JP3846383B2 - 電磁アクチュエータの駆動装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対をなす各コイルへの通電に基づいて電磁アクチュエータを駆動する電磁アクチュエータの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の駆動装置によって駆動される電磁アクチュエータとしては、たとえば内燃機関の吸排気を行う機関バルブの開閉駆動に用いられる電磁バルブがある(たとえば特開平8−284626号公報参照)。これら電磁バルブは、弁体と一体に変位するアーマチャと、これを変位端となる相対する位置に向けて付勢すべく配設される1対のコイルとを備えている。そして、上記電磁バルブは、この1対のコイルへの通電制御を行う駆動回路を備えて構成される駆動装置によって開閉駆動される。
【0003】
ここで、こうした内燃機関の機関バルブとして用いられる電磁バルブの構成およびその動作について、図10〜図14を使って簡単に説明する。
図10は、上記電磁バルブが機関バルブとして適用された内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)102およびその制御系の概略構成を表すブロック図である。図11はエンジン102の縦断面図(図12におけるX−X断面)、図12は図11におけるY−Y断面図を示している。
【0004】
エンジン102は、自動車の原動機として同車両に搭載されているものである。このエンジン102は4つの気筒102a,102b,102c,102dを有している。各気筒102a〜102dには、図11に示されるように、シリンダブロック104、シリンダブロック104内で往復動するピストン106、シリンダブロック104上に取り付けられたシリンダヘッド108、およびこれらによって囲まれた内部空間である燃焼室110がそれぞれ形成されている。
【0005】
そして各燃焼室110には、図10または図12に示されるように、それぞれ第1吸気バルブ112a,112c,112e,112g、第2吸気バルブ112b,112d,112f,112h、第1排気バルブ116a,116c,116e,116g、および第2排気バルブ116b,116d,116f,116hが設けられている。これらの各弁112a〜112h,116a〜116hが上記電磁バルブとして構成されている。このうち、第1吸気バルブ112a,112c,112e,112gは第1吸気ポート114aを開閉し、第2吸気バルブ112b,112d,112f,112hは第2吸気ポート114bを開閉し、第1排気バルブ116a,116c,116e,116gは第1排気ポート118aを開閉し、第2排気バルブ116b,116d,116f,116hは第2排気ポート118bを開閉するように配設されている。
【0006】
また、同図10に示されるように、各気筒102a〜102dの第1吸気ポート114aおよび第2吸気ポート114bは吸気マニホールド130内に形成された吸気通路130aを介してサージタンク132に接続されている。各吸気通路130aにはそれぞれ燃料噴射バルブ134が配置されて、第1吸気ポート114aおよび第2吸気ポート114bに対して必要な量の燃料を噴射可能としている。
【0007】
また、サージタンク132は吸気ダクト140を介してエアクリーナ142に連結され、吸気ダクト140内にはモータ144(DCモータまたはステップモータ)によって駆動されるスロットル弁146が配置されている。このスロットル弁146の開度(スロットル開度TA)はスロットル開度センサ146aにより検出され、スロットル弁146はエンジン102の運転状態やアクセルペダル174の操作に応じてその開度が制御される。
【0008】
また、各気筒102a〜102dの第1排気ポート118aおよび第2排気ポート118bは排気マニホールド148に連結されている。そして、この排気マニホールド148に排出された排気は、触媒コンバータ150を介して外部に排出される。
【0009】
一方、上記エンジン102の運転状態は、電子制御ユニット(以下、ECUと称する)160により制御されている。このECU160は、双方向性バス162を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)164、ROM(リードオンリメモリ)166、MPU(マイクロプロセッサユニット)168、入力ポート170、および出力ポート172を備えて構成されている。
【0010】
このような構成のECU160に対して、エンジン102を運転するための各種信号が入力されている。
まず、スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ146aからは、スロットル弁146の開度に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、アクセルペダル174にはアクセル開度センサ176が取り付けられ、このアクセル開度センサ176からは、アクセルペダル174の踏み込み量(アクセル開度ACCP)に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、上死点センサ180からは、気筒102a〜102dにあって往復運動する各ピストン106が上死点に達したときに出力パルスが発生され、この出力パルスが入力ポート170に入力されている。また、クランク角センサ182からは、クランクシャフトが30°回転する毎に出力パルスが発生され、この出力パルスが入力ポート170に入力されている。そしてMPU168は、これら上死点センサ180の出力パルスとクランク角センサ182の出力パルスとに基づいて、現在のクランク角を計算し、またクランク角センサ182から出力される出力パルスの頻度に基づいてエンジン102の回転速度を計算する。
【0011】
さらに、吸気ダクト140には、吸入空気量センサ184が設けられ、この吸入空気量センサ184からは、吸気ダクト140を流れる吸入空気量GAに対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、エンジン102のシリンダブロック104には水温センサ186が設けられ、この水温センサ186からは、エンジン102の冷却水温度THWが検出されて冷却水温度THWに対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、排気マニホールド148には空燃比センサ188が設けられ、この空燃比センサ188からは、空燃比に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。
【0012】
なお、上記以外にも入力ポート170には、各種の信号が入力されているが、図10においてはその図示を割愛している。
一方、ECU160からは、エンジン102を運転するために必要な各種信号が出力されている。
【0013】
まず、出力ポート172からは、気筒102a〜102dに各々対応して設けられた燃料噴射バルブ134に対し、駆動部190を介して各燃料噴射バルブ134の開弁制御を行う指令が出力される。また、出力ポート172からは、吸気バルブ112a〜112hおよび各排気バルブ116a〜116hとして設けられた電磁バルブについて、その各々に対応して設けられた駆動用コイルに通電を行うために、駆動部192を介してそれら各バルブの開閉制御を行う指令が出力される。さらに、出力ポート172からは、モータ144に対し駆動部193を介してスロットル弁146の開度制御を行う指令が出力される。
【0014】
なお、上記以外にも出力ポート172からは、各種の信号が出力されているが、図10においてはその図示を割愛している。
ここで、上記吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hとして設けられている電磁バルブの構成について説明する。これらの電磁バルブは基本的構成が同じであるため、第1吸気バルブ112aを例にその構成を例示する図13を使って説明する。
【0015】
第1吸気バルブ112aは、弁体200、この弁体200と一体化して形成されている弁軸200a、および電磁駆動部202を備えている。弁軸200aは、弁体200とは反対側の端に固定されているロアリテーナ204を備えている。そして、シリンダヘッド108に形成されたスプリング保持面108aとロアリテーナ204との間には、圧縮状態のロアスプリング206が配設され、弁体200および弁軸200aを燃焼室110から離す方向に、すなわち第1吸気ポート114aを弁体200が閉じる方向に付勢している。
【0016】
電磁駆動部202は、その中心部分に弁軸200aと同軸に配置されたアーマチャシャフト208を備えている。そして、このアーマチャシャフト208はその一端にて弁軸200aと連結されるとともに、そのほぼ中央部分に高透磁率材料からなるアーマチャ210が、また弁軸200aとの連結部とは反対側の端部にアッパリテーナ212が固定されている。そして、このアッパリテーナ212とケーシング214(図11参照)に設けられたアッパキャップ214aとの間には、圧縮状態のアッパスプリング220が配設され、アーマチャシャフト208を弁軸200a側へ付勢している。
【0017】
上記電磁駆動部202の周辺には、アーマチャ210を変位させるためのコアおよびこれを例示するコイルが配設されている。
このうち、リング状に形成されたアッパコア216は、アッパリテーナ212とアーマチャ210との間にて、アーマチャシャフト208に貫通された態様で電磁駆動部202のケーシング214内に固定されている。また、同じくリング状に形成されたロアコア218は、アーマチャ210に対してアッパコア216とは反対側においてアーマチャシャフト208に貫通された態様で電磁駆動部202のケーシング214内に固定されている。なお、ケーシング214はシリンダヘッド108に固定されている。また、アッパコア216とロアコア218とは、それら各中心部の貫通孔にそれぞれ設けられたブッシュ216a,218aにより、アーマチャシャフト208を摺動可能に保持している。そして、アッパコア216を励磁するアッパコイル222aへの通電にともなってアッパコア216とアーマチャ210との間に吸引力が発生し、この吸引力に基づくに基づくアーマチャ210のアッパコア216側への変位により弁体200が弁座226に着座して第1吸気バルブ112aの閉弁動作がなされる。
【0018】
一方、ロアコア218は高透磁率材料からなり、摺動可能にこれを貫通しているアーマチャシャフト208を中心に、アーマチャ210側に開口するリング状の溝218bが形成され、同溝218b内には励磁用のロアコイル224aが配設されている。そして、ロアコア218を励磁するロアコイル224aへの通電にともなってロアコア218とアーマチャ210との間に吸引力が発生し、この吸引力に基づくアーマチャ210のロアコア218側への変位により弁体200が弁座226から離間方向に摺動して第1吸気バルブ112aの開弁動作がなされる。
【0019】
なお、図13には、アッパコイル222aにもロアコイル224aにも励磁電流が供給されていない状態が示されている。この状態では、アーマチャ210はアッパコア216側にもロアコア218側にも当接せず、アーマチャシャフト208および弁軸200aはアッパスプリング220とロアスプリング206との付勢の釣り合う中立位置に存在する。このため、弁体200は弁座226から少し離れて、第1吸気ポート114aは半開状態となっている。
【0020】
このような構成を有する電磁バルブを、図10に示した吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hとして機能させるために、ECU160は各バルブに対応して設けられたアッパコイルおよびロアコイルに対して駆動部192(図10参照)等を介して通電制御を行う。これにより、それらバルブが、たとえば図14に示すタイミングチャートのように開閉駆動される。すなわち、図14に示されるように、このエンジン102においては、クランク角センサ182により検出されるクランク角に応じて吸気バルブの開閉動作およびそれに続く排気バルブの開閉動作が「#1→#3→#4→#2」の順に行われてエンジン102が運転される。ここで、「#n」は、エンジン102を構成するn番気筒を表している。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように、上記吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hの開閉駆動は、ECU160から出力ポート172を介して制御信号を出力する駆動部192が上述のアッパコイル222aおよびロアコイル224aに接続されて構成される駆動装置により行われる。
【0022】
上記駆動装置は通常、1つの電磁バルブに対応して設けられる1対のアッパコイル222aおよびロアコイル224aに対して、その通電状態の切り替え制御を行うためのスイッチング素子を有して構成される。そして従来、この種の電磁バルブの駆動装置としては、たとえば特開平11−166657号公報に記載されているものが知られている。同公報に記載の電磁バルブの駆動装置にあっては、互いに同期して開閉動作を行う2つの電磁バルブが、最少でも8個のスイッチング素子によって開閉駆動される。すなわちこの場合、たとえば各気筒毎に2つの吸気バルブと2つの排気バルブとが設けられた4気筒エンジンについて、これら機関バルブをすべて電磁バルブにて開閉駆動するためには、合計64個のスイッチング素子を用いてその駆動回路が構成されることになる。
【0023】
ところが、上記スイッチング素子として用いられるFET(Field Effect Transistor )やIGBT(Isolated Gate Bipolar Transistor)は一般に高価であり、上記駆動装置にあってそれらスイッチング素子が多数用いられることは、駆動装置としての経済性を悪化させる要因となっている。また、こうしたスイッチング素子が数多く使用されればされるほど、駆動装置としての信頼性も低下するようになる。さらに、上記スイッチング素子に対する制御信号であるゲート信号は、高電圧が印加されるスイッチング素子の端子や配線等から確実にその各々を絶縁する必要があるために、その配線に際しては絶縁距離の確保等、格別の配慮が要求される。すなわち、使用するスイッチング素子の数が多いことは、駆動装置としての実装性においてもこれを阻害する要因となる。そして、このことによっても駆動装置としての経済性の悪化が懸念される。
【0024】
こうしたことから、上記駆動装置をより少ないスイッチング素子により構成することが切望されている。
なお、上記内燃機関の機関バルブとして構成される電磁バルブの駆動装置に限らず、対をなす各コイルへの通電に基づいて複数の電磁アクチュエータを駆動する装置にあっては、こうした実情もおおむね共通したものとなっている。
【0025】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡素でかつ信頼性の高い回路を用いて、対をなす各コイルへの通電に基づく複数の電磁アクチュエータの駆動を行うことのできる電磁アクチュエータの駆動装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、前記2対のコイルはそれぞれ対向して接続されるブリッジ回路として構成され、前記駆動回路は該ブリッジ回路の互いに対向する2対のノードのうちの一方のノード対が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、他方のノード対が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、上記それぞれ対向して接続されるブリッジ回路として構成される2対のコイルの、互いに対向する2対のノードのうちの一方のノード対が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、他方のノード対が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されて上記駆動回路が構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき2つの電磁アクチュエータを駆動するために、最少で4個のスイッチング素子を用いて上記駆動回路を構成することができるようになる。これにより、駆動対象の電磁アクチュエータ毎に必要となるスイッチング素子の個数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でかつ信頼性の高い回路を用いた駆動回路により構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。
【0028】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備えることをその要旨とする。
【0029】
上記構成によれば、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0030】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるノード対が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されるノード対が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0031】
上記構成によれば、上記高電位側給電端に接続されるノード対において、低電位側給電端からの電流の流入が上記低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して許容される。また、上記低電位側給電端に接続されるノード対において、高電位側給電端への電流の流出が上記高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して許容される。これにより、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明は、対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、前記2対のコイルは、それぞれ対応する電磁アクチュエータを第1の方向に動作させる第1のコイルと第2の方向に動作させる第2のコイルとの対からなるとともに、それら2対のコイルのうちの一方の対の第1のコイルと他方の対の第2のコイルとがそれぞれ直列接続された直列回路が互いに並列に接続されてなり、前記駆動回路は、前記並列に接続された回路の各共通接続端が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるとともに、前記直列接続された第1および第2のコイルの各接続部が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0033】
上記構成によれば、上記直列接続された直列回路が並列に接続された回路における各共通接続端が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、同回路における直列接続された第1および第2のコイルの各接続部が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されて上記駆動回路が構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき2つの電磁アクチュエータを駆動するために、最少で4個のスイッチング素子を用いて上記駆動回路を構成することができるようになる。これにより、駆動対象の電磁アクチュエータ毎に必要となるスイッチング素子の個数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でより信頼性の高い回路を用いた駆動回路を備えて構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。
【0034】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備えることをその要旨とする。
【0035】
上記構成によれば、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0036】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続された前記各共通接続端が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続された前記第1および第2のコイルの各接続部が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0037】
上記構成によれば、上記高電位側給電端に接続された各共通接続端において、低電位側給電端からの電流の流入が上記低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して許容される。また、上記低電位側給電端に接続された第1および第2のコイルの各接続部において、高電位側給電端への電流の流出が上記高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して許容される。これにより、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0038】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記各スイッチング素子の開閉制御端子に対し、前記2つの電磁アクチュエータのうちの一方を能動とするとともに他方を非能動とする制御指令の入力が可能に構成されてなることをその要旨とする。
【0039】
上記構成によれば、上記2つの電磁アクチュエータのうちの一方のみを動作させることが可能となる。これにより、駆動装置として、同電磁アクチュエータの駆動をより自由度高く制御することができるようになる。
【0040】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記電磁アクチュエータが内燃機関の機関バルブとして機能する電磁バルブであり、前記対をなす各コイルは、その一方が前記電磁バルブを閉弁させるとともに他方が同電磁バルブを開弁させるものであることをその要旨とする。
【0041】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが内燃機関の機関バルブとして機能する電磁バルブに適用されて、それら電磁バルブの開閉駆動が上記駆動装置により適切に行われるようになる。
【0042】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記2つの電磁アクチュエータが、前記内燃機関の同一気筒の2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブとして機能する電磁バルブであることをその要旨とする。
【0043】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが、内燃機関の同一気筒の2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブとして機能する電磁バルブに適用される。このため、同一気筒に設けられた上記各機関バルブが、上記駆動装置による確実な同期動作のもと開閉駆動されるようになる。なお、上記電磁アクチュエータのいずれかが、その1つによって同期動作させるべき複数の機関バルブを開閉駆動可能なように設けられている場合、上記2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブに限らず、同期動作させるべき3以上の機関バルブの開閉駆動に対して上記駆動装置を適用してもよい。
【0044】
そして、請求項10に記載の発明は、内燃機関の同一気筒に設けられた複数の吸気バルブまたは排気バルブを電磁駆動する電磁バルブとして、第1の弁体を閉弁するための第1のコイルと同第1の弁体を開弁するための第2のコイルと第2の弁体を閉弁するための第3のコイルと同第2の弁体を開弁する第4のコイルとを備える電磁アクチュエータに対して、前記第1乃至第4のコイルへの通電態様をスイッチング素子が設けられた駆動回路を通じて制御する電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、高電位側給電端と低電位側給電端との間に第1乃至第4の直列回路が並列接続されて構成されるものであって、前記第1の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第1のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第1のダイオードとが直列接続されてなり、前記第2の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第2のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第2のダイオードとが直列接続されてなり、前記第3の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第3のダイオードと第3のスイッチング素子とが直接接続されてなり、前記第4の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第4のダイオードと第4のスイッチング素子とが直接接続されてなり、前記第1のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第1のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第2のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第2のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第3のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第3のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第4のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第4のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続されてなることをその要旨とする。
【0045】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが内燃機関の同一気筒に設けられた吸気バルブまたは排気バルブを電磁駆動する電磁バルブとして構成されるとともに、それら電磁バルブの開閉駆動を行う駆動装置の駆動回路が第1乃至第4のスイッチング素子を用いて構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき内燃機関の同一気筒に設けられた2つの吸気バルブまたは2つの排気バルブを駆動するために必要なスイッチング素子を個数を4個とすることができる。これにより、駆動される電磁アクチュエータ毎のスイッチング素子の必要数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でより信頼性の高い回路を用いた駆動回路を備えて構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。さらに、上記駆動回路は、上記低電位側給電端側から高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第1乃至第4のダイオードを備えて構成される。これにより、上記第1乃至第4のスイッチング素子の動作に基づく第1乃至第4のコイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。また、上記電磁アクチュエータのいずれかが、その1つによって同期動作させるべき複数の機関バルブを開閉駆動可能なように設けられている場合、上記2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブに限らず、同期動作させる3以上の機関バルブの開閉駆動に対して上記駆動装置を適用してもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる電磁アクチュエータの駆動装置を車載内燃機関の機関バルブを駆動する電磁バルブに適用した一実施の形態について図1〜図7を使って説明する。
【0047】
なお、本実施の形態に例示する電磁バルブは、先に図10〜図14を使って説明した上述の4気筒ガソリンエンジンに設けられるものであり、ここではその駆動回路を含む駆動装置について説明する。
【0048】
図1は、本実施の形態のエンジンの気筒、およびそれら各気筒に設けられた機関バルブの配置を模式的に示す説明図である。図1に示されるように、このエンジンは、同図1において左から#1、#2、#3、および#4の番号が付された4つの気筒が1列に配置されている。各気筒はエンジンを運転するための機関バルブとして、吸気バルブおよび排気バルブを各2つ備えている。そして、これら合計8個の吸気バルブ11,12,21,22,31,32,41,および42と、合計8個の排気バルブ16,17,26,27,36,37,46,および47とが、図13に示した電磁バルブとして構成されている。
【0049】
ところで、本実施の形態の上記各電磁バルブは、同期動作を行う2つ毎に共通の駆動回路をもつ駆動装置により開閉駆動される。この場合、#1気筒の吸気バルブ11,12と排気バルブ16,17とがそれぞれ同期した開閉駆動を行うように、吸気バルブ11,12に対して1つの駆動回路が設けられ、排気バルブ16,17に対して1つの駆動回路が設けられている。同様に、#2気筒の吸気バルブ21,22と排気バルブ26,27、#3気筒の吸気バルブ31,32と排気バルブ36,37、および#4気筒の吸気バルブ41,42と排気バルブ46,47に対してもそれぞれ2つのバルブ毎に1つの駆動回路が設けられている。すなわち、このエンジンは、図2にその対応関係を示す回路1〜回路8の駆動回路を備える駆動装置によって各機関バルブの開閉駆動がなされて動作する構成となっている。
【0050】
上記回路1〜回路8はそれぞれ構成の同じ回路を有し、それら各々に対して異なるタイミングの制御指令が出力されて、図14に示した機関バルブの開閉駆動が行われる。これら回路1〜回路8の構成を、回路1の構成を例として以下に説明する。
【0051】
図3は、上記回路1、すなわち#1気筒の吸気バルブ11,12を開閉駆動する駆動装置を構成する駆動回路を示している。このうち吸気バルブ11は、弁体の閉弁動作を駆動するアッパコイル11U、および同開弁動作を駆動するロアコイル11Lの1対のコイルを有する。また吸気バルブ12は、弁体の閉弁動作を駆動するアッパコイル12Uおよび同開弁動作を駆動するロアコイル12Lの1対のコイルを有する。なおここで、吸気バルブ11,12における弁体の閉弁方向および開弁方向は、請求項4にあって「第1の方向」および「第2の方向」にそれぞれ相当する。また、アッパコイル11Uは、請求項4にあっては「第1のコイル」、請求項10にあっては「第1のコイル」に相当し、ロアコイル11Lは、請求項4にあっては「第2のコイル」、請求項10にあっては「第2のコイル」に相当する。また、アッパコイル12Uは、請求項4にあっては「第1のコイル」、請求項10にあっては「第3のコイル」に相当し、ロアコイル12Lは、請求項4にあっては「第2のコイル」、請求項10にあっては「第4のコイル」に相当する。さらに、これら2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lは、先の図13に示したアッパコイル222aおよびロアコイル224aにそれぞれ相当する。また、吸気バルブ11,12の弁体は、請求項10にあって「第1の弁体」および「第2の弁体」に相当する。
【0052】
上記2対のコイルは、吸気バルブ11を閉弁するアッパコイル11Uの一方の端子と吸気バルブ12を開弁するロアコイル12Lの一方の端子とがノードn3にて互いに接続されている(請求項4の「直列回路」を形成)。また、吸気バルブ12を閉弁するアッパコイル12Uの一方の端子と吸気バルブ11を開弁するロアコイル11Lの一方の端子とがノードn4にて互いに接続されている(請求項4の「直列回路」を形成)。さらに、アッパコイル11Uの他方の端子とアッパコイル12Uの他方の端子、およびロアコイル11Lの他方の端子とロアコイル12Lの他方の端子はそれぞれノードn1およびノードn2にて互いに接続されている。すなわち、これら2対4つのコイルは、各々対をなすコイルがそれぞれ対向して接続されるように4辺をなすブリッジ回路を構成している。
【0053】
そして、上記ブリッジ回路において、互いに対向して接続される2対のノードのうちの一方のノード対であるノードn1およびノードn2は、それぞれスイッチング素子Q1およびQ2を介して高電位給電端である高電位ノードnHに接続されている。また、互いに対向して接続される2対のノードのうちのもう一方のノード対であるノードn3およびノードn4は、それぞれスイッチング素子Q3およびQ4を介して低電位側給電端である低電位ノードnLに接続されている。なお、上記スイッチング素子Q1〜Q4としては、ゲート端子を開閉制御端子とするFETが用いられており、各FETのゲート−ソース端子間に所定電圧を制御信号として入力することにより各々ドレイン端子とソース端子とが導通状態、すなわち「オン」となる。また、低電位ノードnLは車両の基準電位である接地電位に共通接続されたノードであるとともに、高電位ノードnHは車両に搭載されているバッテリの電圧を適宜変換して安定化された電圧の高圧側の対接地電位をもつノードである。また、ノードn1およびn2は、請求項4にあって「各共通接続端」に、ノードn3およびn4は、請求項4にあっては「直列接続された第1および第2のコイルの各接続部」にまた請求項10にあっては「直接接続部」に相当する。
【0054】
さらに、吸気バルブ11,12の駆動制御を行うこの回路1には、上記コイルのいずれかに電流が流れている間に、該当する電流経路にあるスイッチング素子が「オフ」となったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子としてダイオードD1〜D4が接続されている。これらダイオードD1〜D4は、上記「各共通接続端」に相当するノードn1およびn2には、これらに低電位ノードnLからの電流の流入を許容するように、すなわち低電位ノードnL側がアノード端子となるように、それぞれダイオードD1およびD2が接続されている。また、上記「各接続部」等に相当するノードn3およびn4には、これらに高電位ノードnHへの電流の流出を許容するように、すなわち高電位ノードnH側がカソード端子となるように、それぞれダイオードD3およびD4が接続されている。
【0055】
なお、こうして構成される回路は、スイッチング素子Q1とダイオードD1との直列回路が請求項10における「第1の直列回路」に相当し、スイッチング素子Q2とダイオードD2との直列回路が請求項10における「第2の直列回路」に相当し、ダイオードD3とスイッチング素子Q3との直列回路が請求項10における「第3の直列回路」に相当し、ダイオードD4とスイッチング素子Q4との直列回路が請求項10における「第4の直列回路」に相当する。
【0056】
このような構成の回路1において、スイッチング素子Q1〜Q4のゲート端子に対する適宜の制御信号が入力されると、上記2対のコイルへの通電がなされ、吸気バルブ11あるいは吸気バルブ12の開閉駆動が行われる。本構成の回路では、それら制御信号のスイッチングパターンにより、吸気バルブ11および12を同期して同時に開閉させる両弁動作と、そのうちの吸気バルブ12を開閉させる片弁動作とが可能となる。
【0057】
図4は、上記両弁動作が行われる際のスイッチングパターンを示している。なお、この図4、および後述の図6ならびに図8においては、「オン」状態にあるスイッチング素子を円で囲むことによってそれら素子の「オン」状態を示している。
【0058】
まず、図4(a)に示すスイッチングパターンDP1においては、スイッチング素子Q2、Q3、およびQ4が「オン」とされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K1にて、ロアコイル12Lに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル11L、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K2にて、ロアコイル11Lに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンDP1においては、ロアコイル11Lおよび12Lに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに開弁状態となる。
【0059】
つづいて、このロアコイル11Lおよび12Lに通電がなされているスイッチングパターンDP1において、スイッチング素子Q2〜Q4がいずれも「オフ」となる図4(b)に示すスイッチングパターンDP2の状態にされる。これにより、ロアコイル12Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K3を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル12Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。また、ロアコイル11Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル11L、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K4を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル11Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。こうして、このスイッチングパターンDP2においては、ロアコイル11Lおよび12Lに流れる電流が徐々に減少するため、電磁バルブを構成するアーマチャ(図13のアーマチャ210)に作用する電磁力も徐々に小さくなる。そして、その電磁力がロアスプリング(図13のロアスプリング206)の付勢力に抗しきれなくなると、アーマチャが中立方向に変位して閉弁動作が開始される。
【0060】
つぎに、スイッチング素子Q1、Q3、およびQ4が「オン」となる図4(c)に示すスイッチングパターンDP3の状態にされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K5にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K6にて、アッパコイル12Uに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンDP3においては、アッパコイル11Uおよび12Uに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに閉弁状態となる。
【0061】
つづいて、このアッパコイル11Uおよび12Uに通電がなされているスイッチングパターンDP3において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4がいずれも「オフ」となる図4(d)に示すスイッチングパターンDP4の状態にされる。これにより、アッパコイル11Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K7を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル11Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。また、アッパコイル12Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K8を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル12Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。こうして、このスイッチングパターンDP4においては、アッパコイル11Uおよび12Uに流れる電流が徐々に減少するため、電磁バルブを構成する上述のアーマチャに作用する電磁力も徐々に小さくなる。そして、その電磁力がアッパスプリング(図13のアッパスプリング220)の付勢力に抗しきれなくなると、アーマチャが中立方向に変位して開弁動作が開始される。
【0062】
図5は、上記回路1のスイッチングパターンDP1〜DP4によって実現される吸気バルブ11および12の動作を、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート端子に対する制御信号およびそれにより上記2対のコイルに流れる電流とともに模式的に示すタイミングチャートである。ここで、図5に示される各期間Td1とTd5、Td2、Td3、およびTd4は、スイッチングパターンDP1、DP2、DP3、およびDP4の状態にある期間にそれぞれ対応している。
【0063】
図5に示されるように、回路1がスイッチングパターンDP1の状態にある時刻t11に到る期間Td1にあっては、スイッチング素子Q2〜Q4が「オン」とされている(図5(a)〜(d))。したがって、この期間Td1においては、ロアコイル11Lおよび12Lに対する通電がなされるとともにアッパコイル11Uおよび12Uに対する通電はなされず(図5(e)および(g))、吸気バルブ11および12はともに開弁状態にある(図5(f)および(h))。
【0064】
ここで、時刻t11において、スイッチング素子Q2〜Q4がいずれも「オフ」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP2の状態に移行され、ロアコイル11Lおよび12Lに流れている電流は徐々に減少する(図5(e)および(g))。これにより、上記時刻t11を起点とするこの期間Td2においては上述のように、吸気バルブ11および12の閉弁動作がともに開始される(図5(f)および(h))。
【0065】
つづいて、吸気バルブ11および12がその中立位置付近に変位する時刻t12において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オン」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP3の状態に移行される。このとき、アッパコイル11Uおよび12Uに流される電流の値は、はじめ大きめに(図5(e)および(g)の期間T1)、そしてそののちに所定値となるように(同期間T2)設定されている。これは、アーマチャを中立位置からアッパコア(図13のアッパコア216)に向けて吸引するために必要な電流値が、アーマチャがアッパコアに吸引されている状態を維持するために必要な電流値よりも大きいからである。こうして、上記時刻t12を起点とするこの期間Td3においては、そのうちの期間T1において吸気バルブ11および12の閉弁動作が完了され、そののちの期間T2においてその閉弁状態が維持される(図5(f)および(h))。
【0066】
さらに、時刻t13において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オフ」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP4の状態に移行され、アッパコイル11Uおよび12Uに流れている電流は徐々に減少する(図5(e)および(g))。これにより、上記時刻t13を起点とするこの期間Td4においては上述のように、吸気バルブ11および12の開弁動作がともに開始される(図5(f)および(h))。
【0067】
そして、吸気バルブ11および12がその中立位置付近に変位する時刻t14において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オン」とされる(図5(a)〜(d))。これにより、回路1はスイッチングパターンDP1の状態にふたたび移行されて、先の期間Td4に開始された開弁動作が完了される(図5(e)および(g)の期間T3)とともに、その開弁状態が維持される(同期間T4)。この場合、期間Td3においてアッパコイル11Uおよび12Uに流される電流と同様の立ち上がり波形をもつ電流をロアコイル11Lおよび12Lに流すように設定するのは、アーマチャの吸引およびその維持のために必要な電流値が異なる上述の理由によるものである。
【0068】
このように、2つの電磁バルブに対応して設けられた2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lに対する通電が、図5に示されるタイミングにて行われることで、吸気バルブ11および12の一連の開閉動作がなされる。
【0069】
同様に、他の機関バルブの開閉駆動を行う他の回路2〜7(図1および図2参照)についても、上記図5に示したタイミングでのスイッチング素子Q1〜Q4に対する制御と同様の制御を行う。このとき、クランク角センサ(図10のクランク角センサ182)から検出されるクランク角やその他の条件に基づいて、これら回路1〜回路8が備えるスイッチング素子に対する制御信号が相互に適切なタイミングとなるように制御装置(図10のECU160)から出力される。これにより、上記各吸気バルブおよび排気バルブに対して、先の図14に示したタイミングで開閉駆動が行われ、4つの気筒に設けられた各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブがエンジンの機関バルブとして機能する。
【0070】
一方、図6は、回路1において、上記吸気バルブ12による片弁動作が行われる際のスイッチングパターンを示している。なお、この図6において、「オン」状態にあるスイッチング素子を円で囲むことによってそれら素子の「オン」状態を示しているのは、先の図4と同様である。
【0071】
まず、図6(a)に示すスイッチングパターンSP1においては、スイッチング素子Q1、Q2、およびQ3が「オン」とされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K11にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K12にて、ロアコイル12Lに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンSP1においては、アッパコイル11Uに対する通電により吸気バルブ11が閉弁状態となるとともに、ロアコイル12Lに対する通電により吸気バルブ12が開弁状態となる。
【0072】
つづいて、このアッパコイル11Uおよびロアコイル12Lに通電がなされているスイッチングパターンSP1において、スイッチング素子Q2およびQ3が「オフ」となる図6(b)に示すスイッチングパターンSP2の状態にされる。これにより、ロアコイル12Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K13を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル12Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。その一方、アッパコイル11Uを流れる電流は、ノードn1からアッパコイル11U、ノードn3、ダイオードD3、高電位ノードnH、およびスイッチング素子Q1を経由してノードn1に到るループ経路K14を通って減衰することなく還流する。こうして、このスイッチングパターンSP2においては、ロアコイル12Lに流れる電流が徐々に減少して上述のごとく吸気バルブ12の閉弁動作が開始される一方、アッパコイル11Uに対しては継続的な通電が行われてその閉弁状態が維持される。
【0073】
つぎに、スイッチング素子Q1、Q3、およびQ4が「オン」となる図6(c)に示すスイッチングパターンSP3の状態にされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K15にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K16にて、アッパコイル12Uに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンSP3においては、アッパコイル11Uおよび12Uに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに閉弁状態となる。ちなみに、これは上述の両弁動作におけるスイッチングパターンDP3と同じ状態である。
【0074】
つづいて、このアッパコイル11Uおよび12Uに通電がなされているスイッチングパターンSP3において、スイッチング素子Q1およびQ4が「オフ」となる図6(d)に示すスイッチングパターンSP4の状態にされる。これにより、アッパコイル12Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K17を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル12Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。その一方、アッパコイル11Uを流れる電流は、ノードn1から、アッパコイル11U、ノードn3、スイッチング素子Q3、低電位ノードnL、およびダイオードD1を経由してノードn1に到るループ経路K18を通って減衰することなく還流する。こうして、このスイッチングパターンSP4においては、アッパコイル12Uに流れる電流が徐々に減少して上述のごとく吸気バルブ12の開弁動作が開始される一方、アッパコイル11Uに対しては継続的な通電が行われてその閉弁状態が維持される。
【0075】
図7は、上記回路1のスイッチングパターンSP1〜SP4によって実現される吸気バルブ11および12の動作を、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート端子に対する制御信号およびそれにより上記2対のコイルに流れる電流とともに模式的に示すタイミングチャートである。ここで、図7に示される各期間Ts1とTs5、Ts2、Ts3、およびTs4は、それぞれスイッチングパターンSP1、SP2、SP3、およびSP4の状態にある期間に対応している。
【0076】
図7に示されるように、回路1がスイッチングパターンSP1の状態にある時刻t21に到る期間Ts1にあっては、スイッチング素子Q1〜Q3が「オン」とされている(図7(a)〜(d))。したがって、この期間Ts1においては、アッパコイル11Uおよびロアコイル12Lに対する通電がなされるとともにロアコイル11Lおよびアッパコイル12Uに対する通電はなされず(図7(e)および(g))、吸気バルブ11が閉弁状態にある一方、吸気バルブ12は開弁状態にある(図7(f)および(h))。
【0077】
ここで、時刻t21において、スイッチング素子Q2およびQ3が「オフ」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP2の状態に移行され、ロアコイル12Lに流れている電流が徐々に減少する一方、アッパコイル11Uに流れる電流は維持される(図7(e)および(g))。これにより、上記時刻t21を起点とするこの期間Ts2においては上述のごとく、吸気バルブ11の閉弁状態が維持される一方、吸気バルブ12の閉弁動作が開始される(図7(f)および(h))。
【0078】
つづいて、吸気バルブ12がその中立位置付近に変位する時刻t22において、スイッチング素子Q3およびQ4が「オン」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP3の状態に移行される。このとき、アッパコイル12Uに流される電流の値は、はじめ大きめに(図7(g)の期間T5)、そしてそののちに所定値となるように(同期間T6)設定されている。これも、上述のように、アーマチャを中立位置からアッパコア(図13のアッパコア216)に向けて吸引する際には、それらの吸引状態を維持するときよりも大きな電流が必要となることに対応したものである。こうして、上記時刻t22を起点とするこの期間Ts3においては、そのうちの期間T5において吸気バルブ12の閉弁動作が完了され、そののちの期間T6においてその閉弁状態が維持される(図7(h))。なお、この期間Ts3においても、吸気バルブ11はその閉弁状態が維持されている(図7(f))。
【0079】
さらに、時刻t23において、スイッチング素子Q1およびQ4が「オフ」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP4の状態に移行され、アッパコイル12Uに流れている電流が徐々に減少する(図7(g))。これにより、上記時刻t23を起点とするこの期間Ts4においては上述のように、吸気バルブ12の開弁動作が開始される一方、吸気バルブ11の閉弁状態が維持される(図7(f)および(h))。
【0080】
そして、吸気バルブ12がその中立位置付近に変位する時刻t24において、スイッチング素子Q1およびQ2が「オン」とされる(図7(a)〜(d))。これにより、回路1はスイッチングパターンSP1の状態にふたたび移行されて、先の期間Ts4に開始された吸気バルブ12の開弁動作が完了される(図7(g)の期間T7)とともに、その開弁状態が維持される(同期間T8)。この場合、期間Ts3においてアッパコイル12Uに流される電流と同様の立ち上がり波形をもつ電流をロアコイル12Lに流すように設定するのは、アーマチャの吸引およびその維持のために必要な電流値が異なる上述の理由による。なお、この期間Ts5においても、吸気バルブ11はその閉弁状態が維持されている(図7(f))。
【0081】
このように、2つの電磁バルブに対応して設けられた2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lに対する通電が、図7に示されるタイミングにて行われることで、吸気バルブ12の一連の開閉動作がなされる。そして、この期間にわたって吸気バルブ11の閉弁状態が維持される。
【0082】
同様に、他の機関バルブの開閉駆動を行う他の回路2〜7(図1および図2参照)についても、上記図7に示したタイミングでのスイッチング素子Q1〜Q4に対する制御と同様の制御を行う。このとき、クランク角センサ(図10のクランク角センサ182)から検出されるクランク角やその他の条件に基づいて、これら回路1〜回路8が備えるスイッチング素子に対する制御信号が相互に適切なタイミングとなるように制御装置(図10のECU160)から出力される。これにより、上記各吸気バルブおよび排気バルブに対して、先の図14に示したタイミングで開閉駆動が行われ、4つの気筒に設けられた各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブのうちのそれぞれ各1つがエンジンの機関バルブとして機能する。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態にかかる電磁バルブの駆動装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)同期動作させる2対の電磁バルブである吸気バルブ11および12が、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を用いた駆動回路(回路1)を有して構成される駆動装置により開閉駆動される。これにより、各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブがそれぞれ設けられた4つの気筒を備えるエンジンにあって、その機関バルブを電磁バルブにて構成する場合に、それらを開閉駆動する駆動装置を合計32個のスイッチング素子を用いて構成することができるようになる。
【0084】
(2)電磁バルブを用いて構成される同じ気筒およびバルブ構成のエンジンにあって、機関バルブを開閉駆動させる駆動装置を構成するためのスイッチング素子の必要数の合計が従来、少なくとも64個必要であったものが32個に削減されるようになる。これにより、より簡素でより信頼性の高い回路を用いて構成された駆動装置により機関バルブを開閉駆動させることができるようになる。すなわち、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、それらスイッチング素子やその駆動回路、あるいはその配線等に起因する故障率が低減され、電磁バルブの駆動装置としての信頼性、ひいてはエンジンとしての信頼性を向上させることができるようになる。
【0085】
(3)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、スイッチング素子毎に必要とされる絶縁をより容易に行うことができるようになる。これにより、電磁バルブの駆動装置として、回路基板や配線等、その実装性が向上される。
【0086】
(4)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、エンジンを運転するための機関バルブの駆動装置をより経済的に具現化することができるようになる。
【0087】
(5)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、制御信号の数も削減され、機関バルブの開閉駆動を行う制御がより容易なものとなる。
(6)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、駆動回路、そして駆動装置としての消費電力が削減され、エンジンの燃費を向上させることができるようになる。
【0088】
(7)上記駆動回路として、電磁バルブを駆動する各コイルに流れる電流を還流あるいは回生させる整流素子としてダイオードD1〜D4を備えている。このため、コイルに蓄えられるエネルギーを損失することのない、また回路各部に不要な高電圧を発生させることのない低損失で円滑動作が可能な駆動装置を構成することができるようになる。
【0089】
(8)気筒毎に各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブを有して、これら各2つ設けられた機関バルブを同時に動作させる両弁動作と、それら2つのうちの1つを動作させる片弁動作とを行うことができる。これにより、機関バルブの2つの動作をエンジンの運転状況に応じて自由度高く制御することができるようになり、同エンジンに対する出力特性および燃費特性の向上に資するようになる。
【0090】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態においては、#1気筒の吸気動作に際して吸気バルブ12による片弁動作を行う場合について例示したが、吸気バルブ11による片弁動作も可能である。参考までに、その際のスイッチングパターンSP5〜SP8およびその動作の時間的推移を示すタイミングチャートを図8および図9にそれぞれ示しておく。ここで、図9における各期間Ts6とTs10、Ts7、Ts8、およびTs9が、それぞれスイッチングパターンSP5、SP6、SP7、およびSP8とされる期間にそれぞれ対応する。この場合、図8および図9に示されるように、スイッチング素子Q3およびQ4のスイッチングパターンを互いに入れ替えることで、上記吸気バルブ11による片弁動作を行うことができる。なお、こうして2つの吸気バルブ11および12のいずれによっても上記片弁動作を可能に構成している場合には、それら片弁動作時に用いるバルブを適宜切り替えることにより、電磁バルブとしての耐用年数を延ばすことができるようになる。また、上記吸気バルブ11および12のいずれかの動作性能が仮に低下してきた場合にあっても、その対応をより適切に行うことができるようになる。
【0091】
・上記実施の形態においては、機関バルブが各気筒上方のシリンダヘッドに上下方向に往復動作するように配設されて、アーマチャを動作させるためのコイルおよびコアがアーマチャの中立位置に対して上下に配置される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記構成に限らず、機関バルブの往復動作が水平方向に行われる構成であっても、また斜めに傾斜した方向に行われる構成であっても、また機関バルブの動作が直線的に行われるものでない構成であっても、それら各構成の機関バルブを開閉駆動する駆動装置に本発明を適用することができる。
【0092】
・上記実施の形態においては、駆動回路として、回路1に含まれる各コイルに流れている電流を還流または回生させるためのダイオードD1〜D4が設けられている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記回路1として、各コイルに流れている電流を還流または回生させる必要がない場合には、上記ダイオードD1〜D4の一部または全部を削除した回路構成としてもよい。
【0093】
・上記実施の形態においては、低電位給電端および高電位給電端として、車両の接地電位およびバッテリ電圧に基づく安定化電位をそれぞれ用いて場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記低電位給電端は車両の接地電位でなくてもよいし、上記高電位給電端はバッテリ電圧に基づく安定化電位でなくてもよい。また、それら低電位給電端または高電位給電端として接続されるノードがそれぞれ同じである必要は必ずしもなく、それらのうちのいくつかが異なるノードであってもよい。また、それら各ノードの電位が同じである必要は必ずしもない。
【0094】
・上記実施の形態においては、スイッチング素子としてFETを、整流素子としてダイオードを用いて駆動回路を構成した場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記FETあるいはダイオードに限らず、たとえばスイッチング素子としてIGBTを、また整流素子としてショットキーバリアダイオード等、他の素子を用いて駆動回路を構成してもよい。
【0095】
・上記実施の形態においては、電磁バルブが、各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブの設けられた4つの気筒を備えたエンジンを例に説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記構成に限らず、たとえば電磁バルブの設けられる気筒毎に2つの吸気バルブと1つの排気バルブが設けられている構成にあっても、それら各2つの吸気バルブについて上記駆動回路を備えた駆動装置を用いてもよい。またたとえば、気筒毎に各3つの吸気バルブが設けられている構成にあっても、それら3つの吸気バルブを、同じ動作をさせる2つとそれに対して同期動作をさせる1つとに区分して、これら2つに区分された3つの吸気バルブを上記駆動回路を備えた駆動装置を用いて開閉駆動してもよい。もちろん、上記いずれの場合においても、4つの気筒を備えた4気筒エンジンに限らず、たとえば3気筒や5気筒、あるいは6気筒エンジン等にあっても、上記駆動回路を備えた駆動装置を適用してそれら機関バルブの開閉駆動を行ってもよい。
【0096】
・上記実施の形態においては、電磁バルブがガソリンエンジンに設けられている構成について説明したが、ガソリンエンジンに限らず、たとえばディーゼルエンジン等他の内燃機関に機関バルブとして上記電磁バルブが設けられる構成にあっても本発明の駆動装置を用いることができる。
【0097】
・上記実施の形態においては、上記電磁バルブが車載内燃機関の機関バルブとして設けられている場合について説明したが、これら電磁バルブの適用対象は車載の内燃機関に限定されるものではない。
【0098】
・上記実施の形態においては、内燃機関の機関バルブとして設けられた電磁バルブの駆動装置として、本発明の電磁アクチュエータの駆動装置が適用される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されない。上記内燃機関の機関バルブとして設けられた電磁バルブに限らず、対をなす各コイルへの通電により動作する電磁アクチュエータについて、互いに同期動作させるべき2つを含む複数の電磁アクチュエータを動作させる他の駆動装置に対して、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁アクチュエータの駆動装置を車載内燃機関の機関バルブの駆動装置に適用した一実施の形態について、同内燃機関の気筒およびそれら各気筒に設けられる機関バルブの配置を例示する説明図。
【図2】同実施の形態の上記機関バルブとこれを駆動する駆動回路の対応関係を例示する説明図。
【図3】上記駆動回路の構成を例示する回路図。
【図4】上記駆動回路による吸気バルブの両弁動作について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図5】上記吸気バルブの両弁動作について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図6】上記駆動回路による吸気バルブの片弁動作について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図7】上記吸気バルブの片弁動作について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図8】上記駆動回路による吸気バルブの片弁動作の変形例について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図9】上記吸気バルブの片弁動作の変形例について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図10】電磁バルブを機関バルブとして採用した一般の内燃機関およびその制御装置について、その構成を模式的に例示する説明図。
【図11】上記内燃機関の機関バルブについて、その構成を周辺部の概略構成とともに例示する説明図。
【図12】上記内燃機関について、吸排気ポートおよび機関バルブの構成を例示する説明図。
【図13】上記電磁バルブについて、その構成を模式的に例示する説明図。
【図14】上記内燃機関について、各気筒に設けられた吸気バルブおよび排気バルブの動作推移を例示するタイミングチャート。
【符号の説明】
Q1〜Q4…スイッチング素子、D1〜D4…ダイオード、11,12,21,22,31,32,41,42…吸気バルブ、16,17,26,27,36,37,46,47…排気バルブ、11L,12L…ロアコイル、11U,12U…アッパコイル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、対をなす各コイルへの通電に基づいて電磁アクチュエータを駆動する電磁アクチュエータの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の駆動装置によって駆動される電磁アクチュエータとしては、たとえば内燃機関の吸排気を行う機関バルブの開閉駆動に用いられる電磁バルブがある(たとえば特開平8−284626号公報参照)。これら電磁バルブは、弁体と一体に変位するアーマチャと、これを変位端となる相対する位置に向けて付勢すべく配設される1対のコイルとを備えている。そして、上記電磁バルブは、この1対のコイルへの通電制御を行う駆動回路を備えて構成される駆動装置によって開閉駆動される。
【0003】
ここで、こうした内燃機関の機関バルブとして用いられる電磁バルブの構成およびその動作について、図10〜図14を使って簡単に説明する。
図10は、上記電磁バルブが機関バルブとして適用された内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)102およびその制御系の概略構成を表すブロック図である。図11はエンジン102の縦断面図(図12におけるX−X断面)、図12は図11におけるY−Y断面図を示している。
【0004】
エンジン102は、自動車の原動機として同車両に搭載されているものである。このエンジン102は4つの気筒102a,102b,102c,102dを有している。各気筒102a〜102dには、図11に示されるように、シリンダブロック104、シリンダブロック104内で往復動するピストン106、シリンダブロック104上に取り付けられたシリンダヘッド108、およびこれらによって囲まれた内部空間である燃焼室110がそれぞれ形成されている。
【0005】
そして各燃焼室110には、図10または図12に示されるように、それぞれ第1吸気バルブ112a,112c,112e,112g、第2吸気バルブ112b,112d,112f,112h、第1排気バルブ116a,116c,116e,116g、および第2排気バルブ116b,116d,116f,116hが設けられている。これらの各弁112a〜112h,116a〜116hが上記電磁バルブとして構成されている。このうち、第1吸気バルブ112a,112c,112e,112gは第1吸気ポート114aを開閉し、第2吸気バルブ112b,112d,112f,112hは第2吸気ポート114bを開閉し、第1排気バルブ116a,116c,116e,116gは第1排気ポート118aを開閉し、第2排気バルブ116b,116d,116f,116hは第2排気ポート118bを開閉するように配設されている。
【0006】
また、同図10に示されるように、各気筒102a〜102dの第1吸気ポート114aおよび第2吸気ポート114bは吸気マニホールド130内に形成された吸気通路130aを介してサージタンク132に接続されている。各吸気通路130aにはそれぞれ燃料噴射バルブ134が配置されて、第1吸気ポート114aおよび第2吸気ポート114bに対して必要な量の燃料を噴射可能としている。
【0007】
また、サージタンク132は吸気ダクト140を介してエアクリーナ142に連結され、吸気ダクト140内にはモータ144(DCモータまたはステップモータ)によって駆動されるスロットル弁146が配置されている。このスロットル弁146の開度(スロットル開度TA)はスロットル開度センサ146aにより検出され、スロットル弁146はエンジン102の運転状態やアクセルペダル174の操作に応じてその開度が制御される。
【0008】
また、各気筒102a〜102dの第1排気ポート118aおよび第2排気ポート118bは排気マニホールド148に連結されている。そして、この排気マニホールド148に排出された排気は、触媒コンバータ150を介して外部に排出される。
【0009】
一方、上記エンジン102の運転状態は、電子制御ユニット(以下、ECUと称する)160により制御されている。このECU160は、双方向性バス162を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)164、ROM(リードオンリメモリ)166、MPU(マイクロプロセッサユニット)168、入力ポート170、および出力ポート172を備えて構成されている。
【0010】
このような構成のECU160に対して、エンジン102を運転するための各種信号が入力されている。
まず、スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ146aからは、スロットル弁146の開度に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、アクセルペダル174にはアクセル開度センサ176が取り付けられ、このアクセル開度センサ176からは、アクセルペダル174の踏み込み量(アクセル開度ACCP)に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、上死点センサ180からは、気筒102a〜102dにあって往復運動する各ピストン106が上死点に達したときに出力パルスが発生され、この出力パルスが入力ポート170に入力されている。また、クランク角センサ182からは、クランクシャフトが30°回転する毎に出力パルスが発生され、この出力パルスが入力ポート170に入力されている。そしてMPU168は、これら上死点センサ180の出力パルスとクランク角センサ182の出力パルスとに基づいて、現在のクランク角を計算し、またクランク角センサ182から出力される出力パルスの頻度に基づいてエンジン102の回転速度を計算する。
【0011】
さらに、吸気ダクト140には、吸入空気量センサ184が設けられ、この吸入空気量センサ184からは、吸気ダクト140を流れる吸入空気量GAに対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、エンジン102のシリンダブロック104には水温センサ186が設けられ、この水温センサ186からは、エンジン102の冷却水温度THWが検出されて冷却水温度THWに対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。また、排気マニホールド148には空燃比センサ188が設けられ、この空燃比センサ188からは、空燃比に対応した出力がAD変換器173を介して入力ポート170に入力されている。
【0012】
なお、上記以外にも入力ポート170には、各種の信号が入力されているが、図10においてはその図示を割愛している。
一方、ECU160からは、エンジン102を運転するために必要な各種信号が出力されている。
【0013】
まず、出力ポート172からは、気筒102a〜102dに各々対応して設けられた燃料噴射バルブ134に対し、駆動部190を介して各燃料噴射バルブ134の開弁制御を行う指令が出力される。また、出力ポート172からは、吸気バルブ112a〜112hおよび各排気バルブ116a〜116hとして設けられた電磁バルブについて、その各々に対応して設けられた駆動用コイルに通電を行うために、駆動部192を介してそれら各バルブの開閉制御を行う指令が出力される。さらに、出力ポート172からは、モータ144に対し駆動部193を介してスロットル弁146の開度制御を行う指令が出力される。
【0014】
なお、上記以外にも出力ポート172からは、各種の信号が出力されているが、図10においてはその図示を割愛している。
ここで、上記吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hとして設けられている電磁バルブの構成について説明する。これらの電磁バルブは基本的構成が同じであるため、第1吸気バルブ112aを例にその構成を例示する図13を使って説明する。
【0015】
第1吸気バルブ112aは、弁体200、この弁体200と一体化して形成されている弁軸200a、および電磁駆動部202を備えている。弁軸200aは、弁体200とは反対側の端に固定されているロアリテーナ204を備えている。そして、シリンダヘッド108に形成されたスプリング保持面108aとロアリテーナ204との間には、圧縮状態のロアスプリング206が配設され、弁体200および弁軸200aを燃焼室110から離す方向に、すなわち第1吸気ポート114aを弁体200が閉じる方向に付勢している。
【0016】
電磁駆動部202は、その中心部分に弁軸200aと同軸に配置されたアーマチャシャフト208を備えている。そして、このアーマチャシャフト208はその一端にて弁軸200aと連結されるとともに、そのほぼ中央部分に高透磁率材料からなるアーマチャ210が、また弁軸200aとの連結部とは反対側の端部にアッパリテーナ212が固定されている。そして、このアッパリテーナ212とケーシング214(図11参照)に設けられたアッパキャップ214aとの間には、圧縮状態のアッパスプリング220が配設され、アーマチャシャフト208を弁軸200a側へ付勢している。
【0017】
上記電磁駆動部202の周辺には、アーマチャ210を変位させるためのコアおよびこれを例示するコイルが配設されている。
このうち、リング状に形成されたアッパコア216は、アッパリテーナ212とアーマチャ210との間にて、アーマチャシャフト208に貫通された態様で電磁駆動部202のケーシング214内に固定されている。また、同じくリング状に形成されたロアコア218は、アーマチャ210に対してアッパコア216とは反対側においてアーマチャシャフト208に貫通された態様で電磁駆動部202のケーシング214内に固定されている。なお、ケーシング214はシリンダヘッド108に固定されている。また、アッパコア216とロアコア218とは、それら各中心部の貫通孔にそれぞれ設けられたブッシュ216a,218aにより、アーマチャシャフト208を摺動可能に保持している。そして、アッパコア216を励磁するアッパコイル222aへの通電にともなってアッパコア216とアーマチャ210との間に吸引力が発生し、この吸引力に基づくに基づくアーマチャ210のアッパコア216側への変位により弁体200が弁座226に着座して第1吸気バルブ112aの閉弁動作がなされる。
【0018】
一方、ロアコア218は高透磁率材料からなり、摺動可能にこれを貫通しているアーマチャシャフト208を中心に、アーマチャ210側に開口するリング状の溝218bが形成され、同溝218b内には励磁用のロアコイル224aが配設されている。そして、ロアコア218を励磁するロアコイル224aへの通電にともなってロアコア218とアーマチャ210との間に吸引力が発生し、この吸引力に基づくアーマチャ210のロアコア218側への変位により弁体200が弁座226から離間方向に摺動して第1吸気バルブ112aの開弁動作がなされる。
【0019】
なお、図13には、アッパコイル222aにもロアコイル224aにも励磁電流が供給されていない状態が示されている。この状態では、アーマチャ210はアッパコア216側にもロアコア218側にも当接せず、アーマチャシャフト208および弁軸200aはアッパスプリング220とロアスプリング206との付勢の釣り合う中立位置に存在する。このため、弁体200は弁座226から少し離れて、第1吸気ポート114aは半開状態となっている。
【0020】
このような構成を有する電磁バルブを、図10に示した吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hとして機能させるために、ECU160は各バルブに対応して設けられたアッパコイルおよびロアコイルに対して駆動部192(図10参照)等を介して通電制御を行う。これにより、それらバルブが、たとえば図14に示すタイミングチャートのように開閉駆動される。すなわち、図14に示されるように、このエンジン102においては、クランク角センサ182により検出されるクランク角に応じて吸気バルブの開閉動作およびそれに続く排気バルブの開閉動作が「#1→#3→#4→#2」の順に行われてエンジン102が運転される。ここで、「#n」は、エンジン102を構成するn番気筒を表している。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように、上記吸気バルブ112a〜112hおよび排気バルブ116a〜116hの開閉駆動は、ECU160から出力ポート172を介して制御信号を出力する駆動部192が上述のアッパコイル222aおよびロアコイル224aに接続されて構成される駆動装置により行われる。
【0022】
上記駆動装置は通常、1つの電磁バルブに対応して設けられる1対のアッパコイル222aおよびロアコイル224aに対して、その通電状態の切り替え制御を行うためのスイッチング素子を有して構成される。そして従来、この種の電磁バルブの駆動装置としては、たとえば特開平11−166657号公報に記載されているものが知られている。同公報に記載の電磁バルブの駆動装置にあっては、互いに同期して開閉動作を行う2つの電磁バルブが、最少でも8個のスイッチング素子によって開閉駆動される。すなわちこの場合、たとえば各気筒毎に2つの吸気バルブと2つの排気バルブとが設けられた4気筒エンジンについて、これら機関バルブをすべて電磁バルブにて開閉駆動するためには、合計64個のスイッチング素子を用いてその駆動回路が構成されることになる。
【0023】
ところが、上記スイッチング素子として用いられるFET(Field Effect Transistor )やIGBT(Isolated Gate Bipolar Transistor)は一般に高価であり、上記駆動装置にあってそれらスイッチング素子が多数用いられることは、駆動装置としての経済性を悪化させる要因となっている。また、こうしたスイッチング素子が数多く使用されればされるほど、駆動装置としての信頼性も低下するようになる。さらに、上記スイッチング素子に対する制御信号であるゲート信号は、高電圧が印加されるスイッチング素子の端子や配線等から確実にその各々を絶縁する必要があるために、その配線に際しては絶縁距離の確保等、格別の配慮が要求される。すなわち、使用するスイッチング素子の数が多いことは、駆動装置としての実装性においてもこれを阻害する要因となる。そして、このことによっても駆動装置としての経済性の悪化が懸念される。
【0024】
こうしたことから、上記駆動装置をより少ないスイッチング素子により構成することが切望されている。
なお、上記内燃機関の機関バルブとして構成される電磁バルブの駆動装置に限らず、対をなす各コイルへの通電に基づいて複数の電磁アクチュエータを駆動する装置にあっては、こうした実情もおおむね共通したものとなっている。
【0025】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡素でかつ信頼性の高い回路を用いて、対をなす各コイルへの通電に基づく複数の電磁アクチュエータの駆動を行うことのできる電磁アクチュエータの駆動装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。請求項1に記載の発明は、対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、前記2対のコイルはそれぞれ対向して接続されるブリッジ回路として構成され、前記駆動回路は該ブリッジ回路の互いに対向する2対のノードのうちの一方のノード対が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、他方のノード対が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0027】
上記構成によれば、上記それぞれ対向して接続されるブリッジ回路として構成される2対のコイルの、互いに対向する2対のノードのうちの一方のノード対が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、他方のノード対が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されて上記駆動回路が構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき2つの電磁アクチュエータを駆動するために、最少で4個のスイッチング素子を用いて上記駆動回路を構成することができるようになる。これにより、駆動対象の電磁アクチュエータ毎に必要となるスイッチング素子の個数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でかつ信頼性の高い回路を用いた駆動回路により構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。
【0028】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備えることをその要旨とする。
【0029】
上記構成によれば、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0030】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるノード対が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されるノード対が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0031】
上記構成によれば、上記高電位側給電端に接続されるノード対において、低電位側給電端からの電流の流入が上記低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して許容される。また、上記低電位側給電端に接続されるノード対において、高電位側給電端への電流の流出が上記高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して許容される。これにより、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明は、対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、前記2対のコイルは、それぞれ対応する電磁アクチュエータを第1の方向に動作させる第1のコイルと第2の方向に動作させる第2のコイルとの対からなるとともに、それら2対のコイルのうちの一方の対の第1のコイルと他方の対の第2のコイルとがそれぞれ直列接続された直列回路が互いに並列に接続されてなり、前記駆動回路は、前記並列に接続された回路の各共通接続端が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるとともに、前記直列接続された第1および第2のコイルの各接続部が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0033】
上記構成によれば、上記直列接続された直列回路が並列に接続された回路における各共通接続端が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、同回路における直列接続された第1および第2のコイルの各接続部が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されて上記駆動回路が構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき2つの電磁アクチュエータを駆動するために、最少で4個のスイッチング素子を用いて上記駆動回路を構成することができるようになる。これにより、駆動対象の電磁アクチュエータ毎に必要となるスイッチング素子の個数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でより信頼性の高い回路を用いた駆動回路を備えて構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。
【0034】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備えることをその要旨とする。
【0035】
上記構成によれば、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0036】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続された前記各共通接続端が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続された前記第1および第2のコイルの各接続部が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなることをその要旨とする。
【0037】
上記構成によれば、上記高電位側給電端に接続された各共通接続端において、低電位側給電端からの電流の流入が上記低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して許容される。また、上記低電位側給電端に接続された第1および第2のコイルの各接続部において、高電位側給電端への電流の流出が上記高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して許容される。これにより、上記スイッチング素子の動作に基づく各コイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。
【0038】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、前記各スイッチング素子の開閉制御端子に対し、前記2つの電磁アクチュエータのうちの一方を能動とするとともに他方を非能動とする制御指令の入力が可能に構成されてなることをその要旨とする。
【0039】
上記構成によれば、上記2つの電磁アクチュエータのうちの一方のみを動作させることが可能となる。これにより、駆動装置として、同電磁アクチュエータの駆動をより自由度高く制御することができるようになる。
【0040】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記電磁アクチュエータが内燃機関の機関バルブとして機能する電磁バルブであり、前記対をなす各コイルは、その一方が前記電磁バルブを閉弁させるとともに他方が同電磁バルブを開弁させるものであることをその要旨とする。
【0041】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが内燃機関の機関バルブとして機能する電磁バルブに適用されて、それら電磁バルブの開閉駆動が上記駆動装置により適切に行われるようになる。
【0042】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の電磁アクチュエータの駆動装置において、前記2つの電磁アクチュエータが、前記内燃機関の同一気筒の2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブとして機能する電磁バルブであることをその要旨とする。
【0043】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが、内燃機関の同一気筒の2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブとして機能する電磁バルブに適用される。このため、同一気筒に設けられた上記各機関バルブが、上記駆動装置による確実な同期動作のもと開閉駆動されるようになる。なお、上記電磁アクチュエータのいずれかが、その1つによって同期動作させるべき複数の機関バルブを開閉駆動可能なように設けられている場合、上記2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブに限らず、同期動作させるべき3以上の機関バルブの開閉駆動に対して上記駆動装置を適用してもよい。
【0044】
そして、請求項10に記載の発明は、内燃機関の同一気筒に設けられた複数の吸気バルブまたは排気バルブを電磁駆動する電磁バルブとして、第1の弁体を閉弁するための第1のコイルと同第1の弁体を開弁するための第2のコイルと第2の弁体を閉弁するための第3のコイルと同第2の弁体を開弁する第4のコイルとを備える電磁アクチュエータに対して、前記第1乃至第4のコイルへの通電態様をスイッチング素子が設けられた駆動回路を通じて制御する電磁アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路は、高電位側給電端と低電位側給電端との間に第1乃至第4の直列回路が並列接続されて構成されるものであって、前記第1の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第1のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第1のダイオードとが直列接続されてなり、前記第2の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第2のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第2のダイオードとが直列接続されてなり、前記第3の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第3のダイオードと第3のスイッチング素子とが直接接続されてなり、前記第4の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第4のダイオードと第4のスイッチング素子とが直接接続されてなり、前記第1のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第1のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第2のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第2のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第3のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第3のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第4のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第4のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続されてなることをその要旨とする。
【0045】
上記構成によれば、上記電磁アクチュエータが内燃機関の同一気筒に設けられた吸気バルブまたは排気バルブを電磁駆動する電磁バルブとして構成されるとともに、それら電磁バルブの開閉駆動を行う駆動装置の駆動回路が第1乃至第4のスイッチング素子を用いて構成される。すなわち、互いに同期動作をさせるべき内燃機関の同一気筒に設けられた2つの吸気バルブまたは2つの排気バルブを駆動するために必要なスイッチング素子を個数を4個とすることができる。これにより、駆動される電磁アクチュエータ毎のスイッチング素子の必要数が削減され、上記電磁アクチュエータの駆動装置がより簡素でより信頼性の高い回路を用いた駆動回路を備えて構成されるようになる。また、その結果、上記駆動装置の経済性や実装性の向上が図られるようになる。さらに、上記駆動回路は、上記低電位側給電端側から高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第1乃至第4のダイオードを備えて構成される。これにより、上記第1乃至第4のスイッチング素子の動作に基づく第1乃至第4のコイルでの電流の流通態様の変化が、より円滑に行われるようになる。また、上記駆動回路でのエネルギー損失が低減され、効率の向上が図られるようになる。なお、上記高電位側給電端および上記低電位側給電端の一方または両方は、同じノードであってもよいし異なるノードであってもよい。また、同じ電位のノードであってもよいし異なる電位のノードであってもよい。また、上記電磁アクチュエータのいずれかが、その1つによって同期動作させるべき複数の機関バルブを開閉駆動可能なように設けられている場合、上記2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブに限らず、同期動作させる3以上の機関バルブの開閉駆動に対して上記駆動装置を適用してもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる電磁アクチュエータの駆動装置を車載内燃機関の機関バルブを駆動する電磁バルブに適用した一実施の形態について図1〜図7を使って説明する。
【0047】
なお、本実施の形態に例示する電磁バルブは、先に図10〜図14を使って説明した上述の4気筒ガソリンエンジンに設けられるものであり、ここではその駆動回路を含む駆動装置について説明する。
【0048】
図1は、本実施の形態のエンジンの気筒、およびそれら各気筒に設けられた機関バルブの配置を模式的に示す説明図である。図1に示されるように、このエンジンは、同図1において左から#1、#2、#3、および#4の番号が付された4つの気筒が1列に配置されている。各気筒はエンジンを運転するための機関バルブとして、吸気バルブおよび排気バルブを各2つ備えている。そして、これら合計8個の吸気バルブ11,12,21,22,31,32,41,および42と、合計8個の排気バルブ16,17,26,27,36,37,46,および47とが、図13に示した電磁バルブとして構成されている。
【0049】
ところで、本実施の形態の上記各電磁バルブは、同期動作を行う2つ毎に共通の駆動回路をもつ駆動装置により開閉駆動される。この場合、#1気筒の吸気バルブ11,12と排気バルブ16,17とがそれぞれ同期した開閉駆動を行うように、吸気バルブ11,12に対して1つの駆動回路が設けられ、排気バルブ16,17に対して1つの駆動回路が設けられている。同様に、#2気筒の吸気バルブ21,22と排気バルブ26,27、#3気筒の吸気バルブ31,32と排気バルブ36,37、および#4気筒の吸気バルブ41,42と排気バルブ46,47に対してもそれぞれ2つのバルブ毎に1つの駆動回路が設けられている。すなわち、このエンジンは、図2にその対応関係を示す回路1〜回路8の駆動回路を備える駆動装置によって各機関バルブの開閉駆動がなされて動作する構成となっている。
【0050】
上記回路1〜回路8はそれぞれ構成の同じ回路を有し、それら各々に対して異なるタイミングの制御指令が出力されて、図14に示した機関バルブの開閉駆動が行われる。これら回路1〜回路8の構成を、回路1の構成を例として以下に説明する。
【0051】
図3は、上記回路1、すなわち#1気筒の吸気バルブ11,12を開閉駆動する駆動装置を構成する駆動回路を示している。このうち吸気バルブ11は、弁体の閉弁動作を駆動するアッパコイル11U、および同開弁動作を駆動するロアコイル11Lの1対のコイルを有する。また吸気バルブ12は、弁体の閉弁動作を駆動するアッパコイル12Uおよび同開弁動作を駆動するロアコイル12Lの1対のコイルを有する。なおここで、吸気バルブ11,12における弁体の閉弁方向および開弁方向は、請求項4にあって「第1の方向」および「第2の方向」にそれぞれ相当する。また、アッパコイル11Uは、請求項4にあっては「第1のコイル」、請求項10にあっては「第1のコイル」に相当し、ロアコイル11Lは、請求項4にあっては「第2のコイル」、請求項10にあっては「第2のコイル」に相当する。また、アッパコイル12Uは、請求項4にあっては「第1のコイル」、請求項10にあっては「第3のコイル」に相当し、ロアコイル12Lは、請求項4にあっては「第2のコイル」、請求項10にあっては「第4のコイル」に相当する。さらに、これら2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lは、先の図13に示したアッパコイル222aおよびロアコイル224aにそれぞれ相当する。また、吸気バルブ11,12の弁体は、請求項10にあって「第1の弁体」および「第2の弁体」に相当する。
【0052】
上記2対のコイルは、吸気バルブ11を閉弁するアッパコイル11Uの一方の端子と吸気バルブ12を開弁するロアコイル12Lの一方の端子とがノードn3にて互いに接続されている(請求項4の「直列回路」を形成)。また、吸気バルブ12を閉弁するアッパコイル12Uの一方の端子と吸気バルブ11を開弁するロアコイル11Lの一方の端子とがノードn4にて互いに接続されている(請求項4の「直列回路」を形成)。さらに、アッパコイル11Uの他方の端子とアッパコイル12Uの他方の端子、およびロアコイル11Lの他方の端子とロアコイル12Lの他方の端子はそれぞれノードn1およびノードn2にて互いに接続されている。すなわち、これら2対4つのコイルは、各々対をなすコイルがそれぞれ対向して接続されるように4辺をなすブリッジ回路を構成している。
【0053】
そして、上記ブリッジ回路において、互いに対向して接続される2対のノードのうちの一方のノード対であるノードn1およびノードn2は、それぞれスイッチング素子Q1およびQ2を介して高電位給電端である高電位ノードnHに接続されている。また、互いに対向して接続される2対のノードのうちのもう一方のノード対であるノードn3およびノードn4は、それぞれスイッチング素子Q3およびQ4を介して低電位側給電端である低電位ノードnLに接続されている。なお、上記スイッチング素子Q1〜Q4としては、ゲート端子を開閉制御端子とするFETが用いられており、各FETのゲート−ソース端子間に所定電圧を制御信号として入力することにより各々ドレイン端子とソース端子とが導通状態、すなわち「オン」となる。また、低電位ノードnLは車両の基準電位である接地電位に共通接続されたノードであるとともに、高電位ノードnHは車両に搭載されているバッテリの電圧を適宜変換して安定化された電圧の高圧側の対接地電位をもつノードである。また、ノードn1およびn2は、請求項4にあって「各共通接続端」に、ノードn3およびn4は、請求項4にあっては「直列接続された第1および第2のコイルの各接続部」にまた請求項10にあっては「直接接続部」に相当する。
【0054】
さらに、吸気バルブ11,12の駆動制御を行うこの回路1には、上記コイルのいずれかに電流が流れている間に、該当する電流経路にあるスイッチング素子が「オフ」となったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子としてダイオードD1〜D4が接続されている。これらダイオードD1〜D4は、上記「各共通接続端」に相当するノードn1およびn2には、これらに低電位ノードnLからの電流の流入を許容するように、すなわち低電位ノードnL側がアノード端子となるように、それぞれダイオードD1およびD2が接続されている。また、上記「各接続部」等に相当するノードn3およびn4には、これらに高電位ノードnHへの電流の流出を許容するように、すなわち高電位ノードnH側がカソード端子となるように、それぞれダイオードD3およびD4が接続されている。
【0055】
なお、こうして構成される回路は、スイッチング素子Q1とダイオードD1との直列回路が請求項10における「第1の直列回路」に相当し、スイッチング素子Q2とダイオードD2との直列回路が請求項10における「第2の直列回路」に相当し、ダイオードD3とスイッチング素子Q3との直列回路が請求項10における「第3の直列回路」に相当し、ダイオードD4とスイッチング素子Q4との直列回路が請求項10における「第4の直列回路」に相当する。
【0056】
このような構成の回路1において、スイッチング素子Q1〜Q4のゲート端子に対する適宜の制御信号が入力されると、上記2対のコイルへの通電がなされ、吸気バルブ11あるいは吸気バルブ12の開閉駆動が行われる。本構成の回路では、それら制御信号のスイッチングパターンにより、吸気バルブ11および12を同期して同時に開閉させる両弁動作と、そのうちの吸気バルブ12を開閉させる片弁動作とが可能となる。
【0057】
図4は、上記両弁動作が行われる際のスイッチングパターンを示している。なお、この図4、および後述の図6ならびに図8においては、「オン」状態にあるスイッチング素子を円で囲むことによってそれら素子の「オン」状態を示している。
【0058】
まず、図4(a)に示すスイッチングパターンDP1においては、スイッチング素子Q2、Q3、およびQ4が「オン」とされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K1にて、ロアコイル12Lに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル11L、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K2にて、ロアコイル11Lに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンDP1においては、ロアコイル11Lおよび12Lに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに開弁状態となる。
【0059】
つづいて、このロアコイル11Lおよび12Lに通電がなされているスイッチングパターンDP1において、スイッチング素子Q2〜Q4がいずれも「オフ」となる図4(b)に示すスイッチングパターンDP2の状態にされる。これにより、ロアコイル12Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K3を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル12Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。また、ロアコイル11Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル11L、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K4を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル11Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。こうして、このスイッチングパターンDP2においては、ロアコイル11Lおよび12Lに流れる電流が徐々に減少するため、電磁バルブを構成するアーマチャ(図13のアーマチャ210)に作用する電磁力も徐々に小さくなる。そして、その電磁力がロアスプリング(図13のロアスプリング206)の付勢力に抗しきれなくなると、アーマチャが中立方向に変位して閉弁動作が開始される。
【0060】
つぎに、スイッチング素子Q1、Q3、およびQ4が「オン」となる図4(c)に示すスイッチングパターンDP3の状態にされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K5にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K6にて、アッパコイル12Uに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンDP3においては、アッパコイル11Uおよび12Uに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに閉弁状態となる。
【0061】
つづいて、このアッパコイル11Uおよび12Uに通電がなされているスイッチングパターンDP3において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4がいずれも「オフ」となる図4(d)に示すスイッチングパターンDP4の状態にされる。これにより、アッパコイル11Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K7を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル11Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。また、アッパコイル12Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K8を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル12Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。こうして、このスイッチングパターンDP4においては、アッパコイル11Uおよび12Uに流れる電流が徐々に減少するため、電磁バルブを構成する上述のアーマチャに作用する電磁力も徐々に小さくなる。そして、その電磁力がアッパスプリング(図13のアッパスプリング220)の付勢力に抗しきれなくなると、アーマチャが中立方向に変位して開弁動作が開始される。
【0062】
図5は、上記回路1のスイッチングパターンDP1〜DP4によって実現される吸気バルブ11および12の動作を、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート端子に対する制御信号およびそれにより上記2対のコイルに流れる電流とともに模式的に示すタイミングチャートである。ここで、図5に示される各期間Td1とTd5、Td2、Td3、およびTd4は、スイッチングパターンDP1、DP2、DP3、およびDP4の状態にある期間にそれぞれ対応している。
【0063】
図5に示されるように、回路1がスイッチングパターンDP1の状態にある時刻t11に到る期間Td1にあっては、スイッチング素子Q2〜Q4が「オン」とされている(図5(a)〜(d))。したがって、この期間Td1においては、ロアコイル11Lおよび12Lに対する通電がなされるとともにアッパコイル11Uおよび12Uに対する通電はなされず(図5(e)および(g))、吸気バルブ11および12はともに開弁状態にある(図5(f)および(h))。
【0064】
ここで、時刻t11において、スイッチング素子Q2〜Q4がいずれも「オフ」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP2の状態に移行され、ロアコイル11Lおよび12Lに流れている電流は徐々に減少する(図5(e)および(g))。これにより、上記時刻t11を起点とするこの期間Td2においては上述のように、吸気バルブ11および12の閉弁動作がともに開始される(図5(f)および(h))。
【0065】
つづいて、吸気バルブ11および12がその中立位置付近に変位する時刻t12において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オン」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP3の状態に移行される。このとき、アッパコイル11Uおよび12Uに流される電流の値は、はじめ大きめに(図5(e)および(g)の期間T1)、そしてそののちに所定値となるように(同期間T2)設定されている。これは、アーマチャを中立位置からアッパコア(図13のアッパコア216)に向けて吸引するために必要な電流値が、アーマチャがアッパコアに吸引されている状態を維持するために必要な電流値よりも大きいからである。こうして、上記時刻t12を起点とするこの期間Td3においては、そのうちの期間T1において吸気バルブ11および12の閉弁動作が完了され、そののちの期間T2においてその閉弁状態が維持される(図5(f)および(h))。
【0066】
さらに、時刻t13において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オフ」とされると(図5(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンDP4の状態に移行され、アッパコイル11Uおよび12Uに流れている電流は徐々に減少する(図5(e)および(g))。これにより、上記時刻t13を起点とするこの期間Td4においては上述のように、吸気バルブ11および12の開弁動作がともに開始される(図5(f)および(h))。
【0067】
そして、吸気バルブ11および12がその中立位置付近に変位する時刻t14において、スイッチング素子Q1およびQ3、Q4が「オン」とされる(図5(a)〜(d))。これにより、回路1はスイッチングパターンDP1の状態にふたたび移行されて、先の期間Td4に開始された開弁動作が完了される(図5(e)および(g)の期間T3)とともに、その開弁状態が維持される(同期間T4)。この場合、期間Td3においてアッパコイル11Uおよび12Uに流される電流と同様の立ち上がり波形をもつ電流をロアコイル11Lおよび12Lに流すように設定するのは、アーマチャの吸引およびその維持のために必要な電流値が異なる上述の理由によるものである。
【0068】
このように、2つの電磁バルブに対応して設けられた2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lに対する通電が、図5に示されるタイミングにて行われることで、吸気バルブ11および12の一連の開閉動作がなされる。
【0069】
同様に、他の機関バルブの開閉駆動を行う他の回路2〜7(図1および図2参照)についても、上記図5に示したタイミングでのスイッチング素子Q1〜Q4に対する制御と同様の制御を行う。このとき、クランク角センサ(図10のクランク角センサ182)から検出されるクランク角やその他の条件に基づいて、これら回路1〜回路8が備えるスイッチング素子に対する制御信号が相互に適切なタイミングとなるように制御装置(図10のECU160)から出力される。これにより、上記各吸気バルブおよび排気バルブに対して、先の図14に示したタイミングで開閉駆動が行われ、4つの気筒に設けられた各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブがエンジンの機関バルブとして機能する。
【0070】
一方、図6は、回路1において、上記吸気バルブ12による片弁動作が行われる際のスイッチングパターンを示している。なお、この図6において、「オン」状態にあるスイッチング素子を円で囲むことによってそれら素子の「オン」状態を示しているのは、先の図4と同様である。
【0071】
まず、図6(a)に示すスイッチングパターンSP1においては、スイッチング素子Q1、Q2、およびQ3が「オン」とされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K11にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K12にて、ロアコイル12Lに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンSP1においては、アッパコイル11Uに対する通電により吸気バルブ11が閉弁状態となるとともに、ロアコイル12Lに対する通電により吸気バルブ12が開弁状態となる。
【0072】
つづいて、このアッパコイル11Uおよびロアコイル12Lに通電がなされているスイッチングパターンSP1において、スイッチング素子Q2およびQ3が「オフ」となる図6(b)に示すスイッチングパターンSP2の状態にされる。これにより、ロアコイル12Lを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD2、ノードn2、ロアコイル12L、ノードn3、およびダイオードD3を経由する経路K13を通って高電位ノードnHに到るように流れ、ロアコイル12Lに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。その一方、アッパコイル11Uを流れる電流は、ノードn1からアッパコイル11U、ノードn3、ダイオードD3、高電位ノードnH、およびスイッチング素子Q1を経由してノードn1に到るループ経路K14を通って減衰することなく還流する。こうして、このスイッチングパターンSP2においては、ロアコイル12Lに流れる電流が徐々に減少して上述のごとく吸気バルブ12の閉弁動作が開始される一方、アッパコイル11Uに対しては継続的な通電が行われてその閉弁状態が維持される。
【0073】
つぎに、スイッチング素子Q1、Q3、およびQ4が「オン」となる図6(c)に示すスイッチングパターンSP3の状態にされる。この状態にあっては、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル11U、ノードn3、およびスイッチング素子Q3を経由する経路K15にて、アッパコイル11Uに対する通電がなされる。また、高電位ノードnHからスイッチング素子Q1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびスイッチング素子Q4を経由する経路K16にて、アッパコイル12Uに対する通電がなされる。すなわち、このスイッチングパターンSP3においては、アッパコイル11Uおよび12Uに対する通電により、吸気バルブ11および12はともに閉弁状態となる。ちなみに、これは上述の両弁動作におけるスイッチングパターンDP3と同じ状態である。
【0074】
つづいて、このアッパコイル11Uおよび12Uに通電がなされているスイッチングパターンSP3において、スイッチング素子Q1およびQ4が「オフ」となる図6(d)に示すスイッチングパターンSP4の状態にされる。これにより、アッパコイル12Uを流れている電流は、低電位ノードnLからダイオードD1、ノードn1、アッパコイル12U、ノードn4、およびダイオードD4を経由する経路K17を通って高電位ノードnHに到るように流れ、アッパコイル12Uに蓄えられていたエネルギーの回生がなされる。その一方、アッパコイル11Uを流れる電流は、ノードn1から、アッパコイル11U、ノードn3、スイッチング素子Q3、低電位ノードnL、およびダイオードD1を経由してノードn1に到るループ経路K18を通って減衰することなく還流する。こうして、このスイッチングパターンSP4においては、アッパコイル12Uに流れる電流が徐々に減少して上述のごとく吸気バルブ12の開弁動作が開始される一方、アッパコイル11Uに対しては継続的な通電が行われてその閉弁状態が維持される。
【0075】
図7は、上記回路1のスイッチングパターンSP1〜SP4によって実現される吸気バルブ11および12の動作を、スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲート端子に対する制御信号およびそれにより上記2対のコイルに流れる電流とともに模式的に示すタイミングチャートである。ここで、図7に示される各期間Ts1とTs5、Ts2、Ts3、およびTs4は、それぞれスイッチングパターンSP1、SP2、SP3、およびSP4の状態にある期間に対応している。
【0076】
図7に示されるように、回路1がスイッチングパターンSP1の状態にある時刻t21に到る期間Ts1にあっては、スイッチング素子Q1〜Q3が「オン」とされている(図7(a)〜(d))。したがって、この期間Ts1においては、アッパコイル11Uおよびロアコイル12Lに対する通電がなされるとともにロアコイル11Lおよびアッパコイル12Uに対する通電はなされず(図7(e)および(g))、吸気バルブ11が閉弁状態にある一方、吸気バルブ12は開弁状態にある(図7(f)および(h))。
【0077】
ここで、時刻t21において、スイッチング素子Q2およびQ3が「オフ」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP2の状態に移行され、ロアコイル12Lに流れている電流が徐々に減少する一方、アッパコイル11Uに流れる電流は維持される(図7(e)および(g))。これにより、上記時刻t21を起点とするこの期間Ts2においては上述のごとく、吸気バルブ11の閉弁状態が維持される一方、吸気バルブ12の閉弁動作が開始される(図7(f)および(h))。
【0078】
つづいて、吸気バルブ12がその中立位置付近に変位する時刻t22において、スイッチング素子Q3およびQ4が「オン」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP3の状態に移行される。このとき、アッパコイル12Uに流される電流の値は、はじめ大きめに(図7(g)の期間T5)、そしてそののちに所定値となるように(同期間T6)設定されている。これも、上述のように、アーマチャを中立位置からアッパコア(図13のアッパコア216)に向けて吸引する際には、それらの吸引状態を維持するときよりも大きな電流が必要となることに対応したものである。こうして、上記時刻t22を起点とするこの期間Ts3においては、そのうちの期間T5において吸気バルブ12の閉弁動作が完了され、そののちの期間T6においてその閉弁状態が維持される(図7(h))。なお、この期間Ts3においても、吸気バルブ11はその閉弁状態が維持されている(図7(f))。
【0079】
さらに、時刻t23において、スイッチング素子Q1およびQ4が「オフ」とされると(図7(a)〜(d))、回路1はスイッチングパターンSP4の状態に移行され、アッパコイル12Uに流れている電流が徐々に減少する(図7(g))。これにより、上記時刻t23を起点とするこの期間Ts4においては上述のように、吸気バルブ12の開弁動作が開始される一方、吸気バルブ11の閉弁状態が維持される(図7(f)および(h))。
【0080】
そして、吸気バルブ12がその中立位置付近に変位する時刻t24において、スイッチング素子Q1およびQ2が「オン」とされる(図7(a)〜(d))。これにより、回路1はスイッチングパターンSP1の状態にふたたび移行されて、先の期間Ts4に開始された吸気バルブ12の開弁動作が完了される(図7(g)の期間T7)とともに、その開弁状態が維持される(同期間T8)。この場合、期間Ts3においてアッパコイル12Uに流される電流と同様の立ち上がり波形をもつ電流をロアコイル12Lに流すように設定するのは、アーマチャの吸引およびその維持のために必要な電流値が異なる上述の理由による。なお、この期間Ts5においても、吸気バルブ11はその閉弁状態が維持されている(図7(f))。
【0081】
このように、2つの電磁バルブに対応して設けられた2対のアッパコイル11U,12Uおよびロアコイル11L,12Lに対する通電が、図7に示されるタイミングにて行われることで、吸気バルブ12の一連の開閉動作がなされる。そして、この期間にわたって吸気バルブ11の閉弁状態が維持される。
【0082】
同様に、他の機関バルブの開閉駆動を行う他の回路2〜7(図1および図2参照)についても、上記図7に示したタイミングでのスイッチング素子Q1〜Q4に対する制御と同様の制御を行う。このとき、クランク角センサ(図10のクランク角センサ182)から検出されるクランク角やその他の条件に基づいて、これら回路1〜回路8が備えるスイッチング素子に対する制御信号が相互に適切なタイミングとなるように制御装置(図10のECU160)から出力される。これにより、上記各吸気バルブおよび排気バルブに対して、先の図14に示したタイミングで開閉駆動が行われ、4つの気筒に設けられた各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブのうちのそれぞれ各1つがエンジンの機関バルブとして機能する。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態にかかる電磁バルブの駆動装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)同期動作させる2対の電磁バルブである吸気バルブ11および12が、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を用いた駆動回路(回路1)を有して構成される駆動装置により開閉駆動される。これにより、各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブがそれぞれ設けられた4つの気筒を備えるエンジンにあって、その機関バルブを電磁バルブにて構成する場合に、それらを開閉駆動する駆動装置を合計32個のスイッチング素子を用いて構成することができるようになる。
【0084】
(2)電磁バルブを用いて構成される同じ気筒およびバルブ構成のエンジンにあって、機関バルブを開閉駆動させる駆動装置を構成するためのスイッチング素子の必要数の合計が従来、少なくとも64個必要であったものが32個に削減されるようになる。これにより、より簡素でより信頼性の高い回路を用いて構成された駆動装置により機関バルブを開閉駆動させることができるようになる。すなわち、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、それらスイッチング素子やその駆動回路、あるいはその配線等に起因する故障率が低減され、電磁バルブの駆動装置としての信頼性、ひいてはエンジンとしての信頼性を向上させることができるようになる。
【0085】
(3)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、スイッチング素子毎に必要とされる絶縁をより容易に行うことができるようになる。これにより、電磁バルブの駆動装置として、回路基板や配線等、その実装性が向上される。
【0086】
(4)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、エンジンを運転するための機関バルブの駆動装置をより経済的に具現化することができるようになる。
【0087】
(5)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、制御信号の数も削減され、機関バルブの開閉駆動を行う制御がより容易なものとなる。
(6)また、上記スイッチング素子の必要数が削減されることで、駆動回路、そして駆動装置としての消費電力が削減され、エンジンの燃費を向上させることができるようになる。
【0088】
(7)上記駆動回路として、電磁バルブを駆動する各コイルに流れる電流を還流あるいは回生させる整流素子としてダイオードD1〜D4を備えている。このため、コイルに蓄えられるエネルギーを損失することのない、また回路各部に不要な高電圧を発生させることのない低損失で円滑動作が可能な駆動装置を構成することができるようになる。
【0089】
(8)気筒毎に各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブを有して、これら各2つ設けられた機関バルブを同時に動作させる両弁動作と、それら2つのうちの1つを動作させる片弁動作とを行うことができる。これにより、機関バルブの2つの動作をエンジンの運転状況に応じて自由度高く制御することができるようになり、同エンジンに対する出力特性および燃費特性の向上に資するようになる。
【0090】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態においては、#1気筒の吸気動作に際して吸気バルブ12による片弁動作を行う場合について例示したが、吸気バルブ11による片弁動作も可能である。参考までに、その際のスイッチングパターンSP5〜SP8およびその動作の時間的推移を示すタイミングチャートを図8および図9にそれぞれ示しておく。ここで、図9における各期間Ts6とTs10、Ts7、Ts8、およびTs9が、それぞれスイッチングパターンSP5、SP6、SP7、およびSP8とされる期間にそれぞれ対応する。この場合、図8および図9に示されるように、スイッチング素子Q3およびQ4のスイッチングパターンを互いに入れ替えることで、上記吸気バルブ11による片弁動作を行うことができる。なお、こうして2つの吸気バルブ11および12のいずれによっても上記片弁動作を可能に構成している場合には、それら片弁動作時に用いるバルブを適宜切り替えることにより、電磁バルブとしての耐用年数を延ばすことができるようになる。また、上記吸気バルブ11および12のいずれかの動作性能が仮に低下してきた場合にあっても、その対応をより適切に行うことができるようになる。
【0091】
・上記実施の形態においては、機関バルブが各気筒上方のシリンダヘッドに上下方向に往復動作するように配設されて、アーマチャを動作させるためのコイルおよびコアがアーマチャの中立位置に対して上下に配置される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記構成に限らず、機関バルブの往復動作が水平方向に行われる構成であっても、また斜めに傾斜した方向に行われる構成であっても、また機関バルブの動作が直線的に行われるものでない構成であっても、それら各構成の機関バルブを開閉駆動する駆動装置に本発明を適用することができる。
【0092】
・上記実施の形態においては、駆動回路として、回路1に含まれる各コイルに流れている電流を還流または回生させるためのダイオードD1〜D4が設けられている場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記回路1として、各コイルに流れている電流を還流または回生させる必要がない場合には、上記ダイオードD1〜D4の一部または全部を削除した回路構成としてもよい。
【0093】
・上記実施の形態においては、低電位給電端および高電位給電端として、車両の接地電位およびバッテリ電圧に基づく安定化電位をそれぞれ用いて場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記低電位給電端は車両の接地電位でなくてもよいし、上記高電位給電端はバッテリ電圧に基づく安定化電位でなくてもよい。また、それら低電位給電端または高電位給電端として接続されるノードがそれぞれ同じである必要は必ずしもなく、それらのうちのいくつかが異なるノードであってもよい。また、それら各ノードの電位が同じである必要は必ずしもない。
【0094】
・上記実施の形態においては、スイッチング素子としてFETを、整流素子としてダイオードを用いて駆動回路を構成した場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記FETあるいはダイオードに限らず、たとえばスイッチング素子としてIGBTを、また整流素子としてショットキーバリアダイオード等、他の素子を用いて駆動回路を構成してもよい。
【0095】
・上記実施の形態においては、電磁バルブが、各2つの吸気バルブおよび各2つの排気バルブの設けられた4つの気筒を備えたエンジンを例に説明したが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。上記構成に限らず、たとえば電磁バルブの設けられる気筒毎に2つの吸気バルブと1つの排気バルブが設けられている構成にあっても、それら各2つの吸気バルブについて上記駆動回路を備えた駆動装置を用いてもよい。またたとえば、気筒毎に各3つの吸気バルブが設けられている構成にあっても、それら3つの吸気バルブを、同じ動作をさせる2つとそれに対して同期動作をさせる1つとに区分して、これら2つに区分された3つの吸気バルブを上記駆動回路を備えた駆動装置を用いて開閉駆動してもよい。もちろん、上記いずれの場合においても、4つの気筒を備えた4気筒エンジンに限らず、たとえば3気筒や5気筒、あるいは6気筒エンジン等にあっても、上記駆動回路を備えた駆動装置を適用してそれら機関バルブの開閉駆動を行ってもよい。
【0096】
・上記実施の形態においては、電磁バルブがガソリンエンジンに設けられている構成について説明したが、ガソリンエンジンに限らず、たとえばディーゼルエンジン等他の内燃機関に機関バルブとして上記電磁バルブが設けられる構成にあっても本発明の駆動装置を用いることができる。
【0097】
・上記実施の形態においては、上記電磁バルブが車載内燃機関の機関バルブとして設けられている場合について説明したが、これら電磁バルブの適用対象は車載の内燃機関に限定されるものではない。
【0098】
・上記実施の形態においては、内燃機関の機関バルブとして設けられた電磁バルブの駆動装置として、本発明の電磁アクチュエータの駆動装置が適用される場合について説明したが、必ずしもこの構成に限定されない。上記内燃機関の機関バルブとして設けられた電磁バルブに限らず、対をなす各コイルへの通電により動作する電磁アクチュエータについて、互いに同期動作させるべき2つを含む複数の電磁アクチュエータを動作させる他の駆動装置に対して、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁アクチュエータの駆動装置を車載内燃機関の機関バルブの駆動装置に適用した一実施の形態について、同内燃機関の気筒およびそれら各気筒に設けられる機関バルブの配置を例示する説明図。
【図2】同実施の形態の上記機関バルブとこれを駆動する駆動回路の対応関係を例示する説明図。
【図3】上記駆動回路の構成を例示する回路図。
【図4】上記駆動回路による吸気バルブの両弁動作について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図5】上記吸気バルブの両弁動作について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図6】上記駆動回路による吸気バルブの片弁動作について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図7】上記吸気バルブの片弁動作について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図8】上記駆動回路による吸気バルブの片弁動作の変形例について、これを実現するスイッチングパターンを示す動作説明図。
【図9】上記吸気バルブの片弁動作の変形例について、その時間的推移を例示するタイミングチャート。
【図10】電磁バルブを機関バルブとして採用した一般の内燃機関およびその制御装置について、その構成を模式的に例示する説明図。
【図11】上記内燃機関の機関バルブについて、その構成を周辺部の概略構成とともに例示する説明図。
【図12】上記内燃機関について、吸排気ポートおよび機関バルブの構成を例示する説明図。
【図13】上記電磁バルブについて、その構成を模式的に例示する説明図。
【図14】上記内燃機関について、各気筒に設けられた吸気バルブおよび排気バルブの動作推移を例示するタイミングチャート。
【符号の説明】
Q1〜Q4…スイッチング素子、D1〜D4…ダイオード、11,12,21,22,31,32,41,42…吸気バルブ、16,17,26,27,36,37,46,47…排気バルブ、11L,12L…ロアコイル、11U,12U…アッパコイル。
Claims (10)
- 対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、
前記2対のコイルはそれぞれ対向して接続されるブリッジ回路として構成され、前記駆動回路は該ブリッジ回路の互いに対向する2対のノードのうちの一方のノード対が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続され、他方のノード対が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなる
ことを特徴とする電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備える
請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるノード対が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されるノード対が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなる
請求項1に記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 対をなす各コイルへの通電にともなって発生する電磁力により動作する電磁アクチュエータの互いに同期動作させるべき2つを駆動対象として、それら2つの電磁アクチュエータに対応して設けられた2対のコイルへの通電を制御する駆動回路を備えて構成される電磁アクチュエータの駆動装置であって、
前記2対のコイルは、それぞれ対応する電磁アクチュエータを第1の方向に動作させる第1のコイルと第2の方向に動作させる第2のコイルとの対からなるとともに、それら2対のコイルのうちの一方の対の第1のコイルと他方の対の第2のコイルとがそれぞれ直列接続された直列回路が互いに並列に接続されてなり、前記駆動回路は、前記並列に接続された回路の各共通接続端が各々スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続されるとともに、前記直列接続された第1および第2のコイルの各接続部が各々スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続されてなる
ことを特徴とする電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記駆動回路は、前記コイルのいずれかに電流が流れている間に該当する電流経路にあるスイッチング素子がオフとなったとき、当該コイルに流れている電流の継続的な流通を許容する整流素子をさらに備える
請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記スイッチング素子を介して高電位側給電端に接続された前記各共通接続端が、低電位側給電端にアノード端子が接続されたダイオードを介して同低電位側給電端に接続され、前記スイッチング素子を介して低電位側給電端に接続された前記第1および第2のコイルの各接続部が、高電位側給電端にカソード端子が接続されたダイオードを介して同高電位側給電端に接続されてなる
請求項4に記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記駆動回路は、前記各スイッチング素子の開閉制御端子に対し、前記2つの電磁アクチュエータのうちの一方を能動とするとともに他方を非能動とする制御指令の入力が可能に構成されてなる
請求項1〜6のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記電磁アクチュエータが内燃機関の機関バルブとして機能する電磁バルブであり、前記対をなす各コイルは、その一方が前記電磁バルブを閉弁させるとともに他方が同電磁バルブを開弁させるものである
請求項1〜7のいずれかに記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 前記2つの電磁アクチュエータが、前記内燃機関の同一気筒の2つの吸気バルブもしくは2つの排気バルブとして機能する電磁バルブである
請求項8に記載の電磁アクチュエータの駆動装置。 - 内燃機関の同一気筒に設けられた複数の吸気バルブまたは排気バルブを電磁駆動する電磁バルブとして、第1の弁体を閉弁するための第1のコイルと同第1の弁体を開弁するための第2のコイルと第2の弁体を閉弁するための第3のコイルと同第2の弁体を開弁する第4のコイルとを備える電磁アクチュエータに対して、前記第1乃至第4のコイルへの通電態様をスイッチング素子が設けられた駆動回路を通じて制御する電磁アクチュエータの駆動装置において、
前記駆動回路は、高電位側給電端と低電位側給電端との間に第1乃至第4の直列回路が並列接続されて構成されるものであって、前記第1の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第1のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第1のダイオードとが直列接続されてなり、前記第2の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、第2のスイッチング素子と前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第2のダイオードとが直列接続されてなり、前記第3の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第3のダイオードと第3のスイッチング素子とが直接接続されてなり、前記第4の直列回路は、前記高電位側給電端側から順に、前記低電位側給電端側から前記高電位側給電端側への電流の流通を許容する方向に設けられた第4のダイオードと第4のスイッチング素子とが直接接続されてなり、
前記第1のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第1のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第2のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第2のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第3のコイルの一端は前記第1のスイッチング素子と前記第1のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第3のコイルの他端は前記第4のダイオードと前記第4のスイッチング素子との直接接続部に接続され、前記第4のコイルの一端は前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとの直接接続部に接続されるとともに、同第4のコイルの他端は前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子との直接接続部に接続されてなる
ことを特徴とする電磁アクチュエータの駆動装置。
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