JP3860003B2 - インドール誘導体三量体を含む防食用組成物及び防食方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明はインドール誘導体三量体を主成分とする防食用組成物及びその防食方法に関する。本発明に用いる防食用組成物は、溶媒に可溶なため金属表面に塗布し、簡単に被覆し防食することができる。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の防食方法として、有機材料または無機材料からなる耐食性コーティング剤によって表面を被覆する方法が一般的に採られている。特に、亜鉛、クロム酸化合物、エポキシ樹脂、タール、ポリマー、塗料などで金属表面を被覆し、金属表面を腐食環境から遮断することで防食効果を示す。
【0003】
しかしながら、金属表面にこれらの耐食性コーティング剤を塗装する方法では、コーティング表面に亀裂、欠け傷、ピンホールが存在することが多く、腐食に対する完全な解決方法とはならない。さらに、クロム酸化合物を塗布する方法は、非常に優れた防食効果を示すが、環境、健康への悪影響から代替材料、代替方法が求められている。
【0004】
また、腐食環境に対する腐食抑制剤として、アミン化合物等がある。腐食抑制剤は、各種貯蔵タンク、循環冷却、ボイラー等に使用する腐食性媒質のなかに微量添加することで防食効果を発揮するが、適用用途が限定されるという問題点がある。
【0005】
また、金属の電位を人為的に一定に制御する方法も優れた防食効果を発揮するが、外部電源、電位制御するための装置が必要となり、技術的、経済的にその適用は自ずと限定される。
【0006】
そこで、導電性ポリマーを被覆して電位を一定に制御して防食する方法が提案されている。例えば、J.Electrochem.Soc.,132,1022(1988)に導電性ポリマーとしてポリアニリンを金属表面に電解重合で被覆する方法が報告されているが、大表面の金属表面に適用するには困難である。また、粉末状のポリアニリンを高分子化合物に分散させて、金属表面に被覆する方法(特開昭63−199884号広報)も提案されているが、粉末状のポリアニリンが不均一に分散しているため防食効果が不十分である。
【0007】
そこで本発明者らは、ポリアニリン等の導電性ポリマー組成物の不均一性を解消するために、可溶性導電性ポリマーを含む防食用組成物(特開平10−176123号公報)を提案している。しかしながら、防食性能が必ずしも十分でないことや、導電性ポリマー特有の着色があることから被膜後の金属表面が着色する等の理由により、使用用途が限定される課題があった。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
このように当業技術分野では、金属の防食に際し、容易に塗布、被覆が可能であり、更に極めて薄い被膜でも十分に防食効果を発揮できる防食用組成物の開発が重要な課題になっている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する防食用組成物を開発すべく鋭意検討した結果、インドール誘導体三量体を主成分とする組成物がその目的に適合することを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の第一は、インドール誘導体三量体(a)を含むことを特徴とする防食用組成物に関する。本発明の防食用組成物は、更に溶媒(b)、高分子化合物(c)及び/または界面活性剤(d)を含むとより性能が向上する。
【0011】
本発明の第二は、防食を施そうとする基材の少なくとも1つの面上に、インドール誘導体三量体(a)を含む防食用組成物を塗布することにより形成される防食膜に関する。
【0012】
本発明の第九は、防食を施そうとする基材の少なくとも1つの面上に、インドール誘導体三量体(a)を含む防食用組成物を塗布し被膜を形成させることを特徴とする防食方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳しく説明する。本発明の防食用組成物は、インドール誘導体三量体(a)を含有することが重要な点である。本発明のインドール誘導体三量体(a)は、下式のものが好ましく用いられる。
【化2】
(式中、R1〜R12は、水素、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のアシル基、アルデヒド基、カルボン酸基、炭素数2〜24の直鎖または分岐のカルボン酸エステル基、スルホン酸基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のスルホン酸エステル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基及びハロゲン基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた置換基である。また、Xa−は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸イオン、ポリビニル硫酸イオン等及びこれらの誘導体よりなる陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1以上の整数であり、mは0〜0.5である。)
【0014】
前記インドール誘導体三量体(a)構造式のR1〜R16が、少なくとも一つ以上が酸性基で置換されているものが好ましく、酸性基がカルボキシル基、及び/またはスルホン酸基であるものが特に好ましい。
【0015】
本発明で用いられるインドール誘導体三量体(a)は具体的には、4―メチルインドール、5―メチルインドール、6―メチルインドール、7―メチルインドール、4―エチルインドール、5―エチルインドール、6―エチルインドール、7―エチルインドール、4―n−プロピルインドール、5―n−プロピルインドール、6―n−プロピルインドール、7―n−プロピルインドール、4―iso−プロピルインドール、5―iso−プロピルインドール、6―iso−プロピルインドール、7―iso−プロピルインドール、4―n−ブチルインドール、5―n−ブチルインドール、6―n−ブチルインドール、7―n−ブチルインドール、4―sec−ブチルインドール、5―sec−ブチルインドール、6―sec−ブチルインドール、7―sec−ブチルインドール、4―t−ブチルインドール、5―t−ブチルインドール、6―t−ブチルインドール、7―t−ブチルインドールなどのアルキル基置換インドール類、4―メトキシインドール、5―メトキシインドール、6―メトキシインドール、7―メトキシインドール、4―エトキシインドール、5―エトキシインドール、6―エトキシインドール、7―エトキシインドール、4―n−プロポキシインドール、5―n−プロポキシインドール、6―n−プロポキシインドール、7―n−プロポキシインドール、4―iso−プロポキシインドール、5―iso−プロポキシインドール、6―iso−プロポキシインドール、7―iso−プロポキシインドール、4―n−ブトキシインドール、5―n−ブトキシインドール、6―n−ブトキシインドール、7―n−ブトキシインドール、4―sec−ブトキシインドール、5―sec−ブトキシインドール、6―sec−ブトキシインドール、7―sec−ブトキシインドール、4―t−ブトキシインドール、5―t−ブトキシインドール、6―t−ブトキシインドール、7―t−ブトキシインドールなどのアルコキシ基置換インドール類、4―アセチルインドール、5―アセチルインドール、6―アセチルインドール、7―アセチルインドールなどのアシル基置換インドール類、インドール―4―カルバルデヒド、インドール―5―カルバルデヒド、インドール―6―カルバルデヒド、インドール―7―カルバルデヒドなどのアルデヒド基置換インドール類、インドール―4―カルボン酸、インドール―5―カルボン酸、インドール―6―カルボン酸、インドール―7―カルボン酸などのカルボン酸基置換インドール類、インドール―4―カルボン酸メチル、インドール―5―カルボン酸メチル、インドール―6―カルボン酸メチル、インドール―7―カルボン酸メチルなどのカルボン酸エステル基置換インドール類、インドール―4―スルホン酸、インドール―5―スルホン酸、インドール―6―スルホン酸、インドール―7―スルホン酸などのスルホン酸基置換インドール類、インドール―4―スルホン酸メチル、インドール―5―スルホン酸メチル、インドール―6―スルホン酸メチル、インドール―7―スルホン酸メチルなどのスルホン酸エステル基置換インドール類、インドール―4―カルボニトリル、インドール―5―カルボニトリル、インドール―6―カルボニトリル、インドール―7―カルボニトリルなどのシアノ基置換インドール類、4―ヒドロキシインドール、5―ヒドロキシインドール、6―ヒドロキシインドール、7―ヒドロキシインドールなどのヒドロキシ基置換インドール類、4―ニトロインドール、5―ニトロインドール、6―ニトロインドール、7―ニトロインドールなどのニトロ基置換インドール類、4―アミノインドール、5―アミノインドール、6―アミノインドール、7―アミノインドールなどのアミノ基置換インドール類、4―カルバモイルインドール、5―カルバモイルインドール、6―カルバモイルインドール、7―カルバモイルインドールなどのアミド基置換インドール類、4―フルオロインドール、5―フルオロインドール、6―フルオロインドール、7―フルオロインドール、4―クロロインドール、5―クロロインドール、6―クロロインドール、7―クロロインドール、4―ブロモインドール、5―ブロモインドール、6―ブロモインドール、7―ブロモインドール、4―ヨードインドール、5―ヨードインドール、6―ヨードインドール、7―ヨードインドールなどのハロゲン基置換インドール類などを基本単位とするインドール三量体類を挙げることができる。
【0016】
そのなかで、カルボン酸基置換インドール三量体類、スルホン酸基置換インドール三量体類、シアノ基置換インドール三量体類、ニトロ基置換インドール三量体類、アミド基置換インドール三量体類、ハロゲン基置換インドール三量体類などが実用上好ましく、酸性基を有するカルボン酸基置換インドール三量体類、スルホン酸基置換インドール三量体類などは、水溶性のため溶媒として水を使用できるため、人体及び環境への安全性の面からも特に好ましく用いることができる。
【0017】
本発明で用いるインドール誘導体三量体(a)の製造方法は、特に限定されないが、電気的あるいは化学的酸化反応によって得ることができる。例えば本発明者らが提案した国際公開WO2002/032903に記載の合成法が好ましく用いられる。得られたインドール誘導体三量体(a)は、電気的に活性であり、各々の酸化還元電位は一定であるので、金属表面に皮膜を形成させた時に金属の電位を一定に保持し優れた防食効果を示す。
【0018】
本発明で用いるインドール誘導体三量体中のドーパントXa−は、重合中の酸化剤に由来するプロトン酸の陰イオンである。具体的には、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸イオン、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸イオン、ポリビニル硫酸イオン等及びこれらの誘導体が挙げられる。例えば、酸化剤として無水塩化第二鉄を選んで化学酸化を行った場合、インドール誘導体三量体中のドーパントXa−は塩素イオンとなり、トリフルオロ酢酸第二銅を用いて重合を行った場合は、ドーパントXa−はトリフルオロ酢酸イオンとなる。
【0019】
インドール誘導体三量体(a)は、溶媒(b)への溶解性をより向上する目的で脱ドープ処理をしたものを用いることができる。脱ドープの処理方法としては特に限定されるものではないが、例えば従来から各種導電性ポリマー、電荷移動錯体の脱ドープ工程として公知の方法が用いられる。すなわち、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ性溶液中にインドール誘導体三量体(a)を懸濁させてドーパントXa−を除去する方法、または還元処理により脱ドープ型のインドール誘導体三量体(すなわち、ドープ率m=0)を得る方法が挙げられる。
【0020】
本発明で用いる溶媒(b)は、インドール誘導体三量体(a)、高分子化合物(c)、界面活性剤(d)を溶解、分散するものであれば特に限定されないが、具体的には、水及び/または有機溶媒が用いられる。有機溶媒としてはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン等の芳香族炭化水素溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、iso−オクタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系溶媒、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−iso−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−iso−ブチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、iso−プロピルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、メチルカルビトール、エチルカルビトール、n−プロピルカルビトール、iso−プロピルカルビトール、n−ブチルカルビトール、iso−ブチルカルビトール、iso−アミルカルビトール、フェニルカルビトール、ベンジルカルビトール等のカルビトール系溶媒、乳酸エチル、乳酸メチル等のヒドロキシエステル系溶媒等が好ましく用いられる。特にインドール誘導体三量体への溶解性の点で、水、メタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが更に好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、また任意の割合で混合してもよい。
【0021】
インドール誘導体三量体(a)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して、0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部である。インドール誘導体三量体(a)の割合が20質量部を超えると溶解性が低下することがある。
【0022】
本発明で用いる高分子化合物(c)は、溶媒(b)に溶解するもの、エマルジョンを形成するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラートなどのポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン類、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合樹脂及びこれらの共重合体などが用いられる。またこれらの高分子化合物(c)は二種以上の任意の割合で混合したものであってもよい。
【0023】
高分子化合物(c)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して0.1〜400質量部であり、好ましくは0.5〜300質量部である。0.1質量部以上でより成膜性、成形性、強度が向上し、一方400質量部以下でインドール誘導体三量体(a)の溶解性や導電性がより向上する。
【0024】
本発明の防食用組成物は、前記インドール誘導体三量体(a)、溶媒(b)及び高分子化合物(c)の成分のみでも、高い防食効果のある被膜を形成することが可能であるが、界面活性剤(d)を加えて、該組成物の分散性や表面張力を低下させることによって、さらに平坦性、塗布性、成膜性が向上し、防食効果も同時に向上する。
【0025】
界面活性剤(d)としては、本発明の防食用組成物の溶解または分散を妨害するものでなければ特に限定されず、具体的には、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α―オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α―スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合体及びこれらの塩などのアニオン系界面活性剤、第一〜第三脂肪族アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪族アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム及びこれらの塩などのカチオン系界面活性剤、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N.N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪族エステル、ポリオキシエチレン化ヒシマ油、脂肪族ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイドなどの非イオン系界面活性剤及び、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤が用いられる。ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。なお、界面活性剤は二種以上用いても何ら差し支えない。
【0026】
界面活性剤(d)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0027】
さらに、本発明に用いられる防食用組成物には、必要に応じて、保存安定剤、接着助剤、従来公知の腐食防止剤(例えば、ホスフェートやボレート含有顔料のような腐食防止顔料もしくは金属酸化物顔料、または他の有機あるいは無機の腐食抑制剤、例えばニトロイソフタル酸の塩、リン含有エステル、工業用アミン、置換されたベンゾトリアゾール等)などを添加することもできる。
【0028】
本発明による防食用組成物は、インドール誘導体三量体(a)、溶媒(b)、高分子化合物(c)、界面活性剤(d)を室温下でまたは加熱攪拌して完全に溶解するか、または混和・分散して調製する。
【0029】
本発明の防食用組成物は、基材表面に塗布した後、加熱乾燥することによって、被膜が形成される。塗布方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等の簡便な手法で導電体を形成することができる。
【0030】
基材としては、金属であれば特に限定されず、鋼板、亜鉛鋼板等の鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、コバルト、鉛、クロム、チタン、ステンレススチール等実質的に全ての金属と金属合金が挙げられる。
【0031】
加熱温度は、通常50℃以上、好ましくは60〜500℃、より好ましくは80〜400℃である。防食皮膜の膜厚としては、通常0.001〜1000μm、好ましくは0.005〜500μm、より好ましくは0.01〜100μmである。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものでない。
【0033】
[測定法] 本参考例において、元素分析測定は、サーモクエスト社製 EA1110で測定した。導電率測定は、三菱化学製ロレスター計 MCP−T350(四端子法)で測定した。
【0034】
(合成例1:インドール誘導体三量体Iの合成)
200mlの三ツ口フラスコにアセトニトリル10mlを入れ、インドール−5−カルボニトリル1.4gを溶解した。一方、酸化剤溶液の調製はアセトニトリル40mlに対して、無水塩化第二鉄16.2g、水5.4gを溶解して10分間攪拌した。次に、インドール−5−カルボニトリル溶液に30分間かけて、調製した酸化剤溶液を滴下した後、10時間、60℃にて攪拌した。反応溶液は若干の発熱を伴いながら黄色から緑色に変化した。反応終了後、桐山漏斗で吸引濾過し、アセトニトリル次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボニトリル、(インドール−5−カルボニトリル三量体)1.2g(収率86%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.50S/cmであった。元素分析の結果は(C9.00H4.03N1.97Cl0.10)3であった。
【0035】
(合成例2:インドール誘導体三量体IIの合成)
合成例1においてインドール−5−カルボニトリルの代わりに6−フルオロインドールを使用する以外は実施例1と同様な方法で重合を行った。暗青色の3,8,13−トリフルオロ−6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(6―フルオロインドール三量体)1.0g(収率71%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.56S/cmであった。元素分析の結果は(C8. 0 0H4.01N0.99F0.97Cl0.1 6)3であった。
【0036】
(合成例3:インドール誘導体三量体IIIの合成)
200mlの三ツ口フラスコにクロロホルム15mlを入れ、インドール1.42gを溶解した。一方、酸化剤溶液の調製はクロロホルム60mlに対して、過硫酸アンモニウム11.4g、水2.70gを溶解し、15分間攪拌した。次に、インドール溶液に60分間かけて、調製した酸化剤溶液を滴下した後、12時間、40℃にて攪拌した。反応溶液は若干の発熱を伴いながら黄色から青緑色に変化した。反応終了後、桐山漏斗で吸引濾過し、クロロホルム次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、青緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール、(インドール三量体)1.27g(収率89%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.40S/cmであった。元素分析の結果は(C8. 0 0H4.91N0.98(SO4)0.07)3であった。
【0037】
(合成例4:インドール誘導体三量体IVの合成)
200mlの三ツ口フラスコにアセトニトリル15mlを入れ、インドール−5−カルボン酸1.28gを溶解した。一方、酸化剤溶液の調製はアセトニトリル100mlに対して、テトラフルオロホウ酸第二銅14.3g、水10.9gを溶解し、15分間攪拌した。次に、インドール−5−カルボン酸溶液に60分間かけて、調製した酸化剤溶液を滴下した後、5時間、30℃にて攪拌した。反応溶液は若干の発熱を伴いながら黄色から青緑色に変化した。反応終了後、桐山漏斗で吸引濾過し、アセトニトリル次いでメタノールで洗浄し、乾燥して、青緑色の6,11−ジヒドロ−5H―ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−2,9,14−トリカルボン酸、(インドール−5−カルボン酸三量体)1.27g(収率89%)を得た。得られた三量体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、0.40S/cmであった。元素分析の結果は(C9. 0 0H4.95N0.98O1.98Cl0.13)3であった。
【0038】
(実施例1〜6)「防食用組成物」
合成例1〜4で合成したインドール誘導体三量体(a:I〜IV)、溶剤(b)、高分子化合物(c)及び界面活性剤(d)を溶解、混和させて、防食用組成物を調製した。
【0039】
この様にして得られた防食用組成物を亜鉛メッキ鋼板(50mm×100mm×1mm)にスピンコート法により塗布し、表中に示した加熱条件にて処理して、所定の膜厚の被膜を形成した。
【0040】
「防食評価方法」
上記方法にて被膜したこれら試験鋼板の長辺から5mmのところで両端を切断し、35℃で塩水噴霧(JIS−K−5400法に準拠)処理した後、端末からの腐食長を測定した。
【0041】
(比較例1〜5)
防食用組成物として表中に示した組成物を用いて実施例と同様の亜鉛メッキ鋼板に皮膜を形成し、実施例と同様の防食試験を実施した。
【0042】
上記の実施例1〜15の結果を表1〜4に、比較例1〜5の結果を表5に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】
本発明の防食用組成物は、溶剤可溶なインドール誘導体三量体を含有し、従来の腐食抑制剤に比べて非常に優れた防食効果を示し、かつ大表面の金属表面に簡単に被膜を形成することができる。また、本発明の防食用組成物を金属表面に被膜を形成した後、加熱して不溶化させることも可能である。
Claims (9)
- インドール誘導体三量体(a)を含むことを特徴とする防食用組成物。
- 防食用組成物に溶媒(b)を含むことを特徴とする請求項1記載の防食用組成物。
- 防食用組成物に高分子化合物(c)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の防食用組成物。
- 防食用組成物に界面活性剤(d)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防食用組成物。
- インドール誘導体三量体(a)が、
- 前記インドール誘導体三量体(a)のR1〜R16が、少なくとも一つ以上の酸性基で置換されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防食用組成物。
- 酸性基がカルボキシル基、及び/またはスルホン酸基であることを特徴とする請求項6記載の防食用組成物。
- 防食を施そうとする基材の少なくとも1つの面上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防食用組成物を塗布することにより形成される防食膜。
- 防食を施そうとする基材の少なくとも1つの面上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防食用組成物を塗布し被膜を形成させることを特徴とする防食方法。
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