JP3859466B2 - 圧送油路のリリーフ弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧送油路のリリーフ弁装置に関し、特にピストン弁の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧送油路のリリーフ弁装置としては、従来より例えば図4(A)に示すものが知られている。このリリーフ弁装置1は、圧送油路2に臨ませて開口したリリーフ入口3と、このリリーフ入口3の奥内側に配設したシリンダ室5と、このシリンダ室5内に進退可能に収容されたピストン弁6と、このピストン弁6を上記リリーフ入口3の内周部に形成したバルブシート4に弾圧して当該リリーフ入口3を閉止する弾圧バネ7と、上記シリンダ室5のリリーフ入口寄りに臨ませて開口したリリーフ出口8とを備えている。
【0003】
上記ピストン弁6は、上記シリンダ室5と上記リリーフ出口8とを連通する通気連通路10を備え、上記圧送油路2内の所定油圧で上記弾圧バネ7に抗して当該ピストン弁6が後退することにより、当該圧送油路2内のオイルを上記リリーフ入口3からリリーフ出口8へ逃がすように構成されている。なお、図4(A)及び後述する図1(A)中の符号Qは圧送油路2内の圧送オイル(圧油)を示し、Q1はリリーフオイルを示す。
【0004】
このピストン弁6は、図4(B)に示すように、上記リリーフ入口3のバルブシート4に弾圧接当する弁体部6aと、この弁体部6aと一体に形成され、上記シリンダ室5内に密嵌する密嵌筒部6bとから構成される。このピストン弁6の通気連通路10は、上記密嵌筒部6bの奥内側端面に開口し、上記弾圧バネ7のバネ受け座を構成する座ぐり穴12と、この座ぐり穴12に臨ませて開口された通気穴13と、上記密嵌筒部6bの弁体部寄り外周に凹設されたリング溝14と、このリング溝14と上記通気穴13とを連通する複数の連通孔15とから構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のピストン弁6の通気連通路10は、弾圧バネ7の座ぐり穴12、通気穴13、リング溝14、及び複数の連通孔15とから構成されるため、その構造が複雑でコスト高になる。そこでピストン弁6に代えてボール弁を用いることも考えられるが、ボール弁を用いると、リリーフ入口側にチャタリングを防止するための格別の加工が必要でコストが高くなるうえ、ボール弁では従来のピストン弁に代替できないという難点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピストン弁の通気連通路の構造の簡素化により、リリーフ弁装置のコスト低減を図り、従来のピストン弁に代替可能なピストン弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の基本構成を備える。
圧送油路2に臨ませて開口したリリーフ入口3と、このリリーフ入口3の奥内側に配設したシリンダ室5と、このシリンダ室5内に進退可能に収容されたピストン弁6と、このピストン弁6を上記リリーフ入口3の内周部に形成したバルブシート4に弾圧して当該リリーフ入口3を閉止する弾圧バネ7と、上記シリンダ室5のリリーフ入口寄りに臨ませて開口したリリーフ出口8とを備えて成り、
上記ピストン弁6は、上記シリンダ室5と上記リリーフ出口8とを連通する通気連通路10を備え、上記圧送油路2内の所定油圧で上記弾圧バネ7に抗して当該ピストン弁6が後退することにより、当該圧送油路2内のオイルを上記リリーフ入口3からリリーフ出口8へ逃がすように構成される。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、以下のように構成される。
即ち、請求項1に記載の発明は、上記基本構成を備える圧送油路のリリーフ弁装置において、例えば図1〜図3に示すように、上記リリーフ弁6を回転可能とし、上記ピストン弁6の密嵌筒部6bの外周面に通気連通溝11を凹設して上記通気連通路10を構成し、この通気連通溝11を上記リリーフ出口8に臨ませるとともに、その通気連通溝11の基端部11aを上記密嵌筒部6bの奥内側端面6cで開口させ、上記通気連通溝11の先端部11bと上記リリーフ入口3との間に上記密嵌筒部6bの外周肉壁6dを介在させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、例えば図1(A)〜(E)に示すように、上記通気連通溝11を上記密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して平行に設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、例えば図2(A)(B)に示すように、上記通気連通溝11を上記密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して傾斜させて設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、例えば図3(A)(B)に示すように、上記通気連通溝11を上記密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して螺旋状に設けたことを特徴とする
【0012】
【発明の作用】
請求項1の発明では、ピストン弁6の密嵌筒部6bの外周面に通気連通溝11を凹設して通気連通路10を構成し、上記通気連通溝11を上記リリーフ出口8に臨ませるとともに、その通気連通溝11の基端部11aを上記密嵌筒部6bの奥内側端面6cに開口したことから、圧送油路2内の所定油圧でピストン弁6が後退する時に、シリンダ室5内の空気は通気連通溝11の基端部11aから流入し、当該通気連通溝11を通ってリリーフ出口8へ逃げることにより、当該ピストン弁6の後退が可能になる。そしてピストン弁6が後退してリリーフ入口3を開くことにより、圧送油路2内のオイルは上記リリーフ入口3からリリーフ出口8へ逃げる。つまり、リリーフ弁装置本来の機能は確保される。
【0013】
なを、請求項2〜請求項4に記載の発明では、請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、上記通気連通溝11を上記密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設したことから、ピストン弁6が回転してもいずれかの通気連通溝11がリリーフ出口8に臨むこととなる。これにより、通気連通溝11本来のブレス機能は確保される。
【0014】
【発明の効果】
(イ)本発明では、通気連通路の構造を簡素化してピストン弁のコスト低減を図ることができる。即ち、ピストン弁6の密嵌筒部6bの外周面に通気連通溝11を凹設して通気連通路10を構成したことから、従来例のものと比較して通気連通路の構造が簡素化になり、通気連通路の加工工数を大幅に減らすことができる。これに伴ってピストン弁のコスト低減を図ることができる。
【0015】
(ロ)本発明では、従来のピストン弁に代替可能なピストン弁を提供することができる。即ち、ピストン弁6の弁体部6a及び密嵌筒部6bの基本形状は従来例のものと同じでよいので、従来のピストン弁に代替可能なピストン弁を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る圧送油路のリリーフ弁装置を示し、図1(A)はそのリリーフ弁装置の断面図、図1(B)はそのリリーフ弁装置が備えるピストン弁の側面図、図1(C)はそのピストン弁の奥内側端面図、図1(D)はそのピストン弁の断面図、図1(E)はそのピストン弁の変形例の断面図である。
【0017】
この圧送油路のリリーフ弁装置は、図1(A)に示すように、従来例〔図4(A)〕と同様の基本構成を備える。
即ち、圧送油路2に臨ませて開口したリリーフ入口3と、このリリーフ入口3の奥内側に配設したシリンダ室5と、このシリンダ室5内に進退可能に収容されたピストン弁6と、このピストン弁6を上記リリーフ入口3の内周部に形成したバルブシート4に弾圧して当該リリーフ入口3を閉止する弾圧バネ7と、上記シリンダ室5のリリーフ入口寄りに臨ませて開口したリリーフ出口8とを備えて成り、上記ピストン弁6は、上記シリンダ室5と上記リリーフ出口8とを連通する通気連通路10を備え、上記圧送油路2内の所定油圧で弾圧バネ7に抗してピストン弁6が後退することにより、圧送油路2内のオイルを上記リリーフ入口3からリリーフ出口8へ逃がすように構成されている。
【0018】
以下、本発明の特徴構成について説明する。
この実施形態では、図1(A)〜(E)に示すように、上記リリーフ弁6を回転可能とし、上記ピストン弁6の密嵌筒部6bの外周面に、等角度間隔で複数本(ここでは8本)の通気連通溝11を凹設して通気連通路10を構成する。そして各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して平行に設け、この通気連通溝11を上記リリーフ出口8に臨ませるとともに、その通気連通溝11の基端部11aを上記密嵌筒部6bの奥内側端面6cで開口させ、上記通気連通溝11の先端部11bと上記リリーフ入口3との間に上記密嵌筒部6bの外周肉壁6dを介在させている。
【0019】
上記構成によれば、圧送油路2内の所定油圧でピストン弁6が後退する時に、シリンダ室5内の空気は通気連通溝11の基端部11aから流入し、当該通気連通溝11を通ってリリーフ出口8へ逃げるので、当該ピストン弁6の後退が可能になる。そしてピストン弁6が後退してリリーフ入口3を開くことにより、圧送油路2内のオイルは上記リリーフ入口3からリリーフ出口8へ逃げる。つまりリリーフ弁装置本来の機能は確保される。また、上記通気連通溝11を上記密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設することにより、ピストン弁6が回転してもいずれかの通気連通溝11がリリーフ出口8に臨むこととなる。これにより、通気連通溝11本来のブレス機能は確保される。
【0020】
上記ピストン弁6は、図1(D)に示すように、リリーフ入口3のバルブシート4に弾圧接当する弁体部6aとシリンダ室5内に密嵌する密嵌筒部6bとを、例えば焼結合金で一体に構成する。あるいは、図1(E)に示すように、上記弁体部6aのみを焼結合金で構成し、上記密嵌筒部6bを鋼材パイプを寸法切りしたもので構成し、両者を溶接して構成してもよい。例えば上記密嵌筒部6bの接合面に細いリング状の溶着凸部を形成しておき、この溶着凸部をスポット溶接により上記弁体部6aに溶着させる。
【0021】
なお、この実施形態では、弾圧バネ7を受け止めるリリーフプラグ16は、座ぐり穴17のない標準部品を採用している。これは、標準のリリーフプラグを採用することでコスト低減を図り、弾圧バネの設計上の制約を少なくすることを意図したものである。
【0022】
即ち、ピストン弁6のリリーフ機能を確保するには、弾圧バネ7によるピストン弁6の移動ストロークと所要の弾圧力を確保する必要がある。しかるに、従来では、ピストン弁6に通気穴13、リング溝14及び複数の連通孔15を設ける必要があることから、弾圧バネ7の座ぐり穴12を深く形成する事ができない。そこで、弾圧バネ7の弾圧力を調節可能に受け止めるリリーフプラグ16は、弾圧バネ7の寸法を確保するための座ぐり穴17を凹設したものを採用していた。つまり、従来では標準部品のリリーフプラグを採用できず、また、弾圧バネ7の寸法等についても、設計上その自由度が大きく制約を受けることとなる。従って、この点でもリリーフ弁装置がコスト高になる。
【0023】
これに対して、本実施形態では、従来の通気穴13、リング溝14及び連通孔15を廃止してピストン弁6の座ぐり穴12を深く形成する。従って、座ぐり穴17のないリリーフプラグ16の標準部品化が可能になる。これに伴って、弾圧バネ7の寸法等についても、設計上の自由度が大きくなる。
【0024】
図2はピストン弁の第2実施形態を示し、図2(A)はそのピストン弁の側面図、図2(B)はそのピストン弁の奥内側端面図である。
このピストン弁6は、通気連通溝11を密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本(ここでは8本)凹設し、各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して傾斜させて設けてある。
【0025】
図3はピストン弁の第3実施形態を示し、図3(A)はそのピストン弁の側面図、図3(B)はそのピストン弁の奥内側端面図である。
このピストン弁6は、通気連通溝11を密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本(ここでは2本)凹設し、各通気連通溝11を当該ピストン弁6の軸線Zに対して螺旋状に設けてある。
【0026】
本発明によれば、通気連通路の構造を簡素化してピストン弁のコスト低減を図り、従来のピストン弁に代替可能なピストン弁を提供することができる。
即ち、ピストン弁6の密嵌筒部6bの外周面に通気連通溝11を凹設して通気連通路10を構成したことから、従来例のものと比較して通気連通路の構造が簡素になり、通気連通路の加工工数を大幅に減らしてピストン弁のコスト低減を図ることができる。また、ピストン弁6の弁体部6a及び密嵌筒部6bの基本形状は従来例のものと同じでよいので、従来のピストン弁に代替可能なピストン弁を提供することができる。
【0027】
上記の実施形態では、ピストン弁6が回転してもいずれかの通気連通溝11がリリーフ出口8に臨むように、通気連通溝11を密嵌筒部6bの外周面に等角度間隔で複数本凹設したものについて例示した。
【0028】
また、上記の実施形態では、座ぐり穴17のない標準のリリーフプラグ16を採用しているが、座ぐり穴17を有するリリーフプラグを採用しても差し支えない。さらに、上記の実施形態では、通気連通溝11の断面形状を矩形にし、全長に亙って同じ断面積であるものについて例示したが、断面形状は任意であり、全長に亙って断面積を変化させたもの(例えばテーパ状等)でも差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る圧送油路のリリーフ弁装置を示し、図1(A)はそのリリーフ弁装置の縦断面図、図1(B)はそのリリーフ弁装置が備えるピストン弁の側面図、図1(C)はそのピストン弁の奥内側端面図、図1(D)はそのピストン弁の縦断面図、図1(E)はそのピストン弁の変形例の縦断面図である。
【図2】 ピストン弁の第2実施形態を示し、図2(A)はそのピストン弁の側面図、図2(B)はそのピストン弁の奥内側端面図である。
【図3】 ピストン弁の第3実施形態を示し、図3(A)はそのピストン弁の側面図、図3(B)はそのピストン弁の奥内側端面図である。
【図4】 従来例に係る圧送油路のリリーフ弁装置を示し、図4(A)はそのリリーフ弁装置の縦断面図、図4(B)はそのリリーフ弁装置が備えるピストン弁の縦断面図である。
【符号の説明】
1…リリーフ弁装置、2…圧送油路、3…リリーフ入口、4…バルブシート、5…リンダ室、6…ピストン弁、6a…ピストン弁の弁体部、6b…ピストン弁の密嵌筒部、6c…密嵌筒部の奥内側端面、7…弾圧バネ、8…リリーフ出口、10…通気連通路、11…通気連通溝、11a…通気連通溝の基端部、Z…ピストン弁の軸線。
Claims (4)
- 圧送油路(2)に臨ませて開口したリリーフ入口(3)と、このリリーフ入口(3)の奥内側に配設したシリンダ室(5)と、このシリンダ室(5)内に進退可能に収容されたピストン弁(6)と、このピストン弁(6)を上記リリーフ入口(3)の内周部に形成したバルブシート(4)に弾圧して当該リリーフ入口(3)を閉止する弾圧バネ(7)と、上記シリンダ室(5)のリリーフ入口寄りに臨ませて開口したリリーフ出口(8)とを備えて成り、
上記ピストン弁(6)は、上記シリンダ室(5)と上記リリーフ出口(8)とを連通する通気連通路(10)を備え、上記圧送油路(2)内の所定油圧で上記弾圧バネ(7)に抗して当該ピストン弁(6)が後退することにより、当該圧送油路(2)内のオイルを上記リリーフ入口(3)からリリーフ出口(8)へ逃がすように構成した圧送油路のリリーフ弁装置において、
上記リリーフ弁(6)を回転可能とし、
上記ピストン弁(6)の密嵌筒部(6b)の外周面に通気連通溝(11)を凹設して上記通気連通路(10)を構成し、この通気連通溝(11)を上記リリーフ出口(8)に臨ませるとともに、その通気連通溝(11)の基端部(11a)を上記密嵌筒部(6b)の奥内側端面(6c)で開口させ、
上記通気連通溝(11)の先端部(11b)と上記リリーフ入口(3)との間に上記密嵌筒部(6b)の外周肉壁(6d)を介在させた、ことを特徴とする圧送油路のリリーフ弁装置。 - 請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、
上記通気連通溝(11)を上記密嵌筒部(6b)の外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝(11)を当該ピストン弁(6)の軸線(Z)に対して平行に設けた、ことを特徴とする圧送油路のリリーフ弁装置。 - 請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、
上記通気連通溝(11)を上記密嵌筒部(6b)の外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝(11)を当該ピストン弁(6)の軸線(Z)に対して傾斜させて設けた、ことを特徴とする圧送油路のリリーフ弁装置。 - 請求項1に記載した圧送油路のリリーフ弁装置において、
上記通気連通溝(11)を上記密嵌筒部(6b)の外周面に等角度間隔で複数本凹設し、各通気連通溝(11)を当該ピストン弁(6)の軸線(Z)に対して螺旋状に設けた、ことを特徴とする圧送油路のリリーフ弁装置。
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