JP3860485B2 - 無線受信機におけるプリアンブル検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル無線機の受信機に関わり、特に受信信号に既知の信号パターンが含まれているか否かを判定するプリアンブル検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル無線システムにおける送信信号は、2値信号系列をある区間(フレーム等)で区切り、π/4シフトQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などのデジタル変調方式により変調した後に送信される。
【0003】
このとき、送信機が初めて送信するフレームを第1フレームと云い、以降第2フレーム、第3フレーム、…と送信される。このときフレームには、フレーム内の固定位置にプリアンブルと呼ばれる周期性をもった一定長の固定ビットが付加されている。
【0004】
タイミング同期を取る方法には、送信機と受信機が、全くタイミング同期が取れていない状態で、送信機から送信される第1フレーム内のプリアンブル成分を検出し、検出したプリアンブル成分を用いてタイミング情報を算出し、現フレーム内の復調処理に反映させる高速同期がある。これとは別に、受信機と送信機が前のフレームでタイミング同期が取れている状態で、現フレームにおけるタイミング情報を算出し、前フレームのタイミング情報との差分から新たなタイミング情報を算出して、次フレームの復調処理に反映させる通常同期がある。このようなプリアンブル検出は、送信機と受信機の同期を確立するために必要な技術である。
【0005】
図3、図4及び図5を用いて、送信フレームと送信パターンの一例を説明する。
【0006】
図3は、公共業務用デジタル移動通信システムの標準規格ARIB STD−T79に基づいた、移動局間直接通信時の送信パターンの一例であり、第1フレーム、第2フレーム及び第3フレームは直接通信同期バースト(SB0,SB1,SB2)と呼ばれ、このフレーム内にプリアンブルが含まれる。
【0007】
第4フレーム以降は直接通信通信用物理チャネル(TCH0,TCH1,…,TCHM−1|Mは1以上の自然数、Mは通話の長さにより変化)と呼ばれ、このフレーム内に送信したいデータが含まれる。
【0008】
通常、送信機は、図3に示すように送信開始直後の数フレームは同期バーストを送信し、次いで通信が終了するまで通信用物理チャネルを送信する。
【0009】
図4と図5は、それぞれARIB STD−T79による直接通信同期バースト、直接通信通信用物理チャネルであり、Gはガード時間、LPはリニアライザ用プリアンブル、Rはバースト過渡応答用ガード時間、Pはプリアンブル、SWは同期ワード、Postはポストアンブル、TCHはトラフィックチャネル、DACCHは直接付随制御チャネル、PICHはパラメータ情報チャネルで、各記号の下の数字はそれぞれの領域のビット数であり、両フレームパターンのプリアンブル領域には、例えば“1001”と云ったビット系列を繰り返す固定パターンが用いられる。
【0010】
次いで、プリアンブルの持つプリアンブル成分について説明する。ARIB STD−T79に基づいたプリアンブルパターンは“1001”の繰り返しであり、変調方式をπ/4シフトQPSK、振幅を1とすると図6に示す8点にマッピングされる。図6aは複素面上の信号点を示し、図6bに時間波形を示す。図6bの8点についてFFT(Fast Fourier Transform)又はDFT(Discrete Fourier Transform)によってフーリエ変換を行なうと、式(1)で示されるように
【0011】
【数1】
となる。これより、シンボルレートをfbとすると、マッピング後のプリアンブルの持つプリアンブル成分は図7となる。
【0012】
式(1)は、シンボルレート f b でサンプリングしているため、X(0)とはFFTの周波数範囲−f b /2から+f b /2の−f b /2に対応する。送信信号は、式(2)の送信機側で伝達関数
【0013】
【数2】
のルートロールオフフィルタにより帯域制限されている。式(2)において、ωbはシンボルレートに2πを乗じたものであり、βはロールオフ率で0≦β≦1である。
【0014】
受信機側においても、受信信号は式(2)に示すルートロールオフフィルタにより帯域制限されており、例えば、受信信号に周波数偏差がない場合に、送信機側と受信機側で、ロールオフ率β=0.5のルートロールオフフィルタで帯域制限をした場合には図8となり、このときの2つのプリアンブルスペクトルX(1),X(5)の電力スペクトルの和が全電力の大半を占めることが分かる。
【0015】
また、プリアンブルの持つ2つの周波数成分の周波数をfk1,fk2(−fb/2≦fk1<fk2≦+fb/2)とすると、それぞれ式(3)及び式(4)で示されるように
【0016】
【数3】
【数4】
となり、fk2−fk1=fb/2となる。この特性を用いて、プリアンブル検出が行なわれる。
【0017】
プリアンブル検出方法の説明の前に、図9に示すプリアンブル検出ブロック500と受信信号にプリアンブルを含む場合のプリアンブル検出ブロック500の電力演算部502出力について説明する。
【0018】
図9に示すプリアンブル検出ブロック500は、FFT部501、電力演算部502、プリアンブル判定部503で構成されており、x(n|n=0,1,…,NFFT-1)はFFT部501の入力信号、X(k|k=0,1,…,NFFT-1)はFFT部の出力信号、P(k|k=0,1,…,NFFT-1)は電力演算部502の出力、Yはプリアンブル判定部503の出力(プリアンブル検出時はY=1、非検出時はY=0を出力)である。
【0019】
図10は、受信信号にプリアンブルを含み、周波数偏差のない場合の電力演算部502の出力で、プリアンブルの電力スペクトル(FFTのポイント数はNFFT)の一例である。図10において、kは離散周波数番号、k1とk2はプリアンブル成分を得る離散周波数番号(0≦k1<k2≦NFFT-1)、P(k)は離散周波数番号kの電力スペクトルであり、離散周波数番号NFFT/2が直流成分となる。
【0020】
また、図10において、FFTの入力信号のサンプリング周波数をfS(シンボルレートfbのときfS=gfb(g≧2))とすると、離散周波数番号間の周波数幅はfS/NFFTとなる。前述したプリアンブルの持つプリアンブル成分の特徴からも明らかなように、あらかじめ決められたパターンの繰り返しで構成されるプリアンブルは、図10のk1とk2のように決まった離散周波数番号でプリアンブル成分を持ち、それぞれにおける2つの電力スペクトルP(k1)とP(k2)は、(k2−k1)離れた関係にある。
【0021】
図11は、受信信号にプリアンブルが含まれた場合の電力演算部502出力の一例であり、NFFTはFFTのポイント数、kは離散周波数番号(0≦k≦NFFT-1),P(k)は離散周波数番号kにおける電力スペクトル、kmax1はP(k)の最大値を得る離散周波数番号である。
【0022】
図11と図12を用いて従来のプリアンブル検出方法を説明する。
【0023】
プリアンブル検出ブロック500に入力された時間信号x(n)は、FFT部501により離散周波数成分X(k)となり、電力演算部502で電力スペクトルP(k)を算出し、図11に示す離散周波数成分を得る。ここで、nは時間のサンプル番号であり、nとkはそれぞれ正の整数0≦n,k<NFFT-1である。
【0024】
電力演算部502の出力P(k)をプリアンブル判定部503の入力とし、受信信号にプリアンブルが含まれるか否かの判定を行なうプリアンブル判定部503の動作の流れを図12に示す。
【0025】
プリアンブル判定部503では、入力P(k)(k=0,1,2,…,NFFT-1)について、kmax1=0,P(kmax1)=P(0)の初期値を与えてから(ステップ30)、離散周波数番号の全範囲に亘ってステップ300の最大値検索を行ない、図11に示す最大値を得る離散周波数番号kmax1と最大値P(kmax1)を得る。
【0026】
次いで、プリアンブルの持つプリアンブル成分は(k2−k1)離れている(図10参照)ので、最大値検索(ステップ300)により得た離散周波数番号kmax1から±(k2−k1)離れた2つの離散周波数番号k01とk02を、次の式(5)及び式(6)
【0027】
【数5】
【数6】
により算出し(ステップ301)、P(k01)とP(k02)を比較して(ステップ302)、P(k01)≧P(k02)ならばkmax1=k01,P(kmax1)=P(k01)とし(ステップ303)、P(k01)<P(k02)ならばkmax2=k02,P(kmax2)=P(k02)とする(ステップ304)。上記、式(5)及び式(6)の“A=B mod C”において、AはBをCで割った余りを示す。
【0028】
最後に、求めたP(kmax1)とP(kmax2)を加算したものを全電力P0=ΣP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)で割った電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0と、閾値αを比較し(ステップ305)、電力比が閾値αを超えた場合は受信信号にプリアンブルが含まれていると判断してプリアンブル判定部503の出力をY=1とし(ステップ306)、電力比が閾値αを超えない場合は受信信号にはプリアンブルが含まれていないと判断してY=0(ステップ306)とすることによりプリアンブル検出が行なわれる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
受信信号に含まれるプリアンブルを検出するために用いるFFT部501は、FFTのポイント数NFFTを大きく設定することにより、より正確なプリアンブル成分を得ることが可能となり、上記プリアンブル検出方法で得ることができるプリアンブル判定情報(プリアンブルの検出/非検出)はより確かなものとなる。しかしながら、実際には次に述べる問題点があるため、従来のプリアンブル有無の判定で十分な確さを得ることは難しい。
【0030】
一般に、受信復調部においてプリアンブルを検出する場合は、受信復調部の処理時間に制限があるため、プリアンブル検出の処理時間も制限される。そのため、プリアンブル検出ブロック500では、決められた処理時間内に正しくプリアンブルを検出することが望まれる。しかしながら、従来のプリアンブル検出方法は、FFTのポイント数NFFTの増加に比例して、プリアンブル判定部503内の最大値検索処理に要する演算量が増加してしまう主たる問題点を有する。
【0031】
また、この問題点に付帯して、上記プリアンブル検出ブロック500内の演算を固定小数点で実現し、受信信号が小さくなる場合には、FFT部501と電力演算部502の出力も小さくなり桁落ちを生じるために、プリアンブル判定部503で全電力P0=0となる第1の付帯的問題点がある。
【0032】
更に、別の付帯する問題点として、上記同様にプリアンブル検出ブロック500内の演算を固定小数点で実現し、受信信号が小さくプリアンブルを含まないときに、偶然、ある離散周波数において電力スペクトルが存在すると、電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0が閾値αを超えるために、本来プリアンブルの含まれない受信信号を誤ってプリアンブルを含んでいると判定してしまう第2の付帯的問題点がある。
【0033】
本発明の目的は、上記の主たる問題点及び付帯的問題点を解決し、プリアンブル有無の判定に高い確度が得られるプリアンブル検出方法を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の無線受信機のプリアンブル検出方法は、デジタル変調方式で変調されたプリアンブルを含む送信信号を受信して受信信号を出力する段階と、該受信信号にフーリエ変換を施して離散周波数番号毎に離散周波数成分を出力する段階と、該離散周波数成分の電力を演算して電力スペクトルを出力する段階と、検出基準となるプリアンブルの電力スペクトル付近の範囲についてのみ最大値検索を行なうことによってプリアンブルの有無を判定する段階とを備えていることを特徴とする。
【0035】
プリアンブルの検出にあたって、本発明においても、プリアンブルが、決まった周波数fk1とfk2にプリアンブル成分を持ち、かつ、fk2−fk1=fb/2となる特性をもつことが利用される、即ち、周波数番号間がfS/NFFTで離散する、周波数fk1とfk2の周波数幅がfS/2で一定であることが利用される。
【0036】
上記のプリアンブル検出方法は、例えば具体的には次のように説明される。即ち、FFTのポイント数がNFFTで、予めパターンの決められたプリアンブルの持つプリアンブル成分を得る第1の離散周波数番号k1と第2の離散周波数番号k2とが分かっていることを利用し、第1の離散周波数番号k1に対してka(0≦ka≦NFFT/4)だけ小さい離散周波数番号(k1−ka)から、第1の離散周波数番号k1に対してkaだけ大きい離散周波数番号(k1+ka)までの範囲について最大値検索を行ない、第1の電力スペクトルの最大値P(kmax1)と該最大値を得る離散周波数番号kmax1を算出し、kmax1+(k2−k1)により第2の離散周波数番号kmax2=kmax1+(k2−k1)を算出して第2の電力スペクトルP(kmax2)を得て、該第2の電力スペクトルP(kmax2)と前記第1の電力スペクトルP(kmax1)の和P(kmax1)+P(kmax2)を算出する。
【0037】
又は、第2の離散周波数番号k2に対してka(0≦ka≦NFFT/4)だけ小さい離散周波数番号(k2−ka)から、第2の離散周波数番号k2に対してkaだけ大きい離散周波数番号(k2+ka)までの範囲について最大値検索を行ない、第2の電力スペクトルの最大値P(kmax2)と該最大値を得る離散周波数番号kmax2を算出し、kmax2−(k2−k1)により第1の離散周波数番号kmax1=kmax2−(k2−k1)を算出して第1の電力スペクトルP(kmax1)を得て、該第1の電力スペクトルP(kmax1)と前記第2の電力スペクトルP(kmax2)の和P(kmax1)+P(kmax2)を算出する。
【0038】
そして、前記いずれかの方法により算出した第1と第2の電力スペクトル和P(kmax1)+P(kmax2)の全電力P0=ΣP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)に対する電力比{P(kmax2)+P(kmax1)}/P0が閾値αを{P(kmax2)+P(kmax1)}/P0≧αの場合は受信信号にプリアンブルが含まれていると判断し、{P(kmax2)+P(kmax1)}/P0<αの場合は受信信号にはプリアンブルが含まれていないと判断する。
【0039】
以上により、プリアンブル判定に要する演算量は、従来の全周波数範囲に亘って行なわれる処理に比べて大幅に削減される。
【0040】
なお、付帯的な第1の課題を解決するための本発明のプリアンブル検出方法は、電力スペクトルの総和が0の場合、受信信号にはプリアンブルが含まれていないと判断することを特徴とする。即ち、本発明のプリアンブル検出方法では、FFTのポイント数がNFFTであるFFT部501の出力を入力とする電力演算部502の出力である電力スペクトルP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)の総和P0=ΣP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)がP0=0の場合、受信信号はプリアンブルが含まれていないと判断される。以上により、プリアンブル検出ブロック500を固定小数点で実現し、受信信号が小さい場合のプリアンブル誤検出を無くすことが可能となる。
【0041】
更に、付帯的な第2の課題を解決するための本発明のプリアンブル検出方法は、最大値検索により検出した複数の電力スペクトルの和と全電力スペクトルの総和の関係を用いてプリアンブル検出を行なうことを特徴とする。即ち、本発明のプリアンブル検出方法では、第1の電力スペクトルP(kmax1)と第2の電力スペクトルP(kmax2)和P(kmax1)+P(kmax2)の全電力スペクトルP0=ΣP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)に対する電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0が、ある上限値αmax(0≦α<αmax≦1)を超えた場合は、受信信号にプリアンブルが含まれていないと判断される。以上により、プリアンブル検出ブロック500を固定小数点で実現し、受信信号が小さい場合の本来プリアンブルが含まれていない受信信号におけるプリアンブル誤検出を無くすことが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る無線受信機のプリアンブル検出方法を図面に示した発明の実施の形態を参照して更に詳細に説明する。
【0043】
デジタル変調方式で変調されたプリアンブルを含む送信信号は、無線受信機で受信されて受信信号となり、同受信信号は、無線受信機の有する受信復調部において、図9に示すプリアンブル検出ブロック500に入力される。
【0044】
受信信号(時間信号)、即ちブロック500への入力信号x(n|n=0,1,…,NFFT-1)は、FFTを行なうFFT部501によってフーリエ変換が施され、FFT部501から離散周波数成分(スペクトル)X(k|k=0,1,…,NFFT-1)が出力される。ここで、nは時間のサンプル番号、kは離散周波数番号、NFFTはFFTのポイント数である。周波数成分X(k)は、電力演算部502においてその電力が演算され、電力演算部502から電力スペクトルP(k|k=0,1,…,NFFT-1)が出力される。プリアンブル判定部503は、電力スペクトルP(k)を使ってプリアンブル検出を行ない、検出結果Yを出力する。プリアンブル検出時はY=1、非検出時はY=0となる。
【0045】
なお、FFT部501は、DFTを行なうDFT部に代え、フーリエ変換がDFTによって行なわれるようにしてもよい。
【0046】
ここで、プリアンブルの持つスペクトルの特徴について説明する。
【0047】
図10は、プリアンブルのスペクトルを示し、fSはサンプリング周波数(シンボルレートがfbの場合はfS=gfb、(g≧2))、離散周波数番号が1増えると周波数はfS/NFFT増加する関係にある。また、k1とk2はプリアンブル成分の離散周波数番号(0≦k1<k2≦NFFT-1)であり、離散周波数番号NFFT/2は直流成分を得る離散周波数番号である。
【0048】
図10からも明らかなように、プリアンブルの離散周波数番号はk1とk2は、プリアンブル成分の周波数幅が一定である特徴により、両離散周波数番号は(k2−k1)だけ離れている。この特徴を用いてプリアンブル検出が行なわれる。
【0049】
続いて、本発明のプリアンブル検出方法の手順について図1及び図2を用いて説明する。
【0050】
図1は、受信信号にプリアンブルが含まれる場合の電力演算部502出力の一例である。前述のようにNFFTはFFTのポイント数、kは離散周波数番号(0≦k≦NFFT-1)、離散周波数番号NFFT/2は直流成分の離散周波数番号であるが、kaは例えば周波数許容範囲等で決めることのできる離散周波数番号の幅(0≦ka≦NFFT/4)である。
【0051】
図2に提案するプリアンブル検出方法の動作の流れを示す。プリアンブル判定部503は、図1に示される電力スペクトルについて、以下の手順に従い受信信号にプリアンブルが含まれるか否かの判定を行なう。
【0052】
(手順1)電力演算部502の出力である電力スペクトルP(k)の総和P0=ΣP(k|k=0,1,2,…,NFFT-1)をステップ100で条件判断し、P0=0ならば受信信号にプリアンブルは含まれないと判断してステップ106でプリアンブル判定部503出力Y=0を出力する。一方、P0≠0ならば次の処理を行なう。
【0053】
(手順2)プリアンブルの離散周波数番号をk1、k2とし、k1から周波数許容範囲等で決めることのできるka(0≦ka≦NFFT/4)を減算した離散周波数番号(k1−ka)から、kaを加算した離散周波数番号(k1+ka)までの範囲200(図1参照)について、ステップ10で初期値を離散周波数番号kmax1=(k1−ka),P(kmax1)=P(k1−ka)としてから、ステップ101で最大値検索を行ない、最大値を得る離散周波数番号kmax1と最大値P(kmax1)を得る。
【0054】
(手順3)手順2で求めた離散周波数番号kmax1とあらかじめ分かっている(k2−k1)から、次の式(7)
【0055】
【数7】
により、離散周波数番号kmax2と電力スペクトルP(kmax2)を算出する(ステップ102)。
【0056】
(手順4)手順2及び手順3で求めた2つの電力スペクトルの和P(kmax1)+P(kmax2)と、全電力P0=P(k|k=0,1,2,…,NFFT)の電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0を算出し、電力比の上限値αmax(0≦α<αmax≦1)と比較する(ステップ103)。もし、{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0≧αmaxならば、受信信号にプリアンブルは含まれていないと判断してステップ106でプリアンブル判定部503出力Y=0とし、{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0<αmaxならば次の処理を行なう。
【0057】
(手順5)手順4で求めた電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0と閾値α(0≦α<αmax<1)をステップ104で比較する。もし、{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0>αならば、受信信号にプリアンブルが含まれていると判断してステップ105でプリアンブル判定部503出力Y=1を出力し、{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0≦αならば、受信信号にプリアンブルは含まれていないと判断してステップ106でプリアンブル判定部503出力Y=0を出力する。
【0058】
このとき、上記手順2と手順3は、予め決められたプリアンブルの持つプリアンブル成分を得る2つの離散周波数番号k1とk2のうちk1を選び、プリアンブル検出を行なった場合について説明しているが、k2を選んだ場合には手順2と手順3を以下の処理に置き換えることになる。
【0059】
(手順2)プリアンブルの離散周波数番号をk1とk2とし、k2から周波数許容範囲等で決めることのできるka(0≦ka≦NFFT/4)を減算した離散周波数番号(k2−ka)から、kaを加算した離散周波数番号(k2+ka)までの範囲についてステップ101で最大値検索を行ない、最大値を得る離散周波数番号kmax2と最大値P(kmax2)を得る。
【0060】
(手順3)手順2で求めた離散周波数番号kmax2とあらかじめ分かっている(k2−k1)から、次の式(8)
【0061】
【数8】
により、離散周波数番号kmax1と電力スペクトルP(kmax1)を算出する(ステップ102)。
【0062】
従って、本発明のプリアンブル検出方法は、プリアンブル成分を検出するために限られた範囲200について最大値検索を行ない、電力スペクトルの最大値を得る離散周波数番号kmax1又はkmax2を算出し、算出したkmax1又はkmax2に(k2−k1)を加算又は減算することにより、他方の離散周波数番号kmax2とkmax1を算出し、いずれかの方法で得た2つの電力P(kmax1)とP(kmax2)の和と全電力P0との電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0を求め、P0≠0でα≦P(kmax1)+P(kmax2)}/P0≦αmaxの場合に、受信信号にプリアンブルが含まれていると判断する。
【0063】
以上のプリアンブル検出を行なうことにより、プリアンブル検出部503における演算量を大幅に削減することが可能になった。
【0064】
【発明の効果】
本発明のプリアンブル検出方法により、以下の効果を得ることができる。
【0065】
(1)予め決められたプリアンブルの持つ周波数成分はFFTのポイント数NFFTにより決まることに注目し、プリアンブル成分を検出するために限られた範囲(例えば範囲200)について最大値検索を行なうことで電力スペクトルの最大値を得る離散周波数番号kmax1を算出し、算出したkmax1に(k2−k1)を加算することにより離散周波数番号kmax2を算出、又は、限られた範囲の最大値検索を行なうことで電力スペクトルの最大値を得る離散周波数番号kmax2を算出し、算出したkmax2から(k2−k1)を減算することにより離散周波数番号kmax1を算出することで、プリアンブル判定部503の処理演算量の削減を可能にする。
【0066】
(2)プリアンブル検出ブロック500内のプリアンブル判定部503において、全電力P0=0では受信信号にプリアンブルが含まれていないと判断する条件(ステップ100)を加えることにより、プリアンブル検出ブロック500を固定小数点の演算により実現し、受信信号が小さい場合にFFT部501とFFT部502で桁落ちするために全電力P0=0となる場合に生じるプリアンブル誤検出を無くすことを可能にする。
【0067】
(3)プリアンブル判定部503において、電力比{P(kmax1)+P(kmax2)}/P0が閾値の上限値αmaxを超えた場合は、受信信号にプリアンブルが含まれていないとする条件(ステップ103)を加えることにより、プリアンブル検出部503を固定小数点で実現、又は受信電力が小さいときに、偶然ある離散周波数において電力スペクトルが存在した場合に生じるプリアンブル誤検出を無くすことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリアンブル検出方法の発明の実施の形態を説明するための曲線図。
【図2】本発明に係るプリアンブル検出方法の発明の実施の形態を説明するためのフローチャート。
【図3】デジタル無線通信における送信信号の送信パターンの例を説明するための図。
【図4】図3に示した送信パターンにおける直接通信同期バーストの例を説明するための図。
【図5】図3に示した送信パターンにおける直接通信通信用物理チャネルを説明するための図。
【図6】プリアンブルに対する変調方式の例と変調後の時間波形を説明するための図。
【図7】プリアンブルのスペクトル成分の例を説明するための図。
【図8】帯域制限後のプリアンブルのスペクトル成分の例を説明するための図。
【図9】プリアンブルを検出するためのプリアンブル検出ブロックを説明するための構成図。
【図10】プリアンブルの電力スペクトルの例を説明するための図。
【図11】従来のプリアンブル検出方法の例を説明するための曲線図。
【図12】従来のプリアンブル検出方法の例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
200…最大値検出範囲、500…プリアンブル検出ブロック、501…FFT部、502…電力演算部、503…プリアンブル判定部。
Claims (7)
- デジタル変調方式で変調されたプリアンブルを含む送信信号を受信して受信信号を出力する段階と、該受信信号にフーリエ変換を施して離散周波数番号毎に離散周波数成分を出力する段階と、該離散周波数成分の電力を演算して電力スペクトルを出力する段階と、検出基準となるプリアンブルの電力スペクトル付近の範囲についてのみ最大値検索を行なうことによってプリアンブルの有無を判定する段階とを備えていることを特徴とするプリアンブル検出方法。
- デジタル変調方式で変調されたプリアンブルを含む送信信号を受信して受信信号を出力する段階と、該受信信号にフーリエ変換を施して離散周波数番号毎に離散周波数成分を出力する段階と、該離散周波数成分の電力を演算して電力スペクトルを出力する段階と、プリアンブルの離散周波数番号を中心とする、離散周波数番号の最大値よりも小さい離散周波数番号の範囲の限られた範囲においてのみ電力スペクトルの最大値検索を行なうことによってプリアンブルの有無を判定する段階とを備えていることを特徴とするプリアンブル検出方法。
- 前記プリアンブルの有無を判定する段階において、電力スペクトルの総和が0の場合は、受信信号にはプリアンブルが含まれていないと判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリアンブル検出方法。
- 前記プリアンブルの有無を判定する段階において、最大値検索により検出した複数の電力スペクトルの和と全電力スペクトルの総和の関係を用いてプリアンブル検出を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリアンブル検出方法。
- 前記プリアンブルの有無を判定する段階において、基準となるプリアンブルの持つ離散周波数番号が第1の離散周波数番号k1と第2の離散周波数番号k2(k1<k2)である場合、第1の離散周波数番号k1付近の限られた範囲についてのみ電力スペクトルの最大値検索を行ない、最大値を得る第3の離散周波数番号を算出し、該第3の離散周波数番号に第1の離散周波数番号k1と第2の離散周波数番号k2の差(k2−k1)を加えることにより、第4の離散周波数番号を得、該第3の離散周波数番号に対する最大値の電力スペクトルと第4の離散周波数番号に対する電力スペクトルとを前記最大値検索により検出した複数の電力スペクトルとすることを特徴とする請求項4に記載のプリアンブル検出方法。
- 前記プリアンブルの有無を判定する段階において、基準となるプリアンブルの持つ離散周波数番号が第1の離散周波数番号k1と第2の離散周波数番号k2(k1<k2)である場合、第2の離散周波数番号k2付近の限られた範囲についてのみ電力スペクトルの最大値検索を行ない、最大値を得る第4の離散周波数番号を算出し、該第4の離散周波数番号に第1の離散周波数番号k1と第2の離散周波数番号k2の差(k2−k1)を減算することにより、第3の離散周波数番号を得、該第4の離散周波数番号に対する最大値の電力スペクトルと第3の離散周波数番号に対する電力スペクトルとを前記最大値検索により検出した複数の電力スペクトルとすることを特徴とする請求項4に記載のプリアンブル検出方法。
- 前記プリアンブルの有無を判定する段階において、最大値検索により検出した複数の電力スペクトルの和の全電力スペクトルの総和に対する比が閾値以上であればプリアンブル有と判定し、更に該比が閾値より大きい上限値よりも大きい場合はプリアンブル無と判定することを特徴とする請求項4に記載のプリアンブル検出方法。
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