JP3869344B2 - ロッカアームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンにおけるバルブを開閉させるための駆動力を伝達するロッカアームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロッカアームは、クランクシャフトに連動してカムが回転すると、長手方向一端側のピボット軸を揺動中心として揺動し、揺動端であるバルブステムを押動してこれを上下動させてバルブを開閉させるものである。
【0003】
このような動作を行うロッカアームは、プレス成形により薄板材を折り曲げ加工して一対の側壁を有する断面U形状に形成される。このロッカアームは、一端側にバルブステムを支承する支承部を、また、他端側に揺動中心となるピボット軸が取り付けられる取付部を有する。
【0004】
そして、このようなロッカアームは、薄板材のプレス加工であるために、取付部にはピボット軸取り付けの強度を確保するためにボス部が設けられ、このボス部にピボット軸螺合のための螺合穴が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−150909号公報(全頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らは、このようなボス部の形成について鋭意研究を重ねた。その一例を図4を参照して説明する。まず、図4(a)で示すように取付部40には仮想線で示す周辺肉部42の流動によりボス部44を形成する。次いで、図4(b)で示すようにボス部44に下穴46を形成する。次いで、図4(c)で示すようにボス部44外周面を金型48で固定した状態でダイチップ50で下穴46より大径の貫通孔52を形成する。次いで、図4(d)で示すようにダイチップ50をその貫通孔52に挿通した状態でボス部44外周を別の金型54で押圧する。最後に、図4(e)で示すようにその貫通孔52にねじ切り加工を施して螺合穴56を形成する。しかしながら、このような工程による場合、取付部40の表面の内周縁にだれ58が生じてしまう。このだれ58領域にはピボット軸を螺合させることはできないから、その分、有効な螺合穴領域が減り、ピボット軸の取り付け強度が低下することになっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のロッカアームの製造方法は、ピボット軸を取り付ける取付部を備え、この取付部の裏面側にピボット軸取り付け強度確保のためのボス部を形成し、前記ボス部を含む前記取付部にそれらを内外に貫通したピボット軸螺合用の螺合穴が設けられているロッカアームの製造方法であって、前記取付部に形成されているピボット軸の外径より小さい貫通穴に対してバーリング加工を施して前記貫通穴の内周壁の肉部を流動させ、前記取付部の裏面側に前記ボス部を形成する第1の工程と、前記バーリング加工方向とは反対方向に前記貫通穴の内周壁の肉部を流動加工して前記取付部表面側の前記貫通穴周辺部におけるだれを無くすと共に当該周辺部を盛り上げる第2の工程と、前記貫通穴の内径を拡径するように前記盛り上げた周辺部を含む当該貫通穴の内周面に前記ピボット軸螺合のためのねじ切り加工を施して前記螺合穴を形成する第3の工程と、を含むとともに、前記第2の工程は、貫通穴より大径の円柱形または円錐形のダイチップを前記貫通穴に挿入することによって行われ、その挿入容積はだれの埋め込みに要する容積と周辺部を盛り上げて形成する盛り上げ部の容積との合計にされている。
【0008】
本発明によると、第1の工程で、バーリング加工方向の裏面側に前記ボス部を形成した際に、前記取付部表面側にだれが発生している。そして、第2の工程で、前記バーリング加工方向と反対方向に前記貫通穴の内周壁の肉部を流動加工して前記取付部表面側における前記貫通穴周辺を盛り上げるようにしている。これによって、取付部表面側のだれが解消すると同時にだれ方向とは逆の方向に周辺部が盛り上がったものとなる。その結果、第3の工程で形成した螺合穴は、その周辺部もピボット軸の取り付けに有効な螺合穴にすることができるから、ピボット軸の取り付け用螺合穴領域が大幅に拡大したものとなる。したがって、本発明では、だれ領域が解消する一方で、そのだれ領域を逆に取付部表面方向に盛り上げ、その盛り上げ部を有効な螺合穴領域として活用できるから、ピボット軸の取り付け強度が大幅に向上するものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0010】
図1を参照して、本発明の製造方法が適用されるロッカアームAを説明する。2はカム、4はピボット軸(ラッシュアジャストスクリュー)、6はバルブステムを示す。ロッカアームAは、ロッカアーム本体8と、カム2に接するローラ10とを備える。ローラ10は、ロッカアーム本体8の長手方向中間に、周方向多数のころ11を介し、ピン12により回転自在に取り付けられている。ロッカアーム本体8は、プレス成形により薄板材を折り曲げ加工して一対の側壁8a,8bを有する正面視断面U形状(図1の左右の一方向から見られた形状)に形成される。ただし、両側壁8a,8bのうち、一方は図にあらわれないが、符号を併記している。ロッカアーム本体8の一端側の両側壁8a,8b間にはバルブステム6を支承する支承部14が、また、他端側の両側壁8a,8b間には揺動中心となるピボット軸4が取り付けられる取付部16が、それぞれ設けられている。支承部14と取付部16は、側壁8a,8bと一体的に設けられた連接壁を構成するが、側壁8a,8bとは別体に設けられてもよい。
【0011】
ロッカアーム本体8の取付部16の裏面側にはピボット軸4の取り付け強度を確保するためにボス部18が設けられる。このボス部18には、取付部16を含めて内外に貫通したピボット軸4螺合用の螺合穴20が形成されている。
【0012】
図2を参照してロッカアームAの製造方法を説明する。まず、図2(a)で示すように取付部16にピボット軸4の外径より小さい穴径D0を有する貫通穴22をバーリング加工用の下穴として形成する。次いで、図2(b)で示すようにこの貫通穴22に対して先端が円錐台形とされた直径D1(>D0)の円柱型突出部24aを有するダイチップ24を用いたバーリング加工を施す。これによって、貫通穴22は、それより大径の穴径D1を有する貫通穴22’に拡径されるとともに、その拡径に伴う貫通穴22’内周壁のバーリング加工方向への肉部流動により取付部16の裏面側にボス部18が形成される。
【0013】
次いで、図2(c)で示すようにバーリング加工方向と反対方向に別のダイチップ26を用いた返し加工を施すことにより貫通穴22’内周壁の肉部を前記反対方向へと流動させて取付部16の表面側における貫通穴22’の周辺部を盛り上げて盛り上げ部28を形成する。この場合、ダイチップ26は、外径がD2(>D1)で突出長がLの円柱型突出部26aを有する。この円柱型突出部26aの外径D2は、前記貫通穴22’の穴径D1より大きくされており、仮想線30で示されるように貫通穴22’に挿入される。この仮想線30で示される挿入容積の肉部の流動量は、前記だれ32の埋め込みに要する容積と盛り上げ部28の容積との合計となる。なお、盛り上げ部28が仮想線で示されているのは、ダイチップ26が貫通穴22’に挿入される前だからである。以上の盛り上げ部28の形成によって、貫通穴22’の周辺部のだれ32が無くなる。
【0014】
最後に、図2(d)で示すように貫通孔22の内周面にピボット軸4螺合のためのねじ切り加工を不図示のねじ切り加工具により施してさらに貫通穴22’をさらに拡径させて螺合穴20を形成する。この螺合穴20は、盛り上げ部28の内周壁まで形成されている。この場合の螺合穴20の山谷の中間における穴径は、ダイチップ26の円柱型突出部26aの外径D2に対応する。これは、螺合穴20をねじ切り加工具で形成するときに、谷部分の形成に伴なって肉部が流動して盛り上がって山部分を形成するからである。
【0015】
この螺合穴20におけるピボット軸4の取り付け螺合用として有効な螺合領域を理解のため図2(c)に戻って説明する。貫通穴22のだれ領域32を除いた長さをL0、だれ領域32の長さをL1、盛り上げ部28の長さをL2とする。だれ領域32が存在する場合での有効螺合領域の長さは、ボス部18を含む取付部16全体の長さL0+L1からだれ領域32の長さL1を差し引いた長さL0となる。これに対して、本実施形態のように、だれ領域32が無く、盛り上げ部28が存在する場合での有効螺合領域の長さは、ボス部18を含む取付部16全体の長さL0+L1よりもさらに、盛り上げ部28の長さL2を加えた長さL3=L0+L1+L2となる。すなわち、本実施形態では、有効螺合長さがL1+L2増加することになり、それだけ、ピボット軸4の取り付け強度が向上する。
【0016】
以上から明らかであるように、本実施形態で形成された螺合穴20は、図2(b)のバーリング加工で発生した貫通穴22の周辺部のだれ32が無くなると共に、その周辺部に盛り上げ部28が形成されるから、ピボット軸4が有効に螺合される螺合穴20の螺合領域が広がり、ピボット軸4の螺合穴20に対する取り付け強度が大幅に向上することになる。したがって、本実施形態では、ピボット軸4の取り付け強度に優れたロッカアームAを製造することができる。
【0017】
なお、図2(c)においては、図3で示すように先端が円錐形状に先鋭とされたダイチップ26aを用いて返し加工をしてもよく、この場合には、貫通穴22の内周壁において流動される肉部は30aで示すようにそのダイチップ26aの先端形状に沿ってより円滑に流動するものとなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、ピボット軸螺合に有効な螺合穴領域が拡大する結果、ピボット軸の取り付け強度に優れたロッカアームを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るロッカアームの全体の概略構成を示す図
【図2】(a)ないし(d)は本発明の実施形態に係るロッカアームの製造方法の各工程の説明に供するもので、いずれも図1のロッカアーム本体のピボット軸取付部の各拡大断面図
【図3】本発明の他の実施形態に係るロッカアームの製造方法において、図2(c)の工程に対応するもので、ピボット軸取付部の拡大断面図
【図4】(a)ないし(e)は従来のロッカアームの製造方法の各工程の説明に供するもので、いずれもロッカアーム本体のピボット軸取付部の各拡大断面図
【符号の説明】
2 カム
4 ピボット軸
6 バルブステム
8 ロッカアーム本体
16 取付部
18 ボス部
20 螺合穴
22 貫通穴
24、26 ダイチップ
28 取付部表面の貫通穴周辺
Claims (1)
- ピボット軸を取り付ける取付部を備え、この取付部の裏面側にピボット軸取り付け強度確保のためのボス部を形成し、前記ボス部を含む前記取付部にそれらを内外に貫通したピボット軸螺合用の螺合穴が設けられているロッカアームの製造方法であって、
前記取付部に形成されているピボット軸の外径より小さい貫通穴に対してバーリング加工を施して前記貫通穴の内周壁の肉部を流動させ、前記取付部の裏面側に前記ボス部を形成する第1の工程と、
前記バーリング加工方向とは反対方向に前記貫通穴の内周壁の肉部を流動加工して前記取付部表面側の前記貫通穴周辺部におけるだれを無くすと共に当該周辺部を盛り上げる第2の工程と、
前記貫通穴の内径を拡径するように前記盛り上げた周辺部を含む当該貫通穴の内周面に前記ピボット軸螺合のためのねじ切り加工を施して前記螺合穴を形成する第3の工程と、
を含むとともに、
前記第2の工程は、貫通穴より大径の円柱形または円錐形のダイチップを前記貫通穴に挿入することによって行われ、その挿入容積はだれの埋め込みに要する容積と周辺部を盛り上げて形成する盛り上げ部の容積との合計にされている、ことを特徴とするロッカアームの製造方法。
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