JP3860824B2 - 媒体中誘電率の測定方法、並びに、電磁波探査機 - Google Patents

媒体中誘電率の測定方法、並びに、電磁波探査機 Download PDF

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Description

本発明は電磁波探査機における媒体中誘電率の測定方法、並びに、電磁波探査機に関する。
従来より、アンテナから電磁波を輻射し、物体からの反射波を受信解析して探査を行う電磁波探査機が開発され、埋設管や地雷などの埋設物探査を目的として用いられているが、従来の電磁波探査機には、地中の各深度毎の誘電率を測定する機能を有するものはなかった。
しかし、埋設管や地雷などの探査対象物が埋設されている深度を測定するためには、電磁波の伝搬速度は伝搬媒体の誘電率によって異なるため、電磁波の伝搬媒体の誘電率をその都度測定する必要がある。
また、合成開口法を用いて探査対象物の深度を測定する技術も知られているが、合成開口法を用いる探査は熟練度の高い技術者でなければ難しく、誰でも簡単に行えるものではない。
そこで、本発明は、合成開口法を用いずに、熟練者でなくとも容易に媒体中の各深度毎の誘電率を測定し、探査対象物までの深度をも容易に測定し得るようにすることを目的とする。
本願発明者は、送信波の帯域を非常に狭く(例えば、中心周波数1GHzの場合で帯域20MHz程度)し、かかる狭帯域の電磁波の反射波を受信アンテナで検知し、この検知信号を所定の検波回路によって検波することにより、受信波形の周期と媒質の比誘電率との間に所定の相関関係が生じることを見出している。本発明は、かかる原理に基づいて得られる信号波形に基づく全く新規な誘電率測定手法を提供するものである。
即ち、本発明は、単一地点で送信アンテナから電磁波を輻射して、その単一地点の反射波を受信アンテナで検知し、この単一地点での検知信号に基づいて解析用信号を生成して、該解析用信号を解析することにより探査対象媒質内の非破壊探査を行う媒体中誘電率の測定方法において、前記解析用信号は、時間の経過とともに振幅が変化する交番波形を呈し、該波形の時間軸が媒体の深度に対応するものであり、
前記解析用信号を複数の時間範囲に区分し、
各時間範囲における解析用信号の平均周期に所定の演算を施すことによって、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出することを特徴とする電磁波探査機における媒体中誘電率の測定方法である。かかる本発明の測定方法によれば、単一地点における反射波受信信号のみに基づき、その地点の媒体(地中など)の深度毎のおおよその誘電率を算出することができるので、熟練技術者でなくとも容易かつ迅速に媒体中誘電率を測定できる。
上記した本発明の媒体中誘電率の測定方法は、解析用信号波形の各時間範囲における平均周期と、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率の平方根とが、線形的な関係を有している電磁波探査機において好適に使用することができる。
また、上記本発明の媒体中誘電率の測定方法は、前記送信アンテナから輻射される電磁波の占有周波数帯幅を、所定の目的周波数成分以外の周波数成分を選択的に除去することにより狭くした電磁波探査機において好適に使用することができ、前記目的周波数は300MHz以上2GHz以下であり、前記占有周波数帯幅は10MHz以上100MHz以下で且つ前記目的周波数の10%以下であるものとすることができる。このように、送信波の帯域を非常に狭く(例えば、中心周波数1GHzの場合で帯域20MHz程度)するとともにパルス状に輻射し、かかる狭帯域の電磁波の反射波を受信アンテナで検知し、この検知信号を所定の検波回路によって検波することにより、受信波形の周期と媒質の比誘電率との間に所定の相関関係が生じる。即ち、パルス状の狭帯域電磁波は、媒質中を伝搬する過程で、媒質の比誘電率に応じた伝搬速度と減衰率とを有する。さらに、媒質中のあらゆる点で反射波が発生し、該多数の反射波の合成により受信波が形成される。ここで、媒質の深度方向の単位距離毎に反射波が発生すると仮定すると、各反射波は媒質の比誘電率に応じた速度で媒質中を伝搬するから、地上の受信アンテナで受信される各反射波には、媒質の比誘電率に応じて所定の位相のずれが生じる。かかる多数の反射波の合成からなる受信波形には、探査対象の各深度毎の平均比誘電率に対応する信号成分が含まれる。例えば、この受信波形の各位相毎の周期が、探査対象の深度毎の平均誘電率に応じて変化するものとなったり、受信波の各位相のノイズ成分が、探査対象中の深度毎の平均誘電率に対応するものとなる。したがって、これらの信号成分に基づいて、探査対象中の深度毎の誘電率変化を観測できる。
また、上記本発明の媒体中誘電率の測定方法において、予め基準誘電率における基準周期を定めておき、各時間範囲の平均周期、基準周期並びに基準誘電率に基づいて、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出することができる。これによれば、基準が明確となるので、より正確に媒体の誘電率を測定することが可能となる。より好ましくは、基準誘電率の均質媒体に対して電磁波探査を行った場合に解析用信号波形が基準周期となるように、解析用信号を生成する信号処理回路を予め調整しておくのが良い。
上記本発明の媒体中誘電率の測定方法において、さらに、算出された各深度範囲の平均誘電率を色分けして媒体の深さ方向の誘電率分布図として表示装置に画面表示するステップを有することができる。これによれば、熟練した技術者でなくとも、表示装置に画面表示された誘電率分布図を見ることにより、地中などの媒体中の深度毎の誘電率を容易に把握することができ、地層構造や、地下水の有無、漏水の有無等を容易に判別可能となる。
上記本発明の媒体中誘電率の測定方法において、解析用信号波形の振幅のピーク位置を検知して、該ピーク位置で解析用信号を区分することができる。このように、振幅のピーク位置で解析用信号を複数の時間範囲に区分するようにすれば、振幅のピーク位置は比較的検知が容易であるため、測定・解析の誤動作を低減することが可能となる。
また、本発明は、電磁波を輻射する送信アンテナと、反射波を受信するための受信アンテナと、該受信アンテナの検知信号に基づいて解析用信号を生成する受信信号処理部と、前記解析用信号に基づいて所定の解析処理を行う解析処理部とを備え、前記解析用信号は、時間の経過とともに振幅が変化する交番波形を呈し且つ前記時間軸が媒体の深度に対応している電磁波探査機において、前記解析処理部は、前記解析用信号を複数の時間範囲に区分して各時間範囲における解析用信号の平均周期に所定の演算を施すことによって、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出する媒体中誘電率算出手段を備えていることを特徴とするものである。
上記本発明の電磁波探査機において、受信信号処理部は、それが生成する解析用信号波形の各時間範囲における平均周期と、該時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率の平方根とが、線形的な関係となるように構成することが可能である。
上記本発明の電磁波探査機において、前記送信アンテナには、輻射される電磁波の占有周波数帯幅を狭くするように所定の目的周波数成分以外の周波数成分を選択的に除去する電磁波吸収材が付設されており、前記目的周波数は300MHz以上2GHz以下であり、前記占有周波数帯幅は10MHz以上100MHz以下で且つ前記目的周波数の10%以下であるものとすることができる。
また、前記解析処理部は、さらに、基準誘電率を設定する基準誘電率設定手段と、基準誘電率に対応する基準周期を設定する基準周期設定手段とを備え、媒体中誘電率算出手段は、各時間範囲の平均周期と、設定された基準周期と、設定された基準誘電率との相対的な関係に基づいて、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出するように構成することができる。この場合、さらに、受信信号処理部は、基準誘電率の均質媒体に対して電磁波探査を行った場合に解析用信号波形が基準周期となるように調整可能に構成するのが好ましい。
上記本発明の電磁波探査機において、さらに、算出された各深度範囲の平均誘電率を色分けして媒体の深さ方向の誘電率分布図として画面表示する表示装置を備えることができる。
前記媒体中誘電率算出手段は、解析用信号波形の振幅のピーク位置を検知して、該ピーク位置で解析用信号を区分するように構成できる。
また、本発明は、電磁波を輻射する送信アンテナと、輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナとを備える電磁波探査機における媒体中誘電率の測定方法において、
電磁波の伝搬する波形の全てのピーク位置を検知するステップと、
各ピーク位置間の各区間の時間幅を順次測定して、誘電率変化を次式
比誘電率 = (測定周期時間/基準周期時間)2 × 基準校正比誘電率
から求めるステップと、
を備えるものである。
かかる媒体中誘電率の測定方法において、さらに、各区間の伝搬周期の検証を行うために、他区間の信号成分を零にして周波数スペクトル解析し、その正規化を最大スペクトルの二乗和(直流成分を除く)により計算して卓越周波数を求めて、該卓越周波数と、求められた比誘電率との相関を確認するステップを備えることができる。
また、上記媒体中誘電率の測定方法において、さらに、各区間毎に求めた比誘電率をカラーバー分類して地層の深さ方向の誘電率分布図として表示装置に画面表示するステップを備えることができる。
以下、本願の請求の範囲に係る発明とは直接関係がないが、電磁波探査機に関連して本発明者がなした他の発明について開示する。
〔電磁波探査機の受信回路の校正処理〕
本発明者らは、探査対象の深度毎の誘電率を受信波形中に観測し得る電磁波探査機において、探査に先だって比誘電率の校正を容易に行うことのできる電磁波探査機の比誘電率校正方法を開発している。
この比誘電率校正方法は、電磁波を輻射する送信アンテナと、輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナの検知信号に基づいて受信信号を生成する受信ユニットと、前記受信信号を処理して解析用信号を出力する信号処理部とを備え、該信号処理部は、周波数変換によって受信信号を信号周期の異なる解析用信号に変換する周期調整部を有し、該周期調整部は周波数変換定数の設定手段を有する電磁波探査機において、送信アンテナから電磁波を対空輻射したときの前記解析用信号の周期を、基準比誘電率に応じて予め定められた基準時間と一致させるように前記設定手段を調節するものである。なお、上記校正方法は、探査対象中の深度毎の平均比誘電率と、解析用信号波形の各位相毎の平均周期とが、所定の相関関係を有する電磁波探査機に好適に適用することができ、より好ましくは、解析用信号波形の各位相毎の平均周期が、探査対象中の深度毎の平均比誘電率の平方根にほぼ比例する関係となる解析用信号波形を生成する信号処理回路を備える電磁波探査機に用いるのが良い。また、上記校正方法は、送信アンテナや送信回路の最適化により狭帯域のパルス状電磁波を輻射するものに好適に採用できる。なお、上記校正方法において、受信ユニットは高周波回路によって主構成することができ、受信ユニットの主たる機能は、反射波の検波を行うものとすることができ、この受信ユニットの出力信号である受信信号は、KHz帯〜十数MHz帯とするのが良い。また、受信ユニットと信号処理部(信号処理回路)とは、別の基板上に回路構成されていてもよく、同一基板上に一体的に回路構成されていてもよい。
上記校正方法における周波数変換とは、解析用信号と時間軸との対応を変化させることにより等価的に周波数を変化させる処理を総称するもので、解析用信号自体を時間軸方向へ変化させる処理や時間軸の単位時間を変化させる処理などを全て包含する。例えば、解析用信号がアナログ信号の場合、ダブルバランスドミキサ(Double Balanced Mixer)などの周波数変換回路によって解析用信号を周波数変換することができる。また、解析用信号が、受信信号をA−D変換してなるデジタルデータの集合で表される場合には、実際のサンプリングタイミングとは異なるタイミングでサンプリングされたものとして上記デジタルデータ群を取り扱うことによって(言い換えれば、各サンプリングデータ間の単位時間を変化させることによって)、解析用信号が周波数変換されることとなる。上記周波数変換定数の設定手段は、適宜の構成を採ることができ、例えば周期調整手段が上記のような周波数変換回路により構成される場合は上記設定手段は回路内に設けられた可変抵抗器や可変コンデンサなどの回路構成素子により構成でき、また、周期調整手段が所定のプログラムに基づいて動作するマイクロコンピュータにより構成される場合は上記設定手段は、書き換え可能なメモリ、該メモリ内のデータを書き換えるプログラム、並びに、データ入力のためのスイッチ等の入力手段により構成できる。
探査機における比誘電率の校正とは、当該比誘電率を有する媒体における受信信号の信号周期と時間軸との対応を取ることである。
ここで、媒体の比誘電率をεr 、空気中の電磁波の伝搬速度をC0とすると、電磁波の伝搬距離(深度)Dと時間tとの間には、一般的に次式の関係が成立する。
Figure 0003860824
則ち、伝搬時間を求めることにより伝搬距離(深度)が求まる。
ところで、受信信号に基づく解析用信号を、横軸を時間軸、縦軸を振幅軸とした受信波形として画面表示させた場合、比誘電率の校正が行われない状態では、解析用信号の各位相毎の周期と画面上における時間軸との間に相関関係があっても、基準が存在しないため、例えば、表面反射波と埋設物体における反射波とを含むような解析用信号を画面表示させた場合、波形形状は判別できるものの、表面反射波と物体反射波との間の時間に基づいて、埋設物体までの距離(深度)を求めることができない。また、基準となる比誘電率における受信信号の周期が定まらないため、異なる周期の受信信号に対して比誘電率を特定できず、物性解析ができない。則ち、信号処理のための基準となる時間が定まらないため、解析用信号の周期と信号処理部における時間軸との対応が取れない。
そこで、所定の比誘電率を有する媒体を通過した反射波に基づく解析用信号について、その周期と時間軸との対応を校正することにより、画面に表示された解析用信号波形の任意点間の伝搬時間を時間軸から得ることができる。これにより、信号処理部における解析用信号の周期と時間軸との対応が取れ、校正された時間軸に基づいた信号処理を行うことが可能となる。
前記校正方法によれば、電磁波を対空輻射したときの解析用信号の周期(表面反射波の周期)を基準時間と一致させるように周期調整部の設定手段を調整設定するものであり、これによって、基準比誘電率の媒体で校正された状態を等価的に作り出している。
この校正方法によれば、校正のための特別な装置や手続きを必要とせず、対空輻射を行った場合の解析用信号を表示させて周期調整を行うだけで校正操作を行うことができ、探査現場において正確且つ容易に校正を行うことができる。
また、この校正方法によれば、探査機の内部回路の温度変動などに起因して解析用信号の周期に変動が生じても、変動状態における解析用信号の周期を基準時間に一致させるように校正が行われる。これにより、温度などが急激に変動しない限り、解析用信号における比誘電率に応じた周期同士の変動誤差が相殺されて誤差の少ない測定を行うことができる。また、対空輻射の解析用信号を用いて校正を行うので、送信アンテナに対する誘電体の影響を極力除くことができ、一層正確な校正が可能となる。
解析用信号の周期を基準時間と一致させる場合、表面反射波を用いて周期を一致させるのが良い。ここに対空輻射時の表面反射波とは、送信アンテナから輻射された電磁波による最初の反射に基づくもので、例えば、アンテナ基板などの反射を含むものである。
前記校正方法において、信号処理部が、媒体の比誘電率に応じて周期の異なる受信信号に基づいて、周期と比誘電率との間に所定の関係を有する解析用信号を生成出力する構成とすることができる。
比誘電率の異なる媒体を通過する電磁波は通過媒体に応じて伝搬速度の変動を生じ、これに伴って受信信号には媒体の比誘電率に応じた周波数変動(周期変動)が生じる。
そこで、例えば、受信信号の周期と比誘電率の平方根との間に線型性を持つように信号処理部で処理を施した解析用信号を出力させることができる。
これにより、解析用信号の周期と比誘電率との相関関係が明確になり、解析用信号に基づいて各深度毎の平均比誘電率を算出するとともに、算出された平均比誘電率に基づいた深度解析を容易に行えるようになる。
また、前記比誘電率校正方法における基準時間の導出方法は、送信アンテナから所定の比誘電率および校正距離を有する基準誘電体に向けて電磁波を輻射し、解析用信号に含まれる基準誘電体表面および校正距離における反射波間の時間を電磁波が基準誘電体内において校正距離を伝搬する時間に一致させるように前記設定手段を調節し、この後、送信アンテナから対空輻射を行ったときの前記解析用信号の周期を基準時間として定めるものとすることができる。
ここに、電磁波が基準誘電体内において校正距離を伝搬する時間とは、基準誘電体の表面と校正距離との間を電磁波が往復する時間を指す。
この基準時間の導出方法によれば、基準誘電体によって校正を行い、この校正された状態で対空輻射を行った場合の反射波の周期を、校正のための基準時間として利用する。
前記校正方法は、このようにして得られた基準時間を用いるもので、基準誘電率で校正された状態において、対空輻射時における解析用信号の周期を校正のための基準時間として利用した点に優れた着想を認めることができる。
また、電磁波探査機は、電磁波を輻射する送信アンテナと、輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナの検知信号に基づいて受信信号を生成する受信ユニットと、該受信信号を処理して解析用信号を出力する信号処理部と、基準比誘電率値を含む計測条件データを記憶する記憶手段と、演算手段とを備え、信号処理部は周波数変換によって受信信号を信号周期の異なる解析用信号に変換する周期調整部を有し、該周期調整部は周波数変換定数の設定手段を有するものとすることができる。かかる電磁波探査機において、前記設定手段は、送信アンテナから電磁波を対空輻射したときの前記解析用信号の周期を、基準比誘電率に応じて予め定められた基準時間と一致させるように調節可能に構成することができる。さらに、前記信号処理部は、探査における受信信号を比誘電率に応じて校正された解析用信号として生成し、演算手段は記憶手段に記憶された計測条件データに基づいて解析用信号に所定の演算を施した解析データを生成する構成とすることができる。
この電磁波探査機において前記した比誘電率の校正方法を用いることができる。
信号処理部の所定の回路定数の最適化を図ることなどによって比誘電率の校正を行うことにより、当該比誘電率における解析用信号と時間軸との対応が校正され、校正後は、信号処理部は受信信号に対して設定手段の設定に応じた周期調整処理を施した解析用信号を生成出力する。この解析用信号の周期は、地中などの媒体の有する比誘電率と一定の関係を有するものとなる。
生成された解析用信号は演算手段に送られ、記憶手段に記憶された計測条件データに基づいて必要な演算が施されて探査結果の表示などに必要な解析データが生成される。計測条件データとしては、基準比誘電率値や探査結果の表示モードに対応して解析用信号に加えるべき演算処理プログラムなどのデータが含まれる。
また、前記信号処理部が、上記比誘電率の校正方法を行う電磁波探査機と同様に、周期と比誘電率との間に所定の関係を有する解析用信号を生成出力する構成とすることも可能である。
上記周期調整部で周波数変換によって受信信号の周期を変化させる方法としては種々のものが挙げられる。例えば、受信信号を固定した状態で、受信信号に対応させる時間軸を周期調整部の設定手段により調整する。これにより、受信信号と時間軸との対応を校正し、結果的に受信信号に対して周波数変換の施された解析用信号を生成することができる。
一方、時間軸を固定した状態で、設定手段の設定に応じて周期調整部により受信信号自体に周波数変換(周期変換)を施すこともでき、これにより、受信信号と時間軸との対応を校正した解析用信号を生成することができる。
受信信号自体に周波数変換を施す方法としても種々のものが挙げられる。例えば、受信信号に対してヘテロダイン処理を施すことにより周波数を変化させた解析用信号を得ることができる。また、アナログ・デジタル変換によって受信信号を一旦デジタル受信データに変換し、変換された受信データにデジタル処理を施すことによって周波数を変化させた解析用信号とすることも可能である。
ここで、送信アンテナから輻射される送信信号、並びに、受信アンテナの検知信号は、数百MHz〜略1GHzのマイクロ波帯に属するものとするのが好ましいが、これによれば、受信アンテナの検知信号自体に直接信号処理を施すことが困難である。
そこで、例えば、所定周期毎に繰り返し受信される受信アンテナ検知信号のサンプリングポイントを徐々にずらしながら所定回数だけサンプリングを繰り返して受信信号を生成する一連の処理を、受信ユニットで繰り返して行うように構成することもできる。
則ち、繰り返し受信される受信アンテナ検知信号の振幅をサンプリングしながらピーク値ホールド或いは平均値ホールドなどを行い、これらのピーク値或いは平均値を包絡値検波することにより元の受信アンテナ検知信号に対して周波数を低減させた信号処理に適した受信信号を受信ユニットで生成することが可能である。そして、生成された受信信号に対して信号処理部において校正のための周期調整を行うことができる。
なお、サンプリングのための三角波信号(鋸歯状波)を含むパルス状の制御信号をパルスコントローラより出力し、この制御信号により受信信号のサンプリングを行うことができる。さらに上記制御信号における三角波信号の立ち上がり時間を、検知信号の電位変化量(ΔV)に連動して変動させることにより、媒質の比誘電率が大きく受信信号の周期が大きい場合には比較的長い時間幅(観測窓)で受信波形を観測することができ、媒質の比誘電率が小さく受信信号の周期が小さい場合には比較的短い時間幅(観測窓)で受信波形を観測できる。その他、送信波や受信波の周波数近傍で周波数特性が比較的大きく変動するダイオード(例えば、ショットキーバリアダイオード)によるダイオードブリッジを用い、該ダイオードの応答特性と周波数特性との相関作用により、各サンプリングポイントを変動させ得る受信回路を構成することによっても、検知信号のΔVの変化を敏感に検知しつつ受信信号のサンプリングを行い、媒質の比誘電率が大きく受信信号の周期が大きい場合には比較的長い時間幅(観測窓)で受信波形を観測することができ、媒質の比誘電率が小さく受信信号の周期が小さい場合には比較的短い時間幅(観測窓)で受信波形を観測できる。
ところで、前記したように所定比誘電率によって校正を行った場合、異なる比誘電率を有する媒体を通過した解析用信号については、比誘電率に応じた異なる周期を呈する。
そこで、予め測定によって解析用信号の周期と実時間との関係を示す補正データテーブルを作成しておくことにより、周期に応じた補正周期を換算することで解析用信号から時間(深度)を求めることができる。また、信号処理部に補正データテーブルを保有することにより、受信信号の周期と実時間とが所定の関係を有するように信号処理を施した解析用信号を生成出力することも可能である。
次に、上記比誘電率校正方法における基準時間の導出方法をより詳細に説明する。尚、説明中、電磁波が基準誘電体内において校正距離を伝搬する時間とは、基準誘電体の表面と校正距離との間を電磁波が往復する時間を指す。
基準の比誘電率εr を有する基準誘電体において校正距離Dだけ電磁波が往復伝搬するのに要する時間tは次式で示される。但し、大気中の電磁波の伝搬速度をC0とする。
Figure 0003860824
そこで、基準誘電体に電磁波を輻射したときの反射波において、基準誘電体表面における反射波と校正距離における反射波との間の時間を校正距離Dに要する伝搬時間tと一致させるように設定手段を調整する。これにより、信号処理部における解析用信号と時間軸との対応が校正される。この校正状態において、対空輻射を行い反射波の周期を求めることにより基準時間が定まる。
このようにして基準時間が求められた後は、対空輻射を行った場合の周期をこの基準時間と一致させるだけで、等価的に基準比誘電率で校正された状態を再現することができる。
基準時間の導出は、電磁波探査機のユーザー側で行うことも可能であるが大掛かりな基準誘電体を必要とする。そこで、基準時間の導出は基本的に探査機を提供する製造者側で行うものとし、探査機に交換して取り付けることのできる各アンテナ毎に基準時間を求めてユーザー側に明示しておけば、ユーザー側で正確、且つ、容易に比誘電率の校正を行うことができる。
前記基準誘電体としては、比誘電率εr =12、校正距離50cmの「乾燥まさ土」などが安価で実用的であるが、他の比誘電率を有する媒体を基準誘電体として用いても良い。なお、まさ土とは、風化花崗岩からなる礫質土である。
ところで、「乾燥まさ土」を基準誘電体として用いる場合、まさ土内部の湿度が影響して比誘電率が変動する虞がある。そこで、湿度の影響を受けにくく比誘電率の安定したエポキシ系樹脂材(比誘電率=3.5〜4.5)やメラミン系樹脂材(比誘電率=6.5〜7)などの基準誘電体を用いて「乾燥まさ土」の比誘電率の管理を行うことが必要となる。
例えば、所定の校正距離を有するエポキシ樹脂を基準誘電体として用いて「乾燥まさ土」の比誘電率の管理を行う場合、まず、エポキシ樹脂において校正距離(校正時間)を一致させるように校正を行う。この校正手順は、前記した「乾燥まさ土」における校正と同様である。
次いで、「乾燥まさ土」において校正距離(校正時間)を測定する。この測定値が所定の誤差範囲内であることを確認することにより、「乾燥まさ土」の比誘電率の管理を行うことが可能である。
前記した基準誘電体として、例えば、比誘電率が12の「乾燥まさ土」を用いて50cmの校正距離を持つ構造とする場合、木材などで成した箱の内部に乾燥まさ土を充填し、箱の上面にアクリル板などを設けて「まさ土」の状態を見易くした構造とすることができ、この構造において目的の校正距離を呈するように形成することができる。
また、比誘電率の異なる媒体を適宜組み合わせて等価的に所定の比誘電率および校正距離を有する基準誘電体を形成することも可能である。
次に、媒体の比誘電率に応じて周期の異なる受信信号に対して、周期と比誘電率との間に所定の関係を有する解析用信号を信号処理部で生成出力する構成について説明する。
媒体を通過する電磁波の周期Tは、媒体の比誘電率εr 、大気中の電磁波の伝搬速度C0、および、電磁波の周波数fを用いて次式で示される。
Figure 0003860824
従って、例えば、比誘電率εr=12の媒体における周期は比誘電率εr=45の媒体における周期の略1/2倍であり、受信信号には媒体の比誘電率に応じた周波数変動(周期変動)が生じる。
そこで、比誘電率εr0=12における解析用信号の周期をT0、比誘電率εr=45における解析用信号の周期をTとすると、例えば、
Figure 0003860824
の関係が成立するように、受信信号に対して信号処理を施した解析用信号を信号処理部で生成することができる。則ち、解析用信号と比誘電率の平方根との間に線型性を持たせた解析用信号を生成することが可能である。
この処理により、解析用信号の周期と比誘電率との対応が明確になり、特に、断面画像として表示させる場合の信号処理が極めて容易になる。
〔解析用信号の処理方法〕
本発明者らは、距離変動に伴って生じる電磁波の位相のずれや振幅差の発生状況を測定・解析したところ、距離変動を伴って地中に突入した電磁波には位相のずれや振幅差は生じるものの、地中内部では略同一周波数(周期)で略同一減衰率を示しながら伝搬することを知見するとともに、この電磁波の反射波の受信信号についても同様の性質を有することを測定により知見している。
そこで、前記した受信信号同士の位相のずれを補正する方法、位相補正された受信信号同士の振幅差を補正する方法、および振幅補正された受信信号同士の差信号成分を抽出する方法を検討し、これらの方法を単独或いは適宜組み合わせることにより距離変動を補償した安定した測定が行えることを確認した。
かかる知見に基づき、探査機のアンテナと探査対象との距離が変動した場合でも安定した精密な探査測定を行うことができた。即ち、電磁波探査機は、探査位置の異なる複数の受信信号を保持し、その複数の受信信号を解析することで探査対象の非破壊探査を行うものであって、送信アンテナと、該送信アンテナから輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナの検知信号に基づいて前記受信信号を生成する受信ユニットとを備えることができる。この電磁波探査機において、各受信信号の所定のピーク点を起点として各受信信号に対し位相補正を行う工程を有する受信信号処理方法によれば、前記アンテナと探査対象との距離の変動に応じて生じる複数の受信信号間の位相のずれを取り除くことができ、携帯型電磁波探査機であっても、熟練を要することなく正確な探査測定を行うことが可能となる。
上記受信信号処理方法は、さらに、位相補正の起点における複数の受信信号の振幅を比較し、該振幅の比に応じた定数として与えられる第1の振幅補正係数を所定の受信信号に演算する工程を有することができる。これによれば、アンテナと探査対象との距離変動によって輻射電磁波の探査対象への突入位相が変動することに起因して、各受信信号に振幅差が生じても、上記振幅補正工程によって振幅差を補償することができる。
また、上記受信信号処理方法は、前記位相補正の施された所定の受信信号に対して、時間の関数として与えられる第2の振幅補正係数を演算する工程を有することができる。これによれば、受信信号の位相(時間)毎に最適な振幅補正を行うことができる。例えば、受信信号の位相は探査対象の深度に対応し、探査対象内を伝搬する電磁波の減衰率は、該電磁波の探査対象表面への突入時における振幅によらずにほぼ一定であるから、上記第2の係数として、減衰率の逆数に応じた関数を付与することで、深度の大きい箇所の信号レベルを増幅して、判別や解析を容易なものとすることができる。
好ましくは、上記受信信号処理方法は、位相補正の起点における複数の受信信号の振幅の比に応じた定数として与えられる第1の振幅補正係数と、時間の関数として与えられる第2の振幅補正係数とを、所定の受信信号に演算する工程とを有することができる。
上記第2の振幅補正係数との演算は、受信信号の所定位相以降に対して行うのが好ましく、より好ましくは、前記位相補正の起点以降に対して行うのがよい。これによれば、上記所定位相(位相補正の起点)よりも手前においては、第2の振幅補正係数による振幅補正を行わず、敢えて振幅のゆらぎを残しておくことにより、電磁波探査機のリフト量の変化を作業者に認識させることができ、探査作業者にとっては、上記振幅のゆらぎを、リフト量のゆらぎを安定させる指針として用いることができる。
また、上記受信信号処理方法は、さらに、前記振幅補正の施された受信信号同士の差信号成分を抽出する工程を有することができる。これによれば、探査機のリフト量の変化の前後の受信信号同士の差分処理を行う場合であっても、差分処理前に位相補償並びに振幅補償が行われるので、埋設物の有無などの探査対象中の構造の変化をSN比の高い差信号成分として抽出でき、各探査位置毎の複数の差信号を用いることにより、熟練技術者でなくとも容易に非破壊探査を行うことが可能となる。
また、探査位置の異なる複数の受信信号を保持し、その複数の受信信号を解析することで探査対象の非破壊探査を行う電磁波探査機であって、送信アンテナと、該送信アンテナから輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、該受信アンテナの検知信号に基づいて前記受信信号を生成する受信ユニットとを備える電磁波探査機の受信信号処理装置において、各受信信号の所定のピーク点を起点として各受信信号に対し位相補正を行う位相補正手段を備えることができる。
上記受信信号処理装置は、さらに、所定の振幅補正手段を備えることができる。この振幅補正手段は、位相補正の起点における複数の受信信号の振幅を比較し、該振幅の比に応じた定数として与えられる第1の振幅補正係数を所定の受信信号に演算するように構成できる。また、振幅補正手段は、前記位相補正の施された所定の受信信号に対して、時間の関数として与えられる第2の振幅補正係数を演算するように構成することもできる。好ましくは、振幅補正手段は、位相補正の起点における複数の受信信号の振幅の比に応じた定数として与えられる第1の振幅補正係数と、時間の関数として与えられる第2の振幅補正係数とを、所定の受信信号に演算するように構成するのが良い。
上記第2の振幅補正係数との演算は、受信信号の所定位相以降に対して行われるように構成することができ、より好ましくは、第2の振幅補正係数との演算は、前記位相補正の起点以降に対して行われるように構成するのが良い。
また、上記受信信号処理装置は、前記振幅補正の施された受信信号同士の差信号成分を抽出する差信号抽出手段を備えていても良い。
上記受信信号処理方法は、所定周期毎にアンテナから輻射された電磁波の物体による反射波の受信信号を解析して探査を行うためのものであって、アンテナと探査対象との距離変動に応じて生じる位相のずれを取り除くように受信信号に対して位相補正を行う工程を有することができる。
さらに、受信信号処理方法は、位相補正の施された複数の受信信号に対して、受信信号同士の振幅差を縮小させるように上記第1の振幅補正係数の演算による第1の振幅補正を行う工程を有することができる。
また、受信信号処理方法は、位相補正の施された受信信号に対して、時間軸と所定増幅度で示される振幅補正データ(第2の振幅補正係数)を重みデータとした第2の振幅補正を行う工程を有することができる。更に、上記方法は、振幅補正の施された受信信号同士の差信号成分を抽出する工程を有していてもよい。
なお、上記探査対象とは、探査を行おうとする地雷や土管などの埋設物が埋設されている大地や壁などの媒質を指し、アンテナと探査対象との距離とは、アンテナ表面と地表面や壁面との距離、いわばリフト量のことを意味する。また、受信信号は、時間と信号強度の関数の形で表すことが可能な交番波形を呈し、時間軸が位相に対応し、信号強度が振幅に対応する。
受信信号に対して位相補正を施すために、受信信号における位相を一致させる起点を特定するが、この起点としては、受信信号の歪み(高調波および低調波成分)が少なく、受信信号同士の位相差を明確に把握できるような所定のピーク点を用いることが好ましい。このピーク点としては、受信信号の信号強度が極大値となる位相点を用いてもよく、受信信号の信号強度が極小値となる位相点を用いてもよく、受信信号の信号強度の絶対値が極小値となる(即ち、信号強度が0となる)位相点を用いてもよい。その他、適宜の極値条件を設定して、ピーク点を特定することが可能である。
電磁波探査機のアンテナとしては、輻射される目的周波数の電磁波に対して高調波および低調波成分が極めて少ないものを用いるのが好ましい。これによれば、受信信号における歪みも少なく、位相を一致させる起点の特定が容易である。
ここで、アンテナから地表面までの距離を10cmとし、電磁波の周波数を1.5GHz(波長20cm)と仮定すれば、受信信号の最初の極大点(第1ピーク点)を起点として位相調整し、この起点がアンテナ表面位置に相当すると考えれば、上記極大点の次の受信信号の極小点(第2ピーク点)は略地表面の位置と一致する。言い換えれば、電磁波の周波数を1.5GHzよりも低い値に設定し、アンテナから地表面までの距離変動を10cm以内とすれば、受信信号の振幅の第2ピーク点は常に地中内部に相当する位置となることが分かる。
前記したように、リフト量の変化の前後の両電磁波は、地中に突入した後は位相のずれや振幅差は生じているものの略同一周波数(周期)で略同一減衰率を示しながら伝搬する。したがって、受信信号の振幅の第2ピーク点に注目して位相補正や振幅補正を行うことにより、距離変動に伴う受信信号の変動を有効に補償できると考えることができる。
則ち、対比する2つの受信信号の振幅の第2ピーク点同士の位相を比較して位相差を検出し、一方の受信信号に対して、検出した位相差だけ位相シフトを行うことにより、これら2つの受信信号の位相補償を行うことができる。
このような位相補正を行うには、以前に受信された受信信号を少なくとも1波形分だけ記憶保持する必要があり、受信信号に対してA/D変換(アナログ・デジタル変換)処理などを施してデジタルデータとして記憶させるような構成が採れる。
A/D変換は従来より用いられている構成を適用することができ、例えば、ある受信波形全体を含む所定時間を512の等時間間隔でサンプリングし、サンプリングしたアナログの振幅信号を12bitの分解能を有するデジタル振幅データに変換するような処理を行うことができる。
輻射電磁波の基本周波数が極めて高い場合(略1GHz)、受信信号を周波数変換して周波数を低減させた受信信号とし、この受信信号に対してサンプリングを行うのが好適である。
このように、受信信号における振幅の第2ピーク点の位相を一致させる位相補正を施すことにより、アンテナが地表面に対して多少の距離変動を生じても、受信信号同士の位相のずれが補償され、多数の受信信号から生成される断面画像が複雑な画像となることが抑えられる。
受信信号に対して位相補正を施すだけでも距離変動に対する補償効果は発揮される。しかし、大気中と地中との減衰率は大きく異なるため、地表への突入位相の変動に起因する受信信号同士の振幅差が発生する。従って、位相補正された受信信号に対して振幅差を縮小させるように振幅補正を施すことにより、距離変動に対する補償効果は一層増大する。
振幅補正を行う方法としては、受信信号における振幅の第2ピーク点を比較し、振幅の比に応じた重み係数(第1の振幅補正係数)を受信信号の全体に演算する第1の振幅補正を採ることができる。
第1の振幅補正を行う場合、振幅の大きい受信信号に重み係数を演算して振幅の小さい受信信号に合わせることもできる。逆に、振幅の小さい受信信号に重み係数を演算して振幅の大きい受信信号に合わせることもでき、この場合は波形全体の振幅を増大することが可能である。
また、前の受信信号を基準として固定し、第2ピーク点同士の振幅を一致させるように受信信号の全体に対して振幅補正を行うことも可能である。
このように、位相補正および第1の振幅補正を施した受信信号を用いて信号処理を行うことにより、距離変動を効果的に補償した鮮明な地中断面画像を得ることが可能となる。
前記した第1の振幅補正は、受信信号に対して一律の重み係数を演算処理するものである。しかし、受信信号は受信時間の経過に応じて減衰率が変動するため、時間経過に応じた振幅補正を施すことにより一層正確な補正を行うことができる。
則ち、受信信号に対して時間軸と所定増幅度で示される振幅補正データ(第2の振幅補正係数)を重みデータとした第2の振幅補正を施すことにより、位相補正に伴う受信信号同士の振幅差を一層抑圧することができる。
前記した第2の振幅補正は、1種類の振幅補正データを用いて行っても良いが、時間軸に対して増幅度の異なる特性を有した複数の振幅補正データのうちの一つを適宜選択して用いることにより、受信信号の振幅の大小に応じて振幅補正データを適宜選択して最適な振幅補正を行うことも可能である。
前記第1の振幅補正および第2の振幅補正は位相補正の施された受信信号に対して単独で適用することもできるが、双方を組み合わせて適用することも可能である。
また、前記した第1および第2の振幅補正は、位相補正の施された受信信号の波形全体に対して行うこともできるが、受信信号の所定位相以降の全信号成分に対して行うことも可能である。
例えば、位相補正の施された受信波形の振幅の第2ピーク点以降の全信号成分に対して振幅補正を行っても良い。この振幅補正によれば、第2ピーク点より前の信号成分に対する振幅補正が不要なので処理が簡略化される。
尚、受信信号における振幅の第2ピーク点より前の振幅補正が施されない部分では受信信号同士に振幅差が生じて深度画像に不鮮明な揺らぎが発生する。しかし、探査機を走査する場合、アンテナ表面を受信信号の振幅の第1ピーク点に設定すれば第2ピーク点は地中における略地表面近傍に相当し埋設物の探査に特に支障を生じない。むしろ、深度画像の揺らぎがアンテナと地表面との距離変動に応じて生じるので、揺らぎが生じないように探査機を保持走査するための目安となる。
ところで、振幅補正の施された受信信号同士の差信号成分を抽出し、抽出した差信号成分に基づいた断面画像を表示させることも可能である。
前記した位相補正および振幅補正の施された受信信号の差信号成分を抽出することにより、距離変動に伴う受信信号間の変動が補正された状態における差信号成分のみが抽出される。
則ち、差信号成分は地中埋設物などの物性変化(比誘電率の変化)だけに対応する。特に、差信号成分の抽出によって同相成分の雑音が効果的に除去され微少信号を検出できるので、埋設物の微少な差異を検知可能となる。
抽出された差信号成分を用いて深度画像を表示することにより、物性の異なる境界だけを表示した分かりやすい深度画像を表示させることができる。これにより、比誘電率の近接した物体の境界探査や、埋設物がある程度限定されている場合の探査などを好適に行うことができる。
この場合も、受信信号の振幅の第2ピーク点以前の振幅補正を行わずに差信号成分を抽出すると深度画像に揺らぎが発生するが、距離変動の目安となり測定への支障は生じない。
地中探査を行う場合、本発明の信号処理方法によって概ね地表面から5cmの位置において上下5cmの範囲における距離変動が補償可能である。則ち、距離変動に伴う深度誤差および感度低下が略5cmの距離変動を境として悪化する傾向にある。このため、上記範囲の使用が好ましいが実用上充分な仕様であり探査機走査の巧拙に拘わらず精密な測定が可能となる。
また、所定周期毎に電磁波を輻射し物体の反射波による受信信号を解析して探査を行う電磁波探査機に装備される受信信号処理装置を開示する。この受信信号処理装置は、アンテナと探査対象との距離変動に応じて生じる位相のずれを取り除くように受信信号に対して位相補正を行う位相補正手段を備えた構成とすることができる。
上記受信信号処理装置は、アナログ処理回路を用いて構成することも可能であるが、CPUおよびその処理動作に必要なRAMおよびROMなどを備えたデジタル処理回路によって構成することができ、CPUのプログラム処理によって上記方法を実現することが可能である。
例えば、受信信号処理装置によって、CPUで処理されるA/D変換動作により受信波形全体を含む所定時間を512の等時間間隔で振幅をサンプリングし、12bitの分解能を有するデジタルデータとして記憶保持する。これにより、1つの受信信号データは順に配列された512の振幅データとして記憶される。
前記位相補正手段による位相補正は、受信信号同士の所定のピーク点を起点として位相補正を行うように構成することができる。この位相補正は、受信信号処理装置に記憶された受信信号データをデジタル処理することで実行できる。
例えば、位相補正を行おうとする受信信号データ同士において配列された振幅データを順次検索し、絶対値が、例えば第2ピーク点となる振幅データおよびそのデータ番号を各々判別する。
次いで、位相をシフトする受信信号における第2ピーク点のデータ番号を基準となる受信信号における第2ピーク点のデータ番号と一致させるようにして、受信信号データを基準となる受信信号に対応づける。そして、基準となる受信信号のデータ番号の前端または後端から外れる受信信号の振幅データを消去すると共に、基準となる受信信号のデータ番号の前端および後端の範囲内で振幅データの存在しないデータ番号に空の振幅データを付加する。これにより、新たな512の振幅データで成る受信信号データとする。
以上のデータ処理により、受信信号同士の振幅の第2ピーク点の位相を一致させることが可能である。
また、上記受信信号処理装置は、位相補正の施された複数の受信信号に対して、受信信号同士の振幅差を縮小させるように振幅補正を行う第1の振幅補正手段を備えた構成とすることができる。
第1の振幅補正手段も位相補正手段と同様に受信信号処理装置に記憶された受信信号データをデジタル処理することによって実行できる。
則ち、順に配列された振幅データで構成される受信信号データにおいて、CPUによるプログラム処理によってデータ番号毎の振幅データに所定の演算処理を施すことにより受信信号の振幅補正を行なわせることができる。
例えば、振幅補正を行おうとする受信信号と基準となる受信信号とにおける第2ピーク点の振幅を比較し、振幅の比に応じた重み係数(第1の振幅補正係数)を全ての振幅データに演算することにより第1の振幅補正を実行できる。
この第1の振幅補正手段による振幅補正では、振幅の大きい受信信号に重み係数を演算して振幅の小さい受信信号に合わせたり、逆に、振幅の小さい受信信号に重み係数を演算して振幅の大きい受信信号に合わせることも可能である。
また、上記受信信号処理装置は、位相補正の施された受信信号に対して、時間軸と所定増幅度で示される(即ち、時間の関数として与えられる)第2の振幅補正係数を重みデータとした振幅補正を行う第2の振幅補正手段を備えた構成とされている。
第2の振幅補正手段も第1の振幅補正手段と同様に受信信号処理装置に記憶された受信信号データをデジタル処理することによって実行できる。
則ち、データ番号順に配列された振幅データと振幅補正データとをデータ番号と時間データとを対比させながら、CPUによるプログラム処理によってデータ番号毎の振幅データに第2の振幅補正係数の増幅度を演算処理することにより受信信号に対して第2の振幅補正を施すことができる。
前記第1および第2の振幅補正手段では、受信信号の第1周期内における所定位相以降の全信号成分に対して振幅補正を行う構成とすることができる。
例えば、位相補正を行うための基準とした受信信号の振幅の第2ピーク点以降の信号成分についてのみ振幅補正をすることもできる。
更に、上記受信信号処理装置は、振幅補正の施された受信信号同士の差信号成分を抽出する差信号抽出手段を備えることができる。この差信号抽出手段は、振幅補正手段と同様に、受信信号処理装置に記憶された受信信号データをデジタル処理することによって実行できる。
則ち、既に前記位相補正および振幅補正の施された受信信号データ同士において、同一のデータ番号毎の振幅データの差分を演算処理することにより差信号成分の抽出処理を行うことができる。
なお、上記受信信号処理の記載において、「受信信号」は、受信アンテナの検知信号自体を示すものではなく、受信アンテナの検知信号に基づいて所定の受信回路によって検波出力された信号である。
〔電磁波レーダアンテナ〕
このアンテナは、送信部から出力されるインパルスを受けて電磁波を輻射する送信アンテナ素子をシールドケースに取り付けた構成とされており、送信アンテナ素子から輻射される電磁波の周波数を目的周波数と一致させるように目的周波数の波長に応じて送信アンテナ素子及びシールドケースの寸法を関係づけている。ここに、目的周波数とは電磁波レーダアンテナの設計に際して事前に定められる周波数のことであり、この目的周波数を輻射させるべくアンテナの寸法関係を定めるものである。
電磁波レーダアンテナでは、インパルスを送信アンテナ素子に給電することにより、概ね300MHzから3GHzの帯域内における目的周波数の電磁波を間欠的に輻射させるものである。このような超高周波帯域において輻射周波数成分を解析するに当たっては送信アンテナ素子単体で論じることができず、送信アンテナ素子を含み周囲に配されるシールドケース、給電線などで成る一体構造を分布定数回路として等価的に解析する必要がある。
しかし、このような分布定数回路のインダクタンス成分やキャパシタンス成分はアンテナ素子やシールドケースなどの形状や材質の僅かな違いによって変動する上、給電線などによるストレーキャパシティが加わるために変動要素が増大する。また、電磁波自体が繰り返し信号ではなくインパルスで励起される過渡現象であるため等価的な分布定数回路を解析することは困難である。
そこで本発明者らは、送信アンテナから輻射される電磁波の周波数成分を目的周波数に一致させ、かつ、目的外の周波数成分を極力低減させるべくアンテナ素子の形状及びシールドケースの形状に種々の検討を加えた。その結果、送信アンテナ素子及びシールドケースの形状寸法に所定の関係を持たせることで目的周波数の出力レベルを増加させつつ不要輻射が低減することを知見した。
言い換えれば、目的周波数の電磁波成分を増幅し目的外の周波数の電磁波成分を減衰させ得る一体構造で成る分布定数回路を寸法形状に所定の関係を持たせることによって形成することに成功した。
尚、送信アンテナへインパルスを印加する場合、予め送信アンテナ素子に直流バイアスを加えた状態で印加することにより安定した高出力を得ることができるが、バイアスを加えない状態でインパルスを印加する構成とすることも可能である。
この電磁波レーダアンテナによれば、不要輻射成分が極めて低いので電波法の規制に準拠するための不要輻射対策が軽微で良い。則ち、シールドケースの厚さを増したり、或いはシールドケースの外側から更に分厚いハウジングで覆うなどの大がかりな不要輻射対策を施す必要がなくなる。これにより、コストを削減できる上に従来に比べてアンテナ単体の重量を1/10程度まで削減することができ、携帯性、可搬性を要する探査機などに好適に用いることができる。
また、不要輻射成分が少ないので、受信信号の信号対雑音比(S/N比)が向上する。これにより、雑音レベルに近い信号成分を分離抽出するために高利得の対数増幅器などを用いる必要がなく、通常のリニア増幅器を用いるだけで十分な信号レベルとS/N比が確保され回路構成が単純かつ安定になる。
更に、受信信号のS/N比が高く受信信号の歪みが低減するので、受信波形の第1ピーク点などを用いた受信基点の校正を正確に行うことができる。また、受信信号のS/N比が高く微少信号が雑音成分に埋もれて失われることがないので、反射波を含む受信波全体の時間経過に応じた周波数(周期)変化を容易に処理出力でき、電磁波が通過する物体の精密な物性判別を行うことができる。
これにより、使用者を問わずに正確な測定ができるとともに、従来行うことのできなかった物体や地層の判別、漏水判別などの探査が可能となり、産業用、民生用を問わず使用目的が拡大される。
尚、物性判別の原理について簡単に述べると、電磁波が通過する物体の比誘電率は(光速/電磁波伝搬速度)の平方に比例する。これにより、物体中を通過する電磁波の速度(電磁波の周期)を受信波から算出し通過物体の比誘電率を求めることにより、得られた比誘電率に基づいて物性判別及び物体の特定を行うことが可能となる。
この電磁波レーダアンテナによれば、送信アンテナ素子に給電されるインパルス成分のうち目的周波数の電磁波成分が増強され目的外の周波数の電磁波成分が減衰される。この場合、送信アンテナ素子やシールドケースに対応した分布定数回路の共振性により目的周波数以外にも目的周波数の1/2倍、或いは、2倍などの低調波成分、高調波成分の出力レベルが増大する。
そこで、受信部でこれらの周波数のうちのいずれかの周波数成分のみを選択的に受信するように周波数帯域幅を設定して信号処理を行う構成を採ることもできる。
送信アンテナ素子、接地導体及びシールドケースは導電材料、則ち、電力損失が少ない状態で電流を導くことを目的とした材料を用いるのが望ましい。
このような導電材料は、導電性、機械的強度、加工性、経済性などを考慮して銅やアルミニウム、アルミニウム合金などが好適である。
また、非導電材の表面に導電性塗料などを塗布して成した導電体をシールドケースや送信アンテナ素子に用いることも可能である。
送信アンテナ素子は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの基板上に導体箔を設けて形成する構造が好適であるが、例えば、銅板などで成した送信アンテナ素子をシールドケースの開口側近傍に絶縁体を用いて空間支持するような構造など種々の態様を採ることが可能である。
この電磁波レーダアンテナは、送信ユニットから出力されるインパルスを受けて電磁波を輻射する送信アンテナ素子を有するアンテナ基板と、該基板の送信アンテナ素子が設けられた側の表面を覆う中空方形状のシールドケースとを備えた構成とするのが合理的である。
送信アンテナ素子は一対の二等辺三角形の導電箔を蝶ネクタイ状に対向させてアンテナ基板上に形成すると共に、当該基板は送信アンテナ素子を取り囲むように所定幅の導電箔で成る接地導体箔を方形ループ状に配して前後左右対称となるように形成することができる。また、送信アンテナ素子の二等辺三角形の底辺若しくは側辺の長さを目的周波数の略1/2波長に設定することができる。
ここに、二等辺三角形には正三角形を含むものであり、特に好ましくは、送信アンテナ素子を一対の正三角形の導電箔で形成し、その正三角形の辺長を目的周波数の略1/2波長に設定するのが良い。
一方、送信アンテナ素子の対向する二等辺三角形(正三角形)の素子が配された方向と直交する方向における前記シールドケースの寸法を目的周波数の波長と略同一長に設定すると共に、シールドケースの奥行き寸法を目的周波数の略1/4波長の整数倍の長さに設定している。
これらの寸法関係のうち、シールドケースの奥行き寸法を目的周波数の1/4波長,2/4波長,3/4波長,4/4波長・・・のように変化させると、目的周波数の出力レベルが特定の奥行き寸法の近傍でピークを有することが判明した。
これは、目的周波数の波長に対して送信アンテナ素子の形状、シールドケースの形状、並びに接地導体の形状の一体構造で成る分布定数回路による蓄積エネルギー(共振性エネルギー)が所定の奥行き寸法において目的周波数に対して最大になるためと考えられる。これにより、奥行き寸法を適宜変更して最適な輻射レベルを得ることができる。
本発明者らは、前記の寸法関係に従って同一の目的周波数の送信アンテナを複数試作したところ、給電線などの配線の引き回しのばらつきにも拘わらず各々のアンテナから輻射される電磁波の目的周波数の差が殆ど生じず再現性に優れていることも分かった。これにより、機器毎の目的周波数のばらつきがなくなるので、機器毎に受信部(受信ユニット)の調整を行うような手間が不要となり回路構成が単純化され安定なうえに製造も容易になる。
本発明の送信アンテナから輻射される電磁波の周波数は、前記したように概ね300MHzから3GHzの間の特定の周波数(目的周波数)でありマイクロ波帯に属する。このため、例えば、シールドケースとしてアルミニウムなどを用いる場合、材質の厚さが分布定数に影響を及ぼす。シールドケースに電磁波が分布するときのインダクタンス成分は材厚が薄いほど増大し厚いほど低減する。このため、本発明のアンテナ形状はシールドケースの材厚あるいは送信アンテナ素子の導体箔の厚さに応じて寸法補正することが望ましい。則ち、材厚の薄いシールドケースを用いる場合は厚いシールドケースを用いる場合に比べて補正値を大きくすることにより、目的周波数へ容易に合わせることが可能となる。
アンテナ基板の送信アンテナ素子と接地導体との間に目的周波数以外の電磁波成分の寄生輻射を抑制する抑制抵抗を設けることが望ましい。抑制抵抗の値を適宜に設定することにより、目的周波数の出力レベルの低下を抑えつつ目的外の周波数帯域の出力レベルを効果的に低減できる。これにより、受信波におけるS/N比が一層改善される。
また、送信アンテナ素子を含むシールドケース内部に励起される電磁波成分のうち特定の偏波面を有する電磁波成分を吸収減衰させるようにシールドケースの内部に電磁波吸収材を配した構成とすることができる。
本発明者らは、送信アンテナ素子から輻射される電磁波のうち、対向する二等辺三角形(正三角形)の素子が配された方向への電界成分(偏波面)を有する電磁波に目的外の周波数成分が比較的多く含まれることを知見した。このため、当該偏波面を有する電磁波成分を電磁波吸収材で減衰させることにより、輻射される目的外の周波数成分の電磁波を一層低減することができ、受信波におけるS/N比を一層向上させることができる。
尚、電磁波吸収材としては発泡材などに導電性電波反射材を貼付した汎用のものを用いることが可能であり、反射時の減衰を利用して効果的に減衰吸収させることが可能である。
前記電磁波レーダアンテナは、送信アンテナ素子および受信アンテナ素子を別体として成しても良いが、一体的に成することも可能である。
則ち、アンテナ基板には送信アンテナ素子と当該素子と同形状を有する受信アンテナ素子とが接地導体を含んで左右対称に形成されると共に、シールドケースは送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との電磁結合を遮蔽するためのシールド隔壁を備えた構成とすることができる。
この送受一体型の電磁波レーダアンテナによれば、シールドケースに設けられたシールド隔壁によって送信アンテナ側と受信アンテナ側との電磁結合が低減されるので、前記した特性を維持しつつ送受信アンテナを小型軽量化することができ製造も容易で携帯を要する機器に好適である。
そして、上記送信アンテナの構成によって、送信アンテナから輻射される電磁波の占有周波数帯域を、所定の目的周波数成分以外の周波数成分を選択的に除去することにより狭くすることができる。この目的周波数は300MHz以上2GHz以下とすることができ、占有周波数帯域は10MHz以上100MHz以下で且つ前記目的周波数の10%以下とすることができる。
本発明の好適な実施形態において、図3及び図4に示すように、電磁波探査機1は、片手で携帯しながら探査を行うことを基本に設計されており、側面視略「へ」字形状に成されたパイプシャフト2の下端に電磁波レーダアンテナATが設けられ、上端側に設けられたアームホルダ3に腕を通しグリップ4を握って片手で保持し得るように構成されている。
電磁波レーダアンテナATの上方のシャフト2には信号処理ユニット5が設けられると共に、シャフト2の上端にはCPUを備えた中央処理ユニット6が設けられている。また、グリップ4の先端には、カラー液晶表示装置と複数の操作スイッチとを備える表示操作部7が設けられ、探査のための設定や測定結果が見易い形状とされている。
尚、中央処理ユニット6の端部には重量バランスを図るカウンタウェイト8が取り付けられており、探査機1の片手保持を容易にしている。また、パイプシャフト2はシャフト調整部9によって長さを可変設定することができ、探査者の身長に合わせて最適長さに設定可能である。
探査機1の表示操作部7は、図29にも示すように、タッチパネル70を備えたカラー液晶表示装置71と、電源オン(開始)、電源オフ(停止)、その他の各種設定操作を行うための複数の操作スイッチ72とを備えている。
液晶表示器71では表示に応じたタッチパネルの操作によって探査結果を各種のモードで切換表示させたり、各種の設定を行うことができる。本実施例の探査機1は種々の表示モードを有し、例えば、Aスコープモード、Bスコープモード並びに漏水探査モードなどの表示モードを有している。これらの表示モードは、中央処理ユニット6のCPUで実行されるプログラムによって実現される。
Aスコープモードは、図30に示すように受信信号(解析用信号)を時間軸と振幅軸とを有した受信波形として表示する。
Bスコープモードは、図31に示すように受信信号(解析用信号)を信号処理して深度方向の比誘電率(受信信号の周期)を求め、横軸を走査回数(走査距離)、縦軸を深度とした画面上に比誘電率に応じたカラー深度画像として表示する。
漏水探査モードは、図1若しくは図2に示すように、受信信号(解析用信号)のAスコープ波形を時間軸を縦方向として表示するAスコープ波形図11と、媒体の深度毎の誘電率をカラーバー分類して表示する地層の深さ方向の誘電率分布図12と、地層の深さ方向の各区間毎に漏水の有無を表示するための漏水判定図13とを、液晶表示器71に表示する。さらに、漏水探査モードでは、カーソル14で指定した区間の平均誘電率、全区間のうちの最大誘電率並びに最小誘電率、各種測定条件、カーソル14で指定した位置までのトータル深度、計測回数などが画面中に表示される。
図5は、探査機1の電気回路の基本構成を示すブロック図である。図に示すように、探査機1は、アンテナユニットAT、信号処理部5(信号処理ユニット)、演算手段6a並びに記憶手段6bを備える中央処理部6(中央処理ユニット)、及び、表示操作部7を備えている。なお、受信ユニット22及び信号処理部5により、アンテナの検知信号に基づいて解析用信号を生成する受信信号処理部が構成されている。また、中央処理部6により、解析処理部が構成されている。
アンテナATは、送信ユニット21(送信回路)および受信ユニット22(受信回路)と、同一基板上に成された送信アンテナTおよび受信アンテナRとを、後述するシールドケースに内蔵した構成である。また、アンテナユニットATは、所定の周期毎に電磁波を輻射する送信アンテナTと、輻射された電磁波の反射波を受信する受信アンテナRとを隣接させて一体的に内蔵している。なお、送信ユニット21並びに受信ユニット22は、信号処理部5の構成要素とすることもできる。
送信ユニット21は、送信アンテナTにインパルスやバイアスを給電するものである。この送信ユニット21には、信号処理部5の制御信号生成部5a(信号処理回路)から制御信号が供給され、送信アンテナTへインパルスやバイアスを給電する。本実施例では、一つの受信波形を生成するために多数(例えば、2048発)の同一の電磁波を送信アンテナから所定間隔で輻射するように、制御信号が送信ユニット21に供給される。そして、この多数のインパルス(送信電磁波)に対応する反射波を、サンプリングポイントの遅延制御を行いつつ受信ユニット22でサンプリングすることで、一つの受信信号波形を生成するように構成されている。
受信ユニット22は、受信アンテナRで捕らえた検知信号に対して前置処理を行うものであり、受信アンテナRで捕らえられた検知信号を、信号処理ユニット5から伝送される受信同期信号を用いて周波数変換された周波数の低い受信信号として増幅出力する動作を行う。これは、本実施例の探査機1では、比誘電率が略3〜50の媒体における探査を中心としており、比誘電率の平方根と受信信号の周期との間に線型性を有した解析用信号を必要とするとともに、アンテナ検知信号の周波数が略500MHz〜1.5GHzとなる状況を想定したものであり、検知信号に直接信号処理を施すのが困難だからである。このため、本実施例では、周期調整部5bの処理に先立って、アンテナ検知信号(反射波)の周波数を低減させ、且つ、通過媒体の比誘電率に応じた周期を有する解析用信号を得るための前置処理を受信ユニット22で行っている。
この受信ユニット22は、図6に示すように、受信同期信号の入力部(RX−TRIG)、受信アンテナRの検知信号の入力部16、受信アンテナの検知信号をサンプリングするための一対の変換ブリッジD1〜D4,D5〜D8、受信同期信号S2に基づいて変換ブリッジに供給する変換パルス(図8参照)を生成するダイオードD9,D10、並びに、変換ブリッジの出力に基づいて、数MHz以下に周波数変換された受信信号を出力するA−SCOPE出力部を備えた検波回路である。
受信同期信号は、サンプリングのための制御信号として用いられ、具体的には、図7に示すように、多数の送信インパルスに対応する多数の等間隔の多数のパルス信号を三角波信号に重畳させたものである。
図6において、ダイオードD1〜D4,並びに、ダイオードD5〜D8には、高速型のショットキーバリアダイオードを用いている。また、本実施例における特徴は、受信同期信号S2から変換パルスを生成するためのダイオードD9,D10に、高速型のショットキーバリアダイオードを用いることで、ダイオードD1〜D4並びにダイオードD5〜D8からなる各変調ブリッジの動作点を、受信アンテナの検知信号の周波数に応じて自動的に変動するようにしている点である。即ち、従来の電磁波探査機においては、これらダイオードD9,D10として、数ナノ秒〜1ナノ秒(nsec)未満の急峻な変換パルスを生成し得るステップリカバリーダイオードを用いているが、これによれば、アンテナの検知信号を比較的忠実に再現できるという利点を有するものの、媒体の誘電率に応じて受信アンテナで受信する反射波の周波数が大きく変動するように設計した本発明の電磁波探査機においては、反射波の周波数(受信アンテナの検知信号の周波数)が高い場合、即ち、媒体の誘電率が小さい場合には、A−スコープ波形に比較的深い地点の波形が表れるが、反射波の周波数が低い場合、即ち、媒体の誘電率が大きい場合には、A−スコープ波形に3〜4周期分の波形しか表れず、浅い地点までしか観測できない事態が生じる。
本実施例では、変換パルス生成をショットキーバリアダイオードD9,D10で行うことで、図8に示すように、変換パルスの立ち上がりで、ダイオードD1〜D8が点呼するΔVに達するΔtが自動的に変動するようにするとともに、変換ブリッジを構成するダイオードD1〜D8を、その動作点が受信アンテナの検知信号の周波数によって変動する領域(図9にハッチングで示す)で用いている。実際には、変換ブリッジが上記のような動作を行うようにダイオードD1〜D8を実験的手法によって選択している。かかる構成により、変調ブリッジの動作点が曖昧化し、図8に示すように誘電率の大小により自動的にサンプリングポイントが変動するようになり、受信アンテナの検知信号の周波数が高いときには、図10に示すようにサンプリングポイントP間の時間間隔が狭くなるようにし、一方、受信アンテナの検知信号の周波数が低いときには、図11に示すように、サンプリングポイントP間の時間間隔が自動的に拡がるようにしている。そして、受信ユニット22から出力される受信信号(A−SCOPE出力)の周期と、媒体の誘電率の平方根とが、線形的な関係となるように設定している。
仮に、従来の電磁波探査機によって、対空輻射による反射波を受信して、受信信号を所定の時間軸と振幅軸で受信波形として表示すると、図12に示すような減衰波形となるとともに、一方、比誘電率εrの媒体における反射波を受信した場合、電磁波の伝搬速度が大気中に比べて低下するので、図12と同一の時間軸を用いると、図13に示すように減衰までの所要時間が長い受信信号となる。
しかし、本実施例では上述のように、受信ユニット22で、ショットキーバリアダイオード(SBD)の周波数特性およびオン特性の非線形部分を積極的に組み合わせて利用することにより、媒体の非誘電率と周期との間に所定の関係を持つ信号を前置出力させている。上述したように、SBDの特性によって検知信号の時間tに対する出力レベルVの傾斜(ΔV/Δt)に応じた時間間隔毎に検知信号のサンプリングを行いつつピーク値ホールド或いは平均値ホールドを行い、周波数の低減された受信信号を生成させる一連の処理を繰り返す動作を行わせている。
また、図12、図13に示すように、SBDの特性を用いて検知信号の周期に応じてサンプリングの時間間隔(t1,t2)を変化させることにより、比誘電率の大きい媒体における受信信号においても、減衰信号の途中でサンプリングが終了するような不都合が生じず、しかも、周波数が低減された解析用信号が得られた。尚、本実施例では、信号処理部5の信号処理回路5aから伝送される制御信号を受信ユニット22で受けてアナログ処理によって受信信号を生成しているが、デジタル処理によって受信信号を生成することも可能である。
信号処理ユニット5は、アンテナユニットATに接続されてアナログ信号処理を行うアナログ回路部5bと、該アナログ回路部5bの所定の回路定数を設定する設定手段5cと、中央処理ユニット6から伝送される制御信号を受けてアンテナATの送信ユニット21にインパルス発生のためのパルス信号などを送出するとともに、中央処理ユニット6から伝送される制御信号を受けてアンテナATの受信ユニット22へ受信同期信号を送出する制御信号生成部5aとを備えている。
アナログ回路部5bは、受信ユニット22から伝送される受信信号を前置処理して解析用信号として中央処理ユニット6へ出力するものである。本実施例では、アナログ回路部5bは、受信ユニット22から伝送される受信信号に対して周波数変換による周期調整を施した解析用信号を生成する周期調整部(周波数変換回路)として機能する。また、設定手段5cは、周期調整部5bの周波数変換定数を可変設定するものである。尚、信号処理部5の各構成部は制御信号生成部5aと接続されており、必要な制御信号などを受けて動作を行う。
上記周期調整部5bは、受信ユニット22から伝送されるアナログの受信信号を受けて、設定手段5cの設定に応じて受信信号の周期を変化させることにより時間軸との対応を変化させる動作を行う。本実施例では、これらの調整処理をアナログ処理を主体として行っている。即ち、周期調整部5bから出力される解析用信号を演算手段6aを介して表示部7で表示させ、設定手段5cとしての半固定抵抗器を調整することにより解析用信号の時間軸方向への掃引速度を変化させて周期調整、すなわち、比誘電率の構成を行えるようになっている。
中央処理ユニット6は、CPUを用いてプログラム処理を行うデジタル回路部6a(演算手段)と、受信信号などのデータを格納するためのICカード6b(記憶手段)との間でデータの送受信を行うI/F回路6cとを備えている。
デジタル回路部6aは、デジタル処理を行うものであり、信号処理部5からの解析用信号としてのアナログ受信信号を入力するためのアナログ/デジタル変換部を有し、信号処理部5から伝送されるアナログの解析用信号をデジタルデータに変換する機能を備えており、信号処理ユニット5から伝送される受信信号をA/D変換(アナログ・デジタル変換)してデジタルデータとして記憶する。そして、記憶した受信信号データに対してプログラム処理を実行することにより必要な信号処理を行い、解析用信号に対して記憶手段6bに記憶されている計測条件データに基づく演算処理を施した解析データを生成する。また、演算手段6aは、信号処理されたデータを表示部7へ伝送して表示を行わせる。例えば、探査機1で設定された表示モードに応じて、解析用信号に対して対応した演算処理を施した解析データを生成し、生成された解析データに基づいて探査結果の表示を行わせる。
また、デジタル回路部6aは、I/F回路6cを介して外部記憶媒体であるICカード6bへ、基準誘電率や基準周期、その他の必要なサンプルデータなどを記憶させると共に、記憶されたデータをICカードから読み込んで信号処理を行う。基準誘電率並びに基準周期は、操作スイッチ72の所定の操作を行うことによって設定画面が表示器71に表示され、この設定画面において操作スイッチ72を用いて設定できるように、中央処理部6がプログラムされており、これにより基準誘電率設定手段並びに基準周期設定手段が構成されている。
ICカード6bは、ボタン電池などでデータ保持されるRAMや、バックアップ電源を要しないEEPROMなどを用いて構成されており、記憶させるデータ量に応じて、2MB、4MB、8MB,16MBのメモリ容量のものが用意されている。
ここで、本実施例の受信信号処理装置は中央処理ユニット6を中心にして構成されるもので、位相補正手段、振幅補正手段および差信号抽出手段は中央処理ユニット6のデジタル回路部6aで実行されるプログラム処理によって実現している。
デジタル回路部(受信信号処理装置)6aでプログラム処理されるA/D変換動作により受信信号波形全体を含む所定時間を512の等時間間隔で振幅をサンプリングし、12bitの分解能を有するデジタルデータとして記憶保持する。これにより、1つの受信信号データは順に配列された512の振幅データとして記憶される。
位相補正手段による位相補正は、デジタル回路部6aで記憶された受信信号データをCPUによってプログラム処理して行われる。則ち、位相補正を行おうとする受信信号データ同士において順に配列された振幅データを順次検索し、絶対値が第2ピーク点となる振幅データおよびそのデータ番号を各々判別する。
次いで、位相をシフトする受信信号における第2ピーク点のデータ番号を基準となる受信信号における第2ピーク点のデータ番号と一致させるようにして、受信信号データを基準となる受信信号に対応づける。そして、基準となる受信信号のデータ番号の前端または後端から外れる受信信号の振幅データを消去すると共に、基準となる受信信号のデータ番号の前端および後端の範囲内で振幅データの存在しないデータ番号に空の振幅データを付加する。これにより、新たな512の振幅データで成る受信信号データとする。
以上のデータ処理により、受信信号同士の振幅の第2ピーク点の位相を一致させることが可能である。
第1および第2の振幅補正手段も位相補正手段と同様にデジタル回路部72aに記憶された受信信号データをCPUでプログラム処理することによって実行する。
本実施例では、振幅補正を行おうとする受信信号Eと基準となる受信信号E0とにおける第2ピーク点の振幅を比較し、振幅の比に応じた重み係数を第2ピーク点以降の振幅データに演算することにより第1の振幅補正を実行する。
また、デジタル回路部6aには時間軸と所定増幅度で示される振幅補正データが予め格納されており、振幅補正データの時間軸とデータ番号とを対応させて第2ピーク点以降の振幅データに所定増幅度の演算を施すことにより第2の振幅補正を実行している。
差信号抽出手段も位相補正手段と同様にデジタル回路部6aに記憶された受信信号データをプログラム処理することによって実行する。
本実施例では、既に前記位相補正および振幅補正の施された受信信号データ同士において、同一のデータ番号毎の振幅データの差分を演算処理することにより差信号成分の抽出処理を行なわせている。
表示操作部7は、液晶表示器71と、デジタル回路部6aの制御信号を受けて液晶表示器71を駆動する液晶コントローラ73と、液晶表示器71の表面に設けられたタッチパネル70および操作スイッチ72と、表示器71の表示位置調整などを行う表示調整部74とを備えている。
尚、各回路を駆動する電源は携帯性、可搬性を生かすためにバッテリー(不図示)を用いた構成としている。
次に、電磁波探査機1に用いたアンテナユニットATの実施例を図面を参照して詳述する。
(アンテナユニットの構成)
次に、本発明の電磁波探査機に用いたアンテナユニットATの実施例を図面を参照して更に詳述する。尚、本発明のアンテナユニットATは方形箱形であるが、その回りに円板状のハウジングを被せた構成としている。また、アンテナユニットATから輻射しようとする電磁波の目的周波数をfo、その波長をλoとする。
図36に示すように、アンテナ基板41は縦長H、横幅2W(=2λ0)の方形状であり、同一形状の送信アンテナTと受信アンテナRとを同一基板上に一体的に左右対称に配した構造である。そこで、アンテナ基板41の説明にあたっては半分の大きさである送信アンテナTについて説明する。尚、アンテナ基板41は、ガラスエポキシ樹脂で成る基板42の表面の銅箔のうち、送信アンテナ素子43や接地導体44を除く不要部分をエッチング処理によって腐食除去して成している。
送信アンテナTは縦長H、横幅W(=λ0)の基板42の中央に、一辺の長さがLの正三角形の銅箔で成るアンテナ素子45,45を蝶ネクタイ状に頂部45a,45aを対向させて送信アンテナ素子43を形成している。この送信アンテナ素子43を取り囲むように幅Fの接地導体(銅箔)44を基板42の側縁に沿って方形ループ状に設けて前後左右対称な形状に成している。尚、アンテナ素子45,45の頂部45a,45aの間には僅かな隙間を設けて絶縁されており、この頂部45a,45aに後述する給電線を半田付けする。
アンテナ素子45の一辺の長さLは基板42の横幅Wの1/2、則ち、波長λ0の1/2の長さとされ、アンテナ素子45の頂部45b,45bおよび頂部45c,45cには接地導体44との間に寄生振動を抑制するための抑制抵抗46が半田付けされている。
接地導体44の幅Fは基板42上における配置の対象性を維持すれば特に制限されないが、後述するシールドケースへ取り付けた場合の導電性を考慮して、シールドケースの取付折曲面よりも幅Fが広くなるようにしている。
また、送信アンテナTの縦長Hは特に制限されないが、送信アンテナ素子43の縦方向全長に接地導体44の幅Fの2倍の幅を加えた長さよりも長く設定される。
尚、接地導体44上に設けられている開口47は後述するようにアンテナ基板41をシールドケース48へ取付固定するためのネジの挿入口である。
図37に示すように、シールドケース48は厚さtが1.2mmのアルミニウムを用い、縦長H、横幅2W(=2λ0)、奥行きDを有する方形箱状に成されており、上部開口には開口側縁全周に渡って幅F’の折曲部49が設けられている。この折曲部49にはアンテナ基板41の接地導体44が導電接触状態で取付固定されるもので、折曲部49の幅F’が接地導体44の幅Fよりも小さくなるように設定している。
奥行きDは目的周波数f0の波長λ0に対して、λ0/4の整数倍、則ち、λ0/4、2λ0/4、3λ0/4、4λ0/4、・・・、nλ0/4のいずれかの長さに設定されるもので、目的周波数f0の出力レベルが最大となるように奥行きDの寸法をいずれかの長さに設定することができる。
また、シールドケース48の中央には縦方向へ奥行き全長に渡って送信アンテナTと受信アンテナRとの間の電磁結合を低減するためのアルミニウムを用いたシールド板(シールド隔壁)50が設けられており、このシールド板50によってシールドケース48を送信側T1と受信側R1に区分している。
尚、本実施例ではシールド板50に厚さt1が2mmのものを用いている。また、ネジ穴51はアンテナ基板41を取付固定するネジを挿入するためのものである。
図38(a)は、電磁波レーダアンテナAT、則ち、アンテナ基板41をシールドケース48へ取り付けた状態を示す上面図、同図(b)は(a)のA−A矢視断面図、同図(c)は(a)のB−B矢視断面図を示している。
アンテナ基板41を送信アンテナ素子43および接地導体44が設けられた面が下方になるようにして3本のネジ52を用いてシールドケース48のネジ穴51へ取付固定する。これにより、アンテナ基板41の接地導体44が折曲部49およびシールド板50と導電接触した状態で固定される。
このように取り付けると、アンテナ基板41の送信アンテナTがシールドケース48の送信側T1の開口部分を覆うように位置すると共に、アンテナ基板41の受信アンテナRがシールドケース48の受信側R1の開口部分を覆うように位置する。
則ち、このアンテナATではシールドケース48を含むアンテナ基板41で励起された電磁波をアンテナ基板41自体を透過させて前方に輻射するものである。
本実施例では、シールドケース48にアンテナ基板41を取付固定する前に、送受信ユニット、電磁波吸収材および給電線などが同時に組み込まれる。
以下に、これらの部材の組み込み手順を図39の分解斜視図を参照して説明する。
図39に示すように、シールドケース48にはシールド板50で遮蔽された送信側T1と受信側R1に送信ユニット21および受信ユニット22と電磁波吸収材55,55とが収納され、アンテナ基板41が蓋をするように取付固定される。
アンテナ基板41の送信アンテナTおよび受信アンテナRには、アンテナ素子45の頂部45a,45aに給電線56および給電線57が接続されている。
則ち、給電線56には同軸ケーブルが用いられ、芯線が一方のアンテナ素子45の頂部45aに半田付けされると共に、シールド線が対向するアンテナ素子45の頂部45aに半田付けされている。給電線56の他端には高周波用のピンコネクタ56aが設けられ、このピンコネクタ56aを送信ユニット21側のコネクタ21aに接続することにより、送信ユニット21から送信アンテナ素子43へ直流バイアスおよびインパルスの給電を行う。尚、送信ユニット21にはコネクタ21bが設けられており、コネクタ58を接続することにより別置された信号処理ユニット(不図示)から電源や制御信号の供給を受ける。
同様に、給電線57にも同軸ケーブルが用いられ、芯線が一方のアンテナ素子45の頂部45aに半田付けされると共に、シールド線が対向するアンテナ素子45の頂部45aに半田付けされている。また、給電線57の他端にも高周波用のピンコネクタ57aが設けられ、このピンコネクタ57aを受信ユニット22側のコネクタ22aに接続することにより、受信アンテナRで捕らえた受信信号を受信ユニット22側へ伝送する。受信ユニット22にはコネクタ22bが設けられており、コネクタ59を接続することにより別置された信号処理ユニット(不図示)から受信同期信号や電源の供給を受けると共に、周波数変換された受信信号を送出する。
尚、シールドケース48には開口48a,48bが設けられ、送信ユニット21および受信ユニット22から導出される配線を貫通させて制御部側へ接続している。
このように、本発明の電磁波レーダアンテナATは薄いアルミニウムで成されたシールドケース48にアンテナ基板41を取り付け、内部に送信ユニット21および受信ユニット22を収納しただけの軽量化された構造であり、従来の不要輻射対策を優先したアンテナに比べて極めて軽量である。
また、アンテナ基板41とシールドケース48とで成る共振性を有した構造によって信号のカップリング不良(自然波の検知不良)がなくなり、安定した送受信を行うことができる。
図40は、送信ユニット21から給電線56を介して送信アンテナ素子43へ伝送される信号を、横軸を時間、縦軸を電圧レベルとして示したものである。
本実施例では、給電線56の芯線がシールド線に対して電圧Vdを有するように直流バイアスが加えられている。則ち、対向したアンテナ素子45、抑制抵抗46および接地導体44を介して直流バイアス電流が印加されている。
この状態で、給電線56を介してインパルスSをアンテナ素子45同士の間に所定周期T0毎に印加することにより、シールドケース48を含むアンテナ基板41から電磁波を輻射させている。
直流バイアスを印加することにより、送信ユニット21側では直流バイアス電圧をインパルス状に制御駆動することで送信アンテナ素子43へインパルスを印加することができ、回路構成が簡単となる。
図41は、電磁波吸収材55によって送信アンテナTから輻射される特定の電磁波成分を吸収させる状態を模式的に示したものである。
電磁波吸収材55は発泡材に導電性電波反射材を貼付した汎用のものを用いており、反射材における反射時の減衰を利用して効果的に減衰させるもので、電磁波吸収材55の取付方向に応じて特定の偏波面の電磁波に対して大きな減衰特性を示す。
本実施例では、図41(a)に示すようにシールドケース48の幅W方向へ電界を有する偏波成分E0は吸収させず、図41(b)に破線で示すようにシールドケース48の縦H方向へ電界を有する偏波成分E1を実線で示す偏波成分E1’まで減衰させるように電磁波吸収材55を配している。則ち、シールドケース48の縦H方向の偏波成分E1を有する電磁波には、目的周波数f0とは異なる不要周波数成分がある程度含まれることから、この不要周波数成分を吸収除去することによって一層不要輻射を低減させるようにしている。
図42は、本実施例の電磁波レーダアンテナATの送信アンテナTから輻射され受信アンテナRで捕らえられた電磁波を周波数スペクトラムアナライザで測定した結果を示すもので、目的周波数f0の成分が突出し、他の不要周波数成分が効果的に減衰していることが分かる。また、高レベルで輻射される周波数成分が離散しているため、受信ユニット側で受信帯域幅を適宜に選定することにより、例えば、目的周波数f0とは異なるf0/2の周波数、或いは、2f0の周波数を受信して必要な計測処理を行うことも可能である。
図43は、本実施例の電磁波レーダアンテナATから輻射された電磁波のアンテナ基板41における反射波を受信ユニット22で受信増幅した波形図である。図から分かるように、不要周波数成分が極めて低減されるので目的周波数f0に基づいた略正弦波状の歪みのない減衰波形を呈し、微少振幅に至るまで正確に復調されている。
図44は、本実施例の電磁波レーダアンテナATから輻射された電磁波の物体による反射波の受信波形を示したものである。図から分かるように、不要周波数成分が重畳されない受信信号であるので、S/N比に優れ反射波RTの基点、終点および周期変動を明瞭に判別することができ、また、受信波形のピーク点(第1ピーク点或いは第2ピーク点など)Pの判別が容易となり、正確な校正および測定を行うことが可能である。

(探査機の受信回路の校正−比誘電率の校正)
上記探査機1を用いて探査作業を行う際には、気温、湿度その他の条件によって高周波回路の回路定数が変動し、受信信号波形の周期にも影響を及ぼすため、まず、探査を行おうとする状況において探査機1の比誘電率の校正を行うことが必要である。そこで、次に、探査機1において比誘電率の校正を行う方法を述べる。
まず送信アンテナTから電磁波を対空輻射し、受信アンテナRで受信され信号処理部5で生成された解析用信号を図14に示すようにAスコープモードで表示器71に表示させる。
この解析用信号における表面反射波Wo の周期を、基準比誘電率に応じて予め定められた基準時間tと一致させるように設定手段5c(信号周期調整器)を調節する。これにより、基準比誘電率における解析用信号の周期と時間軸との対応が取られて比誘電率の校正が完了する。
例えば、探査機1のAスコープモードでは、時間軸の最大値を5msecとし、時間が5msecにおいて比誘電率εr=12での表示最大深度が1.5mとなるように画面表示されるようにするには、基準となる比誘電率(εr=12)及び校正距離(50cm)を有する基準誘電体において反射波を測定し、受信波形において起点から校正距離における反射波は受信されるまでの深度をAスコープモードにおける50cmの位置に調整する。このときの、表面波W0の周期を校正値(例えば0.75msec)として求める。そして、対空に向けて電磁波を輻射したときの表面波の周期を校正値0.75msecに調整することにより、Aスコープモード及び探査機1の内部処理における基準誘電率を12に校正することができる。
比誘電率の校正を行った後に、解析用信号Wの表面反射波W0の振幅の第1ピーク点P0を時間軸の始点(左端)に一致させるように表示調整部74を調整設定する。これにより、解析用信号Wの起点を送信アンテナTから輻射される電磁波と略一致させて探査解析における解析用信号の起点を明確にしている。
以上の校正および調整によって、探査機1の比誘電率の校正が行われ探査準備が整う。
このようにして比誘電率の校正が行われると、以降は、受信アンテナRで受信された受信信号に対して、設定手段5cの設定に応じて周期調整部5bで周波数変換が施された解析用信号が生成され、生成された解析用信号に演算手段6aで演算処理を施した解析データを用いて探査解析処理が行われる。
言い換えれば、比誘電率εr=12の媒体における反射波を受信した場合には、表示器71で表示される解析用信号の周期と時間軸との対応が取れ、信号処理部6の信号処理における時間の基準が明確になる。
尚、本発明の比誘電率の校正は極めて容易であるので、例えば、探査作業を所定時間行う毎に校正を行えば、一層正確な探査を行うことができる。
更に、前記したように受信ユニット22では、基準誘電率における解析用信号の周期を基準として、比誘電率の異なる媒体における受信信号に対しては比誘電率の平方根に略比例した周期の解析用信号を生成する。
演算手段6aでは、記憶手段6bに記憶された計測条件データに応じて、探査結果を表示させるために必要な処理を解析用信号に施して解析データを生成して表示部7に送出する。
これにより、解析データに基づいて探査結果の判定に必要な種々の表示を行うことができ、埋設物の推定が容易になる。
尚、本実施例では、受信ユニット22において、比誘電率の平方根に略比例した周期の解析用信号を生成しているが、受信ユニット22で周波数を低減させた解析用信号を生成し、演算手段6aにおいて比誘電率の平方根に略比例した周期を有する解析データを生成させることも可能である。
このように、上記の比誘電率校正方法によれば、特別な装置を用いることなく対空輻射時における解析用信号の周期を基準時間と一致させるだけで容易に行うことが可能であり、正確な探査を行うことができる。また、比誘電率と深度との対応が明確なので断面画像から探査状態の推定が容易になり、探査の作業性が向上する。また、輻射周波数の異なるアンテナユニットATに交換して探査を行う場合でも、製造者側から予め提示された基準時間によって直ちに比誘電率の校正を行うことが可能である。
次に、前記した比誘電率の校正の基礎となる基準時間の導出方法を、図15を参照して説明する。尚、基準比誘電率において電磁波が校正距離を伝搬するのに要する時間(校正距離の往復伝搬時間)tは、予め算出されているものとする。
図15に示すように、比誘電率εr=12、校正距離d=50cmの「乾燥まさ土」で成る基準誘電体30に探査機1のアンテナATを当接して電磁波を輻射し、その受信信号を解析用信号として表示器71に表示させる。
図16は、その解析用信号Wを示すもので、表面反射波W0と校正距離d(50cm)における反射波W1とが含まれている。
この表面反射波W0と反射波W1との間の時間t0が校正距離の伝搬時間tと一致するように周期調整部5bの設定手段5cを調整する。これにより、比誘電率εr=12における比誘電率の校正、則ち、解析用信号Wの周期と時間軸との校正が完了する。
このようにして比誘電率が校正された状態で対空輻射を行い、図17に示すように解析用信号の表面反射波の周期tを時間軸から読み取ることにより基準時間tを求めることができる。
尚、図16において、反射波W1の起点が不明瞭な場合には、信号処理部6において解析用信号Wの間の差信号成分を抽出する表面波処理(探査機1の有する表面波処理モード)を施すことによって容易に起点を把握できる。
則ち、図18に示すように、表面波処理の施された差信号成分を解析用信号W’として表示させ、基準誘電体30の校正距離dの位置(基準誘電体30の下面)に金属板などを当接離遠させる。このときの解析用信号W’を観測することにより反射波W1’が変動要素として表示されるので起点を容易に把握することができる。従って、表面反射波W0の起点と反射波W1’の起点との間の時間をt0に調整することにより、容易に校正を行うことができる。
前記したように、比誘電率の校正の基礎となる基準時間を「乾燥まさ土」などを用いた安価な基準誘電体30によって容易に導出することができる。
基準誘電体30は探査機1の製造者側で備えればユーザー側で特に備える必要はなく、取扱説明書などにより基準時間を明示するだけでユーザー側で確実な校正を行うことができる。
次に、「乾燥まさ土」を用いた基準誘電体30の比誘電率の管理方法について説明する。
図19に示すように、比誘電率εr =4.0、校正距離d1=20cmのエポキシ樹脂で成る基準誘電体31に探査機1のアンテナATを当接して電磁波を輻射し、その受信信号を解析用信号として表示器71に表示させる。
図20は、その解析用信号Wを示すもので、表面反射波W0と校正距離(50cm)における反射波W1とが含まれている。
この表面反射波W0と反射波W1との間の時間t0を校正距離の伝搬時間tと一致させるように周期調整部5bの設定手段5cを調整する。これにより、比誘電率εr=4.0における比誘電率の校正、則ち、解析用信号Wの周期と時間軸とが校正される。
比誘電率εr=4.0に校正された状態で、前記した図15に示すように、比誘電率εr=12、校正距離d=50cmの「乾燥まさ土」で成る基準誘電体30に探査機1のアンテナATを当接して電磁波を輻射し、その受信信号を解析用信号として表示器71に表示させる。
解析用信号Wには、図16に示すように表面反射波W0と校正距離(50cm)における反射波W1とが含まれている。
この表面反射波W0と反射波W1との間の時間t0を時間軸から読み取り、比誘電率εr=12における校正距離の伝搬時間tとの誤差を求め、誤差が所定範囲以内であれば基準誘電体30の比誘電率が維持されているものとする。
しかし、誤差が所定値を超える場合には、基準誘電体30のまさ土を乾燥させるなどして誤差範囲内に収まるように調整する。
尚、解析用信号に含まれる表面反射波W0と反射波W1との間の時間を時間軸から読み取る場合には、表示調整部74を調整して時間を読み取り易い位置に解析用信号を移動させれば良い。また、周期調整部5bや設定手段5cの処理をデジタル化してもよい。
なお、比誘電率の校正などを行う設定手段5cや表示調整部74は、図21に示すように、中央処理ユニット7の内部に設けた半固定抵抗器などで校正することができ、ドライバーなどの工具を用いて容易に調整可能である。設定手段5cは、図21に示す信号周期調整器により構成でき、また表示調整部75は、図21に示す同期位相調整器により構成できる。
(探査機の操作および受信信号処理動作)
次に、図22〜26の波形図、図5のブロック図、図32のフローチャートを参照して探査機1における受信信号処理動作を説明する。
尚、図33に示すように、探査機1のアンテナATと地表面Gとの距離を走査に応じて、例えば5cmm→8cm→2cmのように順次距離変動させて探査させるものとする。
(1) 図33に示すように地表面から5cm程度離した状態で探査機1により走査を開始する。
(2) 送信アンテナTから電磁波を送出し、受信アンテナRで捕らえられ受信ユニット22で周波数変換された受信信号は信号処理ユニット5のアナログ回路部5bへ伝送される。アナログ回路部5bではデジタル処理を行う前置処理を行った後に受信信号などを中央処理ユニット6へ伝送する。中央処理ユニット6のデジタル回路部6aでは、受信信号(ここでは、解析用信号を意味する。)を所定時間内において512の等時間間隔で振幅をサンプリングし、サンプリングした振幅を12bit分解能でA/D変換したデジタルデータを初期受信信号E0として記憶保持する(図32ステップ100参照)。
(3) デジタル回路部6aでは、これまでに記憶した初期受信信号E0または受信信号Eのいずれかを基準信号E0として設定する。尚、探査開始時などにおいて初期受信信号E0だけが記憶されている状態では、初期受信信号E0を基準信号E0として設定する(図32ステップ102参照)。
(4) 引き続いて出力される電磁波の反射波を受信信号Eとして読み込み、デジタル回路部6aへ記憶する(図32ステップ103参照)。
(5) デジタル回路部6aで、受信信号Eの振幅に応じて振幅が所定レベル未満の場合は高振幅補正を選択し、振幅が所定レベル以上の場合は通常振幅補正を選択する(図32ステップ105〜107参照)。
(6) デジタル回路部6aで、基準信号E0の第2ピーク点P0と受信信号Eの第2ピーク点Pとの位相差φ0を検出し、第2ピーク点同士の位相を一致させるように、受信信号Eの位相を調整する(図32ステップ108参照)。
(7) 次いで、基準信号E0と受信信号Eとの第2ピーク点における振幅L0およびLを求め、ステップ106,107で選択された通常振幅補正または高振幅補正を含めた振幅補正を受信信号Eに対して行う。
則ち、(受信信号E)×(L0/L)×(通常または高振幅補正)の演算処理を行う(図32ステップ109参照)。
(8) デジタル回路部6aで、振幅補正の施された受信信号Eの基準信号E0に対する差信号成分を抽出し、抽出された差信号成分に基づいてBスコープ画像データを生成して表示部7で表示する(図32ステップ110,111参照)。
ステップ112で引き続いて探査処理を行う場合には、ステップ102に戻って同一処理を繰り返す。
尚、ステップ102における基準信号E0の設定は探査機1の走査速度(水平方向の移動速度)に応じて変更させることができる。則ち、走査速度が遅い場合には直前の受信信号を基準信号E0に設定し、走査速度が速い場合には所定回数だけ遡った受信信号を基準信号E0に設定して信号処理を行うことも可能であり、走査距離に応じた最適な探査画像を表示させることができる。
図34は、以上の探査によって得られたBスコープ画像の一例を示したものである。この断面画像では、距離変動に伴う上下方向への複雑な画像展開が一掃され、比誘電率の異なる埋設物Q1〜Q3のアウトラインのみが浮き出るように表示されるので断面画像の視認による解析が容易である。
一方、図35は、差信号抽出を行わず振幅補正を施した状態の受信信号Eを用いて画像表示を行わせた例を示したものである。この地中断面画像においても、距離変動に伴って埋設物の画像が上下に変動を生じることもなく、安定した画像が表示される。
(媒体中誘電率の測定)
次に、上記電磁波探査機の応用例として、媒質中(地中)の深度毎の平均比誘電率を測定する方法を説明する。この比誘電率の測定方法は、次の(a)〜(d)のステップを有することができる。尚、これらステップは、中央処理ユニット6の演算手段6aに行わせることができ、その演算の基本データとしては、記憶手段6bに記憶されている解析用データ群からなる受信信号波形(解析用信号波形)を用いることができる。即ち、本実施例は、上記した校正された電磁波探査機1であって、信号処理部5によって位相振幅補正処理が施された解析用信号を用いて、誘電率測定を行うものである。
(a)電磁波の伝搬する波形(解析用信号波形)の全てのピーク位置(正側ピークと負側ピーク)を検知するステップ。
(b)上記各ピーク位置の伝搬速度を、正側ピークと零クロス点、負側ピークと零クロス点として、各区間の時間幅を順次時間測定し、伝搬周期の変化、即ち、誘電率変化を、次式
比誘電率 = (測定周期時間/基準周期時間)2 × 基準校正比誘電率
から求めるステップ(なお、この比誘電率は区間毎の平均値)。
(c)各区間の伝搬周期の検証を、他区間を信号成分を零にして周波数スペクトル解析し、その正規化を最大スペクトルの二乗和(直流成分を除く)により計算し卓越周波数を求めて、Δf=Δεrの相関を確認するステップ。
(d)各区間毎に求めた比誘電率をカラーバー分類して地層の深さ方向の誘電率分布図として表示装置に画面表示するステップ。
上記相関の確認は、具体的には、210分解のフーリエ解析なら512点離散周期が得られる為、基準周期により得られる測定可能周期(5msec最大で0.5msec基準周期なら10離散周期相当になるので誘電率比率の離散周期ずれを検定する)とのずれを検定し、誘電率との線形的な相関を評価する。
このようにして求めた誘電率(比誘電率)をカラーバー分類して地層の深さ方向の誘電率分布図・深度図として表示することにより、熟練した探査員でなくとも容易に地中の状態や誘電率や地層などを判別できるものとなる。さらに、上記カラーバーにカーソルを設け、分析した区間距離をサーチすれば、区間の平均誘電率や、トータル深度等を同時観測することができ、電磁波探査を飛躍的に簡単化するとともに高機能化を図ることができる。
図1及び図2には、上記した比誘電率の測定・評価結果に基づいて、地中の漏水探査を行う表示モードの表示画面例を示している。この例では、Aスコープ波形として表示された解析用信号を、その振幅のプラス・マイナスの全てのピーク位置を分割点として複数の時間範囲に区分する。すると、各時間範囲(区間)は、プラスピーク点からマイナスピーク点までの時間幅Δtを有するものとなり、各時間範囲の平均周期は、時間幅Δtの2倍として定義することが可能である。
ここで、探査機1が、基準構成比誘電率12の場合の基準周期時間がf0となるように校正されているとすれば、各時間範囲に対応する地中の媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率εrは、上記式に基づき、
比誘電率εr=(2Δt/f02 × 12
によって算出される。
そして、このように測定された比誘電率の大小に応じて色分けして、Aスコープ波形図11の隣に誘電率分布図12を表示する。この誘電率分布図12は、Aスコープ波形図11の高さ寸法と同じ高さ寸法を有し、Aスコープ波形図11と同様に深度方向に複数の区間に区分され、各時間範囲に対応する深度範囲の媒体の平均誘電率を色によって識別可能となっている。また、誘電率分布図12の隣には漏水判定図13が表示され、所定の比誘電率(例えば、40〜50以上)の区間は、下水管からの漏水が原因で誘電率が増大していると判定し、その区間に漏水判定マークを表示する。
また、これらの図11,12,13には、その区間の分割点にカーソル(水平線)が設けられており、このカーソルを操作スイッチ72を用いて上下に操作することで特定の区間を選択し、選択された区間の平均誘電率を画面右上に表示するようにしている。さらに、地中の各区間毎の誘電率が判明すれば、カーソルで指定した位置までの距離(深度)を演算可能であり、演算手段6aによってカーソル位置までの深度を演算して、その結果を画面右下に表示するようにしている。また、Aスコープ波形図11の右下には、トータル深度が表示されている。図1においては180cmとなっており、図2においては170cmとなっているが、これは、受信ユニット22の自動周波数変換の結果である。
本発明の実施例に係る電磁波探査機の漏水探査モードの表示画面図である。 本発明の実施例に係る電磁波探査機の漏水探査モードの表示画面図である。 本発明の実施例に係る電磁波探査機の平面図である。 本発明の実施例に係る電磁波探査機の側面図である。 本発明の実施例に係る電磁波探査機の要部構成のブロック図である。 受信ユニットの受信回路構成図である。 受信ユニットに供給されるサンプリング信号波形図である。 ダイオードブリッジに供給されるサンプリングパルスと、アンテナの検知信号との相関関係を説明するための波形図である。 検波回路に用いられるダイオードの周波数特性を示すグラフである。 アンテナの検知信号の周波数が比較的高いときのサンプリングタイミングを示す波形図である。 アンテナの検知信号の周波数が比較的低いときのサンプリングタイミングを示す波形図である。 比誘電率が低い媒体における受信信号のサンプリング状態を示す説明図である。 比誘電率が高い媒体における受信信号のサンプリング状態を示す説明図である。 比誘電率の校正を行う際の探査機の表示装置における表示画面図である。 基準誘電体(乾燥まさ土)を示す正面図である。 基準誘電体における解析用信号に基づいて校正距離を一致させる手順を説明するための表示画面図である。 対空輻射時における解析用信号の表面反射波の周期を基準時間に一致させる手順を説明するための表示画面図である。 表面波処理を行うことによって、校正距離を一致させる手順を説明するための表示画面図である。 基準誘電体(エポキシ樹脂)を示す正面図である。 基準誘電体における解析用信号に基づいて校正距離を一致させる手順を説明するための表示画面図である。 中央処理ユニットの側面図である。 距離変動が生じる前後の解析用信号波形のそれぞれの波形図である。 図22に示す波形を受信起点を一致させて重ね合わせた波形図である。 図23に示す波形に位相補正を施した状態を示す波形図である。 図24に示す波形に振幅補正を施した状態を示す波形図である。 図25に示す波形の差信号成分を示す波形図である。 振幅補正を施す場合の振幅補正データを示すグラフである。 距離変動に応じて生じる深度誤差および感度低下を示すグラフである。 電磁波探査機の表示装置の平面図である。 Aスコープモードの画面表示例を示す説明図である。 Bスコープモードの画面表示例を示す説明図である。 電磁波探査機の探査時の受信信号処理方法を示すフローチャートである。 距離変動を伴う走査状態の説明図である。 受信信号の差信号成分を用いて深度表示を行った場合の表示例である。 振幅補正を行った受信信号(解析用信号)を用いて深度表示を行った場合の表示例である。 本発明の探査機に用いられるアンテナユニットのアンテナ基板の平面図である。 アンテナ基板を取り付けるシールドケースを示しており、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。 本発明の探査機に用いられるアンテナユニットを示しており、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。 アンテナユニットの内部構成を示す分解斜視図である。 送信アンテナに給電される給電信号の概略波形図である。 電磁波吸収材で特定偏波成分を有する電磁波を吸収する様子の説明図である。 アンテナユニットから輻射される電磁波の周波数スペクトル図である。 反射波の受信波形(解析用信号波形)を示す説明図である。 物体における反射を含む反射波の受信波形図である。

Claims (4)

  1. 単一地点で送信アンテナから電磁波を輻射して、その単一地点の反射波を受信アンテナで検知し、この単一地点での検知信号に基づいて解析用信号を生成して、該解析用信号を解析することにより探査対象媒質内の非破壊探査を行う媒体中誘電率の測定方法において、
    前記解析用信号は、時間の経過とともに振幅が変化する交番波形を呈し、該波形の時間軸が媒体の深度に対応しており、
    前記解析用信号を複数の時間範囲に区分し、
    各時間範囲における解析用信号の平均周期に所定の演算を施すことによって、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出する
    ことを特徴とする電磁波探査機における媒体中誘電率の測定方法。
  2. 請求項1に記載の媒体中誘電率の測定方法において、
    さらに、算出された各深度範囲の平均誘電率を色分けして媒体の深さ方向の誘電率分布図として表示装置に画面表示するステップを有することを特徴とする電磁波探査機における媒体中誘電率の測定方法。
  3. 電磁波を輻射する送信アンテナと、反射波を受信するための受信アンテナと、単一地点における前記受信アンテナの検知信号に基づいて解析用信号を生成する受信信号処理部と、単一地点における前記解析用信号に基づいて所定の解析処理を行う解析処理部とを備え、前記解析用信号は、時間の経過とともに振幅が変化する交番波形を呈し且つ前記時間軸が媒体の深度に対応している電磁波探査機において、
    前記解析処理部は、前記解析用信号を複数の時間範囲に区分して各時間範囲における解析用信号の平均周期に所定の演算を施すことによって、各時間範囲に対応する媒体の深度範囲における媒体の平均誘電率を算出する媒体中誘電率算出手段を備えていることを特徴とする電磁波探査機。
  4. 請求項3に記載の電磁波探査機において、
    さらに、算出された各深度範囲の平均誘電率を色分けして媒体の深さ方向の誘電率分布図として画面表示する表示装置を備えている電磁波探査機。
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