JP3849805B2 - スパンデックスの乾燥紡績用スピニングセル及び方法 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、スパンデックス糸の乾燥紡績に関し、より特別にはスパンデックスの乾燥紡績用の長方形のスピニングセルに関する。
背景技術の説明
スパンデックス製造の1方法は、高温の不活性ガスにより糸から溶剤を蒸発させて糸を乾燥させる乾燥紡績である。米国特許3737508号、4431602号、4679998号及び4804511号に明らかにされたように、この方法は、一般に、直立し加熱された管(スピンセル)、スピンセル内に溶液を通過導入させるためのこの管の頂端の紡糸口金、管の中で糸と接触して溶剤を蒸発させる高温の不活性ガス、及びスピンセル底部からのスパンデックスフィラメントの取出しを使う。
研究開示34866号(1993年4月)は、スパンデックスを含んだ合成繊維の乾燥紡績用の多種の装置形態を説明する。図10aから10fは、円形で一様な線形の毛管アレイを含んだ種々の紡糸口金の穴の配列を示す。図1から9は、セル内にガスを導入するための種々の毛管配列を示す。
ジェームス他の米国特許5387387号は、スパンデックスの乾燥紡績用の円形の装置の上方の紡糸口金毛管群の一様な線形アレイの利点を明らかにする。この方法においては、高温の不活性ガスが紡糸口金のまわりに分布され、スピンセル内を糸と同方向に下向きに流れる。紡糸口金は1列又は複数列に配置することができ、各列は特許5387387号の図2及び3に示されるように各線形配列の中で千鳥状とすることができる。しかし、高温の不活性ガスは同方向に送られるため、フィラメント束の中へのガスの進入が貧弱であり、溶剤はフィラメント束から効果的に除去されない。かかる不完全さが、強力及び負荷能力のような物理的特性の不均一なフィラメントを作る。供給ガスに近いフィラメントは供給ガスから遠いフィラメントとは異なった特性を持つ。
従来技術において明らかにされた高度に一様でかつ均一な装置は、長さに沿って満足できない不均一なスパンデックスを作り、実際的な装置がなお望まれる。
発明の概要
スパンデックスを乾燥紡績するための本発明のスピニングセルは、
(A)実質的に長方形で断熱的に管理されたシャフト、
(B)高温の不活性ガスの交差流を提供するためのシャフトの壁の頂部プレナム、及び
(C)シャフトの頂部に取り付けられた紡糸口金毛管群を保有していてかつ短軸、長軸、及び紡糸口金毛管群の非一様なアレイを有する実質的に長方形のバーであって、毛管群の第1列と第2列とは互いに食い違った相互関係にあり、第1列が第2列よりも頂部プレナムに近くにある前記バー
を具備し、
各列の毛管群が
(i)第1列が第2列より2個多い毛管群を有し、
(ii)第2列がバーの短軸に最寄りの1個の毛管群を欠くことにより2個のセグメントに分割され、
(iii)第1列の各端部の少なくも2個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、
(iv)第2列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、そして
(v)第1列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの短軸の方にずらされる
ようにして均一な線形配列からずらされることを特徴とする。
スパンデックスを乾燥紡績するための本発明の方法は、
(a)ポリウレタンを含んだ加熱溶液を、実質的に長方形のバーにおける紡糸口金毛管群の非一様なアレイを通してフィラメントに押し出すために圧送し、
(b)断熱的に管理された実質的に長方形のシャフトの上方部分内に頂部プレナムを経て導入された高温の不活性ガスの交差流に押し出されたフィラメントを接触させ、
(c)シャフト底部の出口案内を通してフィラメントを取り出し、そして
(d)包装体を形成するようにコア上にスパンデックスを捲く諸段階を含み、
バーは、紡糸口金毛管群を有しかつシャフトの頂部に取り付けられ、更に短軸、長軸、及び紡糸口金毛管群の非一様なアレイを有し、毛管群の第1列と第2列とは互いに食い違った相互関係にあり、第1列が第2列よりも頂部プレナムに近くにあり、各列の毛管群が
(i)第1列が第2列より2個多い毛管群を有し、
(ii)第2列がバーの短軸に最寄りの1個の毛管群を欠くことにより2個のセグメントに分割され、
(iii)第1列の各端部の少なくも2個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、
(iv)第2列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、そして
(v)第1列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの短軸の方にずらされる
ようにして均一な線形配列からずらされることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のスピニングセルの主要構成要素の側面から見た等角断面図である。
図2は紡糸口金群と高温不活性ガス入口とを含んだ図1のスピニングセルの上方部分のより詳細な断面図である。
図3Aは本発明によらない紡糸口金群のアレイを示す。図3Bは本発明の紡糸口金群のアレイを示しているバー13の全面及び紡糸口金群12を示す。
図4は本発明のスピニングセルのカバーのある下方閉鎖部分の等角図である。
図5は本発明の下方閉鎖部分のフィラメント出口案内の面を示す。
発明の詳細な説明
ここで使われるスパンデックスはその通常の意味、即ち、繊維形成物質がセグメント化ポリウレタンを重量で少なくも85%含んだ長鎖合成エラストマーである人造繊維を意味する。スパンデックスは、一般にジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドのような溶剤中のポリウレタン又はポリウレタン尿素の溶液から乾燥紡績される。このポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル又はポリカーボネートグリコールのような高分子ジオールを、ジイソシアナートでキャッピングし、次いで得られたキャップされたグリコールを1個又は複数個のジアミン又はジオールにより長鎖化することにより作られる。
スパンデックスを作るためにポリウレタン又はポリウレタン尿素の溶液を乾燥紡績するための本発明によるスピニングセル及びこのスピニングセルを使用する方法は、得られたスパンデックスの向上した生産性と物理的特性の改良された均一性とを提供する。
まず、図1を参照すれば、ポリウレタン又はポリウレタン尿素となし得るポリウレタンの溶液が、溶液ヒーター10を経て、長方形のシャフト20の頂部に取り付けられたバー13に圧送される。シャフト20は実質的に長方形であり、適切な加熱用要素25を有し、かつ断熱される。シャフトの長さ全体にわたる断熱的な管理を得て長方形シャフトの短辺(端部)を通過する熱損失を補償するように、加熱用要素及び断熱材が配列されかつ調整される。シャフトの頂部においては、中央部又は底部におけるよりも多量の熱が加えられる。熱はシャフトの四辺の全てに加えられる。溶液ヒーター10の下方において、高温の不活性ガスが頂部プレナム60からシャフト20の壁の開口を経てシャフトの上方部分内に導入される。次いで、高温のガスは、乾燥紡績されたフィラメントから蒸発した溶剤を伴って、シャフト20からその壁の開口を経て真空プレナム70内に引き出される。下方閉鎖部分30の上方でかつ真空プレナム70の下方においてシャフトの壁に置かれた底部プレナム80が、フィラメントの運動方向とは反対方向の低温の不活性ガスの上向きの流れを提供する。この上向きのガスの流れも、シャフト20の壁の開口を経てシャフトを出て真空プレナム70に導かれる。ガスの乱れを最小にするために、スクリーン及びディフーザー組立体62を加えることができる。スピニングセル内のガスの乱流の少ないことが、より均一なスパンデックス特性の提供を助ける。シャフト内の圧力は、スピニングセルからの溶剤の逃出しを最小にするように調整することができる。
図2は、紡糸口金毛管群を含んだ実質的に長方形のバー13及びシャフト20の短軸を横切って得られた断面におけるスピニングセル上方部分を示す。ポリマー溶液は、バー13の紡糸口金毛管群12を通って押し出され、1列又は複数列のフィラメント90を形成する。2列が図示され、これが好ましい。フィラメント90は、毛管群から熱遮蔽体14の対応した穴を通ってシャフト20内に垂直方向下向きに移動する。熱遮蔽体14の直下で、フィラメント90は高温の不活性ガスの交差流と出会う。ガスは、頂部プレナム60内のスクリーン及びディフーザー組立体62(図1参照)を通過した後で、実質的に層流かつ一様分布の流れでシャフト20の一方の壁を経てシャフト内に導入される。高温ガスの流れる方向は、シャフト内で、フィラメント90の運動方向に関して交差する流れから同方向の流れに変化する。図2の短い矢印25は、ガス流の大体の方向を示す。シャフト壁の22で示された部分は、これを、例えば流れの分離を防ぐように湾曲した流れの変化を与えるコアンダ型に作ることにより、乱流を最小にするように設計することができる。乱流は、ガス速度が底部においてほぼゼロであり、そしてある点までは表面から離れると直線的に増加し、その点以降は速度が実質的に一定に留まるようにガスの流れを形成することによっても最小にすることができる。
紡糸口金毛管群の配列が図3Bに示される。各列における紡糸口金毛管群は、図示のように、バーにおける均一な線形配列から外れている。驚くことに、かかる配列が、本発明のスピニングセル及び方法により作られたスパンデックスの均一性にかなり有利な効果を提供することが見いだされた。
従来技術の一様な配列が図3Aに示される。図3Aの紡糸口金毛管群は、1列に配列し、或いは互いに平行であってかつ同数の毛管群12aを有する複数列に配列される。2列が図示される。毛管群は、列内で等間隔にされている。列はバー13aの長手方向軸線15aから等距離である。各列の毛管群は他の列の毛管群に関して互い違いにされる。得られた毛管群のアレイの外郭線は平行四辺形である。
驚くことに期待しなかったが、本発明の紡糸口金毛管群の配列より得られたスパンデックスに均一性にかなりの改善が得られた。さて、図3Bを参照すれば、一方の列の端部の1個の紡糸口金毛管群が無くされ、このため列は違った数の紡糸口金毛管群12bを有し、毛管群のアレイの外郭線が台形であることが見られる。毛管群が多い方の第1の列は、高温不活性ガスの導入されるシャフト20の壁の開口に近い方に位置決めされる。ガス入口開口から遠い毛管群の第2の列は毛管群の数がより少ない。
加えて、短い方の列(図3Bにおける短い方の列には11個の紡糸口金毛管群が例示される)は、2個の部分に分割され、一方は実質的に等間隔の6個の毛管群を含み、他方は、短軸16bに隣接した1個の毛管群を省くことにより実質的に等間隔の5個の毛管群を含む。結果的に、一方の列が他方の列より毛管群を2個多く有し、短い方の列がその中に間隙を持っている2列の毛管群のアレイである。
更に、各列の端部に近い毛管群は、バーの長手方向軸線の方にずらされる。例えば、11個の列の各端部の毛管群の少なくも1個及び13個の列の毛管群の少なくも2個がずらされる。加えて、13個の列の少なくも各端部の毛管群が短軸16bに向かってずらされる。
13個の毛管群の列と11個の毛管群の列とが図3Bに例示されるが、より多数の毛管群又はより少数の毛管群を使うことができる。「×」は毛管群の位置を示す。例えば、9個と11個、15個と17個、及び23個と25個の毛管群の列を、本発明のスピニングセル及び方法に使用することができる。いずれの場合も、毛管群の総数は偶数である。
各毛管群は、最終のスパンデックスの望ましいデシテックスに依存して1個の紡糸口金又は一緒にグループ化された複数の紡糸口金を備えることができる。実際問題として、1毛管群の中に15個までの毛管を想定することができる。同じ希望デシテックスでも、希望の糸の特性及びフィラメントからの溶剤除去の要求に応じてグループ内の毛管の数及びその相対位置を変えることができる。
グループ化され毛管の使用により、多繊維の形成ができ、これらはシャフトの底部の近くで合流ジェットにより組み合わせられる。ある毛管群内の毛管間の距離は、毛管群の列内のその群の位置により変えることができる。例えば、図3Bを参照すれば、11個の列の各端部の2個の毛管群及び13個の列の各端部の3個の毛管群とは、全ての毛管群における毛管間の相互距離と比較して、各毛管群内の毛管の中で最短距離を持つ。13個の列の中央部分の7個の毛管群は各毛管群内の毛管の中で中間距離を有し、そして11個の列の中央部分の7個の毛管群は各毛管群内の毛管の中で最長の距離を持つ。
さて、図4を参照すれば、合流ジェットマニホールド32及びフィラメント出口案内34を収容する下方閉鎖部分30が、シャフト20の底部に取り付けられて示される。この下方閉鎖部分は、スピニングシャフトの断面からフィラメント出口案内34の断面に縮小する断面を有し、スピニングセルの底部を閉鎖するドア36がある。図5を参照すれば、糸出口案内は、各フィラメントについて1個の出口通路35を有し、24個の出口通路が示される。
スパンデックスは、出口案内を通過して出た後は、包装体を形成するようにコアの上に捲かれる。
Claims (8)
- (A)実質的に長方形で断熱的に管理されたシャフト、
(B)高温の不活性ガスの交差流を提供するためのシャフトの壁の頂部プレナム、及び
(C)シャフトの頂部に取り付けられた紡糸口金毛管群を保有していてかつ短軸、長軸、及び紡糸口金毛管群の非一様なアレイを有する実質的に長方形のバーであって、毛管群の第1列と第2列とは互いに食い違った相互関係にあり、第1列が第2列よりも頂部プレナムに近くにある前記バー
を具備し、
各列の毛管群が
(i)第1列が第2列より2個多い毛管群を有し、
(ii)第2列がバーの短軸に最寄りの1個の毛管群を欠くことにより2個のセグメントに分割され、
(iii)第1列の各端部の少なくも2個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、
(iv)第2列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、そして
(v)第1列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの短軸の方にずらされる
ようにして均一な線形配列からずらされていることを特徴とするスパンデックス乾燥紡績用スピニングセル。 - 各毛管群内で、各毛管群内のある毛管の他の毛管からの距離が、第1列と第2列の各端部において最短であり、第1列の中央部分の毛管群において中間であり、そして第2列の中央部分の毛管群において最長である請求項1のスピニングセル。
- ガスを引き出すためのシャフト壁の真空プレナム、
フィラメント出口案内を有しかつシャフトの底部を囲んでいる閉鎖部分、及び
低温の不活性ガスの上向きの流れを与えるための閉鎖部分の上方でかつ真空プレナムの下方のシャフト壁の底部プレナム
を更に備える請求項2のスピニングセル。 - バーの面から間隔を空けて取り付けられた熱遮蔽体を更に有する請求項3のスピニングセル。
- (a)ポリウレタンを含んだ加熱溶液を、実質的に長方形のバーにおける紡糸口金毛管群の非一様なアレイを通してフィラメントに押し出すために圧送し、
(b)断熱的に管理された実質的に長方形のシャフトの上方部分内に頂部プレナムを経て導入された高温の不活性ガスの交差流に押し出されたフィラメントを接触させ、
(c)シャフト底部の出口案内を通してフィラメントを取り出し、そして
(d)包装体を形成するようにコア上にスパンデックスを捲く諸段階を含み、
バーは、紡糸口金毛管群を有しかつシャフトの頂部に取り付けられ、更に短軸、長軸、及び紡糸口金毛管群の非一様なアレイを有し、毛管群の第1列と第2列とは互いに食い違った相互関係にあり、第1列が第2列よりも頂部プレナムに近くにあり、各列の毛管群が
(i)第1列が第2列より2個多い毛管群を有し、
(ii)第2列がバーの短軸に最寄りの1個の毛管群を欠くことにより2個のセグメントに分割され、
(iii)第1列の各端部の少なくも2個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、
(iv)第2列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの長軸の方にずらされ、そして
(v)第1列の各端部の少なくも1個の毛管群がバーの短軸の方にずらされる
ようにして均一な線形配列からずらされることを特徴とするスパンデックスの乾燥紡績方法。 - 各毛管群内で、各毛管群内のある毛管の他の毛管からの距離が、第1列と第2列の各端部において最短であり、第1列の中央部分の毛管群において中間であり、そして第2列の中央部分の毛管群において最長である請求項5の方法。
- シャフト壁の真空プレナムを通してガスを引き出し、そして閉鎖部分の上方でかつ真空プレナムの下方のシャフト壁の底部プレナムを通して低温の不活性ガスの上向きの流れを与える
諸段階を更に含んだ請求項6の方法。 - 熱遮蔽体が紡糸口金バーの面から間隔を空けて取り付けられた請求項7の方法。
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