JP3844864B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多色の彩色トナーインクを使用する電子写真プロセスを用いたプリンタや複写装置等のハードコピー出力装置の定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスは、感光体表面を一様に帯電させる帯電プロセス、感光体に光を照射することにより帯電荷を部分的に除電して画像情報に応じた潜像を形成する露光プロセス、潜像に現像剤中のトナーを付着させてトナー像を形成する現像プロセス、トナー像を記録用紙に転写する転写プロセス及び転写されたトナー像を加熱したローラ等のニップ部を通過させ、熱と圧力とによって記録媒体に定着させる定着プロセスからなり、ハードコピー画像形成方法として広く用いられている。
【0003】
図5は例えば特開平6−318001号公報に記載された従来の電子写真記録プロセスに適用された定着装置を示す要部断面図、図6は定着ローラと加圧ローラとの当接部ニップ形状を示す拡大図である。
各図において、1は記録媒体、2は図示されていない転写プロセスにおいて記録媒体1の表面に転写されたトナー像である。3は熱伝導性の良好なアルミ製の中空のヒートローラ、4はヒートローラ3内に配設された熱源としてのハロゲンランプである。5は加圧ローラ、6は表面にシリコーンゴムからなる弾性体層6aが設けられた定着ローラである。7は伝熱ベルトであり、この伝熱ベルト7は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂、ケブラー等の強化繊維を内包する樹脂及びゴム、あるいはニッケル、アルミ等の金属薄膜等をベース材とし、薄層のフッ素やシリコーンゴムのコーティングが該ベース材の表面に施されて作製され、トナー像2を定着する場合に、面圧を減らしてトナーをつぶし過ぎて画像の解像度を落とさないように構成されている。
この伝熱ベルト7がヒートローラ3と定着ローラ6との外周に張設され、加圧ローラ5が伝熱ベルト7を介して定着ローラ6に押接されている。そして、定着ローラ6の弾性体層6aが加圧ローラ5より柔らかく構成され、かつ、伝熱ベルト7が薄く柔軟性をもって構成されているので、図6に示されるように、弾性体層6aが変形して、定着のためのニップ部Nが所定の幅に形成される。
【0004】
8はヒートローラ3に巻き付けられた伝熱ベルト7に接触してその温度を検出する温度センサ、9は伝熱ベルト7に当接してシリコーン油を伝熱ベルト7に塗布し、溶融したトナーが伝熱ベルト7表面に付着するのを防止するオイルローラであり、このオイルローラ9は伝熱ベルト7の張力を調整する機能も有している。10は定着前のトナー像2が付着された記録媒体1を伝熱ベルトと並走させるための給紙ガイド、11は定着処理の完了した記録媒体1を定着装置外へ導く排紙ガイドである。
【0005】
つぎに、この従来の定着装置の動作について説明する。
ハードコピー出力装置が起動されると、定着ローラ6、ヒートローラ3、加圧ローラ5、伝熱ベルト7が図中矢印の方向に回転される。そして、ヒートローラ3の表面がハロゲンランプ4により加熱される。ヒートローラ3の表面の熱は、伝熱ベルト7を介して定着ローラ6および加圧ローラ5に伝達され、定着ローラ6および加圧ローラ5が加熱される。この時、記録媒体1上のトナー像2の定着に適した温度となるようにハロゲンランプ4の発熱が制御される。
トナー像2が転写された記録媒体1は、転写プロセス(図示せず)から給紙ガイド10に沿って伝熱ベルト7と並んで搬送されてくる。そして、記録媒体1は、伝熱ベルト7と並んで搬送される過程で、伝熱ベルト7からの輻射により予熱されて、定着ローラ6と加圧ローラ5の押接部に形成されたニップ部Nに挟まれてトナー像2が熱加圧されて記録媒体1に定着される。
【0006】
この従来の定着方法では、熱源が記録媒体1を直接挟む定着ローラ6および加圧ローラ5とは別の位置であるヒートローラ3の内部に配設されているので、定着ローラ6表面の弾性体は熱源の影響を直接受けず、ゴムの硬度を柔らかくしたり、弾性体の肉厚を厚くすることでニップ部Nの幅を大きくすることが可能となり、トナーを十分溶融する時間の確保ができるという利点がある。
しかしながら、ヒートローラ3は耐熱の関係からアルミ等の金属製のものが使用されている。従って、金属製の伝熱ベルト7を使用した場合には、伝熱ベルト7を通して定着ローラ6および加圧ローラ5を駆動するに十分な摩擦力が得られず、摩擦の大きいゴムの弾性体層6aをもつ定着ローラ6を回転駆動源に連結して、ヒートローラ3および加圧ローラ5は従動されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の定着装置は、定着ローラ6の弾性体6aの肉厚を厚くすればする程、あるいはゴム硬度を下げれば下げる程、ニップ部N幅を増加させることが可能である。しかし、定着ローラ6を回転駆動源としているので、温度上昇に対してゴムの線膨張が大きいため、ゴム肉厚を大きくすると温度変化が大きい場合に、定着ローラ6の外径の変化が大きくなり、定着速度変動に伴う画像品質低下を生ずるといった課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、弾性体の温度変化による定着ローラ外径の変化があっても定着速度に影響しない定着装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る定着装置は、電子写真プロセスによって現像された記録媒体に転写されたトナー像を加圧定着するニップ部を形成する弾性体層が外表面に形成された定着ローラと、上記定着ローラに押接するように配設されて上記記録媒体を上記定着ローラに押圧する加圧ローラと、上記定着ローラと上記加圧ローラとの当接位置に対して上記記録媒体の搬送方向の上流側に配設されて加熱源を内蔵するヒートローラと、上記ヒートローラに連結されて該ヒートローラを回転駆動する駆動手段と、上記定着ローラと上記ヒートローラとの外周間に張設され、該ヒートローラの回転駆動により走行されて該ヒートローラの回転トルクを該定着ローラに伝達するとともに、上記ニップ部への搬送途中の上記記録媒体と近接並走して該記録媒体に転写されたトナー像を予熱する伝熱ベルトとを備え、摩擦層が上記ヒートローラの外周面に形成され、上記伝熱ベルトの内周面と該摩擦層との動摩擦係数を0.18〜1.10としたものである。
【0011】
また、上記摩擦層はフッ素ゴムまたはシリコーンゴムをコーティングして形成されているものである。
【0012】
また、上記ヒートローラの両端に回転可能に装着されて上記定着ローラに対して接近/離反する方向に移動可能に配設された一対の軸受と、上記一対の軸受をそれぞれ上記定着ローラから離反する方向に付勢する張力付与手段とを備えたものである。
【0013】
また、上記駆動手段は、上記ヒートローラに同軸に取り付けられた歯車と、上記歯車に歯合して上記ヒートローラに回転力を付与する駆動歯車とを備え、上記駆動歯車は、該駆動歯車の軸心と上記歯車の軸心とを通る平面が、上記ヒートローラの軸心と上記定着ローラの軸心とを通る平面に対して、該ヒートローラの回転方向と反対方向に上記歯車の圧力角に相当する角度を有するように配設されているものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1および図2はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る定着装置の要部を示す側面図および平面図である。
各図において、1は記録媒体、2は図示されていない転写プロセスにおいて記録媒体1の表面に転写されたトナー像である。3は熱伝導性の良好なアルミ製の中空のヒートローラ、4はヒートローラ3内に配設された加熱源としてのハロゲンランプである。5は加圧ローラ、6は表面にシリコーンゴムからなる弾性体層が設けられた定着ローラである。7は伝熱ベルトであり、この伝熱ベルト7は、ポリイミド樹脂等の耐熱樹脂、ケブラー等の強化繊維を内包する樹脂及びゴム、あるいはニッケル、アルミ等の金属薄膜等をベース材とし、薄層のフッ素やシリコーンゴムのコーティングが該ベース材の表面に施されて作製され、トナー像2を定着する場合に、面圧を減らしてトナーをつぶし過ぎて画像の解像度を落とさないように構成されている。10は定着前のトナー像2が付着された記録媒体1を伝熱ベルト7と並走させるための給紙ガイド、11は定着処理の完了した記録媒体1を定着装置外へ導く排紙ガイドである。
【0015】
15はヒートローラ3の両端にそれぞれ回転可能に装着された一対の軸受、16はそれぞれU字形の軸受受部16aが設けられた一対のフレームである。そして、ヒートローラ3が、一対の軸受15を一対のフレーム16のそれぞれの軸受受部16aに係支して、軸受受部16aのU字形の側壁を案内にして往復移動可能に一対のフレーム16に支承されている。また、定着ローラ6が、ヒートローラ3の往復移動方向の一側、即ち軸受受部16aのU字形の底辺側に軸受受部16aから所定距離離れて一対のフレーム16に軸支されている。そして、伝熱ベルト7がヒートローラ3と定着ローラ6とに巻き掛けられている。さらに、加圧ローラ5が伝熱ベルト7を介して定着ローラ6に押接されている。
17は一対のフレーム16のそれぞれの外側で軸受受部16aのU字形の底辺近傍にピン18周りに回動可能に取り付けられている一対のテンション腕、19は各フレーム16と各テンション腕17の一端側との間に縮設されたスプリングであり、各テンション腕17はスプリング19の付勢力によりピン18周りに回動して、テンション腕の他端が軸受15を定着ローラ6から離反する方向に押圧し、伝熱ベルト7に均一な一定の張力を与えれている。テンション腕17およびスプリング19から張力付与手段が構成されている。
20はヒートローラ3の一端に同軸に取り付けられた歯車であり、この歯車20は駆動源としてのモータ22の駆動軸に取り付けられた駆動歯車21に歯合している。歯車20、駆動歯車21およびモータ22から駆動手段が構成されている。
【0016】
なお、図示していないが、従来の定着装置と同様に、ヒートローラ3に巻き付けられた伝熱ベルト7に接触してその温度を検出する温度センサや、伝熱ベルト7に当接してシリコーン油を伝熱ベルト7に塗布し、溶融したトナーが伝熱ベルト7表面に付着するのを防止するオイルローラが設けられている。
【0017】
ここで、ヒートローラ3はアルミ製の中空パイプであり、そのままでは伝熱ベルト7との間に充分な摩擦力は得られないので、その外周面に弾性体をコートした摩擦層3aを設けて摩擦を大きくしている。摩擦層3aの材料としては、トナーの溶融温度である130〜200℃程度の耐熱性と摩擦力が得やすい材料であることが要求され、フッ素ゴムやシリコーンゴムが適している。また、摩擦層3aの厚さは熱伝導性の面からは薄い方が良い。しかし、寿命的には厚い方が摩耗の意味で都合がよく、生産性の観点から、生産方法としてデイップコート、スプレイコート等の方法が適用できる100〜200μmの厚みが適当である。
【0018】
また、摩擦力について実験した結果、伝熱ベルト7の内周面とヒートローラ3の外周面の摩擦層3aの動摩擦係数は0.18〜1.10が望ましい。
この実験は外周の摩擦層3aにフッ素樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴムをコーティングしたヒートローラと、幅20mmのニッケル電鋳製の伝熱ベルトとポリイミド製の伝熱ベルトを用意して、ヒートローラの摩擦層と伝熱ベルトの内周面の動摩擦係数を、(株)東洋精機製作所製の摩擦測定機TR型で、ローラの回転なし、重り重量100gで測定した。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
上記5種類のヒートローラと2種類の伝熱ベルトを実施の形態1の定着装置に組込み、ヒートローラの摩擦層と伝熱ベルト内面の動摩擦係数と画像の関係の評価を行った。そして、伝熱ベルトとヒートローラ間の摩擦力が低く、滑りが生じて画像に乱れが生じた場合は、駆動速度の安定性を「×」とし、ヒートローラの摩擦係数が高すぎて、伝熱ベルトに速度差のストレスがたまり、伝熱ベルトに歪みが生じた場合は、伝熱ベルトの歪みを「×」とした。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
上記の結果より、ヒートローラの摩擦層と伝熱ベルトの内周面の動摩擦係数が0.18より低いと、伝熱ベルトとヒートローラ間に滑りが生じて、プロセス速度に対して遅れを生じ、転写部との同期が狂い、画像の乱れが生じてしまう。また、動摩擦係数が1.10より高くなると、伝熱ベルトに速度差のストレスがたまり、ベルトの歪みが生じて未定着画像がニップ部に突入するときに接触ムラが発生して、画像の乱れが生じてしまう。従って、ヒートローラの外周面と伝熱ベルトの内周面の動摩擦係数は0.18〜1.10であることが望ましい。
【0023】
つぎに、この定着装置の動作について説明する。
スプリング19の付勢力により、軸受15が定着ローラ6から離反する方向に押圧され、定着ローラ6とヒートローラ3との間に巻き掛けられている伝熱ベルト7に所定の張力が与えられている。
そこで、ハードコピー出力装置が起動されると、モータ22が駆動され、モータ22の回転トルクが駆動歯車21および歯車20を介してヒートローラ3に伝達され、ヒートローラ3が回転される。このヒートローラ3の回転により伝熱ベルト7が走行され、定着ローラ6、加圧ローラ5が回転される。そして、ヒートローラ3の表面がハロゲンランプ4により加熱される。ヒートローラ3の表面の熱は、伝熱ベルト7を介して定着ローラ6および加圧ローラ5に伝達され、定着ローラ6および加圧ローラ5が加熱される。この時、記録媒体1上のトナー像2の定着に適した温度となるようにハロゲンランプ4の発熱が制御される。
トナー像2が転写された記録媒体1は、転写プロセス(図示せず)から給紙ガイド10に沿って伝熱ベルト7と並んで搬送されてくる。そして、記録媒体1は、伝熱ベルト7と並んで搬送される過程で、伝熱ベルト7からの輻射により予熱されて、定着ローラ6と加圧ローラ5の押接部に形成されたニップ部Nに挟まれてトナー像2が熱加圧されて記録媒体1に定着される。その後、定着処理の完了した記録媒体1は排紙ガイド11に案内されて定着装置外に導かれる。
【0024】
このように、この実施の形態1によれば、ヒートローラ3を回転駆動させて伝熱ベルト7を走行させているので、定着ローラ6、加圧ローラ、伝熱ベルト7は従動となっている。従って、定着ローラ6の周速はヒートローラ3の周速に従う。そして、ヒートローラ3はアルミ製であるので、温度上昇に対してゴム等の弾性体に比べてその外径の増加が極めて少なく安定している。そのため、定着ローラ6が温度上昇に対してゴムの線膨張により外径が増大しても、定着ローラ6の周速はヒートローラ3の周速に従うため、その速度変化が極めて少なくなる。
このように、定着ローラ6の弾性体層が温度による熱膨張変化しても、ニップ部Nにおける伝熱ベルト7の搬送速度には影響しない。その結果、転写プロセスにおける記録媒体1の搬送速度とニップ部Nにおける記録媒体1の搬送速度との間に差異が発生することはなく、転写時の記録媒体1が引っ張られて画像の長さが長くなったり、転写不良が発生したりせず、良好な画像を形成することができる。同様に、定着後の記録媒体1を排出するローラの排出速度とニップ部Nにおける記録媒体1の搬送速度との間に差異が発生することはなく、記録媒体1の排出時のジャムを防止することができる。
【0025】
また、ヒートローラ3の外表面に摩擦層3aを形成しているので、ヒートローラ3の回転力を滑りなく伝熱ベルト7に伝達することができ、伝熱ベルト7の搬送速度を安定させることができる。そして、伝熱ベルト7の搬送速度が安定することにより、転写プロセスにおける記録媒体1の搬送速度とニップ部Nにおける記録媒体1の搬送速度との間に差異が発生することはなく、画像品質の向上を図ることができる。
また、フッ素ゴムあるいはシリコーンゴムをコーティングして摩擦層3aを形成しているので、ヒートローラ3の熱伝導効率を低下させることなく伝熱ベルト7を加熱することができる。
また、ヒートローラ3の軸受15がフレーム16の軸受受部16aに定着ローラ6に対して接近/離反する方向に移動可能に取り付けられ、スプリング19の付勢力がヒートローラ3に定着ローラ6から離反する方向に付勢しているので、定着装置を始動時の常温から定着温度に上昇させる際の各部の熱膨張寸法に差異があっても、軸受15がフレーム16の軸受受部16a内を移動することにより吸収されて、伝熱ベルト7に張力のアンバランスが発生することが未然に防止され、伝熱ベルト7の長寿命化が図られる。
【0026】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る定着装置の要部を示す側面図、図4はその歯車噛合部を示す拡大図である。
各図において、L0は定着ローラ6の軸心とヒートローラ3の軸心とを通る軸線、L1は駆動歯車21の軸心21aと歯車20の軸心とを通る軸心、θ0は歯車20の圧力角、θは軸線L0と軸線L1とのなす角度である。
この実施の形態2では、駆動歯車21の軸心21aと歯車20の軸心とを通る軸線L1(平面)が、定着ローラ6の軸心とヒートローラ3の軸心とを通る軸線L0(平面)に対して、ヒートローラ3の回転方向と反対方向に歯車20の圧力角θ0に相当する角度となるように、駆動歯車21を配置するものとしている。ここで、歯車20はヒートローラ3に同軸に取り付けられ、歯車20の軸心とヒートローラ3の軸心とが一致しているので、軸線L1は、ヒートローラ3の軸心を中心として、軸線L0をヒートローラ3の回転方向と反対方向に圧力角θ0に相当する角度だけ回転させたものに一致している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0027】
ここで、ヒートローラ3への回転駆動力を伝達する構成は種々あるが、ヒートローラ3が高温になることを考慮すれば、金属製の歯車伝達機構が適している。しかし、ヒートローラ3を軸支している軸受15はフレーム16に対して移動自在である。このため、図2に示されるように、ヒートローラ3と同軸に取り付けられた歯車20と歯合して回転力を与える駆動歯車21の分力がヒートローラ3を介して伝熱ベルト7の両端の張力をアンバランスにして、伝熱ベルト7の寿命を短くしたり、亀裂を発生させることになる。
【0028】
この実施の形態2によれば、歯車20を通じてヒートローラ3に伝達される回転力Fは伝熱ベルト7の張力の方向に対して直角方向となる。即ち、回転力Fは定着ローラ6の軸心とヒートローラ3の軸心とを通る軸線L(平面)に対して直角方向となる。
従って、駆動歯車21の駆動分力は、軸線L方向には加わらず、軸受15を移動自在にして伝熱ベルト7への張力をスプリング19により均一に付与している状態が維持され、伝熱ベルト7の張力アンバランスの発生が防止され、伝熱ベルト7の長寿命化が図られ、亀裂の発生が防止される。
【0029】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0030】
この発明によれば、電子写真プロセスによって現像された記録媒体に転写されたトナー像を加圧定着するニップ部を形成する弾性体層が外表面に形成された定着ローラと、上記定着ローラに押接するように配設されて上記記録媒体を上記定着ローラに押圧する加圧ローラと、上記定着ローラと上記加圧ローラとの当接位置に対して上記記録媒体の搬送方向の上流側に配設されて加熱源を内蔵するヒートローラと、上記ヒートローラに連結されて該ヒートローラを回転駆動する駆動手段と、上記定着ローラと上記ヒートローラとの外周間に張設され、該ヒートローラの回転駆動により走行されて該ヒートローラの回転トルクを該定着ローラに伝達するとともに、上記ニップ部への搬送途中の上記記録媒体と近接並走して該記録媒体に転写されたトナー像を予熱する伝熱ベルトとを備えたので、画像品質の低下を抑えることができるとともに、排出時の記録媒体のジャム発生を防止できる定着装置が得られる。
【0031】
また、摩擦層が上記ヒートローラの外表面に形成され、上記伝熱ベルトの内周面と該摩擦層との動摩擦係数が0.18〜1.10とされているので、ヒートローラと伝熱ベルトとの滑りが抑えられ、伝熱ベルトの安定した搬送速度が得られる。
【0032】
また、上記摩擦層はフッ素ゴムまたはシリコーンゴムをコーティングして形成されているので、伝熱ベルトへの熱伝達効率を低下させることなく耐熱性を有する摩擦層を形成することができる。
【0033】
また、上記ヒートローラの両端に回転可能に装着されて上記定着ローラに対して接近/離反する方向に移動可能に配設された一対の軸受と、上記一対の軸受をそれぞれ上記定着ローラから離反する方向に付勢する張力付与手段とを備えたので、始動開始時の昇温による構成部品の熱膨張差に基づく寸法変動が吸収され、伝熱ベルトへの張力のアンバランス発生を抑えることができ、伝熱ベルトの長寿命化が図られる。
【0034】
また、上記駆動手段は、上記ヒートローラに同軸に取り付けられた歯車と、上記歯車に歯合して上記ヒートローラに回転力を付与する駆動歯車とを備え、上記駆動歯車は、該駆動歯車の軸心と上記歯車の軸心とを通る平面が、上記ヒートローラの軸心と上記定着ローラの軸心とを通る平面に対して、該ヒートローラの回転方向と反対方向に上記歯車の圧力角に相当する角度を有するように配設されているので、駆動歯車の回転分力がヒートローラの軸心と定着ローラの軸心とを通る軸線と直交する方向となり、伝熱ベルトへの張力のアンバランス発生を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態2に係る定着装置の要部を示す側面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係る定着装置の要部を示す平面図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る定着装置の要部を示す側面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る定着装置の歯車噛合部を示す拡大図である。
【図5】 従来の定着装置の要部を示す断面図である。
【図6】 従来の定着装置における定着ローラと加圧ローラとの当接部ニップ形状を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 記録媒体、2 トナー像、3 ヒートローラ、3a 摩擦層、4 ハロゲンランプ(加熱源)、5 加圧ローラ、6 定着ローラ、6a 弾性体層、7 伝熱ベルト、15 軸受、17 テンション腕(張力付与手段)、19 スプリング(張力付与手段)、20 歯車(駆動手段)、21 駆動歯車(駆動手段)、N ニップ部、θ0 圧力角。
Claims (4)
- 電子写真プロセスによって現像された記録媒体に転写されたトナー像を加圧定着するニップ部を形成する弾性体層が外表面に形成された定着ローラと、上記定着ローラに押接するように配設されて上記記録媒体を上記定着ローラに押圧する加圧ローラと、上記定着ローラと上記加圧ローラとの当接位置に対して上記記録媒体の搬送方向の上流側に配設されて加熱源を内蔵するヒートローラと、上記ヒートローラに連結されて該ヒートローラを回転駆動する駆動手段と、上記定着ローラと上記ヒートローラとの外周間に張設され、該ヒートローラの回転駆動により走行されて該ヒートローラの回転トルクを該定着ローラに伝達するとともに、上記ニップ部への搬送途中の上記記録媒体と近接並走して該記録媒体に転写されたトナー像を予熱する伝熱ベルトとを備え、摩擦層が上記ヒートローラの外周面に形成され、上記伝熱ベルトの内周面と該摩擦層との動摩擦係数が0.18〜1.10であることを特徴とする定着装置。
- 上記摩擦層はフッ素ゴムまたはシリコーンゴムをコーティングして形成されていることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 上記ヒートローラの両端に回転可能に装着されて上記定着ローラに対して接近/離反する方向に移動可能に配設された一対の軸受と、上記一対の軸受をそれぞれ上記定着ローラから離反する方向に付勢する張力付与手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の定着装置。
- 上記駆動手段は、上記ヒートローラに同軸に取り付けられた歯車と、上記歯車に歯合して上記ヒートローラに回転力を付与する駆動歯車とを備え、上記駆動歯車は、該駆動歯車の軸心と上記歯車の軸心とを通る平面が、上記ヒートローラの軸心と上記定着ローラの軸心とを通る平面に対して、該ヒートローラの回転方向と反対方向に上記歯車の圧力角に相当する角度を有するように配設されていることを特徴とする請求項3記載の定着装置。
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