JP3856637B2 - 処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部的に実行状態を管理し制御権を有する処理群の実行を制御する、処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部的に過去に表示したページ(プログラム)の履歴(ヒストリ)を管理する手段として、WWWクライアントが存し、クライアント側でページ遷移(状態遷移)を管理している。また、所定の処理手順に従って処理(プログラム処理)を実行する手段として、ワークフローシステムが存在し、内部的に処理の実行状態を管理している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ワークフローシステムとWWWクライアントとを併用すると、内部的に状態を各々管理しているので、相互に状態管理が干渉する問題が生じる。
【0004】
例えば、ワークフローシステムにて所定の一連の処理手順を実行する過程において、結果をWWWクライアントから受取る場合に、WWWクライアント側から結果を送信すると、ワークフローシステム上では次の状態に遷移する(次の処理手順に進む)ところ、WWWクライアントが再要求(リロード)やWWWクライアントが管理する状態の履歴を遡り(ヒストリ、バックボーン)、過去の状態から結果を送信すると、当該送信される結果はワークフローシステムが期待する結果とは異なる為、不正な結果として処理され、従って、ワークフローシステム、WWWクライアントが内部的に管理している状態の同期に不整合が生じる。
【0005】
この不整合が生じる点について、不整合が生じる点を説明した説明図である図5を参照して説明する。
ワークフローシステムWSは、プログラムの実行手順を制御する手段(通常プログラムである)を意味し、予め定められた手順に従いプログラムを起動し、当該起動したプログラムを実行して返却された処理結果に応じて、次に実行するプログラムを決定するものである。
【0006】
ワークフローシステムWS内のプログラムの実行管理は状態遷移モデルにより実現されるのが一般的で、ワークフローシステムWS内部で管理されるプログラムの状態を示す各状態Ss1、Ss2、Ss3、Ssn(添え字のnは任意の自然数、以下同様)は、WWWページの表示を表現し、その結果を待ち受ける状態であり、WWWクライアントWC上の各状態Sc1、Sc2、Scnは、ワークフローシステムWSから指示されたページと関連した状態であるとする(例えばSc1=Ss1であるが説明上別符号にしてある点は、他の符号についても当てはまる。以下同様)。
【0007】
実際にワークフローシステムWSの実行処理が開始されると、始めに状態Ss1と関連付けられた処理(プログラム)として、WWWページが表示され、WWWクライアントWCは状態Sc1に遷移し、ワークフローシステムWSはその表示されたページからの返却を待ち受ける状態Ss1に遷移する。そして、そのページから処理結果がワークフローシステムWSに返却されると、結果の評価(この評価は発明の本質ではないので省略)に従って次に遷移すべき状態が決定され、ここでは次の状態として状態Ss2として選択されたとする。
【0008】
同様に、状態Ss2と関連付けられた処理(プログラム)として、WWWページが表示され、WWWクライアントWCは状態Sc2に遷移し、ワークフローシステムWSはそのページからの返却を待ち受ける状態Ss2に遷移する。この状況を示したのが、図5(a)の状態図である。
【0009】
WWWクライアントWCは、内部的に起動されたプログラム(WWWページ)の履歴を管理している為、WWWクライアントWC利用者により、過去のプログラムに遡ることが可能であり、履歴を辿って、状態Sc1に遷移したものとすると−この状況を示したのが図5(b)の状態図であるが−ここで、状態Sc1に対応したWWWページから、ワークフローシステムWSに処理結果を返却すると、ワークフローシステムWSは状態Sc2からの結果を期待しているので、正しい処理ができなくなる。
【0010】
以上が、ワークフローシステム、WWWクライアントが内部的に管理している状態の同期に不整合が生じる問題を例示説明したが、別の側面から説明すると、例えば、ワークフローシステムを利用してWWWによる電子商店を構築する場合、商品検索は、商品一覧検索、商品詳細情報、また別の商品を検索可能にページの行き来を自在に行われる。
【0011】
一方、決済時点では、一定の順序を踏むことが必要となるので、自由なページ遷移は不許可となることから、目的、処理の内容に応じてページ(プログラム)遷移に関する制御が必要になるが、従来の技術では達成できなかった。
【0012】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は以下の通りである。
本発明の第1の目的は、状態を内部的に管理しお互いに制御権を持つ処理群が協調実行して一連の処理を遂行できる、処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体の提供にある。
【0013】
本発明の第2の目的は、WWWクライアントとワークフローシステムとを併用した場合に生じる同期不整合を回避できる、処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体の提供にある。
【0014】
本発明の第3の目的は、目的、処理内容に応じて、ページ、プログラムの遷移を制御可能とする、処理協調実行方法及びシステム並びに処理協調実行プログラムを記録した記録媒体の提供にある。
【0015】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に、特許請求の範囲における各請求項の記載から自ずと明らかとなろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明方法は、前記課題の解決に当たり、任意の制御処理を一貫実行するに際し、一制御処理の或処理実行の結果に基づき次の処理の選択・実行を、順次繰り返す実行方法において、前記一制御処理における各状態に付与された状態遷移に関する遷移制御情報と各状態との状態遷移グラフと、現在の処理の実行状態を指し示すポインタとを具備させておき、当該遷移制御情報を付与しない他の制御処理から前記一制御処理に対して、送信元識別子が送信され遷移要求があると、前記一制御処理にて、前記ポインタが指し示す状態の遷移制御情報を確認した後に、当該確認に応じて前記次の処理を変更してなる、特徴的構成手法を講じる。
【0017】
本発明システムは、前記課題の解決に当たり、外部との入出力を行う入出力部と内部の状態を制御する状態制御部と各プログラムを格納して当該状態制御部により決定された次のプログラムを起動するプログラム起動部とを備えたワークフローシステムと、当該ワークフローシステムと共にプログラムを実行する別の手段とを情報通信ネットワークを介して接続されるシステムであって、前記状態制御部と接続されて前記内部の状態の制御に供され、当該内部の状態と状態遷移に関する遷移制御情報とを表する状態遷移グラフと、現在の状態を指し示すポインタとを備えた遷移管理部を前記ワークフローシステムに具備し、前記別の手段から、前記ワークフローシステムに対して、送信元識別子の送信と共に遷移要求があると、当該ワークフローシステムの前記状態制御部にて、前記ポインタが指し示す状態の遷移制御情報を確認して、当該確認に応じて次のプログラムを変更するようシステム構築してなる、特徴的構成システムを講じる。
【0018】
本発明記録媒体は、前記課題の解決に当たり、各プログラム処理の実行状態を内部的に制御するワークフローシステムにおいて、当該プログラム処理が、当該ワークフローシステムとは別の手段と共に実行され、当該別の手段により処理実行された結果に基づき、当該ワークフローシステムにおける次のプログラム処理が選択されて順次繰り返すに当たり、当該ワークフローシステムにインストールされて利用に供される処理協調実行プログラムを記録した記録媒体であって、当該処理協調実行プログラムが、前記別の手段からの送信元識別子の送信の存否を判定し、送信されたと判定された場合には、状態遷移グラフと現在のプログラム処理の実行状態を指し示すポインタとを管理する遷移管理手段内の当該ポインタが指し示す状態に関連付けられた遷移制御情報と、前記送信元識別子に対応する状態の遷移制御情報との少なくとも一方の遷移制御情報を読み、当該読んだ遷移制御情報を考慮して遷移許可の場合においてのみ、当該遷移管理手段内の前記ポインタを前記送信元識別子が指し示す状態に変更してから、遷移処理を行ってなる、特徴的プログラムを記録する。
【0019】
更に、具体的詳細に述べると、前記課題の解決は、本発明が次に列挙する新規な特徴的構成手法、特徴的構成手段又は特徴的プログラムの採用により、前記目的を達成するように為される。
【0020】
本発明方法の第1の特徴は、ワークフローシステムとWWWクライアントとを併用し、任意の制御処理を一貫実行するに際し、一制御処理の或処理実行の結果に基づき次の処理の選択・実行を、順次繰り返す実行方法であり、前記ワークフローシステムには、当該ワークフローシステムの前記一制御処理における各状態に付与された状態遷移に関する各状態との状態遷移グラフと、現在の処理の実行状態を指し示すポインタと、当該状態遷移グラフに基づき当該ポインタが指し示す状態遷移に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグとを具備させておき、前記WWWクライアントから前記ワークフローシステムに対して、遷移要求が送信されると、当該ワークフローシステムは当該遷移要求に送信元識別子が付与しているか否かを判断し、送信元識別子が付与している場合は送信元識別子に対応する前記遷移制御状態のフラグを読み、また、送信元識別子が付与していない場合には当該ワークフローシステムの現在の前記ポインタの指し示す前記遷移状態のフラグを読み、遷移許可か遷移不許可かを確認し、遷移許可の場合には、送信元識別子に対応する状態に前記ポインタを強制的に遷移させ、その遷移先の状態から遷移処理を行って、前記WWWクライアント主導の状態遷移を実行し、一方、遷移不許可の場合には前記ポインタが指し示す状態に関連する処理を行って、前記ワークフローシステム主導の状態遷移を実行してなる、処理協調実行方法の構成採用にある。
【0021】
本発明方法の第2の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における前記遷移制御情報は、前記処理開始からの結果応答までの時間に関する情報である、処理協調実行方法の構成採用にある。
【0027】
本発明システムの第1の特徴は、外部との入出力を行う入出力部と内部の状態を制御する状態制御部と各プログラムを格納して当該状態制御部により決定された次のプログラムを起動するプログラム起動部とを備えたワークフローシステムと、当該ワークフローシステムと共にプログラムを実行するWWWクライアントとを情報通信ネットワークを介して接続されるシステムであって、前記状態制御部と接続されて前記内部の状態の制御に供され、当該内部の状態と状態遷移に関する状態遷移グラフと、現在の状態を指し示すポインタと、当該状態遷移グラフに基づき当該ポインタが指し示す状態遷移に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグを備えた遷移管理部を前記ワークフローシステムに具備し、前記WWWクライアントから、前記ワークフローシステムに対して、遷移要求が送信されると、当該ワークフローシステムの前記状態制御部にて、当該遷移要求に送信元識別子が付与しているか否かを判断するとともに、当該送信元識別子が送信された場合には前記ポインタが指し示す遷移先へ当該ポインタを変更し、当該ポインタが指し示す前記遷移状態のフラグの遷移許可、遷移不許可を確認して、遷移許可であれば送信元識別子に対応する状態に前記ポインタを強制的に遷移させ、その遷移先の状態から遷移処理を行い、一方、遷移不許可の場合には前記ポインタが指し示す状態に関連する処理を行うようシステム構築してなる、処理協調実行システムの構成採用にある。
【0033】
本発明記録媒体の第1の特徴は、各プログラム処理の実行状態を内部的に制御するワークフローシステムにおいて、当該プログラム処理が、当該ワークフローシステムとは別のWWWクライアントと共に実行され、当該WWWクライアントにより処理実行された結果に基づき、当該ワークフローシステムにおける次のプログラム処理が選択されて順次繰り返すに当たり、当該ワークフローシステムにインストールされて利用に供される処理協調実行プログラムを記録した記録媒体であって、当該処理協調実行プログラムが、前記WWWクライアントからの送信元識別子の送信の存否を判定し、送信されたと判定された場合には、前記ワークフローシステムの制御処理における各状態に付与された遷移状態に関する状態遷移グラフと現在のプログラム処理の実行状態を指し示すポインタとを管理する遷移管理手段内の当該ポインタが指し示す状態に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグと、前記送信元識別子に対応する状態の遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグとを読み、当該読んだ遷移管理手段内の遷移制御状態のフラグと前記送信元識別子の遷移制御状態のフラグがどちらも遷移許可の場合においてのみ、当該遷移管理手段内の前記ポインタを前記送信元識別子が指し示す状態に変更してから、遷移処理を行ってなる、処理協調実行プログラムを記録した記録媒体の構成採用にある。
【0034】
本発明記録媒体の第2の特徴は、上記本発明記録媒体の第1の特徴における前記遷移制御状態のフラグの読みは、前記ワークフローシステムにおける前記現在のポインタの遷移制御状態のフラグが許可を示す場合には、当該ポインタを強制的に前記送信元識別子に対応するポインタに変更してから処理を継続する一方、当該遷移制御情報が不許可の場合には、変更なしに処理を継続してなる、処理協調実行プログラムを記録した記録媒体の構成採用にある。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する当たり、本発明の概要を先ず説明し、その後に、該当図面を参照して、システム例、記録媒体例、方法例の順に説明する。
【0036】
(発明の概要)
本発明の概要としては、ワークフローシステムとWWWクライアントとの併用を処理群として説明すると、ワークフローシステムにおける状態遷移モデルの各状態に、遷移制御に関する遷移制御情報を付与しおく。
【0037】
他方、遷移制御情報を付与しないWWWクライアントにおける処理である一プログラムから該プログラム自身を指し示す識別子(送信元識別子)の送信をワークフローシステムが受けると、当該送信元識別子に対応する状態の遷移制御情報と、前記ワークフローシステムにおける現在の状態の遷移制御情報との何れか一方又は双方を確認してその後に起動するプログラムを変更することにより、処理を協調させることである。
【0038】
一例として、前述の遷移制御情報として、遷移許可・遷移不許可を表すフラグを挙げられ、例えば、他のプログラムから送信元識別子の送信と共に状態遷移要求を受けると、フラグが遷移許可を表す場合には当該送信元識別子が示す状態に遷移してその遷移した状態から処理を継続する一方、当該送信元識別子が不許可を表する場合には、現在の状態から処理を継続する等の構成が考えられる。
【0039】
別の一例として、前述の遷移制御情報として、時間情報を持たせ、一定時間内に起動したプログラムから期待したところの結果が返却されない場合には、予め定めた他のプログラムを、次のプログラムとして起動する様に処理を遷移させることも考えられる。
【0040】
以下、システム例、記録媒体例、方法例の説明をする上で、前述のワークフローシステムWSとWWWクライアントWCとを併用した場合を、説明する。
【0041】
(システム例)
本発明システムの一実施形態としては、WWWクライアントWCとワークフローシステムWSとで構成すると共に、ワークフローシステムWSに、状態と遷移制御情報を組とした状態遷移グラフと現在のプログラムの実行状態を指し示すポインタとを管理する遷移管理部を設けた処理協調実行システムであり、状態遷移グラフとしては、具体的に、状態と遷移の許可・不許可を表現するフラグを組とした状態遷移グラフが挙げられる。
【0042】
図1(a)〜(c)は、処理協調実行システムにて前述の遷移管理部TCを示しており(ポインタは省略)、(a)は各状態に該状態の遷移制御情報を持つ場合の遷移管理部TCaを、(b)は遷移管理部全体に対して、一つの遷移制御情報を持つ場合の遷移管理部TCbを、(c)は(a)にて遷移制御情報として遷移許可・不許可を示すフラグを持たせた場合の遷移管理部TCcを示している。
【0043】
更に付言すると、本発明の一実施形態である処理協調実行システムを、遷移管理部TC(図2ではTCcで例示するが、他の場合も同様)を用いて、図2の様に、WWWクライアントWCとワークフローシステムWSとは情報通信ネットワークLを介して接続される。
【0044】
ワークフローシステムWSは、WWWクライアントWCなどと入出力を行う入出力部IOと、ワークフローシステムWS内の状態を遷移管理部TCを参照しつつ制御する状態制御部SCと、前述した遷移管理部TC(実際はメモリ手段であり、図のフラグにつき、Tは遷移許可を、Fは遷移不許可を表現している)と、各プログラムを保有し状態制御部SCにより指示されたプログラムを起動するプログラム起動部PSとで構築できる。尚、本システム例についての説明は、下記する記録媒体例、方法例における動作説明を代用する。
【0045】
(記録媒体例)
本発明記録媒体の実施形態は、前述のシステム例において、ワークフローシステムWSにおける、状態制御部SC等に格納されて利用に供される処理協調実行プログラムを記録した記録媒体であって、具体的例示として図3の流れ図の様に、システム例においてワークフローシステムWSにWWWクライアントWCから遷移要求、遷移元識別子の送信が行われた場合の状態管理部SC等の手順であり、この処理協調実行プログラムの実行により、以下の処理が実行される。
【0046】
WS処理が開始され(ST0)、状態制御部SCが送信元識別子の送信の存否を判定し(ST1)、送信された場合には、遷移管理部TC内のポインタPが指し示す状態に関連付けられた遷移制御情報のフラグをFとして読み(ST2)、更に、送信元識別子が指し示す状態に関連付けられた遷移制御情報のフラグをFとして読み(ST3)、F=TかつF=Tを判定する(ST4)。
【0047】
当該判定がYesであれば、遷移管理部TC内のポインタPを送信された識別子が指し示すところの状態へ変更してから(ST5)、遷移処理(移った状態で決定されるプログラム起動、結果待ち)(ST6)を行い、今回のワークフロー処理が終了する(ST7)一方、ST1、ST4における判定にてNoであれば、現在の状態から継続して遷移処理を行い(ST6)、今回のワークフロー処理が終了する。
【0048】
尚、このフローについては一例であり、ワークフローシステムWSで実行される処理、プログラムの類により、必要に応じて、ST4の判別の論理式が決定されるもので、ST2、ST3は何れかで足りることもある。また、ST1の判定でYesの場合でも、期待した結果をうけるような場合、つまり送信された送信元識別子と遷移管理部TCにおけるポインタが指し示す状態とが対応する場合には、従前どおりである。
【0049】
(方法例)
WWWクライアントWCの内部状態とワークフローシステムWSの遷移管理部TCの状態遷移グラフにより各状況を示した図4とを参照して説明する。尚、図4は、図2におけるWWWクライアントWCの内部状態と、ワークフローシステムWSにおける遷移管理部(但ポインタは省略)とを示している(各構成要素の記号の意味は、図1(c)の場合と同様)。
【0050】
図4にて、図5と同様に、各状態Ss1、Ss2、Ss3、Ssnは、ワークフローシステムWS内部で管理されるプログラムの実行状態であり、本説明にあっては、ワークフローシステムWSにおける各状態Ss1、Ss2、Ss3、Ssnは、WWWページの表示と関連付けられ、その結果を待ち受ける状態とする一方、WWWクライアントWC上の各状態Sc1、Sc2、Scnは、ワークフローシステムWSから指示されたページと関連した状態であるとする。ワークフローシステムWS内の状態遷移は遷移管理部TCにて実現される。
【0051】
実際にワークフローシステムWSの処理実行が開始されると、始めに状態Ss1と関連付けられたプログラムとして、WWWページが表示され、WWWクライアントWCは状態Sc1に遷移し、ワークフローシステムWSはそのページからの返却を待ち受ける状態Ss1に遷移する。該ページから処理結果(遷移要求、送信元識別子、ゼロ以上の付帯情報など)がワークフローシステムWSに返却されると、状態制御部SCにて、結果の評価に従って次に遷移すべき状態として状態Ss2が選択されたとする。
【0052】
同様に、状態Ss2と関連付けられたプログラムとして、WWWページが表示され、WWWクライアントWCは状態Sc2に遷移し、ワークフローシステムWSはそのページからの返却を待ち受ける状態Ss2に遷移する。かような状況が、図3(a)に該当する)。
【0053】
ここで、WWWクライアントWCは、内部的に起動されたプログラム(WWWページ)の履歴を管理している為、WWWクライアントWC利用者により、過去のプログラムに遡ることが可能であり、履歴を辿って、状態Sc1に遷移したものとする。
【0054】
WWWクライアントWCは、送信元識別子と共に遷移要求をワークフローシステムWSに対して送信する[手順1]。状態制御部SCに対して送信元識別子が送信されなかった場合には、現在の状態に対する遷移要求であるとみなして、通常の遷移処理を行う[手順2]。
【0055】
ここで、識別子が送信された場合には、送信元識別子に対応する、遷移管理部TC内の状態に関連する遷移制御情報のフラグ(これをFとする)を読み[手順3]、このFがTの場合には、送信元識別子に対応する状態に遷移管理部TCのポインタPを強制的に遷移させ、その遷移先の状態から遷移処理を行う[手順4]一方、このFがFの場合には、遷移管理部TC内のポインタPが指し示す状態に関連するプログラムを起動する[手順▲5▼]。
【0056】
手順▲4▼により、フラグを予めTとしておくことにより、WWWクライアントWC主導の状態遷移を実現でき、手順▲5▼により、フラグを予めFとしておくことにより、ワークフローシステムWS主導の状態遷移を実現できることになる。
【0057】
具体的例示である図3(b)の場合を説明すると、WWWクライアントWCから送信元識別子Sc1が送信されると、遷移管理部TCでは送信元識別子に対応する状態Ss1に関連する遷移制御情報のフラグを読取り、この状態Ss1に関連する遷移制御情報のフラグがTであるので遷移が許可され、遷移管理部TC内における現在の状態を示すポインタをSs1に変更し、この状態Ss1に対して遷移処理を行う。
【0058】
また、別の具体的例示である図3(c)の場合を説明すると、WWWクライアントWCから送信元識別子Sc1が送信されると、遷移管理部TCでは送信元識別子に対応する状態Ss1に関連する遷移制御情報のフラグを読取り、この状態Ss1に関連するフラグがFであるので遷移は許可されず、ポインタPが指し示す状態Ss2に対応したプログラムを起動する。
【0059】
かように、予め遷移制御情報のフラグをFに設定しておくことにより、ワークフローシステムWS側で遷移の主導権を得ることができる一方、フラグをTに設定しておくことにより、WWWクライアントWC側主導で遷移制御が可能となる。尚、前述の様に、この遷移に関する判定の仕方(論理式)は、その制御形態に応じて設計し得るものである。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、前述した事項に限定されるものではなく、本発明の目的を達し下述する効果を奏する範囲において、適宜変更して実施可能である。
【0061】
尚、WWWの実現プロトコールであるHTTPは、WWWクライアントWCをクライアントとするクライアントサーバモデル(クライアントサーバシステム)に従ったプロトコールであり、ワークフローシステムWSからWWWクライアントWCを呼び出すことは物理的にできないので、ワークフローシステムWSがWWWクライアントWCを呼び出すには、処理を仲介する手段が必要となることは当然のことであるものの、ワークフローシステムWSがWWWクライアントWCを呼び出す場合には、当該仲介手段の存在を前提としつつ当該仲介手段により仲介されることは説明を要するまでもないであろう。
【0062】
【発明の効果】
本発明により、WWWとワークフローシステムWSとを組合せて構築して、例えば遷移制御情報のフラグをTに設定しておくことにより、WWWクライアントWC主導の自由なページ遷移が実現でき、フラグをFに設定しておくことにより、ワークフローシステムWSが遷移の主導権を得ることができる。
【0063】
これにより、例えば商品検索ページ群(プログラム群)の場合、WWWクライアントWC主導で自由なページ遷移が実現でき、決済等のページの場合、ワークフローシステムWS側での遷移の制御が行え、所定の手順を強制することができるなど、相互の制御権による干渉、不都合性を回避できる優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である処理協調実行システムにおける遷移管理部を説明する説明図であり、(a)乃至(c)は、遷移管理部を例示したものである。
【図2】本発明の一実施形態である処理協調実行システムの構成例である。
【図3】本発明の一実施形態である処理協調実行プログラムの流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態である処理協調実行方法を説明する為の説明図であり、(a)乃至(c)は各状況を示したものである。
【図5】本発明が解決しようとする課題を説明する為の説明図である。
【符号の説明】
IO…入出力部
P…ポインタ
PS…プログラム起動部
SC…状態制御部
s1、Ss2、Ss3、Ssn、Sc1、Sc2、Scn…状態
TC、TCa、TCb、TCc…遷移管理部
WC…WWWクライアント
WS…ワークフローシステム

Claims (5)

  1. ワークフローシステムとWWWクライアントとを併用し、任意の制御処理を一貫実行するに際し、一制御処理の或処理実行の結果に基づき次の処理の選択・実行を、順次繰り返す実行方法であり、
    前記ワークフローシステムには、当該ワークフローシステムの前記一制御処理における各状態に付与された状態遷移に関する各状態との状態遷移グラフと、現在の処理の実行状態を指し示すポインタと、当該状態遷移グラフに基づき当該ポインタが指し示す状態遷移に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグとを具備させておき、
    前記WWWクライアントから前記ワークフローシステムに対して、遷移要求が送信されると、当該ワークフローシステムは当該遷移要求に送信元識別子が付与しているか否かを判断し、
    送信元識別子が付与している場合は送信元識別子に対応する前記遷移制御状態のフラグを読み、また、送信元識別子が付与していない場合には当該ワークフローシステムの現在の前記ポインタの指し示す前記遷移状態のフラグを読み、遷移許可か遷移不許可かを確認し、
    遷移許可の場合には、送信元識別子に対応する状態に前記ポインタを強制的に遷移させ、その遷移先の状態から遷移処理を行って、前記WWWクライアント主導の状態遷移を実行し、一方、遷移不許可の場合には前記ポインタが指し示す状態に関連する処理を行って、前記ワークフローシステム主導の状態遷移を実行する、
    ことを特徴とする処理協調実行方法。
  2. 前記遷移制御情報は、
    前記処理開始からの結果応答までの時間に関する情報である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の処理協調実行方法。
  3. 外部との入出力を行う入出力部と内部の状態を制御する状態制御部と各プログラムを格納して当該状態制御部により決定された次のプログラムを起動するプログラム起動部とを備えたワークフローシステムと、当該ワークフローシステムと共にプログラムを実行するWWWクライアントとを情報通信ネットワークを介して接続されるシステムであって、
    前記状態制御部と接続されて前記内部の状態の制御に供され、当該内部の状態と状態遷移に関する状態遷移グラフと、現在の状態を指し示すポインタと、当該状態遷移グラフに基づき当該ポインタが指し示す状態遷移に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグを備えた遷移管理部を前記ワークフローシステムに具備し、
    前記WWWクライアントから、前記ワークフローシステムに対して、遷移要求が送信されると、当該ワークフローシステムの前記状態制御部にて、当該遷移要求に送信元識別子が付与しているか否かを判断するとともに、当該送信元識別子が送信された場合には前記ポインタが指し示す遷移先へ当該ポインタを変更し、当該ポインタが指し示す前記遷移状態のフラグの遷移許可、遷移不許可を確認して、遷移許可であれば送信元識別子に対応する状態に前記ポインタを強制的に遷移させ、その遷移先の状態から遷移処理を行い、一方、遷移不許可の場合には前記ポインタが指し示す状態に関連する処理を行うようシステム構築する、
    ことを特徴とする処理協調実行システム。
  4. 各プログラム処理の実行状態を内部的に制御するワークフローシステムにおいて、当該プログラム処理が、当該ワークフローシステムとは別のWWWクライアントと共に実行され、当該WWWクライアントにより処理実行された結果に基づき、当該ワークフローシステムにおける次のプログラム処理が選択されて順次繰り返すに当たり、当該ワークフローシステムにインストールされて利用に供される処理協調実行プログラムを記録した記録媒体であって、
    当該処理協調実行プログラムが、
    前記WWWクライアントからの送信元識別子の送信の存否を判定し、送信されたと判定された場合には、前記ワークフローシステムの制御処理における各状態に付与された遷移状態に関する状態遷移グラフと現在のプログラム処理の実行状態を指し示すポインタとを管理する遷移管理手段内の当該ポインタが指し示す状態に関連付けられた遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグと、前記送信元識別子に対応する状態の遷移許可、遷移不許可を表す遷移制御状態のフラグとを読み、当該読んだ遷移管理手段内の遷移制御状態のフラグと前記送信元識別子の遷移制御状態のフラグがどちらも遷移許可の場合においてのみ、当該遷移管理手段内の前記ポインタを前記送信元識別子が指し示す状態に変更してから、遷移処理を行う、
    ことを特徴とする処理協調実行プログラムを記録した記録媒体。
  5. 前記遷移制御状態のフラグの読みは、
    前記ワークフローシステムにおける前記現在のポインタの遷移制御状態のフラグが許可を示す場合には、当該ポインタを強制的に前記送信元識別子に対応するポインタに変更してから処理を継続する一方、当該遷移制御情報が不許可の場合には、変更なしに処理を継続する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の処理協調実行プログラムを記録した記録媒体。
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