JP3851682B2 - 包接水和物結晶の析出制御剤及びそれを用いた包接水和物結晶の析出制御方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、包接水和物結晶の析出制御剤及びそれを用いた包接水和物結晶の析出、凝集及び沈殿の制御方法に関する。本発明は、例えば、原油や天然ガスの採掘用及びそれらの輸送用のパイプライン内、工場内循環冷却水中、各種エンジン用冷却水中等に生成する包接水和物結晶の析出制御に有用である。
【0002】
【従来技術】
二酸化炭素やメタン、エタン等の炭化水素等の種々の気体分子を溶解して含有する水性媒体を特定の温度と圧力下に置いたときに、溶解している気体分子が水分子のかごの中に取り囲まれた結晶である包接水和物(clathrate hydrates)が生成することが知られている。この包接水和物結晶は、しばしば原油や天然ガスを採掘及び輸送するパイプライン中に生成し、パイプラインを閉塞させるため、原油や天然ガスプラントの安全且つ連続した操作上、非常に重大な問題となっている。
【0003】
従来、原油及び天然ガスを採掘及び輸送するパイプラインにおける包接水和物結晶の生成防止は、パイプラインに大量のメタノールを添加することにより行われてきた。しかしながら、メタノールは非常に高い引火性及び人体及び環境に対する有害性を有する。更に、メタノールを包接水和物結晶の制御に用いると、一部のメタノールが気体相に失われ、精製時にプロパン留分に取り入れられてしまい、ダウンストリーム触媒を損なうという問題があった。
【0004】
メタノールに代わり包接水和物結晶の析出及び成長を制御する包接水和物結晶析出制御剤として、エチレングリコール、尿素及び無機塩等の如き低分子量物を大量に添加する方法が提案されている。エチレングリコール又はトリエチレングリコールは、容易に回収でき、気体又は凝縮物(軽油留分)を汚染しない点でメタノールより好ましいが、メタノールより高価である。従って、エチレングリコール類は、全製造コストが低い場合にのみメタノールより有利となり得る。更に、かかる低分子量物も、メタノール同様、大量に添加しなければならない。従って、この方法も環境への悪影響及び経済性といった観点から見て好ましい方法とは言いがたいものであった。かかる状況下、メタノールや他の低分子量物を添加する方法に代わる他の包接水和物結晶析出制御方法の開発が望まれていた。
【0005】
メタノールや他の低分子量物を添加する方法に代わる他の包接水和物結晶析出制御方法として、最近では水溶性又は水分散性の高分子化合物を添加する種々の方法、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを添加する方法(特開平6−212178号公報)、主鎖中に環状エーテル構造を有するポリエーテルを添加する方法(EP公開第505000号)、ポリビニルピロリドン又はビニルピロリジノンとa−オレフィンとの共重合体を添加する方法(国際公開WO93/25798号)、ビニルピロリジノン、ビニルカプロラクタム及びジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体を添加する方法(国際公開WO94/12761号)等が提案されている。
【0006】
これらの高分子化合物を添加する方法とメタノール及び他の低分子量物を添加する方法の最も重要な相違点は、その包接水和物結晶の析出制御機構にある。正確には、メタノール及び他の低分子量物は、大量に系に添加することによって、包接水和物結晶の生成を完全に且つ熱力学的に防止する、即ち、系での凝固点降下によってその生成を完全に防止するものである。かかる添加剤は熱力学的析出制御剤(thermodynamic inhibitor)と呼ばれている。これに対して、高分子化合物の添加剤は、速度論的析出制御剤(kinetic inhibitor)と呼ばれており、包接水和物結晶の生成を完全に防止するのではなく、一定期間包接水和物結晶の生成を遅延・抑制したり、生成する包接水和物結晶の結晶系やサイズを制御することによって、パイプラインの閉塞を一定期間防止するものである。高分子化合物は、低分子量物よりもずっと少量の添加でも高い析出抑制効果が得られるという特徴を有している。
【0007】
しかしながら、これらの従来公知の速度論的析出制御剤の中で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及び主鎖中に環状エーテル構造を有するポリオールは、包接水和物結晶の生成遅延及び生成抑制効果が非常に低いものである。また、ポリビニルピロリジノンやビニルピロリジノンとa−オレフィンとの共重合体の包接水和物結晶の生成遅延及び生成抑制効果は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及び主鎖中に環状エーテル構造を有するポリエ−テルよりも高いものの、満足できるものではない。他方、ビニルピリジノン、カプロラクタム及びジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体の包接水和物結晶の生成遅延及び生成抑制効果は他のものよりも高いが、その性能は未だ不充分であり、該重合体が適用できる条件は制限される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、包接水和物結晶の生成する系で安定であり、高い包接水和物結晶の生成の遅延効果並びに該結晶の成長、凝集及び沈殿の抑制効果を有する包接水和物結晶の析出制御剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、包接水和物結晶の生成する系で安定であり、高い包接水和物結晶の生成の遅延効果並びに該結晶の成長、凝集及び沈殿の抑制効果を有し、且つ安価な包接水和物結晶の析出制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤は、分子内に、下記一般式(1)
【0010】
【化16】
【0011】
(式中、P1は高分子主鎖を表し、Spは、一部又は全部の水素原子がハロゲン原子又は水酸基で置換されていてもよい、炭素数1〜24の直鎖又は分岐アルキル基;カルボニル、エステル、カーボネート、エーテル;チオエステル、チオエーテル;アミド、尿素、ウレタン、イミン、もしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1又は2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基から選択される1種又は2種以上の官能基を含有することからなる官能基を表し、及びXは3〜15員環基を表す。)
で表される構造単位(1)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0012】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤はまた、分子内に、構造単位(1)及び下記一般式(6)
【0013】
【化17】
【0014】
(式中、P2は、P1と同一でも異なっていてもよい高分子主鎖を表し、Yは、P2に直接結合されているか又はP2にカルボニル、エステル、カーボネート、エーテル;チオエステル、チオエーテル;アミド、尿素、ウレタン、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基からなる群から選択される1種もしく2種以上の結合を介して結合されている、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基又はフェニル基を表す。)
で表される構造単位(2)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0015】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤はまた、分子内に、構造単位(1)及び下記一般式(10)
【0016】
【化18】
【0017】
(式中、P3は、P1と同一でも異なっていてもよい高分子主鎖を表し、Zは、P3に直接結合されているか又はP3にカルボニル、エステル、カーボネート、エーテル;チオエステル、チオエーテル;アミド、尿素、ウレタン、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基からなる群から選択される1種もしく2種以上の結合を介して結合されている、解離性基及び/又はその塩を表す。)
で表される構造単位(3)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0018】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤は、構造単位(1)、(2)及び(3)の全てを含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなることが好ましい。
【0019】
本発明はまた、前記析出制御剤を、包接水和物結晶が生成可能な系に添加することを特徴とする包接水和物結晶の析出制御方法である。
【0020】
前記方法は、前記析出制御剤を、水及び/又は水と混和性の溶媒に溶解した後に添加して行うことが好ましい。
また前記方法は、前記析出制御剤を、包接水和物結晶が生成可能な系に存する自由水100重量部に対して、0.01〜30重量部の量で添加して行うことが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤は、分子内に、下記一般式(1)
【0022】
【化19】
【0023】
で表される構造単位(1)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0024】
前記一般式(I)中のP1は高分子主鎖を表し、エチレン系不飽和単量体を重合して得られる置換及び/又は無置換の炭化水素骨格;ポリエステル骨格;ポリアミド骨格;ポリウレタン骨格;ポリカーボネート骨格;ポリエステル骨格;ポリエーテル骨格;ポリイミド骨格等が包含される。P1はこれらの1種又は2種以上から構成されていてもよい。
【0025】
前記一般式(I)中のXは3〜15員環基を表し、特定のスペーサー基、Spを介して高分子主鎖P1に連結する。一般式(I)で表される構造において、該環状ペンダントXは、かかるスペーサー基によって、高分子主鎖から離れて設定される。その結果、該ペンダントは、ポリビニルピロリドンやポリビニルカプロラクタムの如き高分子主鎖に直接連結するペンダントよりも自由に動き、包接水和物結晶析出制御剤にとってより効果的に利用されることができる。
【0026】
Xとしては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、イミダゾール、ピラゾール、ヒダントイン、ピペコリン、モルホリン、ピロール、ピロリン、インダゾール、インドール、カルバゾール、イミノジベンジル、マレイミド、スクシンイミド、フタルイミド、ピロリジノン、カプロラクタム等の如き窒素含有ヘテロ環;プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトン、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、エポキシ、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の如き酸素含有ヘテロ環;シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン等の如き炭化水素環;並びにこれらの環の1又は2以上の水素原子が置換された誘導体が包含される。これらの環の中で、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長を抑制する効果が高い点で、窒素含有ヘテロ環が好ましく、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、イミダゾール、マレイミド、ピロリジノン、カプロラクタム等の如き5〜7員環がより好ましい。
【0027】
−Sp−Xは、下記一般式(4)
【0028】
【化20】
【0029】
を有することが、高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。
【0030】
前記一般式(4)中のX′は、窒素原子を含有する非芳香族及び/又は芳香族ヘテロ環を表し、その窒素原子を介して隣接するカルボニル基に結合する。X′としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、イミダゾール、ピラゾール、ヒダントイン、ピペコリン、モルホリン、ピロール、ピロリン、インダゾール、インドール、カルバゾール、イミノジベンジル、イミノチルベン、マレイミド、スクシンイミド、フタルイミド、ピロリジノン、カプロラクタム;及びこれらの環の1又は2以上の水素原子が置換された誘導体が包含される。高分子化合物(I)は、これらの環を1種又は2種以上含有することができる。これらの環の中で、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長を抑制する効果が高い点で、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、イミダゾール、マレイミド、スクシンイミド、ピロリジノン、カプロラクタム等の如き5〜7員環が好ましい。
【0031】
またXはピロリジノン及びカプロラクタムの如きラクタムであることが、高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で、好ましい。
【0032】
高分子化合物(I)は、高分子化合物の繰り返し単位に基づき10モル%以上の構造単位(1)を含有することが好ましく、更に該構造単位(1)を40モル%以上含有することがより好ましい。化合物(I)が10モル%より少ない構造単位(1)を含有する場合には、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長を抑制する効果が不充分な場合がある。
【0033】
前記一般式(I)中のSpは、一部又は全部の水素原子がハロゲン原子又は水酸基で置換されていてもよい、炭素数1〜24の直鎖又は分岐アルキル基;カルボニル、エステル、カーボネート、エーテル;チオエステル、チオエーテル;アミド、尿素、ウレタン、イミン、もしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1又は2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基から選択される1種又は2種以上の官能基を含有することからなる官能基を表す。
【0034】
前記一般式(I)中のペンダント基−Sp−Xとしては、環状アミンの例としてピロリジンを挙げるとすれば、ピロリジノカルボニル、ピロリジノカルボニルアルキルカルボニル、N−ピロジジノカルボニルアルケンカルバモイル、w−ピロリジノ−ポリ(カルボニルアルキレンオキシ)−カルボニル、w−ピロリジノ−ポリ(カルボニルアルキレンアミノ)−カルボニル、ピロリジノカルボニルアルキレンカルボキシ、ピロリジノカルボニルアルキレンアミド、w−ピロリジノカルボニル−ポリ(アルキレンアミド)、w−ピロリジノカルボニル−ポリ(アルキレンオキシ)の如きピロリジン環含有基;ピペリジノカルボニルアルキルカルボニル、N−ピペリジノカルボニルアルキレンカルバモイル、w−ピペリジノ−ポリ(カルボニルアルキレンオキシ)−カルボニル、w−ピペリジノ−ポリ(カルボニルアルキレンアミノ)−カルボニル、ピペリジノカルボニルアルキレンカルボキシ、ピペリジノカルボニルアルキレンアミド、w−ピペリジノカルボニル−ポリ(アルキレンアミド)、w−ピペリジノカルボニル−ポリ(アルキレンオキシ)等の如きピペリジン含有基が包含され、
【0035】
あるいは、ラクタムの例としてピロリジノンを挙げるとすれば、2−オキソ−ピロリジノアルキレンオキシカルボニル、2−オキソ−ピロリジノカルボニル、N−(2−オキソ−ピロリジノアルキレン)−カルバモイル、2−オキソ−ピロリジノアルキレンカルボキシ、2−オキソ−ピロリジノアルキレンアミド、w−(2−オキソ−ピロピジノ)−ポリ(アルキレンアミド)、w−(2−オキソ−ピロリジノ)−カルボニル−ポリ(アルキレンオキシ)の如きピロリジノン環含有基が包含される。
【0036】
P1は、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基を表すことが好ましい。
【0037】
前記構造単位(1)は、高分子化合物(I)において下記一般式(2)及び/又は(3)を含有することが好ましい。
【0038】
【化21】
【0039】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Sp′は、Sp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル炭素とXとの間の直接結合、あるいは、一部又は全部の水素原子がハロゲン原子又は水酸基で置換されていてもよい、炭素数1〜24の直鎖又は分岐アルキル基;カルボニル;エステル、カーボネート、チオエステル、アミド、ウレタン又はSp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル基を包含していてもよいこれらのカルボニル基含有官能基もしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基;エーテル;チオエーテル;尿素、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基から選択される1種又は2種以上の官能基を含有することからなる官能基を表し、Xは3〜15員環基を表し、及びaは1以上の整数を表す。)
【0040】
【化22】
【0041】
(式中、R4は水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Sp′は、Sp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル炭素とXとの間の直接結合、あるいは、一部又は全部の水素原子がハロゲン原子又は水酸基で置換されていてもよい、炭素数1〜24の直鎖又は分岐アルキル基;カルボニル;エステル、カーボネート、チオエステル、アミド、ウレタン又はSp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル基を包含していてもよいこれらのカルボニル基含有官能基もしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基;エーテル;チオエーテル;尿素、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基から選択される1種又は2種以上の官能基を含有することからなる官能基を表し、Xは3〜15員環基を表し、及びbは1以上の整数を表す。)
【0042】
また、前記構造単位(1)は、高分子化合物(I)において下記一般式(5)を含有することが好ましい。
【0043】
【化23】
【0044】
(式中、Sp′及びSp″はそれぞれ独立にSp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル炭素とX1との間の又はSp″の高分子主鎖側のSp″に隣接するカルボニル炭素とX2との間の直接結合;あるいは、一部又は全部の水素原子がハロゲン原子又は水酸基で置換されていてもよい、炭素数1〜24の直鎖又は分岐アルキル基;カルボニル;エステル、カーボネート、チオエステル、アミド、ウレタン又はSp′もしくはSp″の高分子主鎖側のSp′もしくはSp″に隣接するカルボニル基を包含していてもよいこれらのカルボニル基含有官能基もしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基;エーテル;チオエーテル;尿素、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい窒素含有官能基から選択される1種又は2種以上の官能基を含有することからなる官能基を表し、X1及びX2はそれぞれ独立に3〜15員環基を表し、q及びrはそれぞれ1又は2を表し、並びにc及びdはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。)
【0045】
式(5)において、−CO−Sp′−X 1 及び−CO−Sp″−X 2 は前記一般式(4)、特にX 1 及びX 2 はラクタム環であることが好ましい。
【0046】
分子内に構造単位(1)を含有することからなる高分子化合物(I)は、例えば、以下の方法によって得ることができる。
【0047】
(1) −Sp−X基を有するエチレン系不飽和単量体1種又は2種以上を重合する。
上記−Sp−X基を有する単量体は、−X又は−Sp−Xの一部に対応する構造を与える環状化合物を、該環状化合物と反応可能な反応性基、例えば不飽和炭化水素基、カルボキシル基、エステル、アルコール、エポキシ、アミン、アミド、アキサゾリン、チオール、シラノール、イソシアネート等、を有するエチレン系不飽和単量体と直接反応させることにより製造することができる。上記エチレン系不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル;アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン;イソプロピルオキサゾリン;マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、及びそれらのモノ−、ジ−アルキルエステル等が包含される。
【0048】
上記−Sp−X基を有する単量体はまた、一端にカルボキシル基、エステル、アルコール、アミンの如き官能基を有し、他端に−Xを有するプレカーサーを、上記環状化合物と反応可能な反応性基、例えば不飽和炭化水素基、カルボキシル基、エステル、アルコール、エポキシ、アミン、アミド、オキサゾリン、チオール、シラノール、イソシアネート等を有するエチレン系不飽和単量体と反応させることにより製造することもできる。上記プレカーサーは、−X又は−Sp−Xの一部に対応する構造を与える環状化合物を、ラクトン、ラクタム、酸無水物、環状エーテル等と反応させることによる製造することができる。
【0049】
(2) 上記プレカーサーと反応可能な反応性基、例えば不飽和炭化水素基、カルボキル基、エステル、アルコール、エポキシ、アミン、アミド、オキサゾリン、チオール、シラノール、イソシアネート等、を有する高分子化合物(A)を、前記対応する−Sp−Xを与えるプレカーサーで変性する。
【0050】
反応性基を有する高分子化合物(A)としては、例えば、
(a) ブタジエン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸クロライド、グリシジル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル−(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル;アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、アリルアミン;イソプロペニルオキサゾリン;マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、及びそれらのモノ−又はジ−アルキルエステルの如き反応性基を有する不飽和単量体1種又は2種以上を重合して製造される(共)重合体
(b) そのペンダントカルボキシル基がエステル又はアミドにより置換されていてもよい、ポリグリオキシル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸及びそれ誘導体
が包含される。
【0051】
前記高分子化合物(I)の中でも、ポリ(メタ)アクリロイル構造を有する高分子化合物(I)が、容易に製造でき且つ包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。
【0052】
更に、ポリグリオキシロイル構造又はポリアスパラテート構造を有する高分子化合物(I)が、包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高いのみならず、使用後に環境中に該高分子化合物(I)が放出された場合に環境中で容易に分解される点で好ましい。
【0053】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤はまた、分子内に、構造単位(1)及び下記一般式(6)
【0054】
【化24】
【0055】
の構造単位(2)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0056】
一般式(6)において、P2は、P1と同一でも異なっていてもよい高分子主鎖を表す。
一般式(6)において、Yは、P2に直接結合されているか又はP2にカルボニル、エステル、カーボネート、エーテル;チオエステル、チオエーテル;アミド、尿素、ウレタン、イミン又はこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基からなる群から選択される1種もしく2種以上の結合を介して結合されている、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基又はフェニル基を表す。
【0057】
基X及び基Yの総量が100モル%の場合にXの含量が40モル%以上であることが、かかる高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。該化合物(I)が基X及び基Yの総量に対して40モル%より少ない場合には、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長、凝集並びに沈澱を抑制する効果が不充分な場合がある。
【0058】
包接水和物結晶は、水/包接水和物結晶相と気体/油相との間の界面に主として生成及び成長すると考えられることから、上記アルキルペンダントを有する重合体はアルキルペンダントを有しない重合体よりも、上記包接水和物結晶相と気体/油相との間の界面に局在化するため、前者が包接水和物結晶析出制御剤としてより効果的に作用するものと思われる。
【0059】
P2は、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基であることが好ましい。
【0060】
構造単位(2)は、高分子化合物(I)において下記一般式(7)及び/又は(8)を含有することが好ましい。
【0061】
【化25】
【0062】
(式中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Y′は、Y′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Y′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはY′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはその窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基又はフェニル基を表し、並びにeは1以上の整数を表す。)
【0063】
【化26】
【0064】
(式中、R8は水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Y′は、Y′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Y′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはY′の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはその窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基又はフェニル基を表し、及びfは1以上の整数を表す。)
【0065】
また、前記構造単位(2)は、高分子化合物(I)において下記一般式(9)を含有することも好ましい。
【0066】
【化27】
【0067】
(式中、Y′及びY″はそれぞれ独立に、Y′もしくはY″の高分子主鎖側のY′もしくはY″に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Y′もしくはY″の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはY′の高分子主鎖側のY′もしくはY″に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはその窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基又はフェニル基を表し、q及びrはそれぞれ1又は2を表し、並びにg及びhはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。)
【0068】
分子内に、前記構造単位(1)に加えて上記構造単位(2)を含有する高分子化合物(I)は、例えば、以下の方法により得ることができる。
【0069】
(4) (1)で例示したと同様の、−Sp−X基を有するエチレン系不飽和単量体の1種又は2種以上と、Y基を有する単量体、例えば、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の如き不飽和炭化水素;(メタ)アクリル酸と、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、1−ドコサノール、1−テトラコサノール等の如きアルキルアルコールとのエステル;マレイン酸又はフマル酸と上記アルコールとのモノ−又はジ−エステル;グリオキシル酸と上記アルコールとのエステル等、の1種又は2種以上とを重合する。
【0070】
(5) (2)で例示したと同様の、プレカーサ−及び炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール、カルボン酸又はアミンと反応可能な反応性基を有する高分子化合物(A)を、(1)で例示したと同様の対応する−Sp−Xを与えるプレカーサー及び炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール、カルボン酸又はアミンで変性する。
【0071】
前記高分子化合物(I)の中でも、ポリ(メタ)アクリロイル構造を有する高分子化合物(I)が、製造が容易であり且つ包接水和物結晶の析出遅延並びに成長、凝集及び沈澱の抑制効果が高い点で好ましい。
【0072】
更に、ポリグリオキシロイル構造又はポリアスパラテート構造を有する高分子化合物(I)が、包接水和物結晶の析出遅延並びに成長、凝集及び沈澱の抑制効果が高いのみならず、使用後に環境中に該高分子化合物(I)が放出された場合に環境中で容易に分解される点で好ましい。
【0073】
本発明の包接水和物結晶の析出制御剤はまた、分子内に、構造単位(1)及び下記一般式(10)
【0074】
【化28】
【0075】
の構造単位(3)を含有することからなる高分子化合物(I)を含んでなる包接水和物結晶の析出制御剤である。
【0076】
一般式(10)において、P3は、P1と同一でも異なっていてもよい高分子主鎖を表す。
一般式(10)において、Zは解離性基及び/又はその塩を表す。解離性基及び/又はその塩としては、例えば、カルボキシル基;スルホン酸基;リン酸基;アミノ基;炭素数1〜4のアルキル基で置換されたモノ又はジアルキルアミノ基;及びそれらの塩が包含される。これらの解離性基のうち1種又は2種以上が選択される。上記解離性基のうちスルホン酸基は、スルホン酸基を含有する高分子化合物(I)が多価イオンを含有する系で安定である点で好ましい。上記解離性基のうちカチオン性基は、高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。
【0077】
基X及び基Zの総量が100モル%の場合にXの含量が40モル%以上であることが、かかる高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。該化合物(I)が基X及び基Zの総量に対して40モル%より少ない場合には、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長抑制効果が不充分な場合がある。
【0078】
重合体分子にかかる解離性ペンダントを導入することにより、該重合体の水相への溶解性が増大し、重合体の曇り点が通常増加する。包接水和物結晶が用いられる系の温度及び電解質濃度が高い場合があり、かかる系では低曇り点の重合体は系から析出してしまい、析出制御剤としての効力が無くなってしまいがちであるため、包接水和物結晶析出制御剤としては曇り点が高い方が好ましい。
【0079】
P3は、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基であることが好ましい。
【0080】
構造単位(3)は、高分子化合物(I)において下記一般式(11)及び/又は(12)を含有することが好ましい。
【0081】
【化29】
【0082】
(式中、R9、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Z′は、Z′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Z′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはZ′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、解離性基及び/又はその塩を表し、並びにiは1以上の整数を表す。)
【0083】
【化30】
【0084】
(式中、R12は水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基を表し、Z′は、Z′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Z′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはZ′の高分子主鎖側のZ′に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、解離性基及び/又はその塩を表し、並びにjは1以上の整数を表す。)
【0085】
また、前記構造単位(3)は、高分子化合物(I)において下記一般式(13)を含有することも好ましい。
【0086】
【化31】
【0087】
(式中、Z′及びZ″はそれぞれ独立に、Z′もしくはZ″の高分子主鎖側のZ′もしくはZ″に隣接するカルボニル炭素に直接結合されているか、あるいは、Z′もしくはZ″の高分子主鎖側のY′に隣接するカルボニル基を包含するエステル、チオエステル、もしくはZ′の高分子主鎖側のZ′もしくはZ″に隣接するカルボニル基を包含し且つ窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよいアミド;エーテル;チオエーテル;尿素、イミンもしくはこれらの窒素原子上の水素原子が炭素数1もしくは2のアルキル基で置換されていてもよい含窒素官能基、を介して結合されている、解離性基及び/又はその塩を表し、q及びrはそれぞれ1又は2を表し、並びにk及びlはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。)
【0088】
分子内に構造単位(1)に加えて構造単位(3)を含有することからなる高分子化合物(I)は、例えば、以下の方法によって得ることができる。
【0089】
(5) (1)で例示したと同様の、−Sp−X基を有するエチレン系不飽和単量体の1種又は2種以上と、解離性基を有する単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(アクリレート)、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等、の1種又は2種以上とを重合する。
【0090】
(6) (1)で例示したと同様の対応する−Sp−X基を与えるプレカーサー及び対応する解離性基を有するアルコール、カルボン酸又はアミン、例えば、イセチオン酸、グリコール酸、乳酸、b−ヒドロキシプロピオン酸、ポリカルボン酸等の如きヒドロキシ酸;マレイン酸、フマル酸、コハク酸、フタル酸、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物等の如き多酸、エタノールアミン等の如きヒドロキシルアミン、エチレンジアミンの如きポリアミン等、と反応可能な反応性基を有する、(2)で例示したと同様の高分子化合物(A)を変性する。
【0091】
前記高分子化合物(I)の中でも、ポリ(メタ)アクリロイル構造を有する高分子化合物(I)が、容易に製造でき且つ包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高い点で好ましい。
【0092】
更に、ポリグリオキシロイル構造又はポリアスパラテート構造を有する高分子化合物(I)が、包接水和物結晶の析出遅延及び成長抑制効果が高いのみならず、使用後に環境中に該高分子化合物(I)が放出された場合に環境中で容易に分解される点で好ましい。
【0093】
本発明の包接水和物結晶析出制御剤は、構造単位(1)、(2)及び(3)の全てを含有する高分子化合物(I)を含有することが望ましい。
【0094】
基X、基Y及び基Zの総量が100モル%の場合にXの含量が40モル%以上であり、且つ基Y及び基Zの総量が100モル%の場合にYの含量が40モル%以上であることが、かかる高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延効果並びに成長、凝集及び沈澱の抑制効果が高い点で好ましい。基X、基Y及び基Zの組成が上記範囲内でない場合には、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成及び成長を抑制する効果が不充分な場合がある。
【0095】
アルキルペンダント及び解離性ペンダントの両方を有する本発明の重合体は、重合性界面活性剤の如く作用し、従って、包接水和物結晶相と気/油相の界面に局在し、包接水和物結晶の成長を抑制し、その凝集及び沈澱を防止すると考えられる。
【0096】
分子内に構造単位(1)、(2)及び(3)を含有する高分子化合物(I)は、(1)〜(6)で例示した方法を適用して、−Sp−X、Y及びZを導入することにより得ることができる。
【0097】
前記高分子化合物(I)の中でも、ポリ(メタ)アクリロイル構造を有する高分子化合物(I)が、容易に製造でき且つ包接水和物結晶の析出遅延並びに成長、凝集及び沈澱抑制効果が高い点で好ましい。
【0098】
更に、ポリグリオキシロイル構造又はポリアスパラテート構造を有する高分子化合物(I)が、包接水和物結晶の析出遅延並びに成長、凝集及び沈澱抑制効果が高いのみならず、使用後に環境中に該高分子化合物(I)が放出された場合に環境中で容易に分解される点で好ましい。
【0099】
高分子化合物(I)は、分子内に、下記一般式(14)及び/又は(15)を含有することが好ましい。
【0100】
【化32】
【0101】
一般式(14)及び(15)において、Sp′はSp′の高分子主鎖側のSp′に隣接するカルボニル炭素とXとの間の直接結合を表すか、又はSp′−(C=O)−はSpを表す。
【0102】
一般式(14)及び(15)において、−Y′−(C=O)−は、その末端にカルボニル基を有し且つ炭素数8〜24のアルキル基又はフェニル基を有するYを表す。
【0103】
一般式(14)及び(15)において、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、且つ、m:nは40:60〜98:2である。m:nの比が上記範囲外の場合には、得られる高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延効果並びに成長、凝集及び沈澱抑制効果が不充分な場合がある。
【0104】
また高分子化合物(I)は、分子内に、下記一般式(16)及び/又は(17)を含有することが好ましい。
【0105】
【化33】
【0106】
一般式(16)及び(17)において、−Z′−(C=O)−は、その末端にカルボニル基を有するZを表す。
一般式(16)及び(17)において、基Yを含有する繰り返し単位は、アルケン、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル又はスチレンが好ましい。
【0107】
一般式(16)及び(17)において、o及びpはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、且つ、m:nは50:50〜98:2である。o:pの比が上記範囲外の場合には、得られる高分子化合物(I)の包接水和物結晶の析出遅延効果並びに成長、凝集及び沈澱抑制効果が不充分な場合がある。
【0108】
一般式(14)、(15)、(16)及び(17)の特徴は、酸無水物の反応性及びマレイン酸無水物の選択的(交互)重合性を利用することにより、各官能基、X、Y(又はY′)及びZ(又はZ′)の配列が調節されることにある。
【0109】
高分子化合物(I)の分子量は、5,000〜500,000、好ましくは20,000〜200,000である。化合物(I)の分子量が5,000より小さい場合には、得られる析出制御剤の包接水和物結晶の生成、成長、凝集及び沈澱を制御する効果が不充分な場合がある。しかしながら、化合物(I)が500,000より大きい分子量の場合には、析出制御剤を添加した系の粘度が著しく増大したり、あるいは、析出制御剤を溶液として添加しようとしても包接水和物結晶の生成可能な系に析出制御剤を添加することが困難となる場合さえある。
【0110】
本発明の包接水和物結晶の析出制御方法は、析出制御剤を包接水和物結晶が生成可能な系に添加することにより行われ、その添加方法は特に制限されない。該析出制御剤自体を直接系に添加してもよいし、析出制御剤を溶液、分散液又は懸濁液のいずれの形態で添加してもよい。しかしながら、析出制御剤を水及び/又は水混和性溶媒に溶解させた後、系に該析出制御剤を添加する方法が、析出制御剤が容易且つ均一に系に拡散し、従って、該制御剤が効果的に包接水和物結晶の生成を遅延させ、且つその成長、凝集及び沈澱を抑制する点から、好ましい。
【0111】
本願明細書で言う「包接水和物結晶が生成可能な系」とは、例えば、Long, J., Lederhos, A., Sum, A., Christiansen, R., Sloan, E.D.; Prep. 73rd Ann.GPA Conv., 1994, 1〜9頁に記載されるような、包接水和物結晶を生成可能な物質を水性媒体が溶解して含有する系を指す。このタイプの系は、特定の圧力及び温度条件下においた場合に、包接水和物結晶が析出する。包接水和物結晶を生成可能な物質としては、例えば、二酸化炭素、窒素、酸素、硫化水素、アルゴン、キセノン、エタン、プロパン、ブタン等の如き気体やテトラヒドロフラン等の如き液体等が含まれる。系の水性媒体としては、水並びに食塩水、海水等の如き塩水溶液等が含まれる。また、本願明細書で言う「包接水和物結晶が生成可能な系」には、天然ガス井や油井のように、エタン、プロパン等の如き気体を水、海水等の如き水性媒体に溶解して含有する水相が、液化ガス、原油等の如き油相中に懸濁又は分散する系や、該水相中に天然ガス等の如き気相が更に存在する系も含まれる。
【0112】
包接水和物結晶を生成可能な系に本発明の析出制御剤を添加する量は通常、該系に存在する自由水100重量部に対して0.01〜30重量部である。添加量が0.01重量部よりも少ない場合には、充分な析出制御効果が得られない場合がある。一方、添加量が30重量部を越えても、制御剤の効果は飽和状態であり、添加量の増大に見合った析出制御効果の向上が認められない場合があるだけでなく、該制御剤を添加した系の粘度が上昇して系の流動性が極端に低下する場合がある。そのため、析出制御剤が上記添加量より少なくても多くても好ましくない。
【0113】
所望により、本発明の析出制御剤は、種々の添加剤、例えば防錆剤、潤滑剤、分散剤等を含有してもよい。
【0114】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0115】
〈評価方法〉
以下製造される析出制御剤試料の評価は、Long, J., Lederhos, A., Sum, A.,Christiansen, R., Sloan, E.D.;Prep.73rd Ann. GPA Conv., 1994, pp.1〜9 に記載の「Multiple Reactor Screening Apparatus」による評価方法、又はKelland, M.A.;Svartaas, T.M.;Dybvik, L.A. Proc. SPE Annual Technical Conference/Production Operation and Engineerings, 1994, pp. 431〜438 に記載の「Sapphire Cell」による方法に準拠して行った。
【0116】
1. Multiple Reactor Screening 法
具体的には、供試するサンプルを、人工海水(ASTM D1141-90 に準拠)に0.5重量%の濃度で溶解して調製した試料溶液6mlとテトラヒドロフラン2mlとを混合した溶液を、3/8インチステンレス球を入れた13mm×100mmの試験管に入れ、試験管内に気泡が残らないように密栓した。次いで、該試験管を水槽内に設置し、該水槽内で0℃及び15rpmの回転速度で回転させ、試験管内のステンレス球が全く動かなくなるのに要する時間(Ball Stop Time)を測定した。このようにして測定した時間に基づいて試料を評価した。この時間が長い程、試験試料の包接水和物析出制御効果が高い。
【0117】
2. High Pressure Sapphire Cell 法
高圧スクリーニング試験(High Pressure Screening Test)をサファイアセル(Sapphire Cell) 中で行った。サファイアセルを冷却浴に取り付けた。サファイアセルは、ホルダーで二つのステンレス綱端片(end pieces)の間に封じられたサファイア管から成っている。セルは、内径20mm、高さ100mm及び厚さ20mmであり、上部片15mmと下部片13mmがセルに突き出ており、該上下端片間の総容量は22.6mlである。サファイアセルには攪拌機構が備えられている。攪拌翼は、心棒を経て上記下部端片内に収納された磁石に接続している。実験室用攪拌棒駆動装置により作られた外部回転磁場は攪拌速度を調節するために用いる。攪拌電動機は、0〜約1700rpmの範囲で一定した速度を維持するように(電動機負荷に関係なく)調節することができる。該調節器/増幅器ユニットは、トルク及び回転速度読み取り用の出力接続を有する。攪拌機の回転読み取りは、ストロボスコープを用いて検定した。
【0118】
サファイアセルは、肉眼観察用に0、90、180及び270°の4つの別々の窓をもつ、別々の二重壁の透明カーボネートプラスチックシリンダー内に置いた。セルの温度調節は、プラスチックシリンダー中に水を循環することで行った。セルの内側(気体相)及び水浴中の温度を測定するために2つの温度センサーを上記セル系に設けた。圧力は、セルの上部端片に送入管を接続して圧力変換器で測定した。温度は±0.1℃の精度、圧力は±0.2バールの精度で測定された。また実験のビデオ記録も行った。
【0119】
実験手順
全ての試験で、実験の準備及びセルの充填は同じ手順に従った。全ての試験は、新鮮な合成海水(Synthetic Sea Water)(SSW=3.6%)及び合成天然ガス(Synthetic Natural Gas)(SNG)、約7.5℃及び約87バールで行った。この手順は以下に記載する通りである。
【0120】
1) 試験する試料を合成海水(SSW)に5000ppmの濃度で溶解した。
2) セルの磁石収納室に上記試料溶液を充填した。次いで、磁石収納室をセルの下部端片に固定し、それをサファイア管及びセルホルダーに取り付けた。
3) 所望量の制御剤の溶解した水溶液をピペットを用いてセル(セル下部の上方)に充填し、上部端片を固定し、セルを冷却浴(プラスチックシリンダー)中に置いた。
【0121】
4) 冷却浴の温度を、実験で用いられる圧力条件下での水和物領域の2〜3℃外側に調節した。
5) セルに炭化水素ガス又は凝縮物を充填する前に、実験用炭化水素流に用いるSNGを用いてセルを二回パージした。
6) データ記録とビデオ記録を開始し、700rpmで攪拌しつつ、セルに炭化水素流(SNG)を充填して所望の圧力とした。セル中の温度及び圧力が安定した時に実験を開始した。
【0122】
7) 実験は一定の温度にて行った。セルの充填後、温度及び圧力が安定した後、攪拌を停止した。セルを閉じた後、実験用温度(約7.5℃)に冷却し、圧力を下げた(約87バール)。温度及び圧力が再び安定したときに、700rpmでの攪拌を開始した。実験用温度(Ts)での攪拌開始時からの水和物生成のための誘導時間を測定した。
8) 実験の間に、セルを取り外し、冷たい水道水で完全にすすぎ、次いでセルをアセトン及び水道水で順番にすすいだ。その後、表面に高圧空気を吹きつけて乾燥させる前に、セルを洗浄剤で洗浄し、水道水、次いで蒸留水中で完全にすすいだ。実験後、サファイアガラスに種々の「被覆」が見られれば、サファイア管を二種の異なる洗浄剤を用いて洗浄する。初めにセルの送入管部を高圧空気を吹きつけて乾燥する。次いで、アセトンですすぎ、高圧空気で乾燥し、蒸留水ですすいで、最後に高圧空気を用いて乾燥する。
【0123】
分析
実験の結果は、温度と圧力、又は時間の関数としての総ガス消費量(Total Gas Consumption)(TGC)をプロットして分析した。温度及び圧力データは、記録したデータファイルから直接得られ、一方、TGCデータは、圧力データを変換して時間の関数としての総ガス消費量とすることにより得られた。
【0124】
TGCグラフは、セルの冷却による圧力損失に基づき修正され、従って、水和物相中に結合された気体の総量の直接的な測定である。時間に対してプロットすると、TGCは水和物生成の開始時(t0)に増大し始める。よって、TGC−プロットは、水和物生成時間の良好な測定を与える。また、対応する温度及び圧力データを上記データファイルから見出すことができる。自触媒的生成段階の開始時間(ta)は、TGCの急激且つ著しい増大が見られた時点で見出された。
【0125】
試料の包接水和物結晶の析出制御効果は、成長遅延相の時間(period of the slow growth phase)St-1、ta−t0 と同等、を比較することにより評価した。その時間が長い程、試供試料の包接水和物結晶析出制御効果が高い。
【0126】
〈アクリロイルピロリジンの製造〉
アクリル酸クロライド100.00g、トリエチルアミン111.80g、ジクロロメタン100ml及びフェノチアジン0.1gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管、及びピロリジン77.46g及びジクロロメタン100mlを充填した追加漏斗を備えた1リットルの四つ口フラスコに入れた。
該漏斗中の内容物を、フラスコ内部温度を15℃以下に維持しつつフラスコに1時間で滴下して加えた。次いで、該フラスコを室温に4時間設定した。
【0127】
トリエチルアミン塩酸塩を濾別し、回転エバポレーターにより50mmHg−40℃にてジクロロメタンを蒸発させ、得られた液体を真空蒸留装置を備えた500mlのフラスコに充填し、8mmHg及び120℃の底部温度で真空蒸留した。
アクリロイルピロリジン96.1gが得られた。
【0128】
〈アクリロイルピペリジンの製造〉
アクリル酸クロライド100.00g、トリエチルアミン111.80g、2−ブタノン100ml及びフェノチアジン0.1gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管、及びピペリジン92.74g及び2−ブタノン100mlを充填した追加漏斗を備えた1リットルの四つ口フラスコに入れた。該漏斗中の内容物を、フラスコ内部温度を15℃以下に維持しつつフラスコに1時間で滴下して加えた。次いで、フラスコを室温に4時間設定した。
【0129】
トリエチルアミン塩酸塩を濾別し、回転エバポレーターにより50mmHg−40℃にて2−ブタノンを留去し、得られた液体を真空蒸留装置を備えた500mlのフラスコに充填し、5mmHg及び150℃の温度で真空蒸留した。
アクリロイルピペリジン86.0gが得られた。
【0130】
〈ピロリジノカルボニル−エチルアクリレートの製造〉
ピロリジン71.12g及びβ−ヒドロキシメチルプロピオネート206.20gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた500mlの四つ口フラスコ中で混合し、一晩放置した。過剰のピロリジンを回転エバポレーターにより10mmHg−100℃で留去した。
粗ヒドロキシエチルカルボニルピロリジン250gが得られた。
【0131】
アクリル酸クロライド100.00g、トリエチルアミン111.80g、ジクロロメタン100ml及びフェノチアジン0.1gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管、及び上記の通り得られたヒドロキシエチルカルボニルピロリジン156.62g及びジクロロメタン150mlを充填した追加漏斗を備えた1リットルの四つ口フラスコに入れた。
該漏斗中の内容物を、フラスコ内部温度を15℃以下に維持しつつフラスコに1時間で滴下して加えた。次いで、フラスコを室温に4時間設定した。
トリエチルアミン塩酸塩を濾別し、回転エバポレーターにより10mmHg−50℃にてジクロロメタンを留去した。
粗ピロロリジノカルボニル−エチルアクリレート250gが得られた。
【0132】
〈ピロリジノカルボニル−プロピルアクリレートの製造〉
ピロリジン51.00g、フェノチアジン0.01g及び脱イオン水50mlを、攪拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及びg−ブチルラクトン70.38gを充填した追加漏斗を備えた300mlの四つ口フラスコ中に入れた。
該漏斗中の内容物を、フラスコ内部温度を40℃以下に維持しつつフラスコに1時間で滴下して加えた。次いで、フラスコを室温に一晩放置した。
過剰のピロリジン及び水を回転エバポレーターにより10mmHg−100℃にて除去した。
粗ヒドロキシプロピルカルボニルピロリジン100.5gが得られた。
【0133】
アクリル酸クロライド27.77g、上記の通り得られたヒドロキシプロピルカルボニルピロリジン30.34g、p−トルエンスルホン酸2.63g、シクロヘキサン10ml及びフェノチアジン0.03gを、攪拌機、冷却器、温度計及びシクロヘキサンを満たした蒸留トラップを備えた100mlの四つ口フラスコに入れた。フラスコを120℃に加熱し、120℃に8時間維持した。
過剰のアクリル酸及びシクロヘキサンを回転エバポレーターにより10mmHg−100℃にて除去した。
粗ピロリジノカルボニル−プロピルアクリレート40.7gが得られた。
【0134】
〈2−オキソ−ピロリジノ−エチルアクリレートの製造〉
アクリル酸クロライド27.77g、ヒドロキシエチルピロリジノン24.88g、p−トルエンスルホン酸2.63g、シクロヘキサン10ml及びフェノチアジン0.03gを、攪拌機、冷却器、温度計及びシクロヘキサンを満たした蒸留トラップを備えた100mlの四つ口フラスコに入れた。フラスコを120℃に加熱し、120℃に8時間維持した。
過剰のアクリル酸及びシクロヘキサンを回転エバポレーターにより10mmHg−100℃にて除去した。
粗2−オキソ−ピロリジノ−エチルアクリレート35.3gが得られた。
【0135】
〈実施例1〉
上記で得られたアクリロイルピロリジン30g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0136】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0137】
開始剤の添加後30分間反応させ、油温を85℃に上げ、4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(1)を得た。
試料(1)を上記試験方法に基づいて評価したところ、Ball Stop Timeは144時間以上、成長遅延期間(Slow growth period)、St-1は578分であった。
【0138】
〈実施例2〉
上記で得られたアクリロイルピロリジン27.0g、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート3.89g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0139】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0140】
開始剤の添加後30分間反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(2)を得た。
試料(2)を上記 Multiple Reactor Screening 法に基づいて評価したところ、Ball Stop Timeは144時間以上であった。
【0141】
〈実施例3〉
上記で得られたアクリロイルピロリジン24.0g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液12.2g及び脱イオン水52gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた200mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0142】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬工業(株)製)の10重量%脱イオン水溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0143】
油温を60℃に4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−120℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(3)を得た。試料(3)を上記試験方法に基づいて評価したところ、Ball Stop Timeは144時間以上、Slow growth period、St-1は125分であった。
【0144】
〈実施例4〉
上記で得られたアクリロイルピペリジン26.7g、アクリルアミド−2−メチルー1ープロパンスルホン酸9.9g及びジメチルスルホキシド30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0145】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%ジメチルスルホキシド溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0146】
添加剤の添加後30分反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−150℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(4)を得た。
試料(4)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。High Pressure Sapphire Cell 法用には、試料が5000ppmでSSWに溶解するとの前提で一定重量の試料をSSWに混合することにより調製した上澄み液をサファイアセルに満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上、Slow growth period、St-1は58分であった。
【0147】
〈実施例5〉
上記で得られたアクリロイルピペリジン26.7g、ジメチルアミノエチルアクリレート6.9g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0148】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0149】
添加剤の添加後30分反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(5)を得た。
試料(5)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。High Pressure Sapphire Cell 法用には、試料が5000ppmでSSWに溶解するとの前提で一定重量の試料をSSWに混合することにより調製した上澄み液をサファイアセルに満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上、Slow growth period、St-1は92分であった。
【0150】
〈実施例6〉
上記で得られたアクリロイルピペリジン16.7g、アクリロイルモルホリン16.9g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0151】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0152】
添加剤の添加後30分反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(6)を得た。
試料(6)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上であった。
【0153】
〈実施例7〉
上記で得られたピロリジノカルボニルエチルアクリレート30.0g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0154】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0155】
添加剤の添加後30分反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(7)を得た。
試料(7)を上記試験方法に従い評価したところ、Ball Stop Timeは2時間以上、Slow growth period、St-1は58分であった。
【0156】
〈実施例8〉
上記で得られた2−オキソ−ピロリジノエチルアクリレート20.0g及び脱イオン水30.0gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0157】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬工業(株)製)の10重量%脱イオン水溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0158】
油温を60℃にて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−120℃にて一晩乾燥し、このようにして包接水和物析出制御剤試料(8)を得た。試料(8)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上であった。
【0159】
〈実施例9〉
アクリロイルモルホリン30.0g及び2−ブタノン30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に漬け、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
【0160】
次に、前記フラスコを60℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を60℃まで加熱した。該溶液の温度が60℃で安定した後、ラジカル開始剤2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の10重量%2−ブタノン溶液1mlを攪拌下該溶液に添加した。
【0161】
添加剤の添加後30分反応させ、油温を85℃に上げて4時間維持した。得られた溶液を真空炉中で10mmHg−100℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(9)を得た。
試料(9)を上記High Pressure Sapphire Cell 法に従い評価したところ、Slow growth period、St-1は45分であった。
【0162】
〈実施例10〉
メチルグリオキシレートを米国特許第4,201,858号記載の方法に従い重合して、ポリメチルグリオキシレートを得た。
上記のようにして得られたポリメチルグリオキシレート10.00g及びジオキサン30.00gを、攪拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及びポリメチルグリオキシレートをジオキサンに溶かした追加漏斗を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。
次いで、ジオキサン15.00gに溶かしたピロリジン7.40gの溶液を、上記反応系に、系の温度を25℃以下に保ちつつ30分にわたり滴下した。
添加後、上記化合物を更に2時間反応させ、得られた反応混合物をジエチルエーテルに注いで再沈殿させ、精製した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(10)を得た。
試料(10)を上記試験に従い評価したところ、Ball Stop Timeは120時間以上、Slow growth period、St-1は108分であった。
【0163】
〈実施例11〉
メチルグリオキシレートを米国特許第4,201,858号記載の方法に従い重合して、ポリメチルグリオキシレートを得た。
上記のようにして得られたポリメチルグリオキシレート10.00g及びジオキサン30.00gを、攪拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及びポリメチルグリオキシレートをジオキサンに溶かした追加漏斗を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。
次いで、ジオキサン15.00gに溶かしたピロリジン7.28g及び2−エチルヘキシル1.46gの溶液を、上記反応系に、系の温度を25℃以下に保ちつつ30分にわたり滴下した。
添加後、上記化合物を更に2時間反応させ、得られた反応混合物をジエチルエーテルに注いで再沈殿させ、精製した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(11)を得た。
試料(11)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。High Pressure Sapphire Cell 法用には、試料が5000ppmでSSWに溶解するとの前提で一定重量の試料をSSWに混合することにより調製した上澄み液をサファイアセルに満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上、Slow growth period、St-1は106分であった。
【0164】
〈実施例12〉
メチルグリオキシレートを米国特許第4,201,858号記載の方法に従い重合して、ポリメチルグリオキシレートを得た。
上記のようにして得られたポリメチルグリオキシレート10.00g及びジオキサン30.00gを、攪拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及びポリメチルグリオキシレートをジオキサンに溶かした追加漏斗を備えた100mlの四つ口フラスコ中に入れた。
次いで、ジオキサン15.00gに溶かしたピロリジン7.28g及びステアリルアミン3.05gの溶液を、上記反応系に、系の温度を25℃以下に保ちつつ30分にわたり滴下した。
添加後、上記化合物を更に2時間反応させ、得られた反応混合物をジエチルエーテルに注いで再沈殿させ、精製した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(12)を得た。
試料(12)はSSWに5000ppmで完全に溶けないので、 Multiple Reactor Screening 法用の試料溶液は、試料0.09gをSSW18ml及びTHF6mlの混合物に溶解して調製し、得られた溶液を試験管に満たした。
Ball Stop Timeは144時間以上であった。
【0165】
〈実施例13〉
L−アスパラギン酸100.00g及び85重量%リン酸50.00gを、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備えた300mlの三つ口フラスコ中に入れ、200℃にて5時間反応させた。この後、フラスコを室温に冷却し、内容物を1リットルのイオン交換水に注ぎ、1時間攪拌の後、吸引濾過してポリスクシンイミドを得た。このようにして得たポリスクシンイミドを減圧下80℃にて8時間乾燥した。
次いで、上記のようにして得たポリスクシンイミド48.5g及びジメチルホルムアミド200gを、攪拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及びポリスクシンイミドをジメチルホルムアミドに溶かした追加漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコ中に入れた。次いで、ピロリジン42.70gを室温にて30分にわたり滴下した。
添加後、上記化合物を更に2時間室温にて反応させ、得られた反応混合物をジエチルエーテルに注いで再沈殿させ、精製した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(13)を得た。
試料(13)を上記High Pressure Sapphire Cell 法に従い評価したところ、Slow growth period、St-1は57分であった。
【0166】
〈実施例14〉
無水マレイン酸10.0g、1−エイコセン28.0g及びジメチルスルホキシド30mlを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの四つ口フラスコに入れた。次いで、前記窒素導入管の先端を前記溶液に入れ、10分間窒素をバブリングして溶存酸素を系から追い出した。その後、窒素導入管の先端を液面より引き上げた。
次に、前記フラスコを80℃の油浴に漬け、フラスコ内の溶液を80℃まで加熱した。溶液の温度が80℃で安定した後、過酸化ベンゾイル1mlを攪拌下該溶液に添加した。
開始剤の添加後30分間反応させた後、油温を90℃に上げて12時間維持した。
【0167】
溶液を室温に冷却した後、ピロリジン15.0gを溶液に添加した。次いで、得られた溶液を真空炉中で10mmHg−150℃にて一晩乾燥した。このようにして包接水和物析出制御剤試料(14)を得た。
試料(14)を上記High Pressure Sapphire Cell 法に従い評価したところ、Slow growth period、St-1は36分であった。
【0168】
〈比較例1〉
合成海水(SSW)そのものを上記試験に従い評価したところ、Ball Stop Timeは10分未満、Slow growth period、St-1は1分未満であった。
【0169】
〈比較例2〉
ポリビニルピロリドン(P.V.P. K-120、五協産業(株)製)をそのまま直接用いて上記 Multiple Reactor Screening 法に従い評価したところ、Ball Stop Timeは12時間であった。
【0170】
〈比較例3〉
ビニルピロリドン−1−ブテン共重合体(商品名:アンタロン P−904、ISPジャパン(株)製)をそのまま直接用いて上記 Multiple Reactor Screening 法に従い評価したところ、Ball Stop Timeは24時間であった。
【0171】
【本発明の効果】
本発明の包接水和物結晶析出制御剤は、包接水和物結晶を生成可能な系で安定であり、且つ包接水和物結晶の生成遅延効果並びに成長、凝集及び沈殿抑制効果が高い。
Claims (31)
- 分子内に、下記一般式(1)
- 構造単位(1)中のP1が、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基である、請求項1記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 前記分子内において、構造単位(1)が下記一般式(2)
- 前記分子内において、構造単位(1)が下記一般式(3)
- 構造単位(1)中のXがラクタム環である請求項1〜5のいずれかに記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 前記分子内において、構造単位(1)が下記一般式(5)
- 前記分子内において、一般式(5)で表される構造単位(1)中の−CO−Sp′−X 1 及び−CO−Sp″−X 2 の少なくとも一方が請求項5記載の一般式(4)である請求項7記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 前記分子内において、構造単位(1)中のX1及びX2の少なくとも一方がラクタム環である請求項7記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 分子内に、構造単位(1)及び下記一般式(6)
- 基X及び基Yの総量100モル%に対してXの含量が40モル%以上である請求項10記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 構造単位(2)中のP2が、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基である、請求項10又は11記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 前記分子内において、構造単位(2)が下記一般式(7)
- 前記分子内において、構造単位(2)が下記一般式(8)
- 前記分子内において、構造単位(2)が下記一般式(9)
- 基X及び基Zの総量100モル%に対してXの含量が40モル%以上である請求項16記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 構造単位(3)中のP3が、水素原子が炭素数1又は2のアルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい、1種又は2種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて得られたアルキル基である、請求項16又は17記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 前記分子内において、構造単位(3)が下記一般式(11)
- 前記分子内において、構造単位(3)が下記一般式(12)
- 前記分子内において、構造単位(3)が下記一般式(13)
- 構造単位(1)、構造単位(2)及び構造単位(3)の全てを含有することからなる請求項1〜21のいずれかに記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 基X、基Y及び基Zの総量100モル%に対してXの含量が40モル%以上であり、且つ基Y及び基Zの総量100モル%に対してYの含量が40モル%以上である請求項22記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 分子内に、下記一般式(14)及び/又は(15)
- 分子内に、下記一般式(16)及び/又は(17)
- 一般式(16)及び(17)中の基Yを含有することからなる繰り返し単位が(メタ)アクリレートである請求項25記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 一般式(16)及び(17)中の基Yを含有することからなる繰り返し単位がビニルエーテルである請求項25記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 一般式(16)及び(17)中の基Yを含有することからなる繰り返し単位がスチレンである請求項25記載の包接水和物結晶の析出制御剤。
- 請求項1〜28のいずれか1項に記載の析出制御剤を、包接水和物結晶が生成可能な系に添加することを特徴とする包接水和物結晶の析出制御方法。
- 前記析出制御剤を、水及び/又は水と混和性の溶媒に溶解した後に添加する請求項29記載の包接水和物結晶の析出制御方法。
- 前記析出制御剤を、包接水和物結晶が生成可能な系に存する自由水100重量部に対して、0.01〜30重量部の量で添加する請求項29又は30記載の包接水和物結晶の析出制御方法。
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