JP3846451B2 - ベルレス高炉の原料装入方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コークスと鉄鉱石その他の原料とを順次層状に装入するベルレス高炉において、コークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成の際に生じ易い炉内円周方向偏差を抑制し、通気性および通液性を良好に維持することができるベルレス高炉の原料装入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉を安定させ、しかも効率よく操業するには、炉内を上昇するガスと炉内を降下するコークスおよび鉄鉱石その他の原料(以下、「鉱石」という)との熱交換、ならびに反応を効率よく行わせるために、炉内の通気性および通液性を良好に保つことが重要である。
【0003】
高炉の炉頂からコークスと交互に装入された鉱石は、炉下部に設置された羽口から吹き込まれる熱風とコークスとの反応によって生成する還元性ガスの作用で、炉内を降下しつつ徐々に加熱、還元され、軟化融着帯を形成した後、溶融し、溶銑、溶滓として炉芯コークス層の隙間を滴下して炉底に溜まる。この溶銑、溶滓は出銑口から定期的にまたは連続的に抜き出される。
【0004】
近年、高炉操業は、コークス比の低減を狙い、羽口から熱風とともに微粉炭を吹き込む高PCI操業へ移行しており、炉頂から装入するコークスの量は鉱石量に比較して相対的に減少してきている。そのため、炉内半径方向や円周方向に堆積偏差が生じやすく、例えば、コークス椎積量が少ない部分が存在した場合、その部分で鉱石の割合が増加することになる。鉱石の粒径は一般的にはコークスの粒径の1/2程度なので、この鉱石の割合が高い部分では通気抵抗が高く、それによるガス流れの迂回が還元反応の停滞を誘発し、高炉全体の炉況異常を引き起こす恐れがある。
【0005】
ベルレス高炉では、炉壁周辺部の鉱石とコークスの堆積比を一定に保つために、また、炉内装入物の落下点を炉壁部から炉中心部側へ同心円状に連続的に移動させて細粒を均一に堆積させるために、炉壁周辺部の近傍における堆積形状(プロフィール)を平らなテラス状に形成し、安定な堆積状態を維持する技術は公知である。例えば、特許文献1には、テラスの傾斜角を水平に対して士15度の範囲内とし、テラス長さを炉壁面から炉口半径の10〜60%にすることにより炉壁周辺部のガス流分布の安定化を図ることを目的とした技術が開示されている。
【0006】
しかし、コークスおよび鉱石を同心円状に装入するにもかかわらず、炉壁の円周方向における損耗偏差や装入量の経時的な変動により、円周方向でテラス長さは一定ではなく、通常偏差が生じている。そして、このような偏差のあるコークスのテラス(以下、「コークステラス」または単に「テラス」ともいう)上に鉱石を同心円状に装入すると、コークスの流れ込みもしくはコークスと鉱石の混合層の形成に偏差が生じ易く、通気性や通液性が一定しないため、高炉の炉況が不安定になり易い。
【0007】
前掲の特許文献1に示された技術においても、特に円周方向でコークステラス長さに差異があると、コークスに続いて装入される鉱石の落下点が前記テラス上にあるか、斜面上にあるかによってコークス層崩れ量の差が顕著になり、円周方向に高炉炉況の安定性に係わる重大な偏差が生じる恐れがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−92808号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術における問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、テラス長さに偏差のあるコークステラス上に鉱石を装入する際に、コークスの流れ込みもしくはコークスと鉱石の混合層の形成において生じる炉内円周方向偏差を抑制し、通気性および通液性を良好に維持して、高炉を安定させ、効率よく操業することができるベルレス高炉の原料装入方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明者らは、実機大の高炉模型により装入実験を行い、以下に示す知見を得た。
【0011】
(a) コークステラス上に鉱石を装入するとき、コークス斜面の崩壊が最大となる鉱石の落下位置が存在する。この位置に相当する鉱石の分配シュートの傾動角をθcとし、コークス装入時の分配シュートの最小傾動角をθとすると、両者は、θc=θ+4°の関係にある。なお、前記の分配シュートの傾動角θcおよび分配シュートの最小傾動角θは、いずれも鉛直方向を基準とする角度である。
【0012】
(b) コークステラスの長さの偏差は、分配シュート傾動角の偏差Δθで表すと約4°に相当する。
【0013】
(c) 鉱石装入時に、コークス斜面を確実に崩壊させ、コークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成に偏差が生じないようにするためには、鉱石の初期分配シュート傾動角を(θc−Δθ/2=θ+2°)以下とし、装入鉱石の20質量%以上を装入するとよい。
【0014】
(d) また、コークステラス上に鉱石を安定して装入するには、鉱石の分配シュート傾動角を(θc+Δθ/2=θ十6°)以上とし、この範囲の傾動角で装入しきれないときは、残りの鉱石を、(θc−Δθ/2=θ+2°)以下の傾動角で装入することが有効である。
【0015】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記(1)および(2)のベルレス高炉の原料装入方法にある。
【0016】
(1)コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、コークス装入における分配シュートの最小傾動角がθであるとき、鉱石装入の最初にまたは分配シュート傾動角をθ+6°以上として鉱石を装入した後、装入鉱石の20質量%以上を、分配シュート傾動角をθ+2°以下として装入することを特徴とするベルレス高炉の原料装入方法。
【0017】
(2)コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、コークス装入における分配シュートの最小傾動角がθであるとき、分配シュート傾動角をθ+6°以上として装入すべき鉱石の全てを装入することを特徴とするベルレス高炉の原料装入方法。
【0018】
前記(1)または(2)のベルレス高炉の原料装入方法において、分配シュート傾動角がθ+6°以上での鉱石の装入に限界があるときには、残りの鉱石を分配シュート傾動角をθ+2°以下として装入してもよい。
【0019】
前記の「分配シュートの傾動角」は、鉛直方向を基準とする角度である。
【0020】
また、「コークス装入における分配シュートの最小傾動角θ」とは、コークスのテラスとその斜面との境界部の位置(つまり、テラスの肩口)にコークスが装入される分配シュートの傾斜角である。分配シュートの傾動角を順次変化させてコークスを炉壁周辺部から炉中心方向へと装入していく場合、コークスのテラス状の堆積は分配シュートの最小傾動角θに対応する位置までで終了し、その位置から炉中心側は斜面になるからである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のベルレス高炉の原料装入方法(前記(1)および(2)に記載の方法)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、実機大の高炉模型により装入実験を行って得られた結果を示す図である。下側の図は、炉中心部からの水平方向距離を横軸にとった鉱石装入前のコークスプロフィールを示し、上側の図は、鉱石を装入したときのコークス崩れ量を下側の図に対応させて示した図である。上側の図において、図中の○印および●印は装入実験で得られたデータで、○印はコークス斜面角度が30°の場合、●印は40°の場合である。また、破線および実線はそれらデータから計算で求めたコークス崩れ量を示す曲線である。一方、下側の図において、破線はコークス斜面角度が30°のコークスプロフィールを、実線はコークス斜面角度が40°のコークスプロフィールを示す。
【0023】
図1の上側の図と下側の図を対比すると、コークス斜面角度には関係なく、コークスプロフィールにおけるテラスの肩口から炉壁側に一定距離(後述する図2中に示した距離d)をおいた位置に鉱石を装入した時にコークス斜面の崩落によるコークス崩れ量が最大となること(すなわち、崩落極大位置が存在すること)、その位置よりも炉壁側に鉱石を装入してもコークス層の崩落は全く起こらないこと、および、その位置よりも炉中心側に鉱石を装入すれば、コークス斜面の崩壊が必ず起こることがわかる。
【0024】
さらに、一連の装入実験の結果から、鉱石がこの崩落極大位置に装入される(落下する)ときの分配シュートの傾動角をθc(以下、単に「鉱石傾動角θc」ともいう)とすると、コークス斜面角度に関係なく下記▲1▼式成り立つことが判明した。
【0025】
θc=θ+4° ・・・▲1▼
なお、θは、先に述べたように、コークス装入における分配シュートの最小傾動角で、コークステラスの先端部(テラスの肩口)にコークスが落下するときの傾斜角である。
【0026】
また、前記高炉模型による装入実験で、実高炉の装入条件を想定して、分配シュートの旋回数に応じた回数分の鉱石を装入し、コークス斜面上への鉱石装入がコークス斜面崩れへ及ぼす影響について調査した。なお、鉱石装入量については、1チャージ(1層分)の全鉱石量を16分割し、1旋回に相当する1回の装入量を決定した。
【0027】
この装入実験により、前記の鉱石傾動角θc以下でコークス層上に装入された鉱石のうち、最初の4回(4旋回)の装入までがコークス斜面形状に影響し、5回目の装入からは、影響しないことが判明した。これは、最初の4回分の鉱石装入でコークス斜面が崩壊するとともに全体が装入された鉱石で覆われ、5回目以降装入された鉱石はコークス表面に直接接することがなく、コークス崩れに影響しなくなるからである。
【0028】
通常の高炉操業、すなわち装入されるコークスに対する鉱石の質量比率が3.0から5.0程度である場合の炉内における標準的な鉱石層厚は、炉口部付近では平均300〜400mm程度であること、また、炉頂部のコークス表層を覆うに必要な最低鉱石層厚は、前記装入実験の際の観察結果から鉱石の約3個分(鉱石粒径の約3倍)に相当する60mm程度(前記平均層厚を300mmとすると、その20%に相当する)であることを考慮すると、分配シュート傾動角がθc以下で(すなわち、前記の崩落極大位置よりも炉中心側の)コークス層上に装入された鉱石のうち、全鉱石の20%に相当する鉱石がコークス斜面崩れに影響することになる。
【0029】
図2は、コークス層の表面に鉱石を装入したときの落下位置と分配シュートの傾動角の関係を模式的に示す図である。図2中に示したP点が前記の崩落極大位置で、そのときの分配シュート1の傾動角がθcである。また、S点がコークステラス2の肩口であり、S点とP点間の距離dが前記図1の説明で述べた「一定距離」である。
【0030】
前記図1に示した結果から判断すると、P点よりも炉壁3側に鉱石を装入してもコークス層4の崩落は全く起こらず、P点よりも炉中心側に鉱石を装入すれば、コークス斜面の崩壊が必ず起こることになる。しかし、実際には、以下に述べるように、コークステラス長さには円周方向偏差があり、コークステラスの肩口(S点)の位置が円周方向により変動するので、分配シュート1の傾動角をθcとして鉱石を装入しても必ずしも前記の崩落極大位置に落下するとは限らず、コークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成の際に炉内円周方向で偏差が生じることとなる。
【0031】
前記コークステラス長さの円周方向偏差は、特に順傾動(原料装入が炉壁周辺部から炉中心へ向けて行われるような分配シュートの傾動)の場合、コークスの最小傾動角での旋回中における最終装入位置(荷切れ)に依存するため、ベルレス高炉では、潜在的に最大で1旋回分の円周方向偏差を有することになる。
【0032】
この円周方向偏差幅をシュート傾動角範囲で表現すると、円周方向偏差Δθは、順傾動の場合、最終旋回となる最大ノッチ(最小傾動角)とその一つ前のノッチとの差に相当する角度分になる。この角度は、一般的には2〜3°である。また、落下した原料の幅の広がり等を分配シュート傾動角で1°分とすると、前記の最大ノッチとその一つ前のノッチとの差に相当する角度を3°として、分配シュートの傾動角に換算した円周方向偏差Δθ(図2参照)は、最大で4°(Δθ=4°)になる。
【0033】
したがって、鉱石を落下させて円周方向のどの位置でもコークス斜面を確実に崩壊させ、コークス崩れを一定量に確保するためには、前記の円周方向偏差Δθを勘案し、図2に示すように、分配シュートの傾動角を(θc−Δθ/2)以下として装入すればよいことになる(図中に白抜き矢印Y1で示す範囲)。なお、θcから円周方向偏差Δθの1/2を差し引くのは、図2に示すように、円周方向偏差ΔθはP点(分配シュート傾動角で表すと、θc)を挟んで炉中心側および炉壁側に広がっているとみなすことができ、この場合は炉中心側の偏差(分配シュート傾動角で表すと、図中に示した偏差(Δθ/2))のみを考慮すればよいからである。なお、前記(θc−Δθ/2)は、θc=θ+4°(前記の▲1▼式)および前記のΔθ=4°を代入すると、(θ+2°)と表される。
【0034】
一方、鉱石を落下させて円周方向のどの位置でもコークス斜面の崩壊が起こらないようにするには、前記と同じく円周方向偏差Δθを勘案して(この場合は、P点を挟んで炉壁側の偏差のみを考慮)、分配シュートの傾動角を(θc+Δθ/2)以上として装入すればよい(白抜き矢印Y2で示す範囲)。前記の(θc+Δθ/2)は、前記の▲1▼式およびΔθ=4°を代入すると、(θ+6°)となる。
【0035】
前記(1)に記載の本発明の原料装入方法は、「コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、鉱石装入の最初にまたは分配シュート傾動角をθ+6°以上として鉱石を装入した後、装入鉱石の20質量%以上を、分配シュート傾動角を(θ+2°)以下として装入するベルレス高炉の原料装入方法」であるが、この方法において、「分配シュート傾動角を(θ+2°)以下として装入する」こととしたのは前記の理由によるものである。
【0036】
また、「装入鉱石の20質量%以上」とした理由も、先に述べたとおりで、全鉱石の20質量%以上に相当する鉱石を分配シュート傾動角を(θ+2°)以下として装入することにより、コークス斜面が崩壊するとともにその斜面全体が鉱石で覆われ、その後に装入される鉱石はコークス表面に直接接することがなく、コークス崩れに影響しなくなるからである。なお、残りの80質量%以下の鉱石の装入条件については、特に限定はなく、そのときの装入物分布状態に応じて分配シュートの傾動角を定めればよい。
【0037】
前記20質量%以上の鉱石の装入は、鉱石装入の最初に行うのがよい。これによりコークス斜面の崩壊が起こるとともに、その斜面全体が鉱石で覆われてその後の装入の影響を受けないので、残りの鉱石を斜面、テラスを問わずどこへ装入しても、もはやコークスの崩落は生じないからである。しかし、例えば、最初の鉱石装入はコークスの崩落が全く起こらない炉壁側とし、その後、20質量%以上の鉱石をシュート傾動角を(θ+2°)以下として装入する方法を採ってもよい。最初の鉱石装入ではコークスの崩落は起こらず、傾動角が(θ+2°)以下での装入により、前記20質量%以上の鉱石の装入を最初に行った場合と同一の結果に帰するからである。
【0038】
前記(1)に記載の原料装入方法によれば、コークス斜面の崩壊を確実に起こさせることができ、テラス長さに偏差のあるコークステラス上に鉱石を装入する際に生じるコークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成における炉内円周方向偏差を抑制することが可能となる。
【0039】
前記(2)に記載の本発明の原料装入方法は、「コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、分配シュート傾動角を(θ+6°)以上として装入すべき鉱石の全てを装入するベルレス高炉の原料装入方法」である。ここで、「分配シュート傾動角を(θ+6°)以上として」鉱石を装入することとしたのは、前述した理由によるものである。
【0040】
前記(2)に記載の原料装入方法は、1チャージ(1層分)に装入する全鉱石を分配シュート傾動角(θ+6°)以上で装入するのであるが、この条件での鉱石の装入に例えば量的な限界があるようなときには、残りの鉱石を分配シュート傾動角を(θ+2°)以下として装入する。傾動角を(θ+2°)を超え(θ+6°)未満として装入すると、コークステラスの長さによっては、コークス斜面の崩落が起こったり起こらなかったりしてコークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成に偏差が生じるからである。
【0041】
図3は、装入されたコークスの堆積状態の円周方向におけるバラツキとコークス崩落の円周方向偏差を生じさせない鉱石落下点範囲を示す図である。図中に示した曲線Kは、分配シュートの傾動角をθcとして鉱石を装入したときの、すなわち前記のコークス斜面の崩壊が極大となる鉱石の落下点を示す。また、点線S1は分配シュートの傾動角を「θ+2°」としたときの鉱石の落下点を、点線S2は分配シュートの傾動角を「θ+6°」としたときの鉱石の落下点を示す。
【0042】
鉱石の落下点がS1よりも炉中心側(矢印Y1で示した側、すなわち、前記(1)に記載の原料装入方法で規定する分配シュート傾動角範囲)であれば、テラス長さに偏差があってもコークス斜面を確実に崩壊させることができ、コークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層の形成の際の炉内円周方向偏差を抑制することが可能である。また、鉱石の落下点がS2よりも炉壁側(矢印Y2で示した側、すなわち、前記(2)に記載の原料装入方法で規定する傾動角範囲)であれば、コークス層の崩壊が全く起こらず、前記円周方向偏差を抑制することができる。
【0043】
【実施例】
ベルレス型炉頂装入装置を備えた高炉円筒型ガス流れ実験装置(実スケールの1/20縮尺模型)により、装入物の装入条件を種々変更して装入実験を実施した。
【0044】
図4にこの実験装置の概略構成を示す。この装置におけるベルレスシュート(分配シュート)5は、設定した傾動角を維持したまま、上部に配置したモータ(図示せず)により一定の回転速度で旋回する。装置の下部には、実炉を想定した送風機(図示せず)および羽口6と、荷下がりを模擬した原料の切り出し用の装入物排出口7と、テーブルフイーダー8を備えている。装置の上部には、炉頂部の装入条件に応じた粒子充填構造によるガス流速分布が形成されるが、この円周方向のガス流分布を計測することができるガス流速計9が設置されている。ベルレスシュート5の上方には、開閉弁11を介して装入される装入物を収納するホッパー10が取り付けられている。
【0045】
実験条件として、すべてのケースにおいて、コークスの堆積形状を同一のコークステラス状に形成し、各ケースで鉱石落下点を変更させた。鉱石の装入は2回の分割装入とした。また、装入した炉頂の試料がテーブルフイーダーから切り出されるまでを1サイクルとして、4サイクルまで実験を継続した。
【0046】
ガス流速の測定は、3サイクル目から4サイクルの終わりまで炉頂部の各点で連続測定し、その平均ガス流速を各ケースの代表値とした。
【0047】
前記平均ガス流速に対する中心ガス流速の比(中心ガス流速/平均ガス流速)として定義した「中心流指数」と、円周方向のガス流速のバラツキを示す「円周偏差指数」(すなわち、円周方向ガス流速測定値の標準偏差)とを通気性の良否の判断基準とした。安定な高炉操業を維持するためには、中心流指数が2.0以上、円周偏差指数が0.2以下であることが望ましい。
【0048】
実験結果を表1に示す。表1において、「1バッチ目」とは、前記2回の分割装入のうちの1回目の装入を、「2バッチ目」とは2回目の装入を指す。
【0049】
【表1】
【0050】
比較例1では、1バッチ目の装入は、全鉱石の80%を鉱石のシュート傾動角を(θ+4°)から(θ−10°)まで変化させながら装入した。なお、θは、コークス装入におけるシュート最小傾動角で、コークステラス先端部への落下に相当する傾動角である。また、2バッチ目は、残りの20%を炉壁周辺部に装入した。
【0051】
その結果、1バッチ目の最初の設定傾動角での鉱石装入からコークス層は崩壊し、中心部へのコークスの流れ込みが生じた。これは、1バッチ目の装入において、前記(1)に記載の原料装入方法で規定する分配シュート傾動角が(θ+2°)以下という条件から外れたためである。また、中心流指数(中心ガス流速/平均ガス流速)は、中心近傍へのコークスの流れ込みにより2.6と高く、良好であったが、炉内円周方向のガス流速のバラツキを示す円周偏差指数は0.54で、望ましい基準である0.2以下から大きく外れた。
【0052】
比較例2では、1バッチ目の鉱石装入をシュート傾動角(θ−1°)から開始し、装入鉱石のうちの最初の15%をθc以下で装入した後、2バッチ目では残りの鉱石85%をシュート傾動角を(θ+9°)から(θ−5°)として装入した。この場合、1バッチ目の鉱石装入量が(1)に記載の原料装入方法で規定する量より少なく、炉中心領域への流れ込みコークス量が不十分で、炉中心部の鉱石割合が多かったため、中心流指数は0.8と低かった。一方、円周方向偏差は小さく、0.12であった。
【0053】
実施例1では、1バッチ目に装入鉱石のうちの最初の45%をシュート傾動角を(θ−1°)からθc以下で装入した後、残りの鉱石をシュート傾動角を(θ+9°)から(θ−1°)として装入した。コークス斜面崩れが顕著となり、炉中心領域への流れ込みコークス量が増加し、中心流指数は3.4に上昇した。また、円周偏差指数も低減し、0.08であった。
【0054】
実施例2では、1バッチ目の鉱石装入をシュート傾動角(θ+9°)から開始し(θ+7°)までとして、装入鉱石のうちの最初の30%を装入した後、シュート傾動角を(θ+1°)以下として、残りの70%の鉱石を装入した。コークス斜面崩れが顕著であり、炉中心領域へのコークス流れ込み量が十分にあったため、中心流指数は3.2と高く、円周偏差指数も良好で、0.05であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明のベルレス高炉の原料装入方法によれば、テラス長さに偏差のあるコークステラス上に鉱石を装入する場合であっても、コークスの流れ込みやコークスと鉱石の混合層が形成される際の炉内円周方向偏差を抑制し、通気性および通液性を良好に維持することが可能である。これにより、高炉を安定させ、効率よく操業することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炉模型により装入実験を行って得られた結果を示す図である。
【図2】コークス層の表面に鉱石を装入したときの落下位置と分配シュートの傾動角の関係を模式的に示す図である。
【図3】装入されたコークスの堆積状態の円周方向におけるバラツキとコークス崩落の円周方向偏差を生じさせない鉱石落下点範囲を示す図である。
【図4】実施例で用いた装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1:分配シュート
2:コークステラス
3:炉壁
4:コークス斜面
5:ベルレスシュート
6:羽口
7:装入物排出口
8:テーブルフィーダー
9:ガス流速計
10:ホッパー
11:開閉弁
Claims (3)
- コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、コークス装入における分配シュートの最小傾動角がθであるとき、鉱石装入の最初にまたは分配シュート傾動角をθ+6°以上として鉱石を装入した後、装入鉱石の20質量%以上を、分配シュート傾動角をθ+2°以下として装入することを特徴とするベルレス高炉の原料装入方法。
- コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、コークス装入における分配シュートの最小傾動角がθであるとき、分配シュート傾動角をθ+6°以上として装入すべき鉱石の全てを装入することを特徴とするベルレス高炉の原料装入方法。
- コークスと鉱石とを順次層状に装入するベルレス高炉の原料装入方法であって、コークス装入における分配シュートの最小傾動角がθであるとき、分配シュート傾動角をθ+6°以上として鉱石を装入した後、前記分配シュート傾動角をθ+2°以下として残りの鉱石を装入することを特徴とするベルレス高炉の原料装入方法。
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JP2004332063A (ja) | 2004-11-25 |
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