JP3858391B2 - 画像照合装置及び画像照合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像照合装置及び画像照合方法に関し、例えば指紋照合装置に適用することができる。本発明は、登録時、判定基準でなるスコアにより信頼性の高いテンプレートを登録することにより、また登録したスコアによりテンプレートを更新することにより、従来に比して照合精度を向上することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像照合装置でなる指紋照合装置においては、マニューシヤ方式、周波数検出方式、パターンマッチング方式等により、事前に登録された個人の指紋画像と一致するか否か判定するようになされている。
【0003】
すなわちマニューシヤ方式においては、撮像手段を介して得られた指紋の画像より、指紋の中心を検出すると共に、分岐、点、切れ等の特徴的な部分(以下、特徴点と呼ぶ)を抽出する。さらに指紋の中心より特徴点の座標値等を検出し、これらの検出結果をデータベース化する。
【0004】
これに対して検査対象でなる指紋の画像を画像処理し、同様に指紋の中心より特徴点の座標値等を検出すると共に、これら検出したデータよりデータベースをアクセスし、これにより対応する特徴点の有無により指紋照合をするようになされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで子供等にあっては、成長に伴い、指の大きさが変化し、これにより特徴点の位置も変化する。また指を怪我したような場合にも特徴点が変化し、さらにこの怪我が直ってゆく過程においては、特徴点が徐々に変化することになる。
【0006】
また例えば指紋画像を取り込む画像入力手段においては、指の湿り具合により取り込んだ指紋画像が変化するものもあり、さらに指の湿り具合等は、季節によって変化する。
【0007】
これらにより従来の指紋照合装置においては、指紋照合精度が劣化する問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、指紋等の画像について、従来に比して照合精度を向上することができる画像照合装置及び画像照合方法を提案しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
また同様の画像照合装置及び画像照合方法に適用して、1の判定対象に対して、テンプレートと対応するスコアとを複数登録し、検査対象画像との判定時、複数のテンプレートの何れかを選択的に使用して一致又は不一致を判定し、一致の判定結果が得られたとき、検査対象画像より新たなテンプレートを生成し、検出したスコアと各テンプレートについて登録されたスコアとの比較結果に基づいて、登録されたテンプレート及びスコアを、新たなテンプレートと検出したスコアとにより更新すると共に、スコアの検出に使用したテンプレートのスコアを検出したスコアに更新する。
【0014】
致の判定結果が得られたとき、検査対象画像より新たなテンプレートを生成し、検出したスコアと各テンプレートについて登録されたスコアとの比較結果に基づいて、登録されたテンプレート及びスコアを、新たなテンプレートと検出したスコアとにより更新すれば、例えば経時変化等により照合に不適になったテンプレートを、このテンプレートより照合に適したテンプレートに更新することができる。またこのとき複数のテンプレートの何れかを選択的に使用して一致又は不一致を判定し、スコアの検出に使用したテンプレートのスコアを検出したスコアに更新すれば、簡易な処理によりテンプレートの更新処理を実行することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)実施の形態の構成
図2は、本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。この指紋照合装置1においては、ホストパーソナルコンピュータ(ホストPC)PCとの通信により、キー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動してシステム制御回路3により全体の動作を制御し、これにより所定のユーザーについて、事前に、指紋データ入力部4を介して指紋画像による指紋データD1を取り込む。さらにこの取り込んだ指紋データD1に基づいて、指紋画像の特徴を示すデータ(以下テンプレートと呼ぶ)を作成し、このテンプレートにより指紋データベース5を構築する。
【0017】
これに対してユーザーが指紋照合の要求を入力すると、指紋データ入力部4を介して、検査対象の指紋画像による指紋データD2を取り込み、この取り込んだ指紋データD2を検査指紋メモリ6に一時保持する。さらにキー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動して、指紋データベース5に登録された対応するテンプレートと検査指紋メモリ6に一時保持した指紋データD2とを照合率検出部7に入力する。さらにこのテンプレートを基準にして、指紋データD2による指紋画像と登録時の指紋画像との間で、一致の程度を示すスコアを検出し、システム制御回路3において、このスコアに応じて指紋の一致不一致を判断する。
【0018】
これにより指紋照合装置1は、個人の指を判定対象にして、指紋データ入力部4を介して入力される指紋データD2の人物が、事前に登録された人物か否かを判定する。
【0019】
図3は、指紋データ入力部4を示すブロック図である。この指紋データ入力部4においては、所定の光学系を介して、所定の指載置位置に保持されたユーザーの指より指紋を撮像し、この撮像結果より指紋データD1又はD2を生成する。
【0020】
ここでこの光学系は、指紋を採取する指を底面に載置可能に保持された二等辺三角形プリズム11と、この二等辺三角形プリズム11の斜面より底面を照明する光源12と、底面で反射された光源12の照明光を残る斜面より撮像するCCDカメラ13とにより構成される。なお光源12は、発光ダイオードアレイ等により構成される。
【0021】
これによりこの光学系は、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触していない部分については、光源12から射出された照明光を底面により全反射してCCDカメラ13に導き、これとは逆に、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触している部分については、底面において照明光を乱反射してCCDカメラ13に照明光が入射しないようにする。その結果この光学系は、指紋の模様に対応した明暗の画像をCCDカメラ13よりビデオ信号SVの形式で出力するようになされている。
【0022】
かくするにつきこのようにして皮膚の接触の有無により輝度レベルの異なる指紋画像を生成することにより、この光学系は、皮膚の乾燥により、取り込んだ指紋画像における濃淡が変化することになり、何ら対策を講じない場合、指紋照合装置1全体として識別力が変化することになる。また三角形プリズム11への押圧力に応じて指紋の形状も変化し、何ら対策を講じない場合、指紋照合装置1全体として識別力が変化することになる。
【0023】
アナログディジタル変換回路(A/D)ADは、このビデオ信号SVをアナログディジタル変換処理してディジタルビデオ信号を出力する。比較回路14は、基準データ設定回路15より出力される基準データREFを基準にして、このアナログディジタル変換回路ADより出力されるディジタルビデオ信号を2値化して2値化信号S1を出力する。ここで基準データ設定回路15は、システム制御回路3による制御により、光学系の光量ムラを補正すると共に、指紋画像の明暗部の比が所定値になるように、基準データREFを生成する。ラッチ回路18は、比較回路14の出力信号を所定のラッチパルスにより順次ラッチし、ラッチ結果でなる1ビットの画像データDV1を出力する。
【0024】
シリアルパラレル変換回路(S/P)21は、このラッチ回路18より出力される画像データDV1を8ビット単位で取り込んで間欠的に出力することにより、1ビット×8画素の画像データDV1を1バイトの指紋データD1又はD2に変換してデータバスBUSに出力する。これにより指紋データ入力部4は、図4に示すように、水平方向256サンプリング、垂直方向128サンプリングでなる2値の指紋画像を出力する。
【0025】
図5は、指紋データベース5及び検査指紋メモリ6を、システム制御回路3、照合率検出部7の一部と共に示すブロック図である。ここで検査指紋メモリ6は、指紋データベース5への指紋データD1の登録時、また指紋照合時、上述した指紋データ入力部4より出力される指紋データD1、D2を保持する。
【0026】
さらに検査指紋メモリ6は、システム制御回路3により制御されて実行されるメモリ制御回路30によるアドレス制御により、保持した指紋データD1を8ピクセルを単位にして水平方向、垂直方向に所定順序で出力する。また検査指紋メモリ6は、指紋登録時及び指紋照合時、保持した指紋データD2を、後述する照合率検出部7の動作に応動して順次選択的に出力する。
【0027】
指紋データベース5は、事前に登録したユーザーデータ、検査指紋メモリ6より入力された指紋データD1によるテンプレート、各テンプレートに対応するスコアにより構成される。すなわち図6に示すように、この指紋データベース5は、登録したユーザーデータ毎に、ユーザーIDが記録され、さらに各ユーザーID毎に第1〜第5のテンプレート、各テンプレートに対応するスコア、ユーザー個人が設定した判定基準が登録される。
【0028】
ここで各テンプレートは、指紋データD1による指紋画像の特徴を示すデータにより構成され、A枠及びB枠のデータにより構成される。各枠のデータは、それぞれ8本の水平方向登録データD1H0〜D1H7及び垂直方向登録データD1V0〜D1V7、各登録データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7の位置情報(X0,Y0)〜(X0,Y7)、(X0,Y0)〜(X7,Y0)により構成される。
【0029】
ここでA枠及びB枠は、図7に示すように、指紋データD1による指紋画像上に所定距離だけ離間して設定された64ピクセル×64ピクセルの枠である。これに対して水平方向登録データD1H0〜D1H7は、図8に示すように、A枠及びB枠において、検査指紋メモリ6に一時保持した指紋データD1による画像を、水平方向に延長するように、順次、64ピクセル切り出して指紋データベース5に登録したものである。これにより指紋データベース5は、照合対象の画像の1つより、垂直方向に1画素、水平方向に64画素の領域を計8×2個切り出して保持し、テンプレートの一部を構成することになる。
【0030】
これに対して垂直方向登録データD1V0〜D1V7は、図9に示すように、A枠及びB枠において、検査指紋メモリ6に一時保持した指紋データD1による画像を、垂直方向に延長するように、順次、64ピクセル切り出して指紋データベース5に登録したものである。これにより指紋データベース5は、照合対象の画像の1つより、水平方向に1画素、垂直方向に64画素の領域を計8×2個切り出して保持することになる。
【0031】
これに対して位置情報(X0,Y0)〜(X0,Y7)、(X0,Y0)〜(X7,Y0)は、このようにして切り出される線状画像の基準位置を、指紋データD1による画像上において特定する座標値により構成される。この実施の形態において、水平方向登録データD1H0〜D1H7及び垂直方向登録データD1V0〜D1V7は、検査指紋メモリ6より順次所定間隔で切り出されるようになされている。
【0032】
これに対してスコアは、指紋データベース5への登録時、各スコアについて検出した照合率を加工したデータであり、各テンプレートの信頼性を示すデータである。また判定基準は、各個人が設定できるようになされた一致不一致の判定基準である。
【0033】
指紋データベース5は、指紋登録時及び指紋照合時、この保持した水平方向登録データD1H0〜D1H7及び垂直方向登録データD1V0〜D1V7、位置情報(X0,Y0)〜(X7,Y0)、(X0,Y0)〜(X0,Y7)を、システム制御回路3の制御によりバスBUSに出力する。
【0034】
照合率検出部7(図5)は、各線状画像の画像データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7を順次入力し、この入力した線状画像を照合対象でなる指紋データD2による画像上で順次変位させる。さらに照合率検出部7は、各変位位置で、重なり合う線状画像と指紋データD2による画像間で順次比較結果を得ることにより、各線状画像と指紋データD2による画像間で一致の程度を示す一致度を順次検出する。照合率検出部7は、これにより一致度の分布を示すビットマップデータを検出する。さらに照合率検出部7は、ビットマップデータより指紋データD1及びD2による指紋画像間で照合率を算出する。
【0035】
すなわち一致度検出部40は、システム制御回路3の制御により、指紋データベース5に格納された画像データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7を選択的にラッチ回路41にセットする。続いて一致度検出部40は、メモリ制御回路30のアドレス制御により、一致度検出部40にセットした指紋データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7による画像が、指紋データD2による画像上でラスタ走査の順序で順次変位するように、連続する指紋データD2が検査指紋メモリ6より順次供給される。
【0036】
一致度検出部40において、パラレルシリアル変換回路(P/S)42は、順次入力される指紋データD2をシリアルデータに変換して、一定周期でシフトレジスタ43に出力する。シフトレジスタ43は、このシリアルデータを64ビット分保持し、パラレルシリアル変換回路42より出力されるシリアルデータに同期して順次ビットシフトさせると共に、ビットシフトさせたデータを64ビットパラレルにより出力する。
【0037】
ラッチ回路41は、ラッチした8バイトの指紋データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7を64ビットパラレルにより出力する。比較回路44は、64系統のイクスクルーシブオア回路により構成され、シフトレジスタ43の出力データとラッチ回路41の出力データとの間で、各ビットの比較結果をそれぞれ出力する。
【0038】
これにより一致度検出部40は、例えば水平方向に連続する画素による指紋データD1H0〜D1H7がセットされた場合、図10に示すように、指紋データD2により形成される画像上を、この指紋データD1H0〜D1H7により形成される線状の画像をラスタ走査させ、重なり合う指紋データD2及び線状画像D1H0〜D1H7間で、各ビットの一致不一致を判定する。
【0039】
また一致度検出部40は、例えば垂直方向に連続する画素による指紋データD1V0〜D1V7がセットされた場合、図11に示すように、指紋データD2により形成される画像上を、この指紋データD1V0〜D1V7により形成される線状の画像をラスタ走査させ、重なり合う指紋データD2及び線状画像D1V0〜D1V7間で、各ビットの一致不一致を判定する。
【0040】
カウンタ45は、このようにして比較回路44より得られる64系統の比較結果をカウントし、カウント値を出力する。これによりカウンタ45においては、指紋データD1H0〜D1H7、D1V0〜D1V7により形成される線状の画像と、この線状の画像と重なり合う指紋データD2より形成される画像との間の一致の程度(すなわち一致度でなる)を検出するようになされ、この重なり合った画像が完全に一致した場合、値64の一致度を出力するようになされている。かくするにつき照合率検出部7においては、このようにして一致度検出部40により順次検出される一致度が、システム制御回路3により所定のしきい値以上か否か判定されて、しきい値以上の一致度が値1に丸め処理され、また各座標値が検出され、これら丸め処理した一致度及び座標値のデータDMH0〜DMV7を処理して照合率を検出するようになされている。
【0041】
座標メモリ32は、図12に示すように、システム制御回路3により検出されたしきい値を基準にして、このように丸め処理した一致度及び座標値((X01,Y01)、(X02,Y02)、(X03,Y03)、……)のデータDMH0〜DMV7を格納する。さらに座標メモリ32は、システム制御回路3の制御により、この丸め処理した一致度及び座標値のデータDMH0〜DMV7を順次出力する。
【0042】
図13は、照合率検出部7の残りの部分を示すブロック図である。この照合率検出部7において、テンポラリ用メモリ50は、所定領域を有するビットマップメモリにより構成され、メモリ制御回路30を介して実行されるシステム制御回路3の制御により、照合率算出時、内容を値0にクリアした後、順次座標メモリ32よりバスBUSに出力される丸め処理した一致度を対応する座標値の領域に格納する。またこのように丸め処理した一致度を割り当てて生成されるビットマップ形式の2次元データをバスBUSに出力する。
【0043】
このときテンポラリ用メモリ50は、システム制御回路3の制御により、図14に示すように、座標メモリ32に格納された座標値DMH0〜DMV7の周囲、所定範囲ARの値が、この丸め処理した一致度に設定されて入力される。また図15に示すように、所定のしきい値を越える一致度が近接して、この近接した一致度の各領域AR1及びAR2が重なり合う場合、この重なり合う部分については、共に値1の一致度を割り当てる。
【0044】
また図16に示すように、8本の水平方向登録データD1H0〜D1H7による線状画像のうちの、中央の線状画像を基準にして、この中央の線状画像より遠ざかるに従って、この一致度DMH0を更新する領域ARが拡大するように、テンポラリ用メモり50は、内容が設定される。
【0045】
テンポラリ用メモリ50は、垂直方向登録データD1V0〜D1V7について、またA枠及びB枠について、同様にして、丸め処理した一致度を配置してなるビットマップのデータを格納し、また格納したデータを出力する。
【0046】
足し合わせ部51は、システム制御回路3の制御により動作を開始し、足し合わせ用メモリ52に保持されたビットマップデータと、テンポラリ用メモリ50に格納された対応するビットマップデータとを加算し、その結果得られる累積の一致度DMAによるビットマップデータを足し合わせ用メモリ52に格納する。
【0047】
足し合わせ用メモリ52は、メモリ制御回路30を介して実行されるシステム制御回路3の制御により、指紋登録時及び指紋照合時、内容を更新した後、順次足し合わせ部51よりバスBUSに出力される一致度DMAによるビットマップデータを格納し、また格納したビットマップデータをバスBUSに出力する。
【0048】
このとき足し合わせ用メモリ52は、システム制御回路3の制御により、図17(A)〜(D)に示すように、中央の線状画像から各登録データによる線状画像の距離を補正して(すなわち図6においては、(X4−X0,Y4−Y0,……)の分だけ座標値をシフトさせて)、足し合わせ部51より出力されるビットマップのデータを格納する。
【0049】
これによりこの実施の形態においては、各線状画像について検出された所定値以上の一致度の箇所を、各線状画像の相対位置関係で補正して足し合わせ用メモリ52にて集計するようになされ、その集計結果により一致不一致の判定を実行するようになされている。
【0050】
すなわちこのようにして検出される所定値以上の一致度は、テンプレートによる8×4本の線状画像について、それぞれ検出されることにより、図17に示すように、ビットマップデータにより累積して、例えば値32の箇所が検出されれば、この検査対象の指紋画像と線状画像による指紋画像は、完全に一致していると判断することができる。これによりこの実施の形態では、このようにして累積したビットマップのピーク値を検出し、このピーク値を照合率に設定する。従って照合率は、値0〜値32の範囲で検出される。またこの実施の形態では、この値0〜値32の照合率より値16を減算して得られる減算値について、値0以下を値0に丸め、これにより値1〜値16の範囲で得られる照合率の加工値をスコアに設定する。
【0051】
すなわち最大値検出部53は、システム制御回路3の制御により動作を開始し、全ての線状画像について、足し合わせ用メモリ52に一致度の集計が得られると、バスBUSを介して、この一致度を順次入力し、その最大値を検出する。さらに検出した最大値をシステム制御回路3に出力する。
【0052】
システム制御回路3は、マイクロコンピュータにより構成され、ホストパーソナルコンピュータPC(図2)との通信によりこの指紋照合装置1全体の動作を制御して、指紋データベース5に指紋データD1を登録し、またこの指紋データベース5を基準にして指紋照合の処理を実行する。
【0053】
図18は、このシステム制御回路3の処理手順を大まかに示すフローチャートである。システム制御回路3は、電源が投入されると、ステップSP1からステップSP2に移り、所定のメモリに保持された基準データを基準データ設定回路15にセットする。これによりシステム制御回路3は、光学系の光量ムラを補正するように、比較回路14の基準データREFをセットし、簡易な構成の光学系によっても、正しい照合結果を得ることができるようにする。
【0054】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP3に移り、指紋登録要求が入力されたか否か判断する。ここでこの実施の形態においては、キー入力部2を介して所定のコマンド、暗証番号等を入力することにより指紋登録要求を入力できるようになされ、この指紋登録要求により各ユーザーの指紋データD1を指紋データベース5に登録する。システム制御回路3は、この指紋登録要求が入力されると、ステップSP3において肯定結果が得られることにより、ステップSP4に移って指紋登録処理を実行してステップSP3に戻る。
【0055】
この指紋登録処理において、システム制御回路3は、シリアルパラレル変換回路21の出力データD1を監視し、プリズム11上に指が載置されるのを検出する。さらにシステム制御回路3は、指が載置されると、シリアルパラレル変換回路21の出力データD1を検査指紋メモリ6に取り込む。さらにこの検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1より、図8及び図9について上述した線状画像を切り出して指紋データベース5に登録する。
【0056】
これに対して指紋登録要求が入力されていない場合、システム制御回路3は、ステップSP3よりステップSP5に移り、キー入力部2の操作により指紋照合要求が入力されたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP3に戻る。これに対して指紋照合要求が検出されると、システム制御回路3は、ステップSP5よりステップSP6に移り、指紋照合処理を実行する。
【0057】
この指紋照合処理を完了すると、システム制御回路3は、ステップSP7に移り、登録画像更新処理を実行し、ここで一定の条件が満足される場合、指紋データベース5の内容を更新した後、ステップSP3に戻る。
【0058】
図1は、この指紋登録処理を詳細に示すフローチャートである。この処理手順において、システム制御回路3は、ステップSP10からステップSP11に移り、バスBUSに出力されるシリアルパラレル変換回路21の出力データを監視することにより(図3)、二等辺三角形プリズム11の底面でなる指載置位置に指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られるとステップSP11を繰り返す。これによりシステム制御回路3は、ユーザーにより指が載置されるのを待機し、指が載置されるとこの載置をホストパーソナルコンピュータPCに通知した後、ステップSP12に移る。
【0059】
ここでシステム制御回路3は、ホストパーソナルコンピュータPCより発行される登録コマンドを受信し、この登録コマンドに従ってステップSP13に移る。ここでシステム制御回路3は、シリアルパラレル変換回路21の出力データを検査指紋メモリ6に格納する。さらにこの検査指紋メモリ6に登録した指紋画像について、図7について上述したA枠、B枠を設定し、さらにこのA枠、B枠よりそれぞれ図8及び図9について上述した線状画像を切り出し、この線状画像を指紋データベース5の第1のテンプレートの領域に仮登録する。これによりシステム制御回路3は、この検査指紋メモリ6に格納した指紋画像より第1のテンプレートを作成する。
【0060】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP14に移り、この第1のテンプレートの作成結果をホストパーソナルコンピュータPCに通知する。ここで例えば指の押圧力が弱い等により十分な面積により指紋画像を取得できないような場合には、上述したA枠、B枠を設定できなくなる。また指が異常に乾燥している場合等にあっては、十分なコントラストにより指紋画像を採取困難で、これにより2値化してなる比較回路14の出力信号S1において、論理1の信号レベルが連続することになる。これによりシステム制御回路3は、上述した第1のテンプレート作成過程において、これらの異常を監視すると共に、このステップSP14において、これらの異常をホストパーソナルコンピュータPCに通知する。
【0061】
これによりこの実施の形態においては、ホストパーソナルコンピュータPCに設定された判断基準に従って、これら異常により登録を中止するか否か判断され、この判断結果がシステム制御回路3に通知される。システム制御回路3は、ステップSP15において、ホストパーソナルコンピュータPCからの通知により、仮登録がOKか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP11に戻って仮登録をやり直す。
【0062】
これに対してステップSP15において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP16に移り、指載置位置より指が離された後、再び指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP16を繰り返す。これによりシステム制御回路3は、ユーザーが一旦指載置位置より指を離した後、再び載置するのを待機し、指が載置されると、この載置をホストパーソナルコンピュータPCに通知した後、ステップSP17に移る。
【0063】
ここでシステム制御回路3は、ホストパーソナルコンピュータPCより発行される照合コマンドを受信し、この照合コマンドに従ってステップSP18に移る。ここでシステム制御回路3は、シリアルパラレル変換回路21の出力データを検査指紋メモリ6に格納する(図5)。さらにステップSP13において仮登録したテンプレートより、1の線状画像による指紋データD1を一致度検出部40にセットした状態で、この検査指紋メモリ6に格納した指紋データD2を順次一致度検出部40に供給し、これにより図10及び図11について上述したように、線状画像を指紋データD2による指紋画像上で順位ラスタ走査させると共に、各ラスタ走査位置において重なり合う画素間で一致する画素数を検出し、これにより順次一致度を検出する。
【0064】
さらに同様の処理を、一致度検出部40にセットする線状画像を切り換えて実行することにより、このようにして得られる一致度を各線状画像について順次検出し、この検出した一致度を丸め処理して座標メモリ32に記録する(図12)。さらにこの座標メモリ32に記録した内容より、テンポラリ用メモリ50に、所定値以上の一致度が得られた箇所をその周囲の領域ARと共に値1にセットしてなるビットマップデータを形成し、足し合わせ部51、足し合わせ用メモリ52によりこのビットマップデータを重ね合わせてなるビットマップデータを形成する(図14〜図17)。
【0065】
さらにこの重ね合わせてなるビットマップデータより、最大値検出部53により最大値を検出し、これにより32本の線状画像のうちの、何本の線状画像が所定値以上指紋画像と一致してなるかを示す照合率を算出する。
【0066】
このようにして照合率を検出すると、システム制御回路3は、図19に示すように、ステップSP19に移り、ここで照合率よりスコアを算出する。ここで図20に示すように、照合率は(図20(A))、32本の線状画像のうちの、何本の線状画像が所定値以上指紋画像と一致してなるかを示すことにより、値0〜値32の範囲で変化することになる。
【0067】
これに対して実験した結果によれば、この実施の形態に係る登録処理により十分に信頼性の高いテンプレートが登録されていることを前提として、照合値15以下においては、登録した個人と他人とを誤認識する他人受入率が増大し、実用に供することが困難なことが分かった。因みに、照合値17においては、他人受入率が2〔%〕であり、照合値18においては、他人受入率が0.2〔%〕であった。またそれぞれ照合値19、20、21においては、他人受入率が0.1〔%〕、0.01〔%〕、0.001〔%〕であった。
【0068】
これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、照合率より値16を減算した後、値0以下を値0に丸め処理し、照合率をスコアに変換する(図20(B))。さらにこのスコアにおいて、値1〜値5の範囲でユーザーの選択した値を、一致不一致の判定基準値に設定し、一連の処理を実行する。
【0069】
すなわちシステム制御回路3は、このようにしてスコアを作成すると、ステップSP20に移り(図19)、照合結果、スコアをホストパーソナルコンピュータPCに通知する。ここでホストパーソナルコンピュータPCにおいては、ステップSP21において、スコアが所定基準値以上か否か判断する。ここでこの基準値は、ディフォルトの値において、一致不一致の判定基準値でなる値1〜値5より判定条件の厳しい、値9に設定される(図20)。これによりシステム制御回路3においては、ホストパーソナルコンピュータPCにおいて、仮登録したテンプレートが、十分に値の大きな照合率を得ることができるテンプレートか否か、すなわち充分に信頼性の高いテンプレートか否か判定するようになされている。
【0070】
このようにしてホストパーソナルコンピュータPCにより判定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP22に移り、ここで判定結果がOKか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP11に戻り、再びテンプレートの仮登録からスコアの検出、判定処理を繰り返す。これによりこの実施の形態において、指紋登録に不適な例えば柔らかな指等にあっては、このステップSP22において否定結果が得られ、改めて他の指による登録をユーザーに促すようになされている。
【0071】
これに対してステップSP22において肯定結果が得られると、この場合、充分に指紋照合に適したテンプレートが仮登録されていることになり、システム制御回路3は、ステップSP23に移り、この仮登録したテンプレートに対応させて、検出したスコアを登録する。
【0072】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP24に移り、図6について上述した第1〜第5のテンプレートについて、登録が完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP25に移り、処理対象を次のテンプレートに切り換える。さらにシステム制御回路3は、ステップSP11に戻り、これにより次のテンプレートについて、同様の処理を繰り返す。
【0073】
これによりシステム制御回路3は、第1〜第5のテンプレートについて、テンプレートを仮登録してスコアにより信頼性を確認し、これら第1〜第5のテンプレートについて登録を完了すると、ステップSP24において肯定結果が得られることにより、ステップSP26に移る。ここでシステム制御回路3は、ユーザーに対して、指紋照合時における一致不一致の判定基準値の入力を受け付ける。システム制御回路3は、図20に示すスコア1〜5の範囲で、ユーザーの選択した判定基準値を受け付け、この受け付けた判定基準値を対応する指紋データベース5(図6)に登録する。
【0074】
これによりシステム制御回路3は、例えばこの指紋照合装置を住居の入退出管理に適用して、個人毎に、セキュリティーのレベルを設定できるようになされている。なおこのステップSP26における処理は、ホストパーソナルコンピュータPCの設定により、必要に応じて省略され、この場合ホストパーソナルコンピュータPCにより設定された標準の判定基準値により一致不一致の判定がなされる。
【0075】
このようにして判定基準値を受け付けると、システム制御回路3は、ステップSP27に移り、この処理手順を終了する。
【0076】
図21は、指紋照合処理の処理手順を示すフロチャートである。システム制御回路3は、この処理手順において、指紋データベース5に格納されたテンプレートを用いて、指紋データ入力部4を介して入力される検査対象の指紋画像と、事前に登録された指紋画像との間で、指紋の一致不一致を判定する。
【0077】
すなわちシステム制御回路3は、ユーザーがキー入力部2を操作して指紋照合の要求を入力すると、ステップSP30からステップSP31に移り、バスBUSに出力される指紋データD2の論理レベルを監視し、ユーザーがプリズム11上に指を載置したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP31を繰り返すことにより、ユーザーが指載置位置に指を載置するまで待機する。システム制御回路3は、このステップSP31において肯定結果が得られると、指の載置をホストパーソナルコンピュータPCに通知した後、ステップ32に移る。
【0078】
ここでシステム制御回路3は、ホストパーソナルコンピュータPCより発行される照合コマンドを受信し、この照合コマンドに従ってステップSP33に移る。ここでシステム制御回路3は、シリアルパラレル変換回路21の出力データを検査指紋メモリ6に格納する(図5)。さらにシステム制御回路3は、前回の指紋照合で使用したテンプレートの次のテンプレート(図6に示す順序で循環する順序でなる)より、1の線状画像による指紋データD1を一致度検出部40にセットした状態で、この検査指紋メモリ6に格納した指紋データD2を順次一致度検出部40に供給し、これにより図10及び図11について上述したように、線状画像を指紋データD2による指紋画像上で順次ラスタ走査させると共に、各ラスタ走査位置において重なり合う画素間で一致する画素数を検出し、これにより順次一致度を検出する。
【0079】
さらに同様の処理を、一致度検出部40にセットする線状画像を切り換えて実行することにより、このようにして得られる一致度を各線状画像について順次検出し、この検出した一致度を丸め処理して座標メモリ32に記録する(図12)。さらにこの座標メモリ32に記録した内容より、テンポラリ用メモリ50に、所定値以上の一致度が得られた箇所をその周囲の領域ARと共に値1にセットしてなるビットマップデータを形成し、足し合わせ部51、足し合わせ用メモリ52によりこのビットマップデータを重ね合わせてなるビットマップデータを形成する(図14〜図17)。
【0080】
さらにこの重ね合わせてなるビットマップデータより、最大値検出部53により最大値を検出し、これにより32本の線状画像のうちの、何本の線状画像が所定値以上指紋画像と一致してなるかを示す照合率を算出する。
【0081】
このようにして照合率を検出すると、システム制御回路3は、テップSP34に移り、指紋登録時と同様にして照合率よりスコアを算出する。
【0082】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP35に移り、このスコアより一致、不一致を判定する。ここでこの判定は、この照合率算出に使用したユーザーIDについて登録された判定基準と検出したスコアとの比較結果により実行される。ここで検出したスコアがこの判定基準以上のとき、システム制御回路3は、一致と判定し、ステップSP36に移り、この判定結果をスコアと共にホストパーソナルコンピュータPCに通知した後、ステップSP37に移ってこの処理手順を終了する。
【0083】
これに対して一致の判定結果が得られない場合、システム制御回路3は、ステップSP35よりステップSP38に移り、この照合処理を所定回数(n回)繰り返したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP31に移り、改めて指紋照合の処理を実行する。これに対して所定回数繰り返しても、一致の判定結果が得られない場合、システム制御回路3は、ステップSP38からステップSP36に移り、その旨ホストパーソナルコンピュータPCに通知した後、ステップSP37に移り、この処理手順を終了する。
【0084】
図22は、登録画像更新処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、指紋照合処理に続いてこの処理手順を実行する。すなわちシステム制御回路3は、ステップSP40からステップSP41に移り、ここで先の照合処理において、一致の判定結果が得られたか否か判断する。ここで先の照合処理において不一致の判定結果が得られた場合、このステップSP41において、否定結果が得られ、システム制御回路3は、ステップSP42に移り、この処理手順を終了する。
【0085】
これに対して先の照合処理において一致の判定結果が得られた場合、システム制御回路3は、ステップSP41よりステップSP43に移り、指紋データベース5に登録した対応するユーザーIDに関する各スコアをロードする。さらにシステム制御回路3は、続くステップSP44において、照合処理において検出したスコアと、これらロードしてスコアとを順次比較し、照合において検出したスコアより値の小さなスコアを検出する。
【0086】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP45に移り、このような照合において検出したスコアより値の小さなスコアが検出されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP46に移る。ここでシステム制御回路3は、照合に使用したテンプレートのスコアを、この検出したスコアにより更新した後、ステップSP42に移ってこの処理手順を終了する。
【0087】
これに対して値の小さなスコアが検出されると、システム制御回路3は、ステップSP45よりステップSP47に移り、ここで該当するスコアより値の最も小さなスコアを検出し、このスコアを検出したスコアにより更新する。さらに検査指紋メモリ6に登録した指紋データD2にA枠及びB枠を設定して8×4個の線状画像を切り出し、これら8×4個の線状画像によるテンプレートにより、更新したスコアのテンプレートを更新する。これによりシステム制御回路3は、経時変化等により指紋照合に適さなくなったテンプレートを更新した後、ステップSP46に移り、照合に使用したテンプレートのスコアを更新し、ステップSP42に移ってこの処理手順を終了する。
【0088】
これにより図23に示すように、システム制御回路3は、例えば第1〜第5のテンプレートTP1〜TP5について、それぞれスコア2、6、9、3、7が登録されている場合に(図23(A))、例えば第1のテンプレートTP1を用いて値4のスコアが検出された場合(図23(B))、この第1のテンプレートTP1に登録された値2のスコアを値4に更新すると共に、この第1のテンプレートTP1を検査対象の指紋画像より生成したテンプレートTP1Aにより更新する(図23(C))。
【0089】
また続く指紋照合処理において、システム制御回路3は、第2のテンプレートTP2を用いて指紋照合処理を実行し、このとき値5のスコアが検出された場合(図23(D))、この第2のテンプレートTP2の値6のスコアを値5に更新し、また値の最も小さなスコアでなる第4のテンプレートTP4を検査対象の指紋画像より生成したテンプレートTP4Aにより更新すると共に、このテンプレートTP4Aのスコアを値5にセットする(図23(E))。
【0090】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、指紋照合装置1は、電源が立ち上げられると(図2、図3、図18)、システム制御回路3の制御により、所定の基準データが基準データ設定回路15にセットされ、これにより光学系の光量ムラを補正するように比較回路14の基準データREFが設定される。続いてユーザーがキー入力部2(図2)を操作すると、指紋照合装置1は、対応する指紋登録処理、指紋照合処理を実行する。
【0091】
この指紋登録処理において(図1)、指紋照合装置1は、光源12より射出された照明光が二等辺三角形プリズム11の底面で反射されてCCDカメラ13により撮像され、この撮像結果が比較回路14により2値のディジタルビデオ信号に変換される。またこの比較回路14より出力された2値化信号S1が、ラッチ回路18によりラッチされて1ビットの画像データDV1に変換された後、シリアルパラレル変換回路21により8ピクセルを単位にした8ビットの画像データD1に変換される。
【0092】
指紋照合装置1は、このシリアルパラレル変換回路21より出力される画像データD1が検査指紋メモリ6(図5)に格納される。さらにこの指紋データD1による指紋画像上に、64ピクセル×64ピクセルによるA枠及びB枠が所定距離だけ離間して設定され(図7)、このA枠及びB枠において、それぞれ垂直方向及び水平方向に延長する各8本の線状画像が切り出され(図8及び図9)、この線状画像の画像データD1H0〜D1V7が、各線状画像の座標値、ユーザーIDと共に指紋データベース5に仮登録される(図6)。これによりテンプレートが仮登録される。
【0093】
さらにユーザーがプリズム11より指を離して、再び指を載置すると、同様にしてCCDカメラ13により撮像された指紋画像が、検査指紋メモリ6(図5)に格納され、指紋データベース5に仮登録されたテンプレートより、1の線状画像による指紋データD1を一致度検出部40にセットした状態で、この検査指紋メモリ6に格納した指紋データD2を順次一致度検出部40に供給し、これにより線状画像を指紋データD2による指紋画像上で順次ラスタ走査させると共に、各ラスタ走査位置において重なり合う画素間で一致する画素数を検出し、これにより順次一致度を検出する(図10及び図11)。
【0094】
さらに同様の処理が、一致度検出部40にセットする線状画像を切り換えて繰り返され、このようにして得られる一致度を各線状画像について順次検出され、この検出した一致度を丸め処理して、その座標値と共に座標メモリ32に記録される(図12)。さらにこの座標メモリ32に記録した内容より、テンポラリ用メモリ50に、所定値以上の一致度が得られた箇所をその周囲の領域ARと共に値1にセットしてなるビットマップデータが形成され、足し合わせ用メモリ52にこのビットマップデータを重ね合わせてなるビットマップデータが形成される(図14〜図17)。
【0095】
さらにこの重ね合わせてなるビットマップデータより、最大値検出部53により最大値が検出され、これにより32本の線状画像のうちの、何本の線状画像が所定値以上指紋画像と一致してなるかを示す照合率が算出される。さらにこのようにして検出された照合率より値16を減算した後、値0以下を値0に丸め処理し、値0〜値32の範囲で変化する照合率が値0〜値16の範囲で変化するスコアに変換される(図20)。
【0096】
さらにこのようにして作成されたスコアが、ディフォルトの値において、一致不一致の判定基準値より大きな所定の基準値以上か否か判断され、所定値以上のとき仮登録されたテンプレートが正式に登録され、またこのテンプレートに対応してこの作成されたスコアが登録される。
【0097】
これにより例えば柔らかい指により繰り返し指を載置して変化する指の押圧力により指紋が変形するような場合には、指紋データベースへの登録が拒否され、何度指の載置を繰り返してもほぼ似通った、指紋照合に適した指紋によるテンプレートだけが指紋データベース5に登録されることになる。因みに、このような指紋照合に適していない柔らかい指の持ち主でも、何れかの指においては、指紋照合に適していることを実験により確認することができた。
【0098】
これらによりこの実施の形態では、指紋照合に適した信頼性の高いテンプレートを登録することができ、これにより照合精度が向上される。また連続して得られる指紋画像により検出されるスコアにおいては、一致、不一致の判定基準より厳しい判定基準によりテンプレートを登録することにより、短時間で繰り返し同じ指より指紋画像を取得してテンプレートを登録する場合でも、信頼性の高い指紋画像よりテンプレートを作成して登録することができる。
【0099】
このようにして1のテンプレートを登録すると、指紋照合装置1では、同様の処理を繰り返して、第1〜第5のテンプレートが登録され、これにより必要に応じて指を代えて登録して、また後述するテンプレートの更新処理により対応して、例えば季節により指紋画像が変化した場合でも、指紋照合率が向上される。
【0100】
かくしてこのようにしてテンプレートが登録されると、指紋照合装置1では、指紋登録したユーザーに対して、判定基準の設定が促され(図20)、これにより例えばセキュリティーを優先するユーザー等の意向を反映した指紋照合が可能となる。
【0101】
これらにより指紋登録の処理が完了し、ユーザーがユーザーIDを入力して指紋照合を指示すると、指紋照合装置1は、指紋登録時と同様にして、バスBUSに出力される画像データの論理レベルに基づいて指紋照合の処理を開始し、ユーザーの入力した指紋画像を検査指紋メモリ6に格納する(図2、図3、図5、図19)。指紋照合装置1では、指紋データベース5に登録されたテンプレートを用いてこの検査指紋メモリ6に取り込んだ検査対象の指紋画像について、指紋登録時と同様にして照合率が検出され、この照合率に基づいて一致不一致が判定される。
【0102】
さらにこのようにして一致の判定結果が得られた場合、登録画像更新処理において(図22、図23)、各テンプレートのスコアと検出したスコアとの間で比較結果が得られ、検出したスコアより値の小さなスコアについては、最も値の小さなスコアが検出したスコアにより更新されると共に、指紋照合に使用した指紋画像よりテンプレートが作成され、この更新したスコアのテンプレートがこの新たなテンプレートにより更新される。
【0103】
これにより指紋の経時変化により指紋照合に適さなくなったテンプレートが新たなテンプレートにより更新され、指紋照合装置1では、常に高い照合率が得られるように維持される。またこのとき前回の指紋照合に使用したテンプレートより続くテンプレートが使用されて指紋照合の処理が実行され、必要に応じて更新されることにより、例えば数カ月に1回程度しか指紋照合しないようなユーザーにおいても、季節変動に対応したテンプレートが蓄積され、これにより高い照合率が維持される。
【0104】
また指紋照合により得られるスコアと、指紋データベースに登録したスコアとの比較によりテンプレートを更新することにより、指紋照合の処理に加えて、これらスコアの比較処理、データベースの書き換え処理だけで、テンプレートを更新することができ、これにより短時間でこれらの処理を完了して、指紋照合に供する負担を軽減することができる。
【0105】
さらにこのとき指紋照合に使用したテンプレートのスコアが、検出したスコアにより更新され、これにより指の経時変化によりこのテンプレートが指紋照合に適さなくなっている場合には、このテンプレートのスコアが低下し、これにより何れかの指紋照合により更新されることになり、これらによっても高い照合率が維持される。
【0106】
これに対して1のテンプレートにより不一致の判定結果が得られると、指紋データベース5に登録された第1〜第5のテンプレートを順次使用して、指紋照合の処理が実行され、これにより例えば数カ月に1回程度しか指紋照合しないようなユーザーにおいて、指紋が経時変化、季節により変化している場合でも、高い照合率により確実に本人と判定でき、高い照合率を得ることができる。
【0107】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、テンプレートの登録時、所定値以上のスコアを検出することができるテンプレートを選択的に登録することにより、指紋照合に適した指よりテンプレートを生成、登録でき、これにより照合精度を向上することができる。
【0108】
またこのとき指紋照合時の判定基準に比して厳しい基準値によりスコアを判定してテンプレートを登録することにより、連続して取り込んだ指紋画像より、指紋照合に適したテンプレートを確実に選択することができる。
【0109】
また個人毎に、指紋照合の判定基準を登録できることにより、個人毎に、セキュリティーのレベルを設定して、この種のシステムの使い勝手を向上することができる。
【0110】
さらにこの種のテンプレートを複数登録して順次循環的に使用して指紋照合することにより、季節変動等によって指紋画像が変化した場合でも、適切なテンプレートにより指紋照合することができ、その分照合精度を向上することができる。
【0111】
また各テンプレートに登録したスコアを基準にして、検査対象の指紋画像より生成したテンプレートで登録したテンプレートを更新することにより、経時変化等により指紋照合に適さなくなったテンプレートを更新することができ、これによっても照合精度を向上することができる。このとき指紋照合により検出されるスコアと、指紋データベースに登録されたスコアとの比較結果により、最も値の小さなスコアについてテンプレートを更新することにより、簡易かつ短時間の処理によりテンプレートを更新することができる。
【0112】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、データベースに各5枚のテンプレートを保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じてテンプレートを複数枚登録して上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
また上述の実施の形態においては、ビットマップデータによる一致度の分布を集計して最大値を検出することにより照合率を検出し、この照合率よりスコアを検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は線状画像相互間の位置関係により各線状画像を変位させて得られる一致度を処理して一致不一致を判定する場合に広く適用することができる。
【0114】
また上述の実施の形態においては、指紋データベースに線状画像によるテンプレートを登録し、検査対象の指紋画像上でこの線状画像を走査させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これとは逆に、検査対象の指紋画像より線状画像を切り出し、指紋データベースに登録した指紋画像上で走査させる場合にも適用することができる。なおこの場合、指紋画像そのものがテンプレートとして指紋データベースに登録され、このテンプレートを必要に応じて更新することになる。
【0115】
さらに上述の実施の形態においては、幅が1画素の線状画像を走査させて一致度を検出し、この一致度を処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2次元的な広がりを有する所定領域を切り出して一致度を検出する場合にも広く適用することができる。
【0116】
また上述の実施の形態においては、いわゆるパターンマッチング方式により指紋照合する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、特徴点を基準にして指紋照合するマニューシヤ方式等、指紋の特徴を示すデータによるテンプレートを登録する場合、さらにはこのテンプレートにより指紋照合する場合に広く適用することができる。
【0117】
さらに上述の実施の形態においては、機器の内部にテンプレートを保持する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば通信回線を介して、データベースに登録されたテンプレートをアクセスする場合等にも広く適用することができる。
【0118】
また上述の実施の形態においては、ハードウエア構成により照合率を検出し、システム制御回路の演算処理によりこの照合率からスコアを計算する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばコンピュータに指紋画像を取り込んで処理する場合にも適用することができる。
【0119】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を指紋照合装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば印影の照合装置、さらにはデータベース化された画像間で、全体又は部分的に類似、否類似を判定する画像照合装置等に広く適用することができる。
【0120】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、テンプレートの登録時、所定値以上のスコアを検出することができるテンプレートを選択的に登録することにより、照合に適したテンプレートを登録でき、これにより照合精度を向上することができる。
【0121】
また個々の判定対象毎に判定基準を設定することにより、例えば個人毎に、セキュリティーのレベルを設定して使い勝手を向上することができる。
【0122】
また照合により検出したスコアを基準にして、登録したテンプレートを更新することにより、簡易な処理により、経時変化等により照合に適さなくなったテンプレートを更新することができ、これによっても照合精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の動作の説明に供するフローチャートである。
【図2】図1の指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】図2の指紋照合装置の指紋データ入力部を示すブロック図である。
【図4】図3の指紋データ入力部による指紋の画像を示す略線図である。
【図5】照合率検出部の一部を周辺回路と共に示すブロック図である。
【図6】指紋データベースの内容を示す略線図である。
【図7】枠設定の説明に供する略線図である。
【図8】線状画像の切り出しの説明に供する略線図である。
【図9】図8の線状画像と異なる方向について切り出される線状画像の説明に供する略線図である。
【図10】図8の線状画像の走査の説明に供する略線図である。
【図11】図9の線状画像の走査の説明に供する略線図である。
【図12】座標メモリの説明に供する略線図である。
【図13】図5の照合率検出部の残りを示すブロック図である。
【図14】一致度の処理の説明に供する略線図である。
【図15】図14の領域が重なり合う場合の処理の説明に供する略線図である。
【図16】基準の線状画像と図14の領域との関係を示す略線図である。
【図17】一致度分布の集計の説明に供する略線図である。
【図18】システム制御回路3の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図1の続きの処理手順を示すフローチャートである。
【図20】照合率、スコア及び各種判定基準との関係を示す略線図である。
【図21】指紋照合処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】登録画像更新処理の説明に供するフローチャートである。
【図23】図22の処理の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1……指紋照合装置、3……システム制御回路、4……指紋データ入力部、5……指紋データベース、6……検査指紋メモリ、7……照合率検出部、40……一致度検出部、32……座標メモリ、50……テンポラリ用メモリ、51……足し合わせ部、52……足し合わせ用メモリ、53……最大値検出部、PC……ホストパーソナルコンピュータ

Claims (6)

  1. 画像入力手段を介して取得した基準画像の特徴を示すデータによるテンプレートを基準にして、前記基準画像と検査対象画像との間で一致の程度を示すスコアを検出し、前記スコアと所定の判定基準との比較結果に基づいて、前記基準画像及び検査対象画像の一致又は不一致を判定する画像照合装置において、
    1の判定対象に対して、前記テンプレートを複数登録し、
    前記テンプレートの登録時、
    前記基準画像に対応する第1及び第2の登録対象の画像を取得し、
    前記第1又は第2の登録対象の画像によるテンプレートを検出し、
    該テンプレートを用いて、前記第2又は第1の登録対象の画像について、前記スコアを検出し、
    該スコアが所定の基準値以上のとき、前記テンプレートと対応するスコアとを登録し、
    前記検査対象画像の判定時、
    前記複数のテンプレートの何れかを選択的に使用して前記検査対象画像との間で前記スコアを検出し、
    該検出したスコアと前記判定基準との比較結果に基づいて、前記基準画像及び検査対象画像の一致又は不一致を判定し、
    前記一致の判定結果が得られるとき、
    前記検査対象画像より新たなテンプレートを生成し、
    前記検出したスコアと各テンプレートについて登録された前記スコアとの比較結果に基づいて、前記登録されたテンプレート及びスコアを、前記新たなテンプレートと前記検出したスコアとにより更新すると共に、前記検出したスコアの検出に使用したテンプレートのスコアを前記検出したスコアに更新する
    ことを特徴とする画像照合装置。
  2. 前記判定基準に比して、前記基準値を大きな値に設定した
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像照合装置。
  3. 前記スコアを個々のテンプレート毎に登録した
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像照合装置。
  4. 画像入力手段を介して取得した基準画像の特徴を示すデータによるテンプレートを基準にして、前記基準画像と検査対象画像との間で一致の程度を示すスコアを検出し、前記スコアと所定の判定基準との比較結果に基づいて、前記基準画像及び検査対象画像の一致又は不一致を判定する画像照合方法において、
    1の判定対象に対して、前記テンプレートを複数登録し、
    前記テンプレートの登録時、
    前記基準画像に対応する第1及び第2の登録対象の画像を取得し、
    前記第1又は第2の登録対象の画像によるテンプレートを検出し、
    該テンプレートを用いて、前記第2又は第1の登録対象の画像について、前記スコアを検出し、
    該スコアが所定の基準値以上のとき、前記テンプレートと対応するスコアとを登録し、
    前記検査対象画像の判定時、
    前記複数のテンプレートの何れかを選択的に使用して前記検査対象画像との間で前記スコアを検出し、
    該検出したスコアと前記判定基準との比較結果に基づいて、前記基準画像及び検査対象画像の一致又は不一致を判定し、
    前記一致の判定結果が得られるとき、
    前記検査対象画像より新たなテンプレートを生成し、
    前記検出したスコアと各テンプレートについて登録された前記スコアとの比較結果に基づいて、前記登録されたテンプレート及びスコアを、前記新たなテンプレートと前記検出したスコアとにより更新すると共に、前記検出したスコアの検出に使用したテンプレートのスコアを前記検出したスコアに更新する
    ことを特徴とする画像照合方法。
  5. 前記判定基準に比して、前記基準値を大きな値に設定した
    ことを特徴とする請求項に記載の画像照合方法。
  6. 前記スコアを個々のテンプレート毎に登録した
    ことを特徴とする請求項に記載の画像照合方法。
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