JP3849499B2 - 電子写真装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等に適用され、像担持上に静電潜像を形成し、形成された静電潜像をトナーで現像して画像を形成する電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセスを利用した複写機等においては、記録シート上に形成された未定着トナー像を定着して永久画像にする必要があり、その定着法として溶剤定着法、圧力定着法、あるいは加熱定着法が知られている。
【0003】
加熱定着法に用いる加熱定着装置としては、円筒状芯金の内部にヒーターランプを備え、その外周面に耐熱性離型層を形成した加熱ロールと、この加熱ロール(定着ロール)に対し圧接配置され、円筒状芯金の外周面に耐熱弾性体層を形成した加圧ロールとで構成されており、これら両ロール間に、一定の圧力を加えて、未定着トナー像の形成された普通紙等の支持体を挿通させて定着を行う加熱定着ロール方式のものが知られている。この方式に使用される加熱ロール型定着装置は、他の加熱定着法である熱風定着方式やオーブン定着方式のものと比べて、熱効率が高い為、低電力で、高速性に優れ、しかも、紙詰まりによる火災の危険性も少ないこと等から、現在最も広く利用されている。
【0004】
しかしながら、加熱ローラ(定着用回転部材)を用いる加熱ローラ定着方式の定着装置では、ハロゲンヒータを内部に有する加熱ローラにより転写材やトナーを加熱する際に、熱容量の大きな定着用の加熱ローラを加熱する必要があるため、弾性層内側の温度が高くなり、発熱ゴムローラの寿命を短くしていたり、省エネルギー効果が悪く、省エネ面で不利であり、また、プリント時に定着装置を暖めるのに時間がかかりプリント時間(ウォーミングアップタイム)が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
近年、この様な加熱ロール型定着装置の上記課題に対し、熱容量の小さいセラミックヒーターとフィルムを組み合わせたオンデマンドタイプ、すなわち、待機時のヒーターには余熱のための電気のみが流れており、必要になったとき、例えば、紙が供給されてからヒーターに電気が入力される方式の定着器が実用化されてきた。
【0006】
詳しくは、エンドレスに形成された薄肉シート状の耐熱性の定着フィルム(シムレスフィルムともいう)と、定着フィルムの移動駆動手段と、定着フィルムの内側に金属や樹脂性のホルダーに直接固定支持された加熱体と、定着フィルムの外側にヒータに対向して配置され定着フィルムをヒータに押しつける加圧ローラ(加圧部材)とを主に備えている。記録材上の未定着トナーの定着に際し、定着フィルムと加圧ローラ表面とを同方向(記録材の搬送方向)に移動させ、両者のニップ部にて記録材を挟持搬送する。これにより、記録材上に印字された未定着トナー像を担持した面を定着フィルムに密着させるとともに、ヒータの熱を定着フィルムを介してトナー像に付与する。このようにしてニップ部にて加熱加圧されたトナー像は、軟化・溶融され、その後固着されて、記録材上に永久像として定着されるものである。
【0007】
上記シームレスフィルムを用いた定着方式は、ヒータとして、熱容量の小さいヒータを用いることができ、熱容量の小さなヒータは、必要なときに短時間で所定温度に昇温させることができることから、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式やベルト加熱方式などの加熱方式に比べ、ウェイトタイム短縮化が可能となる。また、従来のように、定着に備えてヒータをあらかじめ加熱しておく必要がないため、省電力化が可能となり、さらに画像形成装置本体内部の不要な昇温を防止することができる利点を有している。
【0008】
しかしながら、シームレスフィルムを用いた上記定着方式においては、転写材上のトナーが定着ローラもしくは定着フィルムに静電的に転移する静電オフセット現象が発生することがあり、また、従来の定着方式に比較して、定着荷重が低いため、トナーからの離型剤が滲出する効率が低く、その結果として、オフセットが発生しやすい問題があった。特に、画像に検出されない軽微なオフセットにより、定着部材が汚染され、寿命が短い問題があった。それ故、同方式の定着装置は、高速プリンタや高速複写機に適用されることがなかった。
【0009】
更に、上記定着方式では、トナー像を加熱するために、トナー中に含まれる微量成分を大気中に放出し、使用者にとって不快臭をもたらす場合がある。更に近年、複写機やプリンタの小型化に伴い、オフィス等ではそれらを身近で使用する機会が益々多くなってきている。また、一般家庭で使用される機会も増し、結果として、トナーから発せられる臭気は、従来にも増して使用者に不快感を与えるケースが多くなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着温度領域が広く、耐オフセット性に優れ、定着部材の寿命が長く、かつ定着時の臭気が低減された電子写真装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0012】
1.トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着手段を有する電子写真装置において、該トナー像と接する定着部材がポリイミドシームレスフィルムであり、かつトナーが、価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、トナー全質量に対し最も多く含まれる金属塩の含有量をa(質量%)、次に多く含まれる金属塩の含有量をb(質量%)としたとき、a及びbが前記式(1)で表される関係であることを特徴とする電子写真装置。
【0013】
2.前記トナーが、樹脂粒子を塩析/融着させて製造されたものであることを特徴とする前記1に記載の電子写真装置。
【0014】
3.トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着手段を有する電子写真装置において、該トナー像と接する定着部材の表面材質が、少なくともフッ素樹脂と定着手段の最高使用温度以上の融点を有するイオン導電性の電気抵抗値制御材料とを含み、かつトナーが、価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、トナー全質量に対し最も多く含まれる金属塩の含有量をa(質量%)、次に多く含まれる金属塩の含有量をb(質量%)としたとき、a及びbが前記式(1)で表される関係であることを特徴とする電子写真装置。
【0015】
4.前記トナーが、水系媒体中で粒子を形成する工程及び消臭工程を経て製造されたものであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
【0016】
本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意検討を進めた結果、トナー像と接する定着部材がポリイミドシームレスフィルムである定着手段を用い、トナーとして、価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、各々の金属塩の含有比率が特定の範囲にあるトナー、あるいは樹脂粒子を塩析/融着させて製造したトナーを使用することにより、定着荷重が低くても、離型剤の滲出効率が高く、定着率を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0017】
なお、ここでいう樹脂粒子とは、後述するように乳化重合、ミニエマルション重合により製造された樹脂粒子を指す。塩析/融着させて製造したトナーは、トナー中に塩類が均一且つ稀薄に存在するため、静電オフセットの発生が少ない特徴を有しており、特に本発明に係るシームレスフィルムを用いた定着装置においては、定着部材の大幅な寿命向上がある。
【0018】
また、一般に、乳化重合トナーは、定着時の臭気があり、とりわけシームレスフィルムを使用した定着装置においては接触加熱される時間(定着ニップ通過時間)が長いため、臭気の発生が多い。そのため、トナーの製造工程に消臭工程を設けることが極めて有効な手段である。消臭工程の詳細に関しては、後述するが、酵素、植物抽出成分等による化学的消臭剤の添加、香料/マスキング剤の添加である有効である。
【0019】
以下、本発明の詳細について説明する。
請求項1、2に係る発明では、トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着装置として、トナー像と接する定着部材がポリイミドシームレスフィルムであることが特徴であり、また、請求項3に係る発明では、トナー像と接する定着部材の表面材質が、少なくともフッ素樹脂と定着手段の最高使用温度以上の融点を有するイオン導電性の電気抵抗値制御材料とを含むことが特徴である。
【0020】
はじめに、本発明に係る定着装置について説明する。
以下、本発明で用いることのできるシームレスフィルムを有するオンデマンド方式の定着装置の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明で用いることのできる定着部材がポリイミドシームレスフィルムであるオンデマンド方式の定着装置の一例を示す概略図である。
【0022】
図1において、定着装置は加熱部と加圧ローラによって構成され、加熱部は定着フィルム(シームレスフィルムともいう)1、発熱体3、フィルムガイド2から構成される。定着器は加圧ローラ5によって駆動を受け、表面にトナー9を有する基材8と定着フィルム1は加圧ローラ5に連動して駆動する。発熱体3はセラミック基板の上に発熱ペーストを印刷したものであり、これに電力制御されたAC電流を流すことによって発熱する。セラミック基板の裏には温度センサー4が接着してあり、これによって検知された温度を基に発熱体3への通電を制御する。フィルムガイド2は熱硬化性のプラスチックからなり、その下面はヒーターに取り付けられている構成となっており、定着フィルム1はフィルムガイド2に沿って移動する。基材8は向かって右側から表面にトナー9が付着された状態で供給され、発熱体3と加圧ローラ5のニップ点7で加熱を受け、定着像となって左側に排出される。
【0023】
加圧ローラは芯金6の上にシリコーンゴムを成型したものである。シリコーンゴムとしては、例えば、二液性の付加型LTVシリコーンを用いることができ、表面がチャージアップすることを防止するために界面活性剤を添加し、加圧ローラ芯金はアースに接続されている。
【0024】
次に、シームレスフィルムである定着フィルム1について説明する。定着フィルム1は、通常積層構成を有しており、本発明においては、基層がポリイミドシームレスフィルムであることが特徴である。基層はヒーターと摺動し、耐摩耗性、強度等が要求されるためポリイミドを材料として用いている。この上に導電プライマー層を設ける。これは、ヒーターパターンに通電することで、発生するAC電界やヒーターとフィルム内面の摩擦帯電によって、オフセットを誘起させるような電位がフィルム表面に及ぶことを防止し、更にポリイミドと表面層の接着を確保するためのものである。フィルム端部では導電層を露出させて、これをアースに接続することにより導電層の電位を0Vとし、フィルムの電位を安定化させる。
【0025】
本発明で用いることのできるポリイミドシームレスフィルムとしては、例えば、芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体を用い、これをたとえばシリンダー表面にキャスティングし、次いで加熱処理し、脱水縮合反応させて得られる。芳香族テトラカルボン酸成分としては特に制限はなく、例えば、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物などがあり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。前記の芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、例えば3,3′−ジアミノフェニルエーテル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系ジアミン、3,3′−ジフェニルチオエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルチオエーテなどのジフェニチオエーテル系ジアミン、4,4′−ジアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系ジアミン、その他ジフェニルメタン系ジアミンパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどを挙げることが出来る。また、有機極性溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ジメチルオキシド等が挙げられるが、これらにとくに限定されるものではない。
【0026】
請求項3に係る発明では、定着部材の表面材質が、少なくともフッ素樹脂と定着手段の最高使用温度以上の融点を有するイオン導電性の電気抵抗値制御材料とを含有することが特徴の一つである。
【0027】
本発明において、フッ素樹脂が、ポリイミドシームレス基材フィルムの表層にフィルム状に積層されていることが好ましく、フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一つの樹脂が好ましい。
【0028】
また、イオン導電性の電気抵抗値制御材料としては、例えば、有機リン塩及びパーフルオロアルキル基を含む有機塩から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。本発明で用いることのできる有機リン塩としては、例えば、ジフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、デシル−ジフェニルホスファイト、(ノニルフェニルとジノニルフェニル混合体)トリホスファイト、トリフェニルホスフェイト、トリエチルホスフェイト、トリ(ブトキシエチル)ホスフェイト、ヘキサメチルホスホンアミド、ジメチルホスホネイト、ホスフィンオキサイド、アルキルホスフィンオキサイド、アルキルホスフィンサルファイド、ホスホニウム塩等を挙げることができる。
【0029】
また、パーフルオロアルキル基を含む有機塩としては、例えば、RfSO3M(ただし、Rfはパーフルオロアルキル基を示しアルキル基Rの炭素数は1〜30の範囲、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。以下の化学式においても同じ)、RfSO3NH4、RfSO2NRCH2COOM、RfSO2N(R)C24OH、RfSO2N(R)(C24O)nH(ただしnは1〜30の範囲)、(RfSO2N(R)C24O)2PO(OH)、(RfSO2N(R)C24O)2PO(ONH4)、RfSO2N(R)C24OSO3H、RfSO2N(R)C24OSO3M、RfSO2N(R)C24OCOC65、RfSO2N(R)CH2COOC25、RfSO2N(H)C36+(CH33-、RfCOONH4、RfSO2N(CH2−C65)C24OH、RfSO2NC36+(CH3224COO-等を挙げることができる。
【0030】
上述の本発明の構成によれば、トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着装置のトナー像と接する定着部材表面材質が、少なくとも定着装置の最高使用温度以上の融点を有するイオン導電性の電気抵抗値制御材料を含むことにより、静電オフセットの発生を防止した定着装置を実現できる。すなわち、前記イオン導電性の電気抵抗値制御材料を含むことにより、定着フィルム、または定着ローラ表層を形成するフッ素樹脂と均一に混ざり合い、表面を除電し、適正な抵抗値を与える。すなわち、フッ素樹脂ディスパージョンにイオン導電性の抵抗値制御剤を分散させた場合、抵抗値制御剤は、フッ素樹脂ディスパージョン中でイオン化して分散し、その後このフッ素樹脂ディスパージョンを常法により被膜化した場合、抵抗値制御剤が局在化することなく表面全体に均一に拡散するため非常に均一な表面抵抗値が得られる。
【0031】
上記導電層の上には離型層を設けることができる。離型層は、基材との摩擦に耐え、トナーが付着しないような高離型性が要求される。材料としては、例えば、PTFEとPFAを7:3の割合で混合した水性ディスパージョン(水分散液)を用いることができる。
【0032】
次いで、本発明に係るトナーについて説明する。
請求項1、3に係る発明では、トナーが価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、トナー全質量に対し最も多く含まれる金属塩の含有量をa(質量%)、次に多く含まれる金属塩の含有量をb(質量%)としたとき、a及びbが下記式(1)で表される関係であることを特徴とする電子写真装置。
【0033】
式(1)
2.0≧a≧0.1
1.0≧b≧0.01
7.5≧a/b≧1.1 ただしa、bの質量は無水物換算値を表す。
【0034】
本発明でいう金属塩の価数とは、構成する金属元素の価数をいう。
本発明に係る金属塩の価数の測定法としては、例えば、蛍光X線分析装置「システム3270型」〔理学電気工業(株)製〕を用いて、金属塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)から発する蛍光X線強度を測定することによって求めることができる。具体的な測定法としては、金属塩の含有割合が既知のトナーを複数用意し、各トナー5gをペレット化し、金属塩の含有割合(aおよびb)と、当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピーク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、金属塩の含有割合を測定すべきトナー(試料)を同様にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線強度を測定することにより、含有割合すなわち「トナー中の金属塩量」を求めることができる。
【0035】
(金属塩の具体例)
金属塩の添加方法はとくに限定されるものではない。
【0036】
好ましくは、水系媒体中で調製した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融着する工程において、2価〜4価の金属塩を塩析剤として、また塩析剤より価数の小さい塩析停止剤を停止し、用いることができる。トナー中の濃度を制御する手段としては、金属塩の添加量、添加時のpH、添加時/添加後の温度によりトナー粒子中に金属塩を封じ込め、その後洗浄水の量により表面の塩類を除去することが好ましい。
【0037】
また、トナーの製造温度は、100℃以下にすることが好ましい。それにより、価数の高い金属塩による金属架橋を選択的に進行させ、120℃以上となる定着温度域において、価数の小さい金属イオンにより、金属架橋構造を弱めることができる。
【0038】
本発明に係るトナーにおいては、金属架橋を効率よく進行させるため、金属塩は、無機金属塩であることが好ましく、金属塩の具体的な例を以下に示す。
【0039】
2価の金属塩としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。4価の金属塩としては、硫酸チタニル、塩化スズが挙げられる。
【0040】
これらは、目的に応じて適宜選択されるが、凝集が適度に速度で進み、トナー粒子径が制御しやすいため2価または3価の金属塩が好ましい。特に好ましくは2価の金属塩を用いる。1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムがあげられる。金属塩以外には塩化アンモニウムなどアンモニウム塩を用いることが出来る。また、2価〜3価の金属塩としては、後述の凝集開始剤と同様のものが使用できる。
【0041】
表1に、本発明で好ましい金属塩の構成を示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003849499
【0043】
本発明に係るトナーとしては、樹脂粒子を塩析/融着させて製造されたトナーであることが特徴であるが、樹脂粒子を会合(すなわち塩析/融着)して成長させる水系媒体には、後述のアニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。アニオン性界面活性剤とノニオン性活性剤あるいはカチオン性活性剤を併用しても良いが、アニオン性界面活性剤のみを含むことで粒子径が高い精度で制御できる。アニオン性界面活性剤は、樹脂粒子分散液より持ち込んでもよく、会合時に新たに追加しても良い。
【0044】
請求項2に係る発明では、トナーが樹脂粒子を塩析/融着させて製造されたものであることが特徴であり、また請求項4に係る発明では、水系媒体中で粒子を形成する工程及び消臭工程を経て製造されたものであることが特徴であり、はじめに、本発明に係る消臭技術について詳細に説明する。
【0045】
本発明では、水系媒体中で粒子を形成せしめた樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を水系媒体から分離する前に、消臭剤による消臭化処理を施す。
【0046】
本発明で用いることのできる消臭剤の例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(植物抽出成分)
本発明で用いることのできる植物抽出成分とは、植物に由来する抽出物、抽出成分、あるいは植物抽出成分と同等の構造を有する合成物を水等に分散させたものを指す。本発明において、植物抽出成分に係る消臭性物質としては、硫黄系の悪臭成分を無臭化するものが好ましく、例えば、緑茶エキス、柿縮合タンニンや竹エキスなどの植物抽出物が好ましく、これらは硫化水素やメチルメルカプタン等を化学的に分解して無臭分子に変えたり、あるいはこれらの悪臭分子を包み込んで(包接して)無臭化させる効果を有する。
【0048】
本発明の植物抽出成分を含有する消臭剤を緑茶から製造する場合には、茶葉の生葉粉砕物をエタノールに浸し、次いでこれにより得られたカテキン類、ビタミン類、糖類及び酵素類を含むエタノール抽出溶液を濾過、濃縮することで本発明に係る植物抽出成分を含有する消臭剤を得ることができる。より具体的には、茶葉の生葉を80℃以下のエタノール、例えば50〜70℃のエタノールで抽出して製造されたものであり、この溶液には、茶葉の生葉に含まれるエタノール可溶性の成分及び水溶性成分を包含する。茶葉の生葉のエタノールでの抽出において、そのエタノール抽出液には、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−エピガロカテキン(EgC)、(−)−エピカテキンガレート(ECg)及び(−)−エピガロカテキンガレート(EGCg)等のフラバノール類、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素及び異性化酵素等の酵素類、フラボノール類、例えば、フラボン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、フラバリール、オーロン、アントアニジン、カルコン、ジヒドロカルコン等とフラボノール類のグリコシド、カフェイン、アミノ酸類、フラバンジオール類、多糖類及び蛋白質類、ビタミン類等を含む緑茶エキスと略同様の抽出成分が含まれている。茶葉の生葉成分は、天候、気温、収穫時及び収穫地により変動するので、消臭剤として均一で安定した消臭持続時間をもたらすと共に、消臭剤の消臭効果及び消臭力を補強するために、合成、精製されたビタミンC及びビタミンB1を、エタノール抽出液に、その固形分の1乃至2質量%添加することが好ましい。
【0049】
本発明に係る消臭剤は、カテキン類、ビタミン類、糖類及び酵素類を含むエタノールなどのアルコール溶液であり、さらに、茶葉の生葉のアルコールの抽出残渣を含ませることができる。したがって、本発明に係る消臭剤は、茶葉の生葉の粉砕物をアルコールに浸して、生葉に含まれる茶葉の成分を抽出することにより製造することができる。
【0050】
植物抽出成分を含有する消臭剤の他の具体例としては、ヒノキ、青森ヒバ、ブナ、スギ、クスノキ、ユーカリなどの樹木、香草、カラシ、ワサビ、レモン、カリン、ハッカ、チョウジ、セイロンニッケイ、竹、イリオモテアザミ根茎、あるいはヤエヤマヤシ根などであり、これらの植物体を、粉砕、圧搾、煮沸、あるいは水蒸気蒸留などにより処理することで、抽出物や抽出成分を得ることができる。植物由来の抽出成分、あるいは植物抽出成分と同等の構造を有する合成物の具体的な例としては、ヒノキチオールなどのトロポロン類、α−ピネン、β−ピネン、カンファ、メントール、リモネン、ボルネオール、α−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、シネオールなどのモノテルペン類、α−カジノール、t−ムロールなどのセスキテルペン類、カテキン、タンニンなどのポリフェノール類、2,3,5−トリメチルナフタレンなどのナフタレン誘導体、シトロネロールなどの長鎖脂肪族アルコール、シンナムアルデヒド、シトラール、ペリラアルデヒドなどのアルデヒド類、アリルイソチオシアネートなどのアリル化合物などが挙げられる。また、樹木を蒸し焼きにすることで得られる木酢液も本発明においては使用可能である。植物由来の抽出成分、あるいは植物抽出成分と同等の構造を有する合成物が水に不溶の場合は、界面活性剤など分散剤をもちいて、水に分散して用いることができる。
【0051】
市販の植物抽出成分消臭剤としては、例えば、F118(株式会社ファイン2製)、デルセン(有恒薬品工業社製)などが好ましく用いられる。
【0052】
本発明では、植物抽出成分の少なくとも1つが、フィトンチッド類であることが好ましい。
【0053】
フィトンチッド系脱臭剤とは、フィトンチッドを含有する植物抽出物を主成分とするもので、針葉樹より抽出した分子量15,000〜2,300,000の天然高分子物質にアニオン活性剤、グリコール類、特殊活性剤、ホスト化合物等を添加して製造され、その効果は、中和包接法により臭気成分を完全に化学的に分解し、他の物質に変える作用を有する。市販の商品としては、バイオダッシュD−200(ダイソー社製)が好ましく用いられる。
【0054】
(酵素系消臭剤)
本発明においては、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめ、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を水系媒体から分離する以前に、酵素を含有する消臭剤により処理することが好ましい。
【0055】
生体酸化酵素、とりわけ、ある種の金属含有酵素類のなかに、アンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン類、インドール、カルボニル化合物等を酸化分解する機能を持つものが多い。すなわち、臭気分子の多くは移動性水素を有するため、これを脱水素酸化し、ダイマー化、水溶性化及び不揮発化させることにより消臭が可能となる。
【0056】
消臭効果を有する酵素の具体例としては、タカラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、パパイン、キモパパイン、ペプシン等の酵素を挙げることができる。タカラーゼ酵素は、ヘマトポルフィリンを含み、アポ蛋白質と結合し、鉄が3価スピンの電子状態で、蛋白質のヒスチジンイミダゾール窒素が第5配位座に配位している。また、市販の酵素系消臭剤としては、バイオC(コンソルコーポレーション製)、バイオダッシュP−500(ダイソー社製)が好ましく用いられる。
【0057】
(金属フタロシアニン類及びそれを用いた人工酵素系消臭剤)
本発明においては、金属フタロシアニン系消臭剤を用いること、金属フタロシアニン類を含有する人工酵素系消臭剤を用いてトナーを製造することが好ましい。
【0058】
天然酵素であるタカラーゼと類似の触媒活性を有する金属フタロシアニン誘導体、好ましくはカルボキシフタロシアニン鉄錯体、特に好ましくはオクタカルボキシフタロシアニン鉄鉄錯体は、タカラーゼと類似の反応機構で臭気分子を分解する効果を有する。オクタカルボキシフタロシアニン鉄錯体の分子構造を以下に示す。
【0059】
【化1】
Figure 0003849499
【0060】
例えば、メルカプタンの酸化機構の例をとると、次の化学反応で示される。
2R−SH+2OH-→2R−S-+2H2O (1)
2R−S-+2H2O+O2→R−S−S−R+H22+2OH- (2)
(ただし、R:CH3又はC25
上式(1)の反応で生じたチオラートアニオンは、酸素とともに金属フタロシアニンに配位して三元錯体である活性種となり、次いで上式(2)のように、この活性種に配位しているチオラートアオニンは、ジスルフィドに2量化されることにより消臭される。このように、金属フタロシアニンを消臭剤として用いた場合、
1:反応速度が速く分解効率がよい
2:常温で反応が進行する
3:水系反応であるために環境汚染の心配がない
4:サイクル反応であるため、触媒寿命が長いなどの悪臭を分解する上に有利等の条件を具備している。
【0061】
また、本発明においては、金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物とをイオン結合させた人工酵素を消臭剤として用いる。高分子化合物の具体例としては、シクロデキストリンが好ましく用いられる。
【0062】
(微生物消臭剤)
本発明では、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめ、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を水系媒体から分離する以前に、微生物系消臭剤により処理することが好ましい。
【0063】
本発明に係る微生物系消臭剤としては、微生物培養液を用いた消臭剤が使用される。微生物としては、例えば、バチルス属、エンテロバクター属、ストレプトコッカス属、リゾープス属、アスペルギルス属から選ばれる1種以上の微生物を挙げることができる。更には、ニトロソモナス属、ニトロバクター属及びシュードモナス属の微生物が好ましく使用される。微生物消臭剤は、これらの微生物10質量部に対して、糖類5〜100質量部、水溶性窒素化合物0.1〜50質量部及び水1000〜50000質量部からなる混合物を、温度20〜40℃、酸素供給量0.02〜2.0リットル/分の条件下で15〜40時間培養後、遠心分離により得られた上澄み液または培養液を乾燥して得られる。培養液には、必要に応じ微生物を担持するためにオガクズなどの多孔性粉末20〜300質量部を加えてもよい。また、これら微生物系消臭剤には、液状アルデヒド、具体的にはグルタルアルデヒドを併せて使用しても良い。液状アルデヒドとの混合により、その消臭効果が一層高まり好ましい。
【0064】
本発明に好ましく使用される微生物の具体例としては、バチルス(Bacillus)属の微生物としては、特にバチルス・サブチルス(B.subtilis)[IAM(Institute of Applied Microbiology;東京大学応用微生物研究所有用菌株保存施設の略称;以下同様にこの略称で示す)1168]、バチルス・ナットウ(B.natto)[IFO(Institute for Fermentation Osaka:財団法人発酵研究所:の略称;以下同様にこの略称で示す)3009]が好適であるが、この他に、バルチス・コアギュラス(B.coagulans)[IAM 1115]、バチルス・マセランス(B.macerans) [IAM 1243]も利用できる。
【0065】
エンテロバクター(Enterobacter)属の微生物としては、エンテロバクター・サカザキ(E.sakazaki)[IAM 12660]、エンテロバクター・アグロネランス(E.agglonerans)[IAM 12659]などを用いることができる。
【0066】
ストレプトコッカス(Streptococcus)属の微生物としては、ストレプトコッカス・フェカリス(S.faecalis)[IAM 1119]、ストレプトコッカス・クレモリス(S.cremoris)[IAM 1150]及びストレプトコッカス・ラクチス(S.lactis)[IFO 12546]などを用いることができる。
【0067】
リゾープス(Rhizopus)属の微生物(カビ)としては、リゾープス・ホーモサエンシス(R.formosaensis)[IAM 6250]、リゾープス・オリザエ(R.oryzae)[IAM6006]などを用いることができる。
【0068】
アスペルギルス(Aspergillus)属の微生物としては、アスペルギルス・オリザエ(A.oryzae)[IFO 4176]、アスペルギルス・ニガー(A.niger)[IFO 4066]などを用いることができる。
【0069】
ニトロソモナス(Nitrosomonas)属の微生物としては、ニトロソモナス・ユーロパエア(N.europaea)[IFO 14298]などを用いることができる。
【0070】
ニトロバクター(Nitrobacter)属の微生物としては、ニトロバクター・アギリス(N.agilis)[IFO 14297]などを用いることができる。
【0071】
シュードモナス(Pseudomonas)属としては、シュードモナス・キャリオフィリ(P.caryophilli)[IFO 12950]、シュードモナス・スタッチェリ(P.statzeri)[IFO 3773]などを用いることができる。
【0072】
本発明に係る微生物消臭剤は、休眠中の微生物、消臭に有効な有機酸、有機物を分解する酵素を含むものである。すなわち、微生物が糖類やアルコールを乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸に変換したり、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど)を産出して、悪臭源(有機物)を分解する作用を奏する。
【0073】
(植物製油消臭剤1)
本発明に有効な素材とは、クスノキ科、セリ科、フトモモ科、シソ科、マツ科、ヒノキ科、イネ科の植物から得られる植物精油である。
【0074】
具体的には、以下の植物精油をあげることができる。これらは例えばシナモン油はシナモンから水蒸気蒸留法で抽出された精油であることを示す。また、()内にはこの精油成分中の主たる構成化合物名称を記載した。これら植物精油は単独でも、混合してもよい。また、主たる構成化合物自体を使用してもよいことは自明である。
【0075】
クスノキ科としては、例えばシナモン油(ケイ皮アルデヒド、シンナムアルデヒド)、カンファー油(リナロール)、ラベンサラ油(1,8−シネオール、α−テルピネオール)、ラベンサラ・オイゲノール油(1,8−シネオール、オイゲノール)、ローズウッド油(リナロール、α−テルピネオール)、ローリエ油(リナロール、1,8−シネオール、オイゲノール)等を、セリ科としては、例えば、キャラウェイ油(d−カルボン、リモネン)、アニス油(アネトール、アニスアルデヒド)、アンジェリカ油(α−ピネン、α−フェランドレン)、ガルバナム油(ピネン、γ−カジノール)、キャロットシード油(カロトール)、クミン油(クミナール)、コリアンダー油(リナロール、デカナール、デセナール、オクタナール)、ディル油(エポキシメンタン、フェランドレン、カルポン)、フェンネル油(アネトール、フェンコン)、ロベジ油(プチリデンフタライド、β−フェランドレン、酢酸テルピニル、オシメン)等を、フトモモ科としては、例えば、クローブ油(酢酸オイゲノール、オイゲノール)、カユプテ油(1,8−シネオール、α−テルピネオール)、ティートリー油(テルピネノール−4、γ−テルピネン)、ニアウリ油(1,8−シネオール、ビリジフロロール)、ニアウリ・ネロリドール油(ネロリドール)、マートル(ミルテ又はギンパイカ)油(1,8−シネオール、α−ピネン、酢酸ゲラニル)、ユーカリグローブルス油(グロブロール、ピノカルポン、1,8−シネオール)、ユーカリシュタイゲリアナ(ユーカリレモン)油(シトラール、酢酸ゲラニル)、ユーカリスミン油(α−テルピネオール、1,8−シネオール)、ユーカリディーベス油(ピペリトン、フェラドレン)、ユーカリラジアタ油(α−テルピネオール、1,8−シネオール)、ユカリシトリオドラ油(シトロネラール、シトロネロール)を、シソ科としては、例えば、セージ油(ツヨン、カンファー)、パチュリー油(パチュリアルコール、グアイエン)、ラベンダー(高Rラベンダー)油(酢酸リナリル、リナロール)、ローズマリー・カンファー油(カンファー、1,8−シネオール)、ローズマリー・シネオール油(1,8−シネオール)、スペアミント油(L−カルポン、リモネン)、タイム・ゲラニオール油(ゲラニオール、酢酸ゲラニル)、タイム・チモール油(チモール、p−シメン)、タイム・ツヤノール油(ツヤノール−4、テルピネノール−4)、タイム・リナロール油(シナロール、酢酸リナリル)、タイムサツレイオイデス油(ボルネオール、α−テルピネオール、カルバクロール)、パジル油(メチルカビコール)を、マツ科としては、例えば、シダーウッド油(カジネン、アトラントン)、パイン油(α−ピネン、β−ピネン、β−カリオフィレン、α−テルピネオール)、オーシュアカマツ油(α−ピネン、β−ピネン)、シベリアモモ油(酢酸ボルニル、カンフェン)、バルサムモミ油(β−ピネン、酢酸ボルニル)を、ヒノキ科としては、例えば、サイプレス油(α−ピネン、β−ピネン、酢酸テルピニル、セドロール)、ジュニバー・ブランチ油(α−ピネン、β−ピネン、ツヨプセン、サビネン)、ジュニバー・ベリー油(α−ピネン、テルピネノール−4、ゲルマクロン)を、またイネ科としては、例えば、シトロネラ油(メチルイソオイゲノール、ゲラニオール)、パルマローザ油(ゲラニオール、酢酸ゲラニル)、ベチバー油(ベチボ)、レモングラス油(ゲラニアール、ネラール、ゲラニオール)等をそれぞれ挙げることができる。
【0076】
(植物製油消臭剤2)
本発明に有効な素材とは、オイゲノール、シンナムアルデヒド、p−シメン、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル及び安息香酸ベンジルであり、これらより選択される少なくとも1種を含有することが特徴である。
【0077】
オイゲノールには、例えばラベンサラオイゲノール(クスノキ科)、パジルオイゲノール(シソ科)、クローブ(フトモモ科)があり、シンナムアルデヒドにはシナモン(クスノキ科)、p−シメンにはタイムチモール(シソ科)があり、また、安息香酸ベンジルには、イランイラン(バンレイシ科)がある。
【0078】
なお、植物製油とは、種々の植物の花、葉、果実、枝、根等から得られる芳香、揮発性の油を指す。
【0079】
(アミリスオイル系消臭剤)
本発明におけるアミリスオイルとは、南アメリカ北部のミカン科のアミリス・バルサミフェラ(Amyris Balsamifera)の木部や種子から水蒸気蒸留で抽出された植物精油である。その主成分はカジノール、カジネン、カリオフィレンである。
【0080】
本発明における使用方法は、アミリスオイルを界面活性剤を使用して水中に乳化させる。この乳化液を重合反応あるいは塩析/融着反応させた後の濾過・洗浄時に洗浄液として使用する。その結果、着色粒子表面に残存する連鎖移動剤と反応し、化学反応によりその臭気成分を分解、消臭するものである。
【0081】
(大環状ラクトン、大環状ケトン化合物)
香料として用いられる大環状ラクトン化合物としては、例えば、14−テトラデカノリド、15−ペンタデカノリド、11(または12)−ペンタデセン−15−オリド、16−ヘキサデカノリド及び9−ヘキサデセン−16−オリド等を挙げることができる。
【0082】
また、香料として用いられる大環状ケトン化合物としては、例えば、シクロペンタデカノン、3−メチル−シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、8−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロヘプタデカノン、3−エチル−シクロペンタデカノン、3−プロピル−シクロペンタデカノン、9−シクロヘプタデセン−1−オン、シクロヘンエイコサノン、3−メチル−シクロヘンエイコサノン、11−シクロヘンエイコセン−1−オン等を挙げることができる。
【0083】
(ピルビン酸エステル類)
本発明においては、以下に示すピルビン酸エステル類を用いることにより安全性の高い効果的な消臭効果を得ることが出来ることを見いだした。
【0084】
【化2】
Figure 0003849499
【0085】
ここにおいて、Rは炭素数1〜18の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基を表す。更に具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の基が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、また、トリル基、p−クロルフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、p−イソプロピルベンジル基等を挙げることが出来る。アラルキル基としてはノルボルニル基、シトロネリル基、ゲラニル基等を挙げることが出来る。
【0086】
これらの化合物の使用に関しては単独若しくは混合物としても用いる事が出来る。ピルビン酸の調製はピルビン酸を公知の方法でエステル化する、或いは乳酸エステルを酸化する方法等により得ることが出来る。
【0087】
使用方法は、先ずピルビン酸エステル類を界面活性剤を使用して水中に乳化させる。次いで洗浄時に着色粒子全体に対してピルビン酸エステル類が0.001〜1質量%程度となるようにトナー粒子の洗浄液に添加し洗浄することが好ましい。この工程については繰り返すことでその効果は増大するため、繰り返し洗浄してもよい。
【0088】
(水に溶解または分散させた消臭剤)
本発明においては、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめ、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を水系媒体から分離する以前に、水に溶解または分散させた消臭剤液により処理することが好ましい。本発明に係る消臭剤溶液は、水を50質量%以上含有し、更にアルコール、界面活性剤、有機酸等を含有しても良い。
【0089】
(トナー粒子表面への消臭剤の吸着)
本発明においては、乾燥時または密封包装後、トナー臭気成分がトナー内部より滲出しても、消臭作用を持続させる観点から、消臭剤は表面に吸着した状態をとることが好ましい。吸着させる方法としては、特に限定されないが、トナーを重合、塩析凝集させる水系媒体に消臭剤を溶解または分散させることが好ましく、後述するトナー濾過洗浄工程で、界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去した後に、高濃度の消臭剤液で処理することが特に好ましい。吸着させる消臭剤濃度は、トナーに対して、0.01〜10ppmであることが好ましい。0.01ppm以下では消臭作用の持続性が低く、10ppm以上では帯電特性が安定しない。
【0090】
また、水系媒体中で上記記載の各連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体を重合せしめて形成された樹脂と着色剤とからなる重合法トナーでは、重合法トナー中のラジカル重合性単量体が200ppm以下であり、かつ連鎖移動剤が50ppm以下であることが好ましい。そのためには、少なくとも水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し、連鎖移動剤を含むラジカル重合性単量体を重合せしめて形成された樹脂粒子を、水系媒体中で融着させてなる重合法トナーの製造方法では、水溶性重合開始剤を複数回添加して製造することが好ましい。
【0091】
また、本発明に係る重合法トナーにおいては、連鎖移動剤自体として臭気の少ないものを使用することが好ましく、本発明で用いることのできる連鎖移動剤を以下に列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
本発明で用いることのできる連鎖移動剤の一例としては、下記一般式(1)あるいは一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0093】
一般式(1) HS−R1−COOR2
(式中、R1は置換基を有してもよい炭素数が1〜10の炭化水素基であり、R2は置換基を有してもよい炭素数が2〜20の炭化水素基を示す。)
前記一般式(1)の化合物として、好ましいものとしては、チオグリコール酸エステル類、3−メルカプトプロピオン酸エステル類をあげることができる。具体的にはチオグリコール酸エステル類として、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、トリメチロールプロパンのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル、ソルビトールのチオグリコール酸エステルをあげることができ、3−メルカプトプロピオン酸エステル類としては、エチルエステル、オクチルエステル、デシルエステル、ドデシルエステル、ペンタエリスリトールテトラキスエステル、エチレングリコールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ネオペンチルグリコールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、トリメチロールプロパンの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ソルビトールの3−メルカプトプロピオン酸エステルを挙げることができる。
【0094】
一般式(2) HS−R3
(式中、R3は置換基を有してもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。)好ましいものとしては、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどをあげることができる。
【0095】
また、他の好ましい連鎖移動剤として、テルペン系化合物を挙げることができる。テルペン系化合物は、連鎖移動剤としてメルカプタン系化合物と同じ性能を持ち、且つ加熱による定着時に臭気を発生しない性能を有する化合物がある。即ち、本発明に係るトナーにおいて、テルペン系化合物の中で、モノあるいはセスキテルペン系化合物を連鎖移動剤として使用した重合法により作られた樹脂微粒子を用いたトナーであることが好ましい。更に、モノテルペン系化合物の中で特に好ましい化合物としては、α−ピネン、β−ピネン、3−カレン、カンフェン、リモネン、ターピノーレン、α−ターピネン、ミルセン、α−ターピネオール、β−ターピネオール、リナロール、ネロール、ゲラニオールが挙げられ、セスキテルペン系化合物の中で特に好ましい化合物としては、リンゴフォーレン、カリオフィレンが挙げられる。
【0096】
本発明で用いることのできるモノテルペン系化合物及びセスキテルペン系化合物連鎖移動剤は、従来知られているチオグリセリン、チオグリコール酸、チオグリコール酸エステル、メルカプタン系化合物、四塩化炭素、クロロホルム等の連鎖移動剤と同じ方法で使用することが可能である。
【0097】
本発明において、モノテルペン系化合物又はセスキテルペン系化合物の使用量としては、ラジカル重合性単量体組成物に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜4質量%である。0.01質量%以下では効果を発揮することができない、5質量%を越えた場合は未反応の状態で連鎖移動剤が残存し好ましくない。
【0098】
また、他の好ましい連鎖移動剤としては、メルカプトシラン系連鎖移動剤を使用することができる。
【0099】
本発明で用いることのできるメルカプトシラン系連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルエチルジメトキシシラン、メルカプトメチルエチルジエトキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシシラン、2−メルカプトエチルエチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチルメチルジメトキシシラン、4−メルカプトブチルメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチルエチルジメトキシシラン、4−メルカプトブチルエチルジエトキシシラン、8−メルカプトオクチルエチルジメトキシシラン、8−メルカプトオクチルエチルジエトキシシラン、12−メルカプトドデシルエチルジメトキシシラン、12−メルカプトドデシルエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。上記化合物の使用量としては、全トナー質量の0.01〜5質量%が好ましい。
【0100】
また、他の好ましい連鎖移動剤として、公知の水溶性連鎖移動剤を用いることができ、例えば、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、クロロメタノール、2−クロロエタノール、1−クロロ−2−プロパノール、2−クロロ−n−プロパノール、3−クロロ−n−プロパノール、2−クロロ−n−ブタノール、3−クロロ−n−ブタノール、4−クロロ−n−ブタノール、クロロペンタノール、クロロヘキサノール、クロロヘプタノール、クロロオクタノール、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、クロロジフルオロ酢酸、α−クロロプロピオン酸、β−クロロプロピオン酸、p−クロロ安息香酸、2−クロロ−6−フルオロ安息香酸、α−ブロモプロピオン酸、β−ブロモプロピオン酸、2−ブロモ−n−吉草酸、5−ブロモ吉草酸、11−ウンデカン酸、α−ブロモフェニル酢酸、p−ブロモフェニル酢酸、2−ブロモオクタン酸、2−ブロモペンタン酸、2−ブロモヘキサン酸、6−ブロモヘキサン酸、クロロこはく酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、クロロマロン酸等が挙げられる。
【0101】
次に、本発明で用いられるトナーの製造方法について説明する。
(トナー製造方法)
本発明に係るトナーの製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。すなわち、離型剤を含有する樹脂粒子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、離型剤を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0102】
本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0103】
本発明に係るトナーの製造方法の一例を以下に示す。
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
【0104】
1:離型剤及び/又は結晶性ポリエステルが最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程(I)
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程(II)
3:トナー粒子の分散液系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
【0105】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程(I)〕
多段重合工程(I)は、多段重合法により、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成することにより、複合樹脂粒子を製造する工程である。
【0106】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
【0107】
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0108】
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と1層の被覆層より構成されるものである。
【0109】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体Lに溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0110】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0111】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と2層の被覆層から構成されるものである。
【0112】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0113】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0114】
離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0115】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0116】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
【0117】
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0118】
この重合工程(I)で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0119】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0120】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
〔塩析/融着工程(II)〕
この塩析/融着工程(II)は、前記多段重合工程(I)によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0121】
本発明でいう塩析とは、水性媒体中に分散した状態にある複合樹脂粒子を塩の作用を利用して凝集させることをいう。また、融着とは、上記塩析によって凝集した樹脂粒子同士の粒子間界面を消失させることをいう。本発明の塩析/融着とは、塩析と融着の2つの工程が順次に起こること、または順次におこさせる行為をさす。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0122】
この塩析/融着工程(II)では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0123】
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0124】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0125】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0126】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0127】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0128】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0129】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0130】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0131】
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0132】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0133】
本発明に係るトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0134】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明に係るトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0135】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0136】
さらに、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得ることができる。
【0137】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(重合性単量体)
本発明に用いられる樹脂(バインダー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0138】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0139】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0140】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0141】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0142】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0143】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0144】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0145】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0146】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0147】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0148】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0149】
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0150】
(4)塩基性極性基を有するモノマー
塩基性極性基を有するモノマーとしては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0151】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0152】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0153】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0154】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0155】
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0156】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0157】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0158】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0159】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0160】
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または他の目的で使用してもよい。
【0161】
(樹脂粒子、トナーの分子量分布)
本発明に係るトナーは、ピークまたは肩が100,000〜1,000,000、および1,000〜50,000に存在することが好ましく、さらにピークまたは肩が100,000〜1,000,000、25,000〜150,000及び1,000〜50,000に存在することがさらに好ましい。
【0162】
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ピーク分子量で15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0163】
トナーあるいは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSKguard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0164】
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0165】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0166】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0167】
本発明で言う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0168】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0169】
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0170】
(着色剤)
本発明に係るトナーは、上記の複合樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着して得られる。
【0171】
本発明に係るトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0172】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0173】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0174】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0175】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0176】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0177】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0178】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0179】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0180】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0181】
本発明に係るトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0182】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0183】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0184】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0185】
(離型剤)
本発明に使用されるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0186】
本発明に係るトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0187】
1−(OCO−R2n
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0188】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0189】
【化3】
Figure 0003849499
【0190】
【化4】
Figure 0003849499
【0191】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0192】
本発明に係るトナーでは、ミニエマルジョン重合法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、トナー粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
【0193】
(荷電制御剤)
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を添加することができる。具体的には、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0194】
荷電制御剤は、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0195】
(外添剤)
本発明に係るトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0196】
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
【0197】
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル(株)製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト(株)製のHVK−2150、H−200、キャボット(株)製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0198】
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品T−805、T−604、テイカ(株)製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン(株)製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産(株)製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0199】
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品RFY−C、C−604、石原産業(株)製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0200】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0201】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0202】
外添剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0203】
〈外添剤の添加工程〉
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
【0204】
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0205】
(トナー粒子)
本発明に係るトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、トナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
【0206】
個数平均粒径が3〜10μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0207】
トナーの個数平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。
【0208】
本発明においては、コールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおけるアパーチャーとしては、100μmのものを用いて、2μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0209】
〈トナー粒子の好ましい形状係数の範囲〉
本発明に係るトナーの形状係数は、1.0〜1.6のものが65個数%以上、好ましくは1.2〜1.6のものが65個数%以上、特に好ましくは1.2〜1.6のものが70個数%以上のものである。
【0210】
本発明に係るトナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0211】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0212】
本発明に係るトナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0213】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0214】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0215】
〔測定条件〕
1:アパーチャー:100μm
2:サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0216】
(現像剤)
本発明に係るトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0217】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0218】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0219】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0220】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0221】
(画像形成方法)
本発明に係るトナーは、トナー像が形成された画像形成基材を、前述の図1で説明した定着装置を構成する発熱体を備えたシームレスフィルムと加圧ローラとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
【0222】
本発明に係る画像形成方法については、前述のごとく図1を用いて詳細に説明したが、その他の事項について、以下補足説明を行う。
【0223】
シームレスフィルム1としては、基層の厚さとして30〜100μm、またその外径は10〜100mmのポリイミドシームレスフィルであることが好ましく、また、定着部材の表面に設けるフッ素樹脂層の厚みは1〜50μmが好ましい。また、離型層の厚みは5〜100μmが好ましく、5μm未満であると離型層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、100μmを超える離型層の表面には紙粉によるキズがつきやすく、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
【0224】
シームレスフィルム1と加圧ローラ5との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nとされ、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nとされる。この当接荷重は、シームレスフィルム1の強度を考慮して規定することが好ましい。
【0225】
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105Pa〜1.5×105Paであることが好ましい。
【0226】
図1に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(シームレスフィルム1のニップ点7における表面温度)が150〜210℃とされ、定着線速が80〜640mm/secとされる。
【0227】
本発明において使用する定着装置には、必要に応じてクリーニング機構を付与してもよい。この場合には、シリコーンオイルを定着部の上ローラ(加熱ローラ)に供給する方式として、シリコーンオイルを含浸したパッド、ローラ、ウェッブ等で供給し、クリーニングする方法が使用できる。
【0228】
シリコーンオイルとしては耐熱性の高いものが使用され、ポリジメチルシリコーン、ポリフェニルメチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン等が使用される。粘度の低いものは使用時に流出量が大きくなることから、20℃における粘度が1〜100Pa・sのものが好適に使用される。
【0229】
但し、本発明による効果は、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置により、画像を形成する工程を含む場合に特に顕著に発揮される。従って、シリコーンオイルを供給する場合であっても、その供給量はA4用紙1枚当たり2mg以下とすることが好ましい。
【0230】
シリコーンオイルの供給量をA4用紙1枚当たり2mg以下とすることにより、定着後の転写紙(画像支持体)に対するシリコーンオイルの付着量が少なくなり、転写紙へ付着したシリコーンオイルによるボールペン等の油性ペンの記入しずらさがなく、加筆性が損なわれることはない。
【0231】
また、シリコーンオイルの変質による耐オフセット性の経時的な低下、シリコーンオイルによる光学系や帯電極の汚染などの問題を回避することができる。
【0232】
ここに、シリコーンオイルの供給量は、所定温度に加熱した定着装置(ローラ間)に転写紙(A4サイズの白紙)を連続して100枚通過させ、通紙前後における定着装置の質量変化(Δw)を測定して算出される(Δw/100)。
【0233】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0234】
《各種消臭剤の調製》
下記に示す方法に従って、消臭剤1〜4を調製した。
【0235】
〈消臭剤1:植物抽出成分の消臭剤〉
市販の植物抽出成分の消臭剤であるF118(ファイン2社製)10gを、40℃のイオン交換水2kgに溶解して、消臭剤1を調製した。
【0236】
〈消臭剤2:酵素系の消臭剤〉
市販の消臭剤であるバイオダッシュP−500(ダイソー社製)5gを、40℃のイオン交換水2kgに溶解して、消臭剤2を調製した。
【0237】
〈消臭剤3:植物抽出成分を含む酵素系消臭剤〉
市販の消臭剤であるバイオC(コンソルコーポレーション社製 酵素系の消臭剤で植物抽出成分を含んでいる)5gを、40℃のイオン交換水2kgに溶解して、消臭剤3を調製した。
【0238】
〈消臭剤4:アミリスオイル系消臭剤〉
アミリスオイル2gを界面活性剤を含むイオン交換水200mで分散して、乳化液である消臭剤4を調製した。
【0239】
《トナー、現像剤の調製》
(樹脂粒子の調製)
〔樹脂粒子1HMLの調製〕
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C1021(OCH2CH22OSO4Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0240】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを樹脂粒子(1H)とする。
【0241】
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を98.0g添加し、90℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤A1.6gを、イオン交換水2700mlに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
【0242】
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを樹脂粒子(1HM)とする。
【0243】
上記樹脂粒子(1HM)を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
【0244】
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した樹脂粒子(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸35.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この樹脂粒子を樹脂粒子(1HML)とする。
【0245】
この樹脂粒子(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、78,000および14,500にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の質量平均粒径は124nmであった。
【0246】
〔樹脂粒子(2HML)の調製〕
上記樹脂粒子(1HML)の調製において、中間層の形成(第二段重合)におけるメタクリル酸の添加量を15.4gから10.5gに、更に外層の形成(第三段重合)において、メタクリル酸の添加量を35.4gから18.5gに変更した以外は同様にして、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有する複合樹脂粒子の分散液)を調製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子(2HML)」とする。
【0247】
この樹脂粒子(2HML)を構成する複合樹脂粒子は、118,000、80,000および13,500にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の質量平均粒径は110nmであった。
【0248】
(トナーの調製)
〔トナー粒子の調製〕
〈トナー粒子1〜4の調製〉
アニオン系界面活性剤B(ドデシル硫酸ナトリウム)の59.0gを、イオン交換水1600mlに攪拌、溶解した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)420.0gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、着色剤分散液1という。)を調製した。この着色剤分散液1における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で98nmであった。
【0249】
前記調製した樹脂粒子(1HML)を420.7g(固形分換算)と、イオン交換水を900gと、上記調製した着色剤分散液1の166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
【0250】
次いで、表2に記載の組み合わせで各凝集剤をイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この水溶液を30分間かけて90℃まで昇温し、粒子の成長を開始した。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が4.0μmになった時点で、表2に記載の停止剤をイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温度98℃にて2時間にわたり加熱攪拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却した。次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した会合粒子をヌッチェで濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、前記調製した各消臭剤を表2に記載の組み合わせで、それぞれヌッチェ上に注いで濾過した後、40℃の温風で乾燥することにより、表2に記載の構成からなる本発明のトナー粒子1〜4を調製した。
【0251】
〈トナー粒子5〜7の調製〉
上記トナー粒子1〜4の調製において、樹脂粒子(1HML)に代えて樹脂粒子(2HML)を用い、更に表2に記載のように凝集剤及び停止剤の種類及び添加量と消臭剤の種類を変更して、トナー粒子5〜7を調製した。
【0252】
〈比較トナー粒子1の調製〉
スチレン、アクリル酸よりなる分子量3,000に極大値を有する重合体の55質量部と、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸よりなる分子量100,000に極大値を有する重合体の20質量部と、スチレン、ブチルアクリレートよりなる分子量650,000に極大値を有する重合体の25質量部とを、キシレン中で均一にブレンドした。減圧下でキシレンを留去して、バインダー樹脂1を得た。
【0253】
バインダー樹脂1の100質量部、カーボンブラック10質量部及びポリプロピレンワックス4質量部を二軸ロール混練機にて溶融混練した後、ジェットミルにて粉砕した。次いで、風力分級機により体積平均粒径8.5μmのトナー組成物を得た。このトナー組成物100質量部に対し、疎水性シリカ1質量部を加え乾式ミキサーにて混合し、比較トナー粒子1を得た。
【0254】
この比較トナー粒子1の分子量分布を、ゲルパーミュエイションクロマトグラフィーにて測定した結果、そのクロマトグラムにおいて、分子量3,000にメインピーク、分子量500,000に1つのピーク、分子量130,000付近にショルダーを有していた。低分子量成分(LP)は63質量%、中間分子量成分(MP)は20質量%、高分子量成分(HP)は17質量%であり、[MPratio+2×HPratio]は54質量%であった。また、この比較トナー粒子1のガラス転移点を測定した結果、ガラス転移点は55℃であった。
【0255】
なお、カラス転移点温度の測定は、DSCで測定し、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をガラス転移点とした。具体的には、示差走査熱量計を用い、100℃まで昇温しその温度にて3min間放置した後、降下温度10℃/minで室温まで冷却する。ついで、このサンプルを昇温速度10℃/minで測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点として測定した。測定装置としては、パーキンエルマー社製のDSC−7を使用した。
【0256】
【表2】
Figure 0003849499
【0257】
(各トナー粒子中の金属塩a、b及び重合単量体含有率の測定)
上記調製した各トナーについて、請求項1、3で規定する金属塩a、bの含有率及びカルボキシル基を含有する重合単量体の含有率を測定し、得られた結果を表3に示す。
【0258】
なお、各トナー中の金属塩a、bの含有率の測定は、蛍光X線分析装置「システム3270型」(理学電気工業社製)を用いて、無機塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)から発する蛍光X線強度及びそれに対応する塩基の蛍光X線強度を測定して求めた、また、カルボキシル基を含有する重合単量体の含有率は、熱分解ガスクロマトブラフ法で求めた。
【0259】
【表3】
Figure 0003849499
【0260】
(現像剤の調製)
現像剤としては体積平均粒径60μmのシリコーンコートキャリアを用い、トナー濃度が6%となるようそれぞれのトナーと混合し用いた。
【0261】
《画像形成及び形成画像の評価》
(画像形成)
図1に記載の構成からなるシームレスフィルムを有するオンデマンド方式の定着装置を備えた電子写真装置を使用して画像形成を行った。
【0262】
シームレスフィルム1は、3層の積層構造を有し、基層としては厚さ50μm、外径25μmの円筒状のポリイミドシームレスフィルムである。その上層には厚さ5μmの導電層を設け、更に表面に、抵抗値調整剤として日本化学工業株式会社製商品名「ヒシコーリンPX−2B」を10質量%含有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のフッ素樹脂層を厚さ10μmで設けた。各構成層は、浸漬塗布法によりポリイミドフィルム上に塗設し、乾燥後焼き付けを行って作製した。
【0263】
図1で示す定着装置には、定着フィルム1内部に、発熱体3としてセラミックヒーターが設けられており、定着フィルムの表面温度を170℃、定着スピードを220mm/sec、ニップ幅を10mmに設定した。未定着トナー像を、定着フィルム1と加圧ローラ5とによって形成されるニップ#域に導入して通過させ、熱および圧力によって、基材上に印字した各トナー画像を定着させ、その定着状態について、下記の評価を行った。なお、未定着トナー像のトナー密度は1.5mg/cm2であった。
【0264】
〈定着可能温度域の測定〉
定着フィルムの温度を120℃〜240℃の範囲で10℃刻みで変更し、定着画像を作製した。なお、定着画像の出力に当たっては、A4サイズの普通紙(坪量64g/m2)を使用した。
【0265】
得られた定着画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法により、定着率の評価を行った。具体的には、各トナーの付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のベタ定着画像を作製した後、スコッチメンディングテープ(住友3M社製)による剥離前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として測定した。画像濃度の測定には、マクベス社製の反射濃度計RD−918を使用し、定着率が95%以上得られた定着温度を定着可能温度と定義した。
【0266】
以上の方法により測定した定着可能温度について、下記に示す基準に則り定着可能温度域のランク付を行った。
【0267】
◎(優良):定着可能温度領域が100℃以上ある
○(良好):定着可能温度領域が70℃以上100℃未満である
△(実用可能):定着可能温度領域が40℃以上70℃未満である
×(不良):定着可能温度領域が40℃未満である
〈耐オフセット性の評価〉
A4サイズの転写紙に、各トナーを用いて1000枚連続印字した後、白紙を印字し、オフセットによる白紙の汚れと定着部材表面のトナー汚れを目視にて観察した。なお、転写紙としては上質紙200g/m2の厚紙を使用し、紙進行方向(定着フィルムー周方向)に平行な、幅0.3mm、長さ150mmの線画像を形成し、下記に記載の基準に則りオフセット性の評価を行った。
【0268】
◎:画像オフセット、定着フィルムのトナー汚れ共に、全く認められない
○:画像オフセットは確認できないが、定着フィルムにトナー汚れが認められる
×:画像オフセットが明らかに確認できる
上記ランクにおいて、◎、○は実用可、×は実用不可であると判断した。
【0269】
〈定着部材の寿命の評価〉
上記記載の条件で、連続印字を行い、定着フィルム、または加圧ローラの表面に清掃不能となるまでトナーがこびり付く、または定着フィルム、または加圧ローラ表面の離型層が剥離したことによる画像不良が検出され始めた枚数を、定着部材の寿命の尺度とした。
【0270】
〈定着時の臭気の評価〉
排気フィルターを取り外し、図1で記載の定着ユニットを有する電子写真装置を用いて、各トナーにより画像面積7%のチャートを連続1000枚プリントし、その際の定着臭気について、一般的なパネラー20人により下記の基準に則り臭気の判定を行った。
【0271】
◎:ほとんど臭気は認められない
○:僅かに臭気は認められるが、特に不快感はない
×:不快感のある臭気が認められる
以上により得られた結果を表4に示す。
【0272】
【表4】
Figure 0003849499
【0273】
表4より明らかなように、周回移動する定着フィルムを有し、定着フィルム上に弾性体層が形成された加熱定着装置を用いた定着方法においては、本発明に係る消臭剤を含有する重合トナー粒子を用いたトナーを用いることにより、比較例に対して、定着温度領域、耐オフセット性に優れ、定着部材の寿命が長く、かつ定着時の臭気の発生がほとんどないことが判る。
【0274】
【発明の効果】
本発明により、定着温度領域が広く、耐オフセット性に優れ、定着部材の寿命が長く、かつ定着時の臭気が低減された電子写真装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシームレスフィルムを有するオンデマンド方式の定着装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 定着フィルム
2 フィルムガイド
3 発熱体
4 温度センサー
5 加圧ローラ
6 芯金
7 ニップ点
8 基材
9 トナー

Claims (4)

  1. トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着手段を有する電子写真装置において、該トナー像と接する定着部材がポリイミドシームレスフィルムであり、かつトナーが、価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、トナー全質量に対し最も多く含まれる金属塩の含有量をa(質量%)、次に多く含まれる金属塩の含有量をb(質量%)としたとき、a及びbが下記式(1)で表される関係であることを特徴とする電子写真装置。
    式(1)
    2.0≧a≧0.1
    1.0≧b≧0.01
    7.5≧a/b≧1.1 ただしa、bの質量は無水物換算値を表す。
  2. 前記トナーが、樹脂粒子を塩析/融着させて製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  3. トナー像を加熱溶融させて転写材に定着させる定着手段を有する電子
    写真装置において、該トナー像と接する定着部材の表面材質が、少なくともフッ素樹脂と
    定着手段の最高使用温度以上の融点を有するイオン導電性の電気抵抗値制御材料とを含み
    、かつトナーが、価数の異なる二種以上の金属塩を含有し、トナー全質量に対し最も多く
    含まれる金属塩の含有量をa(質量%)、次に多く含まれる金属塩の含有量をb(質量%
    )としたとき、a及びbが記式(1)で表される関係であることを特徴とする電子写真
    装置。
    式(1)
    2.0≧a≧0.1
    1.0≧b≧0.01
    7.5≧a/b≧1.1 ただしa、bの質量は無水物換算値を表す。
  4. 前記トナーが、水系媒体中で粒子を形成する工程及び消臭工程を経て製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置。
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