JP3862487B2 - ディジタル式運行記録システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル式運行記録システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル式運行記録計は、トラックなどの車両に搭載されて、走行距離などの各種運行データを記録するものである。この運行データは、車両の速度センサの検出値に基づいて自動的に算出され、例えばメモリカードのような記録媒体に記録される。このメモリカードを営業所に設置された読取装置で読み取ることによって、読取装置に接続されたコンピュータに自動的にデータを入力し、また、自動的に運転日報を作成するのに利用される。
【0003】
また、上述のようなディジタル式運行記録システムにおいては、車両に搭載される車載装置によって速度データや時間データ、走行距離データを取得するに際して、前記車載装置にGPS(Global Positioning System)機能を備えさせ、前記車載装置を搭載した車両の現在地や交通状況などの情報を取得し、車両を管理する事務所側から前記現在地や交通状況等に応じて走行する道順を車両に指定したり、車両が目的地まであとどれぐらいの時間を所要するか、などの判断を行ったりすることが通常行われている。
【0004】
ところで、運転日報の作成にあたっては、1日の車両の運行履歴を容易に把握するために、1日の車両運行状況を示すグラフ表示を複数通りで構成しておき、任意の表示形態でグラフ表示させている。これによって1日の運行状況全体を知りたい場合や、ある特定の時間帯の運行状況を知りたい場合など、必要に応じて適当な表示形態でグラフを表示させることが可能となり、各車両の運行状況をより厳密に知ることができる。
【0005】
図8は、従来の一般的なディジタル式運行記録システムによって作成される運行状況を示すグラフの例を示している。(A)は、一日の運行状況全体を表す24時間表示グラフであり、横軸は運行時間帯、縦軸は運行時間帯に対応した速度([km/時間])を表している。(B)は一日の運行全体のうち、8時間のみを表示した、8時間表示グラフである。これは、(A)の24時間表示グラフのうち、任意の時間帯(8時間分)を選択し、前記選択した時間帯における運行状況を画面全体にグラフとして表示するものである。
【0006】
(C)は、(B)と同様に、一日のうち任意の時間帯のうち4分間のみの運行状況をグラフ表示する4分間表示グラフを表している。これによって、ある特定の時間帯の運行状況の詳細をより厳密に知ることができる。
【0007】
一般に、本件に関わる技術の属する分野であるディジタル式運行記録システムにおいては、前述のような3通りのグラフの表示形態を表示させる機能を備えさせておくことが義務付けられている。
【0008】
また、従来の運行記録計において、近年、速度データや時間データ、走行距離データを取得するだけではなく、前記車載装置にエンジン回転数を計測する手段を設け、ディジタルデータとして取りこみ、表示させることが行われている。エンジン回転数を計測し、そのデータを取得することによって、例えば、不必要なアイドリングを行っているか否かの判別が可能となり、また、速度に比してエンジン回転数が異常に高い場合には急激な加速を行っていることがわかる。前述のような不必要なアイドリングや、急激な加速であることを判別するために、予め所定のエンジン回転数をアラーム回転数として定めておくことも従来より行われている。
【0009】
さらに、保冷庫を備えたトラックなどの場合、冷凍庫の冷却装置のコンプレッサーがエンジンの回転数に依存して作動しているため、保冷庫内の温度データとエンジン回転数を関連付けたデータが必要となる。
【0010】
そこで、従来の技術として、エンジン回転数の各データを時系列的に取得していくことによって、例えば、時間軸とエンジン回転数の関係、車両の位置とエンジン回転数の関係、さらには車速情報とエンジン回転数の関係を知ることができる。これについて、例えば特開平9−231422に記載されているように、エンジン回転数の測定データをタイムチャート紙に記録することで、保冷庫内の温度データとエンジン回転数の関係を知る技術がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来における運行記録システムにおいて作成された運行記録データは、時間−速度の関係を表すグラフとは別に、エンジン回転数のデータをグラフ表示を行っているため、エンジン回転数がアラーム回転数を上回っている時間(時刻)が、実際の運行の、どの時点を表しているのかが掴めない。
【0012】
さらに、運行中のエンジン回転数が、アラーム回転数をわずかに上回っている場合など、アラーム回転数近傍である場合に、記録されたエンジン回転数がアラーム回転数を上回っているか否かを判断しづらいという難点もある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような問題点を考慮してなされたもので、請求項1においては、車両に搭載され、前記車両の速度データおよび時間データを着脱自在のメモリカード等の記録媒体にディジタルデータとして収集かつ記録するためのディジタル式運行記録計と、前記記録媒体に記憶させたディジタルデータを読み取り、処理するためのデータ処理装置を備えているディジタル式運行記録システムにおいて、(1)エンジン回転数の値を、2を超える複数の回転数レンジに分類し、(2)前記車両のエンジン回転数を計測し、(3)その計測値をディジタルデータとして収集し、(4)前記エンジン回転数を計測したディジタルデータに回転数レンジ識別子を付して記憶し、(5)予め該回転数レンジ識別子と関連付けて作成された、表示形態の識別ファイルを読み出して、(6)回転数レンジに応じた表示形態を決定することを特徴とするディジタル式運行記録システムを提案している。
【0014】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のディジタル式運行記録システムにおいて、前記エンジン回転数データを、速度データおよび時間データと同時に 表示するとともに、エンジン回転数の値に応じて変化した表示を行うことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明においては,請求項1または2に記載のディジタル式運行記録システムにおいて、前記表示形態の識別ファイルが、表示色あるいはグラフの線種や線の太さの識別ファイルであることを特徴とし、請求項4に記載の発明においては,請求項1〜3のいずれかに記載のディジタル式運行記録システムにおいて、前記表示色を、前記回転数レンジに対応してRGB(赤緑青)の成分に分解して数値化した式で表すとともに、決定された前記表示形態に基づき、前記識別ファイルから前記式を読み出し、2を超える複数の異なる表示色によって表示を行なうことを特徴としている。
【0016】
図1に、エンジン回転数を計測する手段を備えた運行記録システムの車載装置の一般的な構造を示す。図において、1は車両に搭載された車載装置で、この車載装置1は、無線装置2と、アンテナ3と、GPS(Global Positioning System)受信機4と、アンテナ5と、表示器8と、センサ9と、運行記録計20とを備えている。センサ9は、車両の速度やエンジンの回転数などを計測検出する各種センサから構成されており、その計測したデータ(ディジタルデータ)を制御部7へ送っている。
【0017】
無線装置2は、営業所などのセンターとの間で交信を行うためのもので、アンテナ3を介してデータの送受信が行われる。GPS受信機4は、通信衛星6から送られてくる緯度や経度などの位置データを、アンテナ5を介して受信する。表示器8は、液晶ディスプレイなどから構成され、車両の運転席のパネルに設けられて、各種の情報を表示する。
【0018】
ディジタル式運行記録計20は、制御部7とカード処理装置10とを含んで構成されている。制御部7には、車載装置1の全体を制御するCPU12と、運行した地域を記憶するための運行地点テーブル13が設けられている。なお、図示は省略しているが、制御部7にはこの他、プログラムを格納したROMや、データを一時的に記憶するRAM、およびインターフェイス回路などが設けられている。
【0019】
カード処理装置10は、読取機能と書込機能の両方を備えたカードリーダ・ライタから構成されている。このカード処理装置10には、カード11が挿入される。カード11は、運転者によって所持され、たとえばRAMを内蔵したメモリカードから構成される。ただし、これに限定されるものではなく、カード11として、磁気カードや光カードなどを用いることも可能である。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態で用いるディジタル式運行記録システムを示す全体構成説明図であって、括弧内は、営業所に設置されているデータ処理装置の電気的構成を示すブロック図である。データ処理装置21は、読取装置14と、コンピュータ15と、プリンタ16とから構成され、コンピュータ15に読取装置14およびプリンタ16が接続されている。
【0021】
読取装置14は、上述のカード11に記録されたデータを読み取るためのカードリーダを備えており、この他に、出社や退社の登録を行うための登録キーや表示器などを備えている。コンピュータ15は、パーソナルコンピュータ(PC)から構成され、周知のディスプレイやキーボード、マウスなどを備えている。プリンタ16は、コンピュータ15で処理されたデータに基づいて運転日報を作成するものである。
【0022】
より詳しくは、運送トラックTが一連の作業を終えて営業所Sへ戻り、運行が終了すると、運転者は車載装置1からカード11を抜き取って、トラックから降車する。そして、営業所Sにある読取装置14へカード11を挿入し、続いて読取装置14の退社登録キーを操作して、退社登録を行う。営業所Sのデータ処理装置21では、読取装置14が読み取ったカード11のデータをコンピュータ15で処理し、車両の運行状況を示すタイムチャートデータを作成し、作成されたタイムチャートをプリンタ16で運転日報として印刷(出力)することになる。このとき、前記タイムチャートデータを作成する際に、同時にエンジン回転数データについてもタイムチャートデータを作成する。
【0023】
前記運転日報には、図8に示されているような1日の運行記録データの他に、図5に示すようなエンジン回転数のタイムチャートデータが掲載される。図5において、横軸は時間、縦軸はエンジンの回転数を表しており、本例では4000[rpm]をアラーム回転数としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。図7は、本発明に関わるディジタル式運行記録システムにおいて、エンジン回転数センサから取得されたエンジン回転数データを、他の運行記録データとともに表示した運行記録データグラフの一例である。この例では、他の運行記録データ(速度データ、距離データ)と共通の時間軸上にエンジン回転数データを表示しているので、車両が実際の運行した速度等に即したエンジン回転数を一目で把握することができる。
【0025】
また、本実施形態において、図7で表示されているエンジン回転数データについて、エンジン回転数の値に応じた表示の変化を行なっても良い。そのような実施形態を、図3を参照しながら説明する。
【0026】
図3は、本発明に関わるディジタル式運行記録システム内のデータ処理装置21内のコンピュータ15を構成するパーソナルコンピュータ内のメモリに記憶されたプログラムが、前記ディジタルデータを処理する際の手順を表した一例である。本実施形態では、エンジン回転数の値を0〜1000,1000〜2000,2000〜3000,・・・5000〜6000,6000〜[rpm]の7通りに分類し、その各々の分類された回転数群について色による表示の変化を行っている例を示している。
【0027】
まず、エンジン回転数センサより車両のエンジン回転数データX[rpm]を時系列的に取得し(S1)、次に、前記エンジン回転数データを数値データxに変換する(S2)。こうして得られた数値xが、どのエンジン回転数レンジに属するかを調べるために、前記数値xが0以上1000[rpm]未満の回転数レンジに入るか否かを計算により求める(S3)。もし前記回転数レンジに含まれなければ、1000[rpm]以上2000[rpm]未満のレンジに入るか否かを検討する(S4)。同様にして、xが0〜1000,1000〜2000,2000〜3000,・・・5000〜6000,6000〜[rpm]のどの回転数レンジに入るかを算出する(S5〜S7)。
【0028】
前記数値データxが特定の回転数レンジに入ると、データxの1つ1つに、そのデータがどの回転数レンジに入る値かを認識させるための回転数レンジ識別子T(T1〜T7)を付し(S3’〜S7’)、メモリまたはハードディスク内に記憶する(S8)。次に、メモリに記憶されたプログラムは、回転数レンジに応じた表示形態を読み出すために、あらかじめ回転数レンジ識別子Tと関連付けて作成された表示色識別ファイルを読み出して(S9)、各々のデータxをメモリまたはハードディスク内から読み出す際に、予め付された各回転数レンジ識別子Tに適した表示の色を識別して前記数値xのすべてに適切な表示色データを付し(S10)、ディスプレイ上に出力する(S11)。
【0029】
この実施形態では、各々の回転数レンジに適した表示の色の選択方法として、予め各回転数レンジに対応する表示色を定めたファイルを準備しておき、各数値データxが特定の回転数レンジに属するかが決定された時点で前記ファイルを読み出し、適切な表示色を決定するようにしている。
【0030】
前述した回転数レンジに対応する表示色を定めたファイルの実施形態の1例について、図4を参照しながら詳細を説明する。図4は、エンジン回転数の各レンジに対応する色をRGB(赤緑青)の成分に分解して数値化した式で表した一例である。本実施例では、表示させる画素の階調をRGBのカラーデータで表しているが、本発明における表示方法としては、これに限られたものではなく、カラーデータの濃淡によって回転数の強弱を表すようにしてもよいし、前述したアラーム回転数を前もって定める場合には、前記アラーム回転数を超えた値に関しては、赤色などの警告を促すような表示色にしても良い。また、グレースケールなどの階調を異ならせた表示方法でも可能である。
【0031】
次に、図6を参照しながら、エンジン回転数の値に応じた表示の変化を行なう例について、他の実施形態を説明する。この実施形態では、まずエンジン回転数センサより車両のエンジン回転数データX[rpm]を時系列的に取得し(S1)、前記エンジン回転数データXを数値データxに変換したのち(S2)、一旦RAM内に数値データを格納する(S3)。次に、格納された数値データxをディスプレイ上に一旦表示する前に、各数値データxの大きさを順次0〜1000[rpm]、1000〜2000[rpm]、2000〜3000[rpm]、・・・5000〜6000,6000〜[rpm]の各回転数レンジに振り分け(S4〜S8)、各々の回転数レンジに対応した表示色を、各回転数レンジに対応した表示色識別ファイルより読み出し(S4’〜S8’)、ディスプレイ上に表示する(S9)。
【0032】
各エンジン回転数レンジに応じた色の決定は、前述のように、エンジン回転数に応じて表示色を定めたファイルを予め作成しておき、再表示する前に前記ファイルを読み出すようにしてもよいが、プログラム上で予め各エンジン回転数レンジ毎に表示する色を指定しておき、数値データxを読み出す際に指定した色を用いて表示するようにしてもよい。
【0033】
この実施形態の場合、特定のエンジン回転数レンジ内にある数値xについて、一括して表示色を付すことができるので、第1の実施例に記載のように1つ1つの数値xごとに回転数レンジ識別子や表示色データを付していく必要がなく、プログラム上効率良くデータ処理を行うことができる。
【0034】
図3および図4を用いて説明した実施形態によって得られた、エンジン回転数の値に応じて表示色を変化させたデータを、他の運行記録データと共通の時間軸で表示することによって、車両の運行についての、より正確なエンジン回転数データを把握することが可能となる。
【0035】
また、エンジン回転数に応じて表示を変化させる手法は、前述のような、表示色を変化させるものに限らず、グラフの線種や、線の太さを変化させても良い。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジン回転数のデータをディジタル式運行記録システムにて記録されるデータ(速度データ,走行距離データ,時間データ)に併せて表示させることができ、実際の走行に併せたエンジン回転数データを正確に把握することができるとともに、エンジン回転数のレンジによってその表示色を変化させているので、アイドリングや急激な加速を行った様子が一目で理解できる。これによって、アラーム回転数を設定している場合、記録されたエンジン回転数が前記アラーム回転数を上回っているか否かが容易に判断できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態で用いる車載装置を示す全体構成説明図である。
【図2】本発明の一実施形態で用いるディジタル式運行記録システムを示す全体構成説明図である。
【図3】第1実施例において、エンジン回転数データを表示するまでの処理手順を表した一例である。
【図4】本発明において、エンジン回転数の各レンジに対応する色を数値化した式で表した一例を示す図である。
【図5】従来におけるエンジン回転数のタイムチャートの一例を表す図である。
【図6】第2実施例において、エンジン回転数データを表示するまでの処理手順を表した一例である。
【図7】本発明において、エンジン回転数データを運行記録データに併せて表示した一例である。
【図8】従来の一般的なディジタル式記録システムによって作成される運行状況を示すグラフの例を示す図である。
【符号の説明】
1…車載装置、2…無線装置、4…GPS受信機、6…通信衛星、7…制御部、10…カード処理装置、11…カード、12…CPU、13…運行地点テーブル、14…読取装置、15…コンピュータ、17…無線装置、20…ディジタル式運行記録計、S…営業所、T…運送トラック

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、前記車両の速度データおよび時間データを着脱自在のメモリカード等の記録媒体にディジタルデータとして収集かつ記録するためのディジタル式運行記録計と、前記記録媒体に記憶させたディジタルデータを読み取り、処理するためのデータ処理装置を備えているディジタル式運行記録システムにおいて、
    (1)エンジン回転数の値を、2を超える複数の回転数レンジに分類し、
    (2)前記車両のエンジン回転数を計測し、
    (3)その計測値をディジタルデータとして収集し、
    (4)前記エンジン回転数を計測したディジタルデータに回転数レンジ識別子を付して記憶し、
    (5)予め該回転数レンジ識別子と関連付けて作成された、表示形態の識別ファイルを読み出して、
    (6)回転数レンジに応じた表示形態を決定する
    ことを特徴とするディジタル式運行記録システム。
  2. 前記エンジン回転数データを、速度データおよび時間データと同時に表示するとともに、エンジン回転数の値に応じて変化した表示を行うことを特徴とする請求項1に記載のディジタル式運行記録システム。
  3. 前記表示形態の識別ファイルが、表示色あるいはグラフの線種や線の太さの識別ファイルであることを特徴とする請求項1または2に記載のディジタル式運行記録システム。
  4. 前記表示色を、前記回転数レンジに対応してRGB(赤緑青)の成分に分解して数値化した式で表すとともに、決定された前記表示形態に基づき、前記識別ファイルから前記式を読み出し、2を超える複数の異なる表示色によって表示を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディジタル式運行記録システム
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