultraviolet irradiation, an organic silane compound, an organometallic compound, or a ceramic precursor is attached to the base material surface from the gas phase, so that the film thickness is 0.5 to 500 nm. By forming a film, and then irradiating the film with plasma or ultraviolet rays, impurities such as carbon in the film are removed from the film, and the film is chemically changed to a ceramic thin film near room temperature. It has been found that the wear resistance is improved. Furthermore, by forming a low surface energy thin film having a thickness of 1 to 500 nm by chemically reacting an organic silane having a long-chain fluorocarbon chain and / or a long-chain alkyl chain from the gas phase on the surface thereof, The inventors have found that the wear resistance and lubricity are drastically improved and have completed the present invention.
An object of the present invention is to provide a novel inorganic-organic hybrid thin film having wear resistance and lubricity and a method for producing the same.
In addition, the present invention is a material that requires high wear and lubricity, such as various members, such as magnetic heads, magnetic tapes, hard disks, flexible disks, pistons, parts for micromachines, artificial roots, dentures, and denture bases. It is an object of the present invention to provide an effective high lubricity member having excellent wear resistance, high lubricity, water repellency and oil repellency formed by forming the inorganic-organic hybrid thin film on the surface.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for solving the above-described problems comprises the following technical means.
(1) A film is formed by adhering one or more selected from organic silane compounds and organometallic compound ceramic precursors to a hydroxyl group or oxygen-containing polar functional group on the surface of the substrate, and then the film after removing the organic components in Rukoto to photooxidation processes it is chemically changed to the ceramic thin film, by Rukoto organosilane react chemically with fluorocarbon chain and / or long-chain alkyl group in the ceramic thin film surface An inorganic-organic hybrid thin film having wear resistance and lubricity characterized by coating a ceramic thin film surface with a low surface energy thin film.
(2) The inorganic-organic hybrid thin film as described in (1) above, wherein the substrate is composed of one or more selected from metals, ceramics, glass and plastics.
(3) After forming a film by adhering one or more selected from among organic silane compounds and organometallic compound ceramic precursors to a hydroxyl group or oxygen-containing polar functional group on the surface of the base material, removing the organic components by Rukoto to photooxidation process and ceramic thin film, then the low surface energy membrane by Rukoto organosilane react chemically with fluorocarbon chain and / or long-chain alkyl group in the ceramic thin film surface in inorganic having abrasion resistance and lubricity characterized that you coat the ceramic thin film surface - the method of manufacturing the organic hybrid thin film.
(4) The inorganic material according to (3), wherein at least one selected from the organosilane compound and the organometallic compound ceramic precursor is attached to the surface of the base material through a gas phase. -Manufacturing method of organic hybrid thin film.
(5) Inorganic-organic as described in (3) above, wherein the organosilane compound or organometallic compound ceramic precursor adhered to the substrate is a material that transmits ultraviolet rays, electron beams, and electromagnetic waves. A method for producing a hybrid thin film.
(6) Irradiating one or more types selected from ultraviolet rays, electron beams, and electromagnetic waves, and photooxidizing and / or three-dimensionally cross-linking the organic precursor compound or organometallic compound ceramic precursor film. The method for producing an inorganic-organic hybrid thin film as described in (3) above, wherein the inorganic thin film is chemically changed to a ceramic thin film by removal.
(7) to said ceramic thin film surface, that you coat the ceramic thin film surface with a low surface energy film by Rukoto by chemically reacting an organosilane having a long chain fluorocarbon chain and / or long-chain alkyl chain from the gas phase The method for producing an inorganic-organic hybrid thin film as described in (3) above,
(8) A highly lubricious member, wherein the inorganic-organic hybrid thin film according to (1) is formed on the surface.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail.
In the present invention, the surface of various substrates is hydrophilized in advance with, for example, plasma, ultraviolet light, ozone, etc., and then one type of organosilane compound or organometallic compound ceramic precursor is formed on the surface of the treated substrate. As described above, after forming a film having a thickness of 0.5 to 50 nm by depositing from the gas phase, for example, by irradiating with plasma or ultraviolet rays, impurities such as carbon in the film are removed from the film, By chemically changing to a ceramic thin film, the wear resistance of the base material is improved, and further, an organic silane having a long-chain fluorocarbon chain or a long-chain alkyl chain is chemically reacted on the surface of the ceramic thin film, It has the greatest feature in that wear resistance, lubricity, water repellency and oil repellency are remarkably improved by coating the ceramic thin film surface with a low surface energy thin film having a thickness of 1 to 500 nm.
[0009]
In the present invention, any appropriate material such as metal, ceramics, glass, and plastic can be used as the substrate. Examples of the metal include aluminum, copper, iron, molybdenum, titanium, zinc, SUS, and tin. Examples of the ceramic include alumina, titania, zirconia, zinc oxide, and tin oxide. Examples of the glass include, for example, Examples of the plastic include quartz glass, soda lime glass, and borosilicate glass, and examples thereof include polycarbonate, acrylic, polystyrene, PET, and polyethylene. As the shape of these base materials, for example, a base material having an arbitrary shape such as a plate shape, a powder shape, or a tube shape can be used. The surface of these base materials is hydrophilized by previously irradiating oxygen plasma, vacuum ultraviolet light, ozone or the like to remove organic substances adhering to the base material surface. In this case, vacuum ultraviolet light having a wavelength of 172 nm or less is preferably used, but is not limited thereto.
Specific examples of the substrate to which the present invention is suitably applied include, for example, a plastic substrate that is inferior in heat resistance and wear resistance, such as a micromachine component, and a substrate having a finer and more complicated shape. .
[0010]
As the organic silane of the ceramic precursor used in the present invention, for example, (tridecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrooctyl) dimethylchlorosilane, (tridecafluoro) as an organic silane having a fluorocarbon chain. -1,1,2,2-tetrahydrooctyl) methyldichlorosilane, (tridecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrooctyl) trichlorosilane, (tridecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrooctyl) ) Triethoxysilane, (heptadecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrodecyl) dimethylchlorosilane, (heptadecafluoro-1,1,2,2-tetrahydrodecyl) methyldichlorosilane, (heptadecafluoro-1) , 1,2,2-tetrahydrodecyl) trichlorosilane, (heptadeca (Luoro-1,1,2,2-tetrahydrodecyl) triethoxysilane and the like, and examples of the organic silane having a long chain alkyl group include n-octadecyl triethoxysilane, n-octadecyl trichlorosilane, n- Examples include octadecyl methoxydichlorosilane, n-octadecylmethyldichlorosilane, n-octadecylmethyldiethoxysilane, nonyltrichlorosilane, n-octadecyldimethyl chlorosilane, n-octadecyldimethyl methoxysilane, and the like.
Next, as the organometallic compound of the ceramic precursor, n-butyltrichlorotin, butylchlorodihydroxytin, di-t-butyldichlorotin, dimethyldichlorotin, methyltrichlorotin, aluminum (III) n-butoxide, aluminum ( III) s-butoxide, aluminum (III) ethoxide, aluminum (III) isopropoxide, titanium n-butoxide, titanium chloride triisopropoxide, titanium ethoxide, titanium isobutoxide, titanium isopropoxide, etc. The
[0011]
In the present invention, subsequently, a hydroxyl group or oxygen-containing polar functional group on the surface of the substrate is reacted with one or more selected from among organosilane compounds and organometallic compound ceramic precursors, and these are reacted with the substrate. Adhere to. The reaction method is not particularly limited, but preferably, a gas phase method capable of processing with a small amount of raw material without using an expensive reaction apparatus, a long processing time and a high processing temperature is used. In particular, when processing to a plastic substrate, for example, the processing temperature is preferably about 80 ° C. and the processing time is about 3 hours or more. The film thickness of the treatment film can be arbitrarily controlled from 0.5 to 500 nm depending on the treatment time, but the film thickness is desirably 300 nm or less. This is because when the film thickness exceeds 300 nm, the efficiency of chemical change to the ceramic thin film is reduced. After the film formation, the surface is treated with oxygen plasma, ultraviolet light, electron beam or the like to chemically change into a ceramic thin film. Preferably, vacuum ultraviolet light or an electron beam having a wavelength of 172 nm or less is used. Since these do not contain infrared rays, they can be processed at room temperature to 40 ° C. For example, when using vacuum ultraviolet light, it is desirable to process for 10 minutes or more under 10-1000 Pa. This is because, under atmospheric pressure, ultraviolet light is absorbed by oxygen molecules in the atmosphere, so that the processing time is longer than the processing under vacuum.
[0012]
Furthermore, in order to remarkably improve the lubricity of the ceramic thin film-coated substrate, a hydroxyl group on the surface of the ceramic thin film and an organic silane having a long chain fluorocarbon chain or a long alkyl carbon chain and having a low surface tension are chemically added. React to form a low surface energy thin film on the surface. The reaction method is not particularly limited, but preferably, a gas phase method capable of processing with a small amount of raw material without using an expensive reaction apparatus, a long processing time and a high processing temperature is used. In particular, when processing to a plastic substrate, for example, the processing temperature is preferably about 80 ° C. and the processing time is about 3 hours or more. By this treatment, a low surface energy thin film is formed on the surface of the ceramic thin film. Although the film thickness of the thin film can be arbitrarily controlled from 1 to 500 nm depending on the treatment time, the film thickness is desirably 300 nm or less. This is because when the film thickness exceeds 300 nm, the optical properties of the substrate are degraded.
[0013]
By the above method, a ceramic thin film of 300 nm or less is formed on the surface of the substrate, and an inorganic-organic hybrid thin film coated with a low surface energy thin film of 300 nm or less is formed on the ceramic thin film. The effect of significantly improving the wear resistance and lubricity of the material can be obtained. This phenomenon is due to the fact that the wear resistance is remarkably improved by chemically changing the ceramic precursor attached to the substrate surface into a ceramic thin film chemically using ultraviolet rays and the like. By covering the surface with a low surface energy thin film made of organosilane with low surface tension and having fluorocarbon chains or long alkyl carbon chains, the surface free energy is reduced, and the wear resistance and lubricity of the base material are drastically reduced. By being improved. Further, since the surface free energy is lowered, the water repellency and oil repellency are remarkably improved. While the water droplet contact angle on the ceramic thin film is 5 ° or less, the formation of a low surface energy thin film increases the water droplet contact angle to about 115 to 120 °. Further, the contact angle with respect to oil such as liquid paraffin increases to 80 to 90 °, and the surface of the base material exhibits remarkably water and oil repellency.
[0014]
The organosilane compound and organometallic compound ceramic precursor used for forming the ceramic thin film are preferably liquid and have a high vapor pressure. The organic silane used for forming the low surface energy thin film preferably contains at least one functional group having a low polarity, that is, a low surface energy, such as a fluorocarbon or a methyl group. This is because when the polarity is high, that is, when the surface energy is high, the interaction with the contacting object becomes large and the wear proceeds. Further, in order to obtain a strong chemical bond with the ceramic thin film surface, the reactive functional group (OR: R = C n H 2n + 1) it is preferable that at least three entered. This is because if there are few reactive functional groups, sufficient adhesion cannot be obtained at the interface between the ceramic thin film surface and the low surface energy thin film. The film thickness is preferably 350 nm or less, including the ceramic thin film and the low surface energy thin film. This is because if the film thickness is 350 nm or less, there is no change in the shape and optical characteristics of the substrate surface. By using the technique of the present invention, it becomes easy to process a plastic base material that is inferior in heat resistance, particularly a component having a fine and complicated shape, which has been difficult with the prior art.
[0015]
The reason why the above-mentioned treated substrate exhibits high wear resistance and lubricity is that the ceramic thin film formed on the treated surface and the low surface having a long-chain fluorocarbon chain or a long-chain alkyl carbon chain formed thereon It is thought that these properties appear due to the physical and chemical synergistic effects of increasing the wear resistance and lowering the surface free energy by forming the inorganic-organic hybrid thin film composed of the energy thin film. In the present invention, by forming the inorganic-organic hybrid thin film on the surface of an appropriate member, a highly lubricious member having excellent wear resistance, high lubricity, and water / oil repellency can be obtained. In this case, it is possible to form the thin film on the surface of a member that has been processed into a predetermined shape in advance depending on the type of the member, or to manufacture the member by processing the material formed on the surface into a predetermined shape. It is also possible to do.
Specific examples of these members include members such as optical lenses, magnetic heads, magnetic tapes, hard disks, flexible disks, pistons, micromachine members, artificial tooth roots, dentures, denture bases, window glass, and automotive glass. However, it is not limited to these, and members made of appropriate materials and parts are included.
[0016]
【Example】
Next, the present invention will be specifically described based on examples. However, the following examples show preferred examples of the present invention, and the present invention is not limited to the examples. Absent.
Example 1
An acrylic substrate (manufactured by Asahi Kasei, Delaglass A (Registered)) is exposed to vacuum ultraviolet light having a wavelength of 172 nm under atmospheric pressure for 30 minutes, and the surface of the substrate is rendered tetraethyl orthosilicate (C 2 H 5 O) 4. Tetraethyl orthosilicate was chemically adsorbed from the vapor phase using Si (made by Wako) vapor. The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 1 hour. The sample surface was again irradiated with vacuum ultraviolet light at 1000 Pa for 30 minutes using the same light source. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0017]
Example 2
Fluorinated alkylsilane CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 having a long fluorocarbon chain CF 3 (CF 2 ) 7 — on the surface of the base material of Example 1 from the gas phase. A thin film made of KBM7803 (manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.) was formed. The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 8 hours. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0018]
Example 3
1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasiloxane on a polystyrene substrate (OPS sheet # 3000 manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.) exposed to a vacuum ultraviolet light having a wavelength of 172 nm for 20 minutes under 1000 Pa to make it hydrophilic. 1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasiloxane was physically adsorbed from the vapor phase using vapor of C 4 H 16 O 4 Si 4 (manufactured by Azmax). The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 3 hours. The sample surface was again irradiated with vacuum ultraviolet light at 1000 Pa for 30 minutes using the same light source. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0019]
Example 4
Fluoroalkylsilane CF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 Si (OCH 3 ) 3 having a long-chain fluorocarbon chain CF 3 (CF 2 ) 7 — on the surface of the base material of Example 3 from the gas phase. A thin film made of KBM7803 (manufactured by Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.) was formed. The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 8 hours. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0020]
Comparative Example 1
Abrasion tests were performed on an acrylic substrate (manufactured by Asahi Kasei, Delaglass A (Registered)) using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0021]
Comparative Example 2
An acrylic substrate (Delagrass A (Registered), manufactured by Asahi Kasei) is exposed to vacuum ultraviolet light having a wavelength of 172 nm under atmospheric pressure for 30 minutes, and tetraethyl orthosilicate (C 2 H 5 O) 4 is formed on the surface of the substrate. Tetraethyl orthosilicate was chemically adsorbed from the vapor phase using Si (made by Wako) vapor. The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 1 hour. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0022]
Comparative Example 3
A wear test was performed on a polystyrene base material (manufactured by Asahi Kasei, OPS sheet # 3000) using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0023]
Comparative Example 4
1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasiloxane on a polystyrene substrate (OPS sheet # 3000 manufactured by Asahi Kasei Co., Ltd.) exposed to a vacuum ultraviolet light having a wavelength of 172 nm for 20 minutes under 1000 Pa to make it hydrophilic. 1,3,5,7-tetramethylcyclotetrasiloxane was chemisorbed from the gas phase using vapor of C 4 H 16 O 4 Si 4 (manufactured by Azmax). The treatment temperature was 80 ° C. and the treatment time was 3 hours. This sample was subjected to an abrasion test using an atomic force microscope (load: 6 μN, number of scans: 5 times, scan area: 1 μm 2 ). The result is shown in FIG.
[0024]
When the abrasion resistance of the samples prepared in Examples 1 to 4 and Comparative Examples 1 to 4 is relatively evaluated, Comparative Example 2 << Comparative Example 1 << Example 1 << Example 2 (acrylic substrate), comparison Example 4 ≦ Comparative Example 3 << Example 3 << Example 4 (Polystyrene Substrate), and the untreated acrylic substrate and polystyrene substrate have the lowest wear resistance, and are composed of a ceramic thin film and a low surface energy thin film. It was found that each base material on which the organic hybrid thin film was formed had the best friction resistance and lubricity.
[0025]
Example 5
(Manufacture of highly lubricious members)
The inorganic-organic hybrid thin film produced in Example 4 was processed into a predetermined shape to produce a highly lubricated member for micromachine parts having excellent wear resistance, lubricity, water repellency and oil repellency. In this case, the water contact angle was about 120 °, and the contact angle for liquid paraffin was about 86 °.
[0026]
【The invention's effect】
As described in detail above, the present invention is an inorganic-organic hybrid thin film comprising a base material, a ceramic thin film formed on the surface of the base material, and an organic silane thin film, and the base material is made of metal, ceramics, glass, plastics. In any of the above materials, the film thickness is 350 nm or less, which relates to a thin film having wear resistance and high lubricity, and a method for producing the thin film. According to the present invention, 1) 2) Various members such as optical lenses, magnetic heads, magnetic tapes, hard disks, flexible disks, pistons, micromachine parts, artificial roots, dentures, Excellent abrasion resistance and high lubricity, and water / oil repellency can be imparted to the surface of denture base, etc. 3) Because it uses a gas phase reaction Less impact on the environment compared to conventional processes using organic solvents. 4) Because of the use of gas phase reactions, liquid pools and coatings have been problematic in processes using organic solvents. A thin film can be uniformly coated on a nanometer scale even on a substrate having a complicated shape without causing unevenness, etc. 5) The process is simple, and light and electron beams are used. It is possible to produce a substrate with excellent wear resistance and high lubricity by an energy saving process that can be processed at low temperature. 6) High wear resistance, high lubricity, water / oil repellency It is possible to provide a special effect such as providing a lubricating member.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory diagram showing wear characteristics of acrylic substrates according to examples and comparative examples.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing changes in wear characteristics of polystyrene base materials according to examples and comparative examples.
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