JP3846264B2 - 極細多心ケーブルの端末接続部及びその端末接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器等に用いられる極細多心ケーブルの端末部と、表面に導体回路パターンを有するプリント基板等の回路パターン部材の接続部とを接続する極細多心ケーブルの端末接続部及びその端末接続方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、極細多心ケーブルの端末部から取り出された複数本の極細線心を、導体回路パターンが形成された基板に接続するには、極細線心の端末部をそれぞれ段剥ぎして導体線を露出させ、その導体線の端末部を、導体回路パターン上にそれぞれ半田付けしていた。
【0003】
例えば、極細同軸線心を複数本束ねた極細多心ケーブルの端末部を基板に接続する場合は、図7に示すように、極細多心ケーブル(図示せず)の端末部から複数本の極細同軸線心61を取り出し、それぞれの端末部分を段剥ぎして、ジャケット層65から中心導体62と絶縁層63と外部導体層64を露出させ、その中心導体62を基板70の信号導体回路パターン部71に、外部導体層64を基板70のグランド導体回路パターン部72にそれぞれ半田接続していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の電気・電子機器の小型化、高性能化に伴い、それに用いられる極細多心ケーブルもさらなる細経化、多心化が望まれており、極細同軸線心にあっては、現在では外径が0.2mm以下というものまで出現しつつある。
【0005】
さらに、極細多心ケーブルの端末部と、表面に導体回路パターンを有する回路パターン部材との接続部である極細多心ケーブルの端末接続部についても小型化が進んでいる。
【0006】
このように、接続する極細線心の外径が細くなり、かつ各極細線心間のピッチを狭ピッチで接続しなければならない状況の中、従来の接続方法は、極細線心を1本ずつ接続するため、端末接続部の製造作業に非常に手間が掛かり、作業工数が増え、大幅なコストアップにつながっていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、極細の線心でも簡単に狭ピッチで接続でき、製造の手間を簡略化することが可能な極細多心ケーブルの端末接続部及びその端末接続方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、導体線に絶縁被覆が施された極細線心を複数本束ねた極細多心ケーブルの上記導体線の端末部と、導体回路パターンの複数本の線条の信号導体回路パターン部とがそれぞれ接続された極細多心ケーブルの端末接続部において、上記導体線の端末部を所定の間隔で同一平面上に配列する配列溝が形成された基台と、上記信号導体回路パターン部の一端部が上記間隔で絶縁性の基板の同一平面上に配列されて形成されている回路パターン部材とを有し、上記基台で配列溝が形成された面と上記回路パターン部材で信号導体回路パターン部が形成された面とを合わせ、上記導体線の端末部の導体露出面と上記信号導体回路パターン部の一端部とが厚さ方向にのみ導電性を有する異方性導電膜により接合されている極細多心ケーブルの端末接続部にある。
また、本発明は、導体線に絶縁被覆が施された極細線心を複数本束ねた極細多心ケーブルの上記導体線の端末部と、導体回路パターンの複数本の信号導体回路パターン部とをそれぞれ接続する極細多心ケーブルの端末接続方法において、上記導体線の端末部を所定の間隔で絶縁性の基板の同一平面上に配列する配列溝が形成された基台の上記配列溝に収容して固定し、上記導体線の端末部を上記基台と共に研磨して露出させた後、上記信号導体回路パターン部の一端部が上記間隔で同一平面上に配列されて形成されている回路パターン部材を、上記導体線の端末部と上記信号導体回路パターン部の一端部とが重ね合わさるように、上記基台で配列溝が形成された面と上記回路パターン部材で信号導体回路パターン部が形成された面とを合わせ、厚さ方向にのみ導電性を有する異方性導電膜を挟んで上記基台に接合させる極細多心ケーブルの端末接続方法にある。
【0009】
また、上記極細線心は、中心導体と、該中心導体の外周に施された絶縁体層と、該絶縁体層の外周に施された外部導体層と、該外部導体層の外周に施されたジャケット層とを有する外径が0.5mm以下の極細同軸線心であり、上記配列溝内に複数本の極細同軸線心がピッチ0.3〜0.7mmで配列されていても良い。
【0010】
また、上記回路パターン部材の上記基台と接続されていない側の端部における導体回路パターンの導体間ピッチが、上記配列溝内の複数本の極細線心間のピッチよりも狭くなるように形成されているのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0012】
本実施の形態では、極細線心として極細同軸線心3を用いた場合について述べる。
【0013】
図4に示すように、極細同軸線心3は、単線からなる中心導体4と、この中心導体4の外周に被覆された絶縁体層5と、この絶縁体層5の外周に巻き付けられた多数の導体からなる外部導体層6と、この外部導体層6の外周に被覆されたジャケット層7とからなり、外径は0.2mmである。
【0014】
図1に本発明にかかる極細多心ケーブルの端末接続部の斜視図を示す。
【0015】
図1に示すように、本発明にかかる端末接続部は、図4に示した極細同軸線心3を収容すると共にその中心導体4の端末部を所定のピッチで同一平面上に配列する配列溝2が形成された基台1と、各中心導体4の端末部と接続される導体回路パターンが形成された回路パターン部材11とで主に構成されており、基台1と回路パターン部材11は、厚さ方向にのみ導電性を有する異方性導電膜(AFC:Anisotropic Conductive Film )10により接合されている。
【0016】
図3に示すように、回路パターン部材11は、絶縁性の基板12の表面に、銅等の導電性金属からなる回路パターンが形成されており、この回路パターンは中心導体と接続される線状の信号導体回路パターン部13と、外部導体層と接続され、この信号導体回路パターン部13の両側に適宜間隔を隔てて形成されたグランド導体回路パターン部14とを有している。
【0017】
信号導体回路パターン部13は、配列溝内に収容された極細同軸線心の中心導体間のピッチに合わせて一端部が0.5mmのピッチで形成されていると共に、他端部が中心導体間のピッチである0.5mmよりも狭くなるように、0.3mmのピッチで形成されている。
【0018】
グランド導体回路パターン部14は、一方の端部が3本の信号導体回路パターン部13間に噛み合わされると共に、他方の端部同士が接続された櫛形に形成されており、さらに、グランド導体回路パターン14と極細同軸線心3の中心導体4が電気的に接続しないように、信号導体回路パターン部13の延長線上にあるグランド導体回路パターン部14の一部(点線で示した部分)は、絶縁フィルム15で覆われている。
【0019】
また、図2に示すように、基台1は、加工のしやすさから、材質がプラスチックあるいは金属等からなり、例えばエポキシ樹脂などの硬質プラスチック、ジルコア、ステンレスが用いられている。
【0020】
配列溝2は、断面が凹型形状(矩形状)で形成されており、極細同軸線心の端末部は配列溝2に収容された状態で半割に研磨され、平坦な導体露出面9が形成されている。
【0021】
異方性導電膜10は、実装する部材同士を接着するための樹脂絶縁膜(バインダ)17中に、縦方向(厚さ方向)の電気的接続を得るための導電粒子16が混入されている。導電粒子16の材料としては、銀、金、銅、アルミニウム、ニッケルや半田などの導通性の良好な金属粒子やメッキなどの方法で金属層を表面に設けた樹脂粒子が挙げられる。
【0022】
また、異方性導電膜10の樹脂絶縁膜(バインダ)17は、基台1と基板12に密着の良好な樹脂成分からなる。この樹脂成分としては熱硬化性のエポキシやウレタンやシリコーンなどの樹脂類が挙げられる。この中で望ましいのはアミン類や酸無水物を硬化剤とする熱硬化性のエポキシ樹脂類である。
【0023】
この異方性導電膜10は加熱硬化前に基台1に貼り付けられるため、適当な粘着性を有することが望ましい。
【0024】
そして、この異方性導電膜10により、中心導体4及び外部導体層6は、それぞれ異方性導電膜10が含有する導電粒子16を介して、上述した回路パターン部材11の信号導体回路パターン13及びグランド導体回路パターン14に電気的に接続されている。
【0025】
次に、本発明にかかる極細多心ケーブルの端末接続部の製造方法を作用と共に説明する。
【0026】
まず、接続しようとする複数本の極細線心を整列させるため、図5(a)、図6(a)に示すように、直方体状の基台1を準備し、図5(b)、図6(b)に示すように、その基台1に3本の配列溝2を形成する。
【0027】
この配列溝2の形成方法としては、エッチングで形成する方法、サンドブラストを用いて形成する方法等がある。また、基台1がプラスチックの場合は、基台1の型と配列溝2の型が共に形成されてなる金型内にプラスチック樹脂を注入し、硬化させて基台1と同時に形成する方法がある。
【0028】
そして、極細多心ケーブル(図示せず)の端末部から3本の極細同軸線心3を取り出し、図5(c)、図6(c)に示すように、それら3本の極細同軸線心3が同一平面上に位置するように、それぞれの配列溝2内に極細同軸線心3を配列し、接着剤8により固定一体化させる。
【0029】
配列溝2内に極細同軸線心3を固定一体化する方法としては、例えば、ホットメルト系接着剤、紫外線硬化樹脂等の接着剤8を用いた固定が考えられる。
【0030】
そして、図5(d)、図6(d)に示すように、3本の極細同軸線心3の中心導体4及び外部導体層6が長手方向に沿って同一平面上に露出するように、極細同軸線心3を基台1ごと研磨し、基台1に導体露出面9を形成する。
【0031】
このとき、配列溝2が形成された基台1の表面を全て研磨するのではなく、回路パターン部材を固定する部分だけを部分的に研磨し、極細同軸線心3の把持部用として、極細同軸線心3が引き出されている側の端部部分を研磨せずに残しておくのが好ましい。
【0032】
最後に、図5(e)、図6(e)に示すように、基台1の導体露出面9に、異方性導電膜10を挟んで、回路パターン部材11を固定する。
【0033】
具体的には、基台1の導体露出面9に、異方性導電膜10を貼り付け、回路パターン部材11を熱圧着して固定する。
【0034】
このとき、回路パターン部材11の表面に形成された導体回路パターン13,14面が、導体露出面9と向かい合うように固定する。
【0035】
これによって、極細同軸線心3の中心導体4及び外部導体層6と導体回路パターン13,14が異方性導電膜10により、圧接接合され、電気的に接続される。
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、極細同軸線心3を複数本まとめて接続するため、狭ピッチでも容易に接続が可能になる。これにより、端末接続部の製造作業を低コスト化できる。
【0037】
さらに、中心導体4と信号導体回路パターン部13との接続部が基台1と基板12に挟まれて保護されているため、安定に接続することができる。
【0038】
尚、本実施の形態では、3本の極細同軸線心3が接続される端末接続部について述べたが、これに限らず、さらに本数を増やしても良いことは言うまでもない。
【0039】
また、回路パターン部材11は、電子部品が搭載されたプリント回路基板であっても良い。
【0040】
また、配列溝2の断面形状をV字形状やU字形状に形成しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、極細の線心でも簡単に狭ピッチで接続でき、製造の手間を簡略化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる極細多心ケーブルの端末接続部を示す斜視図である。
【図2】図1の端末接続部の部分拡大断面図である。
【図3】本発明を構成する回路パターン部材の平面図である。
【図4】本発明により接続された極細同軸線心の断面図である。
【図5】(a)から(e)は図1の端末接続部の中間体を示す斜視図である。
【図6】(a)は図5(a)の端末接続部中間体のA−A線矢示断面図、(b)は図5(b)の端末接続部中間体のB−B線矢示断面図、(c)は図5(c)の端末接続部中間体のC−C線矢示断面図、(d)は図5(d)の端末接続部中間体のD−D線矢示断面図、(e)は図5(e)の端末接続部中間体のE−E線矢示断面図である。
【図7】従来の極細多心ケーブルの端末部と基板との接続方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基台
2 配列溝
3 極細同軸線心
4 中心導体(導体線)
5 絶縁体層
6 外部導体層
7 ジャケット層
10 異方性導電膜
11 回路パターン部材
13 信号導体回路パターン部(導体回路パターン)
Claims (5)
- 導体線に絶縁被覆が施された極細線心を複数本束ねた極細多心ケーブルの上記導体線の端末部と、導体回路パターンの複数本の線条の信号導体回路パターン部とがそれぞれ接続された極細多心ケーブルの端末接続部において、上記導体線の端末部を所定の間隔で同一平面上に配列する配列溝が形成された基台と、上記信号導体回路パターン部の一端部が上記間隔で絶縁性の基板の同一平面上に配列されて形成されている回路パターン部材とを有し、上記基台で配列溝が形成された面と上記回路パターン部材で信号導体回路パターン部が形成された面とを合わせ、上記導体線の端末部の導体露出面と上記信号導体回路パターン部の一端部とが厚さ方向にのみ導電性を有する異方性導電膜により接合されていることを特徴とする極細多心ケーブルの端末接続部。
- 上記極細線心は、中心導体と、該中心導体の外周に被覆された絶縁体層と、該絶縁体層の外周に巻き付けられた多数の導体線からなる外部導体層と、該外部導体層の外周に被覆されたジャケット層とを有する極細同軸線心であり、かつ上記回路パターン部材は、上記外部導体層と接続され上記信号導体回路パターン部の両側に適宜間隔を隔ててグランド導体回路パターン部が形成されている請求項1記載の極細多心ケーブルの端末接続部。
- 上記極細線心は外径が0.5mm以下であり、かつ上記配列溝は0.3〜0.7mmの間隔で形成されている請求項1又は2記載の極細多心ケーブルの端末接続部。
- 上記回路パターン部材は、上記信号導体回路パターン部の他端部の間隔が、上記配列溝内に配列された導体線の間隔よりも狭く形成されている請求項1から3のいずれかに記載の極細多心ケーブルの端末接続部。
- 導体線に絶縁被覆が施された極細線心を複数本束ねた極細多心ケーブルの上記導体線の端末部と、導体回路パターンの複数本の信号導体回路パターン部とをそれぞれ接続する極細多心ケーブルの端末接続方法において、上記導体線の端末部を所定の間隔で絶縁性の基板の同一平面上に配列する配列溝が形成された基台の上記配列溝に収容して固定し、上記導体線の端末部を上記基台と共に研磨して露出させた後、上記信号導体回路パターン部の一端部が上記間隔で同一平面上に配列されて形成されている回路パターン部材を、上記導体線の端末部と上記信号導体回路パターン部の一端部とが重ね合わさるように、上記基台で配列溝が形成された面と上記回路パターン部材で信号導体回路パターン部が形成された面とを合わせ、厚さ方向にのみ導電性を有する異方性導電膜を挟んで上記基台に接合させることを特徴とする極細多心ケーブルの端末接続方法。
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