JP3854036B2 - 超電導限流器およびそれを使用した超電導限流方法 - Google Patents

超電導限流器およびそれを使用した超電導限流方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統などの三相交流系統に用いられ、地絡事故などの際に故障電流が過大となることを防止する超電導限流器およびそれを使用した超電導限流方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力系統などの三相交流系統で地絡事故が発生した場合には、故障電流として過電流が発生する。そして、事故発生時には遮断器で系統の電流を遮断している。近年、電力需要の増大にともなって電力系統が益々大きくなっている。そのため、電力系統における故障電流が大きくなり、遮断器で遮断することが困難となることが予想されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、故障電流を抑制するために、事故時に、限流器としてのリアクトルを系統に直列に接続する方法もあるが、電圧降下および損失の問題がある。また、昨今の超電導技術の進歩により、この超電導技術を限流器に適用しようとする様々の方式が提案されている。その代表的な例が超電導体からなる限流器を送電線と直列に接続する方法である。送電線を流れる電流が事故により増えると、限流器を流れる電流は超電導体の臨界電流を越え、超電導体は常電導に転移する。その結果、超電導体の抵抗値は零から所定の大きさの値まで増大し、故障電流はある一定値以下に限流される。しかる後に、系統に直列に接続されている遮断器で故障電流は遮断されている。
この様な超電導限流器では、超電導素子としての超電導体に常に交流電流が流れており、超電導体には交流損失が発生する。したがって、この交流損失を除去する必要がある。また、従来は、限流器が電力系統の三相の各相に設けられており、限流器の設置スペースが大きくなると言う問題があった。
【0004】
そこで本発明は、超電導素子に交流が流れない超電導限流器およびそれを使用した超電導限流方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した課題解決手段は、
三相交流系統の事故電流を抑制する超電導限流器において、三相の各相毎に変圧器が設けられ、この変圧器の一次側が三相交流系統の各相に直列に接続され、前記3個の変圧器の二次側に三相全波の整流回路が繋がれ、この整流回路の直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられている超電導限流器であって、前記整流回路がダイオードおよびサイリスタやGTOなどの消弧機能を有する半導体素子の組み合わせで構成されるとともに前記整流回路の直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられており、前記超電導素子と直列にバイアス電源が接続されていることを特徴とする超電導限流器である。
また、三相交流系統に流れる電流を検出するとともにその検出値を制御装置に出力する電流計が設けられ、前記制御装置は、入力された検出値が予め設定されている設定値よりも大きくなると、消弧機能を有する半導体素子のゲート信号をオンからオフに変更することを特徴とする超電導限流器である。
また、前記超電導素子の材質は、NbTiやNb3 Snなどの低温超電導材料またはBi系やY系などの高温超電導材料であることを特徴とする超電導限流器である。
また、前記超電導素子は、無誘導巻きのコイルまたはジグザク状の多重折り返しで構成されていることを特徴とする超電導限流器である。
また、三相交流の三相の各相毎に変圧器が設けられ、この変圧器の一次側が三相交流系統の各相に直列に接続され、前記変圧器の二次側に三相全波のサイリスタが繋がれ、このサイリスタの直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられている超電導限流器による超電導限流方法において、前記超電導素子を超電導状態にするとともに、前記サイリスタには交流の波高値以上のバイアス電流を流しておき、地絡事故が発生して故障電流が流れると、この大きな故障電流が超電導素子に流れ、超電導素子が常電導転移し、その抵抗が増大して故障電流を抑制し限流することを特徴とする超電導限流方法である。
また、前記地絡事故が発生して故障電流が流れると、前記サイリスタに流れる電流がゼロクロスした時点でサイリスタは自動的にターンオフすることを特徴とする超電導限流方法である。
【0006】
【実施の形態】
次に、本発明における超電導限流器の第1実施形態を図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。図2は2線地絡時における電流のグラフである。
三相交流電源1から負荷2に交流が送電線3を介して給電される。この送電線3の各相U,V,W毎に変圧器4a,4b,4cが設けられており、この変圧器4a,4b,4cの一次側が各々送電線3に直列に接続されて配置されている。また、変圧器4a,4b,4cの二次側には三相全波の整流回路6が繋がれている。この整流回路6および変圧器4a,4b,4cで超電導限流器7が構成されている。整流回路6は三相ブリッジ回路で、限流素子としての常電導転移可能な超電導素子11、この超電導素子11に直列に接続されている直流バイアス電源12、および、互い並列に接続されている3本の整流器用配線16,17,18を具備している。超電導素子11は、常電導転移した際に所定の電気抵抗を確保することができる様に、無誘導巻きのコイルまたはジグザク状の多重折り返しで構成されている。整流器用配線16,17,18には各々2個の整流器16a,16b,17a,17b,18a,18bが直列に同じ向きに配置されている。そして、整流器用配線16,17,18は両端部で合流しており、この両端部間に整流回路6の直流回路部が接続され、この直流回路部に超電導素子11および直流バイアス電源12が配設されている。2対の整流器16a,16b,17a,17bはサイリスタ(すなわち消弧機能を有する半導体素子)で構成され、残りの1対の整流器18a,18bはダイオードで構成されている。整流器16a,16b,17a,17b,18a,18bは、直流バイアス電源12に対して順方向に配置されている。
【0007】
そして、変圧器4a,4b,4cの二次側は、一端部が互いに接続されて短絡されており、他端部が整流回路6の整流器用配線16,17,18の整流器間に接続されている。すなわち、第1変圧器4aの二次側は第1整流器用配線16の整流器16a,16b間に、第2変圧器4bの二次側は第2整流器用配線17の整流器17a,17b間に、第3変圧器4cの二次側は第3整流器用配線18の整流器18a,18b間に接続されている。また、各変圧器4a,4b,4cの整流回路6への出力電流の位相が略120°ずつずれる様に、変圧器4a,4b,4cの二次側は配線されている。さらに、送電線3に交流が流れている通常時において、バイアス電流が各整流器用配線16,17,18に流れる(すなわち、サイリスタの保持電流以下にならない)ように、直流バイアス電源12の容量は決定されている。
【0008】
この様に構成されている超電導限流器7が配設されている電力系統の送電線3に交流電流を流す場合には、前もって、超電導素子11を冷却して超電導素子11を超電導状態にするとともに、サイリスタからなる整流器16a,16b,17a,17bのゲート信号をオンとして整流器16a,16b,17a,17bに直流バイアス電流を流す。すると、整流器用配線16,17,18および超電導素子11には直流バイアス電源12の直流バイアス電流が流れる。ついで、ゲート信号をオフとし、そして、それ以降は、ゲート信号をオフに維持する。ゲート信号をオフとしても、状態には変化はなく、整流器用配線16,17,18および超電導素子11には直流バイアス電流が流れ続ける。その後、三相交流電源1から送電線3に交流電流を給電すると、変圧器4a,4b,4cの二次側から整流回路6に交流電流が流れ、整流器16a,16b,17a,17b,18a,18bで直流となって超電導素子11および直流バイアス電源12を流れている。そのため、超電導素子11には直流が流れ、交流が流れることがないので、交流損失の発生を防止することができる。そのため、変圧器4a,4b,4cの二次側では電圧降下は殆どない。また、直流バイアス電源12の電流はこの変圧器4a,4b,4cからの電流の波高値よりも大きく設定されており、通常の送電線3への給電では、ターンオフすることはない。しかしながら、地絡事故が発生して故障電流が流れると、この大きな故障電流が超電導素子11に流れる。そして、この超電導素子11に流れる電流が臨界電流を越えると、超電導素子11が常電導転移し、その抵抗が増大して故障電流を抑制し限流する。また、超電導素子11の抵抗の増大により、直流バイアス電源12からの直流バイアス電流が小さくなる。一方、大きな故障電流がサイリスタである整流器16a,16b,17a,17bに流れるため、整流器16a,16b,17a,17bに流れる電流がゼロクロスした時点で整流器16a,16b,17a,17bは自動的にターンオフする。このターンオフにより、故障電流は遮断される。
【0009】
たとえば、送電線3のU相とV相とが2線地絡すると、図2に図示するように、各電流が一旦大きくなるが、整流器16a,16b,17a,17bが順次ターンオフし、地絡から半サイクル以内にU相、V相およびW相の電流が遮断される。他の地絡事故でも同様に限流および遮断される。
【0010】
次に、本発明における超電導限流器の第2実施形態を図3を用いて説明する。図3は本発明の第2実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。なお、第2実施形態の説明において、前記第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
各変圧器4a,4b,4cの二次側には、各々単相全波の整流回路21a,21b,21cが繋がれている。この整流回路21a,21b,21cおよび変圧器4a,4b,4cで超電導限流器22が構成されている。各整流回路21a,21b,21cは同じ構造をしており、限流素子としての常電導転移可能な超電導素子11、この超電導素子11に直列に接続されている直流バイアス電源12、および、互い並列に接続されている2本の整流器用配線23,24を具備している。整流器用配線23,24には各々2個の整流器23a,23b,24a,24bが直列に同じ向きに配置されている。そして、整流器用配線23,24は両端部で合流しており、この両端部間に整流回路21a,21b,21cの直流回路部が接続され、この直流回路部に超電導素子11および直流バイアス電源12が配設され、ブリッジ回路が構成されている。1対の整流器23a,23b,はサイリスタで構成され、残りの1対の整流器24a,24bはダイオードで構成されている。整流器23a,23b,24a,24bは、直流バイアス電源12に対して順方向に配置されている。
【0011】
そして、変圧器4a,4b,4cの二次側は、一端部が第1整流器用配線23の整流器23a,23b間に、他端部が第2整流器用配線24の整流器24a,24b間に接続されている。さらに、送電線3に交流が流れている通常時に、各整流器用配線23,24にバイアス電流が流れる(すなわち、サイリスタの保持電流以下にならない)ように、直流バイアス電源12の容量は決定されている。
【0012】
この様に構成されている超電導限流器22は、前記第1実施形態の超電導限流器7と作動は略同じである。すなわち、電力系統の送電線3に交流電流を流す場合には、前もって、超電導素子11を冷却して超電導素子11を超電導状態にするとともに、サイリスタからなる整流器23a,23bのゲート信号をオンとして整流器23a,23bに直流バイアス電流を流す。すると、整流器用配線23,24および超電導素子11には直流バイアス電源12の直流バイアス電流が流れる。ついで、ゲート信号をオフとする。ゲート信号をオフとしても、状態には変化はなく、整流器用配線23,24および超電導素子11には直流バイアス電流が流れ続ける。その後、三相交流電源1から送電線3に交流電流を給電すると、各変圧器4a,4b,4cの二次側から対応する整流回路21a,21b,21cに交流電流が流れ、整流器23a,23b,24a,24bで直流となって超電導素子11および直流バイアス電源12を流れている。そのため、超電導素子11には直流が流れ、交流が流れることがないので、交流損失の発生を防止することができる。また、直流バイアス電源12の電流はこの変圧器4a,4b,4cからの電流の波高値よりも大きく設定されており、通常の送電線3への給電では、ターンオフすることはない。しかしながら、地絡事故が発生して故障電流が流れると、この大きな故障電流が超電導素子11に流れ、超電導素子11が常電導転移し、その抵抗が増大して故障電流を抑制し限流する。また、超電導素子11の抵抗の増大により、直流バイアス電源12からの直流バイアス電流が小さくなる。一方、大きな故障電流がサイリスタである整流器23a,23bに流れるため、整流器23a,23bに流れる電流がゼロクロスした時点で整流器23a,23bは自動的にターンオフする。このターンオフにより、故障電流は遮断される。この様にして、限流および遮断される。
【0013】
次に、本発明における超電導限流器の第3実施形態を図4を用いて説明する。図4は本発明の第3実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。なお、第3実施形態の説明において、前記第2実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第3実施形態の超電導限流器26は、第2実施形態の超電導限流器22と異なり、変圧器4a,4b,4cが設けられておらず、送電線3の中間部に直接直列に接続されている。すなわち、送電線3の各相の交流電源側が各々第1整流器用配線23の整流器23a,23b間に、各相の負荷側が各々第2整流器用配線24の整流器24a,24b間に接続されている。
この様に構成されている超電導限流器26は、前記第2実施形態の超電導限流器22と略同様に、故障電流発生時には限流および遮断動作を行う。第3実施形態では、変圧器4a,4b,4cが設けられていないので、部品点数を削減することができるとともに、コンパクトにすることができる。一方、前述の第2実施形態では、変圧器4a,4b,4cが設けられているので、送電線3の比較的大きな電流が直接超電導素子11および直流バイアス電源12に流れない。したがって、直流バイアス電源12のバイアス電流の大きさを小さくすることができる。
【0014】
次に、本発明における超電導限流器の第4実施形態を図5および図6を用いて説明する。図5は本発明の第4実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。図6は第4実施形態における送電のフローチャートである。なお、第4実施形態の説明において、前記第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第4実施形態の整流回路30は、第1実施形態における整流回路6と略同じであるが、直流バイアス電源12は設けられていない。また、送電線3の各相U,V,Wには電流計31が設けられ、各相に流れる電流を検出している。この電流計31が検出した電流値は、マイコンなどからなる制御装置32に入力され、制御装置32はサイリスタである整流器16a,16b,17a,17bのゲートにゲート信号を出力している。そして、制御装置32は、電流計31の検出値が制御装置32に予め設定されている設定値よりも小さいか否かを判断し、設定値よりも小さい場合にはゲート信号としてオン信号を出力し、電流計31の検出値が設定値以上になると、ゲート信号としてオフ信号を出力し、その後オフ信号を維持している。なお、設定値は通常の送電時における電流の値よりも大きく設定されており、通常の送電時には電流計31の検出値は設定値以上になることはない。そして、大きな故障電流が流れると、電流計31の検出値が設定値以上となる。また、第4実施形態においては、超電導限流器33は変圧器4a,4b,4c、電流計31、整流回路30および制御装置32で構成されている。
【0015】
この様に構成されている超電導限流器33が配設されている電力系統の送電線3に交流電流を流す場合の方法について図6のフローチャートに基づいて説明する。まず始めに、ステップ1において、超電導素子11を冷却して超電導素子11を超電導状態にするとともに、制御装置32はサイリスタからなる整流器16a,16b,17a,17bにゲート信号としてオン信号を出力する。ついで、ステップ2において、送電線3に交流を給電する。電流計31は送電線3の各相U,V,Wを流れる電流を検出する。この検出電流すなわち検出値は制御装置32に入力され、制御装置32は検出値と設定値とを比較し、検出値が設定値以上か否かを判断し、未満の場合にはステップ2に戻り、比較判断作業を繰り返す。なお、この間はゲート信号はオンの状態を維持する。通常の送電時には、電流計31の検出値が設定値以上となることはないので、ゲート信号はオンとなっており、整流器16a,16b,17a,17bがターンオフすることはない。
【0016】
一方、ステップ2において、検出値が設定値以上であると制御装置32が判断した場合すなわち故障電流が流れたと判断した場合には、ステップ3に行き、所定時間後(たとえば、制御装置32に設定されている設定時間後や、3サイクル後など)、制御装置32は整流器16a,16b,17a,17bにゲート信号としてオフ信号を出力する。すると、整流器16a,16b,17a,17bに流れる電流がゼロクロスした時点で整流器16a,16b,17a,17bは自動的にターンオフする。このターンオフにより、故障電流は遮断される。その後、故障が修理され、制御装置32に復帰作動を開始させない限り、ゲート信号のオフ状態は維持される。ところで、前述の様に、地絡事故が発生した場合には、送電線3を流れる電流値が増大し、前記ステップ2において、電流計31の検出値が制御装置32の設定値以上に増大し、ステップ3に行き、整流器16a,16b,17a,17bがターンオフして、故障電流は遮断される。この遮断動作の前に、地絡事故時の電流の増大で、超電導素子11に流れる電流が増大し、超電導素子11が超電導状態から常電導状態に転移し抵抗が増大する。この抵抗の増大により、送電線3の電流を抑制し限流することができる。したがって、故障電流は限流後、遮断されることになる。
【0017】
なお、超電導素子11はNbTi(ニオブチタン合金)やNb3 Sn(ニオブ錫合金)などの低温超電導材料またはBi(ビスマス)系やY(イットリウム)系などの高温超電導材料で構成されている。低温超電導材料の場合は液体ヘリウムで浸漬冷却かもしくは冷凍機で間接冷却されて超電導体の臨界温度以下に維持されている。一方、高温超電導材料の場合は液体窒素などの冷媒で浸漬冷却かもしくは固体冷却、あるいは冷凍機で間接冷却されて超電導体の臨界温度以下に維持されている。
前述の実施の形態では、整流器はサイリスタおよびダイオードの組み合わせで構成されているが、全ての整流器をダイオードで構成することも可能である。この場合には、限流後、別途設置されている遮断器により、限流されている故障電流を遮断する。また、消弧機能を有する半導体素子としてサイリスタが用いられているが、GTOを採用することも可能である。
また、サイリスタは、第4実施形態の様に制御装置でゲート信号を制御することも可能であるし、また、第1〜3実施形態の様に直流バイアス電源を設けて、サイリスタに流れる電流がゼロクロスした時点でターンオフさせることも可能である。
さらに、前述の実施の形態では、超電導素子11は無誘導巻きのコイルまたはジグザク状の多重折り返しで構成されているが、他の構成でも可能である。
そして、電流計の検出値が増大してから、制御装置を介してゲート信号がオフするまでの遅延時間は、制御装置に設定したり、別途設けられた遅延回路で遅延させたりすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内で種々の形態を実施することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、超電導素子には直流が流れ、交流は流れないので、交流損失が生じない。また、三相全波の整流回路が用いられており、各相に整流回路を設けたものよりもコンパクトとなる。さらに、整流回路がダイオードおよび消弧機能を有する半導体素子の組み合わせで構成されており、限流および遮断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。
【図2】2線地絡時における電流のグラフである。
【図3】本発明の第2実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。
【図5】本発明の第4実施形態の超電導限流器を用いた送電回路の概略の回路図である。
【図6】第4実施形態における送電のフローチャートである。
【符号の説明】
4a,4b,4c 変圧器
6,21a,21b,21c,30 整流回路
7,22,26,33 超電導限流器
11 超電導素子
12 直流バイアス電源
31 電流計
32 制御装置

Claims (6)

  1. 三相交流系統の事故電流を抑制する超電導限流器において、三相の各相毎に変圧器が設けられ、この変圧器の一次側が三相交流系統の各相に直列に接続され、前記3個の変圧器の二次側に三相全波の整流回路が繋がれ、この整流回路の直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられている超電導限流器であって、前記整流回路がダイオードおよびサイリスタやGTOなどの消弧機能を有する半導体素子の組み合わせで構成されるとともに前記整流回路の直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられており、前記超電導素子と直列にバイアス電源が接続されていることを特徴とする超電導限流器。
  2. 三相交流系統に流れる電流を検出するとともにその検出値を制御装置に出力する電流計が設けられ、前記制御装置は、入力された検出値が予め設定されている設定値よりも大きくなると、消弧機能を有する半導体素子のゲート信号をオンからオフに変更することを特徴とする請求項1に記載の超電導限流器。
  3. 前記超電導素子の材質は、NbTiやNb3 Snなどの低温超電導材料またはBi系やY系などの高温超電導材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導限流器。
  4. 前記超電導素子は、無誘導巻きのコイルまたはジグザク状の多重折り返しで構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の超電導限流器。
  5. 三相交流の三相の各相毎に変圧器が設けられ、この変圧器の一次側が三相交流系統の各相に直列に接続され、前記変圧器の二次側に三相全波のサイリスタが繋がれ、このサイリスタの直流回路部に常電導転移可能な超電導素子が設けられている超電導限流器による超電導限流方法において、前記超電導素子を超電導状態にするとともに、前記サイリスタには交流の波高値以上のバイアス電流を流しておき、地絡事故が発生して故障電流が流れると、この大きな故障電流が超電導素子に流れ、超電導素子が常電導転移し、その抵抗が増大して故障電流を抑制し限流することを特徴とする超電導限流方法。
  6. 前記地絡事故が発生して故障電流が流れると、前記サイリスタに流れる電流がゼロクロスした時点でサイリスタは自動的にターンオフすることを特徴とする請求項6に記載の超電導限流方法。
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