JP3858774B2 - 筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮行程後半においてピストン頂面に形成されたキャビティ内へ燃料を噴射することにより、燃料をキャビティからの受熱により気化させ、着火性の良好な混合気(以下、可燃混合気)をキャビティ内において一塊に形成し、この可燃混合気を点火プラグにより着火燃焼させ、気筒内全体としては希薄な混合気の燃焼を可能にする成層燃焼が公知である。この成層燃焼は、希薄燃焼であることに加えて、スロットル弁により吸気を絞る必要がないためにポンピング損失が少なく、均質燃焼に比較して、燃料消費率をかなり改善することができる。
【0003】
このような成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関において、キャビティ内で気化させた燃料の一部がキャビティ外へ拡散すると、キャビティ内の混合気が希薄となって着火性が悪化すると共に、キャビティ外へ拡散した燃料は、良好に燃焼せずに未燃燃料として排出されることとなるために、排気エミッションを悪化させる。
【0004】
特開平11−141338号公報には、キャビティ内の気化燃料がキャビティ外へ拡散しないようにするために、吸気行程で気筒内に強いタンブル流を生成し、このタンブル流が圧縮行程においても依然としてピストン頂面に沿って旋回するようにし、それにより、キャビティ内を淀み空間とすることが提案されている。こうして、キャビティ内が淀み空間となれば、キャビティ内で気化した燃料がキャビティ外へ拡散し難くなり、良好な成層燃焼を実現することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、機関始動時等には、筒内温度が低く、キャビティ内へ噴射した燃料はキャビティから十分に受熱せず、前述したように、キャビティ内が淀み空間とされていると、燃料気化がかなり悪化する。それにより、キャビティ内に可燃混合気を形成することはできず、良好な成層燃焼は不可能である。
【0006】
従って、本発明の目的は、圧縮行程後半にピストン頂面に形成されたキャビティ内へ燃料を噴射し、気筒内を旋回する吸気流を利用してキャビティ内を淀み空間とすることにより、キャビティ内に一塊の可燃混合気が形成され易くする筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、筒内温度が低い時にも比較的良好な成層燃焼を実現可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置は、圧縮行程後半にピストン頂面に形成されたキャビティ内へ燃料を噴射し、吸気行程で気筒内を縦旋回するように生成された吸気流を利用してキャビティ内を淀み空間とすることにより、キャビティ内に一塊の可燃混合気が形成され易くして成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、前記吸気流の強さを可変とする可変手段を具備し、ピストン温度が設定温度より低い時には前記可変手段により前記吸気流の強さを弱めることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、吸気行程において燃料を噴射する均質燃焼と前記成層燃焼とが切り換えて実施され、吸気行程前半において燃料が噴射されて前記均質燃焼が実施される場合に、前記ピストン温度が前記設定温度より低い時には前記可変手段により前記吸気流の強さを弱めることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による制御装置が取り付けられた筒内噴射式火花点火内燃機関を示す概略縦断面図であり、図2は図1におけるピストンの平面図である。これらの図において、1は吸気ポート、2は排気ポートである。吸気ポート1は吸気弁3を介して、排気ポート2は排気弁4を介して、それぞれ気筒内へ通じている。5はピストンであり、凹状のキャビティ8がピストン頂面に形成されている。このキャビティ8は、図2に示すように、ピストン中央から吸気ポート側へ偏在している。6は気筒上部中心近傍に配置された点火プラグである。7は気筒上部周囲の吸気ポート側に配置された主燃料噴射弁である。
【0010】
主燃料噴射弁7は、スリット状の噴孔を有し、比較的厚さの薄い略扇形状噴霧10として燃料を噴射するものである。成層燃焼を実施するためには、図1及び2に示すように、圧縮行程後半において燃料をピストン5頂面に形成されたキャビティ8内へ噴射する。こうしてキャビティ8内へ噴射された斜線で示す液状燃料10は、飛行中に気筒内の吸気との摩擦によって微粒化されてキャビティ8内へ侵入し、キャビティ8の底壁8a及び燃料噴射弁7に対向する対向側壁8bに沿って進行する際にキャビティ8から受熱して気化し、点火時点までにドットで示すようにキャビティ8内の点火プラグ6近傍に一塊の可燃混合気を形成する。図1は点火時期直前であり、点火時点においては、ピストン5がさらに点火プラグ6へ接近すると共に、場合によってはキャビティ8内の可燃混合気自身も上昇し、点火プラグ6とキャビティ8内の可燃混合気とは確実に接触するようになる。それにより、点火プラグ6により可燃混合気を着火させることでき、成層燃焼として気筒内全体としてはリーンな混合気が燃焼可能となる。
【0011】
厚さの薄い扇状の燃料噴霧は、キャビティ8の底壁8aに沿って進行する際に幅方向に拡がるために、キャビティ8の底壁8aの広範囲部分から良好に熱を吸収することができる。キャビティ8の底壁8a上を幅方向に拡がった燃料において、燃料中央部は、キャビティ8の対向側壁8bによって上方向に向かう速度成分が付与され、燃料両側部は、ピストン平面視において円弧状とされたキャビティ8の対向側壁8bに対してそれぞれ鋭角に衝突して、上方向へ向かう速度成分が付与されると共に中央方向へ向かう速度成分も付与される。それにより、燃料各部は、キャビティ8内において、気化しながら対向側壁8bの中央へと集合し、点火プラグ6下方に一塊の可燃混合気が形成される。
【0012】
厚さの薄い扇状の燃料噴霧は、前述したようなキャビティからの良好な受熱によって比較的燃料噴射量が多くても、キャビティ8内に気化程度の良好な一塊の可燃混合気を形成することができ、燃料消費率の良好な成層燃焼を高負荷側へ拡大することができる。しかしながら、必要燃料量が多量となる機関高負荷時には、吸気行程で燃料を噴射して均質混合気を気筒内に形成し、均質燃焼を実施するようにしても良い。
【0013】
ところで、吸気行程において、吸気は吸気弁傘裏部全体に沿って気筒内へ流入するが、ここで二つの吸気流が存在する。第一吸気流としては、吸気弁傘裏部の排気弁側に沿って気筒内に流入する吸気流であり、これはシリンダボアの排気ポート側に沿って下降してシリンダボアの吸気ポート側に沿って上昇しようとする。また、第二吸気流としては、吸気傘裏部の反排気弁側に沿って気筒内に流入する吸気流であり、これはシリンダボアの吸気ポート側に沿って下降してシリンダボアの排気ポート側に沿って上昇しようとする。こうして、第一吸気流と第二吸気流とは、互いに反対方向に気筒内を縦旋回しようとする。
【0014】
一般的に、図1に示すように、吸気ポート1は反排気ポート側に傾斜しており、第二吸気流に比較して第一吸気流の流量がかなり多くなるために、実際的には、第一吸気流が第二吸気流を取り込み、その際に第一吸気流は弱められるが、気筒内全体としては、シリンダボアの排気ポート側に沿って下降してシリンダボアの吸気ポート側に沿って上昇する縦旋回流、すなわち、タンブル流が生成される。
【0015】
こうして気筒内に生成されるタンブル流は、比較的低速で気筒内を縦方向に旋回するために、ピストン頂面のキャビティ8内にも侵入する。このような弱いタンブル流は、圧縮行程後半においては、減衰してキャビティ内を含めた気筒内の乱れとなる。一方、タンブル流の強さを強めれば、このタンブル流は比較的高速でピストン頂面に沿って気筒内を縦方向に旋回し、キャビティ8内には侵入し難くなる。図1に白抜き矢印で示すように、このタンブル流は、圧縮行程後半において多少減衰するものの、依然としてピストン頂面に沿って旋回する。
【0016】
良好な成層燃焼を実現するためには、前述したように、キャビティ8内で気化させた燃料を集合させてキャビティ8内に一塊の可燃混合気を形成することが必要である。しかしながら、可燃混合気を形成する気化燃料はキャビティ8外へ拡散し易く、キャビティ8外へ拡散した気化燃料は燃焼せずに未燃燃料として排出され排気エミッションを悪化させる。また、多量に気化燃料がキャビティ8外へ拡散すると、キャビティ8内の混合気が希薄となって着火性が悪化する。
【0017】
それにより、キャビティ8内に形成された可燃混合気をキャビティ8外へ拡散させ難くすることが必要であり、そのためには、前述したようにタンブル流の強さを強くして、タンブル流が圧縮行程後半においてもピストン頂面に沿って旋回するようにし、キャビティ8内を淀み空間とすれば良い。
【0018】
本筒内噴射式火花点火内燃機関では、吸気ポート1内に、タンブル流の強さを可変とするための弁体9が設けられている。この弁体9を一点鎖線で示す第一位置として、吸気ポート1の下側、すなわち、反排気ポート側を閉鎖するようにすれば、吸気は主に第一吸気流だけとして気筒内へ供給されることとなり、第一吸気流を弱める第二吸気流は殆ど存在しない。それにより、強いタンブル流を生成することができる。また、弁体9を点線で示す第二位置として、吸気ポート1の全体を開放すれば、前述したように、吸気は、第一吸気流及び第二吸気流として気筒内へ供給され、タンブル流の強さを弱めることができる。
【0019】
こうして、成層燃焼時においては、通常、弁体9は第一位置とされ、強いタンブル流が生成される。また、機関高負荷時等において均質燃焼を実施する場合にも、強いタンブル流は、吸気行程で噴射される燃料を十分に微粒化及び混合させるために、良好な均質混合気の形成にも効果的であり、また、点火時点においても気筒内に存在して気筒内に強い乱れを発生させることにより、燃焼速度を速めて良好な均質燃焼を可能とする。但し、機関高負荷時において多量の吸気が必要な時には、弁体9によって吸気ポート1の一部を閉鎖するのは好ましくなく、この時には、強いタンブル流を生成するよりも吸気ポート1の全体を開放して十分な吸気量を気筒内へ供給することが望ましい。
【0020】
ところで、成層燃焼を実施するためには、圧縮行程後半の高い筒内圧に対して燃料を噴射しなければならず、一般的に機関駆動式の高圧ポンプ(図示せず)によって所望高圧(例えば、12MPa)に加圧された蓄圧室内の燃料が噴射される。しかしながら、機関始動時には、通常、蓄圧室内の燃料圧力は大気圧まで低下しており、これを少なくとも圧縮行程噴射が可能な燃料圧力(例えば、8MPa)まで瞬間的に昇圧することはできない。それにより、機関始動時の当初は、筒内圧の低い吸気行程で燃料を噴射して均質燃料が実施され、初爆後に高圧ポンプが比較的良好に作動して蓄圧室内の燃料圧力を圧縮行程噴射が可能な圧力まで昇圧した時に、均質燃焼から成層燃焼へ切り換えられるようになっている。ここで、機関始動時とは、クランキングから機関及び触媒装置の早期暖機のための燃料増量運転までである。
【0021】
均質燃焼から切り換えられた直後の機関始動時における成層燃焼において、特に、冷間始動の場合には、筒内温度が十分に高められていないことがある。この時にキャビティ8内へ噴射された燃料は、キャビティ8から十分に受熱することができないために気化程度が悪化する。それにより、何もしなければ、キャビティ8内に可燃混合気を形成することができず、失火が発生するか、又は、失火の発生を防止するために多量の燃料を噴射しなければならない。また、機関始動時の均質燃焼においても、吸気行程前半に燃料が噴射されれば、圧縮行程後半と同様に、燃料は、キャビティ8内へ侵入し、キャビティ8から十分に受熱することができないためにあまり気化せず、意図する空燃比の均質混合気を形成することができないために、やはり、失火が発生するか、又は、多量の燃料を噴射しなければならない。こうして、機関始動時の燃料消費率が悪化することとなる。
【0022】
本制御装置は、特に機関始動時に限定されることなく筒内温度が低い時にキャビティ内の燃料気化を促進して前述の問題を改善することを意図しており、図3に示すフローチャートに従って弁体9の位置を制御する。先ず、ステップ101において、例えば機関冷却水温等に基づき推定されるピストン温度tが設定温度t’より低いか否かが判断される。この設定温度t’は、ピストン頂面に形成されたキャビティ8内へ噴射された燃料がキャビティ8から比較的良好に受熱してキャビティ8内で比較的良好に気化すると推定されるピストン温度である。それにより、ステップ101における判断が否定される時には、キャビティ8内での燃料気化には特に問題はないために、そのまま終了し、弁体9の位置は通常の制御通りとされ、例えば、機関高負荷時で多量の吸気を必要とする時以外は第一位置とされて、気筒内には強いタンブル流が生成される。
【0023】
一方、機関始動時等において筒内温度が低く、ステップ101における判断が肯定される時には、ステップ102において、今回の燃焼が成層燃焼であるか否かが判断される。この判断が肯定される時には、燃料は圧縮行程後半でキャビティ8内へ噴射されることとなり、そのままでは、キャビティ8内で燃料が十分に気化しない。それにより、ステップ104に進み、弁体9の位置を第二位置として気筒内に生成されるタンブル流の強さを弱めるようにする。
【0024】
前述したように、タンブル流の強さが弱められれば、タンブル流は吸気行程からキャビティ8内に侵入し、圧縮行程後半においては、キャビティ内に乱れを発生させる。それにより、淀み空間として乱れが存在しない場合に比較して、キャビティ内の燃料気化が促進される。こうして気化を促進することにより、キャビティ内に可燃混合気を形成することができ、良好な成層燃焼が実現される。もちろん、キャビティ内の乱れによって噴射燃料の全てが気化することはなく、可燃混合気を形成するためには、ピストン温度tが低いほどキャビティ内には必要以上に多量の燃料を噴射しなければならない。しかしながら、キャビティ内が淀み空間とされる場合に比較すれば、燃料気化が促進される分だけ燃料噴射量を減少させることができる。
【0025】
一方、機関始動時当初のように均質燃焼が実施される場合には、ステップ102における判断が否定されてステップ103へ進む。ステップ103においては、今回の吸気行程噴射において燃料噴射時期が吸気行程前半であるか否かが判断される。例えば、燃料噴射量が比較的多い時には必然的に吸気行程前半から燃料を噴射しなければならず、また、燃料噴射量がそれほど多くなくても、燃料噴射終了から点火までの時間を長くするために吸気行程前半の燃料噴射時期が設定されることもある。
【0026】
この判断が否定される時、すなわち、吸気行程前半には燃料が噴射されない時には、キャビティ8内へ燃料が侵入することはなく、キャビティ8内での燃料気化の問題は発生しないために、そのまま終了する。この時には、強いタンブル流が気筒内に生成されるようにすれば、良好な均質混合気形成のために、タンブル流により噴射燃料を良好に微粒化及び混合することができる。
【0027】
しかしながら、ステップ103における判断が肯定される時にはステップ104において、弁体9の位置を第二位置として気筒内に生成されるタンブル流の強さを弱めるようにする。この時には、吸気行程前半において燃料が噴射され、噴射燃料はキャビティ8内へ侵入する。しかしながら、前述同様に、タンブル流の強さが弱められれば、タンブル流は吸気行程からキャビティ8内に侵入するために、キャビティ8内の燃料をタンブル流によって比較的良好に気化させることができる。こうして気化した燃料により気筒内には比較的良好な均質混合気を形成することができる。
【0028】
吸気行程前半にキャビティ内に侵入するタンブル流は、発生当初であるために減衰がなく、また、圧縮行程後半の乱れとなってもキャビティ8内の燃料気化を促進するために、吸気行程前半にキャビティ8内に噴射された燃料はほぼ完全に気化させることができる。それにより、本制御によれば、機関始動時の均質燃焼において、キャビティ8内の燃料付着を考慮した燃料増量は必要なくなる。
【0029】
本実施形態において、タンブル流は、シリンダボアの排気ポート側を下降し、吸気ポート側を上昇するものである。しかしながら、吸気ポート形状によっては、前述の第二吸気流の流量が第一吸気流より多く、シリンダボアの吸気ポート側を下降して排気ポート側を上昇する逆タンブル流が生成され易い場合がある。この場合には、吸気ポート内の弁体は、吸気ポートの上側、すなわち、排気ポート側を閉鎖可能なものとされ、それにより、強い逆タンブル流が生成可能とされる。この逆タンブル流も前述のタンブル流と同様に、弱くすればキャビティ内に侵入し、強くすればキャビティ内に侵入しないようになり、弁体を前述同様に制御すれば、前述同様な効果を得ることができる。
【0030】
ところで、良好な成層燃焼を実現するために、吸気行程で気筒内に強い横旋回流、すなわち、強いスワール流を生成して、キャビティ内に形成された可燃混合気をキャビティ外への拡散を抑制することもできる。強いスワール流は、比較的高速で気筒周囲を横方向に旋回するために、圧縮行程後半においても気筒中央部は淀み空間となる。それにより、気筒中央部に位置するピストン頂面のキャビティ内も淀み空間となり、可燃混合気がキャビティ外へ拡散することは抑制される。
【0031】
一方、気筒内に生成されるスワール流の強さを弱くすれば、このスワール流も気筒周囲を横方向に旋回するが、遠心力が弱まるために、強いスワール流に比較して気筒中央部の淀み空間は小さくなる。それにより、このスワール流は少なくともキャビティ8の周囲には侵入し、キャビティ内に噴射された燃料気化を促進することができる。
【0032】
スワール流の強さを可変とする手段としては、例えば、一般的な手段として、互いに隣接する二つの吸気ポートの一方をストレートポートとし、他方をヘリカルポートとし、ストレートポートに閉鎖弁を設ければ良い。こうして、閉鎖弁によりストレートポートを閉鎖すれば、気筒内には、ヘリカルポートだけを介して吸気が供給され、強いスワールを生成することができる。一方、閉鎖弁によりストレートポートを開放すれば、気筒内には、ストレートポート及びヘリカルポートの両方を介して吸気が供給され、ストレートポートを介して供給される吸気流が、ヘリカルポートを介して供給されて気筒内にスワールを生成する吸気流に衝突してその流速を低下させるために、結果としてスワール流の強さを弱めることができる。
【0033】
従って、本発明は、タンブル流及び逆タンブルだけでなく、スワール流を利用してキャビティ内を淀み空間とすることにより、キャビティ内に一塊の可燃混合気が形成され易くして成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】
このように、本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置は、圧縮行程後半にピストン頂面に形成されたキャビティ内へ燃料を噴射し、吸気行程で気筒内を縦旋回するように生成された吸気流を利用してキャビティ内を淀み空間とすることにより、キャビティ内に一塊の可燃混合気が形成され易くして成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、吸気流の強さを可変とする可変手段を具備し、ピストン温度が設定温度より低い時には可変手段により吸気流の強さを弱めて、吸気流がキャビティ内に侵入するようにしている。それにより、この時には、圧縮行程後半においてキャビティ内には乱れが存在し、この乱れがキャビティ内へ噴射された燃料の気化を促進するために、ピストン温度が低い時にもキャビティ内には可燃混合気が形成され、比較的良好な成層燃焼が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制御装置が取り付けられる筒内噴射式火花点火内燃機関の概略縦断面図である。
【図2】図1のピストンの平面図である。
【図3】本発明による制御装置により実施される弁体位置制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
5…ピストン
6…点火プラグ
7…主燃料噴射弁
8…キャビティ
9…弁体
Claims (2)
- 圧縮行程後半にピストン頂面に形成されたキャビティ内へ燃料を噴射し、吸気行程で気筒内を縦旋回するように生成された吸気流を利用してキャビティ内を淀み空間とすることにより、キャビティ内に一塊の可燃混合気が形成され易くして成層燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置において、前記吸気流の強さを可変とする可変手段を具備し、ピストン温度が設定温度より低い時には前記可変手段により前記吸気流の強さを弱めることを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
- 吸気行程において燃料を噴射する均質燃焼と前記成層燃焼とが切り換えて実施され、吸気行程前半において燃料が噴射されて前記均質燃焼が実施される場合に、前記ピストン温度が前記設定温度より低い時には前記可変手段により前記吸気流の強さを弱めることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関の制御装置。
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