JP3865642B2 - 消耗電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消耗電極に係り、特に、真空アーク溶解により純チタンインゴットを製造するための消耗電極に関する。
【従来の技術】
チタン材は高い強度を有し、また高温下での使用が可能であるため、様々な用途に使用されるが、特に航空機用に用いられる場合は、高品質で十分な信頼性を備えた素材が提供されている。
【0002】
このため、航空機用のチタン材として、クロール法により製造されたスポンジチタンのうち、酸素や鉄、あるいは窒素等の含有率が低いスポンジチタンを選別し、このスポンジチタンを原料とした純チタンインゴットが製造されていた。
【0003】
このように、高品質の純チタンインゴットを製造するとき、その製造工程で切削屑や切断片等のスクラップ材が発生する。このスクラップ材や、不純物を比較的多く含むスポンジチタンは、例えば、鉄鋼添加剤等に使用されていたが、必ずしも十分に活用されているわけではなかった。
【0004】
一方、最近では、自動車や二輪車のマフラー、ゴルフクラブヘッド、テニスラケット等の民生品の分野でも、チタン材が使用されるようになってきている。これら民生品については、上記航空機用のチタン材に比して、高い品質を有していないものであっても対応可能である。このため、いままで有効活用されていなかったスクラップ材や、酸素や鉄、あるいは窒素の含有率が相対的に多い、いわゆるB級のスポンジチタンの活用の幅が広がることとなった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常、純チタンインゴットは、スポンジチタン等の原料からブリケットを形成し、これらブリケットを溶接して消耗電極を形成し、この消耗電極を真空アーク(VAR)溶解することにより形成される。
【0006】
しかし、純度の比較的低い、いわゆるB級スポンジチタンを利用する場合、ブリケットに高い含有率で酸素や窒素が含まれてしまうため、溶接強度が低下するという問題があった。更に、スクラップ材を利用する場合、スクラップ材の形状が一定でないため、ブリケットの形成が難しいという問題があった。
【0007】
また、不純物の含有量がそれぞれ異なる原料が使用されるので、製品として得られたインゴットの部位によって、不純物の含有率が異なったり、不純物の含有量が高くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、チタン材の加工工程で発生する切削屑や切断片、酸素,窒素,鉄の含有率が相対的に高い、即ち純度の比較的低いスポンジチタンを利用して、大型の純チタンインゴットの製造を可能とする消耗電極を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、酸素,窒素,鉄成分を、目標とする値にできるだけ近く、しかもインゴット全体にわたって均一に分布させた純チタンインゴットの製造を可能とする消耗電極を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の請求項1に係る消耗電極によれば、外周部にO含有量が0.07質量%以下、N含有量が0.009質量%以下、Fe含有量が0.05質量%以下、残部は実質的にTiである第1のチタン材が配置され、内部にO含有量が0.08〜0.3質量%、N含有量が0.01〜0.1質量%、Fe含有量が0.06〜5.0質量%、残部は実質的にTiである第2のチタン材が配置されたブリケットを備え、該第1のチタン材および第2のチタン材からなるブリケットを含む複数のブリケットが平面方向および垂直方向に接合され、頂部に前記第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したことにより解決される。
【0011】
このように、本発明の消耗電極によれば、純度の異なる2種類のチタン材を用いて、消耗電極の構成単位であるブリケットが形成されるものであり、従来では有効に活用されていなかった、純度の低いチタン材を活用することが可能となる。
【0012】
また、消耗電極は、複数のブリケットを組み立ておよび溶接して形成される。本例の消耗電極は、外周部に純度の高い第1のチタン材が位置したブリケットを溶接して形成されるものであり、ブリケットは第1のチタン材の部分で溶接されることになり、高い接合強度で溶接される。したがって、大型の消耗電極を形成することが可能となる。また頂部に第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したので耐荷重性の面で好ましくなる。
【0013】
更に、前記該第1のチタン材および第2のチタン材からなるブリケットに隣接して、前記第1のチタン材のみからなるブリケットを配設することにより、更に高い接合強度で、ブリケット同士を溶接することが可能となる。また、第1のチタン材のみからなるブリケットを使用することにより、純チタンインゴットに含まれる酸素(Oで表示する),窒素(Nで表示する),鉄(Feで表示する)の含有率を調整することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項3に係る消耗電極は、O含有量が0.07質量%以下、N含有量が0.009質量%以下、Fe含有量が0.05質量%以下、残部は実質的にTiである第1のチタン材と、O含有量が0.08〜0.3質量%、N含有量が0.01〜0.1質量%、Fe含有量が0.06〜5.0質量%、残部は実質的にTiである第2のチタン材を混合してなるブリケットと、前記第1のチタン材のみからなるブリケットと、を備え、前記第 1のチタン材のみからなるブリケットが、前記該第1のチタン材および第2のチタン材を混合してなるブリケットに隣接して配設されるように、平面方向および垂直方向に接合され、頂部に前記第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したことにより解決される。
【0015】
このように、前記該第1のチタン材および第2のチタン材を混合してなるブリケットに隣接して、前記第1のチタン材のみからなるブリケットを配設することにより、ブリケット同士の高い接合強度を確保することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0017】
図1乃至図21は本発明の一実施例を示すものであり、図1は消耗電極を示す説明図、図2乃至図13はブリケットの構成および接合状態を示す説明図、図14は参考例としてのブリケットを示す説明図、図15乃至図17はブリケットの成形方法を示す説明図、図18はブリケットを組み立ててなる消耗電極の一部分を示す説明図であり、図19は消耗電極の外観図、図20および図21は消耗電極の他の例を示す説明図である。
【0018】
本発明における消耗電極6は、真空アーク溶解することにより純チタンインゴットを得るためのものである。消耗電極6は、複数のブリケットを接合して形成される。
【0019】
消耗電極6の一例を図1に示す。消耗電極6は、O(酸素),N(窒素)の含有量がきわめて少ないチタン材(第1のチタン材;以下、「A級チタン材」という)が外周部に配置され、O(酸素),N(窒素),Fe(鉄)の含有量がやや高いチタン材(第2のチタン材;以下、「B級チタン材」という)が内部に配置されたブリケット1aと、A級原料チタン材のみから形成されたブリケット1bとを交互に組み合わせて形成されている。
【0020】
A級チタン材は、実質的にTi純度が99.8%以上のチタン材を言うものであり、不純物純度でいえば、O含有量が0.07質量%以下、およびN含有量が0.01質量%以下、残部は実質的にTiであるチタン材が該当する。
【0021】
A級チタン材としては、一般展伸材用のスポンジチタン、あるいは高純度のA級スポンジチタンを用いて製造されたインゴットを加工した場合に発生する高純度のチタンスクラップ、あるいはこれらと同等純度のチタン材が使用される。
【0022】
B級チタン材は、O含有量が0.08〜0.3質量%、N含有量が0.01〜0.1質量%、Fe含有量が0.06〜5.0質量%、残部が実質的にTiのチタン材が該当する。
【0023】
なお、不可避成分としての不純物として、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、V(バナジウム)は実質的に含有されるべきではなく、かりに意図的でなく含有される場合は、製造されるインゴットの性質に影響しない限度、具体的には0.05質量%以下が許容量とされる。
【0024】
B級チタン材は、TiCl4の還元で得られるスポンジチタン塊のうち、A級スポンジチタンよりも純度が低いグレードであって、具体的にはスポンジチタン塊の外周部や底部から採取されるスポンジチタン(これを以下、「B級スポンジチタン」という)、およびスクラップ材(これを以下、「B級スクラップ材」という)からなる。
【0025】
B級スポンジチタンは、具体的には、Fe含有量が0.5〜2.0質量%、N含有量が0.01〜0.5質量%、O含有量が0.05〜0.3質量%、Ti純度が98%以上のスポンジチタンが該当する。B級チタン材は、必要であれば2種以上を組み合わせて、上記組成となるように調整して使用される。
【0026】
B級スクラップ材とは、A級スポンジチタンから製造されるインゴットの加工過程で発生する切削屑や切断片が該当し、具体的には、インゴット表面や圧延加工した材料表面の研削時に発生する黒皮、鍛造したスラブ表面の研削時に発生する白皮(切り粉)、圧延板、棒、線を加工する際に発生する切断片(チップ)が含まれる。
【0027】
上記スクラップ材はいずれも元々は高純度のチタン材であったが、加工過程で、高温下での空気接触がなされているため、概してOおよびN含有量が高くなっている。なお、Fe含有量は少ない。
【0028】
両原料チタン材は、切断,破砕などにより整粒を行って、ブリケット成形に適した形状にしておくことが好ましい。具体的には、A級チタン材、B級チタン材とも、粒径4〜30mmあるいは30mm角以下の切片にしておくことが好ましい。また、2種類以上の材料を使用する場合は、ミキサーで十分混合しておくと良い。
【0029】
なお、B級チタン材としてスクラップ材を使用する場合、スクラップ材には切削油や水分が付着していることが多いため、ブリケット成形前に十分除去しておくことが好ましい。
【0030】
切削油については、有機溶剤等による洗浄により除去することが可能である。洗浄後のチタン材中の油分は0.02質量%以下、水分は0.01質量%以下にしておくことが好ましい。
【0031】
なお、B級チタン材を構成するスポンジチタンとして、上記B級スポンジチタンの他に、B級スポンジチタンよりもO,NならびにFeの含有量のいずれかが多い部位、とりわけFeの含有量が2.0〜4.0質量%と高い割合となっている部位から採取されるスポンジチタンも使用することが可能である。
【0032】
上記スポンジチタンを使用する場合は、O,NならびにFe含有量の少ない原料チタン材と混合し、不純物純度が許容範囲になるように調整してから使用すると良い。このため、必要であれば、A級スポンジチタンを混合しても良い。
【0033】
更に、O,N,Feの既定値を、各種材料の混合割合で調整できない場合は、O源あるいはFe源として、TiO、TiO2、Ti3O5のようなチタン酸化物あるいは電解鉄や鉄釘のような金属鉄を、第2のチタン材、即ち、B級スポンジチタンあるいはB級スクラップ材中に添加してからブリケットを形成しても良い。
【0034】
上記原料チタン材よりブリケットが形成される。ブリケットは、電極構成の最小単位をなすものであり、外側はA級チタン材からなり、内側はB級チタン材からなる。ブリケットは、各原料の分析値に基づき、目的の純チタンインゴットを得るに必要な原料構成(使用原料,割合,使用量)を定めて作成される。
【0035】
本例では、結果としてO含有量が0.07〜0.4質量%、N含有量が0.005〜0.03質量%、Fe含有量が0.15〜0.4質量%であり、その他不可避不純物が含有され、残部が実質的にTiより構成された純チタンインゴットが作成されるような原料構成とする。
【0036】
なお、具体的には、B級チタン材の割合は、ブリケット作成時や完成したブリケットの引っ張り強度の面から80質量%以下にすることが好ましく、またコスト面から30質量%以上にすることが好ましい。
【0037】
ブリケットは、例えば、縦20〜40cm、横30〜50cm、高さ20〜30cm、質量は30〜100kgになるように形成されるが、これに限るものではない。ブリケットは、原料チタン材を型枠に入れ、およそ3000トンの圧力で圧縮成形して作成される。
【0038】
図2乃至図13に、ブリケット1の構成を示す。図2はブリケット1の外観斜視図、図3はブリケット1の正面図である。また、図4〜図13は、本発明で用いられるブリケットもしくはブリケットを接合してなる消耗電極(以下、「ブリケットユニット」という)の断面図である。図示されているようにブリケット1の外観は角形であり、部分的に角が丸められているものもある。
【0039】
図4および図5に示すブリケット1は、B級チタン材3の領域が、A級チタン材2の領域に完全に内包されている構造であり、断面では、A級チタン材2の領域が角形あるいはO字状になるように構成されている(以下、「O型ブリケット」という)。
【0040】
なお、図5に示すように、角部が丸められていない構成としても良い。また、図8および図9に示すように、内部がB級チタン材3からなり、その外側に2種類のA級チタン材2を使用した構成としても良い。
【0041】
O型ブリケット1は、図6に示すように、角部を内側にして接合される。更に、これら接合された2つのO型ブリケット1をそれぞれ接合することにより、図7に示すように、ブリケットユニット5が形成される。
【0042】
図10は、別の態様のブリケット1を示すものであり、このブリケット1を2つ以上組み合わせることにより、図11に示すようなブリケットユニット5が形成される。ブリケット1は、B級チタン材3の領域が、一部を除いて、A級チタン材2の領域で内包された構造となっており、断面では、A級チタン材2の領域がU字状になるように構成されている(以下、「U型ブリケット」という)。
【0043】
図12もまた、別の態様のブリケット1を示すものである。このブリケット1の断面は、A級チタン材2の領域がL字状になるように構成されている(以下、「L型ブリケット」という)。
【0044】
本発明で使用するブリケット1は、図4,図5,図8および図9に示すように、外側にA級チタン材2が、その内側には、A級チタン材2でとり囲まれるようにB級チタン材3が位置するように構成されている。なお、図14に示すブリケットは参考例であり、このように、A級チタン材2でB級チタン材3の両側を挟んだ形状のブリケット1では、B級チタン材3の一部が外周部に露出しているため、大型の電極に組み立てた場合、溶接強度上難点が残る。
【0045】
図15乃至図17は、一例として、前記U型ブリケットの成形方法を示すものである。まず、型枠11内にA級チタン材2およびB級チタン材3を充填し、上部から圧縮することにより形成される。成形工程として、図15に示すように、型枠11内に中子12を配設し、中子12よりも外側、すなわち、型枠11と中子12に囲まれた空間へ、A級チタン材2を充填する。
【0046】
また、中子12よりも内側には、B級チタン材3を充填する。その後、中子12を引き抜き、図16に示すように、上部にA級チタン材2を追加投入する。そして、充填された両チタン材2,3を、押圧手段13を使用して圧縮プレス成形することにより、図17に示すように、ブリケット1が完成する。そして、このブリケット1を二つ以上組み合わせて溶接することにより、図11(図11では4個のブリケットを水平方向に接合した例)に示すようなブリケットユニット5が形成される。
【0047】
図7は、O型ブリケットを8個、水平方向に連接した例であり、また図13は、L型ブリケットを8個、同様に連接したブリケットユニット5の別の例である。これらブリケットユニット5の断面は、即ち電極の断面と一致する。
【0048】
図7,図11,図13に示すように、複数のブリケット1を接合して出来たブリケットユニット5の断面、即ち電極の断面は、いずれも外周部にA級チタン材2が、内部にB級チタン材3が配置された構成となっている。
【0049】
更に、B級チタン材3の領域は、2つ以上の領域(図7ではA〜Hの8領域、図11及び図13ではA,Bの2領域)がA級チタン材領域に取り囲まれた構成になっている。
【0050】
なお、O型ブリケットやL型ブリケットなど、他のブリケットについても、中子の配置の仕方や、原料の充填の仕方を変更することにより、上記成形方法と同様にして得ることが可能である。
【0051】
ブリケット1の嵩密度は、3〜4g/cm3、好ましくは3.2〜3.8g/cm3とすることが好ましい。ブリケット1の嵩密度が上記範囲の下限値以下になると、消耗電極の強度が不足してしまい好ましくない。
【0052】
また、ブリケット1の嵩密度が上記範囲の上限値以上になると、ブリケット中に含まれる塩化マグネシウム等の揮発成分が散逸しにくく、溶製後のインゴット中で、塩素や酸素等の不純物濃度が下がりにくくなる場合があり、好ましくない。
【0053】
次に、消耗電極6の形成方法の一例について説明する。図18に示すように、消耗電極6は、2〜8個程度のブリケット1を水平方向に溶接接合してブリケットユニット5を作成し、次いでこのブリケットユニット5を垂直方向に複数段積み上げ、プラズマアーク溶接手段により接合部7で溶接加工して柱状に形成される。
【0054】
本例の消耗電極6を構成するブリケット1は、外側にO、Nをほとんど含まないA級チタン材2が位置し、その内側にB級チタン材3が位置するように形成されており、溶接はA級チタン材2の領域においてなされるので、ブリケットユニット5や消耗電極6を形成する際の溶接において、高い溶接強度が保持できる。よって、図19に示すように、多数のブリケット1を接合した消耗電極6を形成することができ、結果として、大型のインゴットの製造が可能となる。
【0055】
なお、消耗電極6の大きさは、目的とする純チタンインゴットの大きさに基づき選択される。例えば、5〜15トン程度の純チタンインゴットを製造する場合は、ブリケットユニットの構成にもよるが、通常ブリケットユニット5を5〜30段積層して消耗電極6が形成される。
【0056】
消耗電極6を溶解する際には、電極頂部にスタブが溶接により接合され、真空アーク(VAR)溶解炉内に装着される。なお、スタブを確実に接合するために、消耗電極6の頂部には、A級チタン材2のみで作成されたブリケットを接合しておくと、耐荷重性の面で好ましい。
【0057】
なお、消耗電極6の他の例として、図20に示すように、A級チタン材が外周部に配置され、B級チタン材が内部に配置されたブリケット1a(図4に示したブリケット1に相当するもの)のみから形成しても良い。
【0058】
あるいは、図21に示すように、A級チタン材とB級チタン材とを混合したチタン材からなるブリケット1cを形成し、このブリケット1cと、A級チタン材のみから形成されたブリケット1bとを交互に組み合わせた構成としても良い。
【0059】
以下、本例において作成されたブリケットの具体例を示す。
【0060】
(具体的実施例)
具体的な実施例として、純チタンインゴットの製造において使用されるブリケットの具体例を示す。ここでは、A級チタン材としてA級スポンジチタンを用い、B級チタン材としてB級スポンジチタンおよびB級スクラップ材(切り粉)を用いてブリケットを作成した。
【0061】
使用した原料チタン材は、具体的には、
A級スポンジチタン;平均粒径12mmの粒子、(成分)O含有量;0.085質量%、N含有量;0.003質量%、Fe含有量;0.04質量%、Ti純度;99.8%以上。
B級スポンジチタン;平均粒径25mmの粒子、(成分)O含有量;0.075質量%、N含有量;0.033質量%、Fe含有量;0.6質量%、Ti純度;99%以上。
切り粉;(成分)O含有量;0.16質量%、N含有量;0.02質量%、Fe含有量;0.08質量%、Ti純度;99%以上。
である。
【0062】
ブリケットの形状は角型であり、高さ185mm×横幅260mm×奥行407mmの大きさに形成されている。また、重さは65kgである。
【0063】
材料の配置(ブリケットのタイプ)および原料チタン材の割合を表1に示す。ここでは、ブリケット1(実施例1)、ブリケット2(実施例2)およびブリケット3(参考例)を作成した。
【0064】
(実施例1)
ブリケット1は、図4に示すようなO型ブリケットであり、A級チタン材70%、B級チタン材30%の割合で形成されている。
【0065】
(実施例2)
ブリケット2は、図10に示すようなU型ブリケットであり、A級チタン材57%、B級スポンジチタン30%、切り粉13%の割合で形成されている。
【0066】
(参考例)
ブリケット3は、図14に示すようなサンドイッチ型のブリケットであり、A級チタン材50%、B級チタン材50%の割合で形成されている。
【0067】
上記原料チタン材を型枠に充填したのち、圧搾機によりプレス圧3200トンで圧縮成形し、ブリケット1,ブリケット2,ブリケット3を作成し、各々のブリケット2個をアルゴンシールプラズマアーク溶接した。溶接後の各ブリケットの状態として、次の表1の結果を得た。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例1及び実施例2に示したブリケット1とブリケット2について、ハンマーにより衝撃を加えたが、ブリケットの崩壊はなかった。また、溶接したブリケットの溶接部と母材との結合状況も良好であった。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の消耗電極によれば、純度の異なる2種類のチタン材を用いて、消耗電極の構成単位であるブリケットが形成されるものであり、従来では有効に活用されていなかった、純度の低いチタン材を活用することが可能となる。
【0071】
また、消耗電極は、複数のブリケットを組み立ておよび溶接して形成される。本例の消耗電極は、外周部に純度の高い第1のチタン材が位置したブリケットを溶接して形成されるものであり、ブリケットは第1のチタン材の部分で溶接されることになり、高い接合強度で溶接される。したがって、大型の消耗電極を形成することが可能となる。また頂部に第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したので耐荷重性の面で好ましくなる。
【0072】
更に、前記該第1のチタン材および第2のチタン材からなるブリケットに隣接して、前記第1のチタン材のみからなるブリケットを配設することにより、更に高い接合強度で、ブリケット同士を溶接することが可能となる。また、第1のチタン材のみからなるブリケットを使用することにより、純チタンインゴットに含まれるO,N,Feの含有率を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の消耗電極を示す説明図である。
【図2】 ブリケットの斜視図である。
【図3】 ブリケットの正面図である。
【図4】 O型ブリケットの断面を示す説明図である。
【図5】 O型ブリケットの断面を示す説明図である。
【図6】 O型ブリケット2個を接合したときのブリケットユニットの断面を示す説明図である。
【図7】 O型ブリケット8個を接合したときのブリケットユニットの断面を示す説明図である。
【図8】 O型ブリケットの他の例を示す説明図である。
【図9】 O型ブリケットの他の例を示す説明図である。
【図10】 U型ブリケットの断面を示す説明図である。
【図11】 U型ブリケット4個を接合したときのブリケットユニットの断面を示す説明図である。
【図12】 L型ブリケットの断面を示す説明図である。
【図13】 L型ブリケット8個を接合したブリケットユニットの断面を示す説明図である。
【図14】 サンドイッチ形のブリケットを示す説明図である。
【図15】 ブリケットの成形方法を示す説明図である。
【図16】 ブリケットの成形方法を示す説明図である。
【図17】 ブリケットの成形方法を示す説明図である。
【図18】 消耗電極を示す説明図である。
【図19】 本発明のブリケットを接合して製造した長尺の消耗電極例である。
【図20】 消耗電極の他の例を示す説明図である。
【図21】 消耗電極の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c ブリケット
2 A級チタン材(第1のチタン材)
3 B級チタン材(第2のチタン材)
5 ブリケットユニット
6 消耗電極
7 接合部
11 型枠
12 中子
13 押圧手段
A〜H B級チタン材(第2のチタン材)領域
Claims (3)
- 外周部にO含有量が0.07質量%以下、N含有量が0.009質量%以下、Fe含有量が0.05質量%以下、残部は実質的にTiである第1のチタン材が配置され、内部にO含有量が0.08〜0.3質量%、N含有量が0.01〜0.1質量%、Fe含有量が0.06〜5.0質量%、残部は実質的にTiである第2のチタン材が配置されたブリケットを備え、該第1のチタン材および第2のチタン材からなるブリケットを含む複数のブリケットが平面方向および垂直方向に接合され、頂部に前記第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したことを特徴とする消耗電極。
- 前記該第1のチタン材および第2のチタン材からなるブリケットに隣接して、前記第1のチタン材のみからなるブリケットが配設されたことを特徴とする請求項1記載の消耗電極。
- O含有量が0.07質量%以下、N含有量が0.009質量%以下、Fe含有量が0.05質量%以下、残部は実質的にTiである第1のチタン材と、O含有量が0.08〜0.3質量%、N含有量が0.01〜0.1質量%、Fe含有量が0.06〜5.0質量%、残部は実質的にTiである第2のチタン材を混合してなるブリケットと、前記第1のチタン材のみからなるブリケットと、を備え、前記第1のチタン材のみからなるブリケットが、前記該第1のチタン材および第2のチタン材を混合してなるブリケットに隣接して配設されるように、平面方向および垂直方向に接合され、頂部に前記第1のチタン材のみで構成したブリケットを配置したことを特徴とする消耗電極。
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