JP3859677B2 - 関節情報の判定方法および正常関節と病態関節の識別方法 - Google Patents
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Description
関節液中のプロテオグリカンが関節炎のマーカー分子として有用であることは前述のとおりであるが、ある種の関節炎においてはプロテオグリカンの濃度が正常関節と比較して低くなる場合もあり、プロテオグリカンの濃度の上昇は必ずしも病態関節であることを反映していない。
ヒアルロン酸−アグリカン会合体を超遠心法(Heinegard,D.,et al.,J.Biol.Chem.,249,4250(1974)) ゲルクロマトグラフィー法(岩田 久,新生化学実験講座,第3巻,糖質II,452−455頁,1991年4月15日,(株)東京化学同人発行)
詳しくは本発明は、検体中の、特に体液中の、正常アグリカンを簡便かつ高感度に測定するための方法を利用する関節情報の判定方法の提供を目的とする。
さらに、本発明は各種病態関節の種類を診断することができる関節情報の判定方法を提供することを目的とする。
プロテオグリカンはコアタンパクとよばれるタンパク質にグリコサミノグリカンが共有結合している物質の総称で、結合組織や細胞膜などに存在し、それぞれ、独自の機能を有している。
ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位から構成されるグリコサミノグリカンの一つで、軟骨基質中では、含量は少ないものの、上述のようにプロテオグリカン会合体の形成という重要な機能を果たしている。一方、関節液では、2-3mg/mlの濃度で含有される主要成分の一つであり、滑膜細胞で産生されている。関節液中のヒアルロン酸の分子量は数百万と大きく、他の成分に比べて大きな空間を占有すると共に内部に多量の水を保持している。関節液中の濃度では、ヒアルロン酸の各分子は相互に重なりあっており、結果として、関節液に必要な粘性を付与することになる。すなわち、関節液中のヒアルロン酸の分子量および濃度は、関節液の特性である粘性と密接に関連している。
関節液におけるこれらマーカー分子の濃度および総量(濃度に関節液量をかけたもの)は、軟骨破壊の程度以外に、軟骨量や関節腔内からの分解物の消失速度、さらに血漿成分の流入量によっても変動を受ける。極端な例として、末期の慢性関節リウマチのように、関節軟骨がほとんどない場合が挙げられる。このような関節液中のアグリカンやグリコサミノグリカンの濃度が正常関節液中の濃度に比べて低くても何ら不思議ではない。
ヒアルロン酸結合部位(G1ドメイン)をもつ正常アグリカンは関節液中においてもヒアルロン酸と会合体を形成するが、この会合能力はアグリカンの分解または変性の有用な指標と成り、全プロテオグリカン量に対する正常(会合型)アグリカンの割合は、アグリカンの分解以外の因子の影響を受けにくいからである。さらに、本発明者らはヒアルロン酸との結合能を有する正常アグリカンを簡単かつ正確に測定する方法を見いだした。
A 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去する工程、および
B 上記Aで得られた処理検体を、正常アグリカンを結合または吸着できる固相と接触させ、検体中の正常アグリカンのみを該固相に結合または吸着させ、その他のプロテオグリカンと分離する工程。
ヒアルロン酸を分解できる酵素としては、ヒアルロン酸を分解するヒアルロニダーゼのほか、コンドロイチナーゼABCが挙げられる〔「糖鎖工学」,282-315頁,1992年8月1日,(株)産業調査会発行〕。
ヒアルロニダーゼとしては、ストレプトミセス属に属する微生物(例えば、Streptomyces hyalurolyticus)由来の酵素(EC4.2.2.1)、薬用ヒル由来の酵素(EC3.2.1.36)、ウシ睾丸由来の酵素(EC3.2.1.35)、ストレプトコッカス属に属する微生物(例えば、Streptococcus dysgalactie)由来の酵素が挙げられ、これらはいずれも生化学工業(株)から市販されている。
また、コンドロイチナーゼABC(EC4.2.2.4)としてはプロテウス属に属する微生物(例えば、Proteus vulgaris)由来の酵素〔生化学工業(株)販売〕が挙げられる。また、タンパク変性剤としては4Mグアニジン塩酸、7M尿素等が挙げられる。
A工程の処理条件は限定されないが、酵素を使用する場合はその至適温度、至適pHを考慮した条件で処理を行う。以後の処理を考慮するとヒアルロニダーゼの利用が好ましい。 またタンパク変性剤を使用した場合は、さらに、塩化セシウムやグリセロール等を用いる密度勾配超遠心分離法等〔続生化学実験講座,第4巻,複合糖質研究法,糖脂質とプロテオグリカン,1986年1月16日,(株)東京化学同人発行,第253-263頁参照〕を利用して、正常アグリカンをヒアルロン酸から分離する。タンパク変性剤として尿素を使用した場合は、別の方法として、陰イオン交換クロマトグラフィーを利用することもできる(同上,第265-275頁参照)。そして分離された正常アグリカンについて希釈あるいは透析等を行い、共存するタンパク変性剤の濃度を下げるか、あるいはタンパク変性剤を除去する。タンパク変性剤がグアニジン塩酸の場合0.4M以下にすることで、また、尿素の場合1.0M以下にすることで、該正常アグリカンを、B工程における固相に結合させることができる。
例えば、ヒアルロン酸の官能基(水酸基、カルボキシル基)と固相の官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基等)とを縮合剤〔例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのような水溶性のカルボジイミド(WSC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等〕を用いて共有結合させることができる。固相としてはアミノ基等の官能基を有するポリスチレン、セルロース、ガラス等からなる担体(免疫測定用のマイクロプレート、クロマトグラフィー用担体等)が好ましい。簡便性と高い感度を得るためには、免疫測定用のマイクロプレートがより好ましい。
また、検体を上記固相と接触させる際に、正常アグリカンとヒアルロン酸との結合または吸着を安定化するための試薬を、共存させることが好ましい。該安定化するための試薬としては、リンクタンパク等を挙げることができ、100ng/ml-100μg/mlの濃度で共存させることが好ましい。
または、上記ヒアルロン酸との結合能を有する正常アグリカンの、ヒアルロン酸との結合能を有さないプロテオグリカンからの分別は、検体中のヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体を、分子量の差によって、ヒアルロン酸との結合能を有さないプロテオグリカンから分離する工程からなる。その分子量の差による分別手段は、ヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体を濾取できる濾過膜を備えた濾過器具または、ゲル濾過を行うための器具を使用することができる。
体液として関節液以外の検体を対象とする場合は、ヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体(以下、ヒアルロン酸−アグリカン会合体ということもある)を形成させるために、検体中に分子量数十万以上のヒアルロン酸を添加することが必要である。
測定法1
A 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去する工程、
B 上記Aで得られた処理検体を、正常アグリカンを結合または吸着できる固相と接触させ、検体中の正常アグリカンのみを該固相に結合または吸着させ、その他のプロテオグリカンと分離する工程、および
C 固相に結合または吸着した正常アグリカンを検出する工程。
またB工程において検体を該固相に接触させる際に、正常アグリカンとの吸着を安定化するための試薬を共存させておくことが好ましい。
コンドロイチン硫酸に対する抗体として、種々のモノクロナール抗体が知られており、一般に入手可能である〔新生化学実験講座,第3巻,糖質II,385-391頁,1991年4月15日,(株)東京化学同人発行;抗体名、CS-56,MO-225,MC21C,S54C,3B3〕。
特にMO-225〔「抗-コンドロイチン硫酸(タイプ-D)」〕は生化学工業株式会社から市販されている(特開昭63-137695号公報参照)。
または、本発明は以下のAおよびB工程からなる正常アグリカンの測定法(以下、「測定法2」という。)を利用した関節情報の判定方法を提供する。
A 検体中のヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体を、分子量の差によって、ヒアルロン酸との結合能を有さないプロテオグリカンから分離する工程、および
B 濾過膜上に回収されたヒアルロン酸−アグリカン会合体を検出する工程。
上記濾過膜上に保持されたヒアルロン酸−アグリカン会合体を種々の手法を用いて検出する。例えば、1,9-ジメチルメチレンブルーにより、前記と同様に硫酸化グリコサミノグリカンを検出する。
あるいは、硫酸化グリコサミノグリカンである、コンドロイチン硫酸やケラタン硫酸を前記と同様に特異的抗体や高速液体クロマトグラフィーにより検出する。さらに、正常アグリカンのコアタンパクに対する抗体も利用できる。
検体は限定されないが、好ましくは判定対象関節に由来する関節液である。
正常アグリカンのコアタンパク質は特異的にそして可逆的にヒアルロン酸と結合するヒアルロン酸結合領域を有する。ケラタン硫酸は複数の部分で正常アグリカンのコアタンパク質と共有結合しているグリコサミノグリカンであり、ヒアルロン酸結合領域付近のケラタン硫酸濃厚領域で結合している。
Thonar等の「クアンティフィケーション オブ ケラタン スルフェート イン ブラッド アズ ア マーカー オブ カーティレージ カタボリズム(Quantification of Keratan Sulfate in Blood as a marker of Cartilage Ctabolism),Arthritis and Rheumatism,1985年,28巻,1367-1376頁」には、成人ヒト血清中のケラタン硫酸の量を測定するため、ケラタン硫酸に特異的なモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA)が記載されている。
A ヒアルロン酸を固相に結合させてヒアルロン酸固定化固相を形成し、
B 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去する工程で得られた処理検体とリンクタンパクを、Aの固相と接触させ、インキュベートし、遊離の正常アグリカンを前記固相上の結合ヒアルロン酸に結合させ、
C 工程Bの生成物をケラタン硫酸反応性抗体と接触させ、該抗体を、前記固相上の結合ヒアルロン酸と結合している正常アグリカンのケラタン硫酸と結合させ、
D 前記ケラタン硫酸と結合した上記抗体を検出し、
E 前記ケラタン硫酸と結合した抗体の量を試料中の正常アグリカンの量と相関づける。
例えば第1抗体が抗ケラタン硫酸モノクロナールマウス抗体であるとき、標識化した第2抗体としては、標識物質を結合した抗マウスイムノグロブリン抗体を使用することができる。この様な各種動物のイムノグロブリンに対して特異性を有し、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、フルオレセインイソチオシアネート(FITC),7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA),ビオチン等で標識化された第2抗体は、例えば生化学工業株式会社からジャクソン社の抗体が市販されており、容易に入手できる。
ペルオキシダーゼで標識化された第2抗体を使用する場合、固相に結合した第1抗体−第2抗体結合の検出は、通常ペルオキシダーゼによる発色反応によって行う。
すなわち、ペルオキシダーゼの基質である過酸化水素と発色物質(O-フェニレンジアミン、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)を用い、固相に結合したペルオキシダーゼの量に比例して発色させ、用いた発色物質に適した波長での吸光度を測定する。固相がマイクロプレートである場合、マイクロプレートリーダー〔例、ウェルリーダーSK601(生化学工業株式会社)、MR600(ダイナテック社)など〕を使用して吸光度を測定する。
上記した抗ケラタン硫酸抗体を使用する検出方法は、抗コンドロイチン硫酸抗体を使用する場合にも応用できる。
測定キット1
A 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去するための試薬、
B 正常アグリカンを特異的に結合または吸着するための固相、および
C 上記Bの固相に結合または吸着した正常アグリカンを検出するための試薬。
また、測定キット1にさらに、正常アグリカンとヒアルロン酸との結合または吸着を安定化するための試薬を追加することが可能である。
上記構成試薬Cは、該正常アグリカンに結合したケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸,あるいは正常アグリカンのコアタンパクの特異的検出試薬である。
測定キット2
A ヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体をヒアルロン酸との結合能を有さないプロテオグリカンから分別することができる分子量分画能を有する分別器具、および
B ヒアルロン酸−正常アグリカン会合体として分別された正常アグリカンを検出する試薬。
上記構成試薬Bは、該正常アグリカンに結合したケラタン硫酸またはコンドロイチン硫酸、あるいは正常アグリカンのコアタンパクの特異的検出試薬である。検体は好ましくは判定対象関節に由来する関節液である。
特異的なモノクロナール抗体が市販されているため、ELISAやラジオイムノアッセイ(RIA)を用いて広範な検討がなされている。関節液では、痛風や反応性関節炎において、著しい濃度の増加が認められる。血清中の濃度に関しては、変形性関節症(osteoarthritis:OA)や慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)で増加するという報告と変動は少ないという報告がある。
コンドロイチナーゼABC消化後に得られた不飽和二糖を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した結果が報告されている。コンドロイチン硫酸異性体の中でC6S濃度は、ケラタン硫酸濃度の場合と同様に、外傷性関節炎で著しく高く、軟骨の急激な破壊を反映したものと思われる。一方、C4Sは慢性関節リウマチ関節液で変形性関節症に比べて高く、C6S/C4Sの値は、変形性関節症や外傷性関節炎に比べて低かった。C4Sは主に滑膜または血清由来と考えられ、慢性関節リウマチにおける滑膜炎を反映しているのかもしれない。
関節液中においては、コンドロイチン硫酸とケラタン硫酸濃度の合計と解釈して問題ない。S-GAGを特異的に測定できる色素(1,9-ジメチルメチレンブルー:DMB)を用いて、簡便に測定されている。痛風や反応性関節炎で著しい、関節液中の増加が認められている。変形性関節症や慢性関節リウマチの関節液においては、明白な増加は認められていない。
アグリカンの部位特異的な抗体を用いて、主にアグリカンの代謝、分解、遊出機構の解明を目的として測定されている。グリコサミノグリカン濃厚領域の関節液中における変動はS−GAGの変動パターンと同様と判断される。ヒアルロン酸結合部位の濃度は、慢性関節リウマチの初期では低く、病態の進行に伴い増加した。この結果は、ヒアルロン酸結合部位が軟骨破壊の初期に、関節基質中に保持されるためと解釈されている。
痛風や外傷性関節炎のように、軟骨破壊が急激に進行する関節炎では、関節液中の上記マーカー分子の著しい増加が認められる。しかし、変形性関節症や慢性関節リウマチのように、軟骨破壊の進行が遅い関節炎では、軟骨基質成分は徐々に遊出するため、関節液や血清におけるマーカー分子の変動はあまり明確ではない。
できるだけ正確に関節炎の病状を把握するためには、関節液や血清中におけるマーカー分子の分解又は変性程度を知る必要がある。
上記の有意な差がある場合、変形性関節症、慢性関節リウマチ、外傷性関節炎および痛風からなる群から選ばれたいずれかの病態関節に属する情報であると判定する。
上記検体はいずれも好ましくは判定対象関節に由来する関節液である。
(1)検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去する工程。
正常、変形性関節症、慢性関節リウマチ、外傷性関節炎の関節液の約10mgを正確に取り、蒸留水で10倍に希釈する。その80μlに5TRU(Turbidity Reducing Unit:濁度減少単位)/50μlのストレプトミセス属微生物由来のヒアルロニダーゼ〔生化学工業(株)〕と80μlの100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、さらに80μlのプロテアーゼ阻害剤液(100mMの6−アミノカプロン酸、10mMのエチレンジアミン4酢酸ナトリウム、10mMのN-エチルマレイミド、10mMのフェニルメタンスルフォニルフルオライド)を加え、40℃で2時間消化した。この操作により、検体中のヒアルロン酸は四糖または六糖に分解され、正常アグリカンとの結合能力を喪失した。
(2)上記で得られた処理検体を、正常アグリカンを結合または吸着できる固相と接触させて、検体中の正常アグリカンのみを該固相に結合または吸着させる工程。
処理検体にヒアルロニダーゼの阻害剤(塩化第2水銀やフェリシアンカリウムなど)を適当量加えたのち、検体の一部をヒアルロン酸を共有結合させた96穴のウエルプレート(マイクロプレート)に加えた。本実施例では、住友ベークライト社製のアミノプレートに、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを用いてヒアルロン酸を共有結合させたものを使用した。15℃で4時間インキュベーションした後、ウエルプレート洗浄装置を用いて十分洗浄した。
(3)固相に結合または吸着した正常アグリカンを検出する工程。
ケラタン硫酸に対するモノクローナル抗体〔クローン名,5D4,サブクラスIgG1,生化学工業(株)製〕溶液をウエルに加え、4℃で2時間放置した。
ウエルプレートを洗浄後、ペルオキシダーゼで標識した抗マウスIgG抗体〔生化学工業(株)製〕を加え、さらに4℃で2時間放置した。洗浄後、常法に従い、O-フェニレンジアミンで発色させ、ウエルリーダー(SK60)〔生化学工業(株)〕で吸光度を測定した。ウシアグリカン〔生化学工業(株)製〕を用いて別に作成した検量線から、関節液中の正常アグリカン濃度を算出した。
また、同様の方法で、検体と上記の固相とを接触させる際に、別に調製したリンクタンパク1μgを加えても下記と同様の結果が得られた。なおリンクタンパクは、続生化学実験講座,第4巻,複合糖質研究法,II,253-263頁,1986年1月16日(株)東京化学同人発行に記載の塩化セシウム沈降平衡遠心法によって得たものを使用した。
(4)結果
表1に上記方法を用いて測定されたヒト関節液中の正常アグリカン濃度、それ以外のプロテオグリカン(PG)濃度および全プロテオグリカンに対する正常アグリカンの割合を示す。
全プロテオグリカン濃度は、既に報告されている方法〔Ratcliffe,A.,et al.:Ann.Rheum.Dis.,47,826(1988)〕に従い、ケラタン硫酸に対するモノクロナール抗体を用いて、ウシアグリカンを標準として測定した。正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度は全プロテオグリカン濃度から正常アグリカン濃度を差し引いて算出した。
一方、従来マーカー分子とされていたC6Sを測定したところ、C6S濃度は外傷性関節炎で正常に比べて有意に高いものの、変形性関節症では差がなく、慢性関節リウマチではむしろ低かった。
なお、測定法2を用いて同一検体を測定した場合も同様の結果が得られる。
Claims (12)
- 検体中の正常アグリカン濃度を測定し、該検体中の正常アグリカン濃度が、正常関節由来の関節液について同様に行った結果と比べて、有意に低い場合に変形性関節症または慢性関節リウマチと判定することを特徴とする関節炎の判定方法。
- 検体中の全プロテオグリカン濃度に対する正常アグリカン濃度の割合を測定し、その値が、あらかじめ作成した正常関節由来の関節液中の該割合に比べて、有意に低い場合に、変形性関節症、慢性関節リウマチまたは外傷性関節炎と判定することを特徴とする関節炎の判定方法。
- 検体中の正常アグリカン濃度を測定するとともに、正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度を測定し、正常関節由来の関節液について同様に行った結果と比べて、正常アグリカン濃度に有意な差がなく、かつ、該正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度が有意に高い場合に外傷性関節炎と判定することを特徴とする関節炎の判定方法。
- 検体中の全プロテオグリカン濃度に対する正常アグリカン濃度の割合を測定するとともに、正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度を測定し、正常アグリカン濃度の割合が、正常関節由来の関節液について同様に行った結果と比べて、有意に低く、かつ、正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度が有意に高い場合に外傷性関節炎と判定することを特徴とする関節炎の判定方法。
- 検体中の全プロテオグリカン濃度に対する正常アグリカンの濃度の割合を測定するとともに、正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度を測定し、正常アグリカン濃度の割合が、正常関節由来の関節液中の正常アグリカン濃度と比べて有意に低く、かつ、正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度に有意な差がない場合に変形性関節症または慢性関節リウマチと判定することを特徴とする関節炎の判定方法。
- 更に、検体中のN−アセチルガラクトサミンの6位に硫酸基を有するコンドロイチン硫酸の濃度を測定し、正常関節由来の関節液について同様に行った結果と比べて、該検体中のN−アセチルガラクトサミンの6位に硫酸基を有するコンドロイチン硫酸の濃度に有意な差がない場合に変形性関節症と判定し、有意に低い場合に慢性関節リウマチと判定することを特徴とする請求項1または5記載の関節炎の判定方法。
- 検体中の正常アグリカン以外のプロテオグリカン濃度を、検体中の全プロテオグリカン濃度から正常アグリカン濃度を差し引くことによって測定する、請求項3、4または5のいずれかに記載の関節炎の判定方法。
- 検体中の正常アグリカンを測定する方法が下記工程AおよびBを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の関節炎の判定方法。
A 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解または除去する工程、および
B 上記Aで得られた処理検体を、正常アグリカンを結合または吸着できる固相と接触させ、検体中の正常アグリカンのみを該固相に結合または吸着させ、その他のプロテオグリカンと分離する工程。 - 検体中の正常アグリカンを測定する方法が、更に下記工程C−Eを含むことを特徴とする請求項8に記載の関節炎の判定方法。
C 工程Bの正常アグリカンが結合または吸着した固相をケラタン硫酸反応性抗体と接触させ、該抗体を、該固相に結合または吸着している正常アグリカンに存在するケラタン硫酸部分と結合させる工程、
D 工程Cにおいてケラタン硫酸と結合したケラタン硫酸反応性抗体を検出する工程、および
E 工程Dの検出結果を検体中の正常アグリカンの量と相関づける工程 - 検体中の正常アグリカンを測定する方法が下記工程Aを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の関節炎の判定方法。
A 検体中のヒアルロン酸と結合している正常アグリカンの会合体を、分子量の差によって、ヒアルロン酸との結合能を有さないプロテオグリカンから分離する工程。 - 検体が判定対象関節に由来する関節液である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 下記構成試薬A、B、Cを含む関節炎の判定用キット。
A 検体中の正常アグリカンと結合したヒアルロン酸および遊離のヒアルロン酸を分解又は除去するための試薬、
B 正常アグリカンを特異的に結合または吸着するための固相、および
C 上記Bの固相に結合または吸着した正常アグリカンを検出するための試薬。
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