JP3852106B2 - 汚泥処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を重力濃縮する汚泥処理方法において、汚泥の浮上がなく、悪臭の発生もなく、高濃度の濃縮を安定して行うことができる汚泥処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場において、最初沈殿池で発生する生汚泥は、汚泥濃縮タンクで濃縮されたのち、脱水機で脱水され、焼却、埋め立てなどの方法で処分される。脱水効率を高めるためには、汚泥を高濃度に濃縮すること、言い換えれば、スラッジボリュームを小さくすることが重要である。
しかし、下水処理場においては、下水引き抜き汚泥の重力濃縮に際して、汚泥が浮上したり、濃縮汚泥の濃度が低下したり、あるいは、固形物が越流水に流出して汚泥が水処理系に返流されたりするという問題が発生する。このような問題を解決するために、薬剤などを添加する化学的処理や、遠心濃縮機などを導入する物理的処理などの各種の解決策が提案され、実施されている。しかし、このような方法によると、薬剤、電力などの費用や、設備投資などのために、汚泥処理コストの上昇が避けられない。
このために、薬剤を使用せず、大きな設備導入の必要もなく、電力などのユーティリティーの消費が少ない、経済的かつ効果的な汚泥処理方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を重力濃縮する汚泥処理方法において、汚泥の浮上がなく、悪臭の発生もなく、高濃度の濃縮を安定して行うことができる汚泥処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を冷却して重力濃縮することにより、汚泥の浮上を防ぎ、安定して高濃度に濃縮することが可能になることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)最初沈殿池からの引き抜き汚泥を重力濃縮する汚泥処理方法において、引き抜き汚泥を冷却して重力濃縮することを特徴とする汚泥処理方法、
(2)重力濃縮時の汚泥温度が24℃以下となるように引き抜き汚泥を冷却する第1項記載の汚泥処理方法、及び、
(3)低温水による希釈により引き抜き汚泥を冷却する第1項又は第2項記載の汚泥処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)低温水が、地下水である第3項記載の汚泥処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥処理方法においては、最初沈殿池からの引き抜き汚泥の重力濃縮工程において、引き抜き汚泥を冷却してから重力濃縮する。下水の最初沈殿池からの引き抜き汚泥には、固形の有機物や土砂成分が含まれている。有機物が腐敗すると、汚泥の濃縮性が悪くなって濃縮汚泥の濃度が低下したり、濃度汚泥が浮上したり、分離水中の懸濁物質の濃度が増加したり、臭気成分が発生するなどの種々の障害が生ずる。このような現象は、特に夏季に発生しやすい。本発明方法にしたがって、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を冷却して重力濃縮することにより、有機物の腐敗を防ぎ、このような障害の発生を防止することができる。
本発明方法においては、重力濃縮時の汚泥温度が24℃以下となるように引き抜き汚泥を冷却することが好ましい。引き抜き汚泥の冷却温度を24℃以下とすることにより、重力濃縮槽において良好な濃縮性を保持し、臭気成分の発生を抑えることができる。重力濃縮槽内の汚泥の温度が24℃を超えると、汚泥の濃縮性が低下し、汚泥が浮上しやすくなり、固形物が越流し、臭気成分が発生するおそれがある。最初沈殿池から引き抜かれ、重力濃縮槽に投入された汚泥は、重力濃縮槽内において温度が約1℃上昇するので、重力濃縮槽に投入する汚泥の温度は、23℃以下であることが好ましい。
【0006】
本発明方法において、引き抜き汚泥の冷却方法に特に制限はなく、例えば、冷媒を用いて引き抜き汚泥を冷却する方法、低温水で引き抜き汚泥を希釈して冷却する方法などを挙げることができる。これらの中で、低温水を用いて引き抜き汚泥を希釈することにより冷却する方法が好ましい。引き抜き汚泥の希釈に用いる低温水に特に制限はなく、例えば、地下水、河川水、河川伏流水、工場の冷排水などを挙げることができる。これらの中で、地下水は、水温が安定し、引き抜き汚泥の発生量に見合う量を容易に得ることができるので、好適に用いることができる。
引き抜き汚泥を低温水で希釈すると、汚泥の温度が低下するのみならず、濃縮前の汚泥の固形物濃度を5,000〜10,000mg/Lに適正化して重力濃縮の効率を高めることができる。また、最初沈澱池からの引抜き汚泥に含まれる炭酸イオンを希釈することができる。さらに、最初沈澱池の汚泥には、引き抜き部の通常4〜5mの水頭の圧力で窒素などの気体が溶解しており、汚泥の大気圧開放に伴い、溶解している気体がガス体になり微細な気泡となって汚泥の固形分に付着するが、その離脱を促進する効果が得られる。
【0007】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
蒸発残留物(TS)14,600mg/L、懸濁物質(SS)13,800mg/L、有機物量(VSS、対SS比)85.2重量%の下水処理場の最初沈殿池からの引き抜き汚泥の処理を行った。この引き抜き汚泥を地下水と1:1(容量比)の割合で混合して希釈し、SS6,900mg/Lの試験汚泥を調製した。
この試験汚泥1,000mLを容量1,000mLのメスシリンダーに入れ、19℃の恒温水槽に浸漬し、スラッジボリュームの時間的変化を観察した。スラッジボリュームは14時間後49.6%となり、48時間後まで50%以下を保った。実施例2
メスシリンダーを21℃の恒温水槽に浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。スラッジボリュームは12時間後に49.4%となり、32時間後まで50%以下を保った。
実施例3
メスシリンダーを23℃の恒温水槽に浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。スラッジボリュームは10時間後に50.0%となり、22時間後まで50%以下を保った。
比較例1
メスシリンダーを25℃の恒温水槽に浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。スラッジボリュームの最小値は4時間後の59.0%であり、その後スラッジボリュームは上昇した。
比較例2
メスシリンダーを27℃の恒温水槽に浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。スラッジボリュームの最小値は3時間後の65.0%であり、その後スラッジボリュームは急速に上昇した。
比較例3
メスシリンダーを29℃の恒温水槽に浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。スラッジボリュームの最小値は2時間後の66.8%であり、4時間後にはスラッジボリュームは100%になった。
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を、第1表及び図1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
第1表と図1に見られるように、引き抜き汚泥と地下水を混合した試験汚泥を23℃以下に保つと、スラッジボリュームが50%以下になり、かつスラッジボリューム50%以下を保つ時間が長いが、試験汚泥の温度が25℃以上であると、スラッジボリュームが小さくならず、しかも短時間でスラッジボリュームが増大する。
比較例4
J下水道センターの最初沈殿池からの引き抜き汚泥の重力濃縮槽は、夏季になると運転状態が悪くなり、濃縮汚泥の濃度が低下し、分離水の懸濁物質濃度が高くなり、重力濃縮槽で悪臭が発生していた。
平成11年6月から9月までの4か月間、重力濃縮槽へ投入される最初沈殿池からの引き抜き汚泥の温度の平均は25.8℃、重力濃縮槽から引き抜かれる濃縮汚泥の温度の平均は26.3℃であった。この間、濃縮汚泥濃度は平均15,600mg/L、分離水の懸濁物質濃度は平均3,100mg/Lであり、濃縮槽上部の空間気相で測定した硫化水素濃度は平均59ppmであった。
実施例4
平成12年6月から9月まで、最初沈殿池からの引き抜き汚泥と、同量の水温約17℃の地下水を混合して温度を下げ、重力濃縮を行った。
この間、重力濃縮槽へ投入される地下水で希釈された引き抜き汚泥の温度の平均は21.7℃、重力濃縮槽から引き抜かれる濃縮汚泥の温度の平均は22.4℃であった。濃縮汚泥濃度は平均17,900mg/L、分離水の懸濁物質濃度は平均710mg/Lであり、濃縮槽上部の空間気相で測定した硫化水素濃度は平均4ppmであった。
比較例4及び実施例4について、投入汚泥温度、濃縮汚泥温度、濃縮汚泥濃度、分離水懸濁物質濃度、濃縮槽上部硫化水素濃度の各月の平均値と、4か月の総平均値を第2表に示す。
【0010】
【表2】
【0011】
第2表に見られるように、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を地下水で希釈して冷却することにより、濃縮汚泥の濃度が約15%上昇する。分離水の懸濁物質濃度は約25%になっているが、平成12年は地下水による希釈により、分離水量が平成11年の2倍になっているので、分離水に混入する懸濁物質の量は、半減したと言える。この結果、濃縮汚泥の脱水工程にかかる負荷が軽減され、汚泥固形分の回収率が向上する。また、平成12年は、8月以外は重力濃縮槽内で硫化水素は発生せず、4か月間を平均した硫化水素の発生量は約1/15となり、悪臭防止の点でも良好な結果が得られている。
【0012】
【発明の効果】
本発明の汚泥処理方法によれば、薬剤を使用することなく、大規模な設備改造を実施することなく、最初沈殿池からの引き抜き汚泥を低温水で希釈して冷却するという簡単な操作で、重力濃縮槽における汚泥の濃縮性を向上し、悪臭の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スラッジボリュームの経時的変化と汚泥温度の関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 最初沈殿池からの引き抜き汚泥を重力濃縮する汚泥処理方法において、引き抜き汚泥を冷却して重力濃縮することを特徴とする汚泥処理方法。
- 重力濃縮時の汚泥温度が24℃以下となるように引き抜き汚泥を冷却する請求項1記載の汚泥処理方法。
- 低温水による希釈により引き抜き汚泥を冷却する請求項1又は請求項2記載の汚泥処理方法。
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