JP3845249B2 - 金属ポルフィリン−コレステロール誘導体から成るゲル化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ゲルの技術分野に属し、特に、フラーレンの存在下に有機溶媒中でゲル構造を形成し得る新規なゲル化性化合物に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ゲルは、分子の三次元的な架橋によって形成された網目構造が溶媒を含んで固化した分子集合体である。従来より実用に供されてきたゲルは、主として、高分子ハイドロゲル、すなわち、高分子(ポリマー)から成るゲル化剤が溶媒として水を含んでゲル化したものである。
【0003】
これに対して、近年、比較的低分子の有機化合物をゲル化剤として非水性有機溶媒をゲル化する有機ゲルについても研究が行われるようになり、廃油や流出油をゲル化により固めて除去するのに実用化されている他、研究および応用の両面から各種のゲル系が検討されているが、有用性が確認されたものは少ない。
【0004】
例えば、炭素のサッカーボール分子として知られるフラーレン(C60)を集合化することにより新しい機能性材料を創製することが試みられているが、フラーレンをゲル状態により集合化した系は見当らない。このフラーレンは、ポルフィリンと電子的相互作用をすることが知られており、したがって、このフラーレン/ポルフィリン系から成るゲル状態の分子集合体が得られれば、該分子集合体はフラーレン−ポリフィリンの電子的相互作用に基づく研究ツールとして利用したり、新しいタイプの導電性材料等の開発に資するものとして期待されるが、そのようなゲル系は未だ実現されていない。
【0005】
本発明の目的は、これまでに知られていない新しいゲル化剤を見出し、該ゲル化剤を用いて、例えば、ポルフィリン−フラーレンの相互作用を発現する分子集合体としてのゲルを構築し得るような技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このたび、金属の配位したポルフィリン部位を有するコレステロール誘導体が各種の有機溶媒をゲル化するとともに、フラーレンが添加されるとそのゲル化能が向上することを見出し、本発明を導き出した。
【0007】
かくして、本発明は、下記の一般式(1)で表わされ有機溶媒中でゲル化することを特徴とするゲル化性化合物を提供するものである。
【0008】
【化2】
【0009】
式(1)中、MはZn(亜鉛)、Co(コバルト)またはMn(マンガン)から選ばれる金属原子を表わし、XはNHまたはO(酸素原子)を表わし、nは2〜5の整数である。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記の式(1)で表わされる金属ポルフィリン−コレステロール誘導体から成る本発明の化合物は、既知の反応を工夫することによって合成することができる。図1は、本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体を合成する反応スキームの好ましい例を示すものである。
【0011】
すなわち、本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体はコレステロール構造の3位に金属ポルフィリンを導入することによって合成されるが、このために、先ず、3位の水酸基にクロロホルムアルデヒドを反応させて得られたコレステロールクロロホルメート(イ)と、X−(CH2)n−NH2(例えば、エチレンジアミン)とを室温下に適当な溶媒(例えば、トルエン)中で反応させる。このX−(CH2)n−NH2はコレステロール部位と金属ポルフィリンとの連結部位を構造し、繊維状のゲルを形成し易くする。
【0012】
次に、このようにして連結部位が結合されたコレステロール誘導体(ロ)とポルフィリン(ハ)とを塩化メチレンのような溶媒中でジシクロカルボジイミド(DCC)とジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に室温で反応させることにより、ポルフィリン−コレステロール誘導体(ニ)が得られる。なお、ポルフィリンとしては、図に示されるものに限られず、よく知られているようにポルフィリン環の1〜8の位置がメチル基、エチル基、その他の基で置換されたポルフィリンも使用可能であり、本発明でいうポルフィリンとはそのようなポルフィリン類も包含されるものとする。
【0013】
最後に、ポルフィリン−コレステロール誘導体(ニ)をクロロホルムのような溶媒中で金属Mの塩(例えば酢酸塩)と室温で反応させることにより、ポルフィリン環内に金属(M)が配位した金属ポルフィリン−コレステロール誘導体(1)を得ることができる。
【0014】
以上のようにして合成される本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体(1)は、それ自身、単独でも各種の有機溶媒中でゲル化する性質を有し、有機溶媒のゲル化剤として使用することができる。ゲル化は、有機溶媒の種類によって幾分異なるが、一般に20℃以下の温度で生じる。興味深いことに、式(1)において金属が配位していないポルフィリン−コレステロール誘導体には、このようなゲル化能は認められない。
【0015】
一般式(1)で表わされる金属ポルフィリン−コレステロール誘導体から成る本発明のゲル化性化合物の更に顕著な特性は、フラーレンが存在することにより、そのゲル化能が著しく向上することである。例えば、本発明のゲル化剤は5℃においてベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素をゲル化し、20℃では形成されたゲルはゾルに転移したが、同条件下で少量のC60フラーレンを添加したところ、20℃においてもゲル構造が維持されることが判明している。そして、得られるゲルは、金属ポルフィリン−コレステロール誘導体がその金属ポルフィリン部位を介してフラーレンと相互作用することにより該誘導体とフラーレンが2:1の化学量論比で会合した左巻きの螺旋繊維構造の分子集合体を呈することが分光学的手法等によって確認されている。
【0016】
フラーレンがポルフィリンと電子的な相互作用をすることによりポルフィリン特有の400nm付近の吸収スペクトル〔ソーレー帯(Sore band)〕のシフトを起こすことは知られているが、フラーレンとポルフィリンとが分子間で相互作用する系は実現されていなかった。本発明に従う式(1)で表わされる金属ポルフィリン−コレステロール誘導体を用いれば、有機溶媒中でフラーレンを添加するという単純な操作により、フラーレンと亜鉛ポルフィリンとの分子間相互作用に基づきフラーレンを含む分子集合体(ゲル)を簡単に得ることができる。すなわち、本発明は、ゲルという自己集合形態を利用することにより、分子間でのフラーレンと亜鉛ポルフィリンとの相互作用の発現を初めて可能にしたものである。
【0017】
かくして、本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体を用いて得られるゲル状態の分子集合体は、そのフラーレン−ポルフィリン(金属ポルフィリン)分子間の電子的相互作用に基づく各種の用途への展開が考えられる。例えば、該相互作用に起因する導電性物質の開発や、電子移動ないしはエネルギー移動を研究するための人工光合成のモデルとして利用することができる。さらに、該ゲルは、一定方向のらせん状繊維から成る立体特異的な構造を有するので、ポルフィリンに配位する金属として触媒活性な金属を用いることにより、不斉反応(例えば、マンガン錯体を利用した立体選択的酸化反応)の触媒としての利用も期待される。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に説明するための実施例を示すが、本発明は、これらの実施例によって制限されるものではない。
なお、本明細書および図面において示す化学構造式においては、慣用的な表示法に従い炭素原子や水素原子を省略していることがある。
実施例1:金属ポルフィリン−コレステロール誘導体の合成
図1に示す反応スキームに従って、式(1)に属する下記の4種類の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体を合成した:1a(M=Zn、X=NH、n=2)、1b(M=Zn、X=NH、n=3)、1c(M=Zn、X=NH、n=4)、1d(M=Zn、X=NH、n=5)。
【0019】
(i)5α−コレスタン−3β−イル N−(2−アミノエチル)カルバメート(ロa)の合成
エチレンジアミン(16.7mL、250mmol)の無水トルエン溶液(250mL)にコレステロールクロロホルメート(イ)(1.20g、5mmol)を窒素雰囲気下で10回に分けて段階的に加え、室温で一晩攪拌した。反応溶液を大量の水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣を塩化メチレンに溶解し、メタノールを加えて副生成物ビスカルバメート体を沈殿させた。吸引濾過により副生成物を除去し、減圧下で濾液を濃縮し目的物(ロa)を収率31%(742mg、1.57mmol)で得た。白色固体;mp166−168℃;IR(KBr)νmax3339(νNH)、2946,1717(νCO)、1698(νCO)、1557,1470,1277cm− 1;1H NMR(CDCl3)δ0.68,1.01(s,各 3H,Me)、0.86(d,J=6.6 Hz,6H,Me)、0.91(d,J=6.6 Hz,3H,Me)、0.95−1.66(m,23H,CHおよびNH)、1.75−2.06(m,5H)、2.21−2.42(m,2H)、2.82(t,J=5.8 Hz,2H,NH2CH2)、3.22(q,J=5.8 Hz,2H,NHCH2)、4.42−4.59(m,1H,OCH)、4.89−5.00(m,D2O−exchange,1H,NHCOO)、5.37(d,J=5.1 Hz,1H,CH=C)。C30H52N2O2としての元素分析 計算値:C,76.22;H,11.09;N,5.93。実測値:C,76.09;H,10.96;N,5.72。
【0020】
(ii)5−{N−[2−((3β−コレスト−5−エン−3−イル)オキソケトアミノ)エチル]−4−アミノカルボニルフェニル}−1−0,15,20−トリフェニル−21H,23H−ポルフィリン(ニa)の合成:
(ロa)(111mg、0.228mmol)と(ハ)(150mg、0.228mmol)との無水塩化メチレン溶液(1.3mL)にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(47mg、0.228mmol)とジメチルアミノピリジン(DMAP)(28mg、0.228mmol)を窒素雰囲気下0度で加え、室温で3時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン・クロロホルム混合溶媒系で展開し、目的物(ニa)を収率68%(171mg、0.154mmol)で得た。紫色固体;mp189−191℃;IR(KBr)νmax3500−3100(br)、3316(νNH)、2932,2867,1701(νCO)、1698(νCO)、1655(νCO)、1647(νCO)、1638(νCO)、1541,1509,1499,1472,1441,967,801,750,729,700cm− 1;1H NMR(CDCl3)δ−2.79(s,2H,NH)、0.59,0.98(s,各3H,Me)、0.84(d,J=6.2 Hz,6H,Me)、0.74−1.97(m,29H)、2.25‐2.44(m,2H)、3.53‐3.66(m,2H,NCH2)、3.72−3.84(m,2H,NCH2)、4.51−4.66(m,1H,OCH)、5.13‐5.23(m,1H,NHCOO)、5.32(d,J=4.6 Hz,1H,CH=C)、7.46‐7.54(m,1H,NHCO)、7.71‐7.82(m,9H,m,p−Ph−H)、8.17‐8.26(m,8H,o−Ph‐HおよびC6H4CO)、8.30(d,J=7.7 Hz,2H,C6H4CO)、8.76−8.89(m,8H,ピロール−H)。C75H80N6O3としての元素分析 計算値:C,78.69;H,7.04;N,7.31。実測値:C,78.77;H,7.42;N,6.79。
【0021】
(iii)5−{N‐[2−((3β−コレスト−5−エン−3−イル)オキソケトアミノ)エチル]−4−アミノカルボニルフェニル}−1 0,15,20−トリフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(1a)の合成:
4a(100mg、0.09mmol)のクロロホルム溶液(9mL)に酢酸亜鉛(197mg、0.9mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム混合溶媒系で展開し、目的物(1a)を収率96%(101mg、0.086mmol)で得た。紫色固体;mp223−225℃;IR(KBr)νmax3500‐3100(br)、3395(νNH)、2934,2867,1698(νCO)、1653(νCO)、1647(νCO)、1638(νCO)、1522,1487,1439,1339,1206,1071,1003,993,797,754,718,702cm− 1;1H NMR(CDCl3)δ0.60,0.91(s,各 3H,Me)、0.84(d,J=6.2 Hz,6H,Me)、0.68‐1.93(m,29H)、2.01−2.14(m,2H,NCH2)、3.03−3.17(m,2H,NCH2)、3.75−3.96(m,1H,OCH)、4.67‐4.76(m,1H,NHCOO)、5.23(d,J=4.1 Hz,1H,CH=C)、6.59‐6.70(m,1H,NHCO)、7.41‐7.51(m,2H,C6H4CO)、7.70−7.82(m,9H,m,p‐Ph‐H)、8.11−8.17(m,2H,C6H4CO)、8.19‐8.27(m,6H,o−Ph‐H)、8.82,8.93(d,J=4.7 Hz,各2H,ピロール−H)、8.95(s,4H,ピロール−H)。C75H78N6O3Zn・0.1CHCl3としての元素分析 計算値:C,75.88;H,6.62;N,7.07。実測値:C,76.01;H,6.64;N,7.05。
式(1)に属する他の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体1b、1c、1dも同様に合成した。
【0022】
実施例2:ゲル化試験
実施例1で合成した1a〜1bの化合物を用いて各種の溶媒に対するゲル化能を調べた。ゲル化試験は、次のように行った:ネジ付試験管内で1a〜1bの各化合物を2.55×10− 2mol/dm3の濃度で溶媒と混合し、固形分が溶解するまで加熱し、得られた溶液を冷却し、5℃および20℃においてゲル化を観察し、試験管をさかさまにしても溶媒が流れ出ず、しかも崩れない状態をゲル化しているものとした。その結果を表1に示す。本発明の金属ポリフィリン−コレステロール誘導体が各種の有機溶媒中でゲル化することが理解される。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例3:フラーレン存在下のゲル化試験
実施例1で合成した化合物1a〜1dのゲル化能力に対するC60フラーレン添加効果を検討した。ゲル化試験の方法は実施例2の場合と同様である。その結果を表2に示す。例えば、化合物1aは5℃においてベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素(0.0255M)をゲル化したが、20℃では形成されたゲルは消えゾルに転移した。しかし、同条件下で0.5当量のC60フラーレンを添加したところ、20℃においてもゲル構造が維持されることが判明した。このようなゲル化能の向上は、下記からも明らかなように、分子間でのC60フラーレンと化合物1aの亜鉛ポルフィリン部位との相互作用に基づくものである。同様のゲル化能向上は化合物1cにおいても認められた。一方、化合物1bおよび1dはゲル化能の向上を示さなかった。このように本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体は、連結部位の炭素数の偶奇効果に応じてゲル化能が変わるという興味深い性質も有する。
【0025】
【表2】
【0026】
次に、トルエン中で化合物1aの濃度を0.2Mに固定し、C60フラーレンの添加量を0.0〜0.6当量まで変化した条件下で、ゾル−ゲル相転移温度(Tgel)を測定した。なお、ゾル−ゲル相転移温度は、ネジ付試験管をバス中に倒置し、バス温を2℃/分で昇温してゲルが試験管底部より落下したときの温度をTgelとした。その結果を表3に示す。表に示すように、0.0〜0.5当量のC60フラーレン添加によりゾル−ゲル相転移温度が29℃から78℃まで上昇し、0.5当量以上のフラーレン添加ではゾル−ゲル相転移温度は78℃に維持された。これらの結果は、本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体が、その金属ポルフィリン部位を介してフラーレンと相互作用することにより該誘導体とフラーレンが2:1の化学量論比で会合してゲル形成することを示している。図2は、このようにして本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体とフラーレンとから分子集合体(ゲル)が形成される様子を模式的に示すものである。
【0027】
実施例4:分光学的測定および顕微鏡観察
本発明の化合物(金属ポルフィリン−コレステロール誘導体)について各種の状態における分光学的測定を行った。図3は、紫外可視スペクトル測定、図4は円二色性スペクトル測定の結果を示し、いずれもトルエン中のものである。
【0028】
図3および図4において、(a)は、本発明の化合物1a(濃度:0.2mol/dm3)のゲル状態における紫外可視スペクトルおよびCDスペクトルを示す。亜鉛ポルフィリン発色団のソーレー(Soret)帯の長波長シフトが認められ(425nmから441nmへのシフト)(図3)、これは亜鉛ポルフィリン発色団のJ会合に基づくものと理解され、ポルフィリン−ポルフィリン相互作用がゲル化の駆動力の一つであることを示唆している。また、円二色スペクトル(図4)において、Soret帯付近に顕著なコットン効果が認められ、亜鉛ポルフィリン発色団がキラルに配置されていることが示唆されるが規則性はそれほど高くないことは分裂パターンから推測される。
【0029】
図3および図4において、(b)は本発明の化合物1a(2.55×10− 2mol/dm3)がC60フラーレンの存在下にゲル化した場合の紫外可視スペクトルおよびCDスペクトルを、ゾル状態の該化合物と比較して示すものである。ゲル状態の紫外可視スペクトル(図3)において、亜鉛ポルフィリン発色団のSoret帯の長波長シフトが認められ(425nmから430nmへのシフト)、このゲル形成がC60フラーレンと亜鉛ポルフィリンとの相互作用に基づくものであることが理解される。また、円二色スペクトル(図4)はSoret帯領域に負の分裂型のきわめて顕著なコットン効果を示し(CD値0の位置が、Soret帯の最大吸収波長430nmと一致)、C60フラーレンとの相互作用を介して亜鉛ポルフィリン発色団が左巻きに配置された安定なゲルが形成されていることが示唆されている。
【0030】
図3および図4において、(c)は本発明の化合物1a(2.55×10− 4mol/dm3)のゾル状態における紫外可視スペクトルおよびCDスペクトルを示す。濃度が稀薄でゲルが形成されていない場合にはSoret帯のシフトは認められず(図3)、またCD不活性である(図4)ことが示された。
【0031】
図5は、本発明の化合物を用いて得られるゲルの例として化合物1a(2.55×10− 2mol/dm3)から、ベンゼン中、−5℃/0.3torrで形成されたキセロゲルの走査電子顕微鏡写真(日立製S-900S)を示す。(a)はC60フラーレンの非存在下、(b)はC60フラーレンの存在下に形成されたゲルを示すものである。(a)では直径100〜300nm、また、(b)では直径50〜150nmの繊維構造のゲルが形成されていることが分かる。C60フラーレンの存在下に形成されたゲルは、C60フラーレンの非存在下に形成されたゲルに比べて、ねじれ構造が強くなっているが、これは亜鉛ポルフィリン−フラーレンの相互作用に因るものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体を合成する反応スキームを示す。
【図2】本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体とフラーレンから形成されるゲルを模式的に示す。
【図3】本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体の紫外可視スペクトル測定結果の1例を示す。
【図4】本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体の円二色性スペクトル測定結果の1例を示す。
【図5】本発明の金属ポルフィリン−コレステロール誘導体から形成されたキセロゲルの繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
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