JP3858463B2 - 船外機の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機の駆動制御装置、詳しくは、船外機のエンジン回転数の急激な低下を防止し得るよう制御する駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
四輪自動車、あるいは二輪自動車などのような陸上を走行する自動車などと異なり、ブレーキ機構を格別に有していない通常の小型船舶では、船外機によって回転するプロペラの回転方向の正、逆を切り換えることによって、船舶の航走に制動をかけるようになっている。例えば、船舶が前方へと航走している場合には、シフトレバーを前進位置からニュートラル位置を経て後退位置へと切り換え、プロペラを逆転させ、船舶に後退方向への推進力を発生させてそれまでの前進方向への慣性力に制動をかけるようになっている。
【0003】
従って、プロペラの回転の正逆が急激に切り替わることにより、エンジンには通常よりも大きなトルクが必要とされ、場合によってはエンジンストールが発生するとこともあった。こうした問題は、4サイクルエンジンを有する船外機では特に発生し易い。すなわち、4サイクルエンジンでは、エンジンの回転数の安定化を図るべくフライホイールマスを大きく設定することが望ましいが、上記のような制動時におけるエンジンストールの発生を抑える上では、船外機を軽量化することが望ましく、両者を同時に満足させることは極めて困難であった。
【0004】
このため、4サイクルエンジンを有する船外機では、2サイクルエンジンを有する船外機に比し、低回転時のトルク変動に弱いエンジンの設定とならざるを得ないという問題があった。
そこで従来では、船外機、特に4サイクルエンジンを使用した船外機にあっては、上述の制動操作を行うに際し運転者がスロットル開度を調整しながらシフト位置の切り換えを行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スロットル開度の調整によって安定したエンジン回転数を維持するようにするためには、微妙な調整が必要となるため操作が極めて困難になるという問題があった。すなわち、エンジンストールを回避すべくスロットル開度を大きく設定すれば、エンジンの回転数が増大し過ぎ、運転者及び同乗者に不快感を与えるという問題があり、また、エンジンの回転数が増大することにより、シフトの切り換えを行う際に、切り換え操作に大きな力を要するという問題も発生する。また、操作したスロットル開度が小さい場合には、シフトの切り換えを容易に行うことができる反面、エンジンストールが発生し易くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたもので、運行中のシフトの切り換えを、エンジンストールの発生を抑えながら確実に実行することができると共に、運転者の微妙なスロットル操作などを不要とし、船外機の操作性を向上することが可能な船外機の駆動制御装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため次の構成を有する。
すなわち、本願請求項1記載の発明は、プロペラシャフトの回転駆動源であるエンジンに連結される吸気通路内にスロットルバルブを設けると共に、前記スロットルバルブより下流側の吸気通路にエアーを供給するエアー供給路を設け、前記エアー供給路から供給するエアーをエアーコントロールバルブによって制御することにより、スロットルバルブの全閉状態においてエンジンの回転数を制御するようにした船外機の駆動制御装置であって、プロペラシャフトの回転状態を切り換えるシフト手段によりニュートラル位置に設定されたときの所定の信号を出力するニュートラル位置検出手段と、前記ニュートラル位置検出手段の検出結果に基づきシフトがニュートラル以外のシフト位置に切り換えられたか否かを判別する判別手段と、エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エアーコントロールバルブの開度を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、シフト位置がニュートラル以外に切り換えられたと判別され、かつその判別時から一定時間内にエンジンの回転数が低下判定回転数以下となったとき、前記エアーコントロールバルブの開度を所定角度増大させる開度補正を行い、それによって設定された補正開度を所定時間保持させて所定の補正回転数を得るようにしたものである。
【0008】
また、本願請求項2記載の発明は、制御手段は、補正開度の保持時間内においてエンジン回転数が低下判定回転数以下となったとき、再び開度補正を行うようにしたものである。
さらに、本願請求項3記載の制御手段は、スロットルバルブが全閉状態に設定されたとき、エアーコントロールバルブの開度を、補正開度から初期の開度へと漸減させ、エンジン回転数を補正回転数から全閉時目標回転数まで漸減させるものである。
【0009】
請求項1の発明において、前進中の船舶に制動をかけるべくシフトを前進位置から後退位置へと切り換えると、ニュートラル位置検出手段の検出結果に基づきシフト判別手段がニュートラル位置以外にシフト位置が切り換えられたことを判別する。また、回転数判別手段は、回転数検出手段にて検出されたエンジンの回転数に基づき回転数が低下判定回転数以下となった時点で、前記エアーコントロールバルブの開度を所定の角度だけ増大させて補正し、その補正開度を一定の時間保持させる。このため、シフト切り換えに際し、スロットルが全閉状態となっていたとしてもエンジンには、エアー供給路から吸気通路を経て十分な空気が供給されエンジンの回転数は増大し、補正される。これにより、エンジンストールが発生することはなくなり、適正な回転数が十分に維持され、しかもその間に複雑なスロットル操作は全く不要となる。
【0010】
また、上記のように、エアーコントロールバルブの開度を所定角度増大させることによって補正してもなおエンジンの回転数が低下している場合には、本願請求項2のように、エアーコントロールバルブの開度補正を再度行うようにすることにより、確実にエンジンの回転数低下を補正することができる。
さらに、上記のようにエアーコントロールバルブの開度を補正した後、その補正開度を初期の開度へと復帰させるに際し、その復帰動作を急速に行わず、所定の時間をかけて漸減させるようにすれば、エンジンの駆動速度が必要以上に低下するという不都合が発生ことはなく、より円滑なエンジンの駆動が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る船外機の外観側面図、図2は図1に示したものの背面図、図3は図2に示したものの一部切欠平面図、図4はこの実施形態における船外機の全体構成を概念的に示す説明図、図5は図4に示したコントロールユニットのブロック図、図6は図5に示したものによる動作を示すフローチャート、図7は図5に示したものの負荷変動特性を示すタイミングチャート、図8は図7に示した負荷変動特性を示す線図である。
【0012】
図1に示すように、この実施形態に用いられる船外機1は、船体3のトランザム(船尾梁)4にブラケット5を介して装着される。また、この船外機1は、前記ブラケット5の後部に上下方向に延出する中空体であって、かつ、水平方向断面が概略紡錘形のドライブシャフトハウジング6を有しており、このドライブシャフトハウジング6の上部にエンジンホルダ7が形成され、このホルダ7上部にエンジンカバー14によって覆われたエンジン1が設置されている。そして、前記ドライブシャフトハウジング6の下部には、ギアケース8が連接されており、このギアケース8には、水平後方にプロペラ9を向けたプロペラシャフトが回転自在に支持されている。
【0013】
図2に示すように、このエンジン2は、シリンダヘッド10、シリンダブロック11及びクランクケース12を有してなる4サイクル4気筒のもの(4気筒以外の気筒数でも良い)であって、図外の燃料タンクからインジェクタ16(図4参照)によって燃料が前記シリンダヘッド10内に噴射されるようになっている。また、クランクケース12内には、クランクシャフト13がほぼ鉛直方向に沿って回転自在に支持されており、このクランクシャフト13には発電機のフライホイール15が固定され、その周面にフライホイールマグネット15aが固定されている。
なお、図中、17は前記エンジン2の排気を行うエキゾーストマニホールド、18はサイレンサである。
【0014】
この吸気経路は、サイレンサ18と、このサイレンサ18に連結管19を介して連結されるスロットルボディ20と、このスロットルボディ20に連結されるサージタンク21と、このサージタンク21とシリンダヘッド10のインレットポート10aを連結するインレットパイプ22とからなる。前記スロットルボディ20にはスロットルバルブ23が収納され、図外のスロットルレバーを操作することにより、前記スロットルバルブ23の開き角度(スロットル開度)を調整し得るようになっている。
【0015】
また、前記スロットルバルブ23の下流側に位置するサージタンク21には、小断面形状を有するエアー供給路24の一端部が連結されており、その他端部には図外のエアークリーナが連結されている。
そして、前記エアー供給路24には、ここを流通するエアーの流通面積(開度)を制御するエアーコントロールバルブとしてのリニアソレノイドバルブ(以下、単にソレノイドバルブと称す)25が配設されており、そのバルブ開度を制御することにより、エアー供給路24の開度が制御されるようになっている。
【0016】
一方、30はコントロールユニットであり、このコントロールユニット30は、その入力側において、図4及び図5に示すように、クランク角センサ26、全閉スイッチ27、ニュートラルスイッチ(シフト位置検出センサ)28(図3参照)などが接続される一方、コントロールユニット30の出力側において、各気筒のシリンダヘッドに設けられた各インジェクタ16及びソレノイドバルブ25が接続されており、前記スイッチ27,28及びセンサ26から入力された信号に基づき前記インジェクタ16及びソレノイドバルブ25などを制御するようになっている。
【0017】
ここで、前記クランク角センサは、図4に示すようにフライホイールマグネット15aの回転移動経路の近傍に180度の角度間隔を介して対向配置された一対の磁気センサ26a,26bによって構成されており、フライホイールマグネット15aが対向した時点で各磁気センサ26a,26bからは所定の検出信号が出力されるようになっている。
また、前記全閉スイッチ27は、スロットルバルブ23が全閉状態にあるとき、所定の全閉信号を出力するものとなっている。
さらに、前記ニュートラルスイッチ28は、船舶の運転状態、すなわち、前進、ニュートラル、後退を指示するシフトがニュートラル位置に設定されたとき、所定の検出信号を出力するものとなっている。
【0018】
また、前記コントロールユニット30は、図5に示すような構成を有するものとなっている。すなわち、このコントロールユニット30は、前記ソレノイドバルブ25の駆動を制御するソレノイド制御部(制御手段)32及び前記インジェクタ16の駆動を制御する燃料噴射制御部33を有し、これらを演算部31によって制御するようになっている。そして、この演算部31には、計数、計時動作を行うカウンタ34や、所定のデータを格納する不揮発性メモリ35等が接続されている。
【0019】
そしてさらに、前記演算部31の入力側には、A/D変換器36aによってデジタル信号に変換されたクランク角センサ26からの検出信号を受けて、エンジン回転数(クランクシャフトの回転数)を検出する回転数検出部(回転数検出手段)36と、A/D変換器37aによってデジタル信号に変換された全閉スイッチ27からの検出信号を受けて、スロットルバルブ23が全閉位置にあるか否かを判別する全閉位置判別部37と、前記ニュートラルスイッチ(シフト位置検出手段)28からの検出信号等に基づき設定されているシフト位置を判断するシフト位置判別部(シフト位置判別手段)38とが接続されており、各部からの出力データ信号に基づき前記ソレノイド制御部32及び燃料噴射制御部33が制御されるようになっている。
なお、前記ニュートラルスイッチ28は、ニュートラルインターロックに使用するニュートラルスイッチを共用しており、これによってコスト低減を図っている。
【0020】
次に、図6に示すフローチャート及び図7に示すタイミングチャート等と共に作用を説明する。
上記船外機において、エンジン2を始動させ、シフト位置を前進位置、後退位置またはニュートラル位置へと設定することにより、エンジン2からプロペラシャフトへの動力の伝達状態が正転、逆転、遮断のいずれかに選択的に切り換わり、船舶の運行状態は、前進、後退、停止状態となる。船舶が停止するニュートラル位置にシフト位置が設定されるとき、通常は、スロットルレバーが解放状態となり、スロットルバルブ23が全閉状態となっているため、エンジン2は低回転数でアイドリング状態を維持している。そして、このアイドリング状態における回転数(全閉時回転数)Naの調整は、エアバイパスクリュ39の開度を増減させることによって行うことができる。
【0021】
また、船舶の進行速度の調整は、スロットルレバーを操作しスロットルバルブ23の開度を調整することによって行うことができ、航走中、急激な減速を行うべく船舶の進行に制動をかける場合には、シフト位置を切り換え、プロペラシャフトの回転方向を切り換え、現在の航走方向と逆方向へと推力を発生させることによって行うことができる。
【0022】
例えば、船舶の前進時には、シフト位置を前進位置からニュートラル位置を経て後退位置へと設定することで制動をかけることができ、また逆に、後退時において制動をかける場合には、シフト位置を後退位置からニュートラル位置を経て前進位置へと切り換えれば良い。但し、この切り換え動作において、プロペラシャフトの回転方向が急激に切り換えられると、エンジンには図8のP1,P2に示すように、通常運行時DRに比べて大きな負荷がかかる。
なお、図8に示す負荷曲線は、シフト位置を前進位置Fからニュートラル位置N、後退位置R、ニュートラル位置N、前進位置Fへと順次切り換えた場合を示しており、同図中、実線にて示す負荷曲線は走行速度が低い場合を、破線にて示す負荷曲線は、走行速度が大きい場合をそれぞれ示している。
【0023】
このように、切り換え時に負荷が増大する結果、エンジン2の回転数は図7のYrpmに示すように低下し、ニュートラル状態を想定して設定されていた全閉時回転数(アイドリング回転数)Ncを下回り、エンジンストールが発生する虞れがある。
そこで、この実施形態では、前記コントロールユニットによって、エンジンの運転動作期間中、図6に示すような制御動作を行い、エンジンストールの発生を回避し得るようになっている。
【0024】
すなわち、電源が投入され、エンジン2が始動されると、演算部31では、シフト位置判別部38からの出力データ信号に基づき、シフト位置がニュートラル位置Nからそれ以外のシフト位置、すなわち、前進位置Fまたは後退位置Rへと切り換わったか否かを判断する(ステップ1)。そして、ニュートラル位置以外の位置にシフト位置が切り替えられた場合には、演算部31は、エンジン回転数Neが低下判定回転数Naより低下し、かつその低下時間がA秒以下であるか否かの判断を行い(ステップ2)、低下していると判断された場合には、ステップ3へと移行し、ソレノイドバルブ25の開度を所定角度Cだけ増大させる。
【0025】
ここで、前記低下判定回転数Na及び低下時間Aは、適用するエンジン固有の値であり、この実施形態において、前記時間Aは、10秒程度に設定されている。この低下時間Aを設定することにより、エンジン2に生じる回転数Neの低下が、シフト位置の切り換えによって生じたものであるのか、アイドリング、トローリング時に生じたものであるのかを判定し、シフト位置の切り換えによって生じた場合のみ角度Cのソレノイドバルブ25の開度増大を実行するようになっており、アイドリング、トローリング時のエンジン2の回転安定化を図るための開度制御とは区別している。
【0026】
つまり、ソレノイドバルブ25は、本来、アイドリング、トローリング時の回転安定化のために設けられており、そのバルブ開度調整は、コントロールユニット30によって行うようになっているが、この制御において開度変化を大きく設定すると、エンジン2は、回転数が安定化するより、むしろ不安定になる場合が多い。このため、アイドリング時などにおけるバルブ開度の調整範囲は可能な限り狭い範囲に設定することが望ましい。
【0027】
ところが、こうした狭い調整範囲を設定していたのでは、上記のように、制動をかける場合のシフト位置の切り換えなどに伴う急激な回転数の低下、すなわち、短時間に生じる回転数の大きな低下に対応することができず、回転数を十分に安定化させることができない。
そこで、この実施形態では、エンジン回転数Neの変動がシフト切り換え時から10秒以内に発生しているか否かを判断することによって、シフトの切換えによるエンジン回転数Neの変動であるか、アイドリング時などにおけるエンジン回転数Neの変動であるかを判断し、制動時におけるエンジン回転数Neの変動時のみ、前記ステップ2における大きな角度Cのバルブ開度制御を行うようになっている。
【0028】
但し、ステップ3における調整開度Cにあっても、その値が大き過ぎた場合には、エンジン2の回転角度が急激に増大し、運転者に不快感を与えることとなる。また、回転数が過大になればシフト位置の切り換えに際し、シフトレバーの操作に大きな力を要すると共に、シフトの摩耗、損傷の要因になるという問題も生じる。従って、ソレノイドバルブ25の開度は、エンジン2との組み合わせにもよるが、エンジン回転数Neが補正目標回転数以下となるように設定する必要がある。この実施形態では、前記補正目標回転数は1200rpmに設定してあり、これによって過剰な回転数増大を防止し得るようになっている。
【0029】
また、前記低下判定回転数Naがアイドリング回転数Ncより大きく下回る値に設定された場合には、回転数の低下が検出されたときに、その回転数を補正目標回転数にまで増大させることができなくなるという問題が生じる。また逆に、低下判定回転数Naがアイドリング回転数Ncに近接する比較的高い値に設定された場合には、頻繁に回転数の低下が検出され、それに応じてバルブ開度の調整が行われるため、船外機1の駆動に円滑性を欠くこととなり、運転者に不快感を与えるという問題が生じる。このため、低下判定回転数Neの設定は、100rpm以内に設定することが望ましい。
また、ソレノイドバルブ25の開度設定が、シフトの切り換えミスなどによって必要以上に頻繁に行われるのを回避すべく、この実施形態では、ステップ1において、シフト位置の切換操作から2秒が経過するまでは、シフトの切換え位置の判定を実行しないようにしている。
【0030】
次に、ステップ4,5では、A秒以内にエンジン回転数の低下が発生したか否かの判断をD秒間行う。これにより、D秒間にエンジン回転数Neの低下が発生しない場合には、前記ステップ3にて設定したソレノイドバルブ25の開度をD秒間保持する。この保持時間Dは、バルブ開度設定後、その設定に応じてエンジン回転数Neが増大するまでのタイムラグを想定して設定したものであり、このタイムラグは、ソレノイドバルブ25からエンジン2の燃焼室に至る吸気経路長によって決定される時間以上となる。但し、その時間が上限を越えた場合には、必要時間以上に回転数が増大し、運転者に対し不快感を及ぼすこととなるため、適度な値を設定する必要がある。この実施形態では、保持時間Dを1秒以下の時間に設定している。
【0031】
このように、この実施の形態においては、ステップ3からステップ5までの制御動作によって、エンジン回転数Neが低下判定回転数Na以上となるまで、バルブ開度をC度ずつ増大させるようになっている。このため、エンジンの駆動状態を維持することができ、エンジンストールの発生を確実に防止することができる。
【0032】
そして、ステップ3にてバルブ開度の最後の設定が行われた後、時間Dが経過すると、ステップ6では、全閉スイッチがON状態にあるか否かの判断、すなわち、スロットルバルブが全閉状態にあるか否かの判断を行い、全閉状態(ON状態)にあると判断された場合には、予め設定した補正目標回転数Nbに回転数を設定し(ステップ7)、その後、回転数をアイドリング回転数Ncまで減少させる(ステップ8)。
【0033】
この実施形態においては、前記補正目標回転数Nbから初期回転数Naへの回転数の低減を急激には行わず、図7の勾配Erpm/Esecに示すように、一定の時間をかけて漸次緩やかに低減させるようになっている。通常、4サイクルエンジンのような追従性に優れたエンジンにおいて、エンジン回転数Neを急激に低下させた場合には、エンジン回転数Neが目標回転数以下に設定されてエンジンストールが発生する可能性もあるが、上記のようにエンジン回転数Neを緩やかに漸減させるようにすれば、エンジン2の駆動状態を確実に維持しながらアイドリング回転数Ncへと回転数を低下させることができ、従来のメカニカルダッシュポットと同様の機能を安価に実現することができる。
【0034】
以上のように、この実施形態における制御動作によれば、船外機1の運転期間中、シフトレバーの前進位置Fと後退位置Rとの間の切り換えを行うことによって急激な制動をかけた場合にも、エンジン1の駆動状態を確実に維持でき、エンジンストールの発生を防止することができるため、運転操作性は大幅に向上する。
【0035】
なお、上記実施の形態においては、エアーコントロールバルブとして、リニアソレノイドバルブを使用した場合を例にとり説明したが、これに代えてデューティーソレノイドバルブを使用することも可能である。
また、エンジン回転数の低下したか否かの判別の条件として、時間Aを使用したが、この時間的条件に代えてクランク角センサから出力される検出信号数のカウント値を用いることも可能であり、本発明は特に上記実施形態に限定されるものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した通り本願請求項1記載の本発明によれば、前進中の船舶に制動をかけるべくシフト位置の切り換え操作を前進位置と後退位置との間で行ったとしても、エンジン回転数が低下判定回転数以下となった場合には、前記エアーコントロールバルブの開度を所定の角度だけ増大させて補正し、その補正開度を一定の時間保持させるため、シフト切り換えに際し、スロットルが全閉状態となっていたとしても、エンジンには、エアー供給路から吸気通路を経て十分な空気を供給することができ、常に十分なエンジン回転数を得ることができる。このため、複雑なスロットル操作を行わなくともエンジンストールを発生させることなく、確実かつ滑らかに船外機の駆動を行うことができ、船舶に良好な操作性と快適な航走を実現することができる。
また、通常航走時、あるいはアイドリング、トローリング時などには、本発明の制御装置による制御は実行されないため、違和感なく航走を行うことができ、快適性が損なわれることはない。
しかも、エンジンの吸気経路に対する吸気量の制御は、スロットルバルブ及びエアーコントロールバルブなどの既存の部品を用いて行うことができるため、制御装置を安価に構成することができる。
【0037】
さらに、本願請求項2記載の発明にあっては、エアーコントロールバルブの開度を所定角度増大させることによって補正してもなお、エンジン回転数が低下している場合に、エアーコントロールバルブの開度補正を再度行うため、確実にエンジンの回転数低下を補正することができる。
【0038】
さらに、本願請求項3記載の発明は、エアーコントロールバルブの開度補正の後、その補正開度を初期の開度へと復帰させるに際し、その復帰動作を急速に行わず、所定の時間をかけて漸減させるようにしたため、エンジンの駆動速度が必要以上に低下するという不都合が発生ことはなくなり、より円滑なエンジンの駆動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る船外機の外観側面図である。
【図2】図1に示したものの背面図である。
【図3】図2に示したものの一部切欠平面図である。
【図4】本実施形態における船外機の全体構成を概念的に示す説明図である。
【図5】図4に示したコントロールユニットのブロック図である。
【図6】図5に示したものによる動作を示すフローチャートである。
【図7】図5に示したものの負荷変動特性を示すタイミングチャートである。
【図8】図7に示した負荷変動特性を示す線図である。
【符号の説明】
1 船外機
2 エンジン
18 サイレンサ
19 連結管
20 スロットルボディ
21 サージタンク
22 インレットパイプ
23 スロットルバルブ
24 エアー供給路
25 ソレノイドバルブ(エアーコントロールバルブ)
30 コントロールユニット(出制御手段)
32 ソレノイド制御部(制御手段)
36 回転数検出部(回転数検出手段)
38 シフト位置判別部(判別手段)
F 前進位置
R 後退位置
N ニュートラル
Ne エンジン回転数
Na 低下判定回転数
Nb 補正目標回転数
Nc アイドリング回転数
Claims (3)
- プロペラシャフトの回転駆動源であるエンジンに連結される吸気通路内にスロットルバルブを設けると共に、前記スロットルバルブより下流側の吸気通路にエアーを供給するエアー供給路を設け、前記エアー供給路から供給するエアーをエアーコントロールバルブによって制御することにより、スロットルバルブの全閉状態においてエンジンの回転数を制御するようにした船外機の駆動制御装置であって、
プロペラシャフトの回転状態を切り換えるシフト手段によりニュートラル位置に設定されたときの所定の信号を出力するニュートラル位置検出手段と、
前記ニュートラル位置検出手段の検出結果に基づきシフトがニュートラル以外のシフト位置に切り換えられたか否かを判別する判別手段と、
エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記エアーコントロールバルブの開度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、シフト位置がニュートラル以外に切り換えられたと判別され、かつその判別時から一定時間内にエンジンの回転数が低下判定回転数以下となったとき、前記エアーコントロールバルブの開度を所定角度増大させる開度補正を行い、それによって設定された補正開度を所定時間保持させて所定の補正回転数を得るようにしたことを特徴とする船外機の駆動制御装置。 - 制御手段は、補正開度の保持時間内においてエンジン回転数が低下判定回転数以下となったとき、再び開度補正を行うことを特徴とする請求項1記載の船外機の駆動制御装置。
- 制御手段は、スロットルバルブが全閉状態に設定されたとき、エアーコントロールバルブの開度を、補正開度から初期の開度へと漸減させ、エンジン回転数を補正回転数から全閉時目標回転数まで漸減させることを特徴とする請求項1または2記載の船外機の駆動制御装置。
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