JP3847023B2 - 吸収性物品用補助パッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品の漏れ防止性を向上させることができる、吸収性物品用補助パッドに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
生理用ナプキンなどの吸収性物品は種々提案されているが、これらの吸収性物品においては、着用時における側部及び後方部からの漏れを如何に防止するかが重要である。
このため、吸収性物品の側部や中央部または後方部に立体形状を付与する提案が種々なされている。具体的には、▲1▼弾性体の収縮力を利用して吸収性物品本体を湾曲させることにより防漏シートを吊り上げる形態、▲2▼パルプ等の吸収素材を局部的に盛り上げることにより、体にフィットさせる立体形状を付与した形態、▲3▼吸収性を備えた棒状補助パッド、等が提案されている。
【0003】
しかし、前記▲1▼の形態においては、装着中の吸収性物品本体の変形により、正規の湾曲形状を維持できなくなった際には、防漏シートを吊り上げることができなくなり、防漏機能が著しく低下することが起こり得、▲2▼及び▲3▼の形態については、装着中の変形を受けることにより、フィット性が著しく低下することが懸念され、加えて排泄物を吸収した際には、立体的な厚みが著しく減少し、結果的に体にフィットできなくなる等、未だ十分な漏れ防止性が得られておらず、吸収性物品の漏れ防止性をより向上させることが要望されている。
【0004】
従って、本発明の目的は、装着中の変形の影響を受けることなく、常に安定して生理用ナプキン等の吸収性物品の漏れ防止性を向上させることができる吸収性物品用補助パッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、弾性材料から形成された内部が中空の弾性中空体及び該弾性中空体を被覆してなる肌当接シートとを備えたパッド本体と、該パッド本体を吸収性物品に固定する固定手段とを具備し、吸収性物品の表面シート若しくは非肌当接面又は下着の何れかに貼り付けられて使用される吸収性物品用補助パッドであって、径方向断面形状が略円形状であり、最大高さが1〜30mmであり、前記弾性中空体は、積層された帯状の弾性シートの全周縁を、その内部にガスが存在する状態で該弾性シート間が密閉されるように封止して形成されており、前記弾性中空体には、剛性片が、前記弾性シートに挟み込まれた形態で配置させて封入されている吸収性物品用補助パッドを提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸収性物品用補助パッドの好ましい1実施形態について詳細に説明する。まず、本発明とは弾性中空体に剛性片が封入されていない点で異なる参考実施形態について説明し、次に、本発明の1実施形態について、該参考実施形態とは異なる点を中心に説明する。
参考実施形態の吸収性物品用補助パッド(以下、「補助パッド」と略す場合もある)1は、弾性材料からなる内部が中空の弾性中空体2と、該弾性中空体2を被覆してなる液体透過性の肌当接シート3とを備えたパッド本体10、及び該パッド本体10を吸収性物品に固定する固定手段11とを具備する。
【0007】
更に詳述すると、参考実施形態における弾性中空体2は、伸張かつ積層された帯状の弾性シートの全周縁を内部に空気等のガスが存在する状態で弾性シート間が密閉されるように封止した後、伸張状態を開放して得られるもので、封止して形成されたシール部21と、シール部21で囲まれており、風船状にふくらんでいる、棒状の弾性部22とからなる、略円柱状(棒状)の弾性中空体である。
前記弾性シートとしては、オレフィン系、ウレタン系、天然ゴム系の各種エラストマー等を原料樹脂としてなるシート;伸縮性不織布などの公知の不織布材料と、ガスバリヤー性を有するフィルム材との複合シート等が挙げられる。
弾性中空体2における弾性シートの伸張率は、得られる中空体の製法によって種々調整され得るものであるが、自然長に対して1.1〜3倍の範囲で伸長されるのが好ましい。特に望ましい形態の1つとしては、伸長された前記弾性シートが幅5〜10mm、長さ70〜80mmの弾性領域を残して、その外周縁を密閉状態に封止する際における、伸長された前記弾性シートの自然長に対する伸長倍率が1.2〜2.0倍であるのが望ましい。
また、弾性中空体の乾燥時及び湿潤時の圧縮回復率は、共に、弾性中空体にかかる装着圧に対して容易に変形回復し、防漏効果を発現させる目的から、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0008】
ここで、圧縮回復率は、下記のようにして測定される。
「テンシロン RTM−25型」〔東洋ボールドウィン(株)製〕を用いて行う。先ず、圧縮用ロードセル(これを以下、「セル」と記す)の先に直径30mmの受圧板を取りつけ、次いでセルを徐々に下降させ試料台に静かに接触させていき、500gの荷重が記録された時の受圧板と試料台の距離を0とする。
次に、セルを20mm上昇させ、試料台に測定サンプルを固定し、セルを下降させて500gの荷重が記録された時点で、セルを初期の位置まで上昇させて、この時の荷重−変位曲線を記録紙に記録し、下記の計算法に準じて圧縮回復率を算出する。尚、測定条件は、以下の通りである。
・セル下降および上昇速度;10mm/min
・記録紙フルスケール;1kg
・記録紙走査速度;100mm/min
<計算法>
記録紙に下降時に記録される荷重(縦軸)−変位(横軸)曲線Dと上昇時に記録される荷重−変位曲線Eとを記録する。次いで、各曲線D,Eにおける荷重0の時の交点及び荷重500gの時の交点をそれぞれ点A、点Bとし、点Bの取る変位を示す点、即ち変位は点Bと同じで荷重が0の点を点Cとする。そして、点A,B,C及び曲線Dで囲まれる図形の面積と点A,B,C及び曲線Eで囲まれる図形の面積とを算出し、この値を用いて、下式より圧縮回復率を算出する。
圧縮回復率(%)=(図形AEBCの面積/図形ADBCの面積)×100
【0009】
肌当接シート3は、帯状のシートであり、弾性中空体2の周面を完全に被覆して、円筒形状となるように配されており、一部において肌当接シート3が重なり合う部分31が形成されている。
肌当接シート3は、直接肌に当接させて用いられるものであるので、柔軟で着用者の肌に不快感を与えない材料からなるものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン等を原材料として、形成されたシート等が用いられる。また、液透過性のシートでも液不透過性のシートでも何れも用いることができる。参考実施形態においては、液透過性のシートを用いている。
参考実施形態のように液透過性のシートを用いた場合には、肌との接触面である表面に液を残さないため、肌への不快感を与えにくく装着感も良好なものとなる。
【0010】
また、参考実施形態の補助パッド1においては、弾性中空体2と肌当接シート3との間に吸収性シート4が配されている。
吸収性シート4は、弾性中空体2の周面を完全に被覆して、円筒形状となるように配されている。即ち、参考実施形態においては、弾性中空体2を吸収性シート4により直接被覆し、吸収性シート4により被覆された弾性中空体2を、肌当接シート3により、肌当接シート3と吸収性シート4とが直接当接するように被覆して、パッド本体10が形成されている。そして、弾性中空体2と吸収性シート4と肌当接シート3とは、それぞれ、スパイラル状等に塗布された接着剤やヒートシール(図示せず)等既知の技術を用いて接着されている。
吸収性シート4としては、紙、パルプ、不織布といった従来より吸収性物品の吸収体の構成材料として知られている原材料あるいは前記材料と吸水ポリマーよりなる複合材料を用いるのが望ましい。
【0011】
そして、パッド本体10は、その全体形状が、円柱状で且つ縦長形状であり、固定手段11は、該パッド本体10の長手方向に沿って、直線状に接着剤を塗布して形成された固定部12からなる。具体的には、固定部12は、肌当接シート3における肌当接シートが重なり合う部分31に対応して、幅2〜5mmで、パッド本体10の長手方向全域に亘って接着剤を塗布して形成されている。
ここで、用いられる接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−オレフィン系共重合体、ポリイソプレン等が挙げられる。
【0012】
参考実施形態の補助パッドは、全体の長さLが好ましくは30〜250mm、更に好ましくは60〜150mmであり、幅Wが好ましくは3〜20mmである。尚、長さや巾は、装着部位に応じて任意に選択できる。また、径方向断面形状が略円形状であり、最大高さが1〜30mm、好ましくは3〜15mmである。
また、弾性中空体2の高さは、1〜20mmとするのが好ましく、肌当接シート3の厚みは、0.01〜1mmとするのが好ましく、吸収性シート4の厚みは0.1〜5mmとするのが好ましい。
【0013】
そして、参考実施形態の補助パッド1は、例えば図3及び4に示すようにして用いられる。
即ち、図3に示すように、参考実施形態の補助パッド1は、縦長形状の通常の生理用ナプキン100の長手方向左右両側縁部100A,100Bそれぞれに、固着手段としての固定部を介して生理用ナプキンの表面シート110に貼り付けて、使用される。
このように使用した場合には、弾性中空体が風船のように柔軟なため着用者の着用部位に良好にフィットし、この良好なフィット性により側部からの漏れ防止性を向上させ、しかも肌当面シートで被覆されていること及び弾性中空体の適度な弾性から使用感がよい。
また、図4に示すように、参考実施形態の補助パッド1は、縦長形状の生理用ナプキン100の後方部100C側の幅方向中央に、固着手段としての固定部を介して生理用ナプキン100の表面シート110に貼り付けて、使用される。ここで、「後方部」とは、特にいわゆる夜用の生理用ナプキン等のようにナプキンの使用方向が決まっている場合に、着用時に着用者の臀部側に位置する部位である。
このように使用した場合には、弾性中空体が風船のように柔軟に着用者の臀部のくぼみにフィットするため、良好なフィット性により後方からの漏れ防止性を向上させる。しかも肌当面シートで被覆されていること及び弾性中空体の適度な弾性から使用感がよい。いずれの場合も、弾性中空体自身が、良好な圧縮回復性を有しているため、装着中の吸収性物品本体の変形に影響を受けることなく、常に漏れを防止するパッドとしての形状を維持し、効果的な防漏手段と成り得る。
【0014】
また、参考実施形態のように、吸収性シートを用いている場合には、補助パッド自体に吸収性能があるので、特に漏れ防止性が向上される。
また、図示しないが、吸収性物品の長手方向中央部の幅方向中央部に配して使用することもできる。
要するに、参考実施形態の補助パッドは、吸収性物品の長手方向左右両側縁部、長手方向中央部の幅方向中央部及び長手方向後方部の幅方向中央部の少なくとも何れかに配されて使用される。
【0015】
参考実施形態の補助パッド1は、2枚の弾性シートをそれぞれ伸張させた状態で重ね合わせて、周縁部を封止し、伸張状態を開放して、弾性中空体を製造し、得られた弾性中空体を吸収性シートで被覆した後、更に肌当接シートで被覆し、最終に接着剤を塗布して固定部を形成することにより、得ることができる。
【0016】
尚、上述の参考実施形態においては、弾性中空体が、円柱状(棒状)のものを例示して説明したが、弾性中空体は、この形状のユニットを複数連結してなる形状としても良い。
次に、本発明の補助パッドの1実施形態について説明する。本実施形態の補助パッドは、前記参考実施形態に比して、弾性中空体に剛性片が封入されている点が主として異なるが、その他の構成は参考実施形態と同様のものである。従って、以下には、本実施形態の補助パッドについて、参考実施形態とは異なる点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する(参考実施形態の説明が適宜適用される)。
実施形態補助パッド(図示せず)においては、弾性中空体に剛性片封入されている。具体的には、前記弾性シート内に剛性片を挟み込むように配置させ、少なくとも前記弾性シートの長手方向両側縁部にて弾性シート及び剛性片を密閉状態に封止する。また、この際用いられる剛性片としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックよりなるポリマーフィルムや不織布、紙等が挙げられる。
また、吸収性物品のフィット性を向上させるため、吸収性物品の非肌当接面や下着に、本発明の補助パッドを配しても良い。
【0017】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品用補助パッドは、生理用ナプキン等の吸収性物品の漏れ防止性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の吸収性物品用補助パッドの参考実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す吸収性物品用補助パッドの使用態様を示す平面図である。
【図4】図4は、図1に示す吸収性物品用補助パッドの使用態様を示す平面図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品用補助パッド
2 弾性中空体
3 肌当接シート
4 吸収性シート
10 パッド本体
11 固定手段
12 固定部

Claims (5)

  1. 弾性材料から形成された内部が中空の弾性中空体及び該弾性中空体を被覆してなる肌当接シートとを備えたパッド本体と、該パッド本体を吸収性物品に固定する固定手段とを具備し、吸収性物品の表面シート若しくは非肌当接面又は下着の何れかに貼り付けられて使用される吸収性物品用補助パッドであって、
    径方向断面形状が略円形状であり、最大高さが1〜30mmであり、
    前記弾性中空体は、積層された帯状の弾性シートの全周縁を、その内部にガスが存在する状態で該弾性シート間が密閉されるように封止して形成されており、前記弾性中空体には、剛性片が、前記弾性シートに挟み込まれた形態で配置させて封入されている吸収性物品用補助パッド
  2. 前記肌当接シートは、液体透過性である請求項1記載の吸収性物品用補助パッド。
  3. 前記弾性中空体と前記肌当接シートとの間に吸収性シートが配されている請求項1または2記載の吸収性物品用補助パッド。
  4. 前記パッド本体は、縦長形状であり、前記固定手段は、該パッド本体の長手方向に沿って、直線状に接着剤を塗布して形成された固定部からなる請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品用補助パッド。
  5. 吸収性物品の長手方向左右両側縁部、長手方向中央部の幅方向中央部及び長手方向後方部の幅方向中央部の少なくとも何れかに配されて使用される請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品用補助パッド。
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