JP3849167B2 - 液体注入装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者が必要時に続けて複数回の液体を自己投与することができ、その際に引き続いた２回の投与の間隔が所定の基準値より短くならない、携帯可能で非埋め込み型の液体注入装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
下記の構成部材からなる液体注入装置は知られている。
注入口を備えたチャンバ、
この注入口と共働する逆止め(non-return)手段、
前記チャンバの内部で前記注入口に向かって押され、戻り手段からの駆動作用により逆方向に戻るようになっている、周囲に側面シール材を持つピストン、
ピストンの帰り行程(return stroke) の最後におけるチャンバの容積が、投与すべき１回分の容積に対応するように逆方向のピストンの行程を制限する手段、および
基準値に対応して流量制限手段(flow rate limiter) を経てチャンバと連通している、数回分の容量を持った液体溜め。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、小型で、取扱いが容易で、事故の危険性が少ない、上記種類の液体注入装置を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、液体溜めがピストン内に形成され、この液体溜めがピストンを貫通して形成された流路を経てチャンバの内部と連通しており、ピストンの戻りによりチャンバ内に生じた吸引力の作用で液体が液体溜めから吸引される際に液体がチャンバに充満する時間が基準値と対応するようにするための流量制限手段が、前記流路内に設けられていることを特徴とする、前記種類の装置により上記目的が達成される。
【０００５】
好ましくは、本発明の装置は、装置の構成部材の全部が１つの筒状ケース内に収容された単一のユニットからなる。このケースの上面は、ピストンに装着されたプッシャー (pusher、押し部) に触れることができるようにしたカバーにより閉じられている。この装置は、その注入口に接続されているチューブを除いて、事故の原因となりうる外部チューブを全く持っていない。
【０００６】
筒状ケースは、ピストンを誘導する役目を果たし、ピストンは側面に遊びを取らずにこのケース内で摺動するように装着される。
【０００７】
【発明の実施の形態】
このような本発明の装置の１態様について、以下に添付図面を参照しながら説明するが、これは例示に過ぎず、本発明を制限するものではない。以下の説明および添付図面は、その態様に含まれる上記以外の他の有利な構造上の特徴も示すが、これらは変更例にあっては、独立して別々に、或いはいくつか組合わせて採用することもできる。
【０００８】
図示の本発明の装置は、下記の全ての部材を円筒形ケース13内に収容した、単一ユニットの形態の装置である。
注入口1aを備えたチャンバ１；
既に注入された液体がピストンの帰り行程中に前記注入口からチャンバ内に吸引されて戻るのを防止するための、注入口1aと共働する逆止め手段２ (例、周知の逆止弁) ；
チャンバの内部で注入口1aに向かって軸方向に押し下げられ、戻り手段からの駆動作用により逆方向に戻るようになっている、周囲に側面シール材４を持つ剛性ピストン３、このピストンの帰り行程の最後 (図１に示す位置) において、チャンバの容積Ｖは、投与すべき１回分の量の容積に対応する；および
ピストン内に形成された液体溜め７、この液体溜めは、ピストン内に形成され、基準値に応じて寸法が選択された毛管９を備えた流路８を経てチャンバ１の内部と連通している。
【０００９】
有利には、毛管９を備えた流路８は、この毛管の上流にフィルター9'をさらに備えている。毛管９は流量制限手段として機能する。
有利には、ピストン３は、側面シール材４を持ち、チャンバ１内に侵入する下部ピストン部分3Aと、前記液体溜め７を収容するカートリッジを構成する上部ピストン部分3Bとから構成される。好ましくは、図示例のように、着脱自在の取付け手段により、上部ピストン部分が下部ピストン部分に固定されている。
【００１０】
図示例では、この着脱自在の取付け手段は、下部ピストン部分3Aの上面に形成した雌型の円錐形ソケット10と、その中に嵌入する上部ピストン部分3Bの底面に形成した雄型のスパウト(spout) 11とからなり、このソケットとスパウトが共働するネジ山を有していて、ネジ止めにより前記の固定が行われる (図３、４) 。
【００１１】
この態様では、チャンバ１はケース13と一体成形され、ケースの底面にはチャンバの両側に配置した２個の窓13a がある (図５) 。この窓を通して部材12に固定された２個のアーム15がケース13内に入り込む。この部材12は、逆止め手段２を注入口1aに押しつけて保持するように、ケースの底面の外面13b に当たるように外部から装着され (図３) 、普通の手段で外部チューブに接続するための注入口ソケット12a を備えている。
【００１２】
この態様では、外部装着部材12およびピストン３が、ピストンの帰り行程を制限するように共働する手段をそれぞれ持っている。
例えば、ピストン３は、ピストンが動くときにアーム15に沿って摺動する直交 (クロス) 部材14を持っており、外部装着部材12のアーム15の先端部15a は外側に突出している。ピストンの帰り行程の最後で、ピストンに設けた直交部材14は部材12に設けたアーム15の先端部15a にぶつかり、それによってピストンの帰り行程の最後が決まる。
【００１３】
直交部材14に設けた穴16の大きさは、アーム15をその時だけ撓ませてピストンをケースの内部に組み込む際に、アームの先端部15a を通過させるのに十分なものとする。
【００１４】
有利には、戻りバネ５をケース内部の部材12の周囲に配置し、直交部材14に当たるようにしておく。
直交部材は任意の所望形状のものでよく、例えばディスク (円板) 形でよい。
【００１５】
図１からわかるように、液体溜め７は、その内部の液体の液面に追従するプラグ (栓) 17を備えている。このプラグは、液体溜め内で液体の上部に空間ができるのを阻止すると同時に、装置がどのような位置にあっても装置から液体が漏れない漏れ止めを保証する。
【００１６】
ピストン３の上端は、押しボタン18により閉じられている。押しボタン18は、ケース13の上端に装着されたカバー20内に形成された開口19から突出している。図１〜７に示した態様では、カバー20はアーム21を備え、このアーム21はケースの側面上に形成した通路22を通って、アームの上端がこの通路内で詰まって動かなくなるまで押し下げられるので、カバーを取り外すにはアームを壊さなければならなくなる。そのため、カートリッジ3Bをこっそり回収または交換することが不可能となる。
【００１７】
変更例では、図８に示すように、カバーを開けることができるように装着する。なお、この図は例示として示したものであり、別のやり方も可能である。図８に示す態様では、カバー20' はケース13' に旋回により開けることができるように装着されている。
【００１８】
押しボタン18は、液体溜め内の可動プラグ17より上部に空気を入れて可動プラグに大気圧が作用するように穿孔されている。
有利には、ケースは透明または穿孔部分23を有し、この部分には任意に基準マークを付けてもよい (図８) 。それにより、プラグ17が見えるようになるため、液体溜め７に残っている液体の残量が表示される。
【００１９】
この装置の多くの変更が可能である。例えば、１つの有利な態様では、ケースを分解した時に、ピストンの２つの部分3Aと3Bを一緒に固定した部位にアクセスできるようにケースを分離可能ないくつかの部分に分けて構成する。それにより、特に液体溜めカートリッジ3Bを変更する時に、上記部位における作業が容易になる。
【００２０】
別の変更例では、チャンバをケースに装着するのではなく、部材12により保持するようにしてもよい。その場合、ケースの底面は、これを通ってチャンバを挿入することができるように十分に開けておく。
【００２１】
【作用】
図１は、すぐに使用できる状態の装置を示す。図１に示す位置からスタートして、患者はピストンを手で押して、ピストンがチャンバ１の底面で注入口1aに当たるその行程の最後に到達するまでピストンを押し下げることにより、チャンバを空にする (図２) 。
【００２２】
押しボタン18を緩めると、ピストンは戻りバネ５の駆動力によりほぼ瞬時にその最初の位置 (図１) に戻る。
「カモノハシ」型の逆止弁２により、液体注入口から液体がチャンバ内に流入するのが阻止されるため、上記のピストンの戻りによりチャンバ１が吸引力を受けることになる。
【００２３】
この吸引力が流路８を経て作用し、液体溜め７内に収容されている液体がチャンバを満たすまでチャンバ内に吸い込まれる。この充満時間は、流路８内に配置された毛管９の寸法により決まる。それにより、続けて液体を注入する際の間隔が一定の基準値より短くならない。また、毛管の寸法により基準値を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】ピストンがその高い位置にある時の本発明の装置の縦断面図である。
【図２】ピストンがその低い位置にある時の本発明の装置の一部を示す同様な図面である。
【図３】図１の底部の拡大図である。
【図４】ピストンの取り外し可能な液体溜め形成部分と装置のケースのカバーとを取り外した状態での装置の縦断面図である。
【図５】ケース底面の外面図である。
【図６】ピストン本体から分離できるピストンの液体溜め形成部分の縦断面図である。
【図７】装置のケースのカバーの断面図である。
【図８】装置の変更例の縦断面図である。
【符号の説明】
１：チャンバ 1a：注入口
２：逆止め手段 (弁) ３：ピストン
3A：下部ピストン部分
3B：上部ピストン部分 (液体溜めカートリッジ)
４：側面シール材
５：ピストン戻り手段 (バネ)
７：液体溜め ８：流路
９：毛管 (流量制限手段)
9'：フィルター 10：ソケット
11：スパウト 12：外部装着部材
12a ：注入口ソケット 13：ケース
13a ：窓 14：直交部材
15：アーム
15a ：ピストン行程制御手段 (アーム先端部)
16：穴 17：プラグ
18：押しボタン (押し部)
19：開口 20：カバー
21：アーム 22：通路
23：透明または穿孔部分

Claims (8)

1. 患者が必要時に続けて複数回の液体を自己投与することができ、その際に引き続いた２回の投与の間隔が基準値より短くならない、携帯可能で非埋め込み型の液体注入装置であって、
   注入口を備えたチャンバ（１）、
   この注入口と共働する逆止め手段（２）、
   前記チャンバの内部で前記注入口に向かって押され、戻り手段（５）からの駆動作用により逆方向に戻るようになっている、周囲に側面シール材（４）を持つ剛性ピストン（３）、
   ピストンの帰り行程の最後におけるチャンバ（１）の容積（Ｖ）が投与すべき１回分の液の容積に対応するように逆方向のピストンの行程を制限する手段（１５ａ）、および
   流量制限手段（９）を経てチャンバと連通している、数回分の容量を持つ液体溜め（７）、から構成され、
   液体溜め（７）がピストン（３）内に形成され、これがピストン（３）を貫通して形成された流路（８）を経てチャンバ（１）の内部と連通しており、この流路（８）に、ピストンの戻りによりチャンバ内に生じた吸引力の作用で液体が液体溜めから吸引される時の液体のチャンバへの充満時間が基準値と対応するようにする流量制限手段（９）が設けられており、
   ピストン（３）とチャンバ（１）を内部に収容し、ピストンに固定された押し部（１８）に触れることができるようにした筒状ケース（１３）を備えており、逆止め手段（２）を保持し、別のチューブに結合するためのソケット（１２ａ）を与える外部装着部材（１２）が、筒状ケース（１３）の底面に外側から当たるように装着されており、そして
   外部装着部材（１２）が、ケース（１３）の底面に形成した窓（１３ａ）を通ってケース内に侵入するアーム（１５）を有し、このアームがピストンの帰り行程を制限するように作用し、ピストン（３）が、ピストンを押した時にアーム（１５）に沿って摺動する直交部材（１４）を備え、この部材が、ピストンが逆方向に戻る時にアームの先端（１５ａ）にぶつかり、それによりピストンの帰り行程の最後が決まり、戻り手段が、直交部材（１４）に当たるように配置したバネ（５）であることを特徴とする、液体注入装置。
2. ピストン（３）が、チャンバ（１）内に侵入する、側面シール材（４）を備えた下部ピストン部分（３Ａ）と、内部に液体溜め（７）を収容する上部ピストン部分（３Ｂ）とから構成され、着脱自在の取付け手段（１０，１１）により、上部ピストン部分が下部ピストン部分に固定されていることを特徴とする、請求項１記載の装置。
3. 前記ケースの外側には、注入口に接続されたチューブを除いて外部チューブを有していないことを特徴とする、請求項１または２に記載の装置。
4. 前記ケース（１３）が、上部ピストン部分（３Ｂ）と下部ピストン部分（３Ａ）とを固定した部位にアクセスすることができるように２以上の分離可能な部分から構成されていることを特徴とする、請求項１または２に記載の装置。
5. ケース（１３）のチャンバ（１）とは反対側の端面がカバー（２０）により閉鎖されており、このカバーは、ピストン（３）を手で押すことができるが、カバーを壊さない限り、ピストンの液体溜め（７）を収容している部分をケースから抜き取ることができないようになっていることを特徴とする、請求項１ないし４のいずれか１項に記載の装置。
6. ピストン（３）の液体溜め（７）を構成する部分が、この液体溜め内の液面に追従するプラグ（１７）を備え、このプラグにより、液体溜め内で液体の上部に空間ができるのが阻止され、且つ装置がどの位置にあっても装置の漏れ止めが保証されることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれか１項に記載の装置。
7. 液体溜め内の液体残量を表示するようにプラグ（１７）が装置の外部から見えるようにする透明または穿孔部分（２３）を持っていることを特徴とする、請求項６記載の装置。
8. 前記流量制限手段（９）が基準値に応じて選択された毛管であることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか１項に記載の装置。

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