JP3849625B2 - 超高張力電縫鋼管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアインパクトビームなどの自動車用部材、さらには機械構造用部材、土木建築用部材に用いられる超高張力電縫鋼管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両ドア内部には、安全性の観点からドアインパクトビームと呼ばれる補強材が設けられている。従来のドアインパクトビームには、高張力冷延鋼板のプレス成型品が用いられることが多かったが、近年、軽量化のために、引張強度が980N/mm2 以上の著しく強度の高い高張力電縫鋼管が採用されるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平1-205032号、特開平4-131327号、特開平4-187319号、特開平6-57375 号、特開平6-88129 号、特開平6-179913号の各公報などに示された方法は、造管に伴い残留歪みが存在するため、その実用に際しては水素遅れ割れに対する配慮が必要である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために多くの実験的検討を行った結果、鋼成分の調整、および鋼板の熱処理条件および造管条件を適正化して組織を調整することにより耐水素遅れ割れ特性に優れた、またはこれに加えて耐食性にも優れた超高張力電縫鋼管を得ることが可能となるという知見を得た。
【0005】
1000≦Q/(t/ D)2 ≦3000……(1)
ただし、t(mm):鋼板の板厚、D(mm):電縫鋼管の外径、Q(%)は幅絞り率である。
幅絞り率Q(%)は以下の式(2)で定義される。
Q=[{鋼板の幅−π( D−t)} /π(D−t)]×100 ……(2)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の超高張力電縫鋼管は、鋼の成分組成および組織を制御することによりはじめて達成されるものである。
【0007】
(1)(化学組成)引張強度が980N/mm2 以上で、しかも優れた耐水素遅れ割れ特性を得るために、C:0.10〜0.19%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜2.2%、Al:0.01〜0.06%、Nb:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%を含み、さらにP:0.02%以下、S:0.003%以下、N:0.005%以下、Ti:0.015%以下に制限した組成に規定する。また、Cu:0.05〜0.50%が選択成分として添加される。その場合に、Niを添加することがあるが、Ni:0.10%以下とする。
【0008】
C: Cは所望のマルテンサイトを生成させ、目標とする強度を確保するために必須な元素である。しかし、含有量が0.10%未満であると目標とする980N/mm2 以上の強度が得られず、一方、含有量が0.19%を超えると、引張強度が高くなりすぎるか、あるいは焼戻し時に析出する炭化物サイズが大きくなり、いずれにせよ耐水素遅れ割れ特性が劣化する。したがってCの含有量を0.10〜0.19%とする。
【0009】
S: Sは介在物として存在し、耐水素遅れ割れ特性を劣化させるため、0.003%以下に規制することが必要である。
【0010】
Ti: Tiは粗大な窒化物として析出すると、耐水素遅れ割れ特性を低下させるので、添加しないことが望ましい。しかし、固溶NをTiNとして固定し、Bの焼入れ性を確保するためにやむなく添加する場合には、その添加量を0.015%以下とする必要がある。
【0011】
1000≦Q/(t/ D)2 ≦3000……(1)
ただし、t(mm):鋼板の板厚、D(mm):電縫鋼管の外径、Q(%)は幅絞り率で、以下の式(2)で定義される。
Q=[{鋼板の幅−π( D−t)} /π(D−t)]×100 ……(2)
図3にQ/(t/ D)2 と水素遅れ割れ発生限界付加歪みΔεc の関係を示す。本発明者らは造管条件と耐水素遅れ割れ特性に関する多くの実験的検討を行った結果、図3に示すように、鋼管の水素遅れ割れ発生限界付加歪みは幅絞り率Qが1000(t/ D)2 〜3000(t/ D)2 の間でピークを持ち、幅絞り率をこの範囲に制御することで優れた耐水素遅れ割れ特性を有する鋼管が得られることを見出した。この適正幅絞り率は製品( 板厚/ 外径) 比により異なり、優れた耐水素遅れ割れ特性を有する鋼管を得るためには( 板厚/ 外径) 比ごとに異なる幅絞り率をとる必要がある。
【0012】
Δε=(4・106 ・t・δ)/(π・D・(D−t))……(3)
ここで、tは板厚、Dは切出し前の鋼管の外径、δはD−(付加歪み付加後の外径)である。
【0014】
Nb: Nbは変態前のオーステナイト粒を微細化し、変態後のマルテンサイトパケットを微細化することができるので、耐水素遅れ割れ特性の向上に好ましい元素である。しかし、それぞれ0.005%未満ではその効果は少なく、一方0.03%を超えて添加すると、耐水素遅れ割れ特性がかえって劣化する。したがって、Nbの含有量をそれぞれ0.005〜0.03%とする。
【0016】
浸漬試験後のTS(N/mm2 )=浸漬試験後の引張破断荷重(N)/浸漬試験前の管断面積(mm2 )
である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0018】
表1に示すA〜Fの6種の鋼を溶製し、表2〜表4に示すように本発明で規定した熱延条件、連続焼鈍炉における熱処理条件、造管条件にて31.8mmφ×1.6mmtの電縫鋼管を作製した。その特性を表5、表8に示す。A〜Eは実施例,Fは比較例である。なお、表6、7,9−13は参考例(参考材)を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】
【表8】
【0027】
【表9】
【0028】
【表10】
【0029】
【表11】
【0030】
【表12】
【0031】
【表13】
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドアインパクトビームなどの自動車部品、機械構造用部材、土木建築用部材に用いられる引張強度980N/mm2 以上の耐水素遅れ割れ特性に優れた構造用超高張力電縫鋼管を、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu添加量と割れ発生限界付加歪み変化量との関係を示す図。
【図2】Ni添加量と割れ発生限界付加歪み変化量との関係を示す図。
【図3】Q/(t/ D)2 と水素遅れ割れ発生限界付加歪みとの関係を示す図。
【図4】150〜250℃の温度範囲における保持時間と水素遅れ割れ発生限界付加歪みΔεc との関係を示す図。
【図5】Cu添加量と腐食試験後の残留強度率の関係を示す図。
【図6】Ni添加量と腐食試験後の残留強度率の関係を示す図。
【図7】Mo添加量と腐食試験後の残留強度率の関係を示す図。
Claims (2)
- 重量%で、C:0.10〜0.19%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜2.2%、Al:0.01〜0.06%、Nb:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0030%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、N:0.005%以下、Ti:0.015%以下、及び残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼スラブを1150〜1300℃で均熱した後、このスラブに対してAr3 点以上を仕上温度とする熱間圧延を施し、500〜650℃で巻取って熱延鋼帯とし、この熱延鋼板を酸洗後冷間圧延した後、連続焼鈍炉で800〜900℃に均熱加熱後急冷し、さらに150〜250℃で焼戻し処理を行い、得られた鋼板を以下の(1)式を満たす幅絞り率Qで造管し、組織面積分率で100%の焼き戻しマルテンサイトまたは少なくとも80%の焼戻しマルテンサイトとフェライト組織よりなる引張強度980N/mm2 以上の電縫鋼管を得ることを特徴とする超高張力電縫鋼管の製造方法。
1000≦Q/(t/ D)2 ≦3000……(1)
ただし、t(mm):鋼板の板厚、D(mm):電縫鋼管の外径、Q(%)は幅絞り率で、以下の式(2)で定義される。
Q=[{鋼板の幅−π( D−t)} /π(D−t)]×100 ……(2) - さらに、重量%で、Cu:0.05〜0.50%を含み、Ni:0.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の超高張力電縫鋼管の製造方法。
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