JP3853393B2 - カード用コネクタ組立体 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、ＰＣカード等のカードを案内するフレームとこのフレームに案内され挿入された該カードを受容する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＩＣ等を内蔵したＰＣカードが、例えばパーソナルコンピュータ等の分野で使用されている。このＰＣカードにはメモリが内蔵されており、その情報集積量は従来の磁気利用のカードに比べ１００倍以上になっている。また、ＰＣカードには、メモリだけでなくハードディスク又はモデムも内蔵されたタイプもある。ＰＣカードを利用する際にはＰＣカード専用端末機が使用され、このＰＣカード専用端末機には、ＰＣカードを案内するフレームとこのフレームに案内され挿入されたＰＣカードを受容する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体が装着されている。また、ＰＣカードは、通常、その表面が薄い金属面で覆われており、ＰＣカードに帯電した電荷はこの金属面を経由してカード用コネクタ組立体のフレームに形成されたグランドコンタクトに流れ、これにより、ＰＣカードの回路の静電破壊が防止される。
【０００３】
ＰＣカードは、一般に、ＰＣカード同士に互換性をもたせるために規格化されている。この規格の一つとして、最近、ＰＣカードの両面のうちの一面に、信号に対して適正にグランドをとるためのシグナルグランド（ＳＧ）を形成する規格が追加された。図１５にこの規格を満たすＰＣカードを示す。ＰＣカード１０には、ＰＣカード１０の表面を覆う金属面１２とＳＧ１４とが形成されている。ＳＧ１４は、通常、金属面１２から絶縁された状態にある。カードコネクタ組立体において、金属面１２と接触するフレームのグランドコンタクトと、ＳＧと接触するグランドコンタクトとを短絡させるとループの形成によりノイズの原因となる場合がある。このため、フレームのグランドコンタクトとは独立したグランド部を設ける必要がある。従来のカード用コネクタ組立体（例えば、特開平６−１５１０１９号公報参照）には、最近規格化されたＳＧについては何ら考慮されていないので、ＳＧに接触するグランド部が形成されていない。そこで、従来のカード用コネクタ組立体にこのグランド部を形成するとＳＧとグランド部との接触によりノイズを低減することができるものの、従来のカード用コネクタ組立体にグランド部を単に形成しただけではカード用コネクタ組立体が厚くなってしまうという問題が生じる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、ＰＣカードのＳＧに接触するグランド部が形成された厚さの薄い（低背の）カード用コネクタ組立体を提供することを第１の目的とする。
ところで、カード用コネクタ組立体としては、ＰＣカードをそれぞれ受容する受容部が２つ形成され２枚のＰＣカードを同時に挿入できる、いわゆる２階建てのカード用コネクタ組立体（ダブルデッガータイプのコネクタ）が知られている（特開平６−３３２５７３号公報参照）。この２階建てのカード用コネクタ組立体は一体的に形成されている。このため、ＰＣカードを受容する受容部が１つで済む、１枚のＰＣカード専用のカード用コネクタ組立体が必要な場合には、別途、この１枚用のカード用コネクタ組立体を製造する必要がある。従って、この１枚用と２枚用の２つのタイプのカード用コネクタ組立体を製造する場合は、別々に費用がかかりその分高くなる。また、ＰＣカードとしてはその厚さが互いに異なる３種類のタイプが多く使用されており、これら３種類のＰＣカード全てに対応できる２階建てのカード用コネクタ組立体を製造する費用はさらに高くなる。また、従来の２階建てのカード用コネクタ組立体では、上記したＳＧが形成されたＰＣカードには対応できず、このＰＣカードに対応するために、従来のカード用コネクタ組立体にグランド部を単に形成しただけではカード用コネクタ組立体が厚くなってしまうという問題がある。
【０００５】
本発明は、上記事情に鑑み、積み重ねることにより２階建てのカード用コネクタ組立体にもでき、ＰＣカードのＳＧに接触するグランド部が形成された厚さの薄いカード用コネクタ組立体を提供することを第２の目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記第１の目的を達成するための本発明のカード用コネクタ組立体は、両面のうちの一面に接地用突起が形成されたカードを案内するフレームと、このフレームに案内され挿入された上記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体において、
（１）上記絶縁ハウジングが、係止用突起と、上記受容部に受容された上記カードの一面に対向する部分に形成された切欠部とを有するものであり、
（２）上記係止用突起に係止する係止用孔と上記接地用突起に接触する接触片とを有し、上記切欠部を覆う状態に上記絶縁ハウジングに取り付けられたグランド板を備えたことを特徴とするものである。
【０００７】
また、上記第２の目的を達成するための本発明のカード用コネクタ組立体は、両面のうちの一面に接地用突起が形成されたカードを案内するフレームと、このフレームに案内され挿入された上記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングとをそれぞれに備えた第１及び第２のカード用コネクタ組立体が互いに積み重ねられた２階建てのカード用コネクタ組立体であって、
（３）第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの上記絶縁ハウジングが、係止用突起と、上記受容部に受容された上記カードの一面に対向する部分に形成された切欠部と、それぞれの絶縁ハウジングの互いに対向する部分に形成された互いに係合する係合部とを有するものであり、
（４）上記係止用突起に係止する係止用孔と上記接地用突起に接触する接触片とを有し、上記切欠部を覆う状態に上記絶縁ハウジングに取り付けられたグランド板を備えたことを特徴とするものである。
【０００８】
【作用】
第１の目的を達成する本発明のカード用コネクタ組立体はグランド板を備えており、このグランド板には、カードの接地用突起に接触する接触片が形成されている。グランド板の係止用孔は、絶縁ハウジングの係止用突起に係止されるので、グランド板が絶縁ハウジングから不用意に外れることを防止できる。また、絶縁ハウジングに切欠部を形成し、この切欠部を覆う状態にグランド板を取り付けているので、厚さの薄い（低背の）カード用コネクタ組立体が得られる。
【０００９】
第２の目的を達成する本発明のカード用コネクタ組立体は、第１及び第２のカード用コネクタ組立体からなり、この第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの絶縁ハウジングの互いに対向する部分には、互いに係合する係合部が形成されている。これらの係合部を係合して第１及び第２のカード用コネクタ組立体を互いに積み重ねることにより、２階建てのカード用コネクタ組立体にできる。これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、それぞれ、フレームと絶縁ハウジングを備えているので、カード用コネクタ組立体として単独で使用することもできる。また、これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、それぞれ、切欠部を覆う状態に取り付けられたグランド板を備えているので、接地用突起をシグナルグランドとして使うことができる厚さの薄いカード用コネクタ組立体が得られる。
【００１０】
【実施例】
以下、本発明のカード用コネクタ組立体の実施例について説明する。
図１から図６までは、それぞれ、本発明のカード用コネクタ組立体の一実施例を示す平面図、正面図、底面図、側面図、図１のＡ−Ａ断面図、背面図であり、各図にはフレームを示していない。
【００１１】
カード用コネクタ組立体は、コネクタ２０と後述するフレーム８０（図１２参照）を備えている。コネクタ２０は、絶縁ハウジング３０と、絶縁ハウジング３０に互いに平行に上下２列に配列された複数のコンタクト５０と、絶縁ハウジング３０の切欠部３２を覆う状態に取り付けられたグランド板６０と、複数のコンタクト５０の先端部及びグランド板６０の端子部６２それぞれが貫通する孔が形成された整列板７０を備えている。
【００１２】
絶縁ハウジング３０には、図１５に示すＰＣカード１０を受容する受容部３４が形成されている。この受容部３４は絶縁ハウジング３０の壁で画定されているが、ＰＣカード１０のシグナルグランド１４に対向する部分には切欠部３２が形成されており、上述したように、この切欠部３２を覆う状態にグランド板６０が取り付けられている。このため、絶縁ハウジング３０を厚くすることなくグランド板６０を取り付けることができ、厚さの薄いカード用コネクタ組立体が得られ、さらに、グランド板６０により絶縁ハウジング３０の反りが防止される。また、絶縁ハウジング３０には、グランド板６０の係止用孔６４が係止される断面がＴ字状の突起（本発明にいう係止用突起の一例）３６が形成されている。係止用孔６４がＴ字状突起３６に係止されることにより、グランド板６０が絶縁ハウジング３０から不用意に外れることを防止できる。絶縁ハウジング３０に形成された突出部３８の下には、グランド板６０の一部が潜り込んだ状態になって保持されている。このため、ＰＣカード１０が絶縁ハウジング３０に誤挿入されても、グランド板６０のめくれ上りを防止できる。また、後述するように、コネクタ２０はコネクタ１２０（図７参照）の上に積み重ねられるが、この積重ねの際の位置決めになる凹部４０が絶縁ハウジング３０の底壁４２に形成されている。また、絶縁ハウジング３０には、後述するフレーム８０（図１２参照）のリング部８２が取り付けられる取付部４４が形成されている。リング部８２を取付部４４に重ね合わせ、リング部８２及び取付部４４を基板（図示せず）にねじ止めすることにより、フレーム８０を正確な位置で絶縁ハウジング３０に固定されると共に、フレーム８０が基板に接地されることとなる。絶縁ハウジング３０の底壁４２には係合レール４６が形成されており、この係合レール４６は、後述するコネクタ１２０の係合溝１４６と係合してコネクタ２０とコネクタ１２０の積重ねを固定する。
【００１３】
グランド板６０には、ＰＣカード１０（図１５参照）の接地用突起１４ａに接触する接触片６６が形成されており、受容部３４に受容されたＰＣカード１０の接地用突起１４ａは接触片６６に接触し、シグナルグランド１４が接地されることとなる。接触片６６は比較的長く形成されているので十分なばね性をもち塑性変形しにくい。尚、接触片６６は、ＰＣカードの金属面１２（図１５参照）には接触しないように構成されている。また、上述したように、係止用孔６４は、絶縁ハウジング３０のＴ字状突起３６に係止される。また、グランド板６０には、２つの舌片６８が両端の部分に形成されており、この舌片６８は絶縁ハウジング３０の突起（図示せず）に当接する。この当接により、グランド板６０が絶縁ハウジング３０からずれることが防止される。
【００１４】
整列板７０には、上述したように、複数のコンタクト５０の先端部及びグランド板６０の端子部６２それぞれが貫通する孔が形成されている。グランド板６０の端子部６２はこの孔を貫通するのでフレーム８０に接触せず、この結果、グランド板６０とフレーム８０とは電気的に接続されない。尚、必要に応じて、グランド板６０とフレーム８０とを接触させる舌片をグランド板６０の両側や片側に形成してもよい。
【００１５】
図７から図１１までは、それぞれ、本発明のカード用コネクタ組立体の他の実施例を示す平面図、正面図、底面図、側面図、図９のＢ−Ｂ断面図であり、各図はフレームを示していない。各図に示すコネクタ１２０は、上記のコネクタ２０とほぼ同じ構造であるので同じ要素は同じ符号で示し、ここでは、両者の相違点を説明する。
【００１６】
両者の主な相違点は、コネクタ１２０の絶縁ハウジング１３０に、コネクタ２０の絶縁ハウジング３０に形成された凹部４０に挿入される凸部１４０が形成されている点にある。この凸部１４０はＴ字状突起１３６の上に形成されており、上述したように、コネクタ２０とコネクタ１２０を積み重さねて２階建てのカード用コネクタ組立体２００（図１３参照）を構成する際の位置決めになる。また、コネクタ２０とコネクタ１２０を積み重さねるに当たっては、上述したように、コネクタ２０の係合レール４６とコネクタ１２０の係合溝１４６とを係合して積み重さねる。２階建てのカード用コネクタ組立体２００は、上述のように、単独でも使用できるコネクタ２０とコネクタ１２０を積み重ねることにより構成されるので、一体型の２階建てのカード用コネクタ組立体を製造する場合に比べ安い費用で済む。
【００１７】
次に、図１２から図１４までを参照して、２階建てカード用コネクタ組立体を説明する。
図１２は２階建てのカード用コネクタ組立体を示す平面図、図１３は図１２のカード用コネクタ組立体のＣ−Ｃ断面図、図１４は図１３の部分拡大図である。２階建てカード用コネクタ組立体２００は、コネクタ２０及びコネクタ１２０にそれぞれフレーム８０及びフレーム１８０を装着して積み重ねることにより形成される。フレーム８０（１８０）は金属面を打ち抜いて形成され、このフレーム８０（１８０）の左右両端部は折り曲げられ、ＰＣカードの挿抜を案内するガイド部８２（１８２）がこの左右両端部に形成されている。この左右両端部に形成されたガイド部８２（１８２）には、金属面をプレスし内方に向けて突出させた上下２つのレール８２ａ，８２ｂ（１８２ａ，１８２ｂ）がそれぞれ備えられており、挿入されるＰＣカードの両端部が保持されてフレーム８０（１８０）内に案内される。また、ガイド部８２（１８２）の挿入方向前方には、金属面を内側に向けて下方から突出させた第１のグランドコンタクト８４（１８４）が形成されており、またガイド部８２（１８２）の入口近傍には第２のグランドコンタクト８６（１８６）が側方に形成されている。グランドコンタクト８４（１８４），８６（１８６）はＰＣカードの表面を覆う金属面に接し、この金属面に帯電した電荷を放電する機能をもっている。尚、上述したように、電荷は、グランドコンタクト、リング部８２、及び可撓性配線基板１１０を経由して基板１００に接地される。このため、ＰＣカードに形成された金属面の電荷がＰＣカードの回路に流れることによる回路の破壊が防止される。
【００１８】
フレーム８０（１８０）には、コネクタ２０（１２０）に受容されたＰＣカードを抜き出すための操作杆９０（１９０）とカムバー９５（操作杆１９０のカムバーは図示せず）が保持されている。操作杆９０（１９０）は金属面を打ち抜いて形成され弾性を有し、図１２に示すように、フレーム８０（１８０）に摺動自在に保持される。また、操作杆９０（１９０）の挿入方向前方の端部には、カムバー９５が連結されており、このカムバー９５の中間部はフレーム８０（１８０）に軸支されている。また、挿入方向後方の端部には、ボタン９６（１９６）が装着されており、フレーム８０（１８０）に挿入されたＰＣカードを押し出す際には、ボタン８０を挿入方向（矢印Ｄ方向）に押す。カムバー９５は、Ｔ字状突起３６（１３６）（図１、図７参照）の上をスライドするように構成されているので、カムバー９５の変形やフレーム８０（１８０）からの浮き上りが防止される。ここで、フレーム８０（１８０）とグランド板６０との間に絶縁層（絶縁フィルムや絶縁コーティング）を施すことにより両者の電気的接触を防止できる。
【００１９】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のカード用コネクタ組立体によれば、フレームとは独立したグランド板の設置により信号に対して適正にグランドをとることができ、また、切欠部を覆う状態にグランド板が取り付けられているので厚さが薄いものが得られる。また、本発明の第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの係合部同士を係合して第１及び第２のカード用コネクタ組立体を互いに積み重ねることにより、２階建てのカード用コネクタ組立体にできる。これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、カード用コネクタ組立体として単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のカード用コネクタ組立体の一実施例のコネクタを示す平面図である。
【図２】図１のカード用コネクタ組立体の正面図である。
【図３】図１のカード用コネクタ組立体の底面図である。
【図４】図１のカード用コネクタ組立体の側面図である。
【図５】図１のカード用コネクタ組立体のＡ−Ａ断面図である。
【図６】図１のカード用コネクタ組立体の背面図である。
【図７】本発明のカード用コネクタ組立体の他の例のコネクタを示す平面図である。
【図８】図７のカード用コネクタ組立体の正面図である。
【図９】図７のカード用コネクタ組立体の底面図である。
【図１０】図７のカード用コネクタ組立体の側面図である。
【図１１】図９のカード用コネクタ組立体のＢ−Ｂ断面図である。
【図１２】図１及び図７に示すコネクタを積み重ねて構成された２階建てのカード用コネクタ組立体を示す平面図である。
【図１３】図１２のカード用コネクタ組立体のＣ−Ｃ断面図である。
【図１４】図１３の部分拡大図である。
【図１５】シグナルグランドが形成されたＰＣカードを示す斜視図である。
【符号の説明】
２０，１２０ コネクタ
３０ 絶縁ハウジング
３２ 切欠
３４ 受容部
３６，１３６ Ｔ字状突起
４６ 係合レール
６０ グランド板
６４ 係止用孔
６６ 接触片
８０，１８０ フレーム
１４６ 係合溝
２００ ２階建てのカード用コネクタ組立体
【産業上の利用分野】
本発明は、ＰＣカード等のカードを案内するフレームとこのフレームに案内され挿入された該カードを受容する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＩＣ等を内蔵したＰＣカードが、例えばパーソナルコンピュータ等の分野で使用されている。このＰＣカードにはメモリが内蔵されており、その情報集積量は従来の磁気利用のカードに比べ１００倍以上になっている。また、ＰＣカードには、メモリだけでなくハードディスク又はモデムも内蔵されたタイプもある。ＰＣカードを利用する際にはＰＣカード専用端末機が使用され、このＰＣカード専用端末機には、ＰＣカードを案内するフレームとこのフレームに案内され挿入されたＰＣカードを受容する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体が装着されている。また、ＰＣカードは、通常、その表面が薄い金属面で覆われており、ＰＣカードに帯電した電荷はこの金属面を経由してカード用コネクタ組立体のフレームに形成されたグランドコンタクトに流れ、これにより、ＰＣカードの回路の静電破壊が防止される。
【０００３】
ＰＣカードは、一般に、ＰＣカード同士に互換性をもたせるために規格化されている。この規格の一つとして、最近、ＰＣカードの両面のうちの一面に、信号に対して適正にグランドをとるためのシグナルグランド（ＳＧ）を形成する規格が追加された。図１５にこの規格を満たすＰＣカードを示す。ＰＣカード１０には、ＰＣカード１０の表面を覆う金属面１２とＳＧ１４とが形成されている。ＳＧ１４は、通常、金属面１２から絶縁された状態にある。カードコネクタ組立体において、金属面１２と接触するフレームのグランドコンタクトと、ＳＧと接触するグランドコンタクトとを短絡させるとループの形成によりノイズの原因となる場合がある。このため、フレームのグランドコンタクトとは独立したグランド部を設ける必要がある。従来のカード用コネクタ組立体（例えば、特開平６−１５１０１９号公報参照）には、最近規格化されたＳＧについては何ら考慮されていないので、ＳＧに接触するグランド部が形成されていない。そこで、従来のカード用コネクタ組立体にこのグランド部を形成するとＳＧとグランド部との接触によりノイズを低減することができるものの、従来のカード用コネクタ組立体にグランド部を単に形成しただけではカード用コネクタ組立体が厚くなってしまうという問題が生じる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、ＰＣカードのＳＧに接触するグランド部が形成された厚さの薄い（低背の）カード用コネクタ組立体を提供することを第１の目的とする。
ところで、カード用コネクタ組立体としては、ＰＣカードをそれぞれ受容する受容部が２つ形成され２枚のＰＣカードを同時に挿入できる、いわゆる２階建てのカード用コネクタ組立体（ダブルデッガータイプのコネクタ）が知られている（特開平６−３３２５７３号公報参照）。この２階建てのカード用コネクタ組立体は一体的に形成されている。このため、ＰＣカードを受容する受容部が１つで済む、１枚のＰＣカード専用のカード用コネクタ組立体が必要な場合には、別途、この１枚用のカード用コネクタ組立体を製造する必要がある。従って、この１枚用と２枚用の２つのタイプのカード用コネクタ組立体を製造する場合は、別々に費用がかかりその分高くなる。また、ＰＣカードとしてはその厚さが互いに異なる３種類のタイプが多く使用されており、これら３種類のＰＣカード全てに対応できる２階建てのカード用コネクタ組立体を製造する費用はさらに高くなる。また、従来の２階建てのカード用コネクタ組立体では、上記したＳＧが形成されたＰＣカードには対応できず、このＰＣカードに対応するために、従来のカード用コネクタ組立体にグランド部を単に形成しただけではカード用コネクタ組立体が厚くなってしまうという問題がある。
【０００５】
本発明は、上記事情に鑑み、積み重ねることにより２階建てのカード用コネクタ組立体にもでき、ＰＣカードのＳＧに接触するグランド部が形成された厚さの薄いカード用コネクタ組立体を提供することを第２の目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記第１の目的を達成するための本発明のカード用コネクタ組立体は、両面のうちの一面に接地用突起が形成されたカードを案内するフレームと、このフレームに案内され挿入された上記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングとを備えたカード用コネクタ組立体において、
（１）上記絶縁ハウジングが、係止用突起と、上記受容部に受容された上記カードの一面に対向する部分に形成された切欠部とを有するものであり、
（２）上記係止用突起に係止する係止用孔と上記接地用突起に接触する接触片とを有し、上記切欠部を覆う状態に上記絶縁ハウジングに取り付けられたグランド板を備えたことを特徴とするものである。
【０００７】
また、上記第２の目的を達成するための本発明のカード用コネクタ組立体は、両面のうちの一面に接地用突起が形成されたカードを案内するフレームと、このフレームに案内され挿入された上記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングとをそれぞれに備えた第１及び第２のカード用コネクタ組立体が互いに積み重ねられた２階建てのカード用コネクタ組立体であって、
（３）第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの上記絶縁ハウジングが、係止用突起と、上記受容部に受容された上記カードの一面に対向する部分に形成された切欠部と、それぞれの絶縁ハウジングの互いに対向する部分に形成された互いに係合する係合部とを有するものであり、
（４）上記係止用突起に係止する係止用孔と上記接地用突起に接触する接触片とを有し、上記切欠部を覆う状態に上記絶縁ハウジングに取り付けられたグランド板を備えたことを特徴とするものである。
【０００８】
【作用】
第１の目的を達成する本発明のカード用コネクタ組立体はグランド板を備えており、このグランド板には、カードの接地用突起に接触する接触片が形成されている。グランド板の係止用孔は、絶縁ハウジングの係止用突起に係止されるので、グランド板が絶縁ハウジングから不用意に外れることを防止できる。また、絶縁ハウジングに切欠部を形成し、この切欠部を覆う状態にグランド板を取り付けているので、厚さの薄い（低背の）カード用コネクタ組立体が得られる。
【０００９】
第２の目的を達成する本発明のカード用コネクタ組立体は、第１及び第２のカード用コネクタ組立体からなり、この第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの絶縁ハウジングの互いに対向する部分には、互いに係合する係合部が形成されている。これらの係合部を係合して第１及び第２のカード用コネクタ組立体を互いに積み重ねることにより、２階建てのカード用コネクタ組立体にできる。これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、それぞれ、フレームと絶縁ハウジングを備えているので、カード用コネクタ組立体として単独で使用することもできる。また、これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、それぞれ、切欠部を覆う状態に取り付けられたグランド板を備えているので、接地用突起をシグナルグランドとして使うことができる厚さの薄いカード用コネクタ組立体が得られる。
【００１０】
【実施例】
以下、本発明のカード用コネクタ組立体の実施例について説明する。
図１から図６までは、それぞれ、本発明のカード用コネクタ組立体の一実施例を示す平面図、正面図、底面図、側面図、図１のＡ−Ａ断面図、背面図であり、各図にはフレームを示していない。
【００１１】
カード用コネクタ組立体は、コネクタ２０と後述するフレーム８０（図１２参照）を備えている。コネクタ２０は、絶縁ハウジング３０と、絶縁ハウジング３０に互いに平行に上下２列に配列された複数のコンタクト５０と、絶縁ハウジング３０の切欠部３２を覆う状態に取り付けられたグランド板６０と、複数のコンタクト５０の先端部及びグランド板６０の端子部６２それぞれが貫通する孔が形成された整列板７０を備えている。
【００１２】
絶縁ハウジング３０には、図１５に示すＰＣカード１０を受容する受容部３４が形成されている。この受容部３４は絶縁ハウジング３０の壁で画定されているが、ＰＣカード１０のシグナルグランド１４に対向する部分には切欠部３２が形成されており、上述したように、この切欠部３２を覆う状態にグランド板６０が取り付けられている。このため、絶縁ハウジング３０を厚くすることなくグランド板６０を取り付けることができ、厚さの薄いカード用コネクタ組立体が得られ、さらに、グランド板６０により絶縁ハウジング３０の反りが防止される。また、絶縁ハウジング３０には、グランド板６０の係止用孔６４が係止される断面がＴ字状の突起（本発明にいう係止用突起の一例）３６が形成されている。係止用孔６４がＴ字状突起３６に係止されることにより、グランド板６０が絶縁ハウジング３０から不用意に外れることを防止できる。絶縁ハウジング３０に形成された突出部３８の下には、グランド板６０の一部が潜り込んだ状態になって保持されている。このため、ＰＣカード１０が絶縁ハウジング３０に誤挿入されても、グランド板６０のめくれ上りを防止できる。また、後述するように、コネクタ２０はコネクタ１２０（図７参照）の上に積み重ねられるが、この積重ねの際の位置決めになる凹部４０が絶縁ハウジング３０の底壁４２に形成されている。また、絶縁ハウジング３０には、後述するフレーム８０（図１２参照）のリング部８２が取り付けられる取付部４４が形成されている。リング部８２を取付部４４に重ね合わせ、リング部８２及び取付部４４を基板（図示せず）にねじ止めすることにより、フレーム８０を正確な位置で絶縁ハウジング３０に固定されると共に、フレーム８０が基板に接地されることとなる。絶縁ハウジング３０の底壁４２には係合レール４６が形成されており、この係合レール４６は、後述するコネクタ１２０の係合溝１４６と係合してコネクタ２０とコネクタ１２０の積重ねを固定する。
【００１３】
グランド板６０には、ＰＣカード１０（図１５参照）の接地用突起１４ａに接触する接触片６６が形成されており、受容部３４に受容されたＰＣカード１０の接地用突起１４ａは接触片６６に接触し、シグナルグランド１４が接地されることとなる。接触片６６は比較的長く形成されているので十分なばね性をもち塑性変形しにくい。尚、接触片６６は、ＰＣカードの金属面１２（図１５参照）には接触しないように構成されている。また、上述したように、係止用孔６４は、絶縁ハウジング３０のＴ字状突起３６に係止される。また、グランド板６０には、２つの舌片６８が両端の部分に形成されており、この舌片６８は絶縁ハウジング３０の突起（図示せず）に当接する。この当接により、グランド板６０が絶縁ハウジング３０からずれることが防止される。
【００１４】
整列板７０には、上述したように、複数のコンタクト５０の先端部及びグランド板６０の端子部６２それぞれが貫通する孔が形成されている。グランド板６０の端子部６２はこの孔を貫通するのでフレーム８０に接触せず、この結果、グランド板６０とフレーム８０とは電気的に接続されない。尚、必要に応じて、グランド板６０とフレーム８０とを接触させる舌片をグランド板６０の両側や片側に形成してもよい。
【００１５】
図７から図１１までは、それぞれ、本発明のカード用コネクタ組立体の他の実施例を示す平面図、正面図、底面図、側面図、図９のＢ−Ｂ断面図であり、各図はフレームを示していない。各図に示すコネクタ１２０は、上記のコネクタ２０とほぼ同じ構造であるので同じ要素は同じ符号で示し、ここでは、両者の相違点を説明する。
【００１６】
両者の主な相違点は、コネクタ１２０の絶縁ハウジング１３０に、コネクタ２０の絶縁ハウジング３０に形成された凹部４０に挿入される凸部１４０が形成されている点にある。この凸部１４０はＴ字状突起１３６の上に形成されており、上述したように、コネクタ２０とコネクタ１２０を積み重さねて２階建てのカード用コネクタ組立体２００（図１３参照）を構成する際の位置決めになる。また、コネクタ２０とコネクタ１２０を積み重さねるに当たっては、上述したように、コネクタ２０の係合レール４６とコネクタ１２０の係合溝１４６とを係合して積み重さねる。２階建てのカード用コネクタ組立体２００は、上述のように、単独でも使用できるコネクタ２０とコネクタ１２０を積み重ねることにより構成されるので、一体型の２階建てのカード用コネクタ組立体を製造する場合に比べ安い費用で済む。
【００１７】
次に、図１２から図１４までを参照して、２階建てカード用コネクタ組立体を説明する。
図１２は２階建てのカード用コネクタ組立体を示す平面図、図１３は図１２のカード用コネクタ組立体のＣ−Ｃ断面図、図１４は図１３の部分拡大図である。２階建てカード用コネクタ組立体２００は、コネクタ２０及びコネクタ１２０にそれぞれフレーム８０及びフレーム１８０を装着して積み重ねることにより形成される。フレーム８０（１８０）は金属面を打ち抜いて形成され、このフレーム８０（１８０）の左右両端部は折り曲げられ、ＰＣカードの挿抜を案内するガイド部８２（１８２）がこの左右両端部に形成されている。この左右両端部に形成されたガイド部８２（１８２）には、金属面をプレスし内方に向けて突出させた上下２つのレール８２ａ，８２ｂ（１８２ａ，１８２ｂ）がそれぞれ備えられており、挿入されるＰＣカードの両端部が保持されてフレーム８０（１８０）内に案内される。また、ガイド部８２（１８２）の挿入方向前方には、金属面を内側に向けて下方から突出させた第１のグランドコンタクト８４（１８４）が形成されており、またガイド部８２（１８２）の入口近傍には第２のグランドコンタクト８６（１８６）が側方に形成されている。グランドコンタクト８４（１８４），８６（１８６）はＰＣカードの表面を覆う金属面に接し、この金属面に帯電した電荷を放電する機能をもっている。尚、上述したように、電荷は、グランドコンタクト、リング部８２、及び可撓性配線基板１１０を経由して基板１００に接地される。このため、ＰＣカードに形成された金属面の電荷がＰＣカードの回路に流れることによる回路の破壊が防止される。
【００１８】
フレーム８０（１８０）には、コネクタ２０（１２０）に受容されたＰＣカードを抜き出すための操作杆９０（１９０）とカムバー９５（操作杆１９０のカムバーは図示せず）が保持されている。操作杆９０（１９０）は金属面を打ち抜いて形成され弾性を有し、図１２に示すように、フレーム８０（１８０）に摺動自在に保持される。また、操作杆９０（１９０）の挿入方向前方の端部には、カムバー９５が連結されており、このカムバー９５の中間部はフレーム８０（１８０）に軸支されている。また、挿入方向後方の端部には、ボタン９６（１９６）が装着されており、フレーム８０（１８０）に挿入されたＰＣカードを押し出す際には、ボタン８０を挿入方向（矢印Ｄ方向）に押す。カムバー９５は、Ｔ字状突起３６（１３６）（図１、図７参照）の上をスライドするように構成されているので、カムバー９５の変形やフレーム８０（１８０）からの浮き上りが防止される。ここで、フレーム８０（１８０）とグランド板６０との間に絶縁層（絶縁フィルムや絶縁コーティング）を施すことにより両者の電気的接触を防止できる。
【００１９】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のカード用コネクタ組立体によれば、フレームとは独立したグランド板の設置により信号に対して適正にグランドをとることができ、また、切欠部を覆う状態にグランド板が取り付けられているので厚さが薄いものが得られる。また、本発明の第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの係合部同士を係合して第１及び第２のカード用コネクタ組立体を互いに積み重ねることにより、２階建てのカード用コネクタ組立体にできる。これら第１及び第２のカード用コネクタ組立体は、カード用コネクタ組立体として単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のカード用コネクタ組立体の一実施例のコネクタを示す平面図である。
【図２】図１のカード用コネクタ組立体の正面図である。
【図３】図１のカード用コネクタ組立体の底面図である。
【図４】図１のカード用コネクタ組立体の側面図である。
【図５】図１のカード用コネクタ組立体のＡ−Ａ断面図である。
【図６】図１のカード用コネクタ組立体の背面図である。
【図７】本発明のカード用コネクタ組立体の他の例のコネクタを示す平面図である。
【図８】図７のカード用コネクタ組立体の正面図である。
【図９】図７のカード用コネクタ組立体の底面図である。
【図１０】図７のカード用コネクタ組立体の側面図である。
【図１１】図９のカード用コネクタ組立体のＢ−Ｂ断面図である。
【図１２】図１及び図７に示すコネクタを積み重ねて構成された２階建てのカード用コネクタ組立体を示す平面図である。
【図１３】図１２のカード用コネクタ組立体のＣ−Ｃ断面図である。
【図１４】図１３の部分拡大図である。
【図１５】シグナルグランドが形成されたＰＣカードを示す斜視図である。
【符号の説明】
２０，１２０ コネクタ
３０ 絶縁ハウジング
３２ 切欠
３４ 受容部
３６，１３６ Ｔ字状突起
４６ 係合レール
６０ グランド板
６４ 係止用孔
６６ 接触片
８０，１８０ フレーム
１４６ 係合溝
２００ ２階建てのカード用コネクタ組立体
Claims (3)
- カードを案内するフレームと、該フレームに案内され挿入された前記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングと、該絶縁ハウジングに配列された複数のコンタクトと、前記カードに接触する接触片を有するグランド板とを備えたカード用コネクタ組立体において、
前記カードの両面のうちの一面に、シグナルグランド用突起が形成され、
前記フレームは、前記カードの表面を覆う金属面に接するグランドコンタクトを有し、
前記絶縁ハウジングが、係止用突起と、前記受容部に受容された前記カードの前記一面に対向する部分であって前記複数のコンタクトに対向する部分に形成された切欠部とを有するものであり、
前記グランド板は、前記シグナルグランド用突起に接触する前記接触片と、前記係止用突起に係止する係止用孔とを有し、前記切欠部を覆う状態に前記絶縁ハウジングに取り付けられ、前記フレームに電気的に非接続なものであり、
前記複数のコンタクト及び前記グランド板は、前記絶縁ハウジングの前記受容部とは反対側から突出する先端部及び端子部がそれぞれ、基板に接続される同一の配線基板に接続され、
前記絶縁ハウジングの上面に形成された突出部の下に、前記グランド板の両端が潜り込んで保持されていることを特徴とするカード用コネクタ組立体。 - カードを案内するフレームと、該フレームに案内され挿入された前記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングと、該絶縁ハウジングに配列された複数のコンタクトと、前記カードに接触する接触片を有するグランド板とを備えた第１及び第２のカード用コネクタ組立体が互いに積み重ねられた２階建てのカード用コネクタ組立体において、
前記カードの両面のうちの一面に、シグナルグランド用突起が形成され、
前記フレームは、前記カードの表面を覆う金属面に接するグランドコンタクトを有し、
前記第１及び第２のカード用コネクタ組立体それぞれの前記絶縁ハウジングが、係止用突起と、前記受容部に受容された前記カードの前記一面に対向する部分であって前記複数のコンタクトに対向する部分に形成された切欠部と、それぞれの前記ハウジングの互いに対向する部分に形成された互いに係合する係合部とを有するものであり、
前記グランド板は、前記シグナルグランド用突起に接触する前記接触片と、前記係止用突起に係止する係止用孔とを有し、前記切欠部を覆う状態に前記絶縁ハウジングに取り付けられ、前記フレームに電気的に非接続なものであり、
前記複数のコンタクト及び前記グランド板は、前記絶縁ハウジングの前記受容部とは反対側から突出する先端部及び端子部がそれぞれ、基板に接続される同一の配線基板に接続され、
前記絶縁ハウジングの上面に形成された突出部の下に、前記グランド板の両端が潜り込んで保持されていることを特徴とするカード用コネクタ組立体。 - カードを案内するフレームと、該フレームに案内され挿入された前記カードを受容する受容部を有する絶縁ハウジングと、該絶縁ハウジングに配列された複数のコンタクトと、前記カードに接触する接触片を有するグランド板とを備えたカード用コネクタ組立体において、
前記カードの両面のうちの一面に、シグナルグランド用突起が形成され、
前記フレームは、前記カードの表面を覆う金属面に接するグランドコンタクトを有し、
前記絶縁ハウジングが、前記受容部に受容された前記カードの前記一面に対向する部分であって前記複数のコンタクトに対向する部分に形成された切欠部を有するものであり、
前記グランド板は、前記シグナルグランド用突起に接触する前記接触片を有し、前記切欠部を覆う状態に前記絶縁ハウジングに取り付けられ、前記フレームに電気的に非接続なものであり、
前記複数のコンタクト及び前記グランド板は、前記絶縁ハウジングの前記受容部とは反対側から突出する先端部及び端子部がそれぞれ、基板に接続される同一の配線基板に接続され、
前記絶縁ハウジングの上面に形成された突出部の下に、前記グランド板の両端が潜り込んで保持されていることを特徴とするカード用コネクタ組立体。
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