JP3864032B2 - 生物発光によりrnaを検出する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、リボ核酸(RNA)を検出するための、特に、高等生物の細胞中に存在し、タンパク質合成に重要な関与をするメッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)を検出するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、高等生物の細胞中に存在し、タンパク質合成に関与するリボ核酸(RNA)は、DNAからの遺伝情報を他の細胞に伝達する仲介的役割をすることが知られている(広海啓太郎著,実験で学ぶ生化学,p205,化学同人,1987.7.10)。
【0003】
細胞質内で合成されるタンパク質は、核のDNAの塩基配列順序によって決定されることが明らかになっている。遺伝コード(暗号)は、コーディングトリプレット(暗号三重子)として知られる3個の重なり合わない塩基の組みがおのおのアミノ酸を規定するものである。そして、遺伝情報は、メッセンジャー(伝令)RNA(mRNA)という仲介者的分子によって核からリボソーム上のタンパク質合成系へと伝達される。この分子は核のDNAに相補的な塩基配列をもっており、コーディングトリプレットに対応するmRNA上の3個の塩基の組はコドンとして知られており、DNAはまず、第1段階としては、mRNAが合成されるための「鋳型」として働くのである。
【0004】
上記のmRNAはリボソームに運ばれ、tRNAの助けを借りて、特定タンパク質の合成に携わる。
【0005】
このようなRNAに対し、その組成を知ることで、人間の健康に関する分野(例えば、病気の診断や治療薬の開発)や、食品中のバクテリアの汚染を検出する分野(清浄度検査)等において応用範囲が広がってきており、最近の代謝・生合成系の分野で注目を浴びてきている。
【0006】
RNAの組成を検出する技術は公知であり、例えば、酵母から遠心分離によりRNAを単離し、紫外分光光度計(クロマトグラフィー)により吸収スペクトルを測定する方法や、RNAを加水分解した後、電気泳動により分離してヌクレオチドの吸収スペクトルを測定する方法はよく知られている。
【0007】
また、特公平8-2320号公報の請求項1には、試料中の3’−末端ポリリボアデノシンセグメントを有するポリヌクレオチドの測定方法であって、以下の工程;(a)試料中の核酸を、無機ホスフェートの存在下、ポリヌクレオチドホスホリラーゼで消化して、3’−末端ポリリボアデノシンセグメントを、ADPを含有するリボヌクレオシドジホスフェートに転化し;(b)消化工程(a)で生じたADPをホスホリル化してATPを製造し、;そして(C)ホスホリル化工程(b)で生じたATP又はホスホリル化工程の副生成物のどちらかを検出する、ことよりなる、ポリヌクレオチドの測定方法が開示してあり、また、請求項2では、3’−末端ポリリボアデノシンセグメントを有するポリヌクレオチドが、真核生物のmRNAであることを特徴とし、さらに、請求項9では、ATPの検出する工程で、ルシフェラーゼの存在化で、ルシフェリンと反応させて、生物発光反応を生ぜしめてATP量を検出する技術が開示されている。
【0008】
これにより、真核生物のmRNAの組成を、ATPによる生物発光により検出することが可能となり、また、mRNAのAMP又はADPへの消化、ADPからATPへのホスホリル化により、各成分を定量することが可能になるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、真核生物のmRNAの組成を、ATPによる酵素反応で生物発光により検出する技術は、特公平8-2320号公報に開示されているが、この中で記載された生物発光の測定は、発光の安定性が悪く、発光が非常に短時間に消失するという欠点を有しており、感度と精度を獲得するため、反応時間の厳密な制御と、短時間で消失する発光を捕らえるための特別なルミノメータの使用を必要とする問題点がある。
【0010】
特開平11-69997号公報には、汚れの指標成分であるATPに加え、従来のルシフェリン・ルシフェラーゼ発光試薬では測定が困難であったADP、AMP及びRNAも同時に測定して、少ない汚れでも、感度よく検出して、精度よく清浄度を評価できる清浄度検査試薬及びこの試薬を用いる清浄度検査方法を提供するものである。
【0011】
上記公報によるRNAの測定は、RNA分解酵素によりRNAから5’−モノクレオチド(AMP,GMP,CMP,UMP)を生成し、これによりRNAをAMPに変換せしめ、次いで、AMPがATPに変換され、次いで、ATPがルシフェリン/ルシフェラーゼ反応により消費されて発光し、AMPが生成することが示されている。これにより、一連のATP変換反応系において生成する発光は減衰することなく、高水準のまま、少なくとも10分間にわたって安定となる。
【0012】
上記特開平11-69997号公報に開示される検査試薬及び検査方法は、AMPをATPに変換する再生系において、触媒となる酵素にピルベートオルトホスフェートジキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸及びピルビン酸を用いたものである。しかしながら、以下の構造式で示されるホスホエノールピルビン酸は、1分子にリン酸基( PO 3基)が1個しか含まれておらず、AMPからATPへの変換が不十分となり、ATPを多量に再生するにはホスホエノールピルビン酸を多量に補給しなければならなかった。このようにホスホエノールピルビン酸を多量に補給するのは、不経済であった。
【化1】
Figure 0003864032
【0013】
また、ホスホエノールピルビン酸は熱に非常に弱く分解されやすい性質があり、炊飯工場などで炊き上がったばかりのご飯を被検査物とする場合(例えば、品温が摂氏60〜70℃程度の被検査物に対し、耐熱性の酵素を用いて測定するとよい。)、ホスホエノールピルビン酸を含む試薬を被検査物に投与すると、リン酸基が分解されてAMPからATPへの変換が不十分となることがある。つまり、ATPによる蛍光発光の安定性が悪く、発光が非常に短時間に消失する虞(おそれ)がある。
【0014】
さらに、被検査物中には、複数種類の細菌が存在する場合もあり、この細菌中にホスホエノールピルビン酸を分解する酵素が存在すると、リン酸基が補給されず、AMPからATPへの変換が不十分となる虞がある。
【0015】
本発明は、上記問題点にかんがみ、ホスホエノールピルビン酸のようなリン化物が少なく、耐熱性に問題のある物質を使うのではなく、新規な物質を使って生物発光強度の増加及び発光時間を安定に持続させる生物発光によりRNAを検出する方法を提供することを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、以下の工程によりRNAを生物発光により検出する。即ち、(1)試料中のRNAをRNA分解酵素により分解し、モノヌクレオチドを得る第1工程(2)該第1工程によって得られたモノヌクレオチドのうちのAMPを、リン酸基転移酵素であるAPP(AMP-polyPホスホトランスフェラーゼ)の存在下で、化学合成により生成されたポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜100個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜100)又はバクテリア由来のポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜1000個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜1000)と反応させてADP(アデノシン二リン酸)を生成させる第2工程(3)該第2工程で得られたADPを、PPK(ポリリン酸キナーゼ)の存在下で前記ポリリン酸と反応させてATP(アデノシン三リン酸)を生成させる工程、(4)該第3工程によって得られたATPをルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させて発光させる第4工程、及び(5)該第4工程により生成した発光量を測定することにより前記RNA中のAMPを定量する第5工程とからなるものである。
【0017】
これにより、第1工程で試料中のRNAを単離し、得られたヌクレオチドのうちのAMPを、第2工程でADPに変換し、次いで、第3工程でADPからATPに変換せしめるが、このとき、ポリリン酸及びポリリン酸合成酵素であるPPK(ポリリン酸キナーゼ)を添加しているので、AMPからADPを経てATPへの変換が十分に行われる。また生物発光で生じたAMPが同反応により再びATPまで再生される。つまり、生物発光の発光量を減衰することなく、安定に持続させることができ、安価でかつ構造が簡単なルミノメータによりRNA中のAMPを検出することが可能となる。
【0018】
また、前記ポリリン酸、化学合成により生成されたポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜100個のリン化物が直鎖状に重合したものを用いるとよい。これにより、ポリリン酸化合物の1分子中にリン酸基( PO 3基)が少なくとも10〜100個含まれているので、AMPからADPを経てATPへの変換が十分に行われ、ATPを再生する際の補給が少量となり経済的となる。
【0019】
そして、前記ポリリン酸、バクテリア由来のポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いると、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0020】
さらに、前記ポリリン酸化合物は、ポリリン酸合成酵素(PPK)の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。まず、試料中のRNAを単離する方法は公知の方法で行なうとよい。例えば、加水分解、遠心分離、電気泳動のいずれか又は組み合わせによりRNAを単離する方法を以下に述べる。
【0022】
細胞からRNAを単離するには遠心分離を用いるとよい。例えば、酵母の全RNAの抽出は細胞の摩砕物をフェノールで処理して巨大分子の水素結合を切り、タンパク質の変性を起こす。不透明な懸濁液を遠心分離にかけると2相に分かれ、下側のフェノールの相はDNAを含み、上側の水相は炭水化物とRNAを含む。変性したタンパク質はさらに遠心分離によって除き、次に、RNAをアルコールで沈殿させ、得られた生成物はDNAは含まないが、多糖類を夾雑しており、それ以上の精製はアミラーゼで処理することによって行なう。
【0023】
RNAを構成塩基に分解するには、加水分解するとよい。すなわち、RNAのペプチド結合を分解するためRNA分解酵素で処理し、5’-モノヌクレオチド(AMP、GMP、CMP及びUMP)に加水分解される。RNA分解酵素としては公知のものを用いるとよく、例えば、ヌクレアーゼS1を用いる。
【0024】
従来は、このようにして生成した塩基を、ペーパークロマトグラフィーにより分離し、紫外線で検出したり、pH3.5のクエン酸緩衝液中では構成塩基が各々全く異なる電荷をもつので、電気泳動によって分けたり、さらに、強酸性のイオン交換カラムで分離し、その特性的な紫外吸収スペクトルを用いて同定していた。
【0025】
本発明では、RNAをRNA分解酵素により加水分解して構成塩基に分解し、得られた5’AMP、GMP、CMP及びUMPのヌクレオチドのうち、5’AMPについて、これをADPに変換し、次いで、ATPに変換し、ATPをルシフェラーゼ存在下でルシフェリンと反応させて取り出したAMP量を推定するのである。
【化2】
Figure 0003864032
【0026】
上記反応式は、本発明における各工程を示す反応模式図であり、同反応式においてAMPからATPへの変換は、リン酸基転移酵素であるAPP( AMP-polyP ホスホトランスフェラーゼ)の存在下でAMPをポリリン酸化合物(polyPn)と反応させてADPに変換せしめる反応(3)と、このADPを、PPK(ポリリン酸キナーゼ)の存在下でポリリン酸化合物( polyP n-1 と反応させて、ATP及びポリリン酸化合物(polyPn-2)に変換せしめる反応(4)とからなる。また、ATPのルシフェリン/ルシフェラーゼ反応は、(1)のようにルシフェラーゼ、溶存酸素(図示せず)及び酵素の失活抑制を目的としたマグネシウムイオンなど金属イオン(図示せず)の存在下でATPとルシフェリンとを反応させると、AMP、ピロリン酸、オキシルシフェリン、炭酸ガス(図示せず)及び光を生成する反応(2)が行われ、このルシフェリン/ルシフェラーゼ反応により発生する光を測定することで、ATP量を検出することができ、これにより、ATP変換前のAMP量を推定することができる。
【0027】
この反応の要点について以下に述べる。まず、RNAから加水分解により取り出した5’AMPが反応(3)によりADPに変換された後、反応(4)でADPがATPに変換される。そして、このATPが反応(1)に供され、ATPが消費されて発光する。以下、ATPの消費系となる反応(1)(2)と、ATPへの変換系となる反応(3)(4)(5)とが連続的に繰り返し行われる。この発光は、ポリリン酸化合物のリン酸基(PO3基)の量に依存して生物発光の光量の増強効果を得るとともに、発光時間を持続させることができ、10分間以上にわたって安定であり、1時間以上経過後も殆ど減衰することなく安定であることが確認されている。
【0028】
ところで、前記AMPからADPに変換する反応(3)においては、リン酸基転移酵素であるAPP( AMP polyP ホスホトランスフェラーゼ)の存在下で、前記AMPをポリリン酸化合物( polyP n と反応させると、ポリリン酸化合物からリン酸基が1個消費されて、ADP及びリン酸基が1つ減少したポリリン酸化合物(polyPn-1)に変換される。そして、前記ADPからATPに変換する反応(4)においては、PPK(ポリリン酸キナーゼ)の存在下で前記ADPをポリリン酸化合物(polyPn −1)と反応させると、ポリリン酸化合物(polyPn-1)からリン酸基がさらに1個消費されて、ATP及びポリリン酸化合物(polyPn- )に変換される。このとき、ポリリン酸化合物としては、少なくとも10以上のリン酸基(PO3基)が直鎖状に重合したものでなければ、反応に寄与しない。
【0029】
つまり、ポリリン酸化合物(polyPn)として10≦n≦100のものを用いると、1分子中にリン酸基(PO3基)が少なくとも10〜100個含まれているから、AMPからADPへの変換、及びADPからATPへの変換の際に、リン酸基(PO3基)が不足することがなく変換がスムーズに行われる。このため、変換系においては、リン酸基(PO 3基)の供給が少量でよく、経済的になる。
【0030】
さらに、ポリリン酸化合物が熱にさらされた場合であっても、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているので、耐熱性があり、品温が摂氏60〜70℃程度の被検査物に対しても測定が可能となる。そして、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているため、細菌中に存在する酵素であっても分解されにくい。
【0031】
例えば、本発明で用いられるポリリン酸化合物(polyPn)は、以下の構造式によって表される。ここで(polyPn)は10≦n≦100の範囲が好ましい。
【化3】
Figure 0003864032
【0032】
前記ポリリン酸化合物は、バクテリア由来のポリリン酸化合物であって、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いると、10〜1000個のリン酸基(PO3基)が重合しているので、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0033】
ポリリン酸合成酵素の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。例えば、以下の反応式に示すようにポリリン酸化合物を、ATPから生合成する。
【化4】
Figure 0003864032
【0034】
上記反応式によるポリリン酸化合物の生合成は、例えば、特開平5-153993号公報などに開示された従来のポリリン酸の製造方法を利用すればよい。本実施形態では、ポリリン酸合成酵素を触媒として、ポリリン酸合成酵素とATPと酵素の失活抑制を目的としたマグネシウムなどの金属イオンとを反応させ、ポリリン酸化合物を生合成する。本実施形態に使用されるポリリン酸合成酵素はポリリン酸化合物を生合成し得るものであればよい。
【0035】
【実施例1】
酵母からのRNAの単離
試薬と器具
1.乾燥酵母200g
2.フェノール溶液(900g/l)1l
3.酢酸カリウム(200g/l,pH5)200mg
4.純エタノール3l
5.ジエチルエーテル500mg
6.37℃の恒温槽5台
方法
予め37℃に加温しておいた水120ml中に、30gの乾燥酵母を懸濁させる。この温度に15分間保ち、160mlの濃フェノール溶液を加える。懸濁液を室温で30分間機械的に攪拌した後、エマルジョンを破壊するため、冷所で15分間、3000Gで遠心分離する。上部の水層を駒込ピペットで注意深く取り、10000Gで5分間、冷却遠心器で遠心分離し、変性したタンパク質を沈降させる。上澄液に酢酸カリウムを最終濃度20g/lとなるように加え、2倍量のエタノールを加えてRNAを沈殿させる。溶液を氷中で冷却し、1時間放置した後、冷所で2000Gで5分間遠心分離して沈殿を集める。このRNAをエタノール水溶液、エタノール、そして最後にエーテルで洗浄し、空気中で乾かすと、酵母の乾燥重量の約4%のRNAを単離することができた。
【0036】
【実施例2】
RNA分解によるヌクレオチドの生成
試薬と器具
1.市販のtRNA2μl
2.付属緩衝液(buffer)1μl
3.蒸留水6.5μl
4.ヌクレアーゼS10.5μl
方法
市販のtRNA 2μlを、付属緩衝液 1μl、蒸留水 6.5μl、ヌクレアーゼS1 0.5μlに溶かし、37℃で10分間インキュベートした。そして、生じた5’-モノヌクレオチドうち、AMPを以下の反応によりATPに変換し、生物発光測定にて測定する。
【0037】
【実施例3】
生物発光測定によるAMPヌクレオチドの同定
試薬
1.ポリリン酸キナーゼ緩衝液(PPKbuffer)3μl
2.0.1mM(濃度)アデノシン1リン酸(AMP)3μl
3.30 mM(濃度)ポリリン酸化合物(PolyP)3μl
4.イオン交換水19μl
5.ポリリン酸キナーゼ(PPK)1μl
6.AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)1μl
方法
上記1.〜6.の試薬を、温度30℃の条件でインキュベートし、反応後5分、15分、60分に10μlずつサンプリングを行った。そして、10μlルシフェリン及び5μlルシフェラーゼを添加済みの測定用ウェルに全量を添加し、生成する発光量をルミノメータ(ARVO社製)にて測定した。
【0038】
発光量からそれぞれの経過時間におけるATP容量を知ることができ、これを図1に示す。これにより、反応後5分、15分、60分と時間を経るとともにATP容量が増加していることが分かる。この実験からポリリン酸キナーゼ(PPK)及びAPP (AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼの2つの酵素によりAMPからATPを生成することができることが示された。従って、これらの反応はATP変換系として使うことが可能であるとともに、AMPを生物発光により検出し、RNA構成ヌクレオチドのAMPを同定することができる。
【0039】
【実施例4】
生物発光測定によるRNAの検出
試薬
1.ポリリン酸キナーゼ緩衝液(PPKbuffer)4μl
2.実施例2で生じるRNAの分解物2μl
3.30 mM(濃度)ポリリン酸化合物(PolyP)2μl
4.イオン交換水7μl
5.ポリリン酸キナーゼ(PPK)2μl
6.AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)3μl
方法
上記1.〜6.の試薬を、温度30℃の条件でインキュベートし、60分反応後、10μlルシフェリン及び5μlルシフェラーゼを添加済みの測定用ウェルに全量を添加し、生成する発光量をルミノメータ(ARVO社製)にて測定した。
【0040】
発光量を図2の最上段に示す。対照として、ヌクレアーゼによる分解に供していないRNAサンプルを試薬2のかわりに添加したもの(図2、2段目)、ならびにRNAを添加せず、ヌクレアーゼだけの試料を添加したもの(図2、3段目)を用いた。これにより、RNAが分解されることが生物発光するために必要であることがわかる。すなわちRNAの分解によってAMPが生じることが必要であることがわかる。また純粋なAMPを試料とした場合、ATPが生成し、生物発光した(図2、4段目)。また実施例2で生じるRNAの分解物を添加するが、PPK(ポリリン酸キナーゼ、APP(AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼを添加しないものを図2、5段目に示す。この場合、AMPからATPが生成しないので、生物発光しない。これらのことから、RNAの構成ヌクレオチドであるAMPをATPまで生成させ、生物発光させることにより、RNAを検出することができる。RNAの検出感度は生物発光によるATPの検出感度に依存するので、その検出感度は非常に高い。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、試料中のRNAを単離し、得られたヌクレオチドのうちのAMPを、リン酸基転移酵素であるAPP( AMP polyP ホスホトランスフェラーゼ)の存在下でポリリン酸と反応させてADPに変換せしめ、次いで、生じたADPをポリリン酸合成酵素であるPPK(ポリリン酸キナーゼ)の存在下でポリリン酸と反応させてATPに変換せしめる。該ATPをルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させ、生成した発光量を測定することにより、RNA中のAMPを定量する。また生物発光反応により生じるAMPを、上記反応によりADPに変換し、次いで、ADPからATPに変換するので、生物発光の発光量を減衰することなく安定に持続させ、安価でかつ構造が簡単なルミノメータによりRNA中のAMPを検出することが可能となる。
【0042】
また、前記ポリリン酸化合物は、化学合成により生成されたポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜100個のリン化物が直鎖状に重合したものを用いるとよい。これにより、ポリリン酸化合物の1分子中にリン酸基が少なくとも10〜100個含まれているので、ADPからATPへの変換が容易に行われ、ATPを再生する際の補給が少量となり経済的になる。
【0043】
そして、前記ポリリン酸化合物は、バクテリア由来のポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いると、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0044】
さらに、前記ポリリン酸化合物は、ポリリン酸合成酵素の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ATP変換の経過時間におけるATP容量変化を示す図である。
【図2】RNAの生物発光による検出の比較図である。

Claims (1)

  1. 生物発光によりRNAを検出する方法であって、以下の工程を有することを特徴とするRNAの検出方法。
    (1)試料中のRNAをRNA分解酵素により分解し、モノヌクレオチドを得る第1工程
    (2)該第1工程によって得られたモノヌクレオチドのうちのAMPを、リン酸基転移酵素であるAPP(AMP-polyPホスホトランスフェラーゼ)の存在下で、化学合成により生成されたポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜100個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜100)又はバクテリア由来のポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜1000個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜1000)と反応させてADP(アデノシン二リン酸)を生成させる第2工程
    (3)該第2工程で得られたADPを、PPK(ポリリン酸キナーゼ)の存在下で前記ポリリン酸と反応させてATP(アデノシン三リン酸)を生成させる工程
    (4)該第3工程によって得られたATPをルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させて発光させる第4工程
    (5)該第4工程により生成した発光量を測定することにより前記RNA中のAMPを定量する第5工程
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