JP3848960B2 - 微粒子の予備検査方法、微粒子検出方法、及び微粒子検出器具セット - Google Patents

微粒子の予備検査方法、微粒子検出方法、及び微粒子検出器具セット Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、病原菌などの有害物質、あるいは特定核酸等を含む試料を取り扱う場合に、その作業の安全性,妥当性等を確認し、または試料の飛散状況を事前に検査するために使用される微粒子の検出法及び検出器具に関する。特に、核酸等を含有する極微量の溶液試料を操作する環境における微粒子の予備検査方法に関する。
背景技術
遺伝子操作において液体操作ないしは固体操作を行う場合、遺伝子を含む微小飛沫(微粒子)が発生することが考えられる。そのような微小飛沫は作業所内の空間中を漂い、思いも懸けない所に飛散する可能性がある。例えば、典型的なヒトC型肝炎を考えた場合、重篤患者のウィルス遺伝子濃度は約10copies/mL以下といわれている。(以下、「copy」を核酸数、「L」をリットル(dm)とする。)このうちC型肝炎ウィルス遺伝子1copyが混入(コンタミネーション)するには、10pL程度あれば十分である。即ち遺伝子操作では、このように極微量な遺伝子溶液の検出精度が要求される。従って遺伝子操作の各工程では、ごく僅かな遺伝子溶液のコンタミネーションも許されないため、高感度なコンタミネーション評価法が必要になる。しかし、遺伝子を含む溶液操作により生じる微小飛沫の飛散分布を高感度に確認するための方法は存在しなかった。唯一ウィルス遺伝子1copyの混入を検出する方法としてPCR(Polymerase Chain Reaction)法があるが、当該PCRは容器内に混入した微小飛沫しか認識することができず、容器外を含めた飛沫分布を確認することはできなかった。
ここで遺伝子診断の場合を考えると、医師は患者のウィルス遺伝子濃度に従って投与する治療薬の最適量を決定するため、ウィルス遺伝子濃度は正確に測定されるべきである。しかし、ウィルス遺伝子を含む液体操作において多数検体を同時に行う際に微小飛沫が発生すると、当該微小飛沫が他の検体に混入して正確なウィルス遺伝子濃度の測定ができない。例えば、本来陰性患者の検体に、高濃度のウィルス遺伝子を含む微小飛沫が混入した場合、感染もしていないのに陽性と診断される可能性(擬陽性)がある。また本来陽性患者の検体に、PCR阻害物質などを含む微小飛沫が混入した場合、感染しているのに陰性と診断される可能性(擬陰性)がある。その他、試料を取り扱う場合に、その操作の妥当性,安全性などを事前に評価するために、その操作によって飛散するであろう試料の状況を正確に事前検査または事前確認することは、極めて重要である。しかも臨床検査となると、その確認方法は簡便且つ短時間に行えるものでなければない。
本発明は、液体操作ないしは固体操作により生じる飛沫の分布を極めて容易、且つ高精度に検査する方法及び装置を提供することに関する。
発明の開示
本発明は、所定の試料を所定の検査手順に従い処理した際の微粒子発生状況を確認できる、模擬検査手順,発光手順,検出手順を含む予備検査方法に関する。
模擬検査手順は、化学発光触媒を含む模擬試料を、所定の検査工程に従い取り扱う手順である。模擬試料は、所定の試料と近似する物性を有するため、飛散した模擬試料の飛散分布は、実際の検査工程によって生じる試料の飛散状況を再現したものとなる。
発光手順は、検査工程の実施により飛散した模擬試料の微粒子と、微粒子検出溶液を、担体を介して反応させる手順である。微粒子検出溶液は、模擬試料と反応して顕著に発光する溶液である。微粒子検出溶液と模擬試料は担体を介して接触するため、発光反応は長時間持続する。このため、極微量な模擬試料であっても顕著な発光を生じる。さらに、担体の特定位置に発光が生じ、これは微粒子の位置情報に依存している。
検出手順は、この発光に基づいて模擬試料の飛散分布を検出し、実際の検査工程により生じる試料の飛散状況を確認する。これにより、所定の試料を所定の検査工程に従い処理した際の微粒子発生状況を極めて容易、且つ高精度に事前検査できる。
また、本発明は、化学発光触媒を有する微粒子を、担体を介して微粒子検出溶液と反応させる微粒子検出方法、及び微粒子検出器具のセットに関する。
担体は、微粒子検出溶液を保持できる材質から成り、基質溶液を含有した微粒子検出溶液によりほぼ一様に潤おされている。ここで、微粒子と微粒子検出溶液が担体を介して接触すると、微粒子中の化学発光触媒が、微粒子検出溶液中に溶解し、発光反応を生じながら拡散する。つまり、微粒子位置を中心に発光が開始し、発光点がその周囲に拡大する。この発光を観察すると、微粒子の位置を容易かつ高精度に確認できる。
本発明における用語は、以下の意味で用いる。
試料;核酸,ウイルス,粉体,結晶などを含む溶液、又は固体であり、実際に検査,調査等の対象となる物質である。本発明において、実際の作業を行って飛散状況を検出することは、病原由来物質や特定核酸の核酸につながる可能性があるので、事前検査に実際の試料を使用することは困難である。
検査工程;所定の試料について実施する処理工程の組合せであり、例えば、試料を操作,分析,検査等する工程群の全体又は一部である。処理工程は、以下のものを含む広義の概念である。
1)生化学的反応工程のような1反応プロセス(例えば、PCRの試薬投入工程)
2)1つの分析機器における分析プロセス(例えば、分注工程)
3)複数の分析機器の組合せプロセス(例えば、核酸抽出装置と核酸増幅装置を組合せた核酸増幅工程)
4)作業所の処理環境(例えば、実験室の換気孔に起因した空気流)
検査対象試料;前記試料のうち、特定の前記検査工程における処理の対象となるものを意味する。
模擬試料;実際の検査や調査に使用される上記試料に代えて、物性(粘度,沸点,比重,粒径,粒度分布など)を模擬した液体試料又は固体試料である。
近似する物性;物性の各項目(粘度,沸点,比重,粒径,粒度分布など)の少なくとも一つが近似する意味である。特に、模擬試料と試料の粘度を近似させると、実際の作業によって生じる試料の飛散状況を再現できる。
模擬実験;模擬試料を用いて、実際の作業と実質的に同じ手順で実施する、検査工程,調査工程等の作業である。ただし、全ての検査工程,調査工程等を実施する必要はなく、場合により、飛沫飛散に関連する一部工程のみ実施でも良い。
微粒子;例えば、検査工程から飛散した模擬試料から成る微小飛沫であり、液状,固体状、及びその混合系を含む。浮遊中は湿潤状態、固着後は乾燥状態とを含む。
基質溶液;触媒によって顕著な発光を示す化学物質であり、例えば、ルミノールと酸化剤の混合液である。基質溶液は、微量の化学発光触媒に対し高感度に反応し発光する。発光時間のプロフィールは、光子積算の操作時間を考慮して、1分以降に極大を迎え、長時間発光するものが好ましい。
化学発光触媒;乾燥,湿潤に拘わらず、基質溶液と反応して顕著な発光を示す化学物質である。化学発光触媒は、微量な金属,微量な酵素等であり、例えばコバルトである。
担体;基質溶液を保持でき、化学発光触媒に基質溶液を供給できる物質であり、適当な方法で取り扱いできる程度の機械的強度を備えたものである。無色透明が望ましいが、不透明でも、化学発光が十分透過すれば良い。好適には、多孔質物質(porous material)の濾紙,アガロースゲル,多孔質シリコン等である。ただし、親水化物質等を利用することもできる。
シート状(シート形状);担体の微粒子検出領域の厚みが、略一定である形状をいう。つまり、一般的な平面形状のみならず、微粒子検出領域である中心部は平面形状であるが、その周辺部は盛り上がった形状等も含む。
核酸処理装置;核酸を含有する液体,固体等を処理して、所定目的を達成するための装置であり、例えば、遺伝子検査装置,分注装置である。
この発明の前記、及びその他の新規な特徴と利益について、添付図面を参照して説明する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の理解を容易にするため、以下の実施例の順序に従い本発明を説明する。
実施例1は、微粒子検出の基本的原理と、微粒子検出に用いる器具と各試薬に関する。
実施例2は、核酸処理装置の操作により生じる微小飛沫(微粒子)の飛散分布を、予備実験により高感度に検出する方法に関する。
実施例3、及び4は、予備実験を行うことにより、核酸処理装置からの微小飛沫(微粒子)の飛散を低減する方法に関する。
実施例5は、微粒子検出に用いる器具を保存する容器に関する。
実施例1
第1図は、微粒子検出の概略図であり、第1図(a)はその斜視図、第1図(b)は第1図(a)のABにおける断面図である。以下、図面を参照し、微粒子検出の基本的原理と、微粒子検出に用いる器具と各試薬について説明する。
飛沫(微粒子)3は、基盤7上に存在し、化学発光触媒溶液から成る。この飛沫3を検出するため、本実施例では、微粒子検出溶液を含んだシート1(担体)と、透明板8を用いる。
飛沫検出に用いるシート1(担体)は、シート形状の多孔体であり、微粒子検出溶液を浸潤して保持できる。例えば、濾紙,アガロースゲル等である。本実施例では、一辺が15センチの正方形で、厚みが500μmの濾紙を用いている。このシート1の厚さは、上記シート1が無色透明であれば厚くてもよい。しかし、濾紙のような不透明なもの、アガロースゲル等厚いと不透明になるもの、ないし有色のものは、できるだけ薄い方が望ましい。つまり、微粒子に起因した化学発光を検出できる程度に、シート1は可視光を透過する必要がある。厚みが約500μm以下の濾紙であれば、化学発光が十分透過することが分かっている。また、シート1の厚みは、微小飛沫3上に置載等する際に破けない程度の機械的強度を必要とする。自由な屈曲に対応できるよう、ヤング率の低い弾性体を用いると好ましい。
透明板8は、本実施例ではガラス板を用いる。しかし、これに限定されるものでなく、シート1が貼り付けられる平面を有し、化学発光を透過し、或る程度の機械的強度を備えた部材であればよい。例えば、アクリル樹脂等の透明樹脂を用いることもできる。透明板8により、基質溶液によるシート1の浸潤作業が容易に行え、シート1を基盤7へ正確に貼り付けることができる。さらに、シート1からの基質溶液の乾燥を防ぐことができる。また、透明板8の表面を塩化ビニリデン膜等で被うと、基質溶液による透明板8の汚染を防ぐことができる。
基盤7は、微粒子有無の検出対象であり、例えば、遺伝子診断装置が置かれた机や、遺伝子診断装置の在る部屋の換気孔である。基盤7の上には化学発光触媒を含有する飛沫群が存在している。検出対象である飛沫3は、例えば、遺伝子診断装置により臨床検体を取り扱う際に生じる全血や血漿の微小飛沫であり、または、人工的に発生させたCo2+溶液の微小飛沫である。微小飛沫3の容積としては、1μL以下、特に10pLの微小飛沫を想定している。ウィルス遺伝子1copyを混入(コンタミネーション)できる微小飛沫の最低容積が10pL程度である。このため、10pL程度の飛沫の存在有無を判断できれば、ウィルス遺伝子のコンタミネーションの危険性を判断できるからである。尚、10pL程度の微小飛沫は基盤7への飛散後直ちに乾燥するため、通常固体として基盤7上に存在している。
本実施例において使用する試薬について説明する。本実施例では、化学発光であるルミノール発光を利用しており、基質溶液としてルミノール(化学発光基質)と過酸化水素水(酸化剤)の混合液を用いる。このように化学発光基質としてルミノールを用いているため、全血,血漿,血清の微小飛沫も検出できる。従って、血液等の臨床検体に特別の試薬を加えることなく、遺伝子診断装置から飛散した、遺伝子抽出前の血液等の飛散分布を検出できる。また、微小飛沫を人工的に発生させる場合は、コバルトイオン(2価金属イオン触媒)を含む溶液を用いる。以下、本実施例で用いる試薬と溶液について、その種類と1回に調製する代表的な試薬量を示す。
化学発光触媒
化学発光触媒溶液1MCo2+溶液の調製方法を記述する(以下、M=モル,M=mol/L,mol=6.02×1023moleculesとする)。具体的には、2価の塩化コバルト6水和物2.38g(Cobalt(II)Chloride Hexahydrate、製造元:和光純薬工業、036−03682)を超純水8mL(HO,Millipore製)に溶かし、全体量が10mLになるまで超純水を適宜加える。但しCobalt(II)Chloride Hexahydrateは潮解性があるので、調製前の試料は、デシケータ内に乾燥保存する。調製した溶液は、暗所で保存する。
基質溶液
基質溶液の調製方法を記述する。具体的には、1.5mM(×1)ルミノール溶液と10mM過酸化水素水を等量加え、ピペットなどを用いて混和する。基質溶液は実験の直前に即時調製する。但し1.5mM(×1)ルミノール溶液と10mM過酸化水素水は、実験毎に即時調製する。また冷暗所(4℃)に保管した場合、1時間程度は使用できる。尚、冷暗所(4℃)に保存した基質溶液は、暗所で常温になってから使用する。
ここで、ルミノール溶液の調製に用いる0.1M硼酸バッファー(pH13)の調製方法を記述する。具体的には、硼酸618mg(Boric Acid、製造元:和光純薬工業、製造番号:021−02195)を超純水70mL(HO,Millipore製)に溶かし、1M NaOH(Sodium Hydroxide,製造元,和光純薬工業)を溶液がpH13になるまで適宜加える。そして全体量が100mLになるまで超純水を適宜加える。但しNaOHは潮解性があるので、調製前の試料は、デシケータ内に乾燥保存する。調製した溶液は、暗所に保管する。
化学発光基質溶液15mM(×20)ルミノール溶液の調製方法を記述する。20倍の溶液を調製するのは、上記1倍溶液のルミノールが微量で秤量できないためである。具体的には、ルミノール2.7mg(luminol,製造元:和光純薬工業,製造番号:123−02583)を0.1M硼酸バッファー1mLに溶かす。ルミノールは溶けにくいこともあるので、完全に溶けていることを確認する。使用時には、更に0.1M硼酸バッファーで×1溶液に希釈する。ルミノール溶液は即時調製する。但し暗所に保存した場合、2日間程度は使用することもできる。また冷暗所(4℃)に保存したルミノールは、暗所で常温になってから使用する。
ここで、酸化剤10mM過酸化水素水の調製方法を記述する。具体的には、超純水45mL(HO,Millipore製)に30%過酸化水素水50μL(30% Hydrogen Peroxide sol.,製造元:和光純薬工業,製造番号:081−04215)を加え、全体量が50mLになるまで超純水を適宜加える。但し30%過酸化水素水の取り扱いには、手袋や防護眼鏡など保護具を着用し、十分注意する。調製した溶液は、暗所で保管する事。
シート1(担体)を用いた微粒子の検出手順について、説明する。
先ず、シート1(15センチ四方の平坦な濾紙)を、金属的に清浄なピンセットを用いて、透明板8上に置く。透明板8表面を塩化ビニリデン膜等で被うと、基質溶液による透明板8の汚染を防ぐことができる。
次に、シート1に基質溶液(本実施例では、化学発光基質であるルミノール溶液と酸化剤である過酸化水素水の混合液)を浸潤させる。浸潤は、透明板8上に固定されたシート1の上から、基質溶液5mLを一様に滴下して行われる。これにより、基質溶液を含んだシート1を作製するとともに、透明板8に基質溶液を含んだシート1を固定することができる。この際、基質溶液の容量が少なかったり、基質溶液を一様に滴下しなかったりすると、基質溶液を含んだシート1に凹凸が発生する。そこで、金属的に清浄なマイクロチップの腹等により、基質溶液を含んだシート1を均し、平坦に透明板8へ密着させる。
そして、この透明板8を操作して、上記微小飛沫3が存在する基盤7上に、シート1を貼り付ける。基質溶液を含んだシート1が、化学発光触媒溶液の微小飛沫3と接触すると、乾燥した微小飛沫3が基質溶液に溶け出す。これにより、化学発光触媒と基質溶液が反応し、シート1上の飛沫群の存在位置に対応する位置に発光点9が生じる。この発光点9は、微小飛沫がシート1中を拡散するに従い拡大する。また、このシート1は基質溶液を多量に含んでいるため、長時間発光を持続させることができる。さらに、シート1は基質溶液を一様に含んでいるため、発光点9の発光状態(光度等)は、シート1と微小飛沫3の接触位置による影響を受けにくい。つまり、シート1上と飛沫3の接触位置に関わらず、ほぼ均一な発光点9が生じる。しかも、シート1を基盤7の上方からゆっくりと貼り付けることができるため、例えば霧吹き等で基質溶液を散布する場合に比較し、検出時の微小飛沫移動量が小さい。従って、シート1上の発光点9を観察することにより、微小飛沫3の飛散分布を正確に確認することができる。また、シート1からの化学発光は、簡単な暗箱を利用してシート1の周囲を暗くすると肉眼で十分確認できるため、検出作業が非常に容易である。
以下、本実施例にかかる微粒子検出方法の効果について調べた評価実験の結果を述べる。本実験では、先ず、基盤7上に人工的に10pL程度の化学発光触媒溶液の微小飛沫3を生成し、次に顕微鏡10により微小飛沫の位置を検出する。そして、本飛沫群検出方法により微小飛沫の位置を検出し、顕微鏡10による結果と、本方法による結果を比較して評価する。
ここで、10pL程度の化学発光触媒溶液の微小飛沫3を、基盤7上に生成する方法について説明する。微小飛沫3による汚染を防ぐため、基盤7上を塩化ビニリデン膜等で被い、また、周囲を閉塞した無風状態の空間で作業することが望ましい。基盤7上に置かれた平坦なパラフィンフィルムに化学発光触媒溶液(IMCo2+溶液)を50μL滴下し、当該化学発光触媒溶液にシリコナイズされたマイクロチップを用いて空気500μLを2回程度送り込み、化学発光触媒溶液を発泡させる。これにより、基盤7上にpL〜nL程度の化学発光触媒溶液の微小飛沫3が生成される。最後に、上記化学発光触媒溶液を滴下したパラフィンフィルムを慎重に除去し、生成作業は終了する。
顕微鏡10による、微小飛沫の飛散位置及び状態の確認方法について説明する。まず、化学発光触媒溶液の微小飛沫3が存在する基盤7を顕微鏡10で観察して、微小飛沫3を捜索し、飛沫位置を肉眼により認識できる大きさでマーキングする。次に、当該化学発光触媒溶液の微小飛沫3の直径を記録する。ここで、微小飛沫3を半球と仮定し、顕微鏡10で計測した直径から微小飛沫3の容量を算出する。そして、顕微鏡10による観察が全て終了したら、基盤7は顕微鏡10下から元の位置に戻す。
第2図は、発光点9を検出するCCDカメラ11と、発光反応系(基盤7,シート1,透明板8)を遮光する暗箱8と、CCDカメラ11からのデータを処理する画像処理装置12と、当該画像処理装置12を制御するコンピュータ13からなる検出系による、シート1上に存在する発光点9の検出方法の概略図である。以下、第2図を参照して、本実施例による飛沫群の飛散状況の検出方法について説明する。尚、以下の操作は全て暗箱14内で行われる。
まず、基盤7上の微小飛沫3を、上記マーキングを参考にCCDカメラ11の計測範囲に据える。CCDカメラ11の視野は約16cm×16cmである。また画像処理装置12を用いて光子積算を行い、発光点9からの総光子量を計測できるようにする。そして、基質溶液を含んだシート1を固定した透明板8を、微小飛沫3を置載した基盤7に接触させる(t=0)。その後、直ちに暗箱14を密閉し、一定時間後(t=25s)、画像処理装置12によって光子積算を1分間行う。尚、化学発光基質と化学発光触媒を接触させると、約2分後に発光の極大を迎え、急激に衰退する。しかし、化学発光触媒が担体中を拡散し、次々と化学発光基質と反応するため、肉眼でも観測できる非常に強い発光点を長時間観測できる。この結果、急激に衰退する化学発光触媒溶液の微小飛沫3の位置に、肉眼でも観測できる非常に強い発光点を観測できる。また、検出した総光子量により微小飛沫の容量を算出することができる。
第3図に、顕微鏡10下における化学発光触媒溶液の微小飛沫3の画像を示す。また、第4図に、画像処理装置12による光子積算画像を示す。第3図と第4図を比較すると、化学発光触媒溶液の微小飛沫3(a,b,c)と、発光点9(a,b,c)との間に、位置的相関関係の存在が認められる。また、第3図に示されている化学発光触媒溶液の微小飛沫3(a)は、50μm程度の直径から10pL程度に相当すると推定されるが、第4図では、直径約1mm以上の大きな発光点9(a)として示されている。従って、10pL程度の微小飛沫の飛散分布を高感度、且つ肉眼で検出できることが示された。
尚、本発明は、本実施例で開示した工程に限定されず、多種の態様が存在する。例えば、飛沫飛散が予想される領域に、微粒子検出溶液により浸潤した濾紙を置いた後に、飛沫が生じさせる方法である。
また、上記実験を、人工飛沫に10M〜10−4M Co2+溶液の濃度勾配をつけてそれぞれ行った。その結果、一番低濃度の10−4M CO2+溶液の場合であっても、発光点9の光度は肉眼で観測できた。従って、飛沫中の触媒濃度が10−4M程の低濃度であっても、飛散分布を検出できることが示された。
実施例2
本実施例は、核酸処理装置から生じる微粒子の飛散分布を、予備実験を行い高感度に検出する方法である。
以下、本検出方法の手順を説明する。先ず、微粒子の飛散分布状況を確認したい核酸処理装置により、模擬試料である発光触媒溶液(Co2+溶液)を試料とみなして処理する。次に、実施例1記載の微粒子検出方法を使用して、上記化学発光触媒溶液の微小飛沫(微粒子)の飛散分布を検出する。つまり、核酸処理装置からの飛沫飛散が予想される箇所に、基質溶液を浸潤したシート1を貼り付け、発光点9の有無を確認する。これにより、ウィルス遺伝子1copyのコンタミネーションの要因となる10pL程度の飛沫飛散状況を容易かつ高精度に把握することができる。したがって、模擬試料を用いた予備実験を行うことにより、核酸処理装置のコンタミネーション発生の有無を推測できるため、実験系のバリデーションができる。更に化学試薬のみを用いる化学発光法を利用しているので、高感度で安価且つ迅速に測定が可能である。
本微粒子検出方法とPCR法の比較実験を行った。第5図は、模擬試料(λDNA溶液、又はCo2+溶液)の投入したウェルと、コンタミネーションを検出したウェルの位置関係を示す概略図である。第6図は、PCR法による検出結果である。第7図は本発明による検出結果である。以下、第5図〜第7図を参照して、本実施例にかかる検出方法とPCR法の比較実験の結果を説明する。
本実験では、自動分注装置(商品名:Biomek2000,製造元:Beckman)を用いた。PCR法では、模擬試料として、C型肝炎ウィルス遺伝子の代わりに病原性のないλDNAを採用し、PCR法キット(製造元:TaKaRa、製造番号:R011)を用いて検出した。
また本実験では、模擬試料を、ウェルの中央で吸引吐出する場合と、ウェルの側壁に液滴を接触させるように吸引吐出する場合の2種類の液体操作を行った。これは、ウェルの中央で液体の吸引吐出をすると液滴の滴下により微小飛沫は発生するが、ウェルの側壁に液滴を接触させるように吸引吐出しても微小飛沫は発生しないと考えられるためである。つまり、微小飛沫が生じる液体操作と生じない液体操作を自動分注装置で実施し、それぞれについて本検出方法とPCR法を実行した。
先ず、PCR法によりコンタミネーションを評価した。96穴マイクロタイタープレート(製造元:CORNING,製造番号:25801)のウェルに、10copies/mLλDNA溶液(製造元:和光純薬工業,製造番号:318−00414)を150μL分注した。そのうち100μLを分注速度60μL/sで20回吸引吐出を繰り返した。第5図(a)に、マイクロタイタープレートへ分注した試薬の位置を示す。第5図(a)の◎の部分に陽性モデルとしてλDNA溶液を入れた。第5図(b)は、第5図(a)の線ABにおける断面図である。λDNAのウェルに隣接したウェルには陰性モデルとして超純水200μLを分注した。λDNAを吸引吐出する前後で、この超純水50μLをサンプルとしてコンタミネーションを評価した。この条件において、吸引吐出後の超純水から10copies/mLのλDNAが検出されれば、10pL程度のλDNAを含んだ飛沫が超純水にコンタミネーション(擬陽性)した計算になる。第6図に、PCR法による検出結果を示す。第6図は、λDNA溶液に隣接するウェルのPCR産物をアガロースゲルで電気泳動した後にEtBr染色したものである。A−Eは96穴マイクロタイタープレートのウェルを示し、Mは遺伝子の分子量マーカーを示す。ウェルの側壁に液滴を接触させるように溶液を吸引吐出した場合(第6図(a))、20回λDNA溶液を吸引吐出する前後において隣接するウェルにコンタミネーションを示すバンドは確認されなかった(実験回数:3)。一方、ウェルの中央でλDNA溶液を吸引吐出した場合(第6図(b))、分注操作を行う前はλDNA溶液に隣接するウェルにおいてコンタミネーションは検出されなかった。しかし、λDNA溶液を20回吸引吐出した結果、第6図(b)の1列目Bのウェルに核酸の存在を示すバンドが検出された(図中矢印)。同時に泳動した分子量マーカー(M)より、このバンドはPCR法によって増幅したλDNAの分子量と一致したためコンタミネーションの存在が確認された。更に既知濃度のλDNA希釈系列より、検出されたコンタミネーション量は、10copies/mL〜10copies/mLであることが判明した(実験回数:3)。
同様に本微粒子検出方法についても、ウェルの側壁に液滴を接触させるように吸引吐出する場合と、ウェルの中央で吸引吐出する場合それぞれについて、コンタミネーションを評価した。96穴マイクロタイタープレートに、PCR法におけるλDNA溶液の代替として1MCo2+溶液を150μL分注した。そして、100μLの1MCo2+溶液を、分注速度60μL/sで20回吸引吐出を繰り返した。第5図(a)に、マイクロタイタープレートへ模擬試料を分注した位置を示す。第5図(a)の◎の部分に、陽性モデルとして化学発光触媒Co2+溶液を入れた。当該Co2+溶液のウェル以外のプレート上にパラフィンフィルムを置載し、上記Co2+溶液を20回吸引吐出後、上記パラフィンフィルムを金属的に清浄なピンセットなどを用いて基盤7上に置載した。そして暗箱14内で、透明板8に固定した基質溶液を浸潤したシート1を、上記Co2+溶液の微小飛沫が付着しているパラフィンフィルムに接触させた。当該パラフィンフィルムを透明板8に固定した濾紙4に接触させてから25秒後に1分間光子積算測定を行った。その検出結果を第7図に示す。尚、第7図においてA−EはPCR法と同様96穴マイクロタイタープレートの行を示し、1−4の数字は同じく列を示す。また、第7図中の白い○及び◎は、96穴マイクロタイタープレートのウェル位置を表す。ウェルの側壁に液滴を接触させるように溶液を吸引吐出した場合は(第7図(a))、化学発光触媒Co2+溶液を吸引吐出する前後いずれにおいても、隣接するウェル上のパラフィンフィルムにコンタミネーションを示す発光点9は存在しない(実験回数:3)。一方、ウェルの中央で化学発光触媒Co2+溶液を吸引吐出した場合(第7図(b))、分注操作を行う前は当該Co2+溶液に隣接するパラフィンフィルムにおいてコンタミネーションは検出されなかった。しかし、上記Co2+溶液を20回吸引吐出する分注操作後は、コンタミネーションを示す多くの発光点9が認められた。具体的には、Co2+溶液に隣接するウェル3列D行と4列D行に大きな発光があり、その周辺を含めて合計5つの発光点9が存在している(実験回数:3)。
ここで、PCR法と本微粒子検出法を比較すると、PCR法は核酸増幅を行うウェル内のコンタミネーション、つまり、上記3列D行と4列D行のウェルのコンタミネーションしか検出できない。しかし、本検出法はウェル以外のコンタミネーションについても検出できることが理解できる。つまり、本検出法は、高感度な遺伝子検出法として普及しているPCR法では検出できないウェル周辺の飛散分布を明瞭に把握することができる。
実施例3
本実施例は、実施例1又は実施例2の微粒子検出法を利用した予備実験により、核酸処理装置から飛散する微粒子を抑制する方法に関する。以下、実施例1及び実施例2と比較した場合の特徴的部分を記載する。
遺伝子操作作業において作業者の予想に反する実験結果を得ることがある。特に増幅反応を伴う場合、本来増幅しない遺伝子が増幅したり、逆に、増幅すべき遺伝子が全く増幅しないことがある。この原因は、不適切な液体操作ないしは固体操作とそれによる作業所の汚染である。すなわち、本来増幅しない遺伝子の増幅は、実験系に予期せぬ遺伝子がコンタミネーションしたことが原因である。また、全く増幅しないのは、実験系にDNase及びRNaseなどの消化酵素ないしは増幅反応の阻害物質がコンタミネーションした結果である。ここで、コンタミネーションは二つに大別される。一つは多検体間のキャリーオーバーであり、もう一つは核酸含有微小飛沫の飛散である。このうちキャリーオーバーは、使用器具の洗浄やディスポーザブル化によって解決できることが多い。一方、飛沫3の飛散の場合、その存在の把握が難しいため解決が困難である。なぜなら、例えば気圧10Pa且つ無風状態における直径d=5μmの微小飛沫の重力沈降速度は約1mm/sであるため(謝国平:『エアロゾル研究』,9(1),p.7−13(1994))、遺伝子作業中にその周囲を人が往来したり、エアコンないしは換気扇が稼動している状態では、発生した飛沫3が作業所内を数十分間も漂うため、作業者が予期せぬ場所に飛散するからである。
そこで、例えば遺伝子診断装置が配置された部屋等、遺伝子を扱う作業所において実施例1及び実施例2の方法を実施すると上記の問題が解決できる。以下、その具体的方法を説明する。
先ず、遺伝子診断方法,実験方法等の、試料を取り扱う検査手順を特定し、該試料の代替として模擬試料を調製する。飛特に好適な模擬試料は、化学発光触媒を含む溶液であり、その濃度,溶媒などを選択して目的の模擬試料を作成する。模擬試料は、粘度,沸点,比重,粒径,粒度分布など物性を模擬した液体又は固体試料が望ましい。これにより、実際の作業によって生じる試料の飛散状況が再現できる。特に、模擬試料の粘度が、試料の粘度に近似すると、飛散状況の再現性が高まる。「近似」とは、飛散状況の再現性が、所定の目的を達成できる程度の広い意味である。通常の核酸含有試料の飛散状況調査に対しては、Co2+溶液で十分である。ただし、試料とCo2+溶液の物理化学的性質が顕著に異なる場合、デキストロースなど不活性な物質を加えて粘度などを調節する。粘度調製を必要とするものに、例えば、ウィルス外膜を溶解する6Mグアニジン誘導体がある。
次に、模擬試料を用いて例えばBiomek2000により分注操作,液体移動操作を取り扱う。例えば、通常の環境において、模擬試料をBiomek2000により処理する。分注操作では、最初上記流速で吸引吐出を繰り返す。そして液体移動操作では、一度吸引した溶液をX軸−Y軸レールにより別の容器に移動させる。この際、分注操作と移動中に飛沫が飛散するおそれが考えられる。そして各処理工程において、飛沫飛散が予想される場所に、実施例1に記載した透明板8に固定した基質溶液を含んだシート1を接触させる。例えば、Biomek2000内のプレート,Biomek2000機体、またBiomek2000は開放系のため、作業台周辺等にシート1を貼り付けする。平面以外の部位は、透明板8を用いずにシート1を接触させる。場合により、作業手袋にも当該基質溶液を含んだシート1を接触させる。そして、シート1からの発光の有無を観測することにより、各処理工程における微小飛沫の飛散状況が確認できる。これにより、微小飛沫3の飛散分布が確認できれば、ここまでの液体操作、及び固体操作等の処理工程にて、上記遺伝子含有溶液が飛散したと判断することができる。特に、多サンプルを同時に扱う場合は、サンプル間のコンタミネーション発生を予測できる。
この結果に基づいて、作業プロセス、及び遺伝子取扱装置を見直すことにより、検査手順の各処理工程における飛沫3の発生を防ぐことができる。例えばBiomek2000における吸引吐出の場合、流速や吐出する容器との位置関係を最適化することにより、コンタミネーションを防止することができる。また液体移動操作の場合、チップの空気漏れや液体からの抜き差し速度,移動する速度及び加速度,移動先での流速や吐出する容器との位置関係などを最適化することにより、コンタミネーションを防止することができる。このため、試料取扱作業時における飛沫飛散を抑止できる。
実施例4
本実施例は、実施例1又は実施例2の微粒子検出法を利用して、核酸処理装置が配置された施設の清浄を担保する方法である。以下、実施例1及び実施例2と比較した場合の特徴的部分を記載する。
様々な実験系において、有害物質を取り扱うことがある。その際、保護具などを装着することが厚生労働省の安全基準で義務付けられているが、無意識の内に、作業者が保護具などにより作業所内外を有害物質で汚染していることがある。即ち、上記有害物質を用いて頻繁に使用する実験装置、及びその周辺器具、ないしは作業所の扉ノブ等を、上記有害物質が付着する可能性の高い保護手袋を着けたまま無意識に触れてしまう為である。また、作業者の知らないうちに、実験装置等から飛散し浮遊した有害物質を含む微粒子が、作業所内に拡散している可能性もあり、換気口等から作業所外に漏洩することもある。これは作業者の健康環境上非常に重要な問題である。これを解決するためには、汚染箇所を速やかに清掃するとともに、作業者の意識向上を図る必要もある。
本実施例では、上記問題を次の様に解決する。先ず、有害物質の代替として模擬試料を実験系で利用し、作業者は通常と同様に、液体ないしは固体操作作業をする。模擬試料は、有害物質の物性(粘度,沸点,比重,粒径,粒度分布など)と近似したものとする。次に作業所内に隈なく透明板8に固定した基質溶液を含んだシート1を接触させる。平面以外の部位は、透明板8を用いず上記基質溶液を含んだシート1を当該部位に接触させる。特に、粉体操作を行う場合、作業者が粉体を直接吸入したり、換気口から作業所外へ漏洩したりする可能性が高いため、換気口の内側及び外側周辺に基質溶液を含んだシート1を接触させる。これにより、模擬試料が飛散した箇所に発光点9を発生する。そして、発光点9の分布(飛沫3の飛散分布)の確認により、当該分布が有害物質による汚染箇所と判断できる。とりわけ、作業所外において飛沫分布が認められたときは上記有害物質が作業所外に漏洩している可能性が高く、早急に漏洩防止手段を講じることが必要である。
従って、有害物質を取り扱う作業所内外における、液体操作、又は固体操作による汚染について、状況所見を得ることが可能になる。
実施例5
本実施例は、実施例1〜4で説明されたシート1を即使用できる状態で、運搬及び保管する密閉容器である。第8図(A)は保存時の透視図をしめす。第8図(B)は、運搬時における、第8図(A)の線分ABの断面図を示す。そして、第8図(C)は、調製時における、第8図(A)の線分ABの断面図を示す。以下、第8図(A)〜(C)を参照に、本実施例4にかかる密閉容器2を説明する。
シート1に浸潤される基質溶液(化学発光基質4と酸化剤5の混合液)は、化学発光触媒(例えばコバルトイオン)が存在しなくても、接触することで徐々に反応する。そのため、化学発光基質4と酸化剤5は微小飛沫検出直前まで隔離しておく必要がある。
そのため、本実施例にかかる密閉容器2は、例えばアルミ箔に樹脂を裏打ちした材料で構成され、化学発光基質4及び酸化剤5を別々に収容する空間を有し、両者を分離して保存する。密封容器2は、化学発光基質4と酸化剤5を強い隔壁で隔離し、化学発光基質4及び酸化剤5とその下のシート1を脆い隔膜で隔離して、普段はこの状態で三者を保存する。
シート1を使用するときは、中央の取っ手を両側に引っ張ることで力Fを加えて脆い隔膜を破り、化学発光基質4及び酸化剤5の混合液をシート1に浸潤させる。密閉容器2のシート1が収納されている側に切り口が形成されているため、作業者はここから密閉容器2を開封して基質溶液が浸潤したシート1を取り出すことが出来る。
尚、本実施例では密封容器2が、シート1を化学発光基質4及び酸化剤5と分離して保持しているがこれに限定されるものではなく、シート1が一方の溶液を浸潤するように保持してもよい。
また、シート1は、化学発光基質4及び酸化剤5と一体に保存される必要はない。例えば、筒状の密閉容器2に化学発光基質4及び酸化剤5を脆い隔膜で隔離して保存し、シート1を別の清浄な容器で分離して保存することもできる。
以上により、化学発光触媒を含有する微小飛沫を即座に検出できる状態でシート1を保存することができる。
産業上の利用の可能性
本発明により、病原菌などの有害物質、あるいは特定核酸等を含む試料を取り扱う際に発生する飛沫の飛散分布を、容易かつ高精度に検出することができる。これにより、試料を取り扱う作業の安全性,妥当性等を確認でき、また、作業により飛散する試料を低減できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、シート1と透明板8の使用状態を示す。
第2図は、微粒子の飛散位置及び状態の確認方法。
第3図は、顕微鏡3下における化学発光触媒溶液の微粒子2の画像を示す。
第4図は、画像処理装置9による光子積算画像を示す。
第5図は、マイクロタイタープレートへ試薬を分注した位置を示す。
第6図は、PCR法による実際の液体操作によるコンタミネーション検出結果を示す。
第7図は、実際の液体操作によるコンタミネーション検出結果を示す。
第8図は、密閉容器を示す。

Claims (20)

  1. 以下の手順を含む予備検査方法。
    (1)検査対象試料と同一、又は近似する物性を有し、かつ化学発光触媒を含む模擬試料を、検査工程により取り扱う模擬検査手順。
    (2)模擬検査手順において飛散した模擬試料と、基質溶液を、担体において反応させ、発光を生じさせる発光手順。
    (3)前記検査工程に起因する微粒子の飛散分布を検出する検出手順。
  2. 請求の範囲1記載の予備検査方法であって、以下の手順を含む方法。
    (4)前記検査工程を変更し、前記模擬検査手順,前記発光手順、及び前記検出手順を再度行う調製手順。
  3. 特許請求の範囲1記載の予備検査方法であって、
    前記手順(2)が、「模擬検査手順により飛散した模擬試料を含む領域に、基質溶液により潤された担体を接触させ、飛散した模擬試料と基質溶液を担体において反応させ、発光を生じさせる発光手順」である予備検査方法。
  4. 特許請求の範囲1記載の予備検査方法であって、
    前記担体がシート形状である予備検査方法。
  5. 特許請求の範囲2記載の予備検査方法であって、
    前記手順(4)が、「検出手順において10ピコリットル以上の微粒子の飛散を検出した場合、前記検査工程を変更し、前記模擬検査手順,前記発光手順、及び前記検出手順を再度行う調製手順」である予備検査方法。
  6. 特許請求の範囲1記載の予備検査方法であって、
    前記化学発光触媒がコバルトを含み、前記基質溶液がルミノールを含む予備検査方法。
  7. 請求の範囲1記載の予備検査方法であって、
    前記検査工程が、検査対象試料を核酸処理装置により処理する工程を含む予備検査方法。
  8. 請求の範囲1記載の予備検査方法であって、
    前記手順(3)が、「発光を光子積算測定し、検査工程に起因する微粒子の飛散分布を検出する検出手順」である予備検査方法。
  9. 以下の手順を含む微粒子検出方法。
    (1)化学発光触媒を含む微粒子と、シート形状の担体を接触させる接触手順
    (2)担体において、前記微粒子と、基質溶液を反応させ、微粒子の位置情報に依存した発光を前記担体から生じさせる発光手順。
    (3)前記発光に基づいて、微粒子を検出する検出手順。
  10. 請求項9記載の微粒子検出法であって、
    前記手順(1)が、「化学発光触媒を含む微粒子と、基質溶液により潤されたシート形状の担体を接触させる接触手順」である微粒子検出法。
  11. 請求項10記載の微粒子検出法であって、
    前記基質溶液が、ルミノールを含む微粒子検出法。
  12. 請求項9記載の微粒子検出法であって、
    前記手順(3)が、「前記発光に基づいて、10ピコリットル以上の微粒子を検出する検出手順」である微粒子検出方法。
  13. 請求項9記載の微粒子検出法であって、
    核酸分析装置から飛散した微粒子を検出する微粒子検出法。
  14. 請求項9記載の微粒子検出方法であって、
    前記手順(3)が、「発光を光子積算測定して、微粒子を検出する手順」である飛沫群検出法。
  15. 以下の部材を含む微粒子検出器具セット。
    (1)化学発光触媒を含む模擬試料。
    (2)基質溶液を含む微粒子検出溶液。
    (3)微粒子検出溶液を保持できる担体。
  16. 請求の範囲15記載の微粒子検出器具セットであって、
    前記担体が多孔質である微粒子検出器具セット。
  17. 請求の範囲15記載の微粒子検出器具セットであって、
    前記担体がシート形状である微粒子検出器具セット。
  18. 請求の範囲15記載の微粒子検出器具セットであって、
    前記模擬試料の物性が、検査対象試料の物性と、同一又は近似している微粒子検出器具セット。
  19. 請求の範囲15記載の微粒子検出器具セットであって、
    前記化学発光触媒が、コバルトを含む微粒子検出器具セット。
  20. 請求の範囲15記載の微粒子検出器具セットであって、
    前記基質溶液が、ルミノールを含む微粒子検出器具セット。
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