JP3846538B2 - 打込機のトリガバルブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は釘などの止具を打込む打込機のトリガバルブ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
打込機の一例を図1、図9を参照して構成を説明する。
【0003】
図示しない圧縮機からの圧縮空気は、図示しないエアホースを介して打込機本体1内の蓄圧室2に蓄積される。打込機本体1内には円筒状のシリンダ3が設けられ、シリンダ3内には上下に摺動可能にピストン4aが設けられ、ピストン4aにはドライバブレード4bが一体に形成され、先端部4cによって釘5を打ち込むようになっている。
【0004】
トリガバルブ部6は、トリガ39により上下動されるプランジャ7、プランジャ7の移動に対応してプランジャ7と相反する方向に移動してスリーブバルブ室8内の圧縮空気を直接給排するバルブピストン9、プランジャ7及びバルブピストン9を移動可能に支持するバルブブッシュ10、11、プランジャ7とバルブピストン9との間に設けられたスプリング12等により構成されている。プランジャ7の上部には、バルブピストン下室13と大気を連通する空気通路14を断続するOリング15が設けられている。
【0005】
バルブピストン9には、大気とスリーブバルブ室8を連通する空気通路20、空気通路20と蓄圧室2を連通する空気通路22をそれぞれ断続するOリング21、23が嵌着され、またバルブピストン下室13と空気通路22を常時閉じるOリング24が嵌着されている。バルブピストン9が上死点に位置している時、蓄圧室2とスリーブバルブ室8が連通すると共にスリーブバルブ室8と大気間が閉じ、バルブピストン9が下死点に位置している時、スリーブバルブ室8と大気が連通するとともに蓄圧室2とスリーブバルブ室8間が閉じる。
【0006】
バルブブッシュ10には、バルブピストン下室13と蓄圧室2を連通する空気通路16、空気通路17を断続するOリング18および空気通路16と大気を常時閉じるOリング25が嵌着されている。
【0007】
シリンダ3の上側外周にはスリーブバルブ部26が設けられ、スリーブバルブ部26は、スリーブバルブ19、スリーブバルブ19の上方に嵌着されて蓄圧室2とシリンダ3を断続するスリーブバルブラバー27、スリーブバルブ19を上死点側に付勢するスリーブバルブスプリング28、シリンダ3の上方に嵌着され、シリンダ3のピストン4a上側の圧縮空気を排気するための空気通路29をスリーブバルブ19との接離によって断続するエキゾーストラバー30、スリーブバルブ19の下方に嵌着され、スリーブバルブ室8と空気通路29を常時閉じるOリング31、Oリング32等から構成されている。
【0008】
スリーブバルブ19の下降により、スリーブバルブ19がエキゾーストラバー30と接触して空気通路29を閉じると共に蓄圧室2とシリンダ3内のピストン4a上側が連通する。スリーブバルブ19の上昇により、シリンダ3上端が閉じるとともにスリーブバルブ19がエキゾーストラバー30から離れ空気通路29が開く。空気通路29は図示しない空気通路を介して大気に連通している。
【0009】
シリンダ3下端外周にはドライバブレード4を上死点に復帰させるための圧縮空気を貯める戻し空気室33が設けられ、軸方向中央部下方に逆止弁34を備えた空気通路35及びシリンダ3下方に空気通路36が設けられている。またシリンダ3下端には釘5打込み後のドライバブレード4の余剰エネルギーを吸収するためのピストンバンパ37が設けられている。
【0010】
操作部38は、操作者によって操作されるトリガ39、トリガ39とプランジャ7との間に位置するアームプレート40、ノーズ41の下端からアームプレート40近傍まで延び、ノーズ41側に付勢されてノーズ41に沿って移動可能なプッシュレバー42等から構成されている。従って、周知のごとく、トリガ39の引き操作と、プッシュレバー42の被打込材への押し当て操作の両方が行われた時にプランジャ7が押し上げられるようになっている。
【0011】
射出部43には、ピストン4の往復動に対応してマガジン44に装填された釘5を順次射出口41に給送する給送機構45が設けられている。
【0012】
上記構成の打込機1による打込み動作について図1、図8〜図12を参照して説明する。
【0013】
打込機本体1にエアホースをつないだ状態を図1、図9に示す。圧縮空気は、蓄圧室2に蓄積される。蓄圧室2内の圧縮空気の一部は空気通路17、16を介してバルブピストン下室13内に流入する。Oリング15とOリング25の径差による受圧力およびスプリング12の押圧力によってプランジャ7は下死点に位置する。また蓄圧室2内の圧縮空気の一部は、空気通路22を介してスリーブバルブ室8内に流入する。スリーブバルブラバー27とOリング46の径差と、Oリング31、Oリング32の径差による受圧力およびスリーブバルブスプリング28の押圧力によって、スリーブバルブ19は上死点に位置する。
【0014】
トリガ39の引き操作およびプッシュレバー42の被打込材への押し当て操作の両方を行い、プランジャ7を上死点に押し上げた瞬間の状態を図10に示す。Oリング18によって空気通路16が遮断され、Oリング15のシールが外れ、空気通路14を介してバルブピストン下室13と大気が連通し、バルブピストン下室13内の圧縮空気は排気される。
【0015】
バルブピストン下室13がほぼ大気圧になると、Oリング23とOリング24の径差による受圧力によって、スプリング12の押圧力に抗してバルブピストン9は下死点側に移動する。Oリング23によって空気通路22と空気通路20が遮断され、Oリング21のシールが外れ、空気通路20を介してスリーブバルブ室8と大気が連通してスリーブバルブ室8の圧縮空気は排気される。スリーブバルブ室8内がほぼ大気圧になると、スリーブバルブラバー27とOリング46の径差による受圧力によって、スリーブバルブスプリング28の押圧力に抗してスリーブバルブ19が下死点側に移動し始め、蓄圧室2とシリンダ3が連通すると、Oリング46とエキゾーストラバー30の径差による受圧力によって、スリーブバルブ19は急激に下死点側に移動する。
【0016】
エキゾーストラバー30によって蓄圧室2およびシリンダ3と空気通路29間が遮断される。蓄圧室2からシリンダ3のピストン4a上側に流入した圧縮空気によってピストン4aは図8に示すごとく急激に下死点側に移動しながら釘5を打込む。シリンダ3のピストン4a下側の空気は、空気通路36を介して戻し空気室33に流入し、ピストン4aが空気通路35を通過すると、ピストン4a上側の圧縮空気の一部が空気通路35を介して戻し空気室33に流入する。
【0017】
トリガ39を戻すかプッシュレバー42の被打込材への押し当て操作をやめて、プランジャ7を下死点に戻した瞬間の状態を図12に示す。
【0018】
プランジャ7は、Oリング15とOリング25の径差による受圧力とスプリング12の押圧力によって下死点側に移動する。Oリング15によって空気通路14が遮断され、Oリング18のシールが外れて空気通路17、16を介して蓄圧室2の圧縮空気がバルブピストン下室13に流入する。
【0019】
バルブピストン下室13に圧縮空気が流入すると、Oリング23とOリング24の径差およびOリング15とOリング24の径差による受圧力とスプリング12の押圧力によって、バルブピストン9は上死点側に移動する。Oリング21によって空気通路20が大気と遮断され、空気通路22、空気通路20を介して蓄圧室2とスリーブバルブ室8が連通し、スリーブバルブ室8内に圧縮空気が流入する。
【0020】
スリーブバルブ室8に圧縮空気が流入すると、Oリング31とOリング46の径差による受圧力とスリーブバルブスプリング28の押圧力によってスリーブバルブ19が上死点側に移動する。スリーブバルブラバー27によって蓄圧室2とシリンダ3が遮断され、エキゾーストラバー30によってシリンダ3と大気が連通する。戻し空気室33に蓄積された圧縮空気によってピストン4a下側が押圧され、ピストン4aは急激に上死点側に移動する。ピストン4a上側の空気は、空気通路29を介して大気に放出され、初期状態に戻る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、バルブピストン下室13内の圧縮空気は空気通路14を介して排気される。図13に示すように、空気通路14と大気が連通して排気される際、この排気圧力によって、Oリング15がプランジャ7の溝から脱落する恐れがあった。脱落しないようにOリング15の硬度を上げると、バルブピストン9とプランジャ7の摺動抵抗が増加し、動作不良を起こしたり、Oリング15をプランジャ7に嵌着させにくいという問題があった。
【0022】
上記した現象は、バルブブッシュ10に嵌着されたOリング18にも起り得る。すなわち、プランジャ7のフランジ部の下方に位置する小径部がOリング18に対向する位置にあってOリング18のシールが外れると、空気通路17、16を介して蓄圧室2内の圧縮空気がバルブピストン室13に流入するが、図14に示すごとく、この圧縮空気の圧力によってOリング18がバルブブッシュ10の溝から脱落する恐れがある。上記同様、脱落しないようにOリング18の硬度を上げると、バルブブッシュ10とプランジャ7の摺動抵抗が増加し、動作不良を起こしたり、Oリング18をバルブブッシュ10に嵌着させにくいという問題があった。
【0023】
本発明の目的は、上記した問題をなくし、Oリングの硬度を上げることなくOリングの脱落を防止できるようにすることである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、Oリングが摺動するバルブピストンまたはプランジャの摺動面に径方向に断続する凹凸部を周方向にそって複数個形成することにより達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を一実施形態を示す図2〜図4を参照して説明するが、以下に説明するバルブピストン9の上方以外は殆ど変更が無いので変更部分以外の説明を省略する。
【0026】
プランジャ7が上昇した時にOリング15に対向するバルブピストン9の上方部には、径方向に断続する凹凸を周方向に沿って形成した複数個の凹凸部48が設けられている。凸部48aはOリング15の摺動を案内できる径に形成され、凹部48bは、バルブピストン下室13内の圧縮空気が通過できる面積を確保できる径および幅に形成され、計8個の凹部48bは前記空気通路14を構成する。
【0027】
上記構成とした結果、プランジャ7のOリング15が凹凸部48まで上昇して空気通路14が開くと、バルブピストン下室13内の圧縮空気が凹部48bを介して大気に排出される。この際Oリング15が排気圧によってプランジャ7の溝から脱落しようとする力を受けるが、凸部48aによって脱落するのが阻止される。従って、Oリング15の硬度を上げることなくOリング15の脱落を防止することが可能となり、プランジャ7の摺動特性、Oリング15の嵌着性が低下することを防止できる。
【0028】
図5〜図7は本発明の他の実施形態を示し、バルブブッシュ10の溝に設けられたOリング18がバルブピストン下室13内に流入する圧縮空気によってバルブブッシュ10の溝から脱落するのを阻止するもので、プランジャ7に、特に図7に示すごとく、軸方向に沿って延びた凹部58bおよび凸部58aからなる凹凸部58を設け、この凹凸部58の存在によってOリング18がバルブブッシュ10の溝から脱落するのを阻止している。なお凸部58aの外径はOリング18をガイドとしてプランジャ7が摺動できる径に形成され、凹部58bの径及び幅はバルブピストン下室13内に圧縮空気が流入できる面積を確保できるように形成される。従って、Oリング18の硬度を上げることなくOリング18の脱落を防止することが可能となり、プランジャ7の摺動特性、Oリング18の嵌着性が低下することを防止できる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、Oリングの硬度を上げることなくOリングの脱落を防止することが可能となり、プランジャの摺動特性、Oリングの嵌着性が低下することを防止できるという作用効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】打込機の一例を示す一部断面側面図。
【図2】本発明トリガバルブ装置の初期状態の一実施形態を示す断面図。
【図3】図2からプランジャを押し上げた状態を示す断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】本発明トリガバルブ装置の初期状態の他の実施形態を示す断面図。
【図6】図5からプランジャを押し上げた状態を示す断面図。
【図7】図5のB−B線断面図。
【図8】図1の状態からピストンが駆動された状態を示す断面図。
【図9】本発明以前のトリガバルブ装置の一例を示す断面図。
【図10】図9からプランジャを押し上げた状態を示す断面図。
【図11】図10からバルブピストンが下死点に移動した状態を示す断面図。
【図12】図11からプランジャを戻した状態を示す断面図。
【図13】図9に示すトリガバルブ装置の動作状態を示す断面図。
【図14】図9に示すトリガバルブ装置の動作状態を示す断面図。
【符号の説明】
1は打込機本体、2は蓄圧室、6はトリガバルブ、7はプランジャ、9はバルブピストン、10、11はバルブブッシュ、12はスプリング、13はバルブピストン下室、14は空気通路、15、18はOリング、48、58は凹凸部、48a、58aは凸部、48b、58bは凹部である。
Claims (1)
- 圧縮空気を貯める蓄圧室と、圧縮空気の押圧力によって往復移動し、釘等の止具を打撃するピストンと、ピストンを往復移動可能に支持し、ピストンと共に打込機構を構成するシリンダと、打込機構を駆動開始するためのトリガバルブと、トリガバルブを駆動させるトリガと、トリガの操作による上下動が可能な如くトリガバルブ内に設けられたプランジャと、プランジャを上下動可能に支持するバルブブッシュと、トリガバルブ内に上下動可能に支持され、プランジャを上下動可能に支持するバルブピストンと、バルブピストンとバルブブッシュとの間に形成され、圧縮空気が供給された時バルブピストンを上昇させ、圧縮空気が排出された時にバルブピストンを下降させるバルブピストン下室と、プランジャが下死点位置にある初期状態の時に蓄圧室とバルブピストン下室を連通させて蓄圧室内の圧縮空気をプランジャの下方からバルブピストン下室内に流入させる第1空気通路と、トリガの操作によりプランジャが上死点位置側に移動する時にバルブピストン下室を大気に連通させる第2空気通路とを備えた打込機において、
前記プランジャが上昇した時にプランジャ外周と接触して前記第1空気通路を閉じるようにバルブブッシュ内周に設けられた第1シール部材と、プランジャが下死点位置にある初期状態において第1シール部材に対向するプランジャの外周にプランジャの移動方向に沿って延びると共に周方向に沿って設けられ、蓄圧室内の圧縮空気をバルブピストン下室内に流入させる複数の第1凹部及び第1凹部の間にあって第1シール部材の内周に接触して蓄圧室内の圧縮空気がバルブピストン下室内に流入するのを阻止する第1凸部と、初期状態においてバルブブッシュと接触して前記第2空気通路を閉じるようにプランジャの上部に設けられた第2シール部材と、プランジャが上昇した時の第2シール部材に対向するバルブピストン内壁にバルブピストンの移動方向に沿って延びると共に周方向に沿って設けられ、バルブピストン下室内の圧縮空気を大気に排出する複数の第2凹部及び第2凹部の間にあって第2シール部材の外周に接触してバルブピストン下室内の圧縮空気が大気に排出されるのを阻止する第2凸部とを備え、前記第2凹部の数を第1凹部の数より多くしたことを特徴とする打込機のトリガバルブ装置。
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