JP3851244B2 - スターリング冷熱供給システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スターリング冷凍機を用いて発生した冷熱を冷熱利用機器に供給できるようにしたスターリング冷熱供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スターリング冷凍機は、小型化が可能であり、成績係数や冷凍効率が高く、発生する温度域が低くできる特徴を持つと共に、近年の地球環境問題におけるフロン代替が容易である特徴を持っている。
【0003】
このため冷凍庫、冷蔵庫、投げ込み式クーラー等の業務用又は家庭用の冷熱利用機器を始めとして、低温液循環器、低温恒温器、恒温槽、ヒートショック試験装置、凍結乾燥機、温度特性試験装置、血液・細胞保存装置、コールドクーラ、各種の計測装置等における冷熱供給源としての利用が検討されている。
【0004】
スターリング冷熱供給システムは、このようなスターリング冷凍機を用いて冷熱を供給できるようにしたシステムで、作動ガスを圧縮膨張させて冷熱を発生させてコールドヘッドを冷却するスターリング冷凍機、該スターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送する冷熱搬送装置、作動ガスの熱を大気に放熱する冷却水装置、スターリング冷凍機、冷熱搬送装置及び冷却水装置を制御する制御装置等を有し、これらが筐体に収納された構成となっている。
【0005】
そして、スターリング冷凍機で作動ガスを圧縮膨張させて冷熱を発生し、この冷熱でコールドヘッドが冷却される。
【0006】
冷熱搬送装置は、冷熱利用機器とコールドヘッドとを2次冷媒配管により接続して構成され、該2次冷媒配管に2次冷媒を循環させることによりスターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送する。
【0007】
また、冷却水装置は、スターリング冷凍機で作動ガスを圧縮した際に温度上昇した当該作動ガスと熱交換する作動ガス側熱交換器(スターリング冷凍機に組込まれている)とラジエタとを冷却水配管により接続して構成され、この冷却水配管に冷却水を循環させて作動ガスの熱を大気に放熱している。
【0008】
そして、筐体はスターリング冷凍機、冷却水装置、冷熱搬送装置等を収納し、当該筐体の上部に制御装置が取付けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2次冷媒配管や冷却水配管は、種々の機器を接続する必要があると共に、システムの小型化の要請に伴い複雑に入組んで敷設されるため、配管スペースや作業スペースの確保が困難で敷設作業が面倒に鳴ると共に作業性が悪い問題があった。
【0010】
特に、配管の敷設作業においては、当該配管を適宜曲げたり延したりして敷設するが、2次冷媒配管は銅管等により形成されているため、かかる曲げ延しを行うと折れたり破損したりする恐れがあり、信頼性低下の要因となる。
【0011】
そこで、本発明は、2次冷媒配管や冷却水配管の敷設作業が容易で、かつ、配管の曲げ伸しを可能な限り少なくできるようにして、作業効率の向上及び信頼性の向上を可能にしたスターリング冷熱供給システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、作動ガスを圧縮膨張させて冷熱を発生するスターリング冷凍機と、該スターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送する冷熱搬送装置と、作動ガスの熱を大気に放熱する冷却水装置と、スターリング冷凍機、冷熱搬送装置及び冷却水装置を制御する制御装置と、これら各装置を収納する概略直方体の筐体とを有するスターリング冷熱供給システムにおいて、筐体が、スターリング冷凍機や冷却水装置におけるラジエタの固定される矩形状の底部と、該底部と略同じ大きさの制御装置が取付けられてなる上部と、底部と上部とにおける左右の背面コーナを連結するように立設された背面側フレーム及び、底部及び上部における左右の正面コーナの位置から、背面コーナ側にセットバックして立設された正面側フレームにより枠組形成され、少なくとも正面側フレームと背面側フレームとに左右の側面パネル及び背面パネルが取外し可能に取付けられると共に、底部と上部とに正面パネルが取外し可能に取付けられてなる側部とを有し、冷熱搬送装置が、スターリング冷凍機と冷熱利用機器とを2次冷媒配管で接続されて、当該2次冷媒配管に2次冷媒を循環させることによりスターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送するように形成され、かつ、2次冷媒配管を正面パネルと2本の正面側フレームとの間に形成されるセットバック領域に纏めて敷設したことを特徴とする。
【0014】
請求項にかかる発明は、冷却水装置が、冷却水の流動するラジエタを備えて、当該ラジエタとスターリング冷凍機とを冷却水配管により接続して形成され、かつ、冷却水配管を背面パネル側に纏めて敷設したことを特徴とする。
【0015】
請求項にかかる発明は、正面パネルと2本の正面側フレームとの間に形成されるセットバック領域に沿って、スターリング冷凍機が複数並設されると共に、該スターリング冷凍機に対応して、その背面側にラジエタが複数並設されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明に係るスターリング冷熱供給システム1の斜視図であり、図2はその内部を示す斜視図である。なお、図2においては、後述する制御装置の具体的構成については図示省略している。
【0017】
また、図3は、スターリング冷熱供給システム1の回路図を示している。
【0018】
このスターリング冷熱供給システム1は、冷熱を発生する2台のスターリング冷凍機4、該スターリング冷凍機4における作動ガスの熱を大気に放熱する冷却水装置5、2次冷媒(例えば、HFE:ハイドロフロロエーテル)をスターリング冷凍機4と冷狽ニの間で循環させて、スターリング冷凍機4で発生した冷熱を冷熱利用機器3に供給する冷熱搬送装置6、冷熱利用機器3から要求される冷熱量が供給できるように、スターリング冷凍機4等を制御する制御装置が収納される制御装置ケース7、これらを収納する筐体8等を主要構成としている。
【0019】
このスターリング冷凍機4は、一定の能力で運転され、冷熱の必要状態に応じて断続運転を行うことにより供給する冷熱量の調整が行われている。
【0020】
このため、冷熱利用機器3における熱負荷変動が生じた場合に、当該熱負荷変動を速やかに抑制するような冷熱を供給しようとすると、大量の冷熱が供給できる大型のスターリング冷凍機を用いる必要がある。
【0021】
しかし、大型のスターリング冷凍機にすると、大幅なコストアップになると共に、スターリング冷凍機は断続運転の場合であっても運転中は常に一定の能力で運転されるため、必要とする冷熱量が少なくなった場合には大幅な余剰冷熱が発生してしまい、経済性が悪い問題がある。
【0022】
そこで、小型のスターリング冷凍機を複数台用いて、必要な冷熱量に応じて運転することが考えられる。
【0023】
このとき、2次冷媒を複数台のスターリング冷凍機に対して直列に循環させる方法と、並列に循環させる方法がある。
【0024】
並列に循環させる方法では、2次冷媒が各スターリング冷凍機に分流して循環するため2次冷媒量を増やせる反面、2次冷媒の温度低下率は1台のスターリング冷凍機の場合と大差ない。
【0025】
また、先に述べたように、スターリング冷凍機は、運転、停止を繰返すことにより供給冷熱量を制御するため、並列に循環させる場合には、全てのスターリング冷凍機を同時に運転、停止させなければ効率的な冷熱供給ができない。
【0026】
このため運転停止の間隔が短くなってしまい、制御部品に対する負荷(例えば、電源スイッチのオン・オフ回数等)が大きくなってしまう。
【0027】
これに対して、直列に循環させる方法では、2次冷媒が複数台のスターリング冷凍機を順次循環するため、2次冷媒量を増大させることは困難である反面、2次冷媒の温度低下率を大きくすることが可能である。
【0028】
また、個別にスターリン冷凍機の運転停止制御を行うことが可能なため、運転停止の間隔を長くすることができ制御部品に対する制御負荷が小さくなる利点がある。
【0029】
このような観点から、本発明では、2台又は2台以上のスターリング冷凍機4を直列に接続した構成を採用している。
【0030】
なお、2台以上のスターリング冷凍機を用いる場合には、各スターリング冷凍機4は同じ構成であるので、これらを特に区別する必要があるときは、第1スターリング冷凍機4a、第2スターリング冷凍機4b等のように記載し、区別する必要がないときは単にスターリング冷凍機4と記載する。
【0031】
スターリング冷凍機4は、図4に示すように、モータ11の回転動力を往復動力に変換するクランク部12、圧縮ピストン14が圧縮シリンダ15内を往復運動することによりこれらの間で形成される圧縮空間16内の作動ガスを圧縮する圧縮部17、膨張ピストン18が膨張シリンダ19内を往復運動することによりこれらの間で形成される膨張空間20内の作動ガスを膨張させる膨張部21、圧縮空間16と膨張空間20とを連通させると共に、そのガス流路Sに設けられた金属メッシュシート等からなる蓄熱部22等を有している。
【0032】
スターリング冷凍機4における、クランク部12は内部がクランク室23をなすクランクハウジング24に収納され、モータ軸25と連結されたクランク26、一端がクランク26に連結されたコネクティングロッド27、該コネクティングロッド27の他端に連結されたクロスガイドヘッド28、該クロスガイドヘッド28の運動方向を1方向に規制するクロスガイドライナ29等により形成されている。
【0033】
これにより、モータ11の回転動力がクランク部12で往復動力に変換されて、圧縮ピストン14、膨張ピストン18が往復運動する。
【0034】
なお、膨張ピストン18は圧縮ピストン14に対して位相が略90度進んで運動する。
【0035】
また、圧縮ピストン14や膨張ピストン18は、ピストンロッド30を介してクロスガイドヘッド28と連結され、このピストンロッド30に一端が密着して固着されると共に、他端が固定プレート36に密着して固着されたオイルシールベローズ37が設けられている。
【0036】
このオイルシールベローズ37は、金属製のベローズで、ピストンロッド30の往復運動に伴い伸縮して、常に圧縮ピストン14や膨張ピストン18側の空間とクロスガイド側の空間とを気密に区画している。
【0037】
これにより、クロスガイドヘッド28等を潤滑するオイル38が圧縮ピストン14や膨張ピストン18に付着し、これが圧縮空間16や膨張空間20に侵入することによる冷凍効率の低下を防止している。
【0038】
また、このオイルシールベローズ37と圧縮ピストン14や膨張ピストン18とで挟まれる空間(背圧室という)39は、気密状態になり、圧縮ピストン14や膨張ピストン18が往復運動することにより当該背圧室39の雰囲気が圧縮膨張するため、そのエネルギーがモータ負荷となって、冷熱発生効率を低下させてしまう。
【0039】
そこで、背圧室39とクランク室23とをベローズ40を介して連結させたバッファタンク41が設けられている。
【0040】
また、圧縮空間16を覆うように、または圧縮空間16と蓄熱部22とを連通するガス流路Sを取巻くように作動ガス側熱交換器35が設けられて、冷却水が循環するようになっている。
【0041】
そして、圧縮ピストン14が下死点から上死点に移動すると、圧縮空間16内の作動ガスが圧縮される。この間、膨張ピストン18は上動して上死点に達した後、下動するようになる。
【0042】
圧縮ピストン14の上動に伴い圧縮された作動ガスは、ガス流路Sを流動して膨張部21側に送られ、膨張ピストン18が下動すると作動ガスは蓄熱部22を通過して膨張空間20に送られる。
【0043】
作動ガスが蓄熱部22を通過する際には、その熱がこの蓄熱部22に蓄熱される。
【0044】
膨張ピストン18が下死点に達するに従い、圧縮ピストン14は上死点から下死点に移動し、作動ガスは膨張する。
【0045】
このときの膨張過程は等温膨張過程であるため、膨張に伴う吸熱が膨張空間の頂部に設けられた冷熱源側熱交換器(コールドヘッド)45を介して行われ、この結果冷熱源側熱交換器45の温度が下がり冷熱が発生する。
【0046】
圧縮ピストン14が下死点に近づくに従い、膨張ピストン18は上動を始め、作動ガスはガス流路Sを経て蓄熱部22で熱交換して圧縮空間16に戻る。
【0047】
このようなサイクルを1サイクルとして運転されて、冷熱源側熱交換器45の冷熱は冷熱利用機器3に利用される。
【0048】
冷熱搬送装置6は、冷熱と2次冷媒とを熱交換させる冷熱源側熱交換器(冷熱源側熱交換器45)、2次冷媒を冷熱利用機器3に循環させる2次冷媒ポンプ46、循環する2次冷媒量を調整するタンク47、冷熱利用機器3側から戻ってきた2次冷媒の気液分離を行い液体のみが2次冷媒ポンプ46に戻るようにする気液分離器48、冷熱利用機器3で冷熱を供給することにより生じる2次冷媒回路での圧力変化を吸収する圧力調整ベローズ49等を有している。
【0049】
そして、2次冷媒は、第2冷熱源側熱交換器45b、第1冷熱源側熱交換器45a、冷熱利用機器3、2次冷媒ポンプ46を循環する。
【0050】
このとき、冷熱利用機器3から戻ってきた2次冷媒は、気液混合状態であるため、これを分離するために気液分離器48が、冷熱利用機器3と2次冷媒ポンプ46との間の配管52に設けられている。
【0051】
この気液分離器48は、冷熱利用機器3と2次冷媒ポンプ46との間の配管52に立設して設けられた気液分離管44、液体の2次冷媒を2次冷媒回路に戻す液体戻管50、気液分離された気体の2次冷媒をタンクに導く気体回収管51等により形成されている。
【0052】
なお、気液分離管44と液体戻管50とは連通した概略逆U字状をなし、その頂部近傍に気体回収管51が接続されている。
【0053】
これにより、気液混合状態の2次冷媒が流動して2次冷媒ポンプ46に戻る際に、気体の2次冷媒が気液分離管44内を上昇して気液分離が行われ、この気体の2次冷媒はタンク47に回収される。
【0054】
気液分離が行われた結果、2次冷媒ポンプ46には液体の2次冷媒のみが戻ることになり、当該2次冷媒ポンプ46でのエアー噛み等の不都合が防止できる。
【0055】
なお、気液分離器48内を上昇した気体の2次冷媒は、気体回収管51を介してタンク47に回収されるが、当該タンク47内の温度が凝縮温度より低い場合には凝縮して貯留される。
【0056】
無論、気体の2次冷媒が気液分離器48内を上昇している際に、凝縮して液化したり、微少の液体の2次冷媒が気体の2次冷媒と共に上昇することもあり、かかる場合には液体の2次冷媒は気液分離器48内や液体戻管50を介して2次冷媒回路に戻る。
【0057】
タンク47には、当該タンク47に貯留されている2次冷媒量を黙視して確認するためのレベル計54が設けられると共に、当該2次冷媒量が所定量になったことを検出する複数のレベルセンサ55が設けられている。
【0058】
また、タンク47の上部空間は、気体回収管51、気液分離管44を介して2次冷媒回路の圧力調整を行う圧力調整ベローズ49が接続すると共に、当該タンク47の内圧が所定圧以上になると開弁する安全バルブ57、タンク47を強制開放できるようにするタンクベント58、2次冷媒を注入する際に開弁して用いる2次冷媒注入バルブ59等が設けられている。
【0059】
圧力調整ベローズ49、安全バルブ57、タンクベント58、2次冷媒注入バルブ59は、図5、図6に示すような内部に貫通孔74が設けられた金属製の汎用品である角ブロック60に装着されて、当該角ブロック60がタンク47の上部に配置されている。
【0060】
なお、気体になった2次冷媒がタンク47に回収されたり、リークが発生したりして2次冷媒回路を循環する2次冷媒量が不足する場合があり、また逆に何らかの原因で循環する2次冷媒量が過剰になったりすることが危惧される。
【0061】
そこで、液体の2次冷媒が貯留されているタンク47の底部側には、液補充管61及び液回収管62が設けられている。
【0062】
液補充管61は、液体戻管50に接続され、その間に液補充バルブ63が設けられて、当該液補充バルブ63を開くことにより2次冷媒回路に2次冷媒が補充できるようになっている。
【0063】
また、液回収管62は2次冷媒ポンプ46と第2スターリング冷凍機4との間の配管に接続されて、その間に液回収バルブ64が設けられている。
【0064】
これにより、2次冷媒回路を循環する2次冷媒量が過剰になった場合には、当該液回収バルブ64を開いて2次冷媒ポンプ46から圧送された2次冷媒の一部をタンク47に導き調整する。
【0065】
ところで、圧力調整ベローズ49は、冷熱利用機器3で冷熱を与えること等により生じる2次冷媒回路内の圧力変動に伴い、タンク47内に貯留されている気体の2次冷媒が当該圧力調整ベローズ49内に出入りすることで圧力変動を吸収している。
【0066】
従って、この圧力調整ベローズ49に液体の2次冷媒が入流すると、その機能が失われてしまう。
【0067】
気体回収管51は、原則として気体の2次冷媒のみが流動するように設計されている。
【0068】
しかし、冷熱利用機器3と2次冷媒ポンプ46との間の配管に接続されている気液分離管44の接続点と液体戻管50の接続点との間に大きな圧力損失が発生するような場合には、気液分離管44に気液混合した2次冷媒が入込み、液体の2次冷媒が気体回収管51を介してタンク47に流入することがある。
【0069】
ところが、従来はこの気体回収管51に圧力調整ベローズ49が設けられていたため、液体の2次冷媒が気体回収管51を介してタンク47に流入する際に当該圧力調整ベローズ49にも流入してしまう不都合があった。
【0070】
このため気液分離器48の接続点と液体戻管50の接続点とを近接させて、これらの間で大きな圧力損失が発生しないように、配管の敷設方法や接続点位置を工夫していた。
【0071】
しかし、かかる配管の敷設方法や接続点位置の要件を満たすようにすると、配管を複雑な経路で敷設しなければならない場合が生じて組立作業が複雑になったり、保修点検時におけるスペースが確保し難くなるためスターリング冷熱供給システム1の小型化を十分に図ることができなくなったりする。
【0072】
そこで、本発明では、液体の2次冷媒が気体回収管51を介してタンク47に流入しても、圧力調整ベローズ49に流入しなければよいので、当該圧力調整ベローズ49をタンク47の上部空間と連通して設けられた角ブロック60に取付けている。
【0073】
また、気体回収管51がタンク47に取付けられている位置に対して、気体回収管51が液体戻管50似鳥付けられている位置の方が低い位置にして、例え液体の2次冷媒が気体回収管51を介してタンク47に流入しようとしても、その勾配によりこれを抑制するようにしている。
【0074】
このような構成により、配管の敷設方法や接続点位置を考える際には、気液分離管44の接続点と液体戻管50の接続点との間の圧力損失を考慮する必要がなくなり、スターリング冷熱供給システム1の小型化や保修作業の容易性に重点を置いて考えればよくなる。
【0075】
また、気液分離器48の接続点と液体戻管50の接続点を任意に設定できるため、接続管としてT字管のような汎用品を用いることが可能になり、コストダウンが可能になる。
【0076】
スターリング冷凍機4で作動ガスを圧縮すると、温度上昇が発生し、この温度上昇した状態で蓄熱部22を介して膨張部21に送ると冷熱発生効率が低下する。このため作動ガスの熱を放熱して膨張部21に移送すべく冷却水装置5が設けられている。
【0077】
この冷却水装置5は、スターリング冷凍機4における圧縮空間16と蓄熱部22との間のガス流路Sを取巻くようにして冷却水路が形成されて作動ガスと冷却水とを熱交換させる作動ガス側熱交換器35、該作動ガス側熱交換器35で熱交換した冷却水を大気と熱交換させる大気側熱交換器であるラジエタ65、ラジエタ65に大気を送風して冷却水と大気との熱交換効率を向上させる送風機66、冷却水を作動ガス側熱交換器35とラジエタ65との間を循環させる冷却水ポンプ67等により構成されている。
【0078】
なお、作動ガス側熱交換器35、ラジエタ65、送風機66はそれぞれ2台用いられているが、冷却水ポンプ67は1台しか設けられていない。
【0079】
スターリング冷凍機4が2台設けられ、それらを区別する場合には第1スターリング冷凍機4a、第2スターリング冷凍機4bと記載することにしたので、これに対応して作動ガス側熱交換器35、ラジエタ65、送風機66も必要に応じて第1作動ガス側熱交換器35a、第2作動ガス側熱交換器35b、第1ラジエタ65a、第2ラジエタ65b、第1送風機66a、第2送風機66bのように第1、第2を付けて記載する。
【0080】
冷却水回路は、冷却水の循環方向に従い、冷却水ポンプ67、第1ラジエタ65a、第1作動ガス側熱交換器35a、第2ラジエタ65b、第2作動ガス側熱交換器35bが環状に接続されて、ラジエタ65、作動ガス側熱交換器35を順次流動する流路を1パートとし、該パートが直列に接続された構成となっている。
【0081】
なお、ラジエタ65を2台のスターリング冷凍に対応させて2台設けたのは以下の理由からである。
【0082】
即ち、先に述べたように、第2スターリング冷凍機4で冷熱を吸収した2次冷媒は、第1スターリング冷凍機4に供給されて、当該第1スターリング冷凍機4で更に冷熱を吸収して冷熱利用機器3に供給される。
【0083】
従って、第2スターリング冷凍機4におけるよりも第1スターリング冷凍機4における方が、スターリング冷凍機4の到達温度に近い温度領域で動作することになる。
【0084】
この意味からラジエタ65を1台用い、最初に第1作動ガス側熱交換器35aに供給し、その次に第2作動ガス側熱交換器35bに循環するようにしても、原理的には所望される冷熱供給が可能になる。
【0085】
しかし、このためには大きなラジエタ65を用いたり、新たな原理に基づくラジエタ65を技術開発する等により、ラジエタ65における冷却水の放熱効率を向上させる必要があり、大幅なコストアップの要因となる。
【0086】
そこで、本発明は、既存のフィン型熱交換器による小型のラジエタを用いてコストアップを抑制しながら効率的な放熱が行えるように、ラジエタ65をそれぞれスターリング冷凍機4に対応させて設けている。
【0087】
また、冷却水ポンプ67をラジエタ65に対応させて2台用いることも可能である。
【0088】
しかし、この場合には、冷却水ポンプ67を2台にすると大幅な設置面積の増大が生じ、またポンプ能力の大きな冷却水ポンプを1台用いる方が2台用いるよりも安価になる。
【0089】
そこで、本発明では、1台の冷却水ポンプ67とすることで、コストダウン及びスターリング冷熱供給システム1の小型化を図っている。
【0090】
図7はラジエタの構成を示す図で、図7(a)は上面図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図である。
【0091】
このラジエタ65は、ラジエタ65の冷却水入口をなす入口管68、ラジエタ65の冷却水出口をなす出口管69、該出口管69に接続されて、当該ラジエタ65内の冷却水を抜く際に用いられるドレイン70、冷却水と大気との熱交換を行う3枚の並設されたラジエタパネル71から構成されている。
【0092】
また、各ラジエタパネル71は、上部及び下部に横置配置されて、それぞれ入口管68及び出口管69と接続された上部ヘッダ72及び下部ヘッダ73、該上部ヘッダ72と下部ヘッダ73との間に多数接続された銅管等からなる液管75、各ラジエタパネル71における液管75の全てに嵌合して設けられたアルミニウム板等からなるフィン76、各ラジエタパネル71における液管75に固着されて、これら3枚のラジエタパネル71を一体に保持すると共にフィン76の保護を兼ねた管板77等を有している。
【0093】
なお、各ラジエタパネル71における液管75は、図8に模式的に示すように等間隔に列設されると共に、隣接するラジエタパネル71の液管75が、互いの液管75の間に位置するように設置位相をずらして設けられている。
【0094】
これは、冷却水と熱交換する大気が、各ラジエタパネル71の液管75で蛇行しながら流れるようにすることで、放熱効率を向上させるためである。
【0095】
また、液管75はロウ付け等によ上部ヘッダ72,下部ヘッダ73に固着されるが、その際の固着作業性を向上させるために作業スペースを確保する作用もある。
【0096】
なお、上部ヘッダ72,下部ヘッダ73として円管や角管を用いることが可能であるが、本発明では円管を用いている。
【0097】
これは液管75を上部ヘッダ72,下部ヘッダ73に固着する際の固着技術と関連して選択されたもので、ロウ付け等の熱を利用する固着方法を採用した場合には、当該熱により熱応力が発生し、角管の場合には円管の場合より大きな変形が発生してしまう不都合があるためである。
【0098】
従って、圧着等の熱応力の発生しない固着技術を用いるならば、角管を用いることも可能である。
【0099】
冷却水回路には、冷却水回路に冷却水を注水する際に用いられる冷却水注水バルブ78、冷却水を注水する際に開くことにより冷却水回路中のエアーの抜道を形成する複数のエアー抜バルブ79、冷却水回路中の冷却水を排水するときに開かれる複数の排水バルブ80等を有している。
【0100】
なお、冷却水装置5は図3に示すような構成であるが、これを配管の高低差に注目して示したのが図9で、スターリング冷凍機4、ラジエタ65、冷却水ポンプ67における入口側と出口側等の配管位置に高低差があることがわかる。
【0101】
このように、配管位置に高低差があるため、後述するように、エアー抜バルブ79や排水バルブ80を複数設けている。
【0102】
複数設けられた排水バルブ80の内の1つは、冷却水回路の最下点の位置に設けられている。以下、この排水バルブ80を主排水バルブ81という。
【0103】
また、他の排水バルブ80は、スターリング冷凍機4とラジエタ65との間に形成されるような、配管が「U」字状の形態をなす部分の最下点に取付けられている。本明細書では、この排水バルブ80を副排水バルブ82といい、この副排水バルブ82が取付けられている配管位置の高さを極小点という。
【0104】
エアー抜バルブ79は、複数のエアー抜管85に設けられており、当該エアー抜管85はスターリング冷凍機4とラジエタ65との間等に形成される配管が「逆U」字状の形態をなす部分の最上点に取付けられている。このような最上点を極大点という。
【0105】
冷却水注水バルブ78は、冷却水ポンプ67の注水口86や主排水バルブ81と連通して接続された冷却水注水管87の最上点に設けられている。この最上点は、冷却水回路における最上点でもある。
【0106】
そして、冷却水回路に冷却水を注水する際には、冷却水注水バルブ78及びエアー抜バルブ79を開き、冷却水注水バルブ78から冷却水を注水する。
【0107】
従来は、このような注水専用の冷却水注水バルブ78が設けられていないため、冷却水は排水バルブ80から注水していた。
【0108】
しかし、当該排水バルブ80は冷却水回路で低い位置に設けられているため、ポンプ等の加圧手段が必要になり、当該加圧手段はその都度準備する必要があり不便であった。
【0109】
これに対し本発明では、冷却水注水バルブ78が冷却水回路における最上位点に設けられているので、冷却水は重力の作用により流下し、当該冷却水回路に何らの加圧を行うことなく注水することが可能となる。
【0110】
なお、冷却水回路に冷却水を注水する際には、冷却水回路中のエアーを抜く必要があるが、図9に示すように極大点や極小点が多数存在し、かつ、その管路も長く、複雑に曲っている部分が多数あるため、エアー残りが発生し易い。
【0111】
そこで、本発明では、極大点の位置にエアー抜管85を設けて、エアー抜きが容易、かつ、略完全に行えるようにしている。
【0112】
また、従来、ラジエタ65は液管が平行部分と曲部分とを多数持つ連続した蛇行管であるので、平行部分が水平線に対して傾いた状態で据付けられた場合には、抜残ったエアーがこの平行部分に貯まってしまう。
【0113】
しかし、このような平行部分にエアー抜管85を設けることはできないので、以下のような不都合が発生する。
【0114】
即ち、この平行部分にはフィンが挿嵌されて、冷却水と大気との熱交換を行っている。
【0115】
従って、当該部分にエアーが貯まると大気との熱交換効率が低下して、冷却水の放熱効率の低下、結局は冷熱発生効率の低下を招いてしまう。
【0116】
そこで、本発明では、図7等に示したように、液管75を複数に分割し、かつ、それぞれを垂直に延設しているため、例えラジエタ65が傾いた状態で据付けられても、抜け残ったエアーが液管75に貯まることがなく冷却水の放熱効率の低下、冷熱発生効率の低下を防止することが可能になる。
【0117】
なお、エアーは完全に抜くことが好ましいが、配管内壁に付着したりして、冷却水注水当時には抜き去ることができないエアーが発生する。
【0118】
このようなこの抜け残ったエアーは、冷却水の循環に従って移動しながら纏ったりして、例えば冷却水ポンプ67のエアー噛みを起したり、異音の発生を起したりすることが危惧される。
【0119】
冷却水注水管87やエアー抜管85は、極大点や冷却水ポンプ67より高い位置に、かつ、上に延びた状態で敷設されているので、抜け残ったエアーが冷却水の循環に伴い流動していると、極大点や冷却水ポンプ67を通過する際に冷却水注水管87やエアー抜管85に貯まるようになる。
【0120】
従って、冷却水ポンプ67のエアー噛みを起したり、異音の発生を起したりすることが防止できるようになっている。
【0121】
また、冷却水注水管87やエアー抜管85を管内が透けて見える透明、半透明管により形成されているので、エアーがこれらの管に一杯になる前に、エアー抜バルブ79を開くことが可能になると共に、冷却水回路中に何らかの原因で漏水が発生して冷却水不足が発生しても容易に、漏水発生の有無や冷却水の不足の有無が判断できるようになる。
【0122】
次に、このような機器を収納する筐体8について説明する。筐体8は、図1,図2及び図10に示すようにアングルのフレームを組合わせて枠組形成された概略直方体の外観を有し、その底部90にスターリング冷凍機4やラジエタ65等が固定されると共に、上部91に制御装置ケース7が取付けられて、側面パネル95、背面パネル96、正面パネル97がネジ止め等の係合手段により固定されるようになっている。
【0123】
また、底部90の下には、キャスタ110及びストッパ111が設けられて、任意の場所に移動して固定できるようになっている。
【0124】
スターリング冷凍機4やラジエタ65等が固定される底部90は、底部側フレーム92により枠組みされ、当該底部側フレーム92に底板94が掛渡され、この底板94の上に所定の高さを持つ防振ゴム脚93が取付けられている。
【0125】
この底板94は、3枚に分割して設けられ、それぞれの底板94の長手方向の端部95はL字状に折曲げて形成されている。
【0126】
そして、この底板94の上面は、少なくとも底部側フレーム92の最上位点よりも適宜高い位置になるようになっている。この理由については後述する。
【0127】
このように底板94を分割構成としたのは、分割された底板94の間から大気が出入りできるようにして、筐体8に大気が籠らないようにすると共に、スターリング冷熱供給システムの軽量化を図るためである。
【0128】
また、底板94の端部95をL字状に折曲げ形成したのは、薄い板材により底板94を形成しても、重いスターリング冷凍機4が載置できるように強度補強を行うためである。
【0129】
スターリング冷凍機4は、除振バネ97を介して載置台98に設けられ、当該載置台98が防振ゴム脚93を介して底板94に固定されている。
【0130】
この除振バネ97は、載置台98とスターリング冷凍機4とが直接接触しないように支持して当該スターリング冷凍機4で発生する振動を吸振しており、防振ゴム脚93は底板94から載置台98を所定量離して支持して振動の伝達を防止している。
【0131】
底部側フレーム92には、側面パネル95がネジ止めされる背面側フレーム99及び正面側フレーム100が立脚して設けられて、これらの上に上部側フレーム101が掛渡されている。
【0132】
そして、背面側フレーム99や正面側フレーム100には側面パネル95が取付けられ、上部側フレーム101には制御装置ケース7が取付けられている。
【0133】
このとき、図11に示すように、ラジエタ65側の背面側フレーム99は底部90の背面コーナに取付けられているが、スターリング冷凍機4側の正面側フレーム100は正面コーナから適宜ラジエタ65側に位置をずらしてセットバックした状態で取付けられている。
【0134】
なお、本明細書では、図2において示すスターリング冷凍機4とラジエタ65との位置関係で、スターリング冷凍機4側を正面、ラジエタ65側を背面と記載するが、この「正面」「背面」は便宜的に決めたもので、本発明の構成を限定するものではないことを敢て付言する。
【0135】
従って、正面側フレーム100がセットバックして設けられていることになる。このように正面側フレーム100をセットバックして設けた理由については後述する。
【0136】
背面側フレーム99には、背面パネルがネジ止めして固定され、この背面パネル96には大気を吸込む吸気口102が形成され、底部90と上部側フレーム101には正面パネル97がネジ止めして固定され、この正面パネル97には大気を排気する排気口103が形成されている。
【0137】
そして、大気は背面パネル96の吸気口102から吸気され、ラジエタ65、送風機66、スターリング冷凍機4の周囲を流動して正面パネル97の排気口103から排気される。
【0138】
なお、通常は送風機66により送風される空気がラジエタ65に吹き当たるように、当該送風機66を風上側に配置して送風音等の低減が図られるが、本発明では上記したように送風機66は風下側に配置されている。
【0139】
これは送風機66を風上側に配置する構成では、空気がスターリング冷凍機4の周囲を流動する際にモータ11等の熱により加熱され、これがラジエタ65で熱交換するようになって、当該ラジエタ65での冷却水の放熱効率が低下するのを防止するためである。
【0140】
吸気口102や排気口103には図示しないグリル等が設けられて、吸気口102はラジエタ65に対向して設けられ、排気口103の上端は当該吸気口102の上端より適宜高い位置になるように形成されている。
【0141】
これは筐体8内にスターリング冷凍機4や冷熱搬送装置6等の機器が多数設けられ、かつ、システムの小型化のためにデッドスペースが発生しないように配置されているので、送風機66により送風された大気がこれらに吹き当って筐体8内に籠ってしまう。
【0142】
そこで、本発明では、上述したように底板94を分割構成すると共に、排気口103の上端が吸気口102の上端より適宜高い位置になるように形成している。
【0143】
底板94を分割構成とすることにより、その間から大気が流入、流出することができるようになるので、排気が促進されると共に、流入した大気により筐体内の大気が攪拌されて籠りが抑制され、またスターリング冷凍機4等に冷却が促進される。
【0144】
また、排気口103の上端が吸気口102の上端より適宜高い位置になるように形成されているので、筐体8内の空気が自然対流により上昇して当該排気口103から流出し易くなる。
【0145】
このとき排気口の開口面積を可能な限り大きくすれば、筐体内の大気が排気しやすくなるので好ましいが、余り大きくするとスターリング冷凍機4等で発生する音が、騒音として漏出る量が多くなる。
【0146】
そこで、本発明では、大気の排気効率や騒音の漏れを考慮して吸気口102と排気口103との開口比率を吸気口102:排気口103=1:1.2〜1:1.5になるように設定している。
【0147】
ところで正面側フレーム100をセットバックして設けたが、これは以下のような理由による。即ち、図2や図3に示すように、2次冷媒回路は複数のスターリング冷凍機4、2次冷媒ポンプ46、気液分離器48等の多数の機器を2次冷媒配管で接続して形成され、また冷却水回路は複数のラジエタ65や冷却水ポンプ67を冷却水配管で接続して形成されている。
【0148】
以下、2次冷媒が循環する配管を2次冷媒配管、冷却水が循環する配管を冷却水配管と記載する。
【0149】
そして、2次冷媒配管は銅管等により形成され、冷却水配管は可塑性の樹脂管等により形成されている。
【0150】
なお、図2や図3等においては図示省略しているが、2次冷媒配管には断熱材が巻付けられている。
【0151】
従来のスターリング冷熱供給システムにおいては、これら2次冷媒配管や冷却水配管は空きスペース利用して複雑に入組んで敷設されていたため、当該配管の敷設作業に手数がかかると共に、2次冷媒配管に断熱材を巻付ける際の作業が非常に大変であった。
【0152】
そこで、本発明では、正面側フレーム100をセットバックして設け、このセットバック領域に沿って2台のスターリング冷凍機4、2次冷媒ポンプ46を横並びに配置し、その後ろにラジエタ65を配置している。
【0153】
これにより2次冷媒配管と冷却水配管とは、それぞれ纏めて敷設でき、かつ、2次冷媒配管をセットバック領域に、冷却水配管を背面側に纏めて敷設できるようになる。
【0154】
なお、冷却水配管をセットバク領域に、2次冷媒配管を背面側に纏めて敷設するようにしても良いが、配管敷設の際に必要となる配管の曲作業の容易性や断熱材巻付作業の容易性等の観点から、これらの作業の妨げとなる正面側フレーム100を背面側にずらして設けられているセットバック領域に2次冷媒を纏めて敷設することが好ましい。
【0155】
このようにして冷却水配管と2次冷媒配管とを纏めて敷設することにより、例えば保修を行う際に冷却水回路や2次冷媒回路から冷却水や2次冷媒を抜く作業が容易、かつ、確実に行える利点がある。
【0156】
即ち、これら冷却水や2次冷媒を抜く際には、配管の一方の接続箇所を外して冷却水や2次冷媒をバケツ等で受取るが、このとき配管が入組んだ構成であると、外した配管の端部がバケツ等まで届かず別途ホース等を接続しなければならないことがある。
【0157】
しかし、本発明のように、冷却水配管や2次冷媒配管が、それぞれセットバック領域や背面側に纏めて敷設されていると、取外された配管の端部にバケツ等を容易に宛うことができ、当該冷却水配管や2次冷媒配管の抜取りが容易になると共に、これらを零したりすることが防止できるようになる。
【0158】
また、保修時において、スターリング冷凍機4やラジエタ65等を取外す必要が生じる場合に、正面コーナに正面側フレーム100が取付けられていると、引出し最中のスターリング冷凍機4等がこの正面側フレーム100に当接して破損したり疵付けたりする不都合が抑制できる利点がある。
【0159】
ところでスターリング冷熱供給システムの保修時においては、スターリング冷凍機4やラジエタ65等を設置したり取出したりする必要があるが、筐体8の上部91には制御装置ケース7が取付けられているため、クレーン等を用いてスターリング冷凍機4等の重量物を釣上げるようなことができない。
【0160】
このため、従来は作業員がスターリング冷凍機4を少しづつずらしながら引出す等により取外していたが、これでは作業性が悪いと共に落下等の事故が発生する恐れがあった。
【0161】
そこで、本発明では、上述したように底板94にスターリング冷凍機4を取付ける際に、載置台98と底板94の間に防振ゴム脚93を介在させ、かつ、その高さを所定の高さに設定している。
【0162】
この防振ゴム脚93の所定の高さは、図12に示すように、リフタのフォーク部105が挿入できる高さである。
【0163】
先に述べたように、端部95がL字状に折曲げて形成された底板94の上面(防振ゴム脚93が当接する面)は、底部側フレーム92の最上位点よりも適宜高い位置になるように設けられている。
【0164】
これはリフタのフォーク部105が、底部側フレーム92に当接することなく防振ゴム脚93により形成された隙間に挿入できるようにするためである。
【0165】
なお、図12においてはスターリング冷凍機4とラジエタ65とを別々に取外す場合を例に示しているが、図13に示すようにスターリング冷凍機4、ラジエタ65、冷却水ポンプ67を同時に取外すようにしても良く、また図14に示すように2台のスターリング冷凍機4、ラジエタ65冷却水ポンプ67を同時取外すようにしてもよい。
【0166】
いずれの場合であっても、リフタにより載置して取出すため、取出し作業が容易になると共に、特に図14に示すように2台のスターリング冷凍機4とラジエタ65とを同時取外すような場合には、冷却水ポンプ67も一体に取外すことにより、冷却水を抜く必要が無くなり非常に作業が容易となる。
【0167】
なお、図14においては取外された2台のスターリング冷凍機4とラジエタ65とを示して、他の部分は図示省略している。
【0168】
ところで、上述したように2次冷媒配管には断熱材が巻付けられるが、このとき2次冷媒配管の表面に大気が触れて氷等が付着しないように、断熱材は2次冷媒配管と密着して巻付けることが必要になる。
【0169】
2次冷媒配管が略直線形状の箇所や曲率が大きな箇所では、断熱材は2次冷媒配管と密着して巻付けることは容易であるが、曲率の小さい箇所、複数の2次冷媒配管が並設され、かつ、その間隔が小さな箇所、2次冷媒配管が当該配管の長手方向に対して直交する面に形成された接続部に接続されるような箇所等においては均一な密着状態を保ちながら断熱材を取付けることが非常に困難である。
【0170】
例えば、冷熱源側熱交換器45と2次冷媒配管とが接続される箇所では、2本の2次冷媒配管が近接して敷設されている。このような箇所の2次冷媒配管に断熱材をテーピングして固定するような場合には、テーピング材がこの間に入らず、断熱材を2次冷媒配管に密着して巻付けることができないことがある。
【0171】
そこで、本発明では、2次冷媒配管をセットバック領域に纏めて敷設して、曲り部分の発生を少なくすると共に、それでも密着が困難な箇所は断熱材ユニットを形成して、当該箇所に嵌め込んで取付けるようにしている。
【0172】
図15及び図16は、冷熱源側熱交換器45と2次冷媒配管との接続箇所の取付けられる断熱材ユニット106を示し、図15はその斜視図であり、図16は取付直前の様子を示す図である
【0173】
当該断熱材ユニット106は、金属製のユニット枠107、該ユニット枠107に2次冷媒配管より適宜小さめに形成されて、当該2次冷媒配管が挿嵌される配管溝108を備えた断熱材109等により形成されて、配管溝108に2次冷媒配管を挿嵌してユニット枠107同士をネジ孔113にボルトを挿通する等により固定される。
【0174】
なお、図15に示す番号114は、断熱材109がユニット枠107から抜出さないようにするためのものであり、番号115は当該断熱材ユニット106と接続されて取付けられる断熱材を示し、この断熱材115はテーピング等して固定される。
【0175】
断熱材109は、ウレタン等の断熱特性を有すると共に、弾性特性を有する部材により形成されて、2次冷媒配管を配管溝108に挿嵌した際に、当該配管溝108が2次冷媒配管の形状に変形して当該2次冷媒配管と密着するようになっている。
【0176】
これにより複数の2次冷媒配管が並設され、かつ、その間隔が小さ箇所等の断熱材109と2次冷媒配管との密着性を確保しながら当該断熱材109を巻付けることが困難な箇所でも容易、かつ、確実に取付けることが可能になる。
【0177】
なお、図15等に示す配管溝108は矩形形状であるが、2次冷媒配管の形状に併せて半円形状としても良いことは言うまでもない。但し、この場合も、2次冷媒配管より適宜小さくすることが好ましい。
【0178】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、筐体をスターリング冷凍機や冷却水装置におけるラジエタの固定される矩形状の底部と、該底部と略同じ大きさの制御装置が取付けられてなる上部と、底部と上部とにおける左右の背面コーナを連結するように立設された背面側フレーム及び、底部及び上部における左右の正面コーナの位置から、背面コーナ側にセットバックして立設された正面側フレームにより枠組形成され、少なくとも正面側フレームと背面側フレームとに左右の側面パネル及び背面パネルが取外し可能に取付けられると共に、底部と上部とに正面パネルが取外し可能に取付けられてなる側部とにより構成し、冷熱搬送装置が、スターリング冷凍機と冷熱利用機器とを2次冷媒配管で接続されて、当該2次冷媒配管に2次冷媒を循環させることによりスターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送するように形成され、かつ、2次冷媒配管を正面パネルと2本の正面側フレームとの間に形成されるセットバック領域に纏めて敷設したので、2次冷媒配管や冷却水配管の敷設作業が容易に行え、かつ、配管の曲げ伸しを可能な限り少なくできるようになり、作業効率及び信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に適用されるスターリング冷熱供給システムの斜視図である。
【図2】スターリング冷熱供給システムの側面パネル等を取外した際の斜視図である。
【図3】スターリング冷熱供給システムの回路図である。
【図4】スターリング冷凍機4の構成図である。
【図5】角ブロックの斜視図である。
【図6】角ブロックの取付状態を示す図である。
【図7】ラジエタの構成を示す図である。
【図8】ラジエタの液管配置構成等を示す図である。
【図9】冷却水回路の模式図である。
【図10】スターリング冷熱供給システムの図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図11】スターリング冷熱供給システムの側面パネル等を取外した際の側面図である。
【図12】1台のスターリング冷凍機を取外す際の様子を示す斜視図である。
【図13】スターリング冷凍機、ラジエタ、冷却水ポンプを同時に取外す際の様子を示す斜視図である。
【図14】複数のスターリング冷凍機及びラジエタを同時に取外す際の様子を示す斜視図である。
【図15】断熱材ユニットの構成を示す図である。
【図16】断熱材ユニットの取付状況を示す図である。
【符号の説明】
1 スターリング冷熱供給システム
3 冷熱利用機器
4 スターリング冷凍機
5 冷却水装置
6 冷熱搬送装置
7 制御装置ケース
8 筐体
11 モータ
65(65a,65b) ラジエタ
66(66a,66b) 送風機
67 冷却水ポンプ
90 底部
91 上部
92 底部側フレーム
93 上面(防振ゴム脚
93 防振ゴム脚
94 底板
95 側面パネル
96 背面パネル
97 除振バネ
97 正面パネル
98 載置台
99 背面側フレーム
100 正面側フレーム
101 上部側フレーム
102 吸気口
103 排気口
105 フォーク部
106 断熱材ユニット
107 ユニット枠
108 配管溝
109 断熱材

Claims (3)

  1. 作動ガスを圧縮膨張させて冷熱を発生するスターリング冷凍機と、該スターリング冷凍機で発生した冷熱を冷熱利用機器に搬送する冷熱搬送装置と、作動ガスの熱を大気に放熱する冷却水装置と、前記スターリング冷凍機、冷熱搬送装置及び冷却水装置を制御する制御装置と、これら各装置を収納する概略直方体の筐体とを有するスターリング冷熱供給システムにおいて、
    前記筐体が、前記スターリング冷凍機や前記冷却水装置におけるラジエタの固定される矩形状の底部と、
    該底部と略同じ大きさの前記制御装置が取付けられてなる上部と、
    前記底部と上部とにおける左右の背面コーナを連結するように立設された背面側フレーム及び、前記底部及び上部における左右の正面コーナの位置から、前記背面コーナ側にセットバックして立設された正面側フレームにより枠組形成され、少なくとも前記正面側フレームと背面側フレームとに左右の側面パネル及び背面パネルが取外し可能に取付けられると共に、前記底部と前記上部とに正面パネルが取外し可能に取付けられてなる側部とを有し、
    前記冷熱搬送装置が、前記スターリング冷凍機と冷熱利用機器とを2次冷媒配管で接続されて、当該2次冷媒配管に2次冷媒を循環させることにより前記スターリング冷凍機で発生した冷熱を前記冷熱利用機器に搬送するように形成され、かつ、前記2次冷媒配管を前記正面パネルと2本の前記正面側フレームとの間に形成されるセットバック領域に纏めて敷設したことを特徴とするスターリング冷熱供給システム。
  2. 前記冷却水装置が、冷却水の流動するラジエタを備えて、当該ラジエタと前記スターリング冷凍機とを冷却水配管により接続して形成され、かつ、前記冷却水配管を前記背面パネル側に纏めて敷設したことを特徴とする請求項1記載のスターリング冷熱供給システム。
  3. 前記正面パネルと2本の前記正面側フレームとの間に形成される前記セットバック領域に沿って、前記スターリング冷凍機が複数並設されると共に、該スターリング冷凍機に対応して、その背面側に前記ラジエタが複数並設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスターリング冷熱供給システム。
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