JP3863753B2 - 電圧制御型発振器および通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧制御により発振周波数を変化させることができる電圧制御型発振器およびそれを用いた通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、バラクタダイオード等の可変容量素子を用いた電圧制御型発振器が提案されている。従来の電圧制御型発振器では、同調範囲(制御電圧の変化に対する発振周波数の変化幅)を広帯域化する場合、同調範囲を最適化する場合、または制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性を改善する場合には、変調素子であるバラクタダイオードの容量−制御電圧特性を改善している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バラクタダイオードの容量−制御電圧特性の改善には限界があり、同調範囲の広帯域化、同調範囲の最適化および制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性の改善を十分に行うことができない。
【0004】
本発明の目的は、同調範囲の広帯域化および最適化を行うことができるとともに、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性を改善することができる電圧制御型発振器およびそれを用いた通信装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係る電圧制御型発振器は、発振動作を行う発振部と、発振部の発振周波数帯域内で共振する同調部とを備え、同調部は、伝送線路を含むインピーダンス変成器と、伝送線路の一端と発振部との間に接続され、制御電圧に応じて容量値が変化する可変容量素子および誘導成分を含む可変リアクタンス回路とを備え、制御電圧の変化に応じて発振部と同調部との接続点から同調部を見たインピーダンスの描く軌跡は、リアクタンスが実質的に0となる点を含み、伝送線路の他端は開放状態にされ、制御電圧の中心値において、可変リアクタンス回路のリアクタンスは容量性であり、かつ発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように伝送線路の特性インピーダンスが設定されたものである。
【0006】
本発明に係る電圧制御型発振器においては、同調部が発振部の発振周波数帯域内で共振する。制御電圧を変化させた場合、発振部と同調部との接続点から同調部を見たインピーダンスが実質的にリアクタンス0となる点を含む軌跡を描く。この場合、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。また、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が伝送線路の特性インピーダンスの所定範囲内で最小となるように伝送線路の特性インピーダンスを設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率が大きくなる。したがって、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率が大きくなり、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0007】
また、広帯域化した同調範囲のうち所望の範囲を選択することができるので、同調範囲の最適化が可能となる。
【0008】
さらに、同調範囲が広帯域化することにより、可変容量素子の容量−制御電圧特性の線型性の良好な範囲を選択的に使用することができる。それにより、電圧制御型発振器の制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性が向上する。
【0009】
また、可変容量素子の容量値の小さい変化で必要な同調範囲を確保することができるので、同調範囲での容量変化が小さくなり、可変容量素子の直列抵抗成分の変化も小さくなる。したがって、発振周波数の変化による位相雑音特性の変動が小さくなる。
【0010】
また、可変容量素子の直流抵抗成分の小さい制御電圧の領域で同調を行うことにより、同調部のQ値が向上し、位相雑音特性が向上する。
【0011】
さらに、伝送線路の他端が開放状態にされ、制御電圧の中心値において可変リアクタンス回路のリアクタンスが容量性であることにより、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小値を有する。したがって、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように伝送線路の特性インピーダンスを設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。その結果、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができ、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0012】
伝送線路の特性インピーダンスは、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にtan(23π/32)倍に設定されるとともに、伝送線路の電気長が実質的に(23π/32)[rad]に設定されてもよい。
【0013】
伝送線路の他端が開放状態にされ、制御電圧の中心値において可変リアクタンス回路のリアクタンスが容量性である場合には、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率は実質的に伝送線路の電気長(23π/32)で極小値を有する。したがって、伝送線路の特性インピーダンスを、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にtan(23π/32)倍に設定するとともに、伝送線路の電気長を実質的に(23π/32)[rad]に設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。その結果、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができ、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0014】
第2の発明に係る電圧制御型発振器は、発振動作を行う発振部と、発振部の発振周波数帯域内で共振する同調部とを備え、同調部は、伝送線路を含むインピーダンス変成器と、伝送線路の一端と発振部との間に接続され、制御電圧に応じて容量値が変化する可変容量素子および誘導成分を含む可変リアクタンス回路とを備え、制御電圧の変化に応じて発振部と同調部との接続点から同調部を見たインピーダンスの描く軌跡は、リアクタンスが実質的に0となる点を含み、伝送線路の他端は短絡状態にされ、制御電圧の中心値において、可変リアクタンス回路のリアクタンスは誘導性であり、かつ発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように伝送線路の特性インピーダンスが設定されたものである。
【0015】
本発明に係る電圧制御型発振器においては、同調部が発振部の発振周波数帯域内で共振する。制御電圧を変化させた場合、発振部と同調部との接続点から同調部を見たインピーダンスが実質的にリアクタンス0となる点を含む軌跡を描く。この場合、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。また、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が伝送線路の特性インピーダンスの所定範囲内で最小となるように伝送線路の特性インピーダンスを設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率が大きくなる。したがって、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率が大きくなり、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0016】
また、広帯域化した同調範囲のうち所望の範囲を選択することができるので、同調範囲の最適化が可能となる。
【0017】
さらに、同調範囲が広帯域化することにより、可変容量素子の容量−制御電圧特性の線型性の良好な範囲を選択的に使用することができる。それにより、電圧制御型発振器の制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性が向上する。
【0018】
また、可変容量素子の容量値の小さい変化で必要な同調範囲を確保することができるので、同調範囲での容量変化が小さくなり、可変容量素子の直列抵抗成分の変化も小さくなる。したがって、発振周波数の変化による位相雑音特性の変動が小さくなる。
【0019】
また、可変容量素子の直流抵抗成分の小さい制御電圧の領域で同調を行うことにより、同調部のQ値が向上し、位相雑音特性が向上する。
【0020】
さらに、伝送線路の他端が短絡状態にされ、制御電圧の中心値において可変リアクタンス回路のリアクタンスが誘導性であることにより、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小値を有する。したがって、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように伝送線路の特性インピーダンスを設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。その結果、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができ、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0021】
伝送線路の特性インピーダンスは、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にcot(23π/32)倍に設定されるとともに、伝送線路の電気長が実質的に(23π/32)[rad]に設定されてもよい。
【0022】
伝送線路の他端が短絡状態にされ、制御電圧の中心値において可変リアクタンス回路のリアクタンスが誘導性である場合には、発振周波数の変化に対する可変容量素子の容量値の変化率は実質的に伝送線路の電気長(23π/32)[rad]で極小値を有する。したがって、伝送線路の特性インピーダンスを、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にcot(23π/32)倍に設定するとともに、伝送線路の電気長を実質的に(23π/32)[rad]に設定することにより、可変容量素子の容量値の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができる。その結果、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率を大きくすることができ、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0023】
制御電圧の中心値において発振部と同調部との接続点から同調部を見たインピーダンスは、リアクタンスが実質的に0となるように設定されてもよい。それにより、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率をより大きくすることができる。
【0024】
可変容量素子に直列または並列に固定容量が付加されてもよい。それにより、可変リアクタンス回路のリアクタンスを任意に調整することができる。
【0025】
第3の発明に係る通信装置は、基準信号を発生する第1または第2の発明に係る電圧制御型発振器を含む局部発振器と、局部発振器により発生された基準信号を送信信号または受信信号と混合することにより送信信号または受信信号の周波数を所定の周波数に変換する周波数変換器とを備えたものである。
【0026】
本発明に係る通信装置においては、局部発振器により基準信号が発生され、周波数変換器によりその基準信号が送信信号または受信信号と混合されることにより送信信号または受信信号の周波数が所定の周波数に変化される。
【0027】
その通信装置においては、局部発振器として第1または第2の発明に係る電圧制御型発振器が用いられているので、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0028】
また、局部発振器の発振周波数が制御電圧に対して線型に変化するとともに、発振周波数の変化による位相雑音特性の変動が小さくなる。さらに、局部発振器の位相雑音特性も良好となる。
【0029】
これらの結果、通信システムに割り当てられる周波数帯域またはチャネルの切り替えによる通信品質の変動が小さくなるとともに、位相雑音に起因する通信品質の劣化が小さくなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態における電圧制御型発振器の構成を示すブロック図である。
【0031】
図1の電圧制御型発振器は、発振部100、同調部200、出力回路300および終端回路400により構成される。
【0032】
発振部100は、増幅回路110および帰還回路120を含み、発振動作を行う。増幅回路110は、トランジスタ等の能動素子、およびその能動素子用のバイアス印加回路からなる。バイアス印加回路は、所定の周波数(発振周波数)の通過を阻止するように帯域制限されている。帰還回路120は、増幅回路110とともに帰還ループを構成し、増幅回路110の出力信号を同位相で入力側に戻し、発振を成長させる。
【0033】
同調部200は、インピーダンス変成器210および可変リアクタンス回路220を含む。インピーダンス変成器210は、先端が開放された伝送線路(以下、オープンスタブと呼ぶ)または先端が短絡された伝送線路(以下、ショートスタブと呼ぶ)からなる同調スタブを含む。可変リアクタンス回路220は、バラクタダイオード等の可変容量素子と、ボンディングワイヤまたは配線によるインダクタとからなる。この同調部200のリアクタンスを変化させて帰還ループの位相量を変化させることにより、発振周波数を同調することができる。
【0034】
出力回路300は、直流成分を除去するためのコンデンサからなる直流成分除去回路、負荷変動を低減するための減衰器等からなる。終端回路400は、発振周波数以外の周波数の電力を熱として消費し、発振動作の安定化を図る。
【0035】
この電圧制御型発振器は、可変リアクタンス回路220の可変容量素子に印加する制御電圧に応じて発振周波数を変化させる。
【0036】
本実施の形態の電圧制御型発振器では、後述する方法でインピーダンス変成器210を最適化することにより、同調感度を最大にすることができる。ここで、同調感度とは、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率(変化幅)をいう。
【0037】
図2は図1の電圧制御型発振器の詳細な構成の一例を示す回路図である。また、図3は図2の電圧制御型発振器の平面図である。図2および図3の電圧制御型発振器は、内部帰還型および自己バイアス型の電圧制御型発振器である。
【0038】
図3において、誘電体基板1上に、GaAsからなる金属−半導体電界効果トランジスタ(MESFET;以下トランジスタと略記する)4が形成されている。誘電体基板1の裏面には接地導体が形成されている。また、誘電体基板1上には、ゲート側帰還用マイクロストリップ線路5、ドレイン側帰還用マイクロストリップ線路6および出力用マイクロストリップ線路7が形成されている。トランジスタ4のゲート電極G、ドレイン電極Dおよびソース電極Sは、ゲート側帰還用マイクロストリップ線路5、ドレイン側帰還用マイクロストリップ線路6および出力用マイクロストリップ線路7の一端にそれぞれ接続されている。
【0039】
また、誘電体基板1上には、扇形の同調スタブ(ラジアルスタブ)2が形成されている。このように同調スタブ2を扇形にすることにより低い特性インピーダンスを容易に実現することができる。マイクロストリップ線路5の他端はバラクタダイオード3のアノード電極Aに接続されている。バラクタダイオード3のカソード電極Cは、同調スタブ2の一端に接続されている。図3の例では、同調スタブ2の他端はオープン(開放状態)となっている。
【0040】
また、バラクタダイオード3のカソード電極Cは、制御バイアス抵抗11を介して正の制御電圧VC (+)を受けるパッド電極12に接続されている。制御バイアス抵抗11は、例えば10kΩのように大きな抵抗値を有する。そのため、信号の漏れを生じることなく、バラクタダイオード3のカソード電極Cに制御電圧VC (+)を印加することができる。
【0041】
トランジスタ4のゲート電極Gは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ13および終端抵抗14を介して接地電位GNDを受けるパッド電極20に接続されている。
【0042】
マイクロストリップ線路6の他端はオープンとなっている。トランジスタ4のドレイン電極Dは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ16を介してパッド電極15に接続されている。パッド電極15は、コンデンサ17を介して接地される。なお、コンデンサ17は図3には図示されていない。パッド電極15にはドレインバイアスVddが印加される。
【0043】
トランジスタ4のソース電極Sは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ18および自己バイアス抵抗19を介して接地電位GNDを受けるパッド電極21に接続されている。
【0044】
図2に示すように、マイクロストリップ線路7の他端は、減衰器8および直流成分除去回路9を介して出力ノード10に接続されている。直流成分除去回路9は、コンデンサからなる。なお、図3には、減衰器8および直流成分除去回路9は図示されていない。
【0045】
図2および3の電圧制御型発振器では、トランジスタ4が図1の増幅回路110を構成し、マイクロストリップ線路5,6,7が帰還回路120を構成する。また、同調スタブ2がインピーダンス変成器210を構成し、バラクタダイオード3が可変リアクタンス回路220を構成する。さらに、減衰器8および直流成分除去回路9が出力回路300を構成する。また、帯域阻止フィルタ16およびコンデンサ17がドレインバイアス印加回路を構成し、帯域阻止フィルタ18および自己バイアス抵抗19がソースバイアス印加回路を構成する。さらに、帯域阻止フィルタ13および終端抵抗14が終端回路400を構成する。
【0046】
次に、図2および3の電圧制御型発振器の動作を説明する。ゲート電極Gで発生する微小なマイクロ波信号がトランジスタ4で増幅されてドレイン電極Dに出力される。所定の周波数のマイクロ波信号はマイクロストリップ線路6の開放端で全反射され、ドレイン電極D、ソース電極Sおよびゲート電極Gの間の各容量を介してゲート電極Gに帰還される。ゲート電極Gに帰還されたマイクロ波信号は、マイクロストリップ線路5とバラクタダイオード3との接続点においてその接続点のインピーダンスに応じた位相変化を伴って反射される。それにより、所定の周波数での帰還ループが形成され、トランジスタ4のソース電極Sから所定の周波数で発振する出力信号OUTが得られる。ここで、制御電圧VC (+)を変化させると、バラクタダイオード3の容量値が変化する。それにより、発振周波数が変化する。
【0047】
図4は図2の電圧制御型発振器の発振周波数に着目した回路図である。以下の説明では、発振周波数をfn とする。
【0048】
図4において、発振条件は、発振周波数fn での電圧制御型発振器の回路全体の電気長(位相周り)、すなわち同調スタブ2の開放端からマイクロストリップ線路6の開放端までの電気長が2πの整数倍となり、かつ利得が1以上となることである。
【0049】
ここで、発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見たインピーダンスZmod が発振周波数fn で0となるように、すなわち接続点Pが発振周波数fn でショート(短絡状態)となるように、同調スタブ2の特性インピーダンスZstおよび長さLstを設定する。それにより、発振周波数fn での同調部200の電気長は(π/2)radとなる。また、発振周波数fn での発振部100の電気長は(2πn−π/2)radとなる。ここで、nは正の整数である。
【0050】
図5は図4の同調部200の発振周波数fn でのインピーダンスの制御電圧依存性を表すスミスチャートである。
【0051】
ここで、発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見た発振周波数fn でのリアクタンスをXmod とする。同調部200の抵抗成分を0とすると、発振周波数fn での同調部200のインピーダンスZmod は発振周波数fn でのリアクタンスXmod と等しくなる。
【0052】
バラクタダイオード3のカソード電極Cに印加される制御電圧VC (+)の中心値(以下、中心制御電圧と呼ぶ)をVC とし、上限をVC+とし、下限をVC-とする。本例では、中心制御電圧VC は+3Vであり、制御電圧VC (+)の上限VC+は+5Vであり、制御電圧VC (+)の下限VC-は+1Vである。
【0053】
図5の右端の点Rは同調スタブ2の開放端のリアクタンスを表す。また、左端の点P0、点P1および点P2は、制御電圧VC (+)がそれぞれ中心制御電圧VC 、上限VC+および下限VC-の場合の発振周波数fn でのリアクタンスを表す。
【0054】
図5に示すように、制御電圧VC (+)が上限VC+から下限VC-まで変化したときのインピーダンスZmod の軌跡がリアクタンス0(ショート)の点P0を含み、中心制御電圧VC でほぼリアクタンスが0となる場合には、リアクタンスXmod の変化に対する位相の変化(θ)が大きくなる。それにより、制御電圧VC (+)の変化に対する発振周波数fn の変化率を大きくすることができる。そこで、制御電圧VC (+)が中心制御電圧VC の場合に発振部100と同調部200との接続点Pがショートになるように同調スタブ2のパラメータを設定する。
【0055】
以下、インピーダンス変成器210の最適化の方法について説明する。
(1)第1の最適化方法
同調部200のインピーダンス変成器210は、同調スタブ2としてオープンスタブ(先端開放線路)またはショートスタブ(先端短絡線路)を用いて構成することができる。
【0056】
図6はオープンスタブを用いた同調部200を示す図であり、図7はショートスタブを用いた同調部200を示す図である。
【0057】
図6および図7において、バラクタダイオード3を等価的に可変容量および固定インダクタに簡略化する。Lはボンディングワイヤ、パッド等の誘導(インダクタ)成分であり、Cはバラクタダイオード3の容量、寄生容量等の容量(キャパシタ)成分である。
【0058】
制御電圧VC (+)が中心制御電圧VC のときに同調部200のインピーダンスZmod およびリアクタンスXmod がZmod =jXmod =0となるように、インピーダンス変成器210を設計する。
【0059】
このときに、インピーダンス変成器210の構成(オープンスタブまたはショートスタブ)と可変リアクタンス回路220の特性(容量性または誘導性)により4つの場合に分け、それぞれの場合で同調感度を最大にするための最適化条件を求める。
【0060】
ここで、可変リアクタンス回路220の誘導成分をAとし、可変リアクタンス回路220の容量成分をBとする。誘導成分Aの値は常に一定であり、容量成分Bの値は可変であるが、ここでは中心制御電圧VC 時の値とする。また、可変リアクタンス回路220の誘導成分Aと容量成分Bとの比をα(=A/B)とする。中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVDは(A−B)となる。
【0061】
バラクタダイオード3と同調スタブ2との接続点Qから同調スタブ2を見たインピーダンスをZstubとする。
【0062】
以下の説明において、ωx は任意の制御電圧Vx 時の発振角周波数、ωC は中心制御電圧VC 時の発振角周波数(中心発振角周波数)、ωn は発振角周波数ωC で正規化した発振角周波数であり、ωn =ωx /ωC である。
【0063】
Cx は制御電圧Vx 時のバラクタダイオード3の容量、CC は中心制御電圧VC 時のバラクタダイオード3の容量、Cn は容量CC で正規化したバラクタダイオード3の容量であり、Cn =Cx /CC である。制御電圧が中心制御電圧VC のときには、ωn =1、Cn =1となる。
【0064】
また、Zstは同調スタブ2の特性インピーダンス[Ω]であり、θstは同調スタブ2の中心発振角周波数での電気長[rad]である。
【0065】
(オープンスタブの場合)
オープンスタブの場合には、特性インピーダンスZstは次式で表される。
【0066】
Zst=B(α−1)tanθst=(A−B)tanθst …(A1)
ここで、Cn (ωn )を発振角周波数ωn でのバラクタダイオード3の容量とする。制御電圧が中心制御電圧VC (ωn =1)のときにはバラクタダイオード3の容量Cn (ωn )の変化率Cn '(ωn )は次式で表される。
【0067】
Cn '(1)=(1−α)・{2θst/sin(2θst)}−(1+α)
…(A2)
ここで、Cn (ωn )は、容量Cn が発振角周波数ωn の関数であることを示している。また、Cn '(ωn )は容量Cn (ωn )を発振角周波数ωn で微分することにより得られ、発振角周波数ωn の変化に対するバラクタダイオード3の容量の変化率を表す。上式(A2)の導出方法は後述する。
【0068】
図8は同調スタブ2としてオープンスタブを用いた場合の中心発振角周波数ωC での同調スタブ2の電気長θstと同調スタブ2の特性インピーダンスZstおよびバラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)との関係を示す図である。容量の変化率Cn '(1)が負となっているのは、容量Cn は発振角周波数が高くなるにつれて小さくなるからである。
【0069】
ここでは、誘導性(α>1)の場合の一例としてα=1.2とし、容量性(α<1)の場合の一例としてα=0.8としている。
【0070】
図8から、可変リアクタンス回路220が誘導性(α>1)の場合には、同調スタブ2の特性インピーダンスZstが低くなるにつれてバラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)が小さくなる。したがって、同調スタブ2の特性インピーダンスZstは可能な限り低く設定することが好ましい。
【0071】
ただし、製造上の理由等により実現可能な同調スタブ2の特性インピーダンスZstに制限がある場合には、その制限内で同調スタブ2の特性インピーダンスZstを可能な限り低く設定する。
【0072】
また、可変リアクタンス回路220が容量性(α<1)の場合には、バラクタダイオード3の容量の変化率のCn '(1)は電気長θstがほぼ(23π/32)[rad]で極小値を有する。したがって、同調スタブ2の特性インピーダンスZstはリアクタンスXVD(=A−B)のほぼ−1.22倍であることが好ましい。ここで、−1.22は、θst=(23π/32)[rad]のときのtanθstの値である。
【0073】
ただし、実現可能な同調スタブ2の特性インピーダンスZstに制限がある場合には、その制限内で同調スタブ2の特性インピーダンスZstを可能な限りリアクタンスXVD(=A−B)の−1.22倍に近く設定する。
【0074】
なお、バラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)が極小値を有するときの同調スタブ2の電気長θstは(23π/32)[rad]から多少ずれる場合がある。この場合、同調スタブ2の特性インピーダンスZstをリアクタンスXVDの−1.22倍から多少ずれた値に設定してもよい。
【0075】
同調スタブ2の特性インピーダンスZstは、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDのtan(23π/32)倍に設定されてもよく、あるいは可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDのtan{(23π/32)−(π/10)}倍からtan{(23π/32)+(π/10)}倍の範囲内に設定されてもよい。また、同調スタブ2の電気長θstは(23π/32)[rad]に設定されてもよく、あるいは{(23π/32)−(π/10)}[rad]から{(23π/32)+(π/10)}[rad]の範囲内に設定されてもよい。
【0076】
(ショートスタブの場合)
ショートスタブの場合には、特性インピーダンスZstは次式で表される。
【0077】
Zst=B(1−α)cotθst=−(A−B)cotθst …(B1)
ここで、Cn (ωn )を発振角周波数ωn でのバラクタダイオード3の容量とする。制御電圧が中心制御電圧VC (ωn =1)のときにはバラクタダイオード3の容量Cn (ωn )の変化率Cn '(ωn )は次式で表される。
【0078】
Cn '(1)=(α−1)・{2θst/sin(2θst)}−(1+α)
…(B2)
ここで、Cn (ωn )は、容量Cn が発振角周波数ωn の関数であることを示している。また、Cn '(ωn )は容量Cn (ωn )を発振角周波数ωn で微分することにより得られ、発振角周波数ωn の変化に対するバラクタダイオード3の容量の変化率を表す。上式(B2)の導出方法は後述する。
【0079】
図9は同調スタブ2としてショートスタブを用いた場合の中心発振角周波数ωC での同調スタブ2の電気長θstと同調スタブ2の特性インピーダンスZstおよびバラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)との関係を示す図である。容量の変化率Cn '(1)が負となっているのは、容量Cn は発振角周波数が高くなるにつれて小さくなるからである。
【0080】
ここでは、誘導性(α>1)の場合の一例としてα=1.2とし、容量性(α<1)の場合の一例としてα=0.8としている。
【0081】
図9から、可変リアクタンス回路220が誘導性(α>1)の場合には、バラクタダイオード3の容量の変化率のCn '(1)は電気長θstがほぼ(23π/32)[rad]で極小値を有する。したがって、同調スタブ2の特性インピーダンスZstはリアクタンスXVD(=A−B)のほぼ0.82倍であることが好ましい。ここで、0.82は、θst=(23π/32)[rad]のときのcotθstの値である。
【0082】
ただし、製造上の理由等により実現可能な同調スタブ2の特性インピーダンスZstに制限がある場合には、その制限内で同調スタブ2の特性インピーダンスZstを可能な限りリアクタンスXVD(=A−B)の0.82倍に近く設定する。
【0083】
なお、バラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)が極小値を有するときの同調スタブ2の電気長θstは(23π/32)[rad]から多少ずれる場合がある。この場合、同調スタブ2の特性インピーダンスZstをリアクタンスXVDの0.82倍から多少ずれた値に設定してもよい。
【0084】
同調スタブ2の特性インピーダンスZstは、制御電圧の中心値における可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDのcot(23π/32)倍に設定されてもよく、あるいは可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDのcot{(23π/32)−(π/10)}倍からcot{(23π/32)+(π/10)}倍の範囲内に設定されてもよい。また、同調スタブ2の電気長θstは(23π/32)[rad]に設定されてもよく、あるいは{(23π/32)−(π/10)}[rad]から{(23π/32)+(π/10)}[rad]の範囲内に設定されてもよい。
【0085】
また、可変リアクタンス回路220が容量性(α<1)の場合には、同調スタブ2の特性インピーダンスZstが高くなるにつれてバラクタダイオード3の容量の変化率のCn '(1)が小さくなる。したがって、同調スタブ2の特性インピーダンスZstは可能な限り高く設定することが好ましい。
【0086】
ただし、実現可能な同調スタブ2の特性インピーダンスZstに制限がある場合には、その制限内で同調スタブ2の特性インピーダンスZstを可能な限り高く設定する。
【0087】
ここで、図10に示す6つの場合(a)〜(f)について最適な同調スタブ2の特性インピーダンスZstおよび同調スタブ2の電気長θstを算出した。
【0088】
中心発振周波数fn は10GHzである。また、A=ω・L=2πfn L、B=1/(ω・C)=1/2πfn Cである。
【0089】
場合(a)〜(d)では、特性インピーダンスZstの制限が20〜60Ωとなっている。また、場合(e),(f)では、特性インピーダンスZstの制限がない。場合(a),(b),(e)ではオープンスタブを用い、場合(c),(d),(f)ではショートスタブを用いる。
【0090】
すべての場合(a)〜(f)において、B=50[Ω]とする。場合(a),(d),(f)ではA=60[Ω]であり、誘導性(α>1)である。場合(b),(c),(e)ではA=40[Ω]であり、容量性(α<1)である。
【0091】
場合(a)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが1.107radで下限の20Ωとなる。場合(b)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが2.034radで下限の20Ωとなる。場合(c)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが0.165radで上限の60Ωとなる。場合(d)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが2.678radで下限の20Ωとなる。
【0092】
場合(e)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが(23π/32)radで12.2Ωとなる。場合(f)では、特性インピーダンスZstの最適値は、電気長θstが(23π/32)radで8.2Ωとなる。
【0093】
(2)第2の最適化方法
(オープンスタブの場合)
中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVD(=A−B)をほぼ0に設定する。それにより、同調スタブ2としてオープンスタブを用いた場合、バラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)は、同調スタブ2の特性インピーダンスZstにかかわらず−2で最小となる。この場合、同調部200は中心発振角周波数で直列共振し、同調感度は最大となる。同調スタブ2の特性インピーダンスZstは任意であり、かつ同調スタブ2の電気長θstはほぼ(π/2)radである。
【0094】
中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVD(=A−B)をほぼ0に設定するためには、バラクタダイオード3に固定容量を直列または並列に付加するか、あるいは、ボンディングワイヤまたは配線によるインダクタを調整する。
【0095】
なお、同調スタブ2の電気長θstは(π/2)radに設定されてもよく、あるいは{(π/2)−(π/10)}radから{(π/2)+(π/10)}radの範囲内に設定されてもよい。
【0096】
(ショートスタブの場合)
中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVD(=A−B)をほぼ0に設定する。それにより、同調スタブ2としてショートスタブを用いた場合、バラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)は、同調スタブ2の特性インピーダンスZstにかかわらず−2で最小となる。この場合、同調部200は中心発振角周波数で直列共振し、同調感度は最大となる。同調スタブ2の特性インピーダンスZstは任意であり、かつ同調スタブ2の電気長θstはほぼ0radである。
【0097】
中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVD(=A−B)をほぼ0に設定するためには、バラクタダイオード3に固定容量を直列または並列に付加するか、あるいは、ボンディングワイヤまたは配線によるインダクタを調整する。
【0098】
なお、同調スタブ2の電気長θstは0radに設定されてもよく、あるいは0radから(π/10)radの範囲内に設定されてもよい。
【0099】
図11は第2の最適化方法を用いた電圧制御型発振器の平面図である。図11の電圧制御型発振器では、バラクタダイオード3のカソード電極Cと同調スタブ2との間に固定容量31が接続され、バラクタダイオード3に並列に固定容量32が接続されている。
【0100】
それにより、中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のみのリアクタンスXVD(=A−B)がほぼ0に設定される。また、同調スタブ2の電気長θstはほぼ(π/2)radに設定される。
【0101】
図11の電圧制御型発振器の他の部分の構成は、図3の電圧制御型発振器の構成と同様である。
【0102】
ここで、実施例1、実施例2および比較例の電圧制御型発振器において、発振角周波数ωn とバラクタダイオード3の容量Cn との関係を調べた。
【0103】
実施例1の電圧制御型発振器は図3に示した構成を有し、実施例2の電圧制御型発振器は図11に示した構成を有する。
【0104】
図12は比較例の電圧制御型発振器の平面図である。図12の電圧制御型発振器では、扇形の同調スタブ2の代わりに直線状の同調スタブ2aが設けられている。図12の電圧制御型発振器の他の部分の構成は、図3の電圧制御型発振器の構成と同様である。
【0105】
実施例1では、可変リアクタンス回路220の同調スタブ2の特性インピーダンスZstを20Ωとし、比較例では、同調スタブ2aの特性インピーダンスZstを50Ωとした。また、比較例では、同調スタブ2の電気長θstは1.373rad(78.7deg)である。
【0106】
また、実施例2では、次の2つの方法のうちいずれかによりα=A/B=1を実現し、同調スタブ2の電気長θstを(π/2)radとした。同調スタブ2の特性インピーダンスZstは任意である。この場合、Cn =1/ωn 2であり、発振角周波数ωn の変化率は最大となる。
【0107】
例えば、A=60[Ω]とし、バラクタダイオード3に直列に1.59pFの固定容量31を付加してバラクタダイオード3および固定容量31の容量値の合計を0.265pFとすることにより、B=60[Ω]とする。それにより、A=B=60[Ω]とする。あるいは、B=50[Ω]とし、可変リアクタンス回路220のボンディングワイヤを短くして誘導成分Lを0.796nHとすることにより、A=50[Ω]とする。それにより、A=B=50[Ω]とする。
【0108】
図13および図14は実施例1、実施例2および比較例における発振角周波数ωn とバラクタダイオード3の容量Cn との関係を示す図であり、図13は実施例1の可変リアクタンス回路220が誘導性の場合を示し、図14は実施例1の可変リアクタンス回路220が容量性の場合を示す。
【0109】
図13の誘導性の場合の実施例1は、図10の(a)に相当し、A=60[Ω]、B=50[Ω]であり、中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVD(ωn =1,Cn =1)はA−B>0となる。
【0110】
図14の容量性の場合の実施例1は、図10の(b)に相当し、A=40[Ω]、B=50[Ω]であり、中心制御電圧VC 時の可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVD(ωn =1,Cn =1)はA−B<0となる。
【0111】
図13および図14から、発振周波数を10GHzを中心に9.0〜11.0GHzの範囲で同調するために必要な容量Cn の変化量は、実施例1では0.78〜1.35となり、比較例では0.74〜1.52となる。すなわち、実施例1では、比較例に比べてバラクタダイオード3の容量Cn の小さい変化で比較例と同じ同調範囲が得られる。
【0112】
また、実施例2では、発振周波数を10GHzを中心に9.0〜11.0GHzの範囲で同調するために必要な容量Cn の変化量は0.84〜1.24となる。すなわち、実施例2では、実施例1および比較例に比べてバラクタダイオード3の容量Cn のさらに小さい変化で実施例1および比較例と同じ同調範囲が得られる。
【0113】
上記のように、本実施の形態の電圧制御型発振器においては、バラクタダイオード3の容量Cn の変化に対する発振周波数の変化率(変化幅)が大きくなる。すなわち、制御電圧の変化に対する発振周波数の変化率(変化幅)が大きくなる。したがって、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0114】
また、広帯域化した同調範囲のうち所望の範囲を選択することができるので、同調範囲の最適化が可能となる。
【0115】
さらに、同調範囲が広帯域化することにより、バラクタダイオード3の容量−制御電圧特性の線型性の良好な範囲を選択的に使用することができる。それにより、電圧制御型発振器の制御電圧の変化に対する発振周波数の変化の線型性が向上する。
【0116】
また、バラクタダイオード3の小さい容量の変化で必要な同調範囲を確保することができるので、同調範囲での容量変化が小さくなり、バラクタダイオード3の直列抵抗成分も小さくなる。したがって、発振周波数の変化による位相雑音特性の変動が小さくなる。
【0117】
また、バラクタダイオード3の直列抵抗成分の小さい制御電圧の領域(深いバイアス領域)で同調を行うことにより、同調部200のQ値が向上し、位相雑音特性が向上する。
【0118】
図15は図1の電圧制御型発振器のより具体的な構成の一例を示す平面図である。また、図16は図15の電圧制御型発振器の回路図である。
【0119】
図15および図16の電圧制御型発振器は、金等の薄膜導体で回路パターンが形成されたアルミナセラミックからなる誘電体基板1に、パッケージ化されたトランジスタ、バラクタダイオード等の半導体素子および抵抗、コンデンサ等のチップ部品が装荷されてなる電圧制御型発振器モジュールである。図15において、「R」と記された四角はチップ容量を示し、「C」と記された四角はチップ抵抗を示す。
【0120】
誘電体基板1上に、GaAsからなるトランジスタ4が形成されている。誘電体基板1の裏面には接地導体が形成されている。また、誘電体基板1上には、ゲート側帰還用マイクロストリップ線路5、ドレイン側帰還用マイクロストリップ線路6および出力用マイクロストリップ線路7が形成されている。トランジスタ4のゲート電極G、ドレイン電極Dおよびソース電極Sは、ゲート側帰還用マイクロストリップ線路5、ドレイン側帰還用マイクロストリップ線路6および出力用マイクロストリップ線路7の一端にそれぞれ接続されている。
【0121】
また、誘電体基板1上には、扇形の同調スタブ(ラジアルスタブ)2が形成されている。このように同調スタブ2を扇形にすることにより低い特性インピーダンスを容易に実現することができる。マイクロストリップ線路5の他端はバラクタダイオード3のアノード電極Aに接続されている。バラクタダイオード3のカソード電極Cは、同調スタブ2の一端に接続されている。図15の例では、同調スタブ2の他端はオープン(開放状態)となっている。
【0122】
また、バラクタダイオード3のカソード電極Cは、制御バイアス抵抗11を介して正の制御電圧Vc(+)を受けるパッド電極12に接続されかつ抵抗#1を介して接地電位GNDを受けるパッド電極21に接続されている。制御バイアス抵抗11および抵抗#1が制御電圧印加回路を構成する。制御バイアス抵抗11は、例えば10kΩのように大きな抵抗値を有する。そのため、信号の漏れを生じることなく、バラクタダイオード3のカソード電極Cに制御電圧Vc(+)を印加することができる。
【0123】
トランジスタ4のゲート電極Gは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ13および終端抵抗14を介して接地電位GNDを受けるパッド電極20に接続されている。
【0124】
マイクロストリップ線路6の他端はオープンとなっている。トランジスタ4のドレイン電極Dは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ16を介してパッド電極15に接続されている。パッド電極15は、バイパスコンデンサ#2を介して接地される。パッド電極15にはドレインバイアスVddが印加される。
【0125】
トランジスタ4のソース電極Sは、発振帯域の高周波の通過を阻止する帯域阻止フィルタ18および自己バイアス抵抗19を介して接地電位GNDを受けるパッド電極21に接続されている。
【0126】
マイクロストリップ線路7の他端は、減衰器8および直流成分除去回路9を介して出力ノード10に接続されている。直流成分除去回路9は、コンデンサからなる。また、マイクロストリップ線路7には、帰還回路を構成するラジアル型の先端開放スタブ#3が設けられている。
【0127】
本例の電圧制御型発振器では、ラジアル型で28Ω相当の低特性インピーダンスの先端開放の同調スタブ2を用いてインピーダンス変成器210を構成することにより、同調範囲を広帯域化している。
【0128】
また、制御電圧Vc(+)を抵抗で分圧することによりバラクタダイオ−ド3に印加する電圧を下げている。
【0129】
図17は制御電圧印加回路の構成を示す回路図である。
図17において、抵抗11の抵抗値をRx 、抵抗#1の抵抗値をRy 、抵抗#4の抵抗値をRz とする。抵抗11の抵抗値Rx 、抵抗#1の抵抗値Ry 、および抵抗#4の抵抗値Rz が十分に大きい値を持つとき、抵抗11および抵抗#4にそれぞれ流れる電流Ivcおよび電流Ivdは次式のようになる。
【0130】
Ivc=(VCc±α)/(Rx +Ry )
ここで、Vc =VCc±αであり、可変電圧である。
【0131】
Ivd=Vdd/(Rz +Ry )
バラクタダイオード3の両極にかかる電圧VVDは次式のようになる。
【0132】
VVD=(Ivd+Ivc)Ry
={Vdd/(Rz +Ry )+(VCc±α)/(Rx +Ry )]Ry
…(1)
上式より、バラクタダイオード3の両極にかかる電圧VVDは、制御電圧Vc (+)およびドレインバイアスVddにより制御可能である。さらに、各抵抗値Rx ,Ry ,Rz によっても電圧VVDは制御可能である。
【0133】
本例では、抵抗11の抵抗値Rx 、抵抗#1の抵抗値Ry 、および抵抗#4の抵抗値Rz を次の値に設定する。
【0134】
Rx =10[KΩ]、Ry =5[KΩ]、Rz =∞
なお、本例では、抵抗#4は接続されず、ドレインバイアスVddは使用されない。
【0135】
この場合、制御電圧Vc (+)の1/3がバラクタダイオード3の両極にかかる。すなわち、VVD=Vc (+)/3となる。
【0136】
図18は発振周波数foの制御電圧Vc依存性を示す図である。図18において、L1は同調範囲を広帯域化した時点の特性を示し、L2は制御電圧印加回路の改良により同じ同調範囲を得るために必要な制御電圧変化を0〜3Vの範囲Aから0〜9Vの範囲Bに引き伸ばした特性を示す。これにより、同調時の制御電圧に要求される電圧値の精度が次のように緩和される。
【0137】
特性L1の場合には、制御電圧Vc の変化が0〜9Vのときの同調範囲はfo=7.08〜8.04[GHz]で約1GHzとなる。制御電圧Vcの変化が0〜3Vのときの同調範囲はfo=7.08〜7.48[GHz]で約0.4GHzとなる。一方、特性L2の場合には、制御電圧Vcの変化が0〜9Vのときの同調範囲はfo=7.08〜7.48[GHz]で約0.4GHzとなる。
【0138】
このように、同調時の制御電圧に要求される電圧値の精度が緩和されるので、発振周波数の制御を正確に行うことができる。
【0139】
図19は同調感度Kvの制御電圧Vc 依存性を示す図である。ここで、同調感度Kvは、制御電圧Vc の変化に対する発振周波数の変化率である。
【0140】
図19に示すように、特性L1を特性L2に改善することにより、同調感度Kvの線型性(制御電圧に対する同調感度の変動)を見かけ上向上させることができる。
【0141】
上記のように、広帯域化した同調範囲のうち所望の範囲を選択することにより、同調範囲を最適化することができる。
【0142】
なお、本例では、電圧制御型発振器の形態としてモジュール形態を採用しているが、半導体基板上に集積化されたモノリッジック形態を採用してもよい。
【0143】
図20は図1の電圧制御型発振器を用いた無線通信システム用の送受信機の構成を示す模式図である。
【0144】
図20の送受信機は、送信系500、受信系510、局部発振器520、信号経路切り替え器(スイッチ)530およびアンテナ550により構成される。
【0145】
送信系500は、周波数変換器501、増幅器502および帯域通過フィルタ503を含む。受信系510は、周波数変換器511、増幅器512および帯域通過フィルタ513を含む。局部発振器520は、図1の電圧制御型発振器により構成され、所定の発振周波数の基準信号を発生する。
【0146】
送信系500の周波数変換器501は、所定の周波数の送信信号TSを局部発振器520から発生される基準信号と混合することにより、高い周波数の送信信号に変換する。増幅器502は、周波数変換器501により得られた送信信号を増幅する。帯域通過フィルタ503は、増幅器502により増幅された送信信号のうち所定の帯域の信号を通過させて信号経路切り替え器530を介してアンテナ550に与える。それにより、アンテナ550からマイクロ波または準ミリ波の無線電波が送信される。
【0147】
一方、アンテナ550により受信されたマイクロ波または準ミリ波の無線電波は、信号経路切り替え器530を介して受信系510の帯域通過フィルタ513に与えられる。帯域通過フィルタ513は、無線電波のうち所定の帯域の受信信号を通過させる。増幅器512は、帯域通過フィルタ513を通過した受信信号を増幅する。周波数変換器511は、増幅器512により増幅された受信信号を局部発振器520から発生される基準信号と混合することにより、低い周波数の受信信号RSに変換する。
【0148】
図20の送受信機においては、局部発振器520として図1の電圧制御型発振器が用いられているので、同調範囲の広帯域化が可能となる。
【0149】
また、局部発振器520の発振周波数が制御電圧に対して線型に変化するとともに、発振周波数の変化による位相雑音特性の変動が小さくなる。さらに、局部発振器520の位相雑音特性も良好となる。
【0150】
これらの結果、通信システムに割り当てられる周波数帯域またはチャネルの切り替えによる通信品質の変動が小さくなるとともに、位相雑音に起因する通信品質の劣化が小さくなる。
【0151】
(式の導出方法)
以下、図6および図7を参照しながら上式(A2),(B2)の導出方法について説明する。
【0152】
ここでは、可変リアクタンス回路220の抵抗成分を0とし、容量成分としてはバラクタダイオード3の容量のみを考慮する。
【0153】
可変リアクタンス回路220とインピーダンス変成器210との接続点Qから同調スタブ2を見たインピーダンスをZstubとする。
【0154】
上述のように、ωx は任意の制御電圧Vx 時の発振角周波数、ωC は中心制御電圧VC 時の発振角周波数(中心発振角周波数)、ωn は発振角周波数ωC で正規化した発振角周波数であり、ωn =ωx /ωC である。
【0155】
また、Cx は任意の制御電圧Vx 時のバラクタダイオード3の容量、CC は中心制御電圧VC 時のバラクタダイオード3の容量(中心容量)、Cn は容量CC で正規化したバラクタダイオード3の容量であり、Cn =Cx /CC である。中心制御電圧VC では、ωn =1、Cn =1となる。
【0156】
また、Zstは同調スタブ2の特性インピーダンス[Ω]であり、θstは同調スタブ2の中心発振角周波数での電気長[rad]である。
【0157】
(オープンスタブを用いた場合)
可変リアクタンス回路220とインピーダンス変成器210との接続点Qから同調スタブ2を見たインピーダンスZstubは次式で表される。
【0158】
Zstub=−jZstcot(ωn ・θst) …(a1)
発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見たインピーダンスZmod は次式で表される。
【0159】
Zmod =j{−Zstcot(ωn ・θst)+XVD}=jXmod
…(a2)
ここで、XVDは可変リアクタンス回路220のリアクタンスである。上式(a2)から発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見たリアクタンスXmod は次式のようになる。
【0160】
Xmod =−Zstcot(ωn ・θst)+XVD …(a3)
可変リアクタンス回路220のインダクタンスをLp とすると、可変リアクタンス回路220の誘導成分は次式のようになる。
【0161】
ωn ・Lp =ωx ・ωC ・Lp =ωn ・A …(a4)
ここで、A=ωC ・Lp =一定
可変リアクタンス回路220の容量成分は次式のようになる。
【0162】
1/(ωx ・Cx )=1/(ωn ・ωC ・Cn ・CC )
=B/(ωn ・Cn ) …(a5)
ここで、B=1/(ωC /CC )=一定
上式(a4),(a5)から、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDは次式のようになる。
【0163】
XVD=ωx ・Lp −1/(ωx ・Cx )
=ωn ・A−B/(ωn ・Cn )
=XVD(ωn ,Cn ) …(a6)
このように、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDは発振角周波数ωn および容量Cn の関数で表される。
【0164】
A/B=ω2 C・Lp ・CC =αとおくと、可変リアクタンス回路220は、α>1の場合に誘導性となり、α<1の場合に容量性となり、α=1の場合に直列共振となる。
【0165】
上式(a6)から、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVD(ωn ,Cn )は次式のようになる。
【0166】
XVD(ωn ,Cn )=B{ωn ・α−1/(ωn ・Cn )} …(a7)
したがって、上式(a3),(a7)から、リアクタンスXmod (ωn ,Cn )は次式のようになる。
【0167】
Xmod (ωn ,Cn )
=−Zstcot(ωn ・θst)+XVD(ωn ,Cn )
=−Zstcot(ωn ・θst)+B{ωn ・α−1/(ωn ・Cn )}
…(a8)
中心発振角周波数(ωn =1)および中心容量(Cn =1)でリアクタンスXmod がショートとなるように設計する。それにより、上式(a8)からωn =1およびCn =1のときのリアクタンスXmod (1,1)は次式のようになる。
【0168】
Xmod (1,1)=−Zstcotθst+B(α−1)=0 …(a9)
上式(a9)により次式が成立する。
【0169】
Zst=B(α−1)/cotθst=B(α−1)tanθst …(a10)
したがって、上式(a8),(a10)よりリアクタンスXmod は次式のようになる。
【0170】
Xmod (ωn ,Cn )=B{(1−α)tanθstcot(ωn ・θst)+ωn ・α−1/(ωn ・Cn )} …(a11)
発振角周波数(ωx =ωn ・ωC )はバラクタダイオード3の容量Cn が変化したときにXmod (ωn ,Cn )=0を満足する発振角周波数ωn で与えられる。
【0171】
逆に、発振角周波数ωn が変化したときにXmod (ωn ,Cn )=0を満足する容量Cn を考えると、上式(a11)から次式が成立する。
【0172】
(1−α)tanθstcot(ωn ・θst)+ωn ・α−1/(ωn ・Cn )=0 …(a12)
上式(a12)を容量Cn で整理すると、次式のようになる。
【0173】
1/(ωn ・Cn )=ωn ・α+(1−α)tanθstcot(ωn ・θst) …(a13)
さらに、上式(a13)から次式が求められる。
【0174】
Cn (ωn )=1/[ωn {ωn ・α+(1−α)tanθstcot(ωn ・θst)}] …(a14)
上式(a14)の容量Cn (ωn )を発振角周波数ωn で微分すると、中心発振角周波数(ωC =1)での容量の変化率Cn '(1)が次式のように求められる。
【0175】
Cn '(1)=(1−α)・2θst/sin(2θst)−(1+α)
…(A2)
(ショートスタブを用いた場合)
可変リアクタンス回路220とインピーダンス変成器210との接続点Qから同調スタブ2を見たインピーダンスZstubは次式で表される。
【0176】
Zstub=jZsttan(ωn ・θst) …(b1)
発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見たインピーダンスZmod は次式で表される。
【0177】
Zmod =j{Zsttan(ωn ・θst)+XVD}=jXmod …(b2)
ここで、XVDは可変リアクタンス回路220のリアクタンスである。上式(b2)から発振部100と同調部200との接続点Pから同調部200を見たリアクタンスXmod は次式のようになる。
【0178】
Xmod =Zsttan(ωn ・θst)+XVD …(b3)
可変リアクタンス回路220のインダクタンスをLp とすると、可変リアクタンス回路220の誘導成分は次式のようになる。
【0179】
ωn ・Lp =ωx ・ωC ・Lp =ωn ・A …(b4)
ここで、A=ωC ・Lp =一定
可変リアクタンス回路220の容量成分は次式のようになる。
【0180】
1/(ωx ・Cx )=1/(ωn ・ωC ・Cn ・CC )
=B/(ωn ・Cn ) …(b5)
ここで、B=1/(ωC /CC )=一定
上式(b4),(b5)から、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDは次式のようになる。
【0181】
XVD=ωx ・Lp −1/(ωx ・Cx )
=ωn ・A−B/(ωn ・Cn )
=XVD(ωn ,Cn ) …(b6)
このように、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVDは発振角周波数ωn および容量Cn の関数で表される。
【0182】
A/B=ω2 C・Lp ・CC =αとおくと、可変リアクタンス回路220は、α>1の場合に誘導性となり、α<1の場合に容量性となり、α=1の場合に直列共振となる。
【0183】
上式(b6)から、可変リアクタンス回路220のリアクタンスXVD(ωn ,Cn )は次式のようになる。
【0184】
XVD(ωn ,Cn )=B{ωn ・α−1/(ωn ・Cn )} …(b7)
したがって、上式(b3),(b7)から、リアクタンスXmod (ωn ,Cn )は次式のようになる。
【0185】
Xmod (ωn ,Cn )
=Zsttan(ωn ・θst)+XVD(ωn ,Cn )
=Zsttan(ωn ・θst)+B{ωn ・α−1/(ωn ・Cn )}
…(b8)
中心発振角周波数(ωn =1)および中心容量(Cn =1)でリアクタンスXmod がショートとなるように設計する。それにより、上式(b8)からωn =1およびCn =1のときのリアクタンスXmod (1,1)は次式のようになる。
【0186】
Xmod (1,1)=Zsttanθst+B(α−1)=0 …(b9)
上式(b9)により次式が成立する。
【0187】
Zst=B(1−α)/tanθst=B(1−α)cotθst …(b10)
したがって、上式(b8),(b10)よりリアクタンスXmod は次式のようになる。
【0188】
Xmod (ωn ,Cn )=B{(1−α)cotθsttan(ωn ・θst)+ωn ・α−1/(ωn ・Cn )} …(b11)
発振角周波数(ωx =ωn ・ωC )はバラクタダイオード3の容量Cn が変化したときにXmod (ωn ,Cn )=0を満足する発振角周波数ωn で与えられる。
【0189】
逆に、発振角周波数ωn が変化したときにXmod (ωn ,Cn )=0を満足する容量Cn を考えると、上式(b11)から次式が成立する。
【0190】
(1−α)cotθsttan(ωn ・θst)+ωn ・α−1/(ωn ・Cn )=0 …(b12)
上式(b12)を容量Cn で整理すると、次式のようになる。
【0191】
1/(ωn ・Cn )=ωn ・α+(1−α)cotθsttan(ωn ・θst) …(b13)
さらに、上式(b13)から次式が求められる。
【0192】
Cn (ωn )=1/[ωn {ωn ・α+(1−α)cotθsttan(ωn ・θst)}] …(b14)
上式(b14)の容量Cn (ωn )を発振角周波数ωn で微分すると、中心発振角周波数(ωC =1)での容量の変化率Cn '(1)が次式のように求められる。
【0193】
Cn '(1)=(α−1)・2θst/sin(2θst)−(1+α)
…(B2)
以上をまとめると、同調スタブ2の特性インピーダンスZstおよび中心発振角周波数(ωC =1)でのバラクタダイオード3の容量の変化率Cn '(1)は次式(A1),(A2),(B1),(B2)のように求められる。なお、α=ωC 2・Lp ・CC である。α=1のときは直列共振である。
【0194】
(オープンスタブを用いた場合)
Zst=B(α−1)tanθst …(A1)
Cn '(1)=(1−α)・2θst/sin(2θst)−(1+α)
…(A2)
(ショートスタブを用いた場合)
Zst=B(1−α)cotθst …(B1)
Cn '(1)=(α−1)・2θst/sin(2θst)−(1+α)
…(B2)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電圧制御型発振器の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電圧制御型発振器の詳細な構成の一例を示す回路図である。
【図3】図2の電圧制御型発振器の平面図である。
【図4】図2の電圧制御型発振器の発振周波数に着目した回路図である。
【図5】図4の同調部の発振周波数でのインピーダンスの制御電圧依存性を表すスミスチャートである。
【図6】オープンスタブを用いた同調部を示す図である。
【図7】ショートスタブを用いた同調部を示す図である。
【図8】オープンスタブを用いた場合の中心発振角周波数での同調スタブの電気長と同調スタブの特性インピーダンスおよびバラクタダイオードの容量の変化率との関係を示す図である。
【図9】ショートスタブを用いた場合の中心発振角周波数での同調スタブの電気長と同調スタブの特性インピーダンスおよびバラクタダイオードの容量の変化率との関係を示す図である。
【図10】6つの場合についての最適な同調スタブの特性インピーダンスおよび電気長の算出結果を示す図である。
【図11】第2の最適化方法を用いた電圧制御型発振器の平面図である。
【図12】比較例の電圧制御型発振器の平面図である。
【図13】誘導性の場合の実施例1、実施例2および比較例における発振角周波数とバラクタダイオードの容量との関係を示す図である。
【図14】容量性の場合の実施例1、実施例2および比較例における発振角周波数とバラクタダイオードの容量との関係を示す図である。
【図15】図1の電圧制御型発振器のより具体的な構成の一例を示す平面図である。
【図16】図15の電圧制御型発振器の回路図である。
【図17】制御電圧印加回路の構成を示す回路図である。
【図18】発振周波数の制御電圧依存性を示す図である。
【図19】同調感度の制御電圧依存性を示す図である。
【図20】図1の電圧制御型発振器を用いた無線通信システム用の送受信機の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 誘電体基板
2 同調スタブ
3 バラクタダイオード
4 トランジスタ
5,6,7 マイクロストリップ線路
100 発振部
110 増幅回路
120 帰還回路
200 同調部
210 インピーダンス変成器
220 可変リアクタンス回路
500 送信系
501,511 周波数変換器
510 受信系
520 局部発振器
550 アンテナ
Claims (7)
- 発振動作を行う発振部と、
前記発振部の発振周波数帯域内で共振する同調部とを備え、
前記同調部は、
伝送線路を含むインピーダンス変成器と、
前記伝送線路の一端と前記発振部との間に接続され、制御電圧に応じて容量値が変化する可変容量素子および誘導成分を含む可変リアクタンス回路とを備え、
制御電圧の変化に応じて前記発振部と前記同調部との接続点から前記同調部を見たインピーダンスの描く軌跡は、リアクタンスが実質的に0となる点を含み、
前記伝送線路の他端は開放状態にされ、制御電圧の中心値において、前記可変リアクタンス回路のリアクタンスは容量性であり、かつ発振周波数の変化に対する前記可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように前記伝送線路の特性インピーダンスが設定されたことを特徴とする電圧制御型発振器。 - 前記伝送線路の特性インピーダンスは、制御電圧の中心値における前記可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にtan(23π/32)倍に設定されるとともに、前記伝送線路の電気長が実質的に(23π/32)[rad]に設定されたことを特徴とする請求項1記載の電圧制御型発振器。
- 発振動作を行う発振部と、
前記発振部の発振周波数帯域内で共振する同調部とを備え、
前記同調部は、
伝送線路を含むインピーダンス変成器と、
前記伝送線路の一端と前記発振部との間に接続され、制御電圧に応じて容量値が変化する可変容量素子および誘導成分を含む可変リアクタンス回路とを備え、
制御電圧の変化に応じて前記発振部と前記同調部との接続点から前記同調部を見たインピーダンスの描く軌跡は、リアクタンスが実質的に0となる点を含み、
前記伝送線路の他端は短絡状態にされ、制御電圧の中心値において、前記可変リアクタンス回路のリアクタンスは誘導性であり、かつ発振周波数の変化に対する前記可変容量素子の容量値の変化率が極小となるように前記伝送線路の特性インピーダンスが設定されたことを特徴とする電圧制御型発振器。 - 前記伝送線路の特性インピーダンスは、制御電圧の中心値における前記可変リアクタンス回路のリアクタンスの実質的にcot(23π/32)倍に設定されるとともに、前記伝送線路の電気長が実質的に(23π/32)[rad]に設定されたことを特徴とする請求項3記載の電圧制御型発振器。
- 制御電圧の中心値において前記発振部と前記同調部との接続点から前記同調部を見たインピーダンスは、リアクタンスが実質的に0となるように設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電圧制御型発振器。
- 前記可変容量素子に直列または並列に固定容量が付加されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電圧制御型発振器。
- 基準信号を発生する請求項1〜6のいずれかに記載の電圧制御型発振器を含む局部発振器と、
前記局部発振器により発生された基準信号を送信信号または受信信号と混合することにより送信信号または受信信号の周波数を所定の周波数に変換する周波数変換器とを備えたことを特徴とする通信装置。
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