JP3855454B2 - 空間光変調装置および空間光変調装置の制御方法 - Google Patents

空間光変調装置および空間光変調装置の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光演算、光記憶装置、光プリンター、画像表示装置等に使用される光スイッチング素子(ライトバルブ)に適した空間光変調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光をオンオフ制御できる空間光変調装置としては液晶を用いたものが知られている。図25に、その概略構成を示す。この空間光変調装置は、光スイッチング素子900として実現されており、偏光板901および908、ガラス板902および903、透明電極904および905、液晶906および907より構成され、透明電極間に電圧を印加することにより液晶分子の方向を変えて偏光面を回転させ光スイッチングを行うものである。例えば、このような光スイッチング素子(液晶セル)を二次元に並べて液晶パネルとして画像表示装置を構成することが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この液晶を用いた光スイッチング素子(空間光変調装置)は、高速応答特性が悪く、たかだか数ミリ秒程度の応答速度でしか動作しない。このため高速応答を要求される、光通信、光演算、ホログラムメモリー等の光記憶装置、光プリンター等に対し液晶を用いた空間光変調装置は難しかった。また、液晶を用いた空間光変調装置では、偏光板により光の利用効率が低下してしまうという問題もあった。
【0004】
これらの用途に対応できる、高速動作の可能な空間光変調装置が求められており、このため、光を制御できるスイッチング要素を機械的に動かして高速で変調できる空間光変調装置が開発されている。その1つは、マイクロミラーデバイスであり、このデバイスはミラーをヨークで旋回可能に支持し、ミラーの角度を変えて電気的または光学的な入力に対応して入射光を変調して出射するようになっている。
【0005】
また、反射機能あるいは透過機能を備えた平面要素を薄膜などで保持し、その平面要素を平行に動かして入射光を変調することが可能であり、そのような原理に基づき空間光変調装置を構成することも可能である。本願出願人が出願中の、光を全反射して伝達可能な導光部の全反射面に対しスイッチング部の抽出面を接触させてエバネセント光を抽出し、スイッチング部の1波長程度あるいはそれ以下の微小な動きによって、高速で光を変調制御可能な光スイッチング素子もその1つである。このエバネセント光を利用した光スイッチング素子は、スイッチング部を支持する弾性の薄膜と、全反射面に対峙した平面的な抽出面の位置を静電力で制御するための電極とを備えた駆動部によって駆動されるようになっている。駆動部により、導光部の全反射面にスイッチング部の抽出面が略接触した状態になると光を抽出して出射することができ、また、全反射面から抽出面を離すと光は抽出されないので光は出射されない。このように、エバネセント波を利用した光スイッチング素子は、全反射面に対し抽出面の位置を微少距離移動することにより入射光を変調することができるので、高速動作が可能な空間光変調装置の1つとして実現化に向けて鋭意開発が進められている。
【0006】
空間光変調装置において、動作速度をさらに高速にすることは常に重要な課題であり、開発中のエバネセント光を利用した光スイッチング素子において同様である。そこで、本発明においては、エバネセント光を利用した光スイッチング素子のような、平面的な要素を備えたスイッチング部を移動制御して光を変調する機構を備えた空間光変調装置において、その動作速度をさらに高速化することができる空間光変調装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らが上述したような平面的な要素を備えた光スイッチング素子の動作を研究したところ、微少な距離を高速で移動しながら行われるスイッチング動作においては、スイッチング部の抽出面と全反射面との間に封入される空気あるいは不活性ガスなどの流体の抵抗、あるいは、スイッチング部が移動する際の抵抗が無視できない抗力となっており、このような流体の抵抗を抑制することにより動作速度を大幅に向上できることを見出した。このような流体抵抗を低減するには、真空中で光スイッチング素子を動作させれば良いが、スイッチング部あるいは駆動部の周辺環境を真空にするためには耐圧容器などの付加部材が必要となり大型化およびコスト高の原因となる。また、製造過程においても、真空にするための工程が必要である。さらに、真空雰囲気でのみ使用可能な光スイッチング素子では、使用中に真空雰囲気が破られると一気に性能が低下したり、あるいは動作不能になる恐れがあるので信頼性についても問題がある。
【0008】
そこで、本願の発明者らは、流体の抵抗をスイッチング部の動きによって低減できるようにしている。すなわち、本発明の空間光変調装置は、平面要素を備えたスイッチング部と、このスイッチング部を平面要素が第1の方向を向く第1の位置、およびこの第1の位置から離れた第2の位置に移動可能な駆動手段とを有し、この駆動手段は、スイッチング部の平面要素の向きを、移動初期、移動中または移動末期に、第1の方向に対し傾けることを特徴としている。まず、スイッチング部を移動初期に傾けることにより、スイッチング部が移動を開始するときにスイッチング部が離脱するために生じる空間にスムーズに流体を流入させることができるので流体による抵抗を削減することができる。また、移動中にスイッチング部を傾けることにより、平面要素が進行方向に対し傾くのでスイッチング部が移動する際に受ける流体の抵抗を削減することができる。そして、移動末期にスイッチング部を傾けることにより、スイッチング部が停止する際に閉じる空間から流体をスムーズに排出することができるので、流体による抵抗を削減することができる。
【0009】
本発明の空間光変調装置においては、このようにスイッチング部の移動初期、移動中および移動末期の少なくともいずれかに平面要素の向きを傾けることにより流体の抵抗を削減することができ、移動初期、移動中および移動末期の全てあるいはいずれか2つの状態で傾けることにより、さらに流体による抵抗を削減することができる。したがって、スイッチング部の移動中の抵抗が減るので、移動速度は速くなり、変調処理速度を向上することができる。また、圧力を下げたり、あるいは真空にしなくても流体による抵抗を削減できるので、空間光変調装置を圧力容器化する必要もなく、通常の環境で使用することができる。したがって、動作速度が速く、信頼性の高い空間光変調装置を低コストで提供することができる。
【0010】
特に、スイッチング部の平面要素に第1の位置で接し、この平面要素の向きを第1の方向に規定する平面部材を備えた空間光変調装置においては、平面部材によって流体の動きが制限されるので、スイッチング部が受ける抵抗が大きくなる。さらに、移動初期あるいは移動末期にスイッチング部を傾けることにより、第1の位置においてスイッチング部の平面要素と平面部材との間に生ずる空間に流体をスムーズに流入あるいは排出することができる。したがって、このような空間光変調装置において本発明を適用することにより、動作速度を大幅に向上することができる。上述したエバネセント波を利用した空間光変調装置(光スイッチング素子は、このタイプの空間光変調装置であり、本発明はエバネセント波を利用した空間光変調装置に好適なものである。
【0011】
スイッチング部に対し、その重心に対し非対称な分布を備えた駆動力を印加することにより、スイッチング部を非対称な状態、すなわち、傾いた状態にすることができるので、移動初期、移動中あるいは移動末期にスイッチング部を傾けることができる。非対称な分布を備えた駆動力を印加する方法としては、スイッチング部の重心を立体中心からずらすことにより、スイッチング部に対し配置的には対称な分布の駆動力を、重心に対しては非対称な状態にすることができ、これによりスイッチング部を傾けることができる。
【0012】
また、駆動手段に、スイッチング部を弾性的に支持する支持部材を設け、この支持部材の弾性定数の分布を、少なくとも1部においてスイッチング部の重心に対し非対称となるようにすることによっても、重心に対し非対称な駆動力をスイッチング部に対し印加することができる。さらに、駆動手段が、スイッチング部に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、スイッチング部に静電力を駆動力として印加できる場合は、第1または第2の電極の形状またはそれらの間隔の少なくとも1部をスイッチング部の重心に対し非対称な状態にすることにより、非対称な駆動力をスイッチング部に対し印加することができる。
【0013】
また、上記の第1または第2の電極をスイッチング部の重心に対しそれぞれ非対称な形状の第1および第2の区画に分け、これらの区画に異なったタイミングで、または、異なった電圧の電力を供給することによっても、非対称な駆動力をスイッチング部に対し印加することができる。
【0014】
さらに、スイッチング部は第2の位置において、第1の位置の向きに対し平行である必要はなく、むしろ第2の位置において傾いた状態にすることにより、移動初期、移動中および移動末期の傾いた状態との間でスムーズに移行することができる。したがって、さらに流体の抵抗を減らすことができ、動作速度を向上することができる。
【0015】
第2の位置でスイッチング部を傾いた状態にするには、駆動手段の支持部材の弾性定数をスイッチング部の重心に対し非対称にしたり、第1および第2の電極の間隔を変えたり、スイッチング部が第2の位置で接触する支持台とスイッチング部との間隔をスイッチング部の重心に対し非対称にする方法がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕
図1に、本発明に係る空間光変調装置10の概略構成を示してある。本発明の空間光変調装置10は、光を全反射して伝達可能な導光部20の全反射面22に対し、透光性の抽出面32を備えたスイッチング部30を接触させてエバネセント光を抽出し導光部20の入射光70を導光部20から出力できる、エバネセント波を利用した光スイッチング素子である。この光スイッチング素子10は、スイッチング部30の1波長程度あるいはそれ以下の微小な動きによって、入射光70を高速で変調(オンオフ制御)することができ、スイッチング部30を駆動するために静電力とばね力を用いた駆動部40が設けられている。
【0017】
光スイッチング素子の構成を更に詳しく説明すると、光スイッチング素子は、ガラス製で入射光70の透過率の高い光ガイド(導光部、カバーガラス)20を備えており、全反射面22で入射光70が全反射するように全反射面22に対し適当な角度で入射光70が入射される。そして、この全反射面22に対し、図1(a)に示すように、スイッチング部30の抽出面32が全反射面22と平行な向き(第1の方向)で接近あるいは密着してエバネセント光を抽出できる位置(第1の位置)になると、導光部20から入射光70がスイッチング部30に抽出される。本例のスイッチング部30は抽出された入射光70を導光部20にむけて反射可能なマイクロプリズム33を備えており、抽出された光は導光部20を通ってほぼ垂直な出射光72となり出力される。一方、図1(b)に示すように、スイッチング部30が第1の位置から離れて、抽出面32が全反射面22から離れた位置(第2の位置)になると、入射光70は全反射面22で全反射され導光部20からエバネセント光として抽出されない。したがって、出射光72は得られない。
【0018】
このように、本例の光スイッチング素子10においては、スイッチング部30を第1および第2の位置に移動することにより、入射光70を出射光72として変調することができる空間光変調装置である。したがって、光スイッチング素子10を用いて出射光72をオンオフ制御できるので、光スイッチング素子をアレイ状に配置して画像表示装置を構成するなど、先に説明した液晶あるいはマイクロミラーデバイスなどの空間光変調装置と同様に用いることができる。さらに、エバネセント光は、スイッチング部30を波長程度あるいはそれ以下の距離を移動することにより制御できるので、スイッチング部30を非常に高速で動作させることが可能であり、動作速度の速い光スイッチング素子として実現することができる。
【0019】
スイッチング部30を駆動するために、光スイッチング素子10は、スイッチング部30の下方に光スイッチング部30を動かす駆動部40の層と、および駆動部40を制御する駆動用ICが構成されたシリコン基板(ICチップ)60の層を備えている。駆動部40は、スイッチング部30のシリコン基板60の側(下側)37に設けられたアドレス電極(第1の電極)42と、シリコン基板60の上面にアドレス電極42に対峙して設けられたベース電極(第2の電極)46とを備えている。そして、これらの電極42および46に電源部61から直流電力が供給され、静電力を用いてスイッチング部30を図1(b)に示す第2の位置に駆動できるようになっている。さらに、駆動部40は、スイッチング部30の周囲に配置されたポスト41からスイッチング部30に延びた薄膜状で弾性のあるヨーク(支持部材)50および52を備えており、これらヨーク50および52の弾性力でスイッチング部30を図1(a)に示す第1の位置に保持できるようになっている。このように、本例の光スイッチング素子においては、駆動部40の電極42および46の間で生ずる静電力と、ヨーク50および52の弾性力とのバランスによってスイッチング部30の位置を制御し、入射光70を変調できるようになっている。
【0020】
さらに、本例の光スイッチング素子10においては、ポスト41が基板60と導光部20との間隔を一定に保つスペーサとしての機能も備えており、基板60と導光部20との間にスイッチング部30が移動するために必要な空間が確保されている。また、ポスト41に対しスイッチング部30を支持するヨーク50および52、さらにアドレス電極42は導電性薄膜材であり、例えばAl膜、Pt膜およびAg膜などが考えられるが、本例では、ボロンドープされた導電性および弾性のあるシリコン薄膜で一体に構成されており、ヨーク50および52を介してアドレス電極42に電源部61から電力を供給できるようになっている。さらに、基板60の表面には、ベース電極46と並んでスイッチング部30の第2の位置のポジションを決めるストッパ48が設けられており、第2の位置においてアドレス電極42がベース電極46と直に接触して密着しないようにストッパ48の高さが調節されている。
【0021】
図2に、本例の光スイッチング素子のスイッチング部30を下から見た様子を示してある。略直方体状の対称な形状のスイッチング部30は、その立体中心点(体心)14aに対して対称な4方向に放射状に延びているヨーク50および52によりポスト41から支持されている。本例の光スイッチング素子においては、体心14aを通り図面の上下に延びる方向に立体中心線14を仮定すると、この立体中心線14の図面上の左側の区画12aと右側の区画12bに配置された各々2本のヨーク50とヨーク52は材質および厚みは同じで、幅が変えられており、ヨーク50の幅Wがヨーク52の幅Wよりも狭くなっている。このため、駆動部40の一部として弾性的にスイッチング部30を支持するヨーク50とヨーク52は、その弾性力、すなわち、バネ係数が異なり、左側の区画12aの弾性力が右側の区画12bの弾性力よりも弱くなる。このように、本例の光スイッチング素子においては、スイッチング部30が立体中心線14の左右で異なった弾性定数のヨーク(支持部材)50および52で支持されている。一方、本例のスイッチング部30は左右の形状が対称なので体心14aと重心14bの位置は一致しており、このため、スイッチング部30は重心14bに対し左右で非対称な弾性定数を備えた支持部材によって支持されている。したがって、この光スイッチング素子10の駆動部40の電極42および46に電力を供給して静電力でスイッチング部30を駆動すると、左右でアンバランスな力がスイッチング部30に作用する。この結果、スイッチング部30は全反射面22に対し水平に動かず、傾いた状態で移動する。
【0022】
図3に、本例のスイッチング部30が傾いた状態で移動する様子を段階的に示してある。図3(a)は図1(a)に示したスイッチング部30が第1の位置にある状態を示しており、この第1の位置では、スイッチング部30の抽出面32が導光部20の全反射面22に接し、第1の方向A、すなわち、本例においては図面の上方を向き、光スイッチング素子10は出射光を出力するオン状態になっている。この第1の位置においては、駆動部40の電極42および46に対して電源部61から電力は供給されておらず、スイッチング部30はヨーク50および52の発生する弾性力によって導光部20の全反射面22に押し付けられ、抽出面32と全反射面22がほぼ密着した状態となっている。
【0023】
次に、図3(b)に示すように、電源部61をオンし、駆動部40のアドレス電極42とベース電極46に電力を供給するとこれらの電極42および46の間に静電力が働きスイッチング部30がベース電極46に引寄せられる。本例においては、アドレス電極42およびベース電極46の面積、形状および間隔は立体中心線14に対し対称に分布しているので、左右対称な静電力がスイッチング部30に作用する。しかしながら、静電力に対抗するように働くヨーク50および52の弾性力は、上述したようにヨーク50および52の幅が異なるので左右で弾性係数が異なり、発生する弾性力も異なる。この結果、スイッチング部30に作用する駆動力の分布は立体中心線14の左右で異なり、図3(b)に示したスイッチング部30を第1の位置から第2の位置に移動する過程の移動初期においては左側の区画12aの駆動力が右側の区画12bの駆動力よりも大きくなる。したがって、スイッチング部30の左側の区画12aの方が先に移動を開始し、これに続いて右側の区画12bが移動を開始し、移動初期において抽出面32が第1の方向Aに対し傾いた状態となる。
【0024】
抽出面32が傾いた状態で移動を開始すると、図3(b)に示すように、抽出面32はその左側から徐々に全反射面22から剥離し、抽出面32と全反射面22との間に空間38が形成される。そして、この空間38にスイッチング部30の周囲の流体、本例においては空気16が流入し、スイッチング部30が第2の位置に向かって第1の方向Aと反対側の矢印Xの方向に移動を開始する。そして、スイッチング部30が移動すると、空間38は徐々に右側に広がりながら大きくなり、その空間38に徐々に空気16が流入する。このように、抽出面32が傾いた状態で移動が開始されると、初期に全反射面22との間に形成される空間の体積は非常に小さく、そこに流入する空気の量も少なくて済むので空気抵抗は非常に小さい。これに対し、抽出面32を第1の方向Aに向けて全反射面22と平行な状態に保ったまま移動を開始すると、移動初期に抽出面32の全体が剥離するために形成される隙間が非常に大きくなり、流入する空気の量も多くなる。したがって、空気の抵抗は非常に大きい。このため、本例のように、移動初期に抽出面32の向きを第1の方向Aに対し傾けることにより、空気抵抗を減少することが可能であり、移動初期における駆動力が小さくて済み、移動が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0025】
特に、本例のエバネセント光を利用した光スイッチング素子10においては、抽出面32と全反射面22との間に若干の隙間が生じ、さらに抽出面32の角度が変わるとエバネセント光の抽出量が極端に低下すると共に出射光の方向も変わる。したがって、出射光が所定の方向に出力されるオンの状態から出射光が出力されない、あるいは出射光の方向が変わるオフの状態にすばやく変化する。このため、移動初期に抽出面32の角度を変えることにより、オン状態からオフ状態への移行速度を非常に速くすることができる。
【0026】
スイッチング部30は図3(b)に示すように、移動中も進行方向Xに対し傾いた状態となる。したがって、移動方向Xに存在する流体(空気)に対し、スイッチング部30の底面、すなわち、アドレス電極42は傾いた状態で進み、空気16はアドレス電極42の進行方向に対し傾いた表面に沿ってスムーズに流れ空気抵抗は小さい。これに対し、抽出面32を第1の方向Aに保ったまま、アドレス電極42が進行方向Xに垂直な状態で移動すると、アドレス電極42とベース電極46との間で空気16を圧縮するようになるので、空気抵抗は大きい。このように、移動中においても、スイッチング部30の抽出面32を傾けることにより、空気抵抗を減らすことができ、移動速度を速くすることができる。
【0027】
図3(d)は、先に図1(b)で説明したスイッチング部30が基板60のベース電極46にもっとも接近して停止した第2の状態を示しており、本例の光スイッチング素子10においては、この第2の位置でスイッチング部30の抽出面32は第1の位置と同様の方向Aを向くようになっている。しかしながら、図3(c)に示すように、スイッチング部30が停止直前の移動末期においても、抽出面32は第1の方向Aに対し傾いている。このため、アドレス電極42とベース電極46との間の空間は、立体中心線14に対し左側の区画12aの側から徐々に小さくなる。したがって、アドレス電極42とベース電極46との間の空気は空間38が斜めに徐々に狭くなるので、右側の区画12bの方向にスムーズに流れ、アドレス電極42とベース電極46との間から放出される。この結果、移動末期においてもアドレス電極42とベース電極46との間にある流体(空気)16による抵抗は非常に小さくなり、スイッチング部30は第2の位置にすばやく到達する。また、移動末期においてスイッチング部30が空気抵抗を受け難いので安定した位置に停止する。
【0028】
本例の光スイッチング素子10は、電源部61をオフすることにより、電極42および46の間の静電力がなくなるので、駆動部40のヨーク50および52の弾性力でスイッチング部30が図3(d)に示した第2の位置から、図3(a)に示した第1の位置に移動する。この際は、右側の区画12bのヨーク52の弾性力が左側の区画12aのヨーク50の弾性力よりも大きくなるので、スイッチング部30に対しては右側に大きな駆動力が作用する。したがって、抽出面32が第1の方向Aに対し図面の左側に傾いた状態で移動を開始し、図3(a)ないし図3(d)に示した状態を逆の順番で辿り第2の位置から第1の位置に移動する。このため、スイッチング部30が第2の位置から第1の位置に移動する際もスイッチング部30の周囲に存在する気体の抵抗を抑制することができ、移動速度を向上することができる。このように、本発明の光スイッチング素子10は、オンオフ動作(変調動作)の際に、いずれの方向に移動するときもスイッチング部30が第1の方向Aに対し傾いて剥がれ始め、傾いた状態で移動し、さらに傾いた状態から第1の方向Aに向きながら停止する。このため、いずれの状態でもスイッチング部30が受ける空気16の抵抗を小さくすることができ、高速で移動し、応答速度の速い光スイッチング素子、すなわち、空間光変調装置を提供することができる。
【0029】
図4に、本例の光スイッチング素子10の移動時間を、スイッチング部30が傾かずに移動する光スイッチング素子の移動時間と比較して示してある。図4(a)は、スイッチング部30が第1の位置から第2の位置、すなわち、オン状態からオフ状態に切換わる際のベース電極46とアドレス電極42の距離(間隔)dと、切換え所要時間(経過時間)Tとの関係を示してある。スイッチング部30の抽出面32が常に第1の方向Aを向いて移動し、アドレス電極42がベース電極46に対し常に平行に移動する場合は、スイッチング部30に対し以下の式(1)に示す静電力Fsと、ヨーク50および52の弾性力Feと、さらに、空気の抵抗力Faが主に作用し、一点鎖線81aに示すようなカーブを描いて移動する。
【0030】
Fs=εSV/d・・・(1)
ただし、εは流体(空気)の誘電率、Sは電極の面積、dは電極間の距離、Vは電圧を示す。
【0031】
これに対し、本例の光スイッチング素子10においては、空気の抵抗力Faが上述したように削減されるので、静電力Fsが大きくスイッチング部30に作用する。その結果、実線80aに示すように、経過時間TがΔT1(t2−t1)ほど短縮され、スイッチング部30の移動速度、すなわち、応答速度が向上する。
【0032】
図4(b)は、第2の位置から第1の位置、すなわち、オフ状態からオン状態に切換わる際のスイッチング部30の移動経過を示してある。第2の位置から第1の位置に移動する間は、上述したように静電力Fsは作用せず、スイッチング部30に対してはヨーク50および52の弾性力Feと、空気抵抗Faが作用する。そして、スイッチング部30の向きを第1の方向Aに保ったまま移動する場合は、空気抵抗Faが大きく作用し、一点鎖線81bのようにスイッチング部30が移動する。これに対し、本例の光スイッチング素子10においては、空気抵抗Faが削減されているので、実線80bに示すようにΔT2(t5−t4)ほど速く移動できる。したがって、本例の光スイッチング素子10は、オンからオフに移動する速度も、オフからオンに移動する速度も速くなり、全体の応答速度を向上することができる。
【0033】
このように、スイッチング部30を第1の位置から第2の位置、あるいはその逆方向に移動するときに、抽出面32の向きを傾けることにより空気抵抗を小さくし、応答速度を速くすることができる。スイッチング部30を傾けて移動するには、上記のように、スイッチング部30の重心14bに対し非対称な分布の駆動力を作用させれば良く、このため、上記では、重心14bを通る立体中心線14に対する左右に位置するヨーク50および52の幅を変えてそれぞれのヨークのばね係数を変え、スイッチング部30にヨーク50および52から印加される左右の弾性力の分布を非対称にしている。ヨークのばね係数を変える要素はヨークの幅Wだけに限定をされないことはもちろんである。例えば、図5に、ヨーク50および52の厚みUを変えて、ばね係数を調整することができる。図5に示した例では、立体中心線14の左側の区画12aに位置するヨーク50の厚みUを右側の区画12bに位置するヨーク52の厚みUより薄くしてあり、上記の例と同様にヨーク50のばね係数がヨーク52のばね係数よりも小さくなるようにしている。したがって、図5に示した光スイッチング素子10においても、スイッチング部30は上記と同様に動き、応答速度を速くすることができる。
【0034】
さらに、上記では、ヨーク50および52の幅Wあるいは厚みUによってヨークの断面積を変えることによってそれぞれのヨーク50および52のばね係数を変えているが、図6に示すようにヨーク50および52の材質を変えてばね係数を変えることも可能である。図6に示した光スイッチング素子10においては、左側の区画12aに位置するヨーク50と、右側の区画12bに位置するヨーク52にばね係数の異なった材質、例えば、ボロンドープされたシリコン膜であれば、ボロンの濃度を変えたり、あるいは、他の不純物をドープすることによってばね係数を変えた部材を用いている。もちろん、シリコン膜の代わりに、有機性樹脂の薄膜などをばね係数の異なるヨークの材料として採用することも可能である。
【0035】
また、図7に示すように、一方のヨークに材質の同じ薄膜、あるいは材質の異なる薄膜を貼り付けることによっても左右のヨーク50および52のばね係数を変えることができる。図7に示した光スイッチング素子10においては、右側の区画12bに位置するヨーク52を材質の異なる2つの層52aおよび52bによって形成しており、他方の区画12aに位置するヨーク50は1つの材質によって形成している。このような方法によっても左右に配置されたヨーク50および52のばね係数を調整することが可能であり、上述したように、スイッチング部30を傾いた状態で移動させることができる。
【0036】
さらに、上記では、ヨーク50および52のばね係数を変えることにより、スイッチング部30に印加される弾性力の分布を非対称にしているが、ヨーク50および52の配置を左右で変え、スイッチング部30の重心14bの周囲のばね常数の分布を非対称にすることも可能である。
【0037】
図8は、先に説明した図2に対応する図面であり、本例の光スイッチング素子10においては、立体中心線14の左側の区画12aに1本のヨーク50を配置し、右側の区画12bに2本のヨーク52を配置してある。このようなヨーク50および52の配置を採用すると、右側の区画12bの方がヨーク52の本数が多く、弾性力が大きくなる。したがって、左右の弾性力の分布がアンバランスになるので、上述した例と同様にスイッチング部30は第1の位置の向き(第1の方向)に対し傾いた状態で移動し、空気抵抗を小さくすることができる。
【0038】
図9には、立体中心線14の左側の区画12aにはヨークを配置せず、右側の区画12bにのみヨーク52を配置してスイッチング部30を支持した例を示してある。この光スイッチング素子10においては、スイッチング部30が右側の区画12bでのみ弾性的に支持されるので、立体中心線14に対し非対称な駆動力がスイッチング部30に作用する。したがって、上記と同様に移動の初期、間および末期においてスイッチング部30は傾いた状態となり、移動中の空気抵抗を削減できので、応答速度の速い光スイッチング素子10を提供することができる。
【0039】
なお、上記においては、図1(b)あるいは図3(d)に示すように、スイッチング部30がベース電極46にもっとも近づいた第2の位置においてアドレス電極42とベース電極46が平行になり、抽出面32が第1の位置の向きAと略同じ方向を向いて停止する例を示してある。しかしながら、第2の位置において抽出面32が第1の方向Aに対し傾いた状態とすることも有効である。
【0040】
図10は、スイッチング部30が移動末期に傾いた状態となり、そのままの状態でヨーク52の弾性力Feと、電極42および46によって生ずる静電力Fsとがつりあい停止する例を示してある。すなわち、本例の光スイッチング素子10のヨーク50および52は、左側の区画12aのヨーク50のばね係数が、右側の区画12bのヨーク52のばね係数よりも小さく、静電力Fsが働いたときに、左側の区画12aにおいてはスイッチング部30のアドレス電極42がベース電極46の近傍に達しストッパ48で停止しているのに対し、右側の区画12bではアドレス電極42がベース電極46の近傍に達しないところで力がつりあっている。したがって、スイッチング部30は傾いた状態で停止している。
【0041】
このような傾いた状態で停止していると、移動末期に傾いた状態からアドレス電極42がベース電極46と平行な位置になるまで移動する時間を省くことができ、また、逆に移動初期にアドレス電極42がベース電極46から傾いた状態で剥離する時間も省くことができる。さらに、第2の位置では、抽出面32の向きが全反射面22と平行である必要はなく、光スイッチング素子(空間光変調装置)としての性能上はまったく問題がない。そして、スイッチング部30は移動を開始するとすでに傾いた状態になっているので、空気抵抗が少なくでき高速に移動できる。このように、第2の位置においてスイッチング部30を傾いた状態にすると、移動中の空気抵抗を削減できると共に、スイッチング部30の姿勢を変える時間も省くことが可能であり、さらに応答時間を短縮し、非常に高速で動作可能な光スイッチング素子を提供することができる。
【0042】
図11に示した光スイッチング素子10も、第2の位置においてスイッチング部30が傾いた状態で停止するようになっている。このため、本例の光スイッチング素子においては、第2の位置でスイッチング部30を支持する左右のストッパ48aおよび48bの高さを変え、スイッチング部30の立体中心線14の左右でスイッチング部30の移動可能な間隔を非対称にしている。このように高さの異なるストッパ48aおよび48bを設けることにより、スイッチング部30のアドレス電極42の右側の部分は、先にストッパ48bに当たって停止し、傾いた状態となる。したがって、ヨーク50および52あるいは電極42および46が左右対称な分布となっていても第2の位置ではスイッチング部30は傾いた状態となり、この状態から移動開始するとき、あるいはこの状態に停止する移動末期における空気の抵抗を少ないすることができる。したがって、スイッチング部30の移動時間を短縮でき、応答速度の速い光スイッチング素子を提供することができる。なお、上記に示した例でも同様であるが、これらのストッパ48aあるいは48bは、アドレス電極42がベース電極46に直に接触するのを防止する度当たりとなり、それぞれの電極が接触して短絡したり、あるいは、電荷による吸着が発生してはがれなくなるのを防止する機能も備えている。
【0043】
図12には、ベース電極46の一方の側にのみストッパ48cを設けた光スイッチング素子10を示してある。上記のように、ストッパ48の高さをスイッチング部30の重心(立体中心線)の左右で非対称にする代わりに、ストッパ48の配置を立体中心線14の左右で非対称にすることによっても、第2の位置でスイッチング部30を傾いた状態で停止できる。ストッパ48の分布を非対称にする場合は、アドレス電極42とベース電極46が接触する可能性があるので、本例においては、アドレス電極42の外面を絶縁部材の層49でコーティングしてアドレス電極42とベース電極46が直に接触することがないようにしている。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
以上の例では、スイッチング部30に対し、その重心に対し非対称な駆動力を作用させ、スイッチング部30を傾けた状態で移動するために、ヨーク50あるいは52のばね係数、配置などを変えて重心に対する弾性力の分布を制御しているが、逆に、スイッチング部30の重心14bの位置を非対称な位置に移動することによって重心14bの周りの駆動力の分布を非対称にすることも可能である。
【0045】
図13に、スイッチング部30の立体中心線14の左側の区画12aに重り(バランサ)31を追設して重心14bを左側の区画12aに移設した光スイッチング素子10を示してある。なお、本実施の形態および以下に示す実施の形態において、上述した実施の形態と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。本例の光スイッチング素子10においては、重心14bが体心14aを通る立体中心線14から左側にずれているので、左右の区画12aおよび12bの質量が異なる。したがって、スイッチング部30が鉛直方向に移動するように配置されているのであれば、この左右の区画12aおよび12bの質量の相違は、重力加速度の相違、すなわち重量相違として作用する。このため、左右の区画12aおよび12bに同じ弾性力Feおよび静電力Fsが作用しても左の区画12aが重いので上記の実施の形態と同様にスイッチング部30は傾いて移動する。一方、スイッチング部30が水平方向に移動するように配置されているのであれば、弾性力Feおよび静電力Fsの作用する質量が相違するので、移動するときの加速度が異なる。したがって、この場合でもスイッチング部30は傾いた状態で移動する。
【0046】
このように、本例の光スイッチング素子10においても、スイッチング部30は移動初期、移動中および移動末期において傾いた状態で移動するのでスイッチング部30の周囲の流体(多くは空気であり、もちろん窒素などの不活性気体であってももちろん良い)から受ける抵抗力を削減することができる。したがって、上記の実施の形態と同様に応答速度のさらに速い光スイッチング素子を提供することができる。
【0047】
〔第3の実施の形態〕
さらに、静電力Fsの分布を調整してスイッチング部30に対する駆動力の分布を重心14bに対し非対称にすることも可能であり、これによりスイッチング部30を傾けて移動させることができる。静電力Fsは、先に式(1)で示したように、電極の面積Sおよび電圧Vに比例し、電極間の距離dに反比例するので、これらの要素のいずれかについて、その重心14bの周りの分布を非対称にすることにより非対称な静電力を得ることができる。
【0048】
図14は、先に示した図2に対応する図面であり、スイッチング部30の下面37に設けられたアドレス電極42の形状を立体中心線14の左右でアンバランスにして重心14bに対し非対称な静電力Fsが得られるようにしている。すなわち、本例のアドレス電極42は、左側の区画12aの面積が右側の区画12bの面積に対して広いほぼ台形状となっている。したがって、左側の区画12aで発生する静電力が右側の区画12bで発生する静電力より大きい。このため、スイッチング部30を静電力を用いて第1の位置から第2の位置に移動するときに静電力の大きな左側の区画12aが先に移動を開始し、その結果、スイッチング部30は上記の実施の形態と同様に傾いた状態で移動する。一方、第2の位置から第1の位置に移動するときは、本例の光スイッチング素子10では静電力が作用しないのでヨーク50および52による弾性力が左右の区画で一定であるとすると略平行な状態でスイッチング部30は移動する。
【0049】
なお、アドレス電極42の形状をスイッチング部30の底面37の形状から変えると、アドレス電極42に対し電力を供給する役目を兼ね備えたヨーク50および52との電気的な接続が取り難くなる。このため、本例においては、スイッチング部30の底面37の縁にそって接続用の電極42tを設けてアドレス電極42とヨーク52とを電気的に接続している。
【0050】
図15に、立体中心線14の左右の区画12aおよび12bでアドレス電極42の面積を変えた異なった例を示してある。本例の光スイッチング素子10においては、アドレス電極42がほぼT字型となっており、左側の区画12aに底面37よりやや大き目のほぼ長方形状のアドレス電極42aが設けられ、これに接続するように、右側の区画12bにはそのほぼ中央に左側の電極42aの半分程度の面積で方形のアドレス電極42bが設けられている。本例に限らず、アドレス電極42がスイッチング部30の立体中心線14対し非対称で面積が異なるような形状であれば、左右の区画12aおよび12bで生ずる静電力の大きさが異なるので、上記のようにスイッチング部30を傾いた状態で駆動することができる。したがって、空気抵抗が少なく、応答速度の速い光スイッチング素子を提供することができる。もちろん、アドレス電極42の代わりに、ベース電極46の形状を変えることも可能であり、あるいは両方の電極42および46の形状を非対称にして静電力の分布を非対称にすることも可能である。
【0051】
図16に、アドレス電極42あるいはベース電極46の形状を非対称にする代わりに、アドレス電極42およびベース電極46との間隔dを立体中心線14に対し非対称にした例を示してある。本例の光スイッチング素子10においては、左側の区画12aのアドレス電極42aの厚みに対し、右側の区画12bのアドレス電極42bの厚みが大きくなっている。したがって、スイッチング部30がオン状態の第1の位置に居るときは、右側の区画12bのアドレス電極42bとベース電極46の間隔dが、左側の区画12aの間隔dよりも狭くなっている。このため、アドレス電極42およびベース電極46に電力が供給されると、右側の区画12bの静電力の方が左側の区画12aの静電力よりも大きくなる。したがって、本例の光スイッチング素子においては、スイッチング部30が第1の位置から第2の位置に移動するときは、上記の実施の形態と異なり、右側の区画12bの側から剥離して傾いた状態で移動を開始する。
【0052】
一方、第2の位置に到達した移動末期においては、厚みの大きな右側のアドレス電極42bの方が先にベース電極46に当たり、次に左側のアドレス電極42aがベース電極46に当たって停止する。このため、移動開始のときとは異なった向きに傾いてスイッチング部30は停止する。さらに、この第2の位置から第1の位置に移動するときは、静電力が切られるので、ヨーク50および52の弾性力によってスイッチング部30が移動する。この際、第2の位置においてスイッチング部30は傾いた状態になっているので、移動初期および移動中も傾いたままとなり、さらに、第1の位置に到達すると、スイッチング部30の抽出面32が導光部20の全反射面22に当たる。このため、抽出面32の向きは傾いた状態から全反射面22に密着する向きに方向を変え、オン状態となる。
【0053】
このように、本例の光スイッチング素子10は、移動初期、移動中および移動末期において傾いた状態となり、さらに、第2の位置においても傾いた状態で停止する。したがって、移動速度が速く、オンオフの移動期間も短くなり、応答速度の速い光スイッチング素子を提供することができる。
【0054】
なお、本例においては、アドレス電極42の厚みを左右で変えて、アドレス電極42がベース電極46に当たって停止するようにしている。このため、直にアドレス電極42とベース電極46が接触すると短絡などの問題があるので、アドレス電極42を絶縁部材49でコーティングして直に接触するのを防いでいる。
【0055】
図17に、アドレス電極42の代わりに、ベース電極46の厚みを変えた例を示してある。本例の光スイッチング素子10においては、立体中心線14の左側の区画12aのベース電極46aの厚みに対し、右側の区画12bのベース電極46bの厚みを大きくしてある。したがって、図16に基づき説明した例と同様に、スイッチング部30が第1の位置にあるときは、右側の区画12bのベース電極46とアドレス電極42の間隔dが左側の区画12aよりも短くなり、より大きな静電力が発生する。このため、上記の例と同様にスイッチング部30は傾いて移動を開始する。
【0056】
一方、第2の位置でスイッチング部30が停止するときは図17に示してあるように、ベース電極46の高さが左右で異なるので、このベース電極46にスイッチング部30が当たって傾いた状態で停止する。このため、第2の位置から第1の位置に移動するときは、本例でもスイッチング部30は傾いた状態で移動し、いずれの方向でも空気による抵抗を削減し応答速度を改善することができる。
【0057】
〔第4の実施の形態〕
上記の例では、電極42および46の面積あるいは間隔を変えて静電力の分布を非対称にしているが、さらに、静電力を印加するタイミングを変えることにより、スイッチング部30の重心に対し非対称な分布を持った駆動力を作用させることができる。
【0058】
図18に、立体中心線14の左右の区画12aおよび12bで静電力を印加するタイミングを変えられるようにアドレス電極42を左右42aおよび42bに分割した光スイッチング素子10を示してある。本例においては、アドレス電極42が立体中心線14に沿って2つの電極42aおよび42bに分割されており、ここの電極42aおよび42bは立体中心線14に対し非対称な形状になっている。したがって、ここの電極42aおよび42bに別々のタイミングで電力を供給することにより、立体中心線14に対し非対称な分布を持つ駆動力をスイッチング部30に作用させることができる。
【0059】
図19および図20に、本例の光スイッチング素子10の動作を示してある。また、図21に、それぞれの電極42aおよび42bに電力を供給する電源部61aおよび61bの動作(制御)をタイミングチャートを用いて示してある。まず、図19(a)に示すように、左右のアドレス電極42aおよび42bに電源部61aおよび61bから電力が供給されていないときは、駆動部40のヨーク50および52によってスイッチング部30は抽出面32が全反射面22に密着したオン状態(第1の位置)となっている。
【0060】
次に、時刻t11に電源部61aのスイッチが入り、左側の区画12aのアドレス電極42aに電力が供給されると、左側の区画12aでは静電力が作用する。時刻t12に静電力が適当な力に達すると、図19(b)に示すように、スイッチング部30は傾いた状態で移動を開始し、抽出面32が全反射面22に対し斜めになって隙間(空間)38が形成されオフ状態となる。この空間38は徐々に大きくなるので空気16がスムーズに流入し、空気抵抗が少ない状態でスイッチング部30の移動が速やかに進む。
【0061】
時刻t11から時間T10だけ遅れた時刻t13に右側の区画12bのアドレス電極42bに電力を供給する電源部61bがオンすると、右側の区画12bでも静電力がスイッチング部30に作用する。この結果、図20(a)に示すように、スイッチング部30は適当な角度に傾いた状態で右側の部分にも剥離力が作用して、角度を保った状態で第2の位置に向かって移動を行う。この移動中もスイッチング部30は、移動方向に対して傾いた状態となっているので、空気抵抗は少なく、高速で移動することができる。あるいは、所定を応答速度を得るために必要な静電力が小さくて良いので、光スイッチング素子10を駆動するために必要な電力消費を少なくすることができるという効果もある。
【0062】
図20(b)に示すように、スイッチング部30がベース電極46に接近して停止する第2の位置に達すると、図20(a)から図20(b)に移行する移動末期においてスイッチング部30が傾いた状態から略平行な状態になり、ベース電極46とアドレス電極42との間の空気もスムーズに排出される。このように、本例の光スイッチング素子10においても、移動初期、移動中および移動末期においてスイッチング部30が傾いた状態となるので、応答速度をさらに向上でき、あるいは、光スイッチング素子の駆動電力を低減することも可能となる。
【0063】
スイッチング部30が第2の位置から第1の位置に移動する際も、時刻t14に右側の区画12bのアドレス電極42bに対する電力供給を遮断すると、右側の区画12bの静電力がなくなるので、ヨーク52の弾性力によってスイッチング部30が傾いた状態で移動を開始する。そして、それから時間T11遅れた時刻t15に左側の区画12aのアドレス電極42aに対する電力供給も遮断すると、スイッチング部30は適当な角度に傾いた状態で第2の位置から第1の位置に移動する。そして、時刻t16にスイッチング部30が第1の位置に到達し、抽出面32が全反射面22に平行で密着した状態になると、本例の光スイッチング素子10は、入射光を出射光として変調して出力するオン状態になる。
【0064】
このように、本例、および上記の実施の形態で説明した光スイッチング素子10は、オンからオフ、そしてオフからオンと空気中あるいは不活性ガス中などの流体中で高速で動かすことが可能であり、真空にしなくても応答速度が速い、あるいは低消費電力の空間光変調装置を実現できる。
【0065】
図22および図23に、ベース電極46を左右に分割した例を示してある。また、これらの左右に分割したベース電極46aおよび46bに対し、タイミングおよび電圧Vを変えて電力を供給する様子を図24のタイミングチャートを用いて示してある。図22(a)に示すように、本例の光スイッチング素子10においては、ベース電極46が立体中心線14の左右の区画12aおよび12bの電極46aおよび46bに分離され、互いに絶縁されており、電源部61から個別に制御することにより双方の区画12aおよび12bで生じる静電力を制御することができるようになっている。このため、電源部61は、左側のベース電極46aに接続されている電源ユニット62と、右側のベース電極46bに接続されている電源ユニット63を備えており、さらに、これらの電源ユニット62および63からそれぞれの電極46aおよび46bに供給される電圧を制御することができるコントロールユニット66を備えている。本例の光スイッチング素子10も上記の例と同様に、電極42および46に電力が供給されていない状態では、ヨーク50および52の弾性力によってスイッチング部30は第1の位置にあり、オン状態となっている。
【0066】
時刻t21に、電源ユニット62から左側のベース電極46aに電圧V1の電力が供給され、電源ユニット63から右側のベース電極46bに電圧V2の電力が供給される。この際、左側の電極46aに供給される電圧V1の値を、右側の電極46bに供給される電圧V2よりも高く設定しておくことにより、スイッチング部30の左側の区画12aで右側の区画12bよりも大きな静電力が作用する。その結果、スイッチング部30の重心14bに対し左右で非対称な駆動力が働くので、図22(b)に示すように、スイッチング部30が回転しながら移動を開始し、抽出面32が傾きながら左側の区画12aの側から剥がれ始める。したがって、本例の光スイッチング素子10においても上記の各実施の形態と同様に空気抵抗が少なく、スムーズにスイッチング部30を移動させることができる。
【0067】
さらに、時刻t22に、コントロールユニット66により、電源ユニット62および63から左右のベース電極46aおよび46bに略同じ電圧V3の電力を供給するようにすると、図23(a)に示すように、適当な角度までスイッチング部30が回転した状態でスイッチング部30が第2の位置まで移動する。そして、図23(b)に示すようにアドレス電極42がストッパ48eに当たり、第2の位置で停止する。この移動末期においても、上記の各実施の形態と同様にスイッチング部30は傾いた状態から平行な状態に回転し、その間の空間の空気を速やかに排出して停止する。また、本例の光スイッチング素子10においては、ベース電極46aおよび46bは、ストッパとなる部分48eが突出した非平坦な形状に加工されており、アドレス電極42がベース電極46aあるいは46bに密着しないようになっている。
【0068】
さらに、スイッチング部30を第2の位置から第1の位置に移動するときは、図24に示したように時刻t23に右側のベース電極46bに対する電力供給を遮断し、左側のベース電極46aに対する電力を徐々に低下させることができる。これにより、右側の区画12bにおいては、ヨーク52の弾性力によってスイッチング部30がすぐに移動を開始し、これに対し、左側の区画12aにおいては、ベース電極46aとアドレス電極42との間に静電力が作用し、徐々にその力が低下していくようになる。したがって、スイッチング部30は第2の位置から移動を開始するときも適当な角度まで回転し、傾いた状態になった後に第1の位置に向かって移動する。したがって、第2の位置から第1の位置に移動する際も、空気抵抗が低減され、高速でスイッチング部30を動かすことができる。
【0069】
以上に説明した光スイッチング素子10は、入射光をオンオフ制御可能な空間光変調装置としての機能を備えており、これらの光スイッチング素子10を単体で利用することはもちろん可能であり、さらに、アレイ状に配置して画像表示装置はもちろん、光通信、光演算、光記録などの多種多様な分野に応用することができる。そして、スイッチング部を移動する際にオン状態の向きから傾けることにより、スイッチング部の周囲の流体から受ける抵抗を大幅に低減することができる。このため、通常の空気中あるいは不活性ガス中などの雰囲気で本発明の空間光変調装置は使用することが可能であり、高速動作が可能で、応答速度が速く、さらに信頼性の高い空間光変調装置を得ることができる。また、逆に、流体の抵抗を小さくできるので、空間光変調装置を駆動するための電力消費を低減することができる。
【0070】
なお、以上の例では、エバネセント波を利用した光スイッチング素子を例に本発明を説明しているが、スイッチング部の抽出面に変わる平面要素を動かすことにより干渉特性を変化させて入射光を変調したり、偏光方向あるいは反射光の位相を変化させるなどのさまざまなタイプの空間光変調装置に本発明を適用できることはもちろんである。
【0071】
また、以上の例では、薄膜材からなるヨークを弾性材として用いた例を説明しているが、もちろん、コイルばねなどの他の形状の弾性材を採用することも可能である。また、弾性材を用いずに、電極の組み合わせを増やしたり、あるいは静電力の向きを適当に変えることによってもスイッチング部を第1の位置と第2の位置の間で移動する駆動力を得ることができ、その駆動力を非対称な状態にすることによりスイッチング部を傾けて移動させることができる。そして、上記にて開示したようなさまざまな効果を得ることができる。さらに、静電力に代わり、ピエゾ素子などの圧電素子を駆動源として用いることももちろん可能であり、この圧電素子の配置、動きなどを非対称にすることにより上記と同等の効果を得ることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の空間光変調装置は、入射光を変調可能な平面要素を備えたスイッチング部を第1の位置から第2の位置に移動する際に、平面要素の向きを第1の位置における第1の方向から傾いた状態にするようにしている。そして、移動初期、移動中あるいは移動末期の少なくともいずれかに傾いた状態にすることにより、スイッチング部の周囲に存在する空気あるいは不活性ガスなどの流体から受ける抵抗を低減することができる。このため、スイッチング部を移動する際の抗力が減り、静電力などを用いて、さらに高速でスイッチング部を動かすことができ、応答時間が短く、応答速度の早い空間光変調装置を提供することができる。また、抗力が低減されるので、逆に、消費電力を低減することも可能となる。そして、空気中などの一般的な環境条件で応答速度の速い空間変調装置を提供できるので、画像表示装置はもちろん、さまざまな分野で本発明に係る空間変調装置を適用することができる。また、高速で動作させるために真空チャンバーなどの特殊な設備は不要なので、低コストで高性能の空間変調装置を提供することができる。
【0073】
さらに、スイッチング部を移動中のみならず、オフ状態の第2の位置においても傾きた状態で停止させておくことが可能である。スイッチング部を傾いた状態で停止すれば、傾いた状態から平行な状態に戻す時間および駆動力をさらに短縮することが可能であり、いっそう動作速度が速く、応答性能の良い空間光変調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエバネセント光を用いた光スイッチング素子の概要を示す図であり、図1(a)はスイッチング部が第1の位置にあるオン状態を示し、図1(b)はスイッチング部が第2の位置にあるオフ状態を示す図である。
【図2】図1に示す光スイッチング素子のスイッチング部の構成をアドレス電極の側から示す図である。
【図3】図1に示す光スイッチング素子において、オン状態(第1の位置)からオフ状態(第2の位置)へ移動する様子を順番に模式的に示す断面図である。
【図4】図1に示す光スイッチング素子において、アドレス電極およびベース電極間の間隔を経過時間と共に示す図であり、図4(a)はオンからオフに移行する経過を示す、図4(b)はオフからオンに移行する経過を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係る異なった光スイッチング素子の構成例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る、さらに異なった光スイッチング素子の構成例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係る、さらに異なった光スイッチング素子の構成例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る、さらに異なった光スイッチング素子の構成例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係る、さらに異なった光スイッチング素子の構成例を示す図である。
【図10】図1に示した光スイッチング素子において、第1の方向に対し傾いた状態で第2の位置に停止する例を示す図である。
【図11】図10に示した光スイッチング素子のさらに異なる例を示す図である。
【図12】図10に示した光スイッチング素子のさらに異なる例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す図であり、重心の位置をずらした例を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る光スイッチング素子の概略構成を示す図であり、アドレス電極の形状を非対称にした例を示す図である。
【図15】図14に示した第3の実施の形態に係る光スイッチング素子の異なる例を示す図である。
【図16】図14に示した第3の実施の形態に係る光スイッチング素子のさらに異なる例を示す図である。
【図17】図14に示した第3の実施の形態に係る光スイッチング素子のさらに異なる例を示す図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る電極を分割した光スイッチング素子の例を示す図である。
【図19】図18に示す光スイッチング素子の動作を示す図であり、第1の位置および第1の位置から移動開始後の状態を示す図である。
【図20】図18に示す光スイッチング素子の動作を示す図であり、移動中および第2の位置で停止した状態を示す図である。
【図21】図18に示した光スイッチング素子の制御動作を示すタイムチャートである。
【図22】図18に示した第4の実施の形態に係る光スイッチング素子の異なる例を示す図であり、第1の位置および第1の位置から移動開始後の状態を示す図である。
【図23】図22に続き、移動中および第2の位置で停止した状態を示す図である。
【図24】図22および23に示す光スイッチング素子の制御動作を示すタイミングチャートである。
【図25】従来の液晶を用いた光スイッチング素子を示す図である。
【符号の説明】
10・・空間光変調装置
12・・区画
14・・立体中心線
14b・・重心
16・・空気
20・・導光部(カバーガラス)
22・・全反射面
30・・スイッチング部
31・・バランサー
32・・抽出面
33・・マイクロプリズム
37・・底面
38・・隙間
40・・駆動部
41・・ポスト
42・・アドレス電極(第1の電極)
46・・ベース電極(第2の電極)
48・・ストッパ
49・・絶縁部材
50、52・・ヨーク
60・・ICチップ
61・・直流電源部
62、63・・電源ユニット
66・・コントロールユニット
70・・入射光
72・・出射光
908・・偏光板
903・・ガラス板
904、905・・透明電極
906、907・・液晶

Claims (10)

  1. 光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、
    前記全反射面と対峙する抽出面を備え、前記抽出面が前記全反射面に接近あるいは密着する第1の位置、および前記抽出面がこの第1の位置より前記全反射面から離れる第2の位置に移動可能なスイッチング部と、
    前記スイッチング部を、前記第1の位置および前記第2の位置に移動可能な駆動手段とを有し、
    前記抽出面が前記第1の位置になるとき、前記抽出面は前記反射面に対し第1の方向を向き、かつ前記導光部から光が出力され、前記抽出面が前記第2の位置になるとき、前記導光部から光が出力されず、
    前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、前記第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に生ずる静電気力により前記スイッチング部を駆動し、前記スイッチング部に対し、その重心に対し非対称な分布を備えた駆動力を印加可能であり、前記スイッチング部の前記抽出面の向きを、移動初期に、前記第1の方向に対し傾けることを特徴とする空間光変調装置。
  2. 請求項1において、前記スイッチング部の平面要素に前記第1の位置で接し、該平面要素の向きを前記第1の方向に規定する平面部材を有することを特徴とする空間光変調装置。
  3. 請求項1において、前記スイッチング部の重心が該スイッチング部の立体中心からずれていることを特徴とする空間光変調装置。
  4. 請求項1において、前記駆動手段は、前記スイッチング部を弾性的に支持する支持部材を備えており、この支持部材は、弾性定数の分布が前記スイッチング部の重心に対し非対称となる部分を具備していることを特徴とする空間光変調装置。
  5. 請求項4において、前記スイッチング部の前記抽出面は、前記第2の位置で前記第1の方向に対し傾いていることを特徴とする空間光変調装置。
  6. 請求項1において、前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備えており、前記第1の電極の形状、第2の電極の形状、または第1および第2の電極の間隔が前記スイッチング部の重心に対し非対称となる部分を具備していることを特徴とする空間光変調装置。
  7. 請求項1において、前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、前記第1または第2の電極が前記スイッチング部の重心に対し非対称な形状の第1および第2の区画を形成するように分割されており、さらに、
    前記第1および第2の区画に異なったタイミングまたは電圧の電力を供給可能な電力供給部を備えていることを特徴とする空間光変調装置。
  8. 光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、
    前記全反射面と対峙する抽出面を備え、前記抽出面が前記全反射面に接近あるいは密着する第1の位置、および前記抽出面がこの第1の位置より前記全反射面から離れる第2の位置に移動可能なスイッチング部と、
    前記スイッチング部を、前記第1の位置および前記第2の位置に移動可能な駆動手段とを有し、
    前記抽出面が前記第1の位置になるとき、前記抽出面は前記反射面に対し第1の方向を向き、かつ前記導光部から光が出力され、前記抽出面が前記第2の位置になるとき、前記導光部から光が出力されず、
    前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、前記第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に生ずる静電気力により前記スイッチング部を駆動し、
    前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備えており、前記第1および第2の電極の間隔が前記スイッチング部の重心に対し非対称となる部分を具備しており、
    前記スイッチング部の前記抽出面は、前記第2の位置で前記第1の方向に対し傾いていることを特徴とする空間光変調装置。
  9. 光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、
    前記全反射面と対峙する抽出面を備え、前記抽出面が前記全反射面に接近あるいは密着する第1の位置、および前記抽出面がこの第1の位置より前記全反射面から離れる第2の位置に移動可能なスイッチング部と、
    前記スイッチング部を、前記第1の位置および前記第2の位置に移動可能な駆動手段とを有し、
    前記抽出面が前記第1の位置になるとき、前記抽出面は前記反射面に対し第1の方向を向き、かつ前記導光部から光が出力され、前記抽出面が前記第2の位置になるとき、前記導光部から光が出力されず、
    前記駆動手段は、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、前記第1の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極及び前記第2の電極の間に生ずる静電気力により前記スイッチング部を駆動し、
    前記スイッチング部が前記第2の位置で接触する支持台を有し、この支持台と前記スイッチング部との間隔が前記スイッチング部の重心に対し非対称となっており、
    前記スイッチング部の前記抽出面は、前記第2の位置で前記第1の方向に対し傾いていることを特徴とする空間光変調装置。
  10. 光を全反射して伝達可能な全反射面を備えた導光部と、前記全反射面に対峙する抽出面を備えたスイッチング部と、前記スイッチング部に設けられた第1の電極と、前記第2の電極に対峙する位置に設けられた第2の電極とを備え、
    前記スイッチング部が、前記全反射面に接近あるいは密着する第1の位置と、前記抽出面がこの第1の位置より前期全反射面から離れる第2の位置とに移動可能であり、
    前記抽出面が前記第1の位置になるとき、前記抽出面は前記反射面に対し第1の方向を向き、かつ前記導光部から光が出力され、前記抽出面が前記第2の位置になるとき、前記導光部から光が出力されない空間変調装置の制御方法であって、
    前記スイッチング部に設けられた第1の電極が前記スイッチング部の重心に対し非対称な形状に分割された第1および第2の区画に対し、異なったタイミングまたは電圧で電力を供給する工程を有することを特徴とする空間変調装置の制御方法。
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