JP3858725B2 - 復水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気を凝縮する復水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
復水器は、一般にタービンの排出口と連通する容器を有し、その容器内に冷却水が流通する多数の冷却管からなる管巣を有している。蒸気に混入する不凝縮ガスを抽出するために、管巣の内部には抽出管が設けられる。蒸気は管巣に導かれ、冷却管の外表面で凝縮される。未凝縮の蒸気と不凝縮ガスは抽出管よりエゼクターや真空ポンプによって系外に排気される。
【0003】
これら復水器に関するものとして、例えば特開平9−222284号公報には、冷却管巣の上部空所に連通する空気排出内管を設置し、空気排出管を上部或るいは下部に設置するようにして、蒸気流の圧損による熱エネルギーの損失を抑制するとともに、復水器をコンパクト化することが記載されている。また、特開平10−19476号公報には、冷却管巣の外側の蒸気流路を蒸気流れの下流に行くに従って流路断面積を減少させ、管巣に均等に蒸気を導き、管巣全体の圧力損失を低く保つようにした構成が記載されている。また、特開平11−101582号公報には、冷却水温度が変化した場合でも蒸気に混入した不凝縮ガスを安定して抽出するようにした構成について記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の復水器では、冷却水入口側と出口側における冷却水温度の差や、蒸気流入口からの距離により、管巣の各部分における蒸気の凝縮量にばらつきがあった。管巣における蒸気の凝縮量のばらつきは、流入する蒸気の流れに影響を及ぼし、圧力損失を大きくさせてしまう。
【0005】
本発明の目的は、蒸気をスムーズに管巣部に流入させることにより、圧力損失を低減して性能を向上させた復水器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の復水器は、流入口から容器内に流入した蒸気を凝縮する複数の冷却管によって構成される管巣を備え、該管巣を前記冷却管内を流通する冷却水の入口側と出口側とに分割した2折流の復水器であって、冷却水入口側と出口側の管巣幅の比が、前記冷却水入口側及び出口側管巣における蒸気の凝縮量の比にほぼ応じたものになるようにこれらの管巣を構成して配置したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図1及び図2を用いて説明する。図1(a)は、本発明の一実施例を示す復水器の正面図、図1(b)はその側面図、図2は復水器内の各点に於ける蒸気温度と冷却水温度との関係を示す図である。尚、図1に示す実施例では、復水器として軸流排気復水器を用いた例を示している。
【0008】
図1に示す本実施例の復水器は、複数の冷却管1と抽出管2によって管巣3を構成しており、この管巣3は容器4によって取り囲まれるように構成されている。また、複数の冷却管1は蒸気流入口5から流入する蒸気の流れを横切る方向に配置されている。抽出管2は、管巣3内に設置されており、管巣3は抽出管2の位置を基準として、冷却水の流れにより冷却水入口側11と冷却水出口側12、かつ流入してくる蒸気に対して流入口に近い手前側13と流入口に遠い奥側とに分けられる。また、抽出管2には複数の冷却管1によって凝縮される蒸気に混入した不凝縮ガスを抽出する複数のノズル孔(図示せず)が設けられている。
【0009】
管巣3においては、冷却水入口側11と冷却水出口側12、及び手前側13と奥側14は、抽出管2を境に蒸気流入口5に向かって長く伸びた複数の流路を形成するように冷却管1が配置されている放射領域を有している。放射領域の流路は、蒸気流入口5に向かって長く伸び、容器4の側壁にほぼ平行に形成された複数の流路9から構成されている。複数の流路9は冷却管1の直径よりも大きくすることにより、タービン(図示せず)から排出され、蒸気流入口5より軸流排気復水器に流入した蒸気8の大部分を吸い込み凝縮させることができるので、少ない圧力損失で凝縮性能を向上させることができる。
【0010】
冷却水15は、冷却水入口側11の管巣より流入し、冷却管1の内部を流れ、折り返し水室10を経て冷却水出口側の管巣より流出される。蒸気流入口5より流入した蒸気8は、管巣3を構成する冷却管1の外表面で凝縮され、凝縮されたドレン6はドレン出口7から流出する。また冷却管1の外表面で凝縮されない蒸気及び蒸気中に混入している不凝縮ガスは、ノズル孔(図示せず)を通して抽出管2で抽出され、エゼクターなどの真空ポンプ(図示せず)により系外に排出される。
【0011】
蒸気温度及び冷却管1の熱伝達率は一定とし、冷却水入口を基準として冷却管1の流れ方向に距離xをとると、各位置における蒸気温度Tsと冷却水温度Tcの関係は図2のように表される。蒸気温度Tsと冷却水温度Tcとの温度差δTは、xの増加に伴い指数関数的に減少する。復水器の凝縮量GsはGs=K・S・δT(K:熱伝達率,S:冷却面積)で表され、KおよびSは一定であることから、冷却水入口から出口までに凝縮量GsはδTと共に変化し、斜線部の面積で示される。
【0012】
図2の例に示す温度条件(蒸気温度Ts=33℃,冷却水入口温度Tci=
23℃,冷却水出口温度Tco=29℃)の場合、冷却水入口側11と冷却水出口側12との蒸気の凝縮量の比は1.7:1 となり、これは発電プラント用の復水器においてはほぼ同じ値となる。
【0013】
次に、手前側13と奥側14の管巣における蒸気の凝縮量について図3を用いて説明する。本実施例では、冷却水入口側の蒸気流入幅(図1に示すa:b)を蒸気凝縮量に合わせた構成としたものである(前記の発電プラントの条件では、a:b=1.7:1.0とする)。蒸気流入口5からの距離に対する凝縮量は斜線部の面積で示される。軸流排気の場合、蒸気流入口5に近い手前側13では、流入蒸気が高速で圧力損失が低く伝熱効率も良いため蒸気の半分以上(60〜70%)が凝縮されるが、奥側14では凝縮されずに残った低速の蒸気(30〜40%)が凝縮される。よって、管巣3の冷却管1は図2,図3の凝縮量の比に合わせて配置する。すなわち、図1,図3に示すc,dの領域に配置する冷却管本数の比を60〜70%:30〜40%とする。以下、本実施例の解析結果を図4に示す。
【0014】
図4は、従来の冷却管配置と本実施例による冷却管1の配置に対する圧力分布を解析し比較したものであるが、本実施例による配置では従来の配置に比べ管巣3の頂部おける圧力が60Pa低くなっており、真空度換算で0.4mmHg 向上した。
【0015】
以上、本実施例によれば、管巣3を構成している冷却管1の配置を調整することで、管巣3頂部での圧力を低くし、それにより復水器の真空度を上げ、性能を向上させることができる。
【0016】
【発明の効果】
以上本発明によれば、蒸気をスムーズに管巣部に流入させることにより、圧力損失を低減して性能を向上させた復水器を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す軸流排気復水器の正面図及び側面図。
【図2】復水器内の各点に於ける蒸気温度と冷却水温度との関係を示す図。
【図3】管巣の各点における蒸気凝縮量を示す図。
【図4】本実施例と従来との圧力分布の比較図。
【符号の説明】
1…冷却管、2…抽出管、3…管巣、4…容器、5…蒸気流入口、6…ドレン、7…ドレン出口、8…蒸気流れ、9…流路、10…折り返し水室、11…冷却水入口側、12…冷却水出口側、13…手前側、14…奥側、15…冷却水の流れ。
Claims (4)
- 流入口から容器内に流入した蒸気を凝縮する複数の冷却管によって構成される管巣を備え、該管巣を前記冷却管内を流通する冷却水の入口側と出口側とに分割した2折流の復水器であって、
冷却水入口側と出口側の管巣の管巣幅の比が、前記冷却水入口側及び出口側の管巣における蒸気の凝縮量の比にほぼ応じたものになるようにこれらの管巣を構成して配置したことを特徴とする復水器。 - 流入口から容器内に流入した蒸気を凝縮する複数の冷却管によって構成される管巣を備え、該管巣を前記冷却管内を流通する冷却水の入口側と出口側とに分割し、かつ蒸気の流入口からみて手前側と奥側とに分割した2折流の復水器であって、
前記手前側と奥側とに分割した管巣の冷却管の比が、前記手前側及び奥側の管巣における蒸気の凝縮量の比にほぼ応じたものになるようにこれらの管巣を構成して配置したことを特徴とする復水器。 - 容器内に蒸気を流入させる流入口と、該流入口から流入した蒸気を凝縮する複数の冷却管及び蒸気に混入する不凝縮ガスを抽出する抽出管とを有する管巣と、該管巣で凝縮された凝縮液を流出させる流出口とを備え、前記管巣は前記冷却管内を流通する冷却水の入口側と出口側とに分割され、かつ蒸気の流入口からみて手前側と奥側とに分割された2折流の復水器であって、
前記抽出管を前記分割された入口側管巣と出口側管巣との間に設置し、蒸気の流入口における冷却水入口側と出口側の管巣幅の比が、前記冷却水入口側及び出口側の管巣における蒸気の凝縮量の比にほぼ応じたものになるように管巣を構成して配置し、かつ前記手前側と奥側とに分割した管巣の冷却管の比が、前記手前側及び奥側の管巣における蒸気の凝縮量の比にほぼ応じたものになるように管巣を構成して配置したことを特徴とする復水器。 - 前記手前側と奥側の管巣の冷却管の比を、6乃至7:3乃至4としたことを特徴とする請求項2に記載の復水器。
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