JP3856399B2 - 固溶体状の材料切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、常温ではほぼ原形を保持し得る固溶体状の材料、例えば食品材料の一種であるクリームなどを、一定サイズの押出口からほぼ水平方向に帯状に押し出し、その途中でこれを定量ごとに切断することによって、一定厚さをそなえる方形の材料を連続して生産するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような材料を得るために使用される従来装置の一例を図3に示す。図は、食品材料としてのクリームを、一定厚さをそなえる方形の材料として連続生産するための装置を示している。ホッパ1に投入された材料は、切換式の供給弁2を経て押出装置3に圧送される。押出装置3は、図3のV部の拡大図である図5に示すように、断面が長方形の水平方向の通路4をそなえ、通路4は一端に設けた押出口5によって外界に通じている。
【0003】
8はカッタで、鉛直方向に沿う平板状に形成され、片側に傾斜面の刃部9をそなえて、下降によって押出口5の側面を閉鎖する関係位置に設けられている。カッタ8の下降行程により、押出口5から水平方向に押し出された材料mが切断され、図4に示す形状をそなえた製品としてのクリーム13が得られる。カッタ8の作動は、上方に設けたシリンダ14(図3)によって行われる。シリンダ14は架構15上に固定されている。17は切断されたクリーム13を搬送するためのコンベヤである。シリンダ14の作動のインターバルを規制することにより、材料を定量ごとに切断して所定サイズの平板状のクリーム13を自動的に生産することができる。
【0004】
このほか通常の食品材料を切断する従来の装置として、たとえばカッタとしてワイヤを使用するものがある。しかしワイヤによって食品材料を切断する場合、食品が固体状の脆い性質の場合は簡単に切れるが、この出願の対象とする固溶体状の材料では、ワイヤが材料を切断して通り抜ける時間が短時間のため、通り抜けた後に再び材料が両側から接近してきて固着する可能性がきわめて強く、このような性質の材料に対しては、ワイヤ製のカッタの使用は不向きとされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記図3の従来装置を用いて平板状の材料を連続して生産する場合、つぎのような不具合点の生じるおそれがある。
【0006】
1)カッタ8が材料mを切断するときの経過を図6について説明すると、カッタ8の切断方式は、カッタが切断したのち、該作動方向の延長線にしたがってカッタが下方に向かって通り過ぎて行く方式であり、そのため、材料mの上流側の切り口20は、切断時に材料mの押出装置3内の通路4の周壁で材料mが支えられている状態での押し切りに相当するために、いわゆる切れ味のすぐれたきれいな平滑面となるのに対し、反対側の下流側の切り口21aは、切断と同時にその広い切断面がカッタ8の刃部9またはその周辺に粘着し、さらにカッタ8の下降によって無理やりに押し千切られたといった表現がふさわしい切り口となり、製品としての寸法精度も低く、体裁上からも不揃いで製品価値の乏しいものとなる。 2)材料mが固溶性であるため、材料表面、特に切断によって生じた新たな表面としての切断面である切り口21aの粘着性によって、図4に示す形状をそなえたクリーム13が下方を走行するコンベヤ17上に乗るまでの間に、その粘着性のための種々のトラブルが生じ易い。すなわち、切り口21aが下を向いて先に下降して、コンベヤ表面への規則的な着地が妨げられ、その結果クリーム13が団子状に丸められてしまったり、あるいは切り口21aが上向きに反転して押出装置3の下面に付着し、その結果やはり製品の仕上がり状態が損傷を受けて、生産能率の低下を招くことになる。
【0007】
この発明は、前記従来装置の不具合点にかんがみてなされたもので、切断のためのカッタの作動態様を改善することによって、切断によって生じた上流側・下流側の両面のいずれに対しても切れ味のすぐれた、きれいな平滑面を形成することのできる材料切断装置を提供することを目的としている。
【0008】
この発明の他の目的は、切断された材料が下方の搬送装置上に落下して整然と搬送されるまでの固溶性材料に発生し易い製品の損傷を防止し得る材料切断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するためにこの発明にかかる固溶体状の材料切断装置は、押出口からほぼ水平方向に押し出される固溶体状の材料を定量ごとに切断する装置であって、
押出口を取り囲む周壁のうちの底面板を押出口の外方に延長して設けたカッタ受部と、
刃部の下端面は、下降によって押出口の側面を閉鎖し得る関係位置に設けられ、その行程の最終位置を前記カッタ受部によって規制される下降行程により、押出口から押し出された前記材料を切断したとき、刃部が下降して下端面がカッタ受部上に横たわる材料を上から押さえ付け、前記下端面の厚みに相当する寸法だけ材料が送り線上で相互に隔てられるように、カッタ受部の上面との間の接触が均等な密着状態の面接触となる厚みの上に形成され、上下方向にわたり一定の厚みをそなえたカッタの刃部と、
切断された材料がそのカッタの刃部の、前記押出口と反対側の表面に付着するのを防止するために、前記刃部の上端側に一体に設けられ前記カッタの刃部表面に沿って上方から下方に向かってエアを吹き出すエア吹出装置と、
前記カッタ受部の下面に設けられ、エアをカッタ受部の下面に沿って前記材料の押し出し方向に向けて吹き出させ、前記カッタで切断された材料が前記カッタ受部の下面等に付着しまたは巻き込むのを防止するためのエアを送給する第2エア吹出装置とをそなえることを特徴とする。
【0010】
固溶体状の材料切断装置をこのように構成すると、押出口から押し出された前記材料を下降してきたカッタが切断するとき、カッタの端面と前記カッタ受部の上面との両面間の接触が均等な密着状態の面接触となるように構成されているために、材料は面接触によってカッタの厚みに相当する距離だけ相互に隔てられた状態に置かれるとともに、上記両面における切断の態様は、いずれも下面をカッタ受部によって支えられている状態での押し切りに相当するために、両面に対して共にいわゆる切れ味のすぐれたきれいな平滑面を形成させることができる。また切断面の形状は、押し切りによってその表面積が縮小される方向に変形するとともに、カッタが切断面に沿って材料と接触しながら相対的に移動する距離が非常に短い距離とされ、その距離は材料の厚さを超えることがないようにカッタ受部によって制限されているので、材料の切断面とカッタ表面との粘着の機会がきわめて少なくなり、その結果両者の離間が促進されることになる。そのうえ、従来装置におけるように、一方側の切断面が無理やりに押し千切られたような切り口となって製品価値をおとすなどのことが起こらない。また、カッタの押出口と反対側の表面に上方から下方に向かってエアを吹き出すエア吹出装置を設けているので、切断された材料(製品)がコンベヤ上に落ち着くまでに前記カッタの反対側の表面に粘着して、該製品が“しわくちゃ”になったり、あるいは団子状になって製品が損傷して製品価値を落とすなどのこともなくなり、作業能率が大幅にアップされる。
【0011】
また、前記カッタで切断された材料が前記カッタ受部の下面等に付着しまたは巻き込むのを防止するためのエアを送給する第2エア吹出装置をカッタ受部の下面に設けるとともに、第2エア吹出装置からエアを前記カッタ受部の下面に沿って吹き出させかつ前記材料の押し出し方向に向けた構成としたことにより、切断された製品が下方の搬送装置上に落下しようとするときの製品の移動態様が、カッタ受部の下面から送給されるほぼ水平方向のエアに乗った形になって、該切断された端面がその風の上に受け取られた状態となり、下方を走行するコンベヤ上に製品を静かに受け取る動作のうち、少なくとも直前に切断された端面が他の部分に先駆けてコンベヤ上に着地するようなことになって、前記の端面がカッタの反対側に付着したときに生じるのと類似の不具合の発生を未然に防止することができ、固溶性材料の取り扱いに際して発生し易い製品の損傷の防止に役立つ。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明にかかる固溶体状の材料切断装置について、実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2はいずれも同一の実施例について、それぞれ異なる作用態様を示す図である。ホッパ1に投入された材料は、反復切換式の供給弁2を経て押出装置3に送られる。押出装置3は、内蔵する押出機能を稼働して材料を断面が長方形の水平方向の通路4に送り込む。通路4は一端に設けた押出口5によって外界に通じている。通路4ならびに押出口5を取り囲む周壁のうちの底面は、底面板6によって構成される。底面板6はその端部を押出口5の外に延長して、この部分にカッタ受部7を構成している。
【0013】
カッタ8は刃部9とエア吹出装置10とよりなる。刃部9は材料切断に関与する部分で、下降によって押出口5の側面を閉鎖し得る関係位置に設けられて、その下降行程の最終位置をカッタ受部7によって規制される。カッタ8の下降行程によって、所定の長さだけ押出口5から押し出された材料mが切断される。11はエア吹出装置10にエアを送給するための送風管で、送給されたエアはエア通路12を経て刃部9の押出口5と反対側の表面9aに沿って吹き出し、それによって材料mまたはすでに切断されて製品となったクリーム13が、とくにその切り口等が、刃部の表面9a上に付着するのを防止するためのものである。カッタ8の作動は、上方に設けたシリンダ14によって行われる。シリンダ14は架構15上に固定されている。16は、切断されて製品となったクリーム13がカッタ受部7の下面等に付着しまたは巻き込まれるのを防止するために、切断直後のクリーム13の下面の辺りにエアを送り込むための、カッタ受部7の下面に設けた第2エア吹出装置である。17は、切断されて製品となったクリーム13を搬送するためのコンベヤである。
【0014】
図2において、カッタ8の刃部9のそなえる下端面18は、底面板6がその延長部にそなえるカッタ受部7の上面19との間の接触が均等な密着状態の面接触となる厚みの上に形成されている。そのため、刃部9が下降して下端面18がカッタ受部7上に横たわる材料mを上から押さえ付け、下端面18の厚みに相当する寸法だけ材料mが送り線上で相互に隔てられる。そして切り離された材料mの上流側の切り口20と、下流側の切り口21とは、いずれも切断時に材料mがカッタ受部7の上面19上に乗った形で切り離されるので、いわゆる切れ味のすぐれたきれいな平滑面となっている。
また、切断面の形状は、特に下流側の切り口21が、図示のように押し切りによってその表面積が縮小される方向に変形する。さらにカッタが切断面に沿って材料と接触しながら相対的に移動する距離は非常に短い距離とされ、その距離は材料の厚さを超えることがないようにカッタ受部によって制限されているので、材料の切断面とカッタ表面との粘着の機会はきわめて少なくなり、その結果両者の離間が促進されることになる。しかもこの切断態様によって、製品としての寸法精度も高くなり、体裁上からも優れた完成品が得られる。
【0015】
つぎに、この発明にかかる固溶体状の材料切断装置について、その作用の態様を説明する。ホッパ1にクリームの原材料を投入して撹拌し、切換式の供給弁2の操作によってこれを押出装置3に圧送する。押出装置3の通路4に導入された材料mは、所定の押出容量のもとに水平方向に誘導されて、下面を底面板6に支持されながら押出口5から通路の外へ押し出される。カッタ8はシリンダ14により規制された作動のインターバルにしたがって、切断のための下降工程を実施し、その結果材料mを定量ごとに切断して、所定サイズの平板状のクリーム13を自動的に生産する。また、下降工程のタイミングに合わせて、エア吹出装置10に対し送風管11からエアを送給して刃部9の反対側の表面9aに対しエアを吹き流すことによって、切断されたクリーム13の切り口21などが、表面9aに付着してトラブルをおこすなどのことを未然に防止する。
【0016】
さらに、カッタ受部7の下面に設けた第2エア吹出装置16によって、図2に示すように、カッタ受部7の下面に沿ってクリーム13の押し出し方向に向けクリーム13の下面の辺りにエアを送り込むことによって、製品となってコンベヤ17上に落下しようとしたクリーム13が、カッタ受部7の下面から送給されるほぼ水平方向のエアに乗った形になって、該切断された切り口21の端面がその風の上に受け取られた状態となり、下方を走行するコンベヤ17上に製品を静かに受け取る動作のうち、少なくとも直前に切断された切り口21が他の部分に先駆けてコンベヤ17上に着地するなどのことによって、前記の端面がカッタ8の反対側の表面9a上に付着したときに生じるのと類似のトラブルの発生を防止することができ、カッタ受部7の下面等に対する不具合発生の可能性に対しても、材料もしくは製品の付着または巻き込み等に対して未然に防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、この発明にかかる固溶体状の材料切断装置によれば、
(1) 請求項1では、切断のためのカッタの形状ならびにカッタの作動態様を改善することによって、切断によって生じた上流側・下流側の両端面のいずれに対しても切れ味のすぐれた、きれいな平滑面を形成させることができる。
【0018】
(従来装置の場合には、材料mの上流側の切り口20は、図6のように、切断時に材料mの押出装置3内の通路4の周壁で材料mが支えられている状態での押し切りに相当するために、いわゆる切れ味のすぐれたきれいな平滑面となるが、反対側の下流側の切り口21aは、切断と同時にその広い切断面がカッタ8の刃部9またはその周辺に粘着し、さらにカッタ8の下降によって無理やりに押し千切られたといった表現がふさわしい切り口となり、そのため製品としての寸法精度も低く、体裁上からも不揃いで製品価値の乏しいものとなっていた。)
また、エアを使って製品が自己の粘着性によって損傷を起こすことを防止して、生産効率の向上を可能とした。
【0019】
(2) また、切断された材料が、製品として下方の搬送装置上に落下して整然と搬送されるまでの固溶性材料に発生し易い製品の損傷を、広範囲に亙って防止することができる。
【0020】
(従来装置の場合には、材料表面、特に切断によって生じた新たな表面である切り口21a(図6)の粘着性によって、図4に示す形状をそなえたクリーム13が下方を走行するコンベヤ17上に乗るまでの間に、粘着性のための種々のトラブルが生じ易い。すなわち、切り口21aが下を向いて先に下降して、コンベヤ表面への正常な着地が妨げられ、その結果クリーム13が団子状に丸められてしまったり、あるいは切り口21aが上向きに反転して押出装置3の下面に付着し、その結果やはり製品の仕上がり状態が損傷を受けて、生産能率の低下を招くなどの不具合を生じがちであった。)
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる固溶体状の材料切断装置の一実施例の断面図である。
【図2】図1と同一の装置であって図1の作用態様と異なる作用態様における断面図である。
【図3】従来装置の外形を示す説明図である。
【図4】装置の対象製品の一つであるクリームの斜視図である。
【図5】図3のV部の拡大断面図である。
【図6】図5と同一部分であって図5と異なる作用態様における拡大断面図である。
【符号の説明】
3 押出装置
4 通路
5 押出口
6 底面板
7 カッタ受部
8 カッタ
9 刃部
9a 表面
10,16 エア吹出装置
13 クリーム
14 シリンダ
18 下端面
19 上面
20,21 切り口
m 材料
Claims (1)
- 押出口からほぼ水平方向に押し出される固溶体状の材料を定量ごとに切断する装置であって、
押出口を取り囲む周壁のうちの底面板を押出口の外方に延長して設けたカッタ受部と、
刃部の下端面は、下降によって押出口の側面を閉鎖し得る関係位置に設けられ、その行程の最終位置を前記カッタ受部によって規制される下降行程により、押出口から押し出された前記材料を切断したとき、刃部が下降して下端面がカッタ受部上に横たわる材料を上から押さえ付け、前記下端面の厚みに相当する寸法だけ材料が送り線上で相互に隔てられるように、カッタ受部の上面との間の接触が均等な密着状態の面接触となる厚みの上に形成され、上下方向にわたり一定の厚みをそなえたカッタの刃部と、
切断された材料がそのカッタの刃部の、前記押出口と反対側の表面に付着するのを防止するために、前記刃部の上端側に一体に設けられ前記カッタの刃部表面に沿って上方から下方に向かってエアを吹き出すエア吹出装置と、
前記カッタ受部の下面に設けられ、エアをカッタ受部の下面に沿って前記材料の押し出し方向に向けて吹き出させ、前記カッタで切断された材料が前記カッタ受部の下面等に付着しまたは巻き込むのを防止するためのエアを送給する第2エア吹出装置とをそなえることを特徴とする固溶体状の材料切断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30992795A JP3856399B2 (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 固溶体状の材料切断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30992795A JP3856399B2 (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 固溶体状の材料切断装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09123093A JPH09123093A (ja) | 1997-05-13 |
JP3856399B2 true JP3856399B2 (ja) | 2006-12-13 |
Family
ID=17999024
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30992795A Expired - Fee Related JP3856399B2 (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 固溶体状の材料切断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3856399B2 (ja) |
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1995
- 1995-11-01 JP JP30992795A patent/JP3856399B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09123093A (ja) | 1997-05-13 |
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