JP3856723B2 - 溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法 - Google Patents

溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接用ワイヤの送給性向上、通電安定性向上又は耐錆性向上のために、潤滑剤をワイヤ長手方向に均一に塗布する溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アーク溶接用ワイヤの送給性を向上させる方法としては、ワイヤ表面に滑り性を有する潤滑剤を塗布することが一般的である。従来、ワイヤ表面に潤滑剤を塗布する方法としては、特開平9−234590号公報に記載されているように、例えば、固体潤滑剤をワイヤ表面に押付けて塗布する方法と、湿式伸線時の潤滑剤としてワイヤ表面に付着させる方法と、伸線の最終スキンパスで塗布する方法と、フェルト等に潤滑剤を染み込ませ、そのフェルトをワイヤに押し付けながら付着させる方法とがある。また、特開昭59−145061号公報、特開昭59−145062号公報、及び特開昭59−145077号公報には、潤滑剤を霧化し、静電気力を利用して塗布する方法が記載されている。特開平6−106129号公報には、静電気力を利用することに加え、搬送用によりワイヤに吹きつける塗布方法が記載されている。
【0003】
潤滑剤の種類としては、特開平06−285678号公報、特開平09−70684号公報、特開平7−24169号公報に記載されているように、MoS、WS、PTFE、C、フッ化黒鉛又は金属石鹸が挙げられる。これらは全てワイヤの送給性を向上させ、また安定化させる目的で塗布されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スキンパスダイス等を用いて伸線工程で塗布する方法、又はフェルト等に染み込ませてワイヤに潤滑剤を塗布する方法では、ワイヤ10kgあたり数g以下といった極めて少量の潤滑剤を均一に塗布しようとした場合、伸線条件及びワイヤ表面状態の違いにより、油の付着量が変動し、ワイヤ長手方向に均一に残すことができないという問題点がある。また、圧縮空気又は遠心力を利用して潤滑剤を霧化した後、シェイピングエアーと呼ばれる吹き付け用の潤滑剤搬送空気流を利用した塗布方法では、閉空間で乱流を引き起こし、均一に塗布することができない。潤滑剤の付着状態が不均一であると、溶接時の送給抵抗に変動が生じ、アークの不安定性を引き起こすことで、ヒューム発生量が増加するなど、作業性を損なうという問題点が生じる。
【0005】
これらの不均一性の問題点は、具体的には、ワイヤ長手方向の潤滑剤付着量バラツキが、前記複合潤滑剤付着量のバラツキを指標としたときに、その標準偏差がワイヤ平均付着量の30%を超える値となることから検知できるものである。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、安定したワイヤ送給性とアーク安定性を併せ持ち、ヒュームが少ない良好な溶接作業性を有する溶接用ワイヤを得るために、潤滑剤をワイヤ表面の長手方向に均一に塗布することができる溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法は、植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された1種類以上を基油とし、MoS、WS、C及びPTFEからなる群から選択された1種類以上の固体粉末が分散している複合潤滑剤の液体を定量ポンプにて切出し、これを回転カップの遠心力で吹き飛ばすことにより霧化し、霧滴を回転カップの側方に配置した溶接用ワイヤの表面に付着させることによって、ワイヤ長手方向の前記潤滑剤量の標準偏差を、潤滑剤量平均値の30%以下に制御することを特徴とする。
【0009】
本発明においては、植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された1種類以上を基油とし、この基油中に、MoS、WS、C及びPTFEからなる群から選択された1種類以上の固体粉末が分散している複合潤滑剤を使用し、その液体状である複合潤滑剤を遠心力により霧化して、溶接用ワイヤの表面に付着させる際、ワイヤの長手方向に均一に潤滑剤を塗布することができる方法を提供するものである。
ここで、前記の複合潤滑剤が、ワイヤ表面に存在していると、長尺コンジットケーブルを使用した場合や、コンジットケーブルを屈曲した状態で使用した場合などでも送給抵抗が低減するため、安定したワイヤ送給が可能となり、結果的に、アークが安定し、スパッタ発生量とヒューム発生量とが低減するという作用効果が得られることがわかっているが、更に、液体と固体の複合潤滑剤であるが故に、ワイヤ表面の長手方向に均一を塗布することが、従来は困難であった。しかしながら、これらの複合潤滑剤は、本願に述べる塗布方法との組合せによって、ワイヤ表面に、前記塗布剤を均一に付着せしめることができるようになる。具体的には、ワイヤ長手方向の油量バラツキの標準偏差がワイヤ平均付着量の30%以下に制御可能となる。その結果、チップにおける給電安定性をより一層向上させることができ、スパッタ発生量とヒューム発生量とを、劇的に低減することが可能となるのである。
【0010】
この溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法において、遠心力で霧化された前記潤滑剤に電圧を印加し、静電気力を利用して溶接用ワイヤの表面に付着させることもできる。これにより、塗布の安定性及び付着効率を向上させることができる。この場合に、印加電圧を変えることにより、塗布量の細かい制御が可能となる。その際に、吹き付け用の潤滑剤搬送空気流を用いないで、遠心力のみを利用して霧化及び搬送を行うことで、塗布効率が良く、より均一にワイヤ表面に塗布することができる。
【0011】
更に、前記溶接用ワイヤは銅めっきが周面に形成されているか、又は前記溶接用ワイヤはめっきが無いソリッドワイヤである。
【0012】
更にまた、前記溶接用ワイヤは例えばフラックス入りワイヤである。
【0013】
更にまた、前記基油に分散したMoS、WS、C又はPTFEの粒子径が0.1〜10μmである複合潤滑剤を使用するか、又は前記基油に分散したMoS、WS、C又はPTFEの粒子径が0.1〜2μmである複合潤滑剤を使用することができる。複合潤滑剤中のMoS、WS、C、PTFEの粒径を0.1〜10μmとすることで、更に塗布の安定性が向上する。塗布の均一度及び安定性を一層向上するためには、MoS、WS、C、PTFEの粒径を0.1〜2μmとするとよい。
【0014】
この前記複合潤滑剤において、固体潤滑剤粒子の複合潤滑剤全体に対する配合比率は、2乃至50質量%である(残りが基油部分の比率)。更に好ましい固体潤滑剤粒子の配合比率は5乃至30質量%である。配合比率が2質量%未満であると、分散は容易ではあるが、十分な給電安定効果すなわちスパッタ及びヒュームの低減効果に繋がらない。50質量%を超えると、分散安定性が劣化し、ワイヤから剥離してコンジットライナー及びチップの内面に堆積する複合潤滑剤量が増大し、ワイヤ送給性や給電安定性を阻害するため、アークが安定せず、目的とするスパッタ及びヒュームの低減効果に繋がらない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)は本発明の参考例に係る複合潤滑剤の塗布方法を示す正面図、図1(b)はチャンバ1の平面図である。チャンバ1に対し、溶接用ワイヤ2がチャンバ1内を水平方向に通過するように送給されるようになっており、チャンバ1内の中央には溶接ワイヤ2の背後に、複合潤滑剤受け3がその面を垂直にして配置されている。また、チャンバ1内には、この潤滑剤受け3を背面に配置してワイヤ3に対し霧化した複合潤滑剤を噴霧するノズル4が配置されている。このノズル4は配管7を介して複合潤滑剤タンク9に接続されている。タンク9内には、複合潤滑剤10が貯留されており、この複合潤滑剤10はポンプ8により定量切り出されて、配管7を介してノズル4に送給される。なお、例えば、チャンバ1の幅は200乃至2000mm、高さは200乃至2000mmであり、ノズル4とワイヤ2との間の間隔は10乃至200mmである。
【0016】
また、配管7におけるノズル4側の部分は、二重管構造の同軸管6となっており、同軸管6の外管と内管との間の隙間から圧縮空気をノズル4に向けて供給するようになっている。これにより、複合潤滑剤は、ノズル4にて、圧縮空気により霧化され、霧滴の状態でワイヤ2に向けて噴出される。ノズル4には、高圧電源5が接続されており、ノズル4にて霧化された霧滴が所定の負電位に帯電する。
【0017】
タンク9内に貯留された複合潤滑剤は、植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された1種類以上を基油とし、MoS、WS、C及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる群から選択された1種類以上の固体粉末が分散している。この複合潤滑剤はプロペラ20により常時撹拌されている。
【0018】
このように構成された本実施例の潤滑剤塗布方法においては、本発明の複合潤滑剤は基油にMoS、WS、C又はPTFEの固体粉末を分散させたものであり、これをプロペラ20により撹拌して均一化しておき、定量搬送ポンプ8により所定量切り出し、圧縮空気によりノズル4から霧化した状態で噴霧する。この場合に、ノズル4には高圧電源5から高電圧の負電圧が印加されており、従って、ノズル4から噴霧される霧滴には高電圧の負電圧が付与されている。これにより、ワイヤ2の周面に霧滴状の複合潤滑剤が噴霧され、ワイヤ2のような小さい表面を持つ場合にも複合潤滑剤が均一に付着する。
【0019】
また、本実施例においては、複合潤滑剤として、基油にMoS、WS、C又はPTFEの固体粉末を分散させたものを使用するので、これがワイヤ表面に存在していると、長尺コンジットケーブルを使用した場合、及びコンジットケーブルを屈曲した状態で使用した場合等においても、送給抵抗が低減するため、安定したワイヤ送給が可能となり、結果的に、アークが安定し、スパッタ発生量とヒューム発生量とが低減するという効果が得られる。
【0020】
更に、前記複合潤滑剤と本発明の塗布方法とを組み合わせることにより、ワイヤ表面に、潤滑剤を均一に付着させることができる。これにより、チップにおける給電安定性をより一層向上させることができ、スパッタ発生量とヒューム発生量とを著しく低減することができる。
【0021】
本発明者等は、ワイヤへの送給潤滑剤の塗布方法とワイヤ長手方向の複合潤滑剤付着量の安定性について調査を行った。その結果、複合潤滑剤を霧化し、その霧中にワイヤをくぐらせ、ワイヤ表面に衝突塗布する方法で潤滑剤を塗布すると、極めて安定した付着状態が実現できることが分かった。潤滑剤を単位時間当たり一定量搬送するためには、ギア式ポンプ又はスクリュー式ポンプ、ローラー式ポンプ等の定量ポンプを使用すれば良く、霧化の方法としては、圧縮空気を使用したスプレー方式による霧化方法及び回転の遠心力を利用した霧化方法を試みた。いずれの方法であっても均一に霧化でき、塗布も良好に行うことができた。また、そのいくつかを組合せて使用した場合も良好に霧化・塗布することができた。
【0022】
その他に複合潤滑剤をワイヤ表面に付着させる方法として、伸線潤滑剤として伸線中にワイヤ表面に付着させる方法と、最終スキンパスで塗布する方法と、フェルト等に潤滑剤を染み込ませ、ワイヤ表面に押付ける方法等を試したが、いずれも複合潤滑剤の付着量を均一にすることは不可能であった。また、遠心力を利用して霧化された潤滑剤を、シェイピングエアーによりワイヤに噴きつける従来からの方法(図2−(a))も試したが、閉空間内では乱流を引き起こし、均一な塗布ができなかった。更に、ポンプを使用しないで圧縮空気を噴出したときの負圧により潤滑剤を吸い上げる方法を使用した場合には、均一に霧化することができなかった。
【0023】
更に、効率よく塗布するためには、霧化された複合潤滑剤に電圧を加え、潤滑剤とワイヤ間の電位差から発生する静電気力を利用すると良い。この方法を用いると、潤滑剤の付着効率を向上させるだけでなく、印加電圧を調整することにより、潤滑剤の付着量を正確に制御することが可能となる。
【0024】
また、霧化の安定性と複合潤滑剤の関係を詳細に調査した結果、複合潤滑剤に含まれるMoS、WS、C、PTFEの粒径が重要であることが分かった。MoS、WS、C、PTFEの粒径が0.1〜10μmの範囲にある場合、液滴径が細かくなり、より一層均一に霧化することができる。このため、ワイヤへの塗布量も均一にすることができる。粒径が5μm以上であると、油への分散性が不均一となりやすく、このため、霧化の均一性がやや悪くなるため、塗布量のばらつきがやや大きくなる。また、粒径が0.1μm以下であっても、それ以上霧化の均一性が向上することはなかった。なお、粒径が0.1〜2μmであれば、更に一層均一に霧化することができ、塗布を安定に行うことができるので好ましい。
【0025】
次に、本発明の実施例について説明する。図2−(b)は、本発明と従来方式との差異を示す概念図である。更に、図3は本発明の実施例に係る複合潤滑剤の塗布方法を示す具体的な装置図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。塗布ブース11内を2本の溶接用ワイヤ12が通過するように適宜の送給装置により駆動されている。このワイヤ12が対向する領域の中央には、回転カップ13がその中心軸を水平にして配置されており、この回転カップ13は駆動装置14によりその中心軸を回転軸として回転駆動されるようになっている。回転カップ13は基端部側から先端部側にかけて拡開しており、図の破線にて囲んで示すように、中心軸を通る断面において、例えば、この回転カップ13の開き角度は10乃至80°、先端の縁部の直径が50乃至200mmである。
【0026】
この回転カップ13の基端部と、塗布ブース11外のタンク9との間は配管15により接続されており、タンク9内には第1実施例と同様の潤滑剤10が貯留されている。
【0027】
このように構成された複合潤滑剤の塗布方法においては、潤滑剤10がポンプ8により所定量切り出され、塗布ブース11内の回転カップ13の基端部に供給される。この回転カップ13は駆動装置13により所定の回転速度で回転駆動されており、供給された潤滑剤は、回転カップ13の面から遠心力により回転軸に垂直の方向に飛ばされ霧化し、回転カップ13の回転軸に垂直の面内で、放射状に飛散する。これにより、この飛散した潤滑剤の霧滴が、回転カップ13を間に挟んで対向する位置をとおるワイヤ12に付着し、潤滑剤がワイヤ12に均一に塗布される。
【0028】
図4は噴霧ノズル又は回転カップと、ワイヤとの位置関係を示す図であり、噴霧ノズルの場合はノズル4の中心を通る断面であり、回転カップ13の場合は回転カップの回転軸を通る断面である。ノズル4又は回転カップ13から噴霧された潤滑剤の霧滴は、その飛散してくる領域の中心に対し、図4に示すような濃度分布を持つ。ノズル4の場合、ノズル先端を円錐の頂点とする放射状の噴霧形状となる。一方、本発明の様にシェイピングエアー使用しない回転カップ13の場合、図2−(b)の様に、カップの周面を含む平面上に広がる噴霧形状となり、その平面内にワイヤを配置すれば、最も効率のよい塗布が可能である。
【0029】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0030】
<ワイヤの製造方法>
先ず、ワイヤの製造方法について説明する。試験に使用したワイヤは、線径が1.2mmのJIS Z3312 YGW11の銅めっきあり又はめっき無しの軟鋼ソリッドワイヤ、JIS Z3313 YFW−C50DXの銅めっきあり又はめっき無しの軟鋼フラックス入りワイヤである。これらのワイヤの伸線途中で、圧縮空気又は遠心力により霧化した潤滑剤を塗布した。伸線速度は100〜1000(一例として、400,600,800)m/分で行った。塗布は、最終径でワイヤ表面の伸線潤滑剤を取り除いてから行った。塗布量の調整は、電圧を印加しない場合には、定量ポンプで潤滑剤の流量を調整することにより霧化量を変えて行い、電圧を印加する場合は、潤滑剤の霧化量と印加電圧の両方を変えて行った。潤滑剤噴霧後、フェルト等を使用して潤滑剤をワイヤ表面上で伸ばしてもよい。
【0031】
図1に示すノズルを使用して圧縮空気で霧化した塗布装置においては、以下の条件により塗布した。
1.複合潤滑剤は常時攪拌し、複合潤滑剤の均一性を保つ。
2.複合潤滑剤の搬送には定量ポンプを使用し、流量を調整する。
3.同軸管の中心に潤滑剤を通し、外側から圧力1.0〜4.0MPa程度(例えば、2.5,3.0,4.0MPa)の圧縮空気を送り、管出口にて霧化する。
4.ワイヤは噴霧ノズルの前方で、霧濃度が最も高い位置に配置する。
5.静電気力を使用する場合は、先端ノズルにマイナス1〜90kV(例えば、マイナス30,50,70kV)の電圧を印加し、潤滑剤を帯電させる。更に、被塗布体であるワイヤをアース(接地)する。
【0032】
図3に示す遠心力を利用した霧化による潤滑剤塗布装置においては、以下の条件により塗布した。
1.複合潤滑剤は常時攪拌し、複合潤滑剤の均一性を保つ。
2.複合潤滑剤の搬送には定量ポンプを使用し、流量を調整する。
3.10000,13000,又は15000rpmで回転する直径50〜200mm(例えば、50,75,100mm)の回転カップに設けられた角度10〜80°(例えば、マイナス30,45,60°)のテーパ部に複合潤滑剤を滴下し、遠心力を利用して均一に霧化する。
4.滴下が断続的にならないよう、潤滑剤搬送パイプ先端とカップ内面とのギャップを調整する。
5.ワイヤは回転カップ直下及び/又は直上の霧濃度が高い位置に配置する。
6.静電気力を使用する場合は、回転カップにマイナス1〜90kV(例えば、マイナス30,50,70kV)の電圧を印加し、複合潤滑剤を帯電させる。更に、被塗布体であるワイヤをアース(接地)する。
【0033】
基油部分の測定、複合潤滑剤に含まれる元素の同定、及び粒子径の測定は、以下の方法により行った。
【0034】
<基油量測定>
基油量は、ワイヤ表面を四塩化炭素で洗浄し、赤外吸収法で定量測定した。
【0035】
<潤滑粒子の同定>
ワイヤを有機溶媒(例えばエタノール、アセトン、石油エーテル等)で洗浄した後、洗浄液をろ紙で濾過し、その後、乾燥させる。ろ紙に残った粉末をX線回折解析又は赤外吸収法により結晶性又は分子構造を特定し、化学的分析方によって構成元素の質量比を求め、潤滑粒子の化学組成を決定する。
【0036】
<粒径の測定>
走査型電子顕微鏡で粒径を観察する。
【0037】
<塗布安定性の評価>
ワイヤ表面の基油部分の量をワイヤ10mおきに20箇所測定し、その平均値と標準偏差とをまず求める。そして、複合潤滑剤の配合比のまま、ワイヤに付着しているのであるから基油の配合比で割り返して、複合潤滑剤の平均値及び標準偏差を求める。この標準偏差が、平均値の30%未満である場合に油量が安定して塗布されていると判断し、30%以上で不安定であると判断した。
【0038】
その結果を下記表1乃至4に示す。表1は銅めっきありの場合の実施例を示し、表2は銅めっきありの場合の比較例を示し、表3はめっきなしの場合の実施例を示し、表4はめっきなしの場合の比較例を示す。なお、各表において、FCWとは、フラックス入りワイヤのことである。また、この表1乃至4での、複合潤滑剤中の基油と固体潤滑剤粒子との配合比は、複合潤滑剤の質量を100としたとき、全て、基油:80、固体潤滑剤粒子:20で行なった例である。但し、2種類の固体潤滑剤粒子を使用した場合は、各固体潤滑剤粒子は同量であり、従って2種類の固体潤滑剤粒子を使用した場合は、基油:80、一の固体潤滑剤粒子:10、他の固体潤滑剤粒子:10である。
【0039】
【表1】
Figure 0003856723
【0040】
【表2】
Figure 0003856723
【0041】
【表3】
Figure 0003856723
【0042】
【表4】
Figure 0003856723
【0043】
この表1に示すように、本実施例の銅めっきを施した軟鋼ソリッドワイヤ及び軟鋼FCWにおいては、油量の平均値が少なく、しかも標準偏差が小さい。従って、実施例の場合は、微量の潤滑剤を均一に塗布できていることがわかる。
【0044】
一方、表2に示すように、比較例の銅めっきを施した軟鋼ソリッドワイヤ及び軟鋼FCWにおいては、油量の付着量が多いと共に、標準偏差が大きいものであった。従って、塗布が不均一であると共に、塗布量自体が過剰であった。
【0045】
また、表3に示すように、本実施例のめっきなし軟鋼ソリッドワイヤ及び軟鋼FCWの場合にも、油量が少なく、標準偏差が小さいものであり、微量の潤滑剤を均一に塗布できたことがわかる。
【0046】
これに対し、表4に示すように、比較例のめっきなし軟鋼ソリッドワイヤ及び軟鋼FCWの場合は、油量が多いと共に、標準偏差も大きいものであり、塗布が不均一であることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遠心力という方法を適用し霧化することで、塗布対象面が、溶接用ワイヤのような比較的表面積が小さく、かつ高速で移動する面であっても、少量の潤滑剤をワイヤ長手方向に均一に塗布することができる。
【0048】
霧化した潤滑剤に電圧を印加し、潤滑剤とワイヤ間に生じる静電気力を利用して潤滑剤をワイヤに衝突塗布することで、潤滑剤の付着効率が上がると同時に、印加電圧の調整を行うことによる付着量の制御が可能となる。
【0049】
また、MoS、WS、C、PTFEの粒径が小さく、粒度分布が小さいものを適用することにより、霧化の均一性が向上し、塗布の安定性が均一する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る潤滑剤の塗布方法を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図2】(a)は搬送空気流を使用する従来技術に対して、(b)は本発明の範囲である塗布方法を示したものである。
【図3】本発明の第2実施例に係る潤滑剤の塗布方法を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】霧化した潤滑剤の飛散の分布を示す図である。
【符号の説明】
1:チャンバ
2,12:溶接用ワイヤ
4:ノズル
9:タンク
10:潤滑剤
11:塗布ブース
13:回転カップ

Claims (7)

  1. 植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された1種類以上を基油とし、MoS、WS、C及びPTFEからなる群から選択された1種類以上の固体粉末が分散している複合潤滑剤の液体を定量ポンプにて切出し、これを回転カップの遠心力で吹き飛ばすことにより霧化し、霧滴を回転カップの側方に配置した溶接用ワイヤの表面に付着させることによって、ワイヤ長手方向の前記潤滑剤量の標準偏差を、潤滑剤量平均値の30%以下に制御することを特徴とする溶接用ワイヤヘの潤滑剤塗布方法。
  2. 霧化した前記潤滑剤に電圧を印加し、静電気力を利用して溶接用ワイヤの表面に付着させることを特徴とする請求項に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
  3. 前記溶接用ワイヤは銅めっきが周面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
  4. 前記溶接用ワイヤはめっきが無いソリッドワイヤであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
  5. 前記溶接用ワイヤはフラックス入りワイヤであることを特徴とする請求項3又は4に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
  6. 前記基油に分散したMoS、WS、C又はPTFEの粒子径が0.1〜10μmである潤滑剤を使用することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
  7. 前記基油に分散したMoS、WS、C又はPTFEの粒子径が0.1〜2μmである潤滑剤を使用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の溶接用ワイヤへの潤滑剤塗布方法。
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