JP3862701B2 - 鮎釣り用植物プランクトン餌料 - Google Patents
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Description
鮎の体長は、5月から6月に12cmから15cmになり、餌となる植物プランクトンが豊富に繁茂する7月から8月になると20cm以上に成長する。
一方、植物プランクトンが盛んに繁殖する最良の餌場である瀬から追い出された鮎は、植物プランクトンの少ない餌場である淵において、瀬に生息する単独鮎のようにその生息域を独占せずに群れを形成し、植物プランクトンの他に川虫、昆虫類も食餌するあぶれ鮎と呼ばれる。
天然鮎は、冒頭に記述した生活循環を自然に行う海産鮎でその数は少ない。
放流の海産鮎は、遡上する鮎を河口で捕獲し、養殖池に一旦移し、より上流に放流するもので、闘争心が弱くあぶれ鮎となり、湖産鮎が釣れ尽くした後、瀬に移動し縄張りを作り友釣りで釣れる。
養殖鮎は、完全に人工的に孵化、養殖されたもので、圧倒的な数が放流されている。人工餌を食べさせられる養殖鮎は、体長6〜7cmになると放流され、人工餌から植物プランクトンにその食性を変えるが、友釣りでは非常に釣れにくく、天然鮎の持つ味も香もない。しかし、9月頃には体長が20cm以上に達するものが生息し、植物プランクトンを食した鮎独特の香気がする。この頃には、鮎の密度が低くなり、友釣りでは釣果が少ない。
友釣りは、瀬で生息域を独占しようとする縄張り鮎が、その生息域への侵入者を撃退する習性を利用したものである。釣り人は、囮とする生きた鮎の鼻孔に鼻環、体に素掛け針を装着し、釣りの対象となる縄張り鮎の生息域に囮鮎を竿で操作移動し、目標とする鮎の魚体に素掛け針を引っかけて釣上げる釣法である。現在の鮎釣りの8割以上は、この釣法である。元気な囮を鮎船とよばれる魚篭(びく)から選択する、囮鮎に仕掛けをすばやく付け元気なまま泳がせる、仕掛けの鼻環掛け、逆さ針の取り付けを囮の大きさなどの要因で変えるというような複雑な仕掛けで技術的に熟練を要し、根掛かりで素掛け針等が外れたり、高価な囮鮎を逃がすと釣りを中断しなければならない。鮎船や長く重い竿を持ち、長時間急流に体を入れて釣りをするのは、体力を必要とし、老人、子供、女には、不向きな釣りである。
餌釣りは、淵に棲息するあぶれ鮎を対象とし、動物性の餌であるシラス、イカ、オキアミ、アジを返しのない小さい針につけ、餌と同じ物をコマセにして鮎を寄せ、釣る方法である。天然鮎の多い川で効果を発揮するがほとんど実施されていない。
鮎は、漁獲後その腹を食すので餌にその食性である植物プランクトン以外のものを使用することは、その価値を下げることになるため、植物プランクトンを餌として釣ることが最善である。
また、鮎は水中の岩石に繁殖した植物プランクトンを食べる時に、口を大きく開く習性があるため、この釣り法においては従来の餌釣りよりも針掛かりが良いことが予想される。そのため、従来の餌釣りに用いる針に返しをつけることも可能であり、これにより植物プランクトン餌がはずれにくくなる。
昭和38年12月25日 恒星社厚生閣発行、殖田三郎著「水産植物学」 333頁〜334頁参照
り用植物プランクトン餌料に関する。
(1)釣り針を通すための貫通した穴を有するかまたは釣り針掛けが可能である、立体的な核となる物質を、鮎の餌となる植物プランクトン培養液に浸漬して植物プランクトンを培養し、該物質の表面に植物プランクトンを繁殖させ、付着せしめてなることを特徴とする、植物プランクトンが表面に付着し、釣り針を通すための貫通した穴を有するかまたは釣り針掛けが可能である、立体的な核となる物質よりなる鮎釣り用植物プランクトン餌料。
(2)鮎の餌となる植物プランクトンが珪藻および/または藍藻である前記(1)記載の餌料。
(3)立体的な、核となる物質が釣り針を通すための貫通した穴を有するビーズである前記(1)記載の餌料。
珪藻、藍藻としては、淡水性の付着あるいは群生する藻類が好適である。珪藻として例えば次の珪藻が用いられる。Melosira属、特にMelosira varians、Synedra属 特にSynedra ulna、Synedra ulna var oxyrhynchus、Nitzschia属 特にNitzschia amphibia、Gomphonema属 特にGomphonema sphaerophorum、Gomphonema olivaceum、Cocconeis属 特にCocconeis placentula、Cymbella属 特にCymbella ventricosa 、Amphora属 特に Amphora ovalis、Achnanthes属 Achnanthes minutissima、Achnanthes brevipes、Fragilaria属、特にFragilaria intermedia、Navicula属、 特にNavicula cryptocephala、Navicula cryptocephala var. intermedia、Tabellaria属、Meridion属、Diatoma属、Rhoicosphenia属、Bacillaria属、Epithemia属、Rhopalodia属、Eunotia属である。
また、藍藻としては、特にOscillatoria属の藍藻が用いられる。
本発明は、これらの植物プランクトンを1種あるいは数種培養する。
的な核となる物質を浸漬して該物質表面に植物プランクトンを繁殖させて行うとよい。
植物プランクトンの培養液は、基礎栄養塩液に、珪酸ソーダ、エチレンジアミン4酢酸
(EDTA)、土壌抽出液、ビタミンB12等を加えた物である。
基礎栄養塩液は、リン、チッソ、カリ、マグネシウム、カルシウム等に微量元素を加え
たものである。
また、釣針を通すことが可能であって、立体的な核となる物質には、穴の貫通したプラ
スチック製ビーズ、穴の貫通した陶器のビーズ、穴の貫通したゴム顆粒などを例示するこ
とができる。また釣り掛けが可能であり、立体的な核となる物質には、ゴムあるいはソフ
トプラスチックから形成された板体あるいは顆粒を例示することができ、釣り針がつきさ
さるものであれば使用することが可能である。
しかし、板のような平面的なものより、ビーズのような立体的なものの方が植物プラン
クトンが付着する表面積が増え、培養時間が短縮するので望ましい。
これら核となる物質の形状としては球形ばかりではなく、直方体、立方体、帯状物、丸
状物等種々の形状があるが、植物プランクトンを付着させるために、その表面積が大きく
、かつ鮎の口に入るものが望ましい。
特に好ましい核となる物質は、釣針を通すため穴のあいているビーズ状のものであって
、糸により穴に連結され、培養液中に吊るされることが好ましい。
このような、植物プランクトンをその周りに付着した核となる物質が、鮎釣りの餌とし
て用いられる。
核となる物質は植物プランクトン自体が付着可能な物質であることを考慮すべきである。鮎の口による食い付き、川の流れなどの物理的力により容易に外れることのない物質あるいは形状が望ましい。培養容器中の植物プランクトンは容器の底面、壁面に付着する。これは植物プランクトンが繁殖するために付着物が必要であるからであり、核となる物質である立体物を水中に入れることにより、付着可能な物質の表面積が増え、繁殖を早める事が出来る。本発明では核となる物質として中央に穴の貫通したプラスチック製ビーズを例示して説明するが、植物プランクトンが付着可能な物質で釣り針掛けが出来るゴムなども使用可能である。なお、本発明の立体的な核となる物質にはゲル状のものを含む。
針の大きさに応じ、ビーズの長さと穴の大きさを調整する必要がある。
鮎は、囮鮎の肛門を攻撃することが多く、毛ばり釣りでも金色の玉に良く反応を見せるのでビーズの色は金色が望ましい。プラスチック製ビーズそのものにも植物プランクトンは付着するが、川で良質な植物プランクトンの繁茂する頭大以上で表面がつるつるした天然にある丸石の水成岩の摩擦係数以上に表面を加工したものが望ましい。このように、ビーズは、摩擦係数の大きいものを用いる方が外れにくくなるので好ましい。
小規模培養では、10L未満の培養器を用いた恒温室内で単種あるいは複種培養する。大規模では、10L以上、500L未満の培養器を用い、フィルター濾過後(5μm→1μm→0.5μm目のフィルターで濾過)、出来れば紫外線とオゾンで滅菌した淡水を使用し培養液を作る。0.5%のCO2を添加した空気を供給し、光合成を助長しpHの上昇を防ぐのが望ましい。
小、大規模の培養は、最適繁殖水温に調整した恒温室内で行うことにより計画的に培養できる。
長期にわたり培養株を保存するには、温度と受光量の低い場所に置き静置し通気はしないほうがよく、培養液中で過密になったら、植え継ぎを繰り返して行うことが必要である。
(1) 培養液の調製
水を煮沸する温度にまで加熱し、放置して室温になるまで冷却する。これは水中の微小生物を殺すためである。この水10Lに次の基礎栄養塩を加える。
1) 水500mlにNaNO3 15g、Ca(NO3)2 1g及びMgSO41.25gを加えて溶解した溶液100ml
2) 水200mlにK2HPO4 400mgを加えて溶解した溶液50ml
3) 水100mlにFeSO4 300mg、クエン酸300mg、 H3BO4 150mg及びMnCl2 100mgを加えて溶解した溶液10ml
4) 水100mlにZnSO4 22mg、Cu SO4 79mg、(NH4)6Mo7O24 15mg、(NH4)VO3 27mg、EDTA 250mg、及びCoCl2 12mgを加えて溶解した溶液1ml
次にこの溶液に次の基礎栄養塩を添加して溶解し、培養液を調製する。
5) 珪酸ソーダ 500mg
6) EDTA 50〜100mg
7) 土壌抽出液(土壌浸出培養基:畑土、庭土(乾量200g)を蒸留水1Lに入れ、一時間煮沸、静置し、上澄み液を濾過したもの) 200ml
8) ビタミンB12 7μg
なお、このうち、特に珪酸ソーダは、培養する珪藻の密度が高くなると不足してくるために必要である。
(3) 上記鮎の釣り餌を図1の釣り針の所定の箇所に餌料の孔を貫通させて図3のようにし、鮎を釣ることができた。
(2) 餌料
(3) 貫通穴
(4) つきさした箇所
Claims (3)
- 釣り針を通すための貫通した穴を有するかまたは釣り針掛けが可能である、立体的な核となる物質を、鮎の餌となる植物プランクトン培養液に浸漬して植物プランクトンを培養し、該物質の表面に植物プランクトンを繁殖させ、付着せしめてなることを特徴とする、植物プランクトンが表面に付着し、釣り針を通すための貫通した穴を有するかまたは釣り針掛けが可能である、立体的な核となる物質よりなる鮎釣り用植物プランクトン餌料。
- 鮎の餌となる植物プランクトンが珪藻および/または藍藻である請求項1記載の餌料。
- 立体的な、核となる物質が釣り針を通すための貫通した穴を有するビーズである請求項1記載の餌料。
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