JP3851795B2 - 復号方法および記録媒体再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、情報データに誤り訂正符号化及びランレングス制限(Run Length Limited:以下RLLと言う)変調等の変調を施してチャネルデータを作成し、そのチャネルデータを記録媒体に記録し、記録媒体から再生されたチャネルデータにRLL復調等の復調及び誤り訂正復号を施して情報データを復元する際における復号方法および記録媒体再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誤り訂正方式のうち、ターボ符号方式が、誤り無しに送信可能な伝送速度の理論上の限界(すなわちシャノン限界)に迫る程の高性能を有するために、主に通信分野において注目を浴びている。また、上記通信分野だけではなく、記録媒体分野にターボ符号方式を応用する研究も盛んに発表されている。
【0003】
このターボ符号を用いた記録再生システムを簡単に説明する。図13は、ターボ符号の符号化処理および復号処理を行う記録再生装置の概略図である。畳み込み符号化器1は、入力された情報データuiに畳み込み符号化を施して符号データciを出力する。インターリーバ2は、入力された符号データciに疑似ランダム置換を施してチャネルデータaiを出力する。こうして出力されたチャネルデータaiは、パーシャルレスポンス(Partial Response:以下、PRと略称する)チャネル通信路3に送信される。このPRチャネル通信路3は、隣接するチャネルデータai間で干渉し合う特性を有する。そのために、PRチャネル通信路3から再生された再生信号y'iには符号間干渉が生じている。また、チャネルデータaiは、PRチャネル通信路3を通過する際にノイズ付加,帯域制限,クロストーク等の変形を受ける。したがって、PRチャネル通信路3から再生された再生信号y'iには誤りが付加されているのである。
【0004】
対数尤度演算回路4は、上記再生信号y'iを入力して対数尤度を計算し、再生信号y'iの対数尤度L(y'i|yi)を出力する。ここで、yiは、PRチャネル通信路3が理想的な場合の再生信号である。理想的であるとは、ノイズ等による変形がなく、PRチャネル通信路3の伝達特性がPR伝達特性と同一の場合である。対数尤度L(y'i|yi)は、PRチャネルの事後確率(A Posteriori Probability:以下、APPと略称する)復号器5の符号入力端子c;Iに入力される。ここで、ダッシュ「'」のある記号は、再生後に復元されたデータであることを表し(つまり、PRチャネル通信路3によって誤りが付加されていることを表し)、ダッシュ「'」の無い記号は、記録前のデータであることを表す。
【0005】
一般に、APP復号器は2入力2出力の端子を有している。すなわち、情報データの尤度が入力される情報入力端子u;Iと、符号データの尤度が入力される符号入力端子c;Iと、情報データの尤度を出力する情報出力端子u;Oと、符号データの尤度を出力する符号出力端子c;Oである。そして、APP復号器は、情報データの尤度と符号データの尤度とが入力されて、符号に関する拘束条件に基づいて各尤度を更新するのである。尚、情報入力端子u;Iに入力される尤度は、事前情報(A Prior Information)と呼ばれる。そして、情報出力端子u;Oからは、更新された情報データの尤度が出力される。また、符号出力端子c;Oからは、更新された符号データの尤度が出力されるのである。ここで、上記情報データとは、APP復号器に対応する符号化器に入力されるデータを意味し、符号データは、上記符号化器から出力されるデータを意味する。
【0006】
すなわち、上記PRチャネルのAPP復号器5では、符号入力端子c;Iには再生信号y'iの対数尤度L(y'i|yi)が入力され、情報入力端子u;Iにはインターリーバ11の出力L(a'i;I)が入力される。また、情報出力端子u;Oからはチャネルデータa'iの対数尤度比L(a'i;O)が出力されるのである。尚、PRチャネルデータy'iの対数尤度L(y'i;O)が出力される符号出力端子c;Oは、何れとも未接続である。
【0007】
減算器6は、上記PRチャネルのAPP復号器5からのチャネルデータa'iの対数尤度比L(a'i;O)からインターリーバ11の出力L(a'i;I)を減算し、その減算結果をLext(a'i)として出力する。すなわち、減算器6は、PRチャネルのAPP復号器5によって更新されたチャネルデータa'iの対数尤度比の差分を計算するのである。
【0008】
デインターリーバ7は、上記減算器6から入力されたLext(a'i)に上述の疑似ランダム置換の逆置換を施して、符号データc'iの対数尤度比L(c'i;I)を出力する。畳み込み符号のAPP復号器8は、符号入力端子c;Iにデインターリーバ7からの対数尤度比L(c'i;I)が入力される一方、情報入力端子u;Iにはゼロが入力される。そして、情報出力端子u;Oから情報データu'iの対数尤度比L(u'i;O)を出力する一方、符号出力端子c;Oから符号データc'iの対数尤度比L(c'i;O)を出力する。こうして、畳み込み符号のAPP復号器8の情報出力端子u;Oから出力された情報データu'iの対数尤度比L(u'i;O)は、コンパレータ9によって二値化され、復元された情報データu'iとして出力される。
【0009】
減算器10には、上記畳み込み符号のAPP復号器8の符号出力端子c;Oから出力された符号データc'iの対数尤度比L(c'i;O)と、デインターリーバ7からの符号データc'iの対数尤度比L(c'i;I)とが入力される。そして、上記対数尤度比L(c'i;O)から対数尤度比L(c'i;I)が減算され、その減算結果がLext(c'i)として出力される。すなわち、減算器10は、畳み込み符号のAPP復号器8によって更新された符号データc'iの対数尤度比の差分を計算するのである。
【0010】
インターリーバ11は、上記減算器10から入力されたLext(c'i)に上述した疑似ランダム置換を施して、チャネルデータa'iの対数尤度比L(a'i;I)を出力する。こうして、インターリーバ11から出力されたチャネルデータa'iの対数尤度比L(a'i;I)は、上述したように、PRチャネルのAPP復号器5の情報入力端子u;Iに入力されるのである。
【0011】
上述のように、上記PRチャネルのAPP復号器5と畳み込み符号のAPP復号器8との2つのAPP復号器の間で対数尤度比を繰り返し受け渡して、反復復号を行うことをターボ復号と言う。このターボ復号によれば、上記復元された情報データu'iの誤りを減少させることができるのである。ここで、初回の復号動作時の場合には、PRチャネルのAPP復号器5の情報入力端子u;Iに入力するL(a'i;I)はゼロとする。
【0012】
尚、上記ターボ復号の動作原理は、例えば、文献1「“Iterative Correction of Intersymbol Interference:Turbo-Equalization”, European Transactions on Telecommunications, Vol.6, No.5, pp.507-511, Sep.-Oct. 1995」や、文献2「“Concatenated Codes and Iterative (Turbo) Decoding for PRML Optical Recording Channels”, Joint International Symposium on Optical Memory and Optical Data Storage 1999, SPIE Vol.3864, pp.342-344, July 1999」に詳しく述べられている。
【0013】
その場合、上述したように、上記PRチャネルのAPP復号器5における符号入力端子c;Iに入力される情報は、対数尤度L(y'i|yi)のごとく軟情報である必要がある。さらに、上記2つのAPP復号器5,8の間で受け渡しされる各情報も、L(a'i;O),Lext(c'i),L(a'i;I),L(c'i;O),Lext(a'i)およびL(c'i;I)のごとく軟情報である必要がある。
【0014】
上記PRチャネル通信路3が記録媒体である場合、すなわち磁気記録,光磁気記録,光記録等の媒体に記録および再生を行うシステムの場合には、PRチャネル通信路3の帯域制限,符号間干渉,クロック同期等の制約条件が存在する。そのために、変調方式には、通常RLLが用いられている。RLLは、一般にRLL(d,k)と表記される。ここで、「d」および「k」は、非ゼロ復帰逆転(NRZI)則に基づくチャネルデータ列において「0」の最小および最大のラン長を表す。
【0015】
さらに、上記RLLを詳しく説明すると、記録波形列の極性反転間隔が、最小極性反転間隔Tminと最大極性反転間隔Tmaxとに制限されることである。すなわち、記録波形列の各反転間隔Tは、Tmin≦T≦Tmaxの範囲内にあるのである。一般に、最小極性反転間隔Tminは(d+1)×Twと表される。また、最大極性反転間隔Tmaxは(k+1)×Twと表される。ここで、「Tw」は再生信号の検出窓幅であり、各極性反転間隔の最大公約数に等しくTw=η×Tbである。尚、Tbは変調前のデータ間隔である。また、ηは符号化率と呼ばれ、m/nに等しい。つまり、変調前のmビットが変調後のnビットへ変換されることになる。
【0016】
このRLL変調およびRLL復調は、一般に論理演算回路により行われる。または、論理演算結果を予めROM(リード・オンリ・メモリ)に記憶させておき、このROMをテーブルとして参照することにより行われる。したがって、上記RLL復調の入力データは硬情報であり、RLL復調の出力データも硬情報となる。
【0017】
図14は、PRチャネル通信路に対する情報の送信・再生にRLL変調方式を適用した従来の記録再生装置の概略図である。誤り訂正符号化器15は、入力された情報データuiに誤り訂正符号化を施して符号データciを出力する。RLL変調器16は、入力された符号データciにRLL変調を施してチャネルデータaiを出力する。こうして出力されたチャネルデータaiは、PRチャネル通信路17に送信される。
【0018】
上述したように、上記PRチャネル通信路17から再生された再生信号y'iには誤りが付加されている。最尤(Maximum Likelihood:以下、MLと略称する)復号器18は、入力された上記再生信号y'iから、PRチャネル通信路17の特性によって生じる符号間干渉とRLL条件とに基づいてチャネルデータa'iを推定し、出力する。ここで、上記RLL条件とは、記録波形列の各反転間隔Tが、上記Tmin≦T≦Tmaxの範囲内にあることをいう。ML復号は、一般にビタビ・アルゴリズムに基づいて計算されるため、ビタビ復号と呼ばれることもある。尚、上記ML復号器18は、原理的に、推定した結果を硬情報として出力する。すなわち、上記推定されたチャネルデータa'iは二値データなのである。
【0019】
RLL復調器19は、復元されたチャネルデータa'iに復調を施して、復元された符号データc'iを出力する。誤り訂正復号器20は、入力された符号データc'iにおけるPRチャネル通信路17で付加された誤りを訂正し、復元された情報データu'iを出力する。
【0020】
このように、上記PRチャネル通信路17から再生されたデータをML復号する方式は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式と呼ばれ、記録媒体再生装置に広く利用されている。
【0021】
ターボ符号を用いた通信(または記録再生)システムを簡単に説明する。図15は、ターボ符号の符号化処理及び復号処理を行う記録再生装置の概略図である。ターボ符号化器21は、入力された情報データuiに誤り訂正符号化を施して符号データciを出力する。変調器22は、入力された符号データciに変調を施してチャネルデータaiを出力する。こうして出力されたチャネルデータaiは、通信路23に送信(あるいは記録)される。ここで、上記通信路23とは、無線通信路,有線通信路あるいは記録媒体等である。
【0022】
上記チャネルデータaiは、各通信路23の特性に応じて、ノイズ付加,フェージング,マルチパス,帯域制限,符号間干渉,クロストーク等の変形を受ける。したがって、通信路23から受信(あるいは再生)したチャネルデータa'iには誤りが付加されている。復調器24は、入力された復調前のデータa'iに復調を施し、復元された符号データc'iを出力する。ターボ復号器25は、入力された符号データc'iにおける通信路23で付加された誤りを訂正し、復元された情報データu'iを出力する。
【0023】
一般に、上記ターボ復号器25が誤り訂正処理を行うためには、復元された符号データc'iが軟情報である必要がある。したがって、復調器24は、上記符号データc'iを軟情報として出力する必要がある。また、上述したように、通信路23が記録媒体である場合、すなわち磁気記録,光磁気記録,光記録等の媒体に記録および再生を行うシステムの場合には、通常変調方式としてRLL変調が用いられている。その場合には、変調器22はRLL変調器となり、復調器24はRLL復調器となる。
【0024】
図16は、従来のRLL復調器(図14におけるRLL復調器19あるいは図15における通信路23が記録媒体である場合の復調器24)の構成を示すブロック図である。図14に示すML復号器18から出力された復元されたチャネルデータa'i、あるいは、図15に示す通信路23から出力された復元されたチャネルデータa'iは、p段シフトレジスタ26に入力される。このシフトレジスタの段数pは、一般にn以上となる。上記p段シフトレジスタ26は、データを間隔Tw毎にシフトしてパラレルデータ(a'1,a'2,…,a'k,…,a'p)を出力する。論理演算回路27は、パラレルデータ(a'1,a'2,…,a'k,…,a'p)が入力されて上述の論理演算を行って、復調後のパラレルデータ(c'1,c'2,…,c'j,…,c'm)を出力する。パラレルロード機能付きm段シフトレジスタ28は、復調後のパラレルデータ(c'1,c'2,…,c'j,…,c'm)をパラレルロードし、間隔Tb毎にシフトして復調後のシリアルデータc'iを出力する。上記論理演算およびパラレルロードは、間隔(m×Tb)毎に同期して行われる。
【0025】
このように、上記RLL復調器19は、硬情報(すなわち二値化された)チャネルデータa'iを入力して復調を施し、硬情報(すなわち二値化された)復調後の符号データc'iを出力するのである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の記録再生装置には以下のような問題がある。すなわち、上述のごとく、RLL変調方式を用いる場合には、RLL復調器19あるいは復調器24は、符号データc'iを硬情報として出力する。一方において、RLL復調器19あるいは復調器24に入力されるチャネルデータa'iは、硬情報である必要がある。これに対して、図13に示すようなPRチャネルのAPP復号器5と畳み込み符号のAPP復号器8との2つのAPP復号器を用いるターボ復号方式には、復元された符号データc'iを軟情報として入力する必要がある。また、図15に示すようなターボ復号器25には、復元された符号データc'iを軟情報として入力する必要がある。
【0027】
したがって、上記通信路23を記録媒体とする記録再生装置を構築する場合には、RLL復調器を用いる関係上ターボ復号器を使用することができず、図14に示すようなPRMLを用いなければならない。そのため、ターボ復号器を使用した場合に比して、上記記録媒体への記録密度が低下すると言う問題がある。
【0028】
そこで、この発明の目的は、RLL復調方法を適用したターボ復号による復号方法、この復号方法を用いた記録媒体再生装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、情報データに誤り訂正符号化を施して符号データを生成し,この符号データに変調を施して生成されたチャネルデータが通信路を通過して再生された再生データに基づいて,上記情報データを復号する復号方法であって、確率演算手段によって上記再生データのビット毎の確率を演算すると共に、上記再生データのビット毎の確率と符号データの事前情報とを入力として,上記変調に関する拘束条件に基づいて,第1のAPP復号手段によって上記符号データの事後確率を生成して出力する第1のAPP復号処理と、上記符号データの事後確率を入力として,上記誤り訂正符号の拘束条件に基づいて,第2のAPP復号手段によって,上記情報データの事後確率と符号データの事前情報とを生成して出力する第2のAPP復号処理の各処理を、反復繰り返し行って、反復復号を行うことを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、第2のAPP復号処理と共に反復復号を行う第1のAPP復号処理によって、再生データのビット毎の確率と符号データの事前情報とを入力として、記録時に情報データに施された変調に関する拘束条件に基づいて、符号データの事後確率が生成されて出力される。そして、上記第2のAPP復号処理によって、符号データの事後確率で成る軟情報を入力として、記録時に情報データに施された誤り訂正符号の拘束条件に基づいて、上記情報データの事後確率と符号データの事前情報とが生成されて出力される。こうして、軟情報を扱い得る復調が適用された反復復号方法、すなわち記録媒体の再生に適した反復復号方法が実現される。
【0031】
また、1実施例では、上記第1の発明の復号方法において、上記誤り訂正符号化はターボ符号化であり、上記第2のAPP復号処理は上記ターボ符号化に対応したターボ復号処理である。
【0032】
上記構成によれば、軟情報を扱い得る復調を前段とするターボ復号方法あるいは軟情報を扱い得る復調が適用されたターボ復号方法、すなわち記録媒体の再生に適したターボ復号方法が実現される。
【0033】
また、1実施例では、上記第1の発明の復号方法において、上記変調はRLL変調であり、上記通信路はナイキストの第1基準を満足するように等化されており、上記第1のAPP復号処理時に用いる上記変調に関する拘束条件は,RLL変調に関する拘束条件である。
【0034】
この実施例によれば、ナイキストの第1基準を満足するように等化された通信路、すなわち符号間干渉のない通信路である記録媒体に適合したRLL変調と上記第1のAPP復号処理とが実現される。
【0035】
また、1実施例では、上記第1の発明の復号方法において、上記第1のAPP復号処理は、上記変調に関する拘束条件を表すと共に、メモリに格納されているトレリス線図情報に基づいて行われる。
【0036】
この実施例によれば、上記第1のAPP復号処理が、メモリに格納されたトレリス線図情報を参照することによって簡単な処理で行われる。
【0037】
また、1実施例では、上記第1の発明の復号方法において、上記誤り訂正符号化は畳み込み符号化である。
【0038】
この実施例によれば、ターボ復号化に適した誤り訂正符号化が実現される。
【0039】
また、1実施例では、上記第1の発明の復号方法において、上記確率および事後確率として対数尤度比を用いると共に、上記事前情報として対数尤度比の値を用いる。
【0040】
この実施例によれば、上記確率演算手段 , 第1のAPP復号手段および第2のAPP復号手段によって、上記演算および生成等を行う際の演算量が削減される。
【0041】
また、第2の発明の記録媒体再生装置は、情報データに誤り訂正符号化を施して符号データを生成し,この符号データにRLL変調を施したチャネルデータが記録された記録媒体から,記録されているチャネルデータを再生して再生データを出力する再生手段と、上記第1の発明の復号方法によって上記再生データから上記情報データの事後確率を得,この情報データの事後確率に基づいて上記情報データを復元する復号手段を備えたことを特徴としている。
【0042】
上記構成によれば、復号手段による第1のAPP復号処理に用いる変調に関する拘束条件としてRLL変調に関する拘束条件を適用する一方、上記復号手段による第2のAPP復号処理としてターボ復号処理を適用することによって、RLL復調とターボ復号とが適用された復号方法によって記録媒体の再生および復号を行うことが可能になる。したがって、上記記録媒体の記録密度が高められる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1参考例)
図1は、本第1参考例における記録媒体再生装置のブロック図である。また、図2は、図1に示す記録媒体再生装置によって再生されるチャネルデータaiを記録媒体に記録する記録媒体記録装置のブロック図である。先ず、記録媒体記録装置について説明する。
【0044】
図2に示す記録媒体記録装置において、畳み込み符号化器31は、入力された情報データuiに畳み込み符号化を施して符号データeiを出力する。インターリーバ32は、入力された符号データeiに疑似ランダム置換を施して、インターリーブ後の符号データciを出力する。RLL変調器33は、入力されたインターリーブ後の符号データciにRLL変調を施して、チャネルデータaiを出力する。こうして出力されたチャネルデータaiは、記録回路34によって記録媒体35に記録される。ここで、記録回路34は、磁気記録,光磁気記録,光記録等による記録を行う。このように、本記録媒体記録装置においては、ターボ符号化とRLL変調との両方を行うのである。
【0045】
次に、図1に示す記録媒体再生装置について説明する。再生回路41は、記録媒体35に記録されたチャネルデータを再生し、再生信号y'iを出力する。記録回路34,記録媒体35および再生回路41は通信路を構成している。尚、再生回路41は、ナイキスト(Nyquist)の第1基準を満足するように再生信号y'iを等化しているものとする。そのために、再生信号y'iには符号間干渉は無い。また、再生信号y'iは、上記通信路を通過する際にノイズ付加,帯域制限,クロストーク等の変形を受ける。したがって、再生信号y'iには誤りが付加されているのである。
【0046】
上記確率演算手段としての対数尤度比演算回路42は、入力された上記再生信号y'iに基づいて対数尤度を演算し、再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)を出力する。そして、この対数尤度比L(y'i)は、第1APP復号器43の符号入力端子c;Iに入力される。さらに、第1APP復号器43の情報入力端子u;Iには上記置換手段としてのインターリーバ49の出力L(c'i;I)が入力される。この出力L(c'i;I)は、後に述べる第2APP復号器46によって更新された符号データe'iの外部情報をインターリーブしたものであり、これを符号データc'iの事前情報として第1APP復号器43に入力するのである。
【0047】
上記第1APP復号器43は、変調に関する拘束条件に従って事後確率復号を行う。尚、第1APP復号器43の詳細については後述する。そして、第1APP復号器43は、情報出力端子u;Oから符号データc'iの事後確率L(c'i;O)を出力する。また、PRチャネルデータy'iの事後確率L(y'i;O)が出力される符号出力端子c;Oは、何れとも未接続である。すなわち、第1APP復号器43は、変調に関する拘束条件に基づいて各尤度を更新するのである。
【0048】
尚、確率値を表すために対数尤度比を用いている。例えば、符号データciに関する対数尤度比は、次式で定義される。
ここで、P(c'i|ci=1)は、送信した符号データciが1である際に、復元した符号データがc'iである条件付確率である。同様に、P(c'i|ci=0)は、送信した符号データciが0である際に、復元した符号データがc'iである条件付確率である。尚、lnは自然対数関数を表す。
【0049】
上記第1演算手段としての第1減算器44は、上記第1APP復号器43から符号データc'iの事後確率L(c'i;O)が出力された直後に動作して、上記事後確率L(c'i;O)から後述するインターリーバ49の出力L(c'i;I)を減算し、その減算結果をLext(c'i)として出力する。すなわち、第1減算器44は、第1APP復号器43によって更新された符号データc'iの対数尤度比の差分を計算するのである。この差分は、外部情報(Extrinsic Information)と呼ばれる。上記逆置換手段としてのデインターリーバ45は、第1減算器44から入力された外部情報Lext(c'i)に、上述した疑似ランダム置換の逆置換を施して、デインターリーブ後(つまり、インターリーブ前)の符号データe'iの対数尤度比L(e'i;I)を出力する。
【0050】
第2APP復号器46は、符号入力端子c;Iにデインターリーバ45からの対数尤度比L(e'i;I)が入力される一方、情報入力端子u;Iにはゼロが入力される。この対数尤度比L(e'i;I)は、第1APP復号器43によって更新された符号データc'iの外部情報をデインターリーブしたものであり、これを符号データe'iの事前情報として第2APP復号器46に入力するのである。
【0051】
上記第2APP復号器46は、上記畳み込み符号に関する拘束条件に基づいて事後確率復号を行う。そして、第2APP復号器46は、情報出力端子u;Oから情報データu'iの事後確率L(u'i;O)を出力する一方、符号出力端子c;Oからは符号データe'iの事後確率L(e'i;O)を出力する。すなわち、第2APP復号器46は、畳み込み符号に関する拘束条件に基づいて各尤度を更新するのである。こうして、上記第2APP復号器46の情報出力端子u;Oから出力された情報データu'iの事後確率L(u'i;O)は、コンパレータ47によって二値化されて、復元された情報データu'iとして出力されるのである。
【0052】
上記第2演算手段としての第2減算器48は、上記第2APP復号器46から符号データe'iの事後確率L(e'i;O)が出力された直後に動作する。そして、デインターリーバ45からの符号データe'iの対数尤度比L(e'i;I)と上記事後確率L(e'i;O)とが入力されて、事後確率L(e'i;O)から対数尤度比L(e'i;I)を減算して減算結果Lext(e'i)を出力する。すなわち、第2減算器48は、第2APP復号器46によって更新された符号データe'iの対数尤度比の差分を計算するのである。尚、この差分も、外部情報と呼ばれる。
【0053】
上記インターリーバ49は、上記第2減算器48からの外部情報Lext(e'i)に上述した疑似ランダム置換を施し、符号データc'iの対数尤度比L(c'i;I)を出力する。こうして出力された対数尤度比L(c'i;I)は、上述したように、第1減算器44と第1APP復号器43の情報入力端子u;Iとに入力されるのである。
【0054】
こうして、上記第1APP復号器43と第2APP復号器46との間で符号データの対数尤度比を繰り返し受け渡してターボ復号が行われ、復元された情報データu'iの誤りを減少させることができる。尚、初回の復号動作時には、第1APP復号器43の情報入力端子u;IにゼロのL(c'i;I)を入力する。
【0055】
次に、上記第1APP復号器43の動作について具体的に説明する。図3は、「スタンダーダイジング・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・システム:Standardizing Information and Communication Systems」のスタンダードECMA‐195によって規格化されているRLL(1,7)の変調表である。この場合は、変調後の符号データのビット数m=2、変調前のチャネルデータのビット数n=3である。但し、図3に示す変調表において、チャネルビットの「1」は、再生信号の極性反転を表している。また、チャネルビットの「0」は、先行する直前のビットと同極性にすること(つまり、前極性保持)を表している。このような信号をNRZI則に基づく信号と称することにする。RLL変調器33は、この変調表を参照することによって、変調前の符号データ4ビットと直前に変調されたチャネルデータ1ビットとを参照して、変調後のチャネルデータ3ビットを計算することができる。
【0056】
尚、上記NRZI則に基づくチャネルデータziは、RLL変調器33によって、NRZ則に基づくチャネルデータaiに変換(以下、NRZ変換と言う)されて記録媒体35に記録される。図4は、その変換を行うための変換表である。図2における記録回路34が記録媒体35に記録する極性は、NRZ則に従ったチャネルデータaiに基づいているのである。
【0057】
上記RLL変調器33は、変調前の符号データci2ビットを順に入力し、それに応じて変調後のチャネルデータai3ビットを順に出力することができる。その際に、出力されるチャネルデータai3ビットの値は、入力された符号データci2ビットだけでなく、その直前に入力された2ビットの符号データciと直前に出力された1ビットのチャネルデータaiとに関係している。換言すれば、出力データ3ビットは、入力データ2ビットだけでなく、過去の入力データ2ビットおよび出力データ1ビットに拘束されている。従って、RLL(1,7)変調される符号はトレリス符号であると見なすことができるのである。
【0058】
図5は、上記RLL(1,7)変調される符号をトレリス符号と見なした場合のトレリス線図である。このトレリス線図において、内部状態はS0からS11までの12種類である。ここで、時点kは、変調前の符号データci2ビット毎の時刻を表す。すなわち、時点kが1つ進む毎ごとに、符号データci2ビットが変調され、チャネルデータai3ビットが出力される。
【0059】
また、図5に示すトレリス線図に基づく現状態,入力値(変調前データci),出力値(変調後データai)および次状態の対応表を図6に示す。この対応表の入力値は、図3に示す変調表における「後に続く入力ビット」に相当する。また、出力値は、図3に示す変調表における「チャネルビットRLL(1,7)」から上記NRZ変換されたNRZ則に基づくチャネルデータaiに相当する。例えば、時点kにおいて内部状態がS11である場合に、2ビットの入力値が(1,1)であるならば3ビットの出力値は(0,0,0)となり、次時点(k+1)における内部状態はS10になる。このように、上記トレリス線図は、RLL変調に関する拘束条件に相当する。そして、このトレリス線図に基づく図6に示す対応表は、RLL変調に関する拘束条件に相当するのである。
【0060】
以上のように、図2に示す記録媒体記録装置では、上記RLL変調器33によって符号データciにRLL変調を施し、NRZ則に基づくチャネルデータaiに変換されて記録媒体35に記録される。そして、記録回路34,記録媒体35および再生回路41は、ナイキストの第1水準を満たすように等化されている。その場合には、図1に示す記録媒体再生装置の再生回路41によって再生された再生信号yiは、符号データciを図6に示す対応表に従ってNRZ則に基づくチャネルデータaiに変換した信号の再生信号であると言える。
【0061】
そこで、本記録媒体再生装置においては、上記トレリス線図に基づく図6に示す対応表を、上記トレリス線図情報としてROM等に格納しておく。そして、第1APP復号器43は、上記対応表に従ってAPP復号を行うのである。
【0062】
次に、上記対数尤度比演算回路42による演算内容について詳細に説明する。一般に、この演算は、上記通信路を単純なノイズ加算源と考えて行う。つまり、復調前の再生信号y'iを、式(2)で定義する。
y'i=yi+ni …(2)
yi:通信路の影響を受けない理想的な再生信号
ni:ノイズ
ここで、理想的とは、記録媒体35である上記通信路を通過する際に、ノイズ,帯域制限,クロストーク,ジッター等の変形を全く受けないことである。したがって、理想的な再生信号yiは、ノイズを付加する通信路へ送信された信号系列と見なすことができる。尚、niは、理想的な再生信号yiに付加された誤り成分を表す。
【0063】
また、yiは「+1」または「−1」の何れかの値になるように正規化されているとする。すなわち、
yi=2ai−1 …(3)
である。上述のごとく、yiは「+1」または「−1」の何れかの値であるので、復調前の再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)は、式(1)と同様に、次式で定義される。
【0064】
ここで、上記通信路は白色ガウス通信路であると仮定すると、yiを送信した場合にy'iを受信する条件付き確率密度は、
と表される。ここで、式(5)において、σnはこのノイズの実効振幅(標準偏差)である。また、expは指数関数である。そして、式(4)および式(5)より、受信信号y'iの対数尤度比は、次式(6)によって計算できるのである。
L(y'i)=Lc・y'i …(6)
Lc:ノイズniの電力で定まる定数
上記ノイズniの電力はσnの二乗である。したがって、定数Lcは式(7)によって表わされる。
Lc=2/σn 2 …(7)
すなわち、上記対数尤度演算回路42は、入力された復調前の再生信号y'iに定数Lcを乗算して、再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)を得ることができる。このように、対数尤度演算回路42は、一つの受信値y'iにつき一つの値L(y'i)を出力するのである。
【0065】
また、式(3)および式(4)より、次式(8)が得られる。
る。
すなわち、チャネルデータa'iの対数尤度比L(a'i)と再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)とは等しくなる。したがって、第1APP復号器43は、符号入力端子c;Iに入力される対数尤度比L(y'i)を、そのまま符号データa'iの対数尤度比L(a'i)と見なして復号することができるのである。
【0066】
以上のように、本第1参考例の記録媒体再生装置においては、ターボ復調を行う2つのAPP復号器のうちの第1APP復号器43の前段には、復調前の再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)を生成して出力する対数尤度比演算回路42を設けている。また、第1APP復号器43には、再生信号y'iの対数尤度L(y'i)と符号データc'iの事前情報とを入力として、上記ROMに格納されたRLL変調に関する拘束条件を表わすトレリス線図情報(例えば、図6に示す変換表)に従って、符号データc'iを更新して事後確率を出力するAPP復号機能を持たせている。
【0067】
したがって、軟情報に基づくRLL復調を可能にし、RLL復調にターボ復号を適用することができる。したがって、図2に示す記録媒体記録装置のごとく、情報データuiに畳込み符号化およびRLL変調を施したチャネルデータaiを記録した記録媒体から、高い誤り訂正能力によって情報データを復元することができる。すなわち、本第1参考例によれば、上記記録媒体への記録密度を高めることができるのである。
【0068】
また、本第1参考例においては、上記第1減算器44をデインターリーバ45の入力側に配置している。しかしながら、第1減算器44は、デインターリーバ45の出力側に配置しても差し支えない(以下、この構成を第2の構成と言う)。すなわち、上記第1APP復号器43の情報出力端子u;Oから出力された符号データc'iの事後確率L(c'i;O)を、デインターリーバ45に直接入力する。そして、デインターリーバ45の出力(すなわち、上記疑似ランダム置換の逆置換された符号データe'iの対数尤度比L(e'i;O2))を、第1減算器44に入力するのである。そうすると、第1減算器44は、上記疑似ランダム置換の逆置換された符号データe'iの対数尤度比L(e'i;O2)から、第2演算器48の出力である符号データe'iの外部情報Lext(e'i)を減算する。そして、第1減算器44の出力を、第2APP復号器46の符号入力端子c;Iに入力するのである。
【0069】
尚、図1に示す第1の構成の場合には、上記第1減算器44は、擬似ランダム置換後(換言すれば、上記擬似ランダム置換の逆置換前)の符号データ間の減算を行っている。これに対して、上記第2の構成の場合には、上記擬似ランダム置換前(換言すれば、上記擬似ランダム置換の逆置換後)の符号データ間の減算を行っている。したがって、上記第1の構成と第2の構成とによる演算結果は、全く同一になるのである。
【0070】
同様に、上記第2減算器48は、インターリーバ49による擬似ランダム置換の後(換言すれば、上記擬似ランダム置換の逆置換の前)に配置しても差し支えない(以下、この構成を第3の構成と言う)。すなわち、第2APP復号器46の符号出力端子c;Oから出力された符号データe'iの事後確率L(e'i;O)をインターリーバ49に直接入力する。そして、インターリーバ49の出力(すなわち、上記擬似ランダム置換された符号データc'iの対数尤度比L(c'i;O2))を、第2減算器48に入力するのである。そうすると、第2減算器48は、上記疑似ランダム置換された符号データc'iの対数尤度比L(c'i;O2)から、第1演算器44の出力である符号データc'iの外部情報Lext(c'i)を減算する。そして、第2減算器48の出力を、第1APP復号器43の情報入力端子u;Iに入力するのである。
【0071】
尚、この第3の構成の場合には、上記擬似ランダム置換後(換言すれば、上記擬似ランダム置換の逆置換前)の符号データ間の減算を行っているのである。したがって、上記第1の構成と第3の構成とによる演算結果は、全く同一になるのである。
【0072】
このように、本第1参考例においては、各減算器44,48を、擬似ランダム置換前(換言すれば、擬似ランダム置換の逆置換後)に配置してもよいし、擬似ランダム置換後(換言すれば、擬似ランダム置換の逆置換前)に配置してもよい。すなわち、演算結果が全く同一となるように適切に配置すればよいのである。
【0073】
(第2参考例)
図7は、本第2参考例における記録媒体再生装置のブロック図である。また、図8は、図7に示す記録媒体再生装置によって再生されるチャネルデータaiを記録媒体に記録する記録媒体記録装置のブロック図である。先ず、記録媒体記録装置について説明する。
【0074】
図8に示す記録媒体記録装置において、ターボ符号化器51は、入力された情報データuiにターボ符号化を施して符号データfiを出力する。尚、ターボ符号化器51の詳細については後述する。RLL変調器52は、入力された符号データfiにRLL変調を施して、チャネルデータaiを出力する。こうして出力されたチャネルデータaiは、記録回路53によって記録媒体54に記録される。ここで、記録回路54は、磁気記録,光磁気記録,光記録等による記録を行う。このように、本記録媒体記録装置においては、ターボ符号化とRLL変調との両方を行うのである。
【0075】
次に、図7に示す記録媒体再生装置について説明する。再生回路61および対数尤度比演算回路62は、上記第1参考例において図1に示す記録媒体再生装置の再生回路41および対数尤度比演算回路42と同一であり、詳細な説明は省略する。上記確率演算手段としての対数尤度比演算回路62から出力された対数尤度比L(y'i)は、APP復号器63の符号入力端子c;Iに入力される。更に、APP復号器63の情報入力端子u;Iには常にゼロが入力される。すなわち、APP復号器63は、事前情報La(f'i)が無い条件で事後確率復号を行うのである。そして、APP復号器63は、情報出力端子u;Oから符号データf'iの事後確率L(f'i)を出力する。
【0076】
尚、本記録媒体再生装置においても、上記トレリス線図に基づく図6に示す対応表をROM等に格納しておく。そして、APP復号器63は、上記対応表に基づいてRLL変調に関する拘束条件に従ってAPP復号を行うのである。その結果、軟情報を入力とし軟情報を出力とするRLL復調が可能となり、後段のターボ復号器64との併用が可能になるのである。
【0077】
ターボ復号器64には、上記APP復号器63から符号データf'iの対数尤度比L(f'i)が入力されて、情報データの事後確率復号結果Lout(u'i)を出力する。ここで、上記ターボ復号器64は、図8に示す記録媒体記録装置におけるターボ符号化器51が施した符号化に対応した復号を行うのである。尚、ターボ復号器64の詳細については後述する。コンパレータ65は、ターボ復号器64から入力された事後確率復号結果Lout(u'i)を二値化して、復元された情報データu'iを出力する。
【0078】
図9は、図8におけるターボ符号化器51の詳細を示すブロック図である。図9における第1畳み込み符号化器71及び第2畳み込み符号化器73は、入力データがそのまま含まれた出力データを生成する。このような符号化は組織符号化と呼ばれ、出力データのうち入力データ以外のデータ(すなわち符号化による冗長分)はパリティビットと呼ばれる。すなわち、第1畳み込み符号化器71は、入力された情報データuiに畳み込み符号化を施してパリティビットpiを出力するのである。インターリーバ72は、入力された情報データuiに擬似ランダム置換を施して、インターリーブ後の情報データu2iを出力する。また、第2畳み込み符号化器73は、入力されたインターリーブ後の情報データu2iに畳み込み符号化を施して、パリティビットp2iを出力する。
【0079】
パンクチャおよびマルチプレクサ74には、情報データuiと第1畳み込み符号化器71からのパリティビットpiと第2畳み込み符号化器73からのパリティビットp2iが入力される。そして、入力されたパリティビットpiおよびパリティビットp2iは、所定の符号化率となるように一部分が削除(パンクチャ)される。さらに、削除されなかった残りのパリティビットpiおよびパリティビットp2iと、情報データui,とが、マルチプレクサ機能によってまとめられてシリアルデータとなり、符号データfiとして出力される。
【0080】
図9に示すターボ符号化器51は、2つの畳み込み符号化器から構成される並列型連接畳み込み符号(Parallel Concatenated Convolutional Codes:以下PCCCと略称する)と呼ばれる形式のターボ符号である。
【0081】
図10は、図7におけるターボ復号器64の詳細を示すブロック図である。ここで、図10に示すターボ復号器64は、図8に示すターボ符号化器51が施した符号化に対応した復号を行っている。
【0082】
図10において、デマルチプレクサおよびデパンクチャ81は、上記APP復号器63から入力された符号データf'iの対数尤度比L(f'i)をデマルチプレクサ機能によって分解して、情報データu'iの対数尤度比L(u'i)とパリティp'iの対数尤度比L(p'i)とパリティp2'iの対数尤度比L(p2'i)とに分配する。それと同時に、符号化時に削除されたパリティビットの対数尤度比をゼロの値として補う(デパンクチャ)。そして、情報データu'iの対数尤度比L(u'i)は、加算器82に入力される。また、パリティデータp'iの対数尤度比L(p'i)は、第1APP復号器83のパリティ入力端子p;Iに入力される。また、パリティデータp2'iの対数尤度比L(p2'i)は、第2APP復号器86のパリティ入力端子p;Iに入力される。
【0083】
加算器82は、上記情報データu'iの対数尤度比L(u'i)と、後述する第2減算器88から出力される情報データu'iの外部情報LextB(u'i)とを加算して、対数尤度比L(u'i;I)を出力する。すなわち、
L(u'i;I)=LextB(u'i)+L(u'i) …(9)
である。ここで、LextB(u'i)は、後述するように、第2APP復号器86が生成する外部情報である。
【0084】
上記第1APP復号器83は、情報入力端子u;Iに加算器82の出力L(u'i;I)が入力される一方、パリティビット入力端子p;Iにデマルチプレクサおよびデパンクチャ81の出力L(p'i)が入力されて、図9における第1畳み込み符号化器71が施した符号化に対応した復号を行う。尚、上記第1APP復号器83は、式(9)に示すL(u'i;I)のうちの外部情報LextB(u'i)を事前情報として利用する。改めて式で表せば、式(10)のようになる。
L(u'i;I)=LaA(u'i)+L(u'i) …(10)
ここで、LaA(u'i)は、第1APP復号器83に入力されて、復号に利用される事前情報である。このように、第1APP復号器83は、情報データuiとパリティビットpiとに基づく拘束条件に従って事後確率復号を行うのである。そして、情報出力端子u;Oから、情報データu'iの事後確率L(u'i;O)を出力する。ここで、第1APP復号器83によって更新された情報データu'iの対数尤度比の差分(すなわち、L(u'i;O)からL(u'i;I)を差し引いた差分)は、第1APP復号器83が生成した外部情報LextA(u'i)である。したがって、式(9)および式(10)を用いれば、次式(11)の関係が成り立つのである。
L(u'i;O)=LextA(u'i)+L(u'i;I)
=LextA(u'i)+LextB(u'i)+L(u'i)
=LextA(u'i)+LaA(u'i)+L(u'i) …(11)
尚、パリティデータp'の事後確率L(p'i;O)が出力されるパリティ出力端子p;Oは、何れとも未接続である。
【0085】
第1減算器84とインターリーバ85とは、上記第1APP復号器83から情報データu'iの事後確率L(u'i;O)が出力された直後に動作する。そして、第1減算器84は、第1APP復号器83から入力される事後確率L(u'i;O)から、後述する第2減算器88から入力される情報データuiの外部情報LextB(u'i)を減算することによって、LextA(u'i)+L(u'i)を出力する。また、インターリーバ85は、第1減算器84から入力されたLext(u'i)+L(u'i)に上述した疑似ランダム置換を施し、インターリーブ後における情報データの対数尤度比L(u2'i;I)を出力する。すなわち、
L(u2'i;I)=LextA(u2'i)+L(u2'i) …(12)
である。ここで、u2を、インターリーブ後の情報データと定義する。つまり、情報データuをインターリーブすれば情報データu2となり、情報データu2をデインターリーブすれば情報データuとなるのである。
【0086】
式(12)における対数尤度比LextA(u2'i)は、第1APP復号器83によって更新された情報データu'iの外部情報LextA(u'i)をインターリーブしたものであり、これを情報データu2'iの事前情報として第2APP復号器86に入力するのである。改めて式で表せば、式(13)のようになる。
L(u2'i;I)=LaB(u2'i)+L(u2'i) …(13)
ここで、LaB(u2'i)は、第2APP復号器86に入力されて、復号に利用される事前情報である。
【0087】
上記第2APP復号器86は、情報入力端子u;Iにインターリーバ85からの情報データu2'iの対数尤度比L(u2'i;I)が入力される一方、パリティ入力端子p;Iにデマルチプレクサおよびデパンクチャ81からのパリティデータp2'iの対数尤度比L(p2'i)が入力される。そして、上記第2APP復号器86は、図9における第2畳み込み符号化器73が施した符号化に対応した復号を行う。すなわち、情報データu2iとパリティビットp2iとに基づく拘束条件に従って事後確率復号を行うのである。そして、第2APP復号器86は、情報出力端子u;Oから情報データu2'iの事後確率L(u2'i;O)を出力する。こうして、上記第2APP復号器86によって更新された情報データu2'iの対数尤度比の差分(つまり、L(u2'i;O)からL(u2'i;I)を差し引いた差分)は、第2APP復号器86が生成した外部情報LextB(u2'i)である。したがって、式(12)および式(13)を用いれば、次式(14)の関係が成り立つのである。
L(u2'i;O)=LextB(u2'i)+L(u2'i;I)
=LextB(u2'i)+LextA(u2'i)+L(u2'i)
=LextB(u2'i)+LaB(u2'i)+L(u2'i) …(14)
尚、パリティデータp'の事後確率L(p'i;O)が出力されるパリティ出力端子p;Oは、何れとも未接続である。
【0088】
デインターリーバ87と第2減算器88とは、上記第2APP復号器86から情報データu2'iの事後確率L(u2'i;O)が出力された直後に動作する。そして、デインターリーバ87は、入力された事後確率L(u2'i;O)に、上述した疑似ランダム置換の逆置換を施して、デインターリーブ後(つまり、インターリーブ前)における情報データu'iの対数尤度比Lout(u'i)を出力する。すなわち、上記式(14)より、
Lout(u'i)=LextB(u'i)+LextA(u'i)+L(u'i) …(15)
となる。ここで、LextB(u'i)は、第2APP復号器86によって更新された外部情報LextB(u2'i)をデインターリーブしたものである。また、LextA(u'i)は、第1APP復号器83によって更新された外部情報である。そして、デインターリーバ87から出力された情報データu'iの対数尤度比Lout(u'i)は、このターボ復号器64の復号結果として出力されるのである。
【0089】
上記第2減算器88は、上記デインターリーバ87から入力される対数尤度比Lout(u'i)から、第1減算器84から入力されるLextA(u'i)+L(u'i)を減算してLextB(u'i)を出力する。この情報データu'iの対数尤度比LextB(u'i)は、上述したように加算器82に入力される。
【0090】
こうして、上記第1APP復号器83と第2APP復号器86との間で情報データの対数尤度比を繰り返し受け渡してターボ復号が行われ、復元された情報データu'iの誤りを減少させることができる。尚、初回の復号動作時には、加算器82に第2減算器88から入力される外部情報LextB(u'i)(すなわち、事前情報LaA(u'i))はゼロとする。
【0091】
以上のように、本第2参考例においては、記録媒体記録装置にターボ符号化器51とRLL変調器52とを搭載して、ターボ符号化とRLL変調との両方が行われたチャネルデータaiを記録媒体54に記録する。一方、記録媒体再生装置にはターボ復号器64を搭載して、ターボ復号を行うようにしている。したがって、上記第1参考例に比較して、高い誤り訂正能力によって情報データを復元することができ、上記記録媒体への記録密度を高めることができるのである。
【0092】
その際に、上記記録媒体再生装置における上記ターボ復号器64の前段には、上記第1参考例における図1に示す対数尤度比演算回路42および第1APP復号器43と同じ機能を有する対数尤度比演算回路62およびAPP復号器63を設けている。したがって、APP復号器63は、対数尤度比演算回路62からの再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)を入力として、上記ROMに格納されたRLL変調に関する拘束条件を満たすトレリス線図情報(例えば、図6に示す変換表)に従って、符号データf'iを更新して事後確率を出力するAPP復号機能を有している。こうして、軟情報に基づくRLL復調を可能にし、RLL復調にターボ復号を適用することができるのである。
【0093】
尚、上述のごとく、本第2参考例においては、図7における上記APP復号器63によって、上記第1の事後確率復号手段を構成している。また、図10における第1APP復号器83と第2APP復号器86とによって、上記第2の事後確率復号手段を構成しているのである。
【0094】
<実施の形態>
図11は、本実施の形態における記録媒体再生装置のブロック図である。この記録媒体再生装置は、図8に示す記録媒体記録装置によってチャネルデータaiが記録された記録媒体54を再生するものである。
【0095】
再生回路91及び対数尤度比演算回路92は、上記第1参考例において図1に示す記録媒体再生装置の再生回路41及び対数尤度比演算回路42と同一であり、コンパレータ95は、上記第2参考例において図7に示す記録媒体再生装置のコンパレータ65と同一であり、詳細な説明は省略する。上記確率演算手段としての対数尤度比演算回路92から出力された対数尤度比L(y'i)は、APP復号器93の符号入力端子c;Iに入力される。さらに、APP復号器93の情報入力端子u;Iには、ターボ復号器94から出力された符号データf'iの事前情報La(f'i)が入力される。すなわち、APP復号器93は、符号データf'iの事前情報La(f'i)および再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)に基づいて事後確率復号を行い、情報出力端子u;Oから符号データf'iの事後確率L(f'i)を出力するのである。
【0096】
尚、本記録媒体再生装置においても、上記トレリス線図に基づく図6に示す対応表をROM等に格納しておく。そして、APP復号器93は、上記対応表に基づいてRLL変調に関する拘束条件に従ってAPP復号を行うのである。その結果、軟情報を入力とし軟情報を出力とするRLL復調が可能となり、後段のターボ復号器94との併用が可能になるのである。
【0097】
ターボ復号器94は、上記APP復号器93からの符号データf'iの事後確率L(f'i)が入力されて復号を施し、情報データの事後確率復号結果Lout(u'i)と符号データの事前情報La(f'i)とを出力する。ここで、上記ターボ復号器94は、図9に示す記録媒体記録装置におけるターボ符号化器51が施した符号化に対応した復号を行うのである。尚、ターボ復号器94の詳細については後述する。
【0098】
上述のように、上記APP復号器93とターボ復号器94との間で符号データf'iの対数尤度比を繰り返し受け渡して反復復号が行われ、復元された情報データu'iの誤りを減少させることができる。尚、初回の復号動作時には、APP復号器93の情報入力端子u;Iに入力される事前情報La(f'i)はゼロとする。
【0099】
図12は、図11におけるターボ復号器94の詳細を示すブロック図である。ここで、デマルチプレクサおよびデパンクチャ101,加算器102,第1APP復号器103,第1減算器104,インターリーバ105,第2APP復号器106,デインターリーバ107及び第2減算器108は、上記第2参考例において図10に示すターボ復号器64のデマルチプレクサおよびデパンクチャ81,加算器82,第1APP復号器83,第1減算器84,インターリーバ85,第2APP復号器86,デインターリーバ87および第2減算器88と同一である。
【0100】
第3減算器109は、上記第1APP復号器103のパリティ出力端子p;Oから出力されたパリティデータp'の事後確率L(p'i;O)から、デマルチプレクサおよびデパンクチャ101から出力されたパリティp'iの対数尤度比L(p'i)を減算して、パリティpiに関する外部情報Lext(p'i)を出力する。
【0101】
第4減算器110は、上記第2APP復号器106のパリティ出力端子p;Oから出力されたパリティデータp'の事後確率L(p2'i;O)から、デマルチプレクサおよびデパンクチャ101から出力されたパリティp2'iの対数尤度比L(p2'i)を減算して、パリティp2iに関する外部情報Lext(p2'i)を出力する。
【0102】
パンクチャおよびマルチプレクサ111には、第2減算器108から出力された情報データu'iの外部情報LextB(u'i)と、第3減算器109から出力されたパリティpiに関する外部情報Lext(p'i)と、第4減算器110から出力されたパリティp2iに関する外部情報Lext(p2'i)とが入力される。そして、入力された外部情報Lext(p'i)およびLext(p2'i)は、所定の符号化率になるように一部分が削除(パンクチャ)される。そして、マルチプレクサ機能によって、入力された外部情報LextB(u'i)と削除されていない残りの外部情報Lext(p'i)およびLext(p2'i)とがまとめられてシリアルデータとなり、符号データf'iの事前情報La(f'i)として出力される。このように、パンクチャおよびマルチプレクサ111は、パンクチャおよびマルチプレクサ74と同様の処理を行う。但し、パンクチャおよびマルチプレクサ74は硬情報を処理するのに対し、パンクチャおよびマルチプレクサ111は軟情報を処理するのである。
【0103】
以上のように、本実施の形態においては、記録媒体記録装置にターボ符号化器51とRLL変調器52とを搭載して、ターボ符号化とRLL変調との両方が行われたチャネルデータaiを記録媒体54に記録する。一方、記録媒体再生装置にはAPP復号器93およびターボ復号器94を搭載して、APP復号器93,第1APP復号器103および第2APP復号器106の3つのAPP復号器の間で符号データf'iまたは情報データu'iの対数尤度比を繰り返し受け渡してターボ復号を行うようにしている。したがって、上記第2参考例に比較して、復元された情報データu'iの誤りを更に減少させることができる。尚、復号する際には、APP復号器93,第1APP復号器103および第2APP復号器106の順で復号処理が繰り返し行われる。
【0104】
その際に、上記APP復号器93の前段に設けられた対数尤度比演算回路92およびAPP復号器93は、上記第1参考例における図1に示す対数尤度比演算回路42及び第1APP復号器43と同じ機能を有している。したがって、APP復号器93は、対数尤度比演算回路92からの再生信号y'iの対数尤度比L(y'i)と符号データの事前情報とを入力として、上記ROMに格納されたRLL変調に関する拘束条件を満たすトレリス線図情報(例えば、図6に示す変換表)に従って、符号データf'iを更新して事後確率を出力するAPP復号機能を有している。こうして、軟情報に基づくRLL復調を可能にし、RLL復調にターボ復号を適用することができるのである。
【0105】
尚、上述のごとく、本実施の形態においては、図11における上記APP復号器93によって、上記第1の事後確率復号手段を構成している。また、図12における第1APP復号器103と第2APP復号器106とによって、上記第2の事後確率復号手段を構成しているのである。
【0106】
ところで、上記第2参考例の図8に示す記録媒体記録装置において、ターボ符号化器51とRLL変調器52との間に、置換を施すインターリーバを設置しても構わない。その場合には、図7に示す記録媒体再生装置において、APP復号器63とターボ復号器64との間にデインターリーバを設置する。また、上記実施の形態の図11においても同様に、APP復号器93からターボ復号器94へ出力される符号データf'iの事後確率L(f'i)に逆置換を施すデインターリーバを設置する一方、ターボ復号器94からAPP復号器93へ出力される符号データf'iの事前情報La(f'i)に置換を施すインターリーバを設置するのである。このように、記録媒体記録装置におけるターボ符号化器とRLL変調器との間及び記録媒体再生装置におけるAPP復号器とターボ復号器との間に、インターリーバ及びデインターリーバを設置することによって、再生信号y'iに含まれるバーストエラーをランダムエラーに分解することができる。その結果、復元された情報データu'iに含まれる誤りを更に低減することができるのである。
【0107】
また、上記実施の形態においては、誤り訂正符号として、ターボ符号方式に適した畳み込み符号を用いている。しかしながら、この発明における誤り訂正符号は畳み込み符号に限定されるものではなく、軟情報入力軟情報出力の復号処理が可能な誤り訂正符号であればよい。その場合には、APP復号器を、上記軟情報入力軟情報出力の復号処理が可能な誤り訂正符号に関する拘束条件に基づいて事後確率復号を行うAPP復号器とすればよい。
【0108】
更に、図8に示す記録媒体記録装置におけるターボ符号化器51は、2つの畳み込み符号化器から構成されるPCCC形式のターボ符号化器の場合を例に挙げて説明した。しかしながら、この発明はこれに限定される必要は無く、3つ以上の畳み込み符号から構成されるPCCC形式のターボ符号化器や、直列型連接畳み込み符号(Serially Concatenated Convolutional Codes)形式のターボ符号化器等を用いても良い。その場合における記録媒体再生装置のターボ復号器64,94としては、用いられたターボ符号化形式に対応した復号化を行うターボ復号化器を用いればよい。すなわち、ターボ符号化形式は、軟情報入力軟情報出力の復号処理が可能な誤り訂正符号化であればよい。したがって、ターボ符号化器51を軟情報入力軟情報出力の復号処理が可能な誤り訂正符号化器とし、ターボ復号器64,94を当該誤り訂正符号の軟情報入力軟情報出力復号器とすればよいのである。
【0109】
尚、上記実施の形態における上記対数尤度比は実数であるが、浮動小数点精度もしくは固定小数点精度で量子化された数であってもよい。さらに、整数精度の数であってもよい。一般に、浮動小数点精度,固定小数点精度,整数精度の順に演算精度が劣る。
【0110】
また、上記実施の形態においては、各ブロックが入力あるいは出力する尤度として対数尤度比を用いたが、これは対数尤度比を用いると演算量を削減することができるからである。しかしながら、この発明は、対数尤度比に限定するものではなく、例えば各ブロックは確率値をそのまま入力あるいは出力するようにしてもよい。その場合には、上記各減算器を除算器とし、加算器を乗算器とすればよい。
【0111】
また、更に誤り率を低減するために、上記第1参考例においては、畳み込み符号化器31を内符号とし、別途外符号として誤り訂正符号化器を設けてもよい。また、外符号である誤り訂正符号化器と内符号である畳み込み符号化器31との間に、別途インターリーバを設けることによって、更に誤り率を低減することができる。その場合、これに対応する記録媒体再生装置においては、第2APP復号器46の情報出力端子u;Oには、デインターリーバおよび誤り訂正符号の復号器を順次接続すればよい。同様に、上記第2参考例および実施の形態においては、ターボ符号化器51を内符号とし、別途外符号として誤り訂正符号化器を設けてもよい。また、外符号である誤り訂正符号化器と内符号であるターボ符号化器51との間に、別途インターリーバを設けることによって、更に誤り率を低減することができる。その場合、これに対応する記録媒体再生装置においては、ターボ復号器64,94の出力Lout(f'i)に、デインターリーバおよび誤り訂正符号の復号器を順次接続すればよい。
【0112】
【発明の効果】
以上より明らかなように、第1の発明の復号方法は、再生データのビット毎の確率を演算すると共に、記録時に情報データに施された変調に関する拘束条件に基づいて符号データの事後確率を生成する第1のAPP復号処理と、誤り訂正符号の拘束条件に基づいて上記情報データの事後確率と符号データの事前情報とを生成する第2のAPP復号処理の各処理を、反復繰り返し行って、反復復号を行うので、軟情報を扱い得る復調が適用された反復復号方法を実現できる。すなわち、この発明によれば、記録媒体の再生に適した反復復号方法を実現できるのである。
【0113】
また、1実施例の復号方法は、上記誤り訂正符号化をターボ符号化とし、上記第2のAPP復号処理をターボ符号化に対応したターボ復号処理としたので、軟情報を扱い得る復調を前段とするターボ復号方法、あるいは、軟情報を扱い得る復調が適用されたターボ復号方法を実現できる。すなわち、この発明によれば、記録媒体の再生に適したターボ復号方法を実現できるのである。
【0114】
また、1実施例の復号方法は、上記変調をRLL変調とし、上記通信路をナイキストの第1基準を満足するように等化し、上記第1のAPP復号処理時に用いる変調に関する拘束条件を、RLL変調に関する拘束条件を満たす拘束条件としたので、ナイキストの第1基準を満足するように等化された通信路、すなわち符号間干渉のない通信路である記録媒体に適合したRLL変調と上記第1のAPP復号処理とを実現することができる。
【0115】
また、1実施例の復号方法は、上記第1のAPP復号処理を、上記変調に関する拘束条件を表すと共に、メモリに格納されたトレリス線図情報に基づいて行うようにしたので、上記メモリに格納されたトレリス線図情報を参照することによって、上記第1のAPP復号処理を簡単な処理で行うことができる。
【0116】
また、1実施例の復号方法は、符号化時に上記情報データに施される誤り訂正符号化を畳み込み符号化としたので、ターボ復号化に適した誤り訂正符号化を実現できる。
【0117】
また、1実施例の復号方法は、上記確率および事後確率として対数尤度比を用いると共に、上記事前情報として対数尤度比の値を用いるので、上記確率演算手段 , 第1のAPP復号手段および第2のAPP復号手段における演算量を削減できる。
【0118】
また、第2の発明の記録媒体再生装置は、情報データに誤り訂正符号化およびRLL変調を順次施したチャネルデータが記録された記録媒体から再生手段によって再生データを得、復号手段によって、上記第1の発明の復号方法によって上記再生データから得た情報データの事後確率に基づいて、上記情報データを復元するので、上記復号手段による第1のAPP復号処理に用いる拘束条件としてRLL変調に関する拘束条件を適用する一方、上記第2のAPP復号処理としてターボ復号処理を適用することによって、上記記録媒体の再生および復号を、RLL復調とターボ復号とによって行うことが可能になる。したがって、記録媒体再生装置の誤り訂正能力を高めることができ、上記記録媒体の記録密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1参考例としての記録媒体再生装置のブロック図である。
【図2】 図1に示す記録媒体再生装置によって再生されるデータを記録する記録媒体記録装置のブロック図である。
【図3】 スタンダードECMA‐195によって規格化されているRLL(1,7)の変調表を示す図である。
【図4】 NRZI則に基づくチャネルデータziをNRZ則に基づくチャネルデータaiに変換を行うための変換表を示す図である。
【図5】 図3に示すRLL(1,7)変調表に対応するトレリス線図の一例を示すである。
【図6】 図5に示すトレリス線図に基づく現状態,入力値,出力値および次状態の対応表を示す図である。
【図7】 この発明の第2参考例としての記録媒体再生装置のブロック図である。
【図8】 図7に示す記録媒体再生装置によって再生されるデータを記録する記録媒体記録装置のブロック図である。
【図9】 図8におけるターボ符号化器のブロック図である。
【図10】 図7におけるターボ復号器のブロック図である。
【図11】 この発明の記録媒体再生装置のブロック図である。
【図12】 図11におけるターボ復号器のブロック図である。
【図13】 ターボ符号の符号化処理および復号処理を行う従来の記録再生装置のブロック図である。
【図14】 RLL変調方式を適用した従来の記録再生装置のブロック図である。
【図15】 図13とは異なるターボ符号の符号化処理および復号処理を行う従来の記録再生装置のブロック図である。
【図16】 従来のRLL復調器のブロック図である。
【符号の説明】
31…畳み込み符号化器、
32,49,72,85,105…インターリーバ、
33,52…RLL変調器、
34,53…記録回路、
35,54…記録媒体、
41,61,91…再生回路、
42,62,92…対数尤度比演算回路、
43,83,103…第1APP復号器、
44,84,104…第1減算器、
45,87,107…デインターリーバ、
46,86,106…第2APP復号器、
47,65,95…コンパレータ、
48,88,108…第2減算器、
51…ターボ符号化器、
63,93…APP復号器、
64,94…ターボ復号器、
71…第1畳み込み符号化器、
73…第2畳み込み符号化器、
74,111…パンクチャおよびマルチプレクサ、
81,101…デマルチプレクサおよびデパンクチャ、
82,102…加算器、
109…第3減算器、
110…第4減算器。
Claims (7)
- 情報データに誤り訂正符号化を施して符号データを生成し、この符号データに変調を施して生成されたチャネルデータが通信路を通過して再生された再生データに基づいて、上記情報データを復号する復号方法であって、
確率演算手段によって、上記再生データのビット毎の確率を演算すると共に、
上記再生データのビット毎の確率と符号データの事前情報とを入力として、上記変調に関する拘束条件に基づいて、第1の事後確率復号手段によって上記符号データの事後確率を生成して出力する第1の事後確率復号処理と、
上記符号データの事後確率を入力として、上記誤り訂正符号の拘束条件に基づいて、第2の事後確率復号手段によって、上記情報データの事後確率と符号データの事前情報とを生成して出力する第2の事後確率復号処理
の各処理を、反復繰り返し行って、反復復号を行う
ことを特徴とする復号方法。 - 請求項1に記載の復号方法において、
上記誤り訂正符号化は、ターボ符号化であり、
上記第2の事後確率復号処理は、上記ターボ符号化に対応したターボ復号処理である
ことを特徴とする復号方法。 - 請求項1に記載の復号方法において、
上記変調は、ランレングス制限変調であり、
上記通信路は、ナイキストの第1基準を満足するように等化されており、
上記第1の事後確率復号処理時に用いる上記変調に関する拘束条件は、ランレングス制限変調に関する拘束条件である
ことを特徴とする復号方法。 - 請求項1に記載の復号方法において、
上記第1の事後確率復号処理は、上記変調に関する拘束条件を表すと共に、メモリに格納されたトレリス線図情報に基づいて行われる
ことを特徴とする復号方法。 - 請求項1に記載の復号方法において、
上記誤り訂正符号化は、畳み込み符号化である
ことを特徴とする復号方法。 - 請求項1に記載の復号方法において、
上記確率および事後確率として対数尤度比を用いると共に、上記事前情報として対数尤度比の値を用いる
ことを特徴とする復号方法。 - 情報データに誤り訂正符号化を施すことによって符号データを生成し、この符号データにランレングス制限変調を施したチャネルデータが記録された記録媒体から、記録されているチャネルデータを再生して再生データを出力する再生手段と、
請求項1に記載の復号方法によって上記再生データから上記情報データの事後確率を得、この情報データの事後確率に基づいて上記情報データを復元する復号手段
を備えたことを特徴とする記録媒体再生装置。
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