注:Memjet(登録商標)は、オーストラリアのシルバーブルック・リサーチ社の登録商標である。
好ましい実施の形態において、本発明は、ネットページネットワークコンピュータシステムと共に働くように構成されている。その詳細な概要は以下の通りである。言うまでも無く、基本的なシステムに関して以下に説明する特定の内容および外延の全て又は殆どを全ての実施の形態が必ずしも具体化しているとは限らない。しかしながら、本発明の好ましい実施の形態および形態が作用する状況を理解しようとする際の外部参照の必要性を減らすため、システムはその殆ど完全な形態で説明されている。
概要において、ネットページシステムの好ましい形態は、マッピングされた表面の形態を成す、すなわち、コンピュータシステム内に保持される表面のマップへの参照を含む物理的な表面の形態を成すコンピュータインタフェースを使用する。マップ参照は、適した感知デバイスによって問い合わせされる。特定の実施に応じて、マップ参照は、可視的にまたは不可視的にエンコードされても良く、マッピングされた表面への局所的な問い合わせによってマップ内および様々なマップ間で明瞭なマップ参照が得られるように規定されても良い。コンピュータシステムは、マッピングされた表面上の特徴に関する情報を含むことができる。そのような情報は、マッピングされた表面と共に使用される感知デバイスによって与えられるマップ参照に基づいて検索することができる。したがって、検索された情報は、表面特徴とのオペレータのやりとりに応じてオペレータのためにコンピュータシステムによって開始される動作の形態をとることができる。
ネットページシステムは、その好ましい形態において、ネットページの製作、および、ネットページとの人間のやりとりに依存している。これらは、通常の紙に印刷されたテキスト、グラフィク、画像から成るページであるが、双方向の(インタラクティブな)ウェブページのように機能する。情報は、実質的に人の肉眼で見えないインクを使用して各ページ上でエンコードされる。しかしながら、インク、したがって、コード化データは、光学的に画像化するペンによって検知することができるとともに、ネットページシステムに送信することができる。紙以外の基材を使用しても良い。好ましい実施の形態においてエンコードされた情報は赤外吸収インクであり、したがって、赤外線を感知する光センサを使用しても良い。必要に応じて、他の波長を使用しても良く、あるいは、光学検知以外の他の検知技術を使用しても良い。すなわち、1つの選択肢は、磁気インクおよび磁気センサを使用することである。
好ましい形態においては、各ページ上のハイパーリンクおよびアクティブボタンをペンでクリックしてネットワークから情報を求めることができ、あるいは、選択(好み)をネットワークサーバに送信することができる。一実施の形態において、ネットページ上で手で書かれたテキストは、自動的に認識され、ネットページシステムのコンピュータテキストに変換される。これにより、フォームに記入することができる。他の実施の形態においては、ネットページ上に記録されたサインが確認(照合)され、これにより、電子商取引を安全に認可することができる。
図1に示されるように、印刷されたネットページ1は、ペンとネットページシステムとの間の通信により、印刷されたページ上に物理的および電子的にユーザが記入できる双方向の(インタラクティブな)フォームを表示することができる。この例は、名前フィールドおよび住所フィールトと提出ボタンとを含む“リクエスト(依頼)”フォームを示している。ネットページは、目に見えるインクを使用して印刷されるグラフィックデータ2と、目に見えないインクを使用してタグ4の集合体として印刷されるコード化データ3とから成る。ネットページネットワーク上に記憶される対応するページ記述5は、ネットページの個々の要素を表わしている。特に、ページ記述は、ネットページシステムがネットページを介して正確に入力を判断できるように、各双方向要素(インタラクティブ要素)(すなわち、この例では、テキストフィールドまたはボタン)のタイプおよび空間的な広がりを表わしている。例えば、提出ボタン6は、対応するグラフィック8の空間的な広がりに相当する領域7を有している。
図2に示されるように、ネットページペン101は、その好ましい形態が図8および図9に示されており以下に詳細に説明するが、ネットページプリンタ601、すなわち、家庭、オフィス、携帯電話で使用できるインターネット接続の印刷装置と共に機能する。ペンは、無線であり、短距離無線リンク9を介してネットページプリンタと安全(確実)に通信を行なう。必要に応じて、ペンは、無線または赤外線送信器でシステムに接続されても良い。しかしながら、両方の選択肢とも使用の可能性が制限される。
ネットページプリンタ601は、その好ましい形態が図11〜図13に示されており以下に詳細に説明するが、個人化された新聞、雑誌、カタログ、パンフレット、他の出版物を定期的に又は要求に応じて供給することができる。これらの出版物の全ては、双方向ネットページとして高画質で印刷される。ネットページプリンタは、パーソナルコンピュータとは異なり、例えばユーザのキッチン、朝食のテーブルの近く、1日が始まる家の場所の近くといった、朝のニュースが最初に消費される領域に隣接する壁に取り付けることができる装置である。また、ネットページプリンタは、テーブルトップ、デスクトップ、携帯版およびミニチュア版の形で供給される。
消費場所で印刷されるネットページは、使用が簡単な紙と、双方向媒体の適時性および双方向性とを組み合わせる。
図2に示されるように、ネットページペン101は、印刷されたネットページ1上のコード化データとやりとりを行なうとともに、短距離無線リンク9を介してネットページプリンタへのやりとりを通信する。プリンタ601は、判断を行なうため、関連するネットページサーバ10にやりとりを送る。適切な環境において、ページサーバは、ネットページアプリケーションサーバ13上で実行するアプリケーションコンピュータソフトウエアに対して、対応するメッセージを送る。次に、アプリケーションサーバは、始めのプリンタ上に印刷される応答を送っても良い。
好ましい実施の形態において、ネットページシステムは、高速マイクロ電子機械システム(MEMS)を基本とするインクジェット(Memjet(登録商標))プリンタと共に使用することにより、かなり便利となる。この技術の好ましい形態において、比較的高速で且つ高画質な印刷は、消費者にとって手頃な価格で成される。ネットページ出版物は、その好ましい形態において、簡単に操作でき快適に扱えるように一括して製本され且つ両面にフルカラーで印刷されるレターサイズの光沢があるページのセット等の従来のニュース雑誌の物理的な特徴を有している。
ネットページプリンタは、ブロードバンドインターネットアクセスの高まる利用可能性を使用する。ケーブルサービスは、米国の95%の家庭に利用できる。また、ブロードバンドインターネットアクセスを提供するケーブルモデムサービスは、既に20%の家庭で利用可能となっている。また、ネットページプリンタは、更にゆっくりとした接続で動作できるが、供給時間が長かったり、画質が低かったりする。実際に、ネットページシステムは、既存の消費者向けインクジェット・レーザプリンタを使用すると、有効となり得る。しかしながら、システムは、更にゆっくりと動作し、したがって、消費者の観点から受け入れることができない。他の実施の形態において、ネットページシステムは、個人的なインターネット上で採用される。更に他の実施の形態において、ネットページシステムは、1つのコンピュータまたはプリンタ等のコンピュータ使用可能な装置で採用される。
ネットページネットワーク上のネットページ発行サーバ14は、印字品質の出版物をネットページプリンタに供給(配信)するように構成されている。定期出版物は、ポイントキャスティングインターネットプロトコルおよびマルチキャスティングインターネットプロトコルにより、予約購読しているネットページプリンタに対して自動的に供給される。個人化された出版物は、フィルタに通され、個々のユーザプロファイルにしたがってフォーマットされる。
ネットページプリンタは、任意の数のペンをサポートするように構成することができる。また、ペンは、任意の数のネットページプリンタと共に機能することができる。好ましい実施の形態において、各ネットページペンは、固有の識別子を有している。家庭は、カラーネットページペンの集合であり、家族の各人(構成員)に1つずつ割り当てられる。これにより、割り当てられたペンが家族の各人のみによって使用される場合、各ユーザは、ネットページ発行サーバまたはネットページアプリケーションサーバに対して明確なプロファイルを保存することができる。しかしながら、以下に説明するように、他の手段を使用してユーザを識別しても良い。
また、ネットページペンは、ネットページ登録サーバ11に登録することができるとともに、1または複数の支払いカード口座にリンクすることができる。これにより、ネットページペンを使用して電子商取引支払いを安全に認可することができる。ネットページ登録サーバは、ネットページペンによって取得されたサインを以前に登録されたサインと比較し、これにより、電子商取引サーバに対してユーザの同一性を認証することができる。他のバイオメトリクスを使用して同一性を確認しても良い。ネットページペンのバージョンは、ネットページ登録サーバによって同じ方法で確認される指紋走査を含んでいる。
ネットページプリンタは、ユーザが介入することなく、朝刊等の定期出版物を供給しても良いが、求められていないジャンクメール(迷惑メール)を供給しないように構成することができる。ネットページプリンタは、その好ましい形態において、予約購読されたソースまたは認可されたソースから定期出版物だけを供給する。この点で、ネットページプリンタは、電話番号や電子メールアドレスを知っている任意のジャンクメーラーに見えるファックス機または電子メールアカウントとは異なる。また、システム全体は、外部のユーザに見えるようになっていても良く、あるいは、自分のプリンタを外部のユーザに見えるようにする能力が各ユーザに与えられても良い。これは、ジャンクメールを送ることが許される外部のユーザを選択することによって実現されても良い。
1. ネットページシステムアーキテクチャ
システム中の各オブジェクトモデルは、統一モデリング言語(UML)クラス図を使用して記載される。クラス図(クラスダイアグラム)は、複数の関係によって繋がれたオブジェクトクラスのセットから成る。ここでは、2種類の関係、すなわち、関連性および一般化が対象である。関連性は、オブジェクト間すなわちクラスのインスタンス間におけるある種の関係を示す。一般化は、実際のクラスを関係付け、以下の方法で理解できる。すなわち、クラスがそのクラスの全てのオブジェクトのセットとして考えられる場合、クラスAがクラスBの一般化である。この時、BはAの単なるサブセットである。
各クラスは、クラスの名前でラベル付けされた矩形として描かれる。各クラスは、水平ラインによって名前から離された別のクラスの属性のリストと、水平ラインによって属性リストから離されたクラスの動作のリストとを含んでいる。しかしながら、以下のクラス図において、動作は決してモデル化されない。
関連性は、随意的に多数の関連性で両端にラベル付けされた、2つのクラスを結合するラインとして描かれる。規定の多様性は1つである。星印(*)は、様々な“多い(many)”、すなわち0またはそれ以上を示している。各関連性は、随意的にその名前でラベル付けされ、また随意的に対応するクラスの役割で両端にラベル付けされる。開放したダイアモンドは、寄せ集め関連性(“is−part−of”)を示しており、関連性ラインの収集者の端部に描かれる。
一般化関係(“is−a”)は、一般化の端部の矢印(開放した三角形の形態を成す)を用いて2つのクラスを結合する実線として描かれる。
クラスダイアグラムが壊れて複数のクラスダイアグラムになると、重複した任意のクラスは、それを規定するメインダイアグラムを除く全てが破線で示される。クラスは、それを規定する属性のみで示される。
1.1 ネットページ
ネットページは、ネットページネットワークが形成される土台である。ネットページは、紙を基本とするユーザインタフェースを、発行された情報および双方向(インタラクティブな)サービスに与える。
ネットページは、ページのオンライン記述に関連して不可視的にタグ付けされる印刷されたページ(または、他の表面領域)から成る。タグは、ページの表面上または表面に入り込んで印刷されても良く、あるいは、ページの副層内または副層上にあっても良く、あるいは、ページ内に組み込まれても良い。オンラインページ記述は、ネットページページサーバによって永続的に保持される。ページ記述は、テキスト、グラフィック、画像を含む可視的なページ内容およびレイアウトを記載する。また、ページ記述は、ボタン、ハイパーリンク、入力フィールドを含む入力要素をページ上に記載する。たとえネットページ(および対応するページ記述)が明らかに異なっていても、異なるネットページのページ記述は、画像等の構成要素を共有しても良い。各ネットページにおけるページ記述は、これらの共通要素への参照を含んでいても良い。ネットページによれば、ネットページペンを用いてその表面上に形成されるマーキングを同時に捕らえてネットページシステムにより処理することができる。
複数のネットページは、同じページ記述を共有することができる。しかしながら、区別されるべき同じページを通じた入力を可能にするため、各ネットページには、固有のページ識別子が割り当てられる。このページIDは、使用環境で使用されると考えられる全てのネットページ同士を区別できる十分な精度を有している。環境が小さい場合、精度は、環境が大きい場合ほど高い必要はない。
ページ記述への各参照は、印刷されたタグでエンコードされる。タグは、それが現われる固有のページを識別し、これによって、ページ記述を間接的に識別する。好ましい実施の形態において、タグは、ページ上におけるそれ自身の位置も識別する。タグの特徴については以下に詳細に説明する。
タグは、通常の紙のように赤外線を反射する任意の基材上に赤外線吸収インクで印刷される。近赤外線波長は、人間の目で見ることが出来ないが、適当なフィルタを有する半導体画像センサによって容易に検知される。対応する1または複数の波長を感知するセンサを使用しても良い。この場合、フィルタは必要ない。適当な基板およびセンサとともに、他の波長を使用しても良い。
タグは、ネットページペン内の領域画像センサによって検知されてデコードされ、また、タグによってエンコードされたデータは、好ましくは最も近いネットページプリンタを介してネットページシステムに送られる。ペンは、無線であり、短距離無線リンクを介してネットページプリンタと通信を行なう。タグは、十分に小さく、ページ上における1回のクリックでもペンが少なくとも1つのタグを確実に画像化できるように、密集して配置されている。やりとりは国境なく行なわれるため、ペンがタグを認識してページとの全てのやりとりにおいてページIDおよび位置を抽出することは重要である。タグは、表面の損傷に対して部分的に寛容となるべくエラー修正可能にエンコードされる。
ネットページサーバは、印刷されたネットページ毎に固有のページインスタンスを保持し、これにより、印刷された各ネットページ毎に、ページ記述における入力フィールドのためのユーザ供給値の明確なセットを保持することができる。
ページ記述と、ページインスタンスと、印刷されたネットページとの間の関係が図4に示されている。好ましい実施の形態において、ページインスタンスは、それを印刷したネットページプリンタおよびそれを要求したネットページユーザの両方に関連付けられる。対応する物理的なページを印刷したネットページプリンタまたはページを要求したネットページユーザまたはページの印刷を求めたネットページユーザにページインスタンスが関連付けられることは、本発明を機能させる上で必須の事項ではない。
1.2 ネットページタグ
1.2.1 タグデータコンテンツ
好ましい形態において、各タグは、それ自身が出現する領域と、領域内におけるそれ自身の場所とを識別する。また、タグは、全体として領域に関係するフラグまたはそのタグに関係するフラグを有している。1または複数のフラグビットは、例えばタグ感知デバイスに信号を送って、タグの直属の領域に対応する機能を示すフィードバックを提供しても良い。この場合、タグ感知デバイスは、その領域の記述を参照しないで済む。ネットページペンは、例えばハイパーリンクの領域にある時、“アクティブ領域”LEDを点灯させても良い。
以下に明確に説明するように、好ましい実施の形態において、各タグは、容易に認識される不変構造を有している。この不変構造は、最初の検知を助け、サーフェスプロセスまたは検知プロセスによって生じる任意のワープ効果を最小限に押えるのに役立つ。タグは、全ページにタイルを張り、ページ上での1回のクリックだけでもペンが少なくとも1つのタグを確実にイメージできるように十分に小さく密集して配置されていることが好ましい。ペンがページとやりとりする際には必ずページIDおよび位置を認識することが重要である。
好ましい実施の形態において、タグが参照する領域は全てのページと一致し、したがって、タグにエンコードされる領域IDは、タグが出現するページのページIDと同義である。他の実施の形態において、タグが参照する領域は、ページまたは他の表面の任意のサブ領域であっても良い。例えば、タグが参照する領域は、双方向要素の領域と一致しても良い。その場合、領域IDは双方向要素を直接に識別する。
一般に、各タグは、16ビットのタグIDと、少なくとも90ビットの領域IDと、多くのフラグビットとを有している。タグの最大密度が64/in2(1平方インチ当たり64)であるとすると、16ビットのタグIDは、最大で1024/in2の領域サイズをサポートする。隣接する領域およびマップを単に使用することにより、タグID精度を高めることなく、更に大きな領域を連続的にマッピングすることができる。領域IDとタグIDとの間の相違は、主に、利便性の違いである。大抵の場合、これら2つのIDの連続は、世界的に固有のタグIDと見なすことができる。また、逆に、例えばタグのx−y座標を規定するために、タグIDに構造を導入することが便利である場合もある。90ビットの領域IDによれば、290(〜1027すなわち1000000000000000000000000000)個の異なる領域を独自に識別することができる。また、タグがタイプ情報を有していても良く、また、タイプが混ざったタグを用いて領域にタグを付けても良い。例えば、領域は、コード化y座標でインタリーブされる一組のタグコード化x座標または他の組を用いてタグが付与されても良い。領域IDおよびタグIDの精度は、多かれ少なかれ、システムが使用される環境に左右されることは言うまでもない。
1.2.2 タグデータエンコーディング
一実施の形態において、各タグは、120ビットの情報を有している。120ビットのタグデータは、(15,5)リード・ソロモンコードを使用して重複してエンコードされる。これによって、360個のエンコードされたビットが生じる。これらのエンコードされたビットは6個のコードワードから成り、コードワードは15個の4ビット記号から成る。(15,5)コードにより、最大で5個の記号エラーをコードワード毎に訂正することができる。すなわち、これは、コードワード毎に最大で33%の記号エラー率を許容していることになる。
各4ビット記号は、タグにおいて、空間的にコヒーレントな方法で表わされる。また、6つのコードワードの記号は、タグ内で空間的にインタリーブされる。これにより、バーストエラー(空間的に隣接する複数のビットに影響を与えるエラー)による記号の破損は、全体で最小数に抑えられ、また、任意の1つのコードワードにおいて最小数に抑えられる。そのため、バーストエラーを完全に補正できる可能性が最大となる。
(15,5)リード・ソロモンコード、例えば多かれ少なかれ冗長性を有し且つ記号およびコードワードのサイズが同一または異なるリード・ソロモンコード、他のブロックコード、あるいは、重畳積分コード(例えば、プレンティス・ホール 1995、Stephen B Wickerの「デジタル通信用および記憶のためのエラー制御システム」を参照。この内容は、これを参照することによって本願に組み込まれる)等の様々な種類のコードの代わりに、任意の適当なエラー補正コードを使用することができる。
1.2.3 物理的なタグ構造
図5に示されるタグの物理的な表示には、所定のターゲット構造15,16,17と、可変データ領域18とが含まれている。所定のターゲット構造により、ネットページペン等の感知デバイスは、タグを検知できるとともに、センサに対するタグの3次元的な方向を推測することができる。データ領域は、エンコードされたタグデータの各ビットの表示を含んでいる。
タグを適切に複写(再現)するため、タグは、256×256ドットの解像度で表わされる。1600ドット/インチで印刷すると、直径が約4mmのタグが形成される。この解像度で、タグは、半径が16ドットの“静領域”によって囲まれるように形成される。また、静領域は、隣接するタグによってもたらされるため、タグの有効径に16ドットを加えるだけである。
タグは、6個のターゲット構造を有している。検知リング15によって、感知デバイスは、最初にタグを検知することができる。検知リングは、回転的に不変であり且つそのアスペクト比の単純な補正によって透視歪み(perspective distortion)の効果の殆どを除去するため、容易に検知される。方向軸16によって、感知デバイスは、センサのヨーにより、タグのおおよその2次元的な方向を判断することができる。方向軸は、固有の方向を与えるために斜めにされる(skewed)。4つの透視ターゲット(perspective target)17により、感知デバイスは、タグの正確な2次元透視変換(perspective transform)を推測することができ、したがって、センサに対するタグの正確な3次元的な位置および方向を推測することができる。
全てのターゲット構造は、ノイズに対するターゲット構造の免疫を高めるため、重複して大きい。
タグの全体形状は円形である。このことは、特に、任意の非平面にタイルを張るために必要な不規則な三角グリッド上での最適なタグパキングをサポートする。しかしながら、タグは、n個の頂点を有する任意の多角形の頂点に配置されても良い。ここで、nは、必要に応じて、3〜無限の範囲である。このことは、円形の検知リング15との併用で、タグ内でのデータビットの円形配列を最適化する。図48に示されるように、各データビットは、そのサイズを最大にするため、ラジアルウェッジ510によって表わされる。ウェッジ510は、2つの径方向ライン512と、径方向内側の円弧514と、径方向外側の円弧516とによって境界付けられる領域の形態を成す。各ウェッジ510は、1600dpiでの最小寸法が8ドットであり、そのベース(すなわち、その径方向内側の円弧514)が少なくともこの最小寸法と等しくなるように形成されている。ウェッジ510の径方向の高さは、常に最小寸法と等しい。図48に明確に示されるように、各4ビットデータ記号は、2×2のウェッジ510から成るアレー(配列)518によって表わされる。
図49〜図51に示されるようなインターリーブ(交互的)形態において、6つの各コードワードの15個の4ビットデータ記号は、図5に示されるように、同心の4つの記号リング18a〜18dに割り当てられる。第1〜第6のコードワード520〜525の記号は、タグの周囲で循環数列(円形の列)を成して交互に配置される。
インターリービングは、同じコードワードの任意の2つの記号間の空間的な平均距離を最大にするように行なわれる。コードワードまたはそのデータ記号については、他の構成を使用しても良い。
タグの物理的なレイアウトまたは各タグ中でのデータ記号の形状や配列は、本発明の機能において必須ではない。必要なことは、意図する用途のために各タグが十分な情報をエンコードするということだけである。タグに冗長性(重複すること)を持たせることは、好ましいことであるが、その基本的なレベルとして、本発明の機能において実際に不可欠なことではない。したがって、他のタグ構成を使用しても良い。他のタグ構造の例は、米国特許第5,625,412号、米国特許第5,661,506号、米国特許第5,477,012号、米国特許第5,852,434号、PCT出願PCT/US98/20597に記載されており、これらの各内容は、これらを参照することによって本願に組み込まれる。
タグが付けられた領域との感知デバイスを介した“1クリック”のやりとりをサポートするために、感知デバイスは、領域内のどこにいようとも、あるいは、感知デバイスがどの方向に位置しようとも、その視野の少なくとも1つのタグ全体を見ることができなければならない。したがって、感知デバイスの必要な視野直径は、タグのサイズおよび間隔の関数である。
タグの形状が円形であるとすると、センサの視野の最小直径は、図6に示されるように正三角形のグリッド上にタグがタイル張りされる場合に得られる。
1.2.4 タグ画像処理およびデコーディング
ネットページペン等の感知デバイスによって行なわれる図5のタグのタグ画像処理およびデコーディングが図7に示されている。得られた画像が画像センサによって取得されている間、画像のダイナミックレンジが決定される(20)。その後、画像における2進閾値として、ダイナミックレンジの中心が選択される(21)。その後、画像は、閾値と比較され、関連する複数のピクセル領域(すなわち、形状23)に分割される(22)。タグのターゲット構造を示すにはあまりにも小さい形状が除去される。また、各形状のサイズおよび重心が計算される。
その後、各形状毎に2進形状モーメント25が計算される(24)。これらのモーメントは、その後にターゲット構造を位置付けるための基準を与える。中央の複数の形状モーメントは、その性質により位置が変わらず、スケール、アスペクト比、回転を容易に不変のものとすることができる。
最初にリングターゲット構造15の場所が見付けられる(26)。リングは、透視歪み時に非常に良好な挙動を成すという利点を有している。各形状のモーメントをアスペクト正規化および回転正規化することにより、マッチングが進行する。リングは、その2次モーメントが正規化されると、たとえ透視歪みが著しい場合であっても、容易に認識される。リングの当初のアスペクトおよび回転27は、透視変換の有用な近似値を与える。
続いて、軸ターゲット構造16の場所が見付けられる(28)。各形状のモーメントにリングの正規化を適用して、その結果得られたモーメントを回転正規化することにより、マッチングが進行する。軸ターゲットは、その2次モーメントが正規化されると、簡単に認識される。なお、考えられる2つの軸方向を明確にするためには、1/3次モーメントが必要である。これを可能にするため、形状は、わざと一方側にスキューされる(斜めにされる)。また、各形状のモーメントにリングの正規化を適用した後、軸ターゲットを単に回転正規化することもできる。これは、透視歪みが軸ターゲットの軸を隠すことができるからである。軸ターゲットの当初の回転は、ペンのヨー29により、タグの回転の有用な近似値を与える。
最後に、4つの透視ターゲット構造17の場所が見付けられる(30)。これらの位置の良好な概算値は、リングおよび軸ターゲットに対するその既知の空間的な関係、リングのアスペクトおよび回転、軸の回転に基づいて計算される。各形状のモーメントに対してリングの正規化を適用することによって、マッチングが進行する。円形の透視ターゲットは、その2次モーメントが正規化されると、容易に認識される。また、概算された各位置に最も近いターゲットがマッチ(比較基準)として取得される。その後、4つの透視ターゲットの当初の重心は、タグスペースにおける正方形の既知のサイズの透視歪み角部31となるようにとられる。また、8°の自由透視変換33は、4つのタグスペース−画像スペースポイント対に関する汎用的な方程式を解くことにより推測される(32)(カリフォルニア州のバークリーにあるEESC大学の学部の修士論文、技術レポートNo.USB/CSD 89/516、1989年6月のHeckbert, Pによる「テクスチャマッピングおよびイメージラッピングの原理」参照。これらの内容は、これらを参照することにより本願に組み込まれる。)。
推測されたタグスペースから画像スペースへの透視変換は、タグスペースにおける既知の各データビット位置を画像スペースに投影する(36)ために使用される。画像スペースでは、関連する4つの隣接ピクセルをバイリニアで入力画像中に挿入する(36)ために、実数値の位置が使用される。予め計算された画像閾値21は、結果と比較して最終的なビット値37を生成するために使用される。
このようにして360個の全てのデータビット37が得られると、6個の各60ビットリード・ソロモンコードワードがデコードされ(38)、20個のデコードされたビット39が得られる。すなわち、全体で120個のデコードされたビットが得られる。なお、コードワード記号はコードワード順にサンプリングされ、これにより、コードワードは、サンプリングプロセス中、暗黙のうちにデインターリーブされる。
前述したように、物理的なタグ構造またはエンコードシステムは本発明において必須のものではなく、他の物理的な構成のタグを使用しても良い。タグ画像を認識してデコードすることによりエンコード化データを取り出すプロセスは、重複してデータをエンコードするために使用されるシステムと、タグの物理的な構造とによって決まることは言うまでもない。
リングターゲット15は、画像のサブ領域で唯一探し出され、画像に対する関係により、見つかる場合には、完全なタグの一部となる。完全なタグが見つからずにうまくデコードされない場合には、現在のフレームにおいてペンが記録されない。適当な処理能力が与えられ、理想的には最小でない視野193が与えられると、他の方法として、現在の画像中で他のタグが探し出される。
得られたタグデータは、タグを含む領域および領域内でのタグの位置の同一性を示す。その後、タグ上で観察される透視変換33およびペンの物理的な軸とペンの光学的な軸との間の既知の空間的な関係から、領域内でのペン先の正確な位置35およびペンの全体的な方向35が推測される(34)。
1.2.5 他のタグ構造
前述したタグ構造は、平面の規則的なタイリングおよび非平面の不規則的なタイリングの両方が可能となるように形成される。一般に、規則的なタイリングは、非平面上で起こり得ない。タグの規則的なタイリングが起こり得る平面、すなわち、紙シート等の表面といったごく普通の場合、タイリングの規則的な性質を利用した更に有効なタグ構造を使用することができる。
規則的なタイリングに更に適した他のタグ構造が図6aに示されている。他のタグ4は、正方形であり、4つの透視ターゲット17を有している。このタグの構造は、米国特許第5051746号にBennett等によって記載されたタグと類似している。タグは、60個の4ビットリード・ソロモン記号47を示しており、全体で240ビットとなっている。タグの1ビットはそれぞれドット48で表わされている。0ビットには対応するドットが表わされていない。図6bおよび図6cに示されるように、透視ターゲットは、隣り合うタグ間で共有されるように形成されている。図6bは、16個のタグによる正方形のタイリングと、対応する最小視野193とを示している。この場合、最小視野193は、2つのタグの対角線にかかっていなければならない。図6cは、図示のために1ビット全て有している9個のタグによる正方形のタイリングを示している。
(15,7)リード・ソロモンコードを使用して、112ビットのタグデータが重複してエンコードされ、240個のエンコードされたビットが形成される。バーストエラーに対する復元力を最大にするため、4個のコードワードがタグ内で空間的にインターリーブされる。既に述べたような16ビットのダグIDであれば、最大で92ビットの領域IDが可能である。
タグのデータを有するドット48は、その隣りのドットと重なり合わないように形成されており、タグ群がターゲットと似た構造を作ることができないようになっている。また、これによって、インクを節約できる。したがって、透視ターゲットによりタグの検知が可能であり、そのため、更なるターゲットが必要ない。タグ画像処理は、ステップ26,28が省かれる点を除き、先の1.2.4の項目で述べたように進行する。
タグは、センサに対するタグの4つの起こり得る方向を明確にすることができる方位特性を有していても良いが、タグデータ内に方位データを組み込むこともできる。例えば、図6dに示されるように、各タグの方向がその方向に配置された1つのコードワードを含むように、4つのコードワードを配置することができる。この場合、各記号に対し、そのコードワードの番号(1〜4)と、コードワード内での記号の位置(A〜O)とがラベル付けされる。この時、タグのデコーディングは、各方向で1つのコードワードをデコードすることから成る。各コードワードは、それが最初のコードワードであるか否かを示す1つのビット、または、それがどのコードかを示す2つのビットのいずれかを含むことができる。後者のアプローチは、ただ1つのコードワードのデータの内容が必要な場合に、多くても2つのコードワードをデコードするだけで所望のデータが得られるという利点がある。これは、領域IDが、1つのストローク内で変わることが期待されておらず、したがって、ストロークの開始時にデコードされるだけの場合であっても良い。この時、1つのストローク内では、タグIDを有するコードワードだけが望ましい。また、感知デバイスの回転はゆっくりと予想通りに1つのストローク内で変化するため、一般には、ただ1つのコードワードをフレーム毎にデコードするだけで済む。
透視ターゲットを完全に無くすことができ、代わりに、自己記録するデータ表示に頼ることができる。この場合、各ビット値(または、複数のビット値)は、一般に、明示的な記号(glyph)で表わされる。すなわち、ビット値が無いことは、記号(glyph)の不存在によって表わされる。これにより、データグリッドがうまく占有し、これにより、グリッドを確実に識別することができ、その透視歪みを検知してその後データサンプリング中に補正することができる。タグの境界を検知できるように、各タグデータは、マーカーパターンを有していなければならない。これらは、確実な検知ができるように、重複してエンコードされなければならない。そのようなマーカーパターンのオーバーヘッドは、明示的な透視ターゲットのオーバーヘッドと類似している。1つのそのようなスキーム(策)は、グリッドの頂点に対して様々な点に位置されたドットを使用して、異なる記号(glyph)を表わし、したがって、異なる複数のビット値を表わす(Anoto技術説明書(Anoto 2000年4月)参照)。
1.2.6 タグマップ
タグをデコードすると、領域ID、タグID、タグに関連するペンが変換する。タグIDおよびタグに関連するペンの位置を、タグが付けられた領域内の絶対位置に変換できる前に、その領域内でのタグの位置を知らなければならない。これは、タグマップ、すなわち、タグが付けられた領域内の各タグIDを対応する位置にマッピングする機能によって知ることができる。図22には、ネットページプリンタクラス図として、タグマップクラス図が示されている。
タグマップは、表面領域にタイルを張るために使用されるスキームを反映する。また、タグマップは、表面のタイプにしたがって変化し得る。タグが付けられた複数の領域が同じタイリングスキームおよび同じタグ番号付けスキームを共有している場合、これらの複数の領域は、同じタグマップを共有することができる。
1つの領域のためのタグマップは、領域IDを介して検索可能でなければならない。したがって、領域ID、タグID、ペン変換が与えられると、タグマップを検索することができ、タグIDを領域内の絶対タグ位置に変換することができるとともに、タグに関連するペン位置をタグ位置に加えて、領域内の絶対ペン位置を得ることができる。
1.2.7 タグ付けスキーム
2つの異なる表面コーディングスキームが対象である。これらの両方のスキームは、この項目の始めに説明したタグ構造を使用する。好ましいコーディングスキームは、既に述べた“位置表示”タグを使用する。他のコーディングスキームは、“オブジェクト表示”タグを使用する。
位置表示タグはタグIDを有している。このタグIDは、タグが付けられた領域に対応するタグマップを介して変換された際に、領域内の固有のタグ位置を与える。このタグ位置には、タグに関連するペン位置が加えられ、これによって、領域内のペン位置が与えられる。また、これは、領域に関連付けられたページ記述中におけるユーザインタフェース要素に対するペンの位置を決定するために使用される。ユーザインタフェース要素それ自体が識別されるだけでなく、ユーザインタフェース要素に対する位置も識別される。したがって、位置表示タグは、特定のユーザインタフェース要素の領域内での絶対ペン経路の取得を普通にサポートする。
オブジェクト表示タグは、領域に関連付けられたペン記述中でユーザインタフェース要素を直接に識別するタグIDを有している。ユーザインタフェース要素の領域内の全てのタグは、これらのタグの全てを同一にして見分けがつかないようにするユーザインタフェースを識別する。したがって、オブジェクト表示タグは、絶対ペン経路の取得をサポートしない。しかしながら、オブジェクト表示タグは、相対ペン経路の取得をサポートする。位置サンプリング度数が直面するタグ度数の2倍を越える限り、1ストローク中におけるサンプルされた1つのペン位置から次のペン位置への変位を明確に決定することができる。
いずれかのタグ付けスキームを用いると、タグは、ユーザ双方向要素として、ネットページ上の対応するビジュアル要素と協働して機能する。そのため、タグデータを感知デバイスによって読み取れるように、また、ネットページシステム中で適当な応答を形成できるように、ユーザは、適当な感知デバイスを用いて、印刷されたページとやりとりすることができる。
1.3 文書およびページ記述
文書・ページ記述クラス図の好ましい実施の形態が図25および図26に示されている。
ネットページシステムにおいて、文書は、3つのレベルで記載(記述)される。最も抽象的なレベルで、文書836は階層的な構造を有している。この構造の端末要素839は、テキストオブジェクト等のコンテンツオブジェクト840と、テキストスタイルオブジェクトと、画像オブジェクト等に関連付けられている。文書を特定のページサイズで且つ特定のユーザ倍率選択でプリンタにより印刷すると、文書にページ番号が付与され、文書がフォーマットされる。ある場合において、フォーマットされた端末要素835は、特にコンテンツオブジェクトがスタイルに関連する場合、これらの端末要素に対応する端末要素に関連付けられたコンテンツオブジェクトと異なるコンテンツオブジェクトに関連付けられる。印刷された文書およびページの各インスタンスも別個に記載されることにより、特定のページインスタンス830を介して取得された入力を、同じページ記述の他のインスタンスを介して取得された入力とは別個に記録することができる。
ページサーバ上に最も抽象的な文書記述が存在することにより、ユーザは、ソース文書(ソースドキュメント)の特定のフォーマットを受け入れることなく、文書のコピーを要求することができる。ユーザは、例えば、異なるページサイズでプリンタによりコピーを要求していても良い。逆に、ページサーバ上にフォーマットされた文書記述が存在することにより、ページサーバは、特定の印刷されたページ上でのユーザの行動を効率的に判断することができる。
フォーマットされた文書834は、フォーマットされた一組のページ記述5から成る。各ページ記述は、フォーマットされた一組の端末要素835から成る。フォーマットされた各端末要素は、ページ上に、空間的な広がり、すなわち、領域58を有している。この領域は、ハイパーリンク等の入力要素のアクティブ領域および入力フィールドを形成する。
文書インスタンス831はフォーマットされた文書834に対応している。この文書インスタンスは一組のページインスタンス830から成る。各ページインスタンスは、フォーマットされた文書のページ記述5に対応している。各ページインスタンス830は、印刷された1つの固有のネットページ1を記述するとともに、ネットページのページIDを記録する。ページインスタンスは、それが単独で要求されたページのコピーを表わす場合には、文書インスタンスの一部ではない。
ページインスタンスは、一組の端末要素インスタンス832から成る。要素インスタンスは、インスタンス固有の情報を記録する場合、1つだけ存在する。したがって、ハイパーリンクインスタンスは、ページインスタンスに固有のトランザクションID55を記録するため、ハイパーリンク要素のために存在する。また、フィールドインスタンスは、ページインスタンスに固有の入力を記録するため、フィールド要素のために存在する。しかしながら、要素インスタンスは、テキストフロー等の静的要素のために存在しない。
図27に示されるように、端末要素は、静的要素843、ハイパーリンク要素844、フィールド要素845、あるいは、ページサーバコマンド要素846であっても良い。図28に示されるように、静的要素843は、対応するスタイルオブジェクト854を有するスタイル要素847、対応するスタイル付けされたテキストオブジェクト855を有するテキストフロー要素848、対応する画像オブジェクト856を有する画像要素849、対応するグラフィックオブジェクト857を有するグラフィック要素850、対応するビデオクリップオブジェクト858を有するビデオクリップ要素851、対応するオーディオクリップオブジェクト859を有するオーディオクリップ要素852、または、対応するスクリプトオブジェクト860を有するスクリプト要素853であっても良い。
ページインスタンスは、特定の入力要素に当てはまらないページ上で取得された任意のデジタルリンクを記録するために使用される背景フィールド833を有していても良い。
本発明の好ましい形態においては、ページ上のタグをページ上の位置に変換できるように、タグマップ811が各ページインスタンスに関連付けられている。
1.4 ネットページネットワーク
好ましい実施の形態において、ネットページネットワークは、図3に示されるように、インターネット等のネットワーク19を介して互いに接続される分配された一組の、ネットページサーバ10と、ネットページ登録サーバ11と、ネットページIDサーバ12と、ネットページアプリケーションサーバ13と、ネットページ発行サーバ14と、ネットページプリンタ601とから成る。
ネットページ登録サーバ11は、ユーザ間、ペン間、プリンタ間、アプリケーション間、出版物間の関係を記録することにより、様々なネットワーク活動を認可するサーバである。ネットページ登録サーバ11は、ユーザの認証を行なうとともに、アプリケーショントランザクションにおいて認証されたユーザの利益に関する署名プロキシとして機能する。また、ネットページ登録サーバ11は、必要に応じて、手書き認識サービスを提供する。前述したように、ネットページサーバ10は、ページ記述およびページインスタンスについての持続的な情報(固定情報)を保持する。ネットページネットワークは、任意の数のページサーバを有しており、各ページサーバは、ページインスタンスの一部を扱う。また、ページサーバは各ページインスタンス毎にユーザ入力値を保持しているため、ネットページプリンタ等のクライアントは、ネットページ入力を適切なページサーバに送る。ページサーバは、対応するページの記述に対してそのような任意の入力を解釈する。
ネットページIDサーバ12は、要求に応じて、文書ID51を割り当てるとともに、そのID割り当てスキームによってページサーバの負荷バランシングを提供する。
ネットページプリンタは、インターネット分散ネームシステム(DNS)または類似のシステムを使用して、ネットページID50を、対応するページインスタンスを扱うネットページサーバのネットワークアドレスに変換する。
ネットページアプリケーションサーバ13は、双方向ネットページアプリケーションを行なうサーバである。ネットページ発行サーバ14は、ネットページ文書をネットページプリンタに対して発行するアプリケーションサーバである。これらについては、項目2において詳細に説明する。
ネットページサーバは、IBM、ヒューレットパッカード、サン等の製造メーカからの様々なネットワークサーバプラットフォーム上で採用され得る。複数のネットページサーバが1つのホスト上で同時に実行可能であり、また、1つのサーバを多くのホストにわたって分配することができる。また、ネットページサーバによって提供される機能、特にIDサーバおよびページサーバによって提供される機能の幾つかまたは全てを、ネットページプリンタ等のネットページ装置内で、コンピュータワークステーション内で、あるいは、ローカルネットワ^ク上で、直接に提供することができる。
1.5 ネットページプリンタ
ネットページプリンタ601は、ネットページシステムに登録され且つ要求に応じて予約購買によりネットページ文書を印刷する装置である。各プリンタは、固有のプリンタID62を有しており、インターネット等のネットワークを介して、理想的にはブロードバンド接続(広帯域接続)を介して、ネットページネットワークに接続されている。ネットページプリンタは、不揮発性メモリ内の同一性・セキュリティ設定を除き、任意の固定記憶を有している必要はない。ユーザが関係している限り、“ネットワークはコンピュータである”。ネットページは、特定のネットページプリンタとは関係なく、分散型ネットページページサーバ10を用いて、空間と時間とにわたってインタラクティブに(双方向で)機能する。
ネットページプリンタは、ネットページ発行サーバ14から、予約購買されたネットページ文書を受ける。各文書は、2つの部分、すなわち、ページレイアウトと、ページを占める実際のテキストオブジェクトおよび画像オブジェクトとに分配される。個人化(名前のイニシャルを入れること)により、ページレイアウトは、一般に、特定の予約購読者(受信契約者)に固有のものとなり、したがって、適当なページサーバにより予約購読者のプリンタに対してポイントキャストされる(狙って投稿される)。一方、テキストオブジェクトおよび画像オブジェクトは、一般に、他の予約購読者と共有され、したがって、全ての予約購読者のプリンタおよび適当なページサーバにマルチキャストされる。
ネットページ発行サーバは、ポイントキャストおよびマルチキャストへの文書の内容(ドキュメントコンテンツ)の細分化を最適化する。プリンタは、文書のページレイアウトのポイントキャストを受けた後、たとえあるとしても、聞くべきマルチキャストがどれかが分かる。
プリンタは、印刷される文書を形成するページレイアウトおよびオブジェクトの全てを受けると、文書を印刷することができる。
プリンタは、シートの両面で奇数および偶数のページを同時にラスター化して印刷する。この目的のため、プリンタは、両面プリントエンジンコントローラ760と、Memjet(登録商標)印字ヘッド350を使用するプリントエンジンとを有している。
印刷プロセスは、2つの分離された段階、すなわち、ページ記述のラスター化と、ページ画像の拡大および印刷とから成る。ラスター画像プロセッサ(RIP)は、パラレルに実行する1または複数の標準DSP757から成る。両面プリントエンジンコントローラは、プリントエンジンの印字ヘッドの動作と同期してページ画像をリアルタイムで拡大してディザリングするとともに印刷するカスタムプロセッサから成る。
目に見えないIR印刷に使用できるプリンタは、IR吸収黒インクを使用してタグを印刷するオプションを有しているが、これは、タグをページの空き領域に限定する。そのようなページは、目に見えないIR印刷されたページよりも機能が制限されるが、依然として、ネットページとして分類される。
通常のネットページプリンタは、紙シート上にネットページを印刷する。更に専門化されたネットページプリンタは、球やプラスチックシート等の更に特定された表面上に印刷しても良い。各プリンタは、少なくとも1つの表面タイプをサポートするとともに、各表面タイプ毎に少なくとも1つのタグタイリングスキームすなわちタグマップをサポートする。文書を印刷するために実際に使用されるタグタイリングスキームを記述するタグマップ811は、文書のタグを正確に判断できるように、その文書に関連付けられるようになる。
図2は、ネットページネットワーク上の登録サーバ11によって保持されるプリンタに関連する情報を反映するネットページプリンタクラス図(分類図)を示している。
ネットページプリンタの好ましい実施の形態については、図11〜図16を参照して、項目6で詳細に説明する。
1.5.1 Memjet(登録商標)印字ヘッド
ネットページシステムは、熱インクジェット、圧電インクジェット、レーザ電子写真等を含む広範囲のデジタル印刷技術を用いて形成されるプリンタを使用して動作可能である。しかしながら、広く需要者に受け入れられるように、ネットページプリンタは、以下の特性を有していることが望ましい。
・写真のような良質なカラー印刷
・高画質テキスト印刷
・高い信頼度
・低い印刷コスト
・低いインクコスト
・低い紙コスト
・簡単な操作
・殆ど静かな印刷
・高速印刷
・同時両面印刷
・コンパクトなフォームファクタ
・低い電力消費量
現在商業的に利用可能な技術は、これらの特性の全てを有していない。
これらの特性を有するプリンタの製造を可能にするため、本出願人は、Memjet(登録商標)(Memjet;登録商標)と称される新たな印刷技術を発明した。Memjet(登録商標)は、微小電気機械システム(MEMS)技術を使用して形成されるページ幅印字ヘッドを組み込むドロップ・オン・デマンドのインクジェット技術である。図17は、Memjet(登録商標)印字ヘッドの1つのプリント要素300を示している。ネットページ壁プリンタは、168960個のプリント要素300を組み込んでおり、1600dpiのページ幅両面印刷を形成する。このプリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、赤外線インクとともに、紙調整材およびインク定着材を同時に印刷する。
プリント要素300は、長さが約110ミクロンであり、幅が32ミクロンである。これらのプリント要素の配列は、CMOS論理回路、データ転送回路、タイミング回路、駆動回路(図示せず)を組み込むシリコン基板301上に形成されている。
プリント要素300の主要な要素は、ノズル302、ノズルリム303、ノズルチャンバ304、流体シール305、インクチャンネルリム306、レバーアーム307、能動アクチュエータビーム対308、受動アクチュエータビーム対309、能動アクチュエータアンカー310、受動アクチュエータアンカー311、インク注入口312である。
能動アクチュエータビーム対308は、受動アクチュエータビーム対309に対して結合部319で機械的に結合されている。両方のビーム対は、それぞれの固定部310,311で固定されている。要素308,309,310,311,319を組み合わせることによって片持ち梁状の電熱屈曲アクチュエータ320が形成される。
図18は、プリント要素300の断面315を含むプリント要素300の配列の小部分を示している。シリコンウエハ301を貫通するインク注入口312を明確に示すため、断面315は、インクが無い状態で示されている。
図19(a),19(b),19(c)は、Memjet(登録商標)プリント要素300の動作サイクルを示している。
図19(a)は、インク滴を印刷する前におけるインク半月316の静止位置を示している。インクは、インク半月316での表面張力およびノズルチャンバ304とインクチャンネルリム306との間に形成される流体シール305での表面張力によって、ノズルチャンバ内に保持されている。
印刷している間、印字ヘッドCMOS回路は、プリントエンジンコントローラからのデータを正しいプリント要素に分配して、そのデータをアッチするとともに、そのデータを蓄えて能動アクチュエータビーム対308の電極318を駆動する。これにより、電流が約1マイクロ秒間(1×10-6秒)だけビーム対308を流れ、その結果、ジュール熱が発生する。ジュール熱によって温度が上昇することにより、ビーム対308が膨張する。受動アクチュエータビーム対309は、加熱されないため、膨張しない。そのため、2つのビーム対間に応力の相違が生じる。この応力の相違は、基板301へと曲がる電熱屈曲アクチュエータ320の片持ち梁の端部によって部分的に除去される。レバーアーム307は、この動きをノズルチャンバ304に伝える。ノズルチャンバ304は、図19(b)に示される位置へと約2ミクロン移動する。これにより、インク圧力が増大して、インク321がノズル302から吐き出され、インク半月316が膨らむ。ノズルリム303は、インク半月316がノズルチャンバ304の表面にわたって広がることを防止する。
ビーム対308,309の温度が等しくなると、アクチュエータ320はその元の位置に戻る。これは、図19(c)に示されるように、ノズルチャンバ内のインク321からのインク滴317の離脱に役立つ。ノズルチャンバは、インク半月316での表面張力の作用により再充填される。
図20は、印字ヘッド350の断片を示している。ネットページプリンタにおいて、印字ヘッドの長さは、方向351での紙の全幅(ほぼ210mm)である。図示の断片は、0.4mmの長さ(印字ヘッド全体の約0.2%)である。印刷時、紙は、方向352で所定の印字ヘッドを通り過ぎて移動する。印字ヘッドは、6色またはインク注入口312によって供給されるタイプのインクを印刷する5列の互いにかみ合うプリント要素を有している。
動作中に印字ヘッドの脆弱な表面を保護するため、印字ヘッド基板301には、ノズルガードウエハ330が取り付けられている。各ノズル302毎に、対応するノズルガード穴331が存在する。このノズルガード穴を通じてインク滴が噴射される。ノズルガード穴331が紙繊維または他の残骸によって塞がれないように、印刷中に、濾過空気が空気注入口332を通じて圧送されてノズルガード穴から排出される。インク321が乾くことを防止するため、プリンタのアイドリング中に、ノズルガードがシールされる。
1.6 ネットページペン
ネットページシステムの能動感知デバイスは、一般に、ペン101である。このペンは、その内蔵されたコントローラ134を使用して、画像センサを介してページからIR位置タグを取得してデコードすることができる。画像センサは、近赤外線波長だけで検知できるように適当なフィルタが設けられた半導体装置である。以下に詳しく説明するように、システムは、ペン先が表面と接触する時に検知することができ、また、ペンは、十分な速度でタグを検知して人間による手書きを理解することができる(すなわち、200dpi以上で且つ100Hz以上で)。ペンによって取得された情報は、暗号化されて、無線でプリンタ(または基地局)に送信される。プリンタまたは基地局は、(既知の)ページに関するデータを判断し、あるいは、好ましい実施の形態においては、その情報を判断するためにネットページに送信する。
好ましい実施の形態に係るネットページペンは、マーキングインクペンとして、また、マーキングでないスタイラスペンとして機能する。しかしながら、マーキングの形態は、インターネットインタフェースとして使用される場合など、ブラウジングシステムとしてネットページシステムを使用する場合には必要ない。各ネットページペンは、ネットページシステムに登録されるとともに、固有のペンID61を有している。図23は、ネットページネットワーク上の登録サーバ11によって保持されたペンに関する情報を反映するネットページペンクラス図を示している。
いずれかのペン先がネットページと接触すると、ペンは、ページに対するその位置および方向を判断する。ペン先が力センサに取り付けられるとともに、ペンが“上”か“下”か否かを示すために、ペン先の力が閾値に対して判断される。これにより、例えばネットワークから情報を求めるために、ペン先で押圧することによって、ページ上の双方向要素をクリックすることができる。また、例えば確認されるサインの全ての力関係を許容するために、力は、連続する値として取得される。書き込み時に普通に加えられる力よりも大きい特定の力に晒される際に、ペン先が移動可能であっても良い。ユーサは、“クリック”するため、ペン先を移動させることができる十分な力を加える。これによって、ペン先が移動しない場合に与えられるフィードバックと比較して更に望ましいフィードバックを与えても良い。
ペンは、ペン先の近傍のページの領域193を赤外線スペクトルで画像化することにより、ネットページ上におけるそのペン先の位置および方向を判断する。ペンは、最も近いタグをデコードするとともに、画像化されたタグ上で観察された透視歪み及びペンの光学素子の既知の幾何学的構成から、タグに対するペン先の位置を計算する。ページ上のタグ密度はタグサイズに反比例するため、タグの位置分解能が低い場合があるが、調整された位置分解能は、かなり高く、正確な手書き認識に必要な最低の分解能を超える。
ネットページに対するペンの動きは、一連のストロークとして捕らえられる。1ストロークは、ペンを下ろす行為で始まりペンを持ち上げる行為で終了する一連のタイムスタンプされたページ上のペン位置から成る。また、通常の状況下でストロークの開始時にページIDが変化する時はいつでも、ネットページのページID50を用いて1ストロークがタグ付けされる。
ユーザがコピーおよびペースト動作等を行なえるように、各ネットページペンは、それに関連付けられた現選択内容826を有している。所定時間後にシステムが現選択内容を破棄することができるように、現選択内容がタイムスタンプされる。現選択内容は、ページインスタンスの領域を記述する。現選択内容は、ページの背景領域に関連してペンにより取得された最も最近のデジタルインクストロークから成る。現選択内容は、選択ハイパーリンク起動によってアプリケーションに付されると、アプリケーション固有の方法で判断される。
各ペンは、現ペン先(current nib)824を有している。この現ペン先は、ペンによってシステムに対して最後に知らされるペン先である。前述した規定(標準設定)のネットページペンの場合、マーキングインクペン先またはマーキングでないスタイラスペンのペン先が「現(current)」である。また、各ペンは、現ペン先スタイル825を有している。この現ペン先スタイルは、例えばパレットから色を選択するユーザに応じてアプリケーションによりペンに対して最後に関連付けられたペン先のスタイルである。規定(標準設定)のペン先スタイルは、現ペン先に関連付けられたペン先スタイルである。ペンを通じて捕らえられたストロークは、現ペン先スタイルを用いてタグ付けされる。ストロークは、その後に再現される時には、タグ付けに用いられたペン先スタイルで再現される。
ペンが通信可能なプリンタの領域内にあるときにはいつでも、ペンは、その“オンライン”LEDをゆっくりと点灯させる。ペンは、ページに対してストロークをデコードしていない場合、その“エラー”LEDを瞬間的に点灯させる。ペンは、ページに対してストロークをうまくデコードすると、その“OK”LEDを瞬間的に点灯させる。
捕らえられた(取得された)一連のストロークは、デジタルインクと称される。デジタルインクは、手書きのオンライン認識において、また、サイン(署名)のオンライン照合において、作図および手書きのデジタル変換のための基準を形成する。
ペンは、ワイヤレスであり、短距離無線リンクを介してデジタルインクをネットページプリンタに送信する。送信されたデジタルインクは、プライバシーおよびセキュリティのために暗号化されるとともに、効率的に送信するためにパケット化(packetize)されるが、プリンタ内でタイムリーに処理されるように、ペンが持ち上げられる際には常に掃き出される。
ペンは、プリンタの領域から出ると、10分にわたって連続して処理できる容量を有する内部メモリ内にデジタルインクを蓄える。ペンは、プリンタの領域内に再び入ると、蓄えられた任意のデジタルンクを送信する。バッファは、多かれ少なかれ緩衝能を与えても良い。
ペンは、任意の数のプリンタに登録することができるが、全ての状態データが紙上およびネットワーク上のネットページに存在するため、任意の特定の時間に1つのペンと通信しているプリンタがどれであるかということは、さほど重要ではない。
ペンの好ましい実施の形態については、図8〜図10を参照しながら、項目6で詳細に説明する。
1.7 ネットページやりとり
ペンを使用してネットページ1とやりとりを行なう場合、ネットページプリンタ601は、ストロークに関するデータをペン101から受ける。ペンを使用してストローク等の動きを実行する場合には、タグ4のコード化データ3がペンによって読み取られる。このデータにより、特定のページおよび対応する双方向要素の同一性(identity)を判断することができるとともに、ページに対するペンの相対位置の表示を得ることができる。この表示データがプリンタに送信され、ここで、プリンタは、DNSにより、ストロークのページID50を解いて、対応するページインスタンス830を保持するネットページサーバ10のネットワークアドレスにする(resolve)。その後、プリンタは、このストロークをページサーバに送信する。先のストロークで新たにページが識別される場合には、プリンタは、関連するページサーバのアドレスをそのキャッシュ内に既に有していても良い。各ネットページは、ネットページサーバによって永続的に保持されたコンパクトなページレイアウトから成る(後述する)。ページレイアウトは、一般にネットページネットワーク上の他の場所に記憶された画像、フォント、テキストの断片といったオブジェクト参照する。
ページサーバは、ペンからストロークを受けると、ストロークが適用するページ記述を検索するとともに、ページ記述のどの要素をストロークが横切るのかを判断する。その後、ページサーバは、関連する要素のタイプに照らして、ストロークを判断することができる。
ペンを下ろした位置とその後にペンを持ち上げた位置との間の距離および時間の両方が幾つかの少ない最大値よりも小さい場合、1つの“クリック”は、一般にストロークである。1クリックによってアクティブにされるオブジェクトは、一般に、1クリックの作動を必要とする。したがって、長いストロークは無視される。レジスタに対する“ルーズな”クリック等のペンの動作不良は、ペンの“OK”LEDからの応答不足によって表わされる。しかしながら、ネットページがボタンを有している場合には、ペンの下ろし位置および持ち上げ位置の両方がボタンの領域内にあれば、1“クリック”を登録することができる。
ネットページページ記述、ハイパーリンク、フォームフィールド(書式領域)には、2種類の入力要素がある。また、フォームフィールドを介した入力は、対応するハイパーリンクの起動をトリガーすることができる。
1.7.1 ハイパーリンク
ハイパーリンクは、離れたアプリケーションにメッセージを送信する手段であり、一般には、ネットページシステムにおいて印刷された応答を導き出す。
ハイパーリンク要素844は、ハイパーリンクの起動を扱うアプリケーション71と、アプリケーションへのハイパーリンクを識別するリンクID54と、ハイパーリンク起動時にユーザのアプリケーションエイリアスID65を含むようにシステムに求める“エイリアス要求”フラグと、ハイパーリンクがお気に入りとして記録される際すなわちハイパーリンクがユーザの履歴中に現われる際に使用される記述とを識別する。図29には、ハイパーリンク要素クラス図が示されている。
ハイパーリンクが起動されると、ページサーバは、ネットワーク上のどこかのアプリケーションにリクエストを送る。アプリケーションはアプリケーションID64によって識別され、また、アプリケーションIDは通常の方法でDNSにより解かれる。図30に示されるように、3種類のハイパーリンク、すなわち、一般ハイパーリンク863と、フォームハイパーリンク865と、選択ハイパーリンク864とがある。一般ハイパーリンクは、リンクされた文書の要求を行なうことができ、または、単に好み(優先権)をサーバーに送信しても良い。フォームハイパーリンクは、対応するフォームをアプリケーションに提出する。選択ハイパーリンクは、現選択内容をアプリケーションに提出する。現選択内容が1ワードのテキストの断片を含んでいる場合、例えば、アプリケーションは、それが現われるコンテキスト内でのワードの意味または異なる言語への翻訳を与える1ページの文書を戻しても良い。ハイパーリンクの各タイプは、何の情報がアプリケーションに提出されるかによって特徴付けられる。
対応するハイパーリンクインスタンス862は、ハイパーリンクインスタンスが現われるページインスタンスに固有となり得るトランザクションID55を記録する。トランザクションIDは、アプリケーションに対して、例えば、ユ−ザに代わって購入アプリケーションによって維持される懸案の購入の“ショッピングカート”に対して、ユーザ固有のデータを識別することができる。
システムは、選択ハイパーリンク起動時にペンの現選択内容826を有している。システムは、フォームハイパーリンク起動時に対応するフォームインスタンス868のコンテンツを有している。しかしながら、ハイパーリンクがその“サブミットデルタ(submit delta)”属性セットを有している場合には、最後のフォーム提出後の入力だけが含められる。システムは、全てのハイパーリンク駆動時に、有効なリターンパスを有している。
ハイパーリンクされたグループ866は、図31に示されるように、対応するハイパーリンクを有するグループ要素である。グループ内の任意のフィールド要素を通じて入力が生じると、そのグループに関連付けられたハイパーリンク844が起動される。ハイパーリンクされたグループを使用して、ハイパーリンクの挙動をチェックボックス等のフィールドと関連付けることができる。また、ハイパーリンクされたグループをフォームハイパーリンクの“サブミットデルタ”属性と共に使用して、連続的な入力をアプリケーションに対して与えることができる。したがって、ハイパーリンクされたグループを使用して、“ブラックボード”双方向モデルをサポートすることができる。すなわち、入力が取得される場合、入力が生じると直ぐに入力が共有される。
1.7.2 フォーム
フォームは、1または複数の印刷されたネットページを通じて関連する入力セットを取得するために使用される関連する入力フィールドの集合体を形成する。フォームによって、ユーザは、1または複数のパラメータを、サーバ上で実行すするアプリケーションソフトウエアプログラムに提出することができる。
フォーム867は、文書階層中のグループ要素838である。フォームは、結局のところ、一組の端末フィールド要素839を有している。フォームインスタンス868は、印刷されたフォームのインスタンスを表わしている。フォームは、フォームのフィールド要素845に対応する一組のフィールドインスタンス70を有している。各フィールドインスタンスは、1つの対応する値871を有しており、そのタイプは、対応するフィールド要素のタイプによって決まる。各フィールド値は、印刷された特定のフォームインスタンスによって、すなわち、1または複数の印刷されたネットページによって、入力を記録する。図32には、フォームクラス図が示されている。
各フォームインスタンスは、フォームがアクティブ状態か否か、フリーズ状態か否か、提出されているか否か、無効であるか否か、失効したか否かを示す状態872を有している。フォームは、最初に印刷される時にはアクティブである。また、フォームは、署名されると、フリーズ状態になる。また、ハイパーリンクがその“サブミットデルタ”属性セットを有していない場合、フォームの提出ハイパーリンクのうちの1つが起動されると、フォームが提出されるようになる。ユーザが無効フォーム、リセットフォーム、あるいは、複写フォームページコマンドを呼び出すと、フォームが無効になる。フォームがアクティブになっていた時間がフォーム固有の寿命を超えると、フォームが失効する。フォームがアクティブとなっている間、フォームの入力が許容される。アクティブとなっていないフォームを通じた入力は、代わりに、関連するページインスタンスの背景フィールド833内で取得される。フォームがアクティブまたはフリーズ状態の場合、フォームの提出が許容される。フォームがアクティブまたはフリーズ状態でない場合には、フォームを提出しようとする試みが完全に拒絶されるが、代わりに、その試みによってフォーム状態レポートが引き出される。
各フォームインスタンスは、それから得られる任意のフォームインスタンスに関連付けられることが好ましい(59)。これにより、特定の時間における最新のフォームのバージョンを除く全てを検索から排除することができる。
全ての入力は、デジタルインクとして取得される。デジタルインク873は、一組のタイムスタンプされたストロークグループ874から成る。各ストロークグループは、一組のスタイル付けされたストローク875から成る。各ストロークは、一組のタイムスタンプされたペン位置876から成る。また、各ペン位置は、ペン方向およびペン先力を含んでいる。図33には、デジタルインククラス図が示されている。
フィールド要素845は、チェックボックスフィールド877、テキストフィールド878、作図フィールド879、サインフィールド880であっても良い。図34には、フィールド要素クラス図が示されている。フィールドの領域58内で取得された任意のデジタルインクは、そのフィールドに割り当てられる。
図35に示されるように、チェックボックスフィールドは、対応するブール(Boolean)値881を有している。チェックボックスフィールドの領域内で取得された任意のマーク(カチカチ音、クロス、ストローク、ジグザグ(fill zigzag)等)によって、真の値がフィールドの値に割り当てられる。
図36に示されるように、テキストフィールドは、対応するテキスト値882を有している。テキストフィールドの領域で取得された任意のデジタルインクは、オンライン手書き認識により、自動的にテキストに変換され、また、このテキストは、フィールドの値に割り当てられる。オンライン手書き認識は良く知られている(例えば、1990年8月のパターン解析および人工知能に関するIEEE報告書第12巻第8号におけるTappert, C., C.Y. SuenおよびT. Wakaharaによる“オンライン手書き認識の最新技術”を参照。この内容は、これを参照することにより本願に組み込まれる)。テキストフィールドの専門化には、データフィールドおよびナンバーフィールドが含まれる。
図37に示されるように、サインフィールドは、対応するデジタルサイン883値を有している。サインフィールドの領域で取得された任意のデジタルインクは、ペンの所有者の同一性に関して自動的に確認される。また、フィールドがその一部を成すフォームのコンテンツ(内容)のデジタルサインが形成され、このデジタルサインがフィールドの値に割り当てられる。デジタルサインは、ペンのユーザの個人的なサインキーを使用して形成される。このサインキーは、フォームを有するアプリケーションに固有のものである。オンラインサイイン照合は良く知られている(例えば、1989年のパターン認識 第22巻第2号におけるPlamondon, RおよびG. Loretteによる“自動サイン照合およびライター認識−最新技術”を参照。この内容は、これを参照することにより本願に組み込まれる)。
フィールド要素は、その“隠し”属性が設定されると、隠される。隠されたフィールド要素は、ページ上に入力領域を有しておらず、また、入力を受け入れない。隠されたフィールド要素は、フィールドを含むフォームが提出されると、フォームデータ内に含まれる対応するフィールド値を有することができる。
また、削除を示す抹消等の“編集”コマンドもフォームフィールド内で認識できる。
手書き認識アルゴリズムは、“オフライン”(すなわち、ペンマーキングのビットマップだけを入手可能)ではなく“オンライン”(すなわち、ペンの動きの力関係を入手可能)で働くため、ライター依存型トレーニング段階無くして、複数の文字をつなぎあわせた離散的に書かれた文字を比較的高い精度で認識することができる。しかしながら、手書きのライター依存型モデルは、経時的に形成され、また、必要に応じて前もって形成できる。
前述したように、デジタルインクは、一連のストロークから成る。特定の要素の領域で始まる任意のストロークは、解釈可能な状態で、その要素のデジタルインクストリームに付与される。オブジェクトのデジタルインクストリームに付与されない任意のストロークは、背景フィールドのデジタルインクストリームに付与される。
背景フィールドで取得されたデジタルインクは、選択ジェスチャーとして判断される。1または複数のオブジェクトの境界線は、一般に、境界付けられたオブジェクトの選択として判断されるが、実際の判断はアプリケーション固有のものである。
表2は、ネットページとペンとの様々なやりとりを要約している。
システムは、現選択内容を各ペン毎に保持している。現選択内容は、背景フィールドで取得された最も最近のストロークである。予測可能な挙動を確保するため、現選択内容は、不活動のタイムアウト後に、消去される。
全ての領域で取得された未加工の生のデジタルインクは、ネットページページサーバ上に保持されるとともに、フォームがアプリケーションに提出される時に選択的にフォームデータと共に送信される。これにより、アプリケーションは、未加工のデジタルインクに対し、それが手書きテキストの変換のような当初の変換ではないかと疑われる場合に、問い合わせを行なうことができる。これは、例えば、特定のアプリケーション固有の一貫性チェックをし損なうフォームのため、アプリケーションレベルでの人の介入を伴うことができる。この延長として、フォームの背景領域全体を作図フィールドとして指定することができる。その後、アプリケーションは、ユーザがこれらのフィールドの外側の記入されたフィールドへの補正を指示していることを前提として、フォームの明示的フィールドの外側のデジタルインクの存在に基づき、フォームを人間のオペレータに送ることを決定する。
図38は、ネットページに対するペン入力を扱うプロセスのフローチャートを示している。プロセスは、ペンからストロークを受け(884);ストローク内のページID50が参照するページインスタンス830を識別し(885);ページ記述5を受け(886);その領域58をストロークが横切るフォーマットされた要素839を識別し(887);フォーマットされた要素がフィールド要素に対応しているか否かを判断し、対応している場合には、受けたストロークをフィールド値871のデジタルインクに付与し(892);蓄積されたフィールドのデジタルインクを判断する(893)とともに、フィールドがハイパーリンクグループ866の一部であるか否かを判断し、一部である場合には、対応するハイパーリンクを起動し(895);代わりに、フォーマットされた要素がハイパーリンク要素に対応しているか否かを判断し(889)、対応している場合には、対応するハイパーリンクを起動し(895);代わりに、入力フィールドまたはハイパーリンクが無い場合、受けたストロークを背景フィールド833のデジタルインクに付与し(890);受けたストロークを登録サーバによって保持された現在のペンの現選択内容826にコピーする(891)ことから成る。
図38aは、図38に示されるプロセスにおけるステップ893の詳細なフローチャートを示している。このステップでは、蓄積されたフィールドのデジタルインクが、フィールドのタイプにしたがって判断される。プロセスは、フィールドがチェックボックスか否かを判断する(896)とともに、デジタルインクがチェックマークを表わしているか否かを判断し(897)、そうである場合には、真の値をフィールド値に割り当て(898);代わりに、フィールドがテキストフィールドであるか否かを判断し(899)、そうである場合には、適当な登録サーバを用いてデジタルインクをコンピュータテキストに変換する(900)とともに、変換されたコンピュータテキストをフィールド値に割り当て(901);代わりに、フィールドがサインフィールドであるか否かを判断し(902)、そうである場合には、適当な登録サーバを用いて、デジタルインクをペンの所有者のサインとして確認し(903);登録サーバを用いるとともに、対応するアプリケーションに関連するペン所有者の個人的なサインキーを使用して、対応するフォームのコンテンツのデジタルサインを形成し(904)、そのデジタルサインをフィールド値に割り当てる(905)ことから成る。
1.7.3 ページサーバコマンド
ページサーバコマンドは、ページサーバによって局所的に扱われるコマンドである。ページサーバコマンドは、フォーム、ページ、文書インスタンス上で直接に機能する。
図39に示されるように、ページサーバコマンド907は、無効フォームコマンド908、複写フォームコマンド909、リセットフォームコマンド910、ゲットフォーム状態911、複写ページコマンド912、リセットページコマンド913、ゲットページ状態コマンド914、複写文書コマンド915、リセット文書コマンド916、あるいは、ゲット文書状態コマンド917であっても良い。
無効フォームコマンドは、対応するフォームインスタンスを無効にする。複写フォームコマンドは、対応するフォームインスタンスを無効にした後、フィールド値が保たれた現在のフォームインスタンスのアクティブな印刷コピーを形成する。コピーは、同じハイパーリンクトランザクションIDをオリジナルとして含んでおり、そのため、アプリケーションに対するオリジナルと区別できない。リセットフォームコマンドは、対応するフォームインスタンスを無効にした後、フィールド値が破棄されたフォームインスタンスのアクティブな印刷コピーを形成する。コピーは、同じハイパーリンクトランザクションIDをオリジナルとして含んでいる。ゲットフォーム状態コマンドは、対応するフォームインスタンスの状態に基づいて、印刷されたレポートを形成する。このレポートには、その印刷時、それを発行したのが誰か、それが誰のために印刷されたかということや、フォームインスタンスのフォーム状態が含まれる。
フォームハイパーリンクインスタンスはトランザクションIDを含んでいるため、新たなフォームインスタンスの形成においてアプリケーションを必要としなければならない。したがって、新たなフォームインスタンスを求めるボタンは、一般に、ハイパーリンクとして実行される。
複写ページコマンドは、背景フィールド値が保たれた対応するページインスタンスの印刷されたコピーを形成する。ページがフォームを含み或はフォームの一部である場合、複写ページコマンドは、複写フォームコマンドとして判断される。リセットページコマンドは、背景フィールド値が破棄された対応するページインスタンスの印刷されたコピーを形成する。ページがフォームを含み或はフォームの一部である場合、リセットページコマンドは、リセットフォームコマンドとして判断される。ゲットページ状態コマンドは、対応するページインスタンスの状態に基づいて、印刷されたレポートを形成する。このレポートには、その印刷時、それを発行したのが誰か、それが誰のために印刷されたかということや、それが含む或は一部を成す任意のフォームの状態が含まれる。
本発明の好ましい実施の形態において、全てのネットページ上に現われるネットページロゴは、通常、複写ページ要素に関連付けられる。
ページインスタンスがフィールド値を保って複写されると、フィールド値は、それらの本来のフォームで印刷される。すなわち、チェックマークが標準的なチェックマークグラフィックとして現われ、テキストがタイプセット(活字に組まれた)テキストとして現われる。作図およびサインだけがそのオリジナルフォームで現われる。この場合、サインは、サイン照合がうまくいったことを示す標準的なグラフィックを伴い、あるいは、このグラフィックに取って代わることが好ましい。
複写文書コマンドは、背景フィールド値が保たれた対応する文書インスタンスの印刷されたコピーを形成する。文書が任意のフォームを含んでいる場合、複写文書コマンドは、複写フォームコマンドが行なう方法と同じ方法でフォームを複写する。リセット文書コマンドは、背景フィールド値が破棄された対応する文書インスタンスの印刷されたコピーを形成する。文書が任意のフォームを含んでいる場合、リセット文書コマンドは、リセットフォームコマンドが行なう方法と同じ方法でフォームをリセットする。ゲット文書状態コマンドは、対応する文書インスタンスの状態に基づいて、印刷されたレポートを形成する。このレポートには、その印刷時、それを発行したのが誰か、それが誰のために印刷されたかということや、それが含む任意のフォームの状態が含まれる。
ページサーバコマンドの“オンセレクト(on selected)”属性が設定されると、ページサーバコマンドは、コマンドを含むページ上ではなく、ペンの現選択内容によって識別されるページ上で機能する。これにより、ページサーバコマンドのメニューを印刷することができる。対象のページが指定されたページサーバコマンドのためのページサーバコマンド要素を含んでいない場合、コマンドは無視される。
アプリケーションは、関連するページサーバコマンド要素をハイパーリンクグループ内に組み込むことにより、アプリケーション固有の処理を与える。ページサーバは、ページサーバコマンドを実行するのではなく、ハイパーリンクグループに関連付けられたハイパーリンクを起動する。
ページサーバコマンド要素は、その“隠し”属性が設定される場合に隠される。隠されたコマンド要素は、ページ上に入力領域を有していないため、ユーザによって直接にアクティブにすることができない。しかしながら、隠されたコマンド要素は、異なるページ中に組み込まれたページサーバコマンドがその“オンセレクト(on selected)”属性セットを有している場合、そのページサーバコマンドによってアクティブにすることができる。
1.8 ネットページの標準的な特徴
好ましい形態において、各ネットページは、それがネットページであることを示す下部のネットページロゴを用いて印刷され、したがって、双方向特性を有している。また、ネットページロゴは、コピーボタンとして機能する。大抵の場合、ロゴを“クリックする”ことにより、ページのコピーが形成される。フォームの場合、ボタンがフォーム全体のコピーを形成する。また、チケットやクーポン等の信頼できる(安全な)文書の場合、ボタンは、説明的なノートまたは広告ページを引き出す。
規定の1ページコピー機能は、関連するネットページページサーバによって直接に扱われる。特定のコピー機能は、ロゴボタンをアプリケーションにリンクさせることにより扱われる。
1.9 ユーザヘルプシステム
好ましい実施の形態において、ネットページプリンタは、“ヘルプ”とラベル付けされた1つのボタンを有している。このボタンを押すと、
・プリンタ接続の状態
・プリンタ消耗状態
・トップレベルのヘルプメニュー
・文書メニュー機能
・トップレベルのネットページネットワークディレクトリ
を含む1ページの情報が引き出される。
ヘルプメニューは、ネットページシステムを使用する方法に関して階層的なメニューを与える。
文書機能メニューは、以下の機能を有している。
・文書のコピーを印刷する
・フォームのきれいなコピーを印刷する
・文書の状態を印刷する
文書機能は、ボタンを押して文書の任意のページをタッチするだけで開始する。文書の状態は、文書を誰が何時発行して誰に供給されたかを示すとともに、その後に文書が何時誰にフォームとして提出されたかを示す。
ネットページネットワークディレクトリにより、ユーザは、ネットワーク上の出版物およびサービスの階層を誘導することができる。別の方法として、ユーザは、ネットページネットワーク“900”ナンバー“イエローページ”を呼び出して、人間のオペレータと話をすることができる。オペレータは、所望の文書の場所を突き止めて、その文書をユーザのプリンタに送ることができる。文書のタイプに応じて、発行者またはユーザは、僅かな“イエローページ”サービス料金を支払う。
プリンタが印刷不可能な場合には、無論、ヘルプページを利用することができない。この場合、“エラー”光が点灯し、ユーザは、ネットワークにわたって遠隔診断を求めることができる。
2.個人化された出版物モデル
以下の説明においては、ネットページシステムにおける個人化機構を示すため、標準的な出版物の例としてニュースが使用される。ニュースは、新聞やニュース雑誌のニュースの限られたセンスでしばしば使用されるが、この文脈で意図する範囲はもっと広い。
ネットページシステムにおいて、ニュース出版物の記事内容および広告内容は、様々な機構を使用して個人化される。記事内容は、読者の明示的に述べられ且つ暗示的に捕らえられた関心事(interest profile)にしたがって個人化される。広告内容は、読者の場所や人口にしたがって個人化される。
2.1 記事の個人化
予約購読者(受信契約者)は、2種類のニュースソース(情報源)、すなわち、ニュース出版物を配達するニュースソースと、ニュースストリームを供給するニュースソースとを利用することができる。発行者によってニュース出版物が集められて編集される間、新たな発行者によって或いは専門のニュース収集者によって新たなストリームが集められる。一般に、ニュース出版物は、従来の新聞およびニュース雑誌に対応している。一方、ニュースストリームは多くて様々である。すなわち、“生の”ニュースは、ニュースサービス、帯マンガ、フリーランスライターのコラム、友人の掲示板、あるいは、読者自身の電子メールから供給される。
ネットページ発行サーバは、編集されたニュース出版物および複数のニュースストリームの集合体の発行をサポートする。集合体を処理することにより、したがって、読者により直接に選択されたニュースストリームをフォーマットすることにより、サーバは、記事制御(編集上の制御)を有していないページ上に広告を掲載することができる。
予約購読者(受信契約者)は、1または複数の寄稿ニュース出版物を選択して、個人化された各バージョンを形成することにより、日刊新聞を作る。その結果として得られ日刊版は、印刷して製本されて1つの新聞になる。様々な数の世帯は、一般に、彼らの様々な興味を表現し、様々な日刊新聞を選択した後にそれらを特注することにより味わう(taste)。
読者は、各出版物毎に、特定のセクションを随意的に選択する。あるセクションは日刊紙であり、他のセクションは週刊誌であると思われる。例えば、ニューヨークタイムズオンラインから入手できる日刊紙のセクションには、“ページワンプラス”、“国内”、“国外”、“意見”、“ビジネス”、“アート/リビング”、“テクノロジー”、“スポーツ”が含まれる。入手可能なセクションのセットは、規定のサブセットと同様に、出版物に固有のものである。
読者は、それぞれが任意のニュースストリームを利用する複数のカスタムセクションを形成することにより、日刊新聞を広げることができる。カスタムセクションは、電子メールおよび友人のお知らせ(パーソナル)のため、あるいは、特定のトピックス(“警告”または“切り抜き”)に関するニュース供給のために、形成されても良い。
読者は、各セクション毎に、随意的に、セクションのサイズを質的(例えば、短い、中程度、長い)または数値的(すなわち、そのページ数に関する制限)に指定するとともに、広告の所望の比率を質的(例えば、高い、普通、無し)または数値的(すなわち、パーセント)に指定する。
また、読者は、随意的に、多数の短い記事または数少ない長い記事における好みを表現する。この好みに対応するため、各記事は、理想的には、短いフォームまたは長いフォームの両方で書かれる。
また、読者の予期される高い教養にマッチするように、例えば子供バージョンおよび大人バージョンを形成するために、記事は様々なバージョンで書かれる(編集される)。読者の年齢に応じて適切なバージョンが選択される。読者は、生物学的年齢に勝る“読書年齢”を指定することができる。
各セクションを構成する記事は、編集者によって選択されて優先順位が付けられる。各記事には有用寿命が割り当てられる。これらの記事は、デフォルトにより、全ての関連する予約購読者に優先順位で供給され、予約購読者版において空間的な制約に晒される。
読者は、適切なセクションにおいて、随意的に、協調フィルタリングを行なうことができるようになっていても良い。この協調フィルタリングは、その後、寿命が十分に長い記事に適用される。協調フィルタリングをするのにふさわしい各記事は、記事の最後の評価ボタンを用いて印刷される。このボタンは、簡単な選択(例えば、“好き”および“嫌い”)を与えることができ、これによって、おそらく、読者は記事を評価すると思われる。
したがって、優先順位が高く且つ寿命が短い記事は、編集者により、極めて重要な読み物であると効果的に判断され、最も関連のある予約購読者に供給される。
読者は、随意的に、予期せぬファクターを質的(例えば、自分を驚かせる或いは驚かせない)または数値的に指定する。高度な予期せぬファクターは、協調フィルタリング中のマッチングのために使用される閾値を下げる。高いファクターによって、おそらく、対応するセクションが読者の特定の能力を満たす。1週間の異なる日毎に異なる予期せぬファクターを指定することができる。
また、読者は、随意的に、セクション内の特定の関心事についての特定のトピックスを指定する。これにより、編集者によって割り当てられた優先順位が変わる。
読者のインターネット接続の速度は、画像を供給できる質および量に影響を与える。読者は、随意的に、数少ない画像または小さな画像またはその両方において好みを指定する。画像の数またはサイズが低下しなければ、画像を低画質(すなわち、低い解像度で、または、高い圧縮度で)で供給しても良い。また、供給される画像の量、サイズ、質というこれら3つの全てが調整されても良い。
読者は、世界的なレベルで、質、日付、時間、金銭価値を特定の地域に限定する方法を指定する。これには、単位がインペリアルであるかメートルであるか、現地時間、タイムフォーマット、現地通貨、現地語化がその場で翻訳または注釈から成るか否かを指定することが含まれる。これらの選択は、デフォルトにより読者の場所から得られる。
視力が弱いことによって読むことが困難になることを低減するため、読者は、随意的に、大きなプレゼンテーションにおいて全体的(世界的)な好みを指定する。したがって、テキストおよび画像の両者が拡大縮小され、より少ない情報が各ページ上に収容される。
ニュース出版物が発行される言語およびその対応するテキストの符号化は、出版物の特性であり、ユーザによって示される好み(選択)ではない。しかしながら、ネットページシステムは、様々な形態で自動翻訳サービスを提供するように構成することができる。
2.2 広告局在化および標的(ターゲティング)
記事内容の個人化は、広告内容に直接に影響を及ぼす。これは、一般に広告が記事内容を利用するように配置されているためである。例えば旅行広告は、他のセクションよりもトラベルセクションに現われる可能性が高い。広告者(したがって、発行者)に対する記事内容の価値は、適切な人口統計データをもって多くの読者を引き付ける広告者の能力にある。
効果的な広告は、局所性および人口統計データに基づいて配置される。局所性は、特定のサービスや小売業者等に近いこと、および、特定の興味や地域社会および環境に関連付けられた関心事を決定する。人口統計データは、一般的な関心事、最大の関心事、起こりえる消費の型を決定する。
ニュース発行者の最も利益になもの、広告“スペース”、出版物の地理的な範囲によって決定される多次元エンティティ、その読者数の多さ、その読者数人口統計データ、広告に利用可能なページ面積である。
ネットページシステムにおいて、ネットページ発行サーバは、出版物の地理的な範囲、セクションの読者数、各読者のセクション版のサイズ、各読者の広告比率、各読者の人口統計データを考慮して、出版物の売れる1セクション当たりの広告スペースのおおよその多次元サイズを計算する。
他のメディアと比べて、ネットページシステムによれば、広告スペースを非常に詳細に規定することができるとともに、広告スペースの極小さな一部を個別に売ることができる。したがって、広告スペースをその真の価値に近い価値で売ることができる。
例えば、同じ広告“スロット”を複数の広告者に対して比率を変えて売ることができる。この場合、個々の読者のページが一方の広告者の広告または他方の広告者の広告を無作為に受け、全体として、各広告者に対して売られるスペースの比率を保つ。
ネットページシステムによれば、詳細な商品情報およびオンライン購入に対して広告を直接にリンクさせることができる。したがって、広告スペースの固有の価値を高めることができる。
個人化および局在化はネットページ発行サーバにより自動的に処理されるため、広告収集者は、幅広い範囲の地理的分布および人口統計データの両方を任意に提供することができる。その後の離散は、それが自動であるため、有効である。これにより、発行者は、広告を直接に取得するよりも高い費用効率で広告収集者と取引をすることができる。たとえ広告収集者が広告収益の分け前をとっているとしても、発行者は、より高い収集効率により、当り障りのない程度に利益を得ることができる。広告収集者は、広告者と発行者との間の仲介人となり、同じ広告を複数の出版物に掲載しても良い。
注目すべき点は、ネットページ出版物への広告掲載が、出版物の従来の対応する広告掲載よりも複雑になる可能性があるという点である。これは、出版物の広告スペースが非常に複雑であるためである。広告者と広告収集者と発行者との間の交渉の複雑さを全て無視すると、ネットページシステムの好ましい形態は、広告スペースの自動オークションを含むこれらの交渉のためのある程度自動化されたサポートを提供する。特に、自動化は、小さな広告または非常に局在化された広告など、僅かな収入を生む広告掲載において望ましい。
掲載交渉が成されると、広告収集者は、広告を取得して編集し、それをネットページ広告サーバに記録する。これに対して、発行者は、関連するネットページ発行サーバに広告掲載を記録する。ネットページ発行サーバは、各ユーザの個人化された出版物をレイアウトすると、ネットページ広告サーバから関連する広告を拾う。
2.3 ユーザプロファイル
2.3.1 情報フィルタリング
ニュースおよび他の出版物の個人化は、
・出版物オーダーメード(カスタマイズ)
・協調フィルタリングベクトル
・コンタクト内容
・プレゼンテーション選択
を含むユーザ固有のプロファイル情報の各種組み合わせに依存している。
出版物のオーダーメード(カスタマイズ)は、一般に、出版物固有のものである。そのため、オーダーメード情報は、関連するネットページ発行サーバによって保持される。
協調フィルタリングベクトルは、多くのニュース記事項目についてのユーザの評価から成る。協調フィルタリングベクトルは、推薦を行なう目的で様々なユーザの興味を関連付けるために使用される。任意の特定の出版物とは無関係に1つの強調フィルタリングベクトルを保持することに対して利益があるが、各出版物毎に別個のベクトルを保持することが実用的である理由は2つある。すなわち、同じ出版物に向う予約購読者(受信契約者)のベクトル同士が重なり合う可能性は、異なる出版物に向う予約購読者(受信契約者)のベクトル同士が重なり合う可能性よりも高く、また、出版物は、おそらく、他の場所で見つからないそのブランドの価値の一部として、そのユーザの強調フィルタリングベクトルを提供したがっている。したがって、協調フィルタリングベクトルも関連するネットページ発行サーバによって保持される。
名前、通り、住所、ZIPコード、状態、国、電話番号を含むコンタクト内容は、本来、世界的であり、ネットページ登録サーバによって保持されている。
量、日付、時間に関する選択を含むプレゼンテーション選択も同様に世界的であり、同じ方法で保持される。
広告の局在化は、ユーザのコンタクト内容中に示される場所に依存している。一方、広告の標的(ターゲティング)は、誕生日、性別、結婚歴、収入、職業、学歴、年齢範囲や収入範囲といった質的な派生事項等の個人情報に依存している。
広告目的で個人情報を漏らすことを選択するユーザのため、情報は、関連するネットページ登録サーバによって保持される。そのような情報が無い場合、広告は、ユーザのZIPまたはZIP+4コードに関連付けられた人口統計データ(demographic)に基づいて、狙いを付けられる可能性がある。
図21〜図24に示されるように、各ユーザ、ペン、プリンタ、アプリケーションプロバイダ、アプリケーションは、それ自身の固有の識別子を割り当てられる。また、ネットページ登録サーバは、これらの間の関係を保持する。登録目的のため、発行者は特定の種類のアプリケーションプロバイダであり、出版物は特定の種類のアプリケーションである。
各ユーザ800は、任意の数のプリンタ802を使用することが認められていても良い。また、各プリンタによって任意の数のユーザがそれを使用できるようになっていても良い。各ユーザは、デフォルトによって定期出版物が供給される1つの規定のプリンタを有している(66)。一方、要求に応じて印刷されるページは、ユーザがやりとりするプリンタに供給される。サーバは、ユーザの規定のプリンタに印刷することをユーザが認めた発行者の軌跡を保持する。発行者は、任意の特定のプリンタのIDを記録しないが、その代わり、それが要求される時にIDを解く。
ユーザが出版物807を予約購読808する場合、発行者806(すなわち、アプリケーションプロバイダ803)は、特定のプリンタまたはユーザの規定のプリンタに印刷することが認められる。この認証は、ユーザによっていつでも取り消すことができる。特定のプリンタの使用が各ユーザに認められる場合、そのプリンタは、任意のユーザのペンを認識する。
ペンIDは、通常の方法によりDNSを介して、特定のネットページ登録サーバによって保持された対応するユーザプロファイルの場所を見付けるために使用される。
ウェブ端末809は、ウェブページおよびウェブブラウジング中に出くわしたネットページ文書を最も近いネットページプリンタ上で都合良く印刷できるように、特定のネットページプリンタ上で印刷することが認められても良い。
ネットページシステムは、プリンタプロバイダのために、プロバイダのプリンタ上で印刷される出版物によって得た収入に関する料金および手数料を集めることができる。そのような収入には、広告料金、クリックスルー料金、電子商取引手数料、取引料金が含まれていても良い。プリンタがユーザによって所有されている場合、ユーザがプリンタプロバイダである。
また、各ユーザは、微少な借り入れ金および預金を蓄積するために使用されるネットページアカウント(ネットページ口座)820(例えば、先のパラグラフで述べたもの)と、名前、住所、電話番号を含むコンタクト内容815と、プライバシー、デリバリー、局在化設定を含む全体的(世界的)な好み816と、ユーザのエンコードされたサイン818や指紋819等を含む任意の数のバイオメトリック記録817と、システムによって自動的に保持される手書きモデル819と、電子商取引の決済を行なうことができるSET支払いカード口座821とを有している。
2.3.2 お気に入りリスト
ネットページユーザは、ネットページネットワーク上の役立つ文書等への“お気に入り”リンクのリスト922を保持することができる。リストは、ユーザの利益のため、システムによって保持される。リストは、フォルダ924の階層として体系化される。その好ましい実施の形態は、図41のクラス図に示されている。
2.3.3 履歴リスト
システムは、各ユーザの利益のため、ネットページシステムを介してユーザによりアクセスされる文書等へのリンクを含む履歴リスト922を保持することが好ましい。システムは、日付順リストとして体系化される。その好ましい実施の形態が図42のクラス図に示されている。
2.4 インテリジェントページレイアウト
ネットページ発行サーバは、セクション毎を基本として、各ユーザの個人化された出版物のページを自動的にレイアウトする。大抵の広告は予めフォーマットされた矩形のものであるため、これらの広告は、記事内容の前にページ上に掲載される。
1つのセクションにおける広告比率は、セクション内の個々のページ上で大きく変化する広告比率をもって得られる。そして、広告レイアウトアルゴリズムがこれを利用する。このアルゴリズムは、自分で出来る屋根修理に関する特定の特徴に起因して出版物内で具体的に屋根材料の広告を載せるなど、密接に結ばれた記事内容と広告内容とを同じ場所に配置するように構成されている。
その後、テキストおよび対応する画像およびグラフィックを含むユーザのために選択された記事内容は、様々な美的ルールにしたがってレイアウトされる。
ユーザの提示したセクションサイズ選択をより厳密に達成するべく、レイアウトが集中すると直ぐに、広告の選択および記事内容の選択を含む全てのプロセスが繰り返されなければならない。しかしながら、セクションサイズ選択は、日毎に著しく変化できるように、平均して、経時的に一致させることができる。
2.5 文書フォーマット
文書がレイアウトされると、文書は、ネットページネットワーク上に効率的に分配して永続的に記憶するためにエンコードされる。
主要な効率的機構は、1つのユーザ版に固有の情報と複数のユーザ版(user edition)間で共有される情報との分離である。特定の情報はページレイアウトから成る。共有された情報は、画像、グラフィック、テキストの断片を含む、ページレイアウトが参照するオブジェクトから成る。
テキストオブジェクトは、好ましくは拡張スタイルシート言語(XSL)を使用して拡張マークアップ言語(XML)で表わされる完全にフォーマットされたテキストを含んでいる。XSLは、テキストが設定される範囲とは無関係に、テキストフォーマッティングにわたって正確な制御を行なう。この場合、テキストフォーマッティングは、レイアウトによって行なわれる。テキストオブジェクトは、自動翻訳が可能な組み込み言語コードと、パラグラフフォーマッティングを用いて支援する組み込みハイフネーションヒントとを含んでいる。
画像オブジェクトは、好ましくはJPEG2000ウェーブレットを基本とする圧縮画像フォーマットで、画像をエンコードする。グラフィックオブジェクトは、好ましくはスケーラブル・ベクトル・グラフィックス(SVG)フォーマットで、2Dグラフィックをエンコードする。テキスト、画像、グラフィックにおいては、他のフォーマットを使用しても良い。
レイアウト自体は、一連の配置された画像およびグラフィックと、テキストオブジェクトが流れるリンクしたテキストフローオブジェクトと、前述したようなハイパーリンクおよび入力フィールドと、透かし領域とから成る。これらのレイアウトオブジェクトが表3にまとめられている。
2.6 文書配布(文書分配)
前述したように、ネットページネットワーク上で効率的に配布(分配)して永続的に記憶する目的で、ユーザ固有のページレイアウトは、それが参照する共有されたオブジェクトから分離される。
予約購読された出版物の配布準備ができると、ネットページ発行サーバは、ネットページIDサーバ12を用いて、各ページ毎の固有のID、ページインスタンス、文書、文書インスタンスを割り当てる。
サーバは、共有コンテンツの一組の最適化されたサブセットを計算するとともに、各サブセットのためのマルチキャストチャンネルを形成し、その後、ユーザ固有の各レイアウトに対し、そのレイアウトによって使用される共有コンテンツを持つマルチキャストチャンネルの名前を用いてタグを付与する。その後、サーバは、適当なページサーバを介して、各ユーザのレイアウトを、そのユーザのプリンタにポイントキャストするとともに、ポイントキャスティングが終了すると、指定のチャンネルに共有コンテンツをマルチキャストする。各ページサーバおよびプリンタは、そのポイントキャストを受けた後、ページレイアウトで指定されたマルチキャストチャンネルを予約購読する。マルチキャスト中、各ページサーバおよびプリンタは、そのページレイアウトによって参照されるオブジェクトを、マルチキャストストリームから抽出する。ページサーバは、永続的に、受けたページレイアウトおよび共有コンテンツをアーカイブ(保存)する。データの分配においては、他の技術を使用しても良い。
そのページレイアウトを参照する全てのオブジェクトをプリンタが受けると、プリンタは、完全に占有された(full−populated)レイアウトを再現した後、それをラスター化して印刷する。
通常の状況下で、プリンタは、ページが供給(配信)され得る速度よりも速い速度でページを印刷する。各ページの1/4が画像で覆われる場合、平均的なページは、400KBを下回るサイズを有する。したがって、プリンタは、そのような100を超えるページを、その内部の64MBのメモリ内に保持することができ、これにより、一時的なバッファ等を可能にする。プリンタは、毎秒1ページの速度で印刷する。これは、毎秒400KBまたは約3Mビットのページデータに相当し、ブロードバンドネットワークにわたるページデータ供給の最も高く期待された速度と同様である。
プリンタの紙が無くなっているような正常でない状況下でさえ、プリンタの100ページ内部記憶容量が使い果たされる前に、ユーザが紙の補給を行える可能性がある。
しかしながら、プリンタの内部メモリが一杯になると、プリンタは、マルチキャストが最初に生じる際に、マルチキャストを利用することができない。したがって、ネットページ発行サーバにより、プリンタは再度のマルチキャストの要求を出すことができる。臨界的な数の要求が受けられると、または、時間切れになると、サーバは、対応する共有オブジェクトを再びマルチキャストする。
文書が印刷されると、プリンタは、常に、関連するページサーバからそのページレイアウトおよびコンテンツを検索することにより、正確な複写を行なう。
2.7 要求に応じた文書(オンデマンドな文書)
ネットページ文書が要求に応じて求められると、ネットページ文書を定期出版物と全く同じ方法で個人化して供給することができる。しかしながら、共有コンテンツが無いため、供給は、マルチキャストを使用すること無く、要求するプリンタに対して直接に行なわれる。
非ネットページ文書が要求に応じて求められると、非ネットページ文書は、個人化されず、それをネットページ文書として再フォーマットする指定されたネットページフォーマッティングサーバを介して供給される。ネットページフォーマッティングサーバは、アドビ(Adobe)のポータブル・ドキュメント・フォーマット(PDF)およびハイパーテキストマークアップ言語(HTML)を含む様々なインターネット文書フォーマットの知識を有している。HTMLの場合、高解像度の印刷ページを利用して、多層カラムフォーマットのウェブページを、コンテンツのテーブルを用いて与えることができる。HTMLは、要求されたページに対して直接にリンクされたウェブページを自動的に含んでいる。ユーザはこの挙動を選択によって調節することができる。
ネットページフォーマッティングサーバは、たとえその出所やフォーマットであっても任意のインターネット上で利用できる双方向性および永続性(持続性)を含む標準的なネットページの挙動を成す。ネットページフォーマッティングサーバは、ネットページプリンタおよびネットページページサーバの両方からの様々な文書フォーマットの知識を隠すとともに、ウェブサーバからのネットページシステムの知識を隠す。
3. セキュリティ
3.1 暗号化
記憶装置内およびトランジット内にある機密情報を保護するため、また、取引に合わせて当事者の認証を行なうために、暗号化が使用される。広範囲にわたる用途においては、2つのクラスの暗号化、すなわち、秘密鍵暗号化と公開鍵暗号化とがある。ネットページネットワークは、この両方のクラスの暗号化を使用する。
対称式暗号化とも称される秘密鍵暗号化は、同じ鍵(キー)を使用してメッセージを暗号化(符号化)して解読(復号化)する。メッセージをやりとりしたがっている二人の当事者は、最初に、秘密鍵を安全にやりとりするように取り計らわなければならない。
非対称式暗号化とも称される公開鍵暗号化は、2つの暗号鍵(暗号キー)を使用する。これら2つの鍵は数学的に関係付けられ、これにより、一方の鍵を使用して暗号化された任意のメッセージだけを他方の鍵を使用して解読することができる。その後、これらの鍵の一方が公開され、他方は秘密状態に維持される。公開鍵は、秘密鍵のホルダを対象とした任意のメッセージを暗号化するために使用される。メッセージは、公開鍵を使用して暗号化されると、秘密鍵を使用した時にだけ解読することができる。したがって、二人の当事者は、始めに秘密鍵をやりとりすることなく、安全にメッセージをやりとりすることができる。秘密鍵を安全なものにするためは、秘密鍵のホルダが鍵の対を形成するのが普通である。
公開鍵暗号化は、デジタルサインを形成するために使用することができる。秘密鍵のホルダは、メッセージの周知のハッシュを形成し、その後、秘密鍵を使用してハッシュを暗号化することができる。その後、暗号化されたハッシュが、公開鍵を使用して暗号化されたハッシュを解読するとともにメッセージに対してハッシュを確認することにより、その特定のメッセージに関して秘密鍵のホルダの“サイン”を構成するということを誰でも確認することができる。サインがメッセージに対して付与されると、メッセージの受信者は、メッセージが本物であり且つメッセージがトランジット内で変わらないことを確認することができる。
公開鍵暗号化を働かせるためには、公開鍵を分配して他人に成り済ますことを防止する方法がなければならない。これは、通常、証明書(認証)および認証局を使用して行なわれる。認証局は、公開鍵と誰かの身元(同一性)との間の関係(接続)を認証する信頼ある第3の当事者である。認証局は、同一性文書を検査することにより人の同一性(身元)を確認するとともに、人の身元内容および公開鍵を含むデジタル証明書を形成してサインする。認証局を信じる誰でも、本物であるという高度の確実性をもって、証明書の公開鍵を使用することができる。この場合、その公開鍵が良く知られている証明書が認証局によって本当にサインされたことを確認しなければならない。
殆どの取引環境においては、公開鍵暗号化だけを使用して、デジタルサインが形成され、秘密セッション鍵が安全にやりとりされる。秘密鍵暗号化は、他の全ての目的のために使用される。
以下の説明においては、ネットページプリンタとサーバとの間での安全な情報送信について言及する場合、プリンタが、サーバの証明書を取得して、それを認証局に対して認証するとともに、証明書の公開鍵−やりとり鍵を使用して秘密セッション鍵をサーバとやりとりした後、秘密鍵を使用してメッセージデータを暗号化するということが実際に起こる。無論、セッション鍵は、任意の短い寿命を有していても良い。
3.2 ネットページプリンタセキュリティ
各ネットページプリンタには、製造時に、プリンタの読み出し専用メモリ内およびネットページ登録サーバデータベース内に記憶される一対の固有の識別子が割り当てられる。第1のID62は、公開されており、ネットページネットワーク上のプリンタを独自に識別する。第2のIDは、秘密であり、プリンタが最初にネットワーク上に登録される時に使用される。
インストール後にプリンタが最初にネットページネットワークに接続すると、プリンタは、サインの公開鍵(公開キー)と秘密鍵(秘密キー)との対を形成する。プリンタは、秘密IDおよび公開キーを、ネットページ登録サーバに対して安全に送信する。ネットページ登録サーバは、その秘密IDを、サーバのデータベース内に記録されたプリンタの秘密IDと比較し、IDが一致する場合、登録を受け入れる。その後、ネットページ登録サーバは、プリンタの公開IDおよび公開サインキーを含む証明書を形成してサインするとともに、その証明書を登録データベース内に記憶する。
ネットページ登録サーバは、秘密情報にアクセスしてプリンタの同一性(身元)を確認することができるため、ネットページプリンタのための認証局として機能する。
ユーザが出版物を予約購読すると、ネットページ登録サーバデータベース中に記録が形成され、ユーザの規定のプリンタまたは指定されたプリンタに出版物を印刷することを発行者に認める。ページサーバを介してプリンタに送られた全ての文書は、特定のユーザに対してアドレスがとれら、発行者の秘密サインキーを使用して発行者によりサインされる。ページサーバは、登録データベースを介して、発行者が出版物を特定のユーザに対して供給(配信)することを認証されている点を確認する。ページサーバは、登録データベースに記憶された発行者の証明書から得られた発行者の公開キーを使用してサインを確認する。
ネットページ登録サーバは、印刷認証をデータベースに加える要求がプリンタに登録されたペンによって開始される限りにおいて、この要求を受け入れる。
3.3 ネットページペンセキュリティ
各ネットページペンには、製造時に、ペンの読み出し専用メモリ内およびネットページ登録サーバデータベース内に記憶される1つの固有の識別子が割り当てられる。ペンID61は、ネットページネットワーク上でペンを独自に識別する。
ネットページペンは、多くのネットページプリンタを“知る”ことができ、また、プリンタは、多くのペンを“知る”ことができる。ペンは、プリンタの領域内にいることにはいつでも、無線周波数信号によってプリンタと通信を行なう。ペンおよびプリンタは、登録されると、セッションキーを定期的にやりとりする。ペンがデジタルインクをプリンタに送信する時にはいつでも、デジタルインクは、適当なセッションキーを使用して暗号化される。デジタルインクは、障害無く送信することは決してない。
ペンは、それが知っているプリンタ毎に、プリンタIDによってインデックスを付けてセッションキーを記憶する。プリンタは、それが知っているペン毎に、ペンIDによってインデックスを付けてセッションキーを記憶する。両者は、大きいが有限である記憶容量をセッションキーのために有しており、必要に応じて使用頻度が最も低い基準に基づいてセッションキーを忘れる。
ペンがプリンタの領域内に入ると、ペンおよびプリンタは、互いに知っているか否かを判断する。互いに知らない場合、プリンタは、ペンを知っていなければならないか否かを判断する。これは、例えば、プリンタを使用するために登録されたユーザにペンが続しているためである。プリンタがペンを知らなければならないのに知らない場合、プリンタは、自動ペン登録手続きを開始する。プリンタがペンを知らなくても良い場合、プリンタは、ペンに同意し、ペンがチャージングカップ内に置かれるまでそれを無視する。この時、プリンタは、登録手続きを開始する。
ペンは、その公開IDの他に、秘密キー−やりとりキーを有している。また、キー−やりとりキーは、製造時に、ネットページ登録サーバデータベース内に記録される。登録中、ペンがそのペンIDをプリンタに送信するとともに、プリンタがそのペンIDをネットページ登録サーバに送信する。ネットページ登録サーバは、プリンタおよびペンが使用するセッションキーを形成するとともに、そのセッションキーをプリンタに安全に送信する。また、ネットページ登録サーバは、ペンのキー−やりとりキーを用いて暗号化されたセッションキーのコピーも送信する。プリンタは、ペンIDによってインデックスを付けてセッションキーを内部に記憶するとともに、暗号化されたセッションキーをペンに送信する。ペンは、プリンタIDによってインデックスを付けてセッションキーを内部に記憶する。
偽造ペンは、ペン登録プロトコルにおけるペンのふりをすることができるが、本物のペンだけがプリンタによって送信されたセッションキーを解読することができる。
予め登録されていないペンは、最初に登録される時、それがユーザにリンクされるまで、使用が制限される。登録されているが“所有されていない”ペンは、ネットページユーザおよびペン登録フォームを要求して記入するための使用、新たなペンが自動的にリンクされる新たなユーザを登録するための使用、または、既存のユーザに新たなペンを加えるための使用だけが許容される。
ペンは、ペンにおけるハードウエア性能の制約により、公開鍵暗号化ではなく秘密鍵暗号化を使用する。
3.4 信頼できる文書
ネットページシステムは、チケットやクーポン等の信頼できる(安全な)文書の供給(配送)をサポートする。ネットページプリンタは、透かし(watermark)を印刷するための機能を有しているが、適切に認証される発行者からの要求に基づいてのみ透かしを印刷する。発行者は、プリンタが認証できるその証明書に透かしを印刷するための権限を表示する。
“透かし”印刷プロセスでは、ページの指定された“透かし”領域で、他のディザー・マトリクスが使用される。連続する(背中合わせの)ページは、印刷時に一致する鏡像透かし領域を含んでいる。奇数および偶数ページの透かし領域で使用されるディザー・マトリクスは、これらの透かし領域を一緒に見る時に干渉効果を生じるように形成されている。この干渉効果は、印刷されたシートを通して見ることにより得られる。
干渉効果は、ページの一方側だけを見るとそれが見えず、また、ページが通常の手段によってコピーされると失われるという点で、透かしに類似している。
信頼できる文書のページは、先の項目1.9で説明した固有のネットページコピー機構を使用してコピーすることができない。これは、ネットページを認識するコピー機でネットページをコピーするまでに及ぶ。
信頼できる文書は、一般に、電子商取引トランザクションの一部として形成される。したがって、信頼できる文書は、項目2で説明したようにネットページ登録サーバを用いてユーザがバイオメトリック情報を登録する時に取得されたユーザの写真を含むことができる。
受信者は、信頼できるネットページ文書が与えられると、通常の方法でその状態を要求することにより、その信頼性を確認することができる。文書の寿命に関しては、信頼できる文書の固有のIDだけが有効であり、また、信頼できる文書のIDは、日和見主義の偽造者による予測を防止するために、不連続に割り当てられる。容易なプレゼンテーション地点(point−of−presentation)文書確認をサポートするため、確認不足に基づくフィードバックを用いて信頼文書確認ペンを開発することができる。
暗号法の観念では、透かしもユーザの写真も信頼できるとは言い難い。これらは、さりげない偽造に対する大きな障害を与えるだけである。特に確認ペンを使用するオンライン文書確認(照合)は、必要な場合に、付加されたレベルのセキュリティを与えるが、偽造の心配が全くないとは言えない。
3.5 否認防止
ネットページシステムにおいて、ユーザによって提示されたフォームは、フォームハンドラーに確実に供給(配信)されるとともに、ネットページサーバ上で永続的にアーカイブ(保存)される。したがって、受信者は、供給(配信)を否認することができない。
項目4で説明するようなシステムを通じて成される電子商取引もまた、支払先が否認することができない。
4. 電子商取引モデル
4.1 信頼できる電子商取引(SET)
ネットページシステムは、その支払いシステムの1つとして、信頼できる電子商取引(SET)システムを使用する。マスターカード、VISAによって開発されたSETは、支払いカードにわたって組織化されており、これは、専門用語に表わされている。しかしながら、システムの多くは、使用される口座(取引(account))のタイプと無関係である。また、他の支払いシステムを使用しても良い。
SETにおいて、カード保有者および取引先は、認証局に登録するとともに、彼らの公開サインキーを含む証明書が発行される。認証局は、必要に応じてクレジットカード発行会社と共にカード保有者の登録内容を確認するとともに、必要に応じて買収人と共に取引先の登録内容を確認する。カード保有者および取引先は、彼らのコンピュータに彼らの各秘密サインキーを安全に保存する。支払いプロセス中、これらの証明書は、取引先およびカード保有者を相互に認証するために使用されるとともに、支払いゲートウェイに対して彼らの両方を認証するために使用される。
今までのところ、SETは広く採用されていない。これは、一部において、カード保有者によるキーおよび証明書の維持が厄介であると考えられているためである。カード保有者のキーおよび証明書をサーバ上に保持してパスワードによるカード保有者のアクセスを可能とする暫定的な解決策は、ある程度成功を収めた。
4.2 SET支払い
ネットページシステムにおいて、ネットページ登録サーバは、SET支払い取引におけるネットページユーザ(すなわち、カード保有者)のためのプロキシ(プロクシ)として機能する。
ネットページシステムは、ユーザを認証してSET支払いを認可するために、バイオメトリクスを使用する。システムはペンを基本とするため、使用されるバイオメトリックは、時間的に変化するペン位置および圧力から成るユーザのオンラインサインである。コストが高くなるが、ペン内に指紋センサを設けることにより、指紋バイオメトリックも使用できる。使用されるバイオメトリックのタイプは、バイオメトリックの取得に影響を与えるだけでなく、システムの認証形態にも影響を与える。
SET支払いを行なうことができる最初のステップは、ネットページ登録サーバを用いて、ユーザのバイオメトリックを登録することである。これは、制御された環境下、例えば銀行で行なわれる。この場合、バイオメトリックは、ユ−ザの同一性が確認されると同時に取得することができる。バイオメトリックは、取得されるとともに、ユーザのレコードにリンクした登録データベース内に記憶される。また、ユーザの写真は、随意的に取得されて、レコードにリンクされる。SETカード保有者登録プロセスが終了すると、その結果得られる秘密サインキーおよび証明書がデータベース内に記憶される。ユーザの支払いカード情報も記憶し、これにより、任意のSET支払い取引においてユーザのプロキシとして機能し得る十分な情報をネットページ登録サーバに与える。
例えばネットページ注文フォームにサインすることにより、最終的にユーザがバイオメトリックを供給して支払いを完了すると、プリンタは、注文情報、ペンID、バイオメトリックデータを、ネットページ登録サーバに対して安全に送信する。サーバは、ペンIDによって識別されたユーザに関してバイオメトリクを確認するとともに、その時からずっと、SET支払い取引を完了する際のユーザのプロキシとして機能する。
4.3 マイクロペイメント(少額決済)
ネットページシステムは、要求に応じて低コスト文書を印刷することに対する支払い及び著作権文書をコピーすることに対する支払いをユーザが都合良く請求され得るように、また、広告材料の印刷にかかる費用をユーザが返済できるように、マイクロペイメント(小額決済)のための機能を有している。後者は、既にユーザに提供された補助金のレベルによって決まる。
ユーザが電子商取引に登録すると、マイクロペイメント(小額決済)を集めるネットワークアカウント(ネットワーク口座)が確立される。ユーザは、規則的な基準に基づいて請求書を受けるとともに、標準的な支払い機構を使用して未払いの貸付残高を精算することができる。
ネットワークアカウントは、定期出版物の予約購読料を集めることにまで及ぶことができ、また、個々の請求書の形態でユーザに提示される。
4.4 取引
ユーザが特定のアプリケーションの状況(アプリケーションコンテキスト)でネットページを要求すると、アプリケーションは、ユーザ固有のトランザクションIDをページに組み込むことができる。ページを通じたその後の入力は、トランザクションIDを用いてタグ付けされ、これにより、アプリケーションは、ユーザの入力に適したコンテキスト(状況)を確立することができる。
しかしながら、ユーザ固有のものではないページを通じて入力が生じると、アプリケーションは、ユーザ固有の同一性を使用してコンテキストを確立しなければならない。典型的な例は、予め印刷されたカタログページからの商品をユーザの仮想的な“ショッピングカート”に加えることを含む。しかしながら、ユーザのプライバシーを守るため、ネットページシステムに知られた固有のユーザID60がアプリケーションに対して漏らされないことが好ましい。これは、様々なアプリケーションプロバイダが蓄積された行動データを単独で簡単に関連付けることを防止するためである。
図24に示されるように、ネットページ登録サーバは、代わりに、固有のエイリアスID65を介して、ユーザとアプリケーションとの間の匿名関係(アノニマス関係)を保持する。ユーザが“登録された”属性でタグ付けされたハイパーリンクをアーカイブ(保存)する時にはいつでも、ネットページページサーバは、対応するアプリケーションID64をペンID61と共にエイリアスID65へとコード変換(翻訳)するようネットページ登録サーバに求める。その後、エイリアスIDは、ハイパーリンクのアプリケーションに提出される。
アプリケーションは、エイリアスIDでインデックス付けされた状態情報を保持するとともに、ユーザの世界的な同一性の知識を必要とすることなく、ユーザ固有の状態情報を検索することができる。
また、アプリケーション固有の情報を使用してユーザのためにアプリケーショントランザクションにサインをすることができるように、システムは、ユーザのアプリケーション毎に、独立の証明書および秘密サインキーを保持する。
ルーティング・プロダクト・バーコード(UPC)“ハイパーリンク”起動時にシステムを支援するため、システムは、任意の数の商品タイプに関して、ユーザのために気に入ったアプリケーションを記録する。
各アプリケーションは、アプリケーションプロバイダに関連付けられており、また、システムは、各アプリケーションプロバイダのためにアカウントを保持して、クリックスルー料金に関してプロバイダに返金および借金することができるようにする。
アプリケーションプロバイダは、定期出版物の予約購読されたコンテンツの発行者であっても良い。システムは、予約購読された出版物を受けようとするユーザの意欲と、出版物の期待度数とを記録する。
4.5 リソース記述および著作権
リソース記述クラス図の好ましい実施の形態が図40に示されている。
各文書およびコンテンツオブジェクトは、1または複数のリソース記述842によって記載されても良い。リソース記述は、電子リソースの発見を容易にするように形成されたダブリン・コア・メタデータ要素セットを使用することが好ましい。ダブリン・コア・メタデータは、ワールドワイドウェブ協会(W3C)のリソース記述フレームワーク(RDF)に従う。他のダブリン・コア・メタデータ要素セットを使用しても良い。
リソース記述は、権利ホルダ920を識別しても良い。ネットページシステムは、ユーザが著作権コンテンツを印刷する際に、著作権料をユーザから権利ホルダへ自動的に送信する。
5.通信プロトコル
通信プロトコルは、エンティティ間での順序付けられたメッセージのやりとりを規定する。ネットページシステムにおいて、ペン、プリンタ、サーバ等のエンンティティは、所定のプロトコルを使用することにより、協働してユーザとネットページシステムとのやりとりを扱う。
各プロトコルがシーケンス図によって示されている。このシーケンス図においては、メッセージの流れを示すために水平寸法が使用され、時間を示すために垂直寸法が使用されている。各エンティティは、エンティティの名前を含む矩形と、エンティティの寿命を示す垂直列とによって表わされている。エンティティが存在している時間中、寿命が破線で示される。エンティティがアクティブである時間中、寿命が二重線で示される。ここで考慮されているプロトコルは、エンティティを形成したり破壊したりしないため、エンティティのプロトコルへの関与が終わると、一般に、線が途切れる。
5.1 予約購読供給プロトコル
予約購読供給プロトコルの好ましい実施の形態が図43に示されている。
多数のユーザは、定期出版物を予約購読することができる。各ユーザ版は、様々にレイアウトされても良いが、多くのユーザ版は、テキストオブジェクトや画像オブジェクト等の共通のコンテンツを共有する。したがって、予約購読供給プロトコルは、ポイントキャストにより文書構造を個々のプリンタに供給するが、マルチキャストにより共有コンテンツオブジェクトを供給する。
アプリケーション(すなわち、発行者)は、最初に、IDサーバ12から各文書毎に文書ID51を得る。その後、アプリケーションは、その文書IDおよびページ記述を含む各文書構造を、文書の新たに割り当てられたIDを担うページサーバ10に送る。アプリケーションは、それ自身のアプリケーションID64と、予約購読者のエイリアスID65と、関連するマルチキャストチャンネル名のセットとを有している。アプリケーションは、その秘密サインキーを使用してメッセージにサインをする。
ページサーバは、アプリケーションIDおよびエイリアスIDを使用して、登録サーバから、対応するユーザID60と、ユーザの選択されたプリンタID62(アプリケーションのために明示的に選択されても良く、あるいは、ユーザの規定のプリンタであっても良い)と、アプリケーションの証明書とを得る。
アプリケーションの証明書によって、ページサーバは、メッセージサインを確認することができる。アプリケーションIDおよびエイリアスIDが共に予約購読808を識別しない場合、登録サーバに対するページサーバの要求が機能しなくなる。
その後、ページサーバは、文書インスタンスIDおよびページインスタンスIDを割り当てるとともに、ページID50を含むページ記述をプリンタに転送する。ページサーバは、プリンタが耳を傾けることができるように、関連するマルチキャストチャンネル名のセットを含んでいる。
その後、ページサーバは、その後の参照のために、新たに割り当てられたページIDをアプリケーションに戻す。
アプリケーションは、全ての文書構造を、関連するページサーバを介して、予約購読者の選択されたプリンタに対して分配すると、様々な共有オブジェクトのサブセットを、予め選択されたマルチキャストチャンネルにマルチキャストする。ページサーバおよびプリンタの両方は、適切なマルチキャストチャンネルを監視するとともに、それらの要求されたコンテンツオブジェクトを受ける。その後、ページサーバおよびプリンタは、予めポイントキャストされた文書構造を占めることができる。これにより、ページサーバは、文書全体をそれらのデータベースに加えることができ、プリンタが文書を印刷することを許容する。
5.2 ハイパーリンク起動プロトコル
ハイパーリンク起動プロトコルの好ましい実施の形態が図45に示されている。
ユーザがネットページペンを用いてネットページ上をクリックすると、ペンは、そのクリックを最も近いネットページプリンタ601に通信する。クリックは、ページおよびページ上の場所を識別する。プリンタは、ペン接続プロトコルからペンのID61を既に知っている。
プリンタは、DNSにより、特定のページID50を扱うページサーバ10aのネットワークアドレスを判断する。ユーザが同じページと最近やりとりした場合には、アドレスが既にそのキャッシュ内にあっても良い。その後、プリンタは、ペンIDと、それ自身のプリンタID62と、ページIDと、クリック位置とを、ページサーバに転送する。
ページサーバは、ページIDによって識別されたページ記述5をロードするとともに、もしあるとすればクリックがどの入力要素の領域58にいるのかを判断する。関連する入力要素がハイパーリンク要素844である場合、ページサーバは、対応するアプリケーションID64およびリンクID54を取得するとともに、DNSにより、アプリケーション71を採用するアプリケーションサーバのネットワークアドレスを決定する。
ページサーバは、ペンID61を使用して、登録サーバ11から対応するユーザID52を得た後、世界的に固有のハイパーリンク要求ID52を割り当て、ハイパーリンク要求934を形成する。ハイパーリンク要求クラス図が図44に示されている。ハイパーリンク要求は、要求するユーザおよびプリンタのIDを記録するとともに、クリックされたハイパーリンクインスタンス862を識別する。その後、ページサーバは、それ自身のサーバIDと、ハイパーリンク要求IDと、リンクIDとを、アプリケーションに送る。
アプリケーションは、アプリケーション固有の論理にしたがって、応答文書を形成するとともに、IDサーバ12から文書ID51を得る。その後、アプリケーションは、文書の新たに割り当てられたIDと、要求するページサーバのIDと、ハイパーリンク要求IDとを担うページサーバ10bに文書を送る。
第2のページサーバは、ハイパーリンク要求IDおよびアプリケーションIDを第1のページサーバに送り、対応するユーザIDおよびプリンタID62を得る。ハイパーリンク要求が終了した場合、または、ハイパーリンク要求が異なるアプリケーションのためである場合、第1のページサーバは要求を拒絶する。
第2のページサーバは、文書インスタンスおよびページID50を割り当て、新たに割り当てられたページIDをアプリケーションに戻すとともに、文書全体をそれ自身のデータベースに加えて、最後にページ記述を要求するプリンタに贈る。
ハイパーリンクインスタンスは、重要なトランザクションID55を有していても良い。この場合、第1のページサーバは、アプリケーションに対して送られたメッセージ中にトランザクションIDを含んでいる。これにより、アプリケーションは、ハイパーリンク起動のため、トランザクション固有のコンテキストを確立することができる。
ハイパーリンクがユーザエイリアスを要求する場合、すなわち、その“エイリアス要求された”属性が設定される場合、第1のページサーバは、ペンID61およびハイパーリンクのアプリケーションID64の両方を登録サーバ11に送り、ペンIDに対応するユーザIDだけでなく、アプリケーションIDおよびユーザIDに対応するエイリアスID65も取得する。第1のページサーバは、アプリケーションに対して送られたメッセージ中にエイリアスIDを含んでおり、これにより、アプリケーションは、ハイパーリンク起動のため、ユーザ固有のコンテキストを確立することができる。
5.3 手書き認識プロトコル
ユーザがネットページペンを用いてネットページ上にストロークを描くと、ペンは、そのストロークを最も近いネットページプリンタに通信する。ストロークは、ページおよびページ上の経路を識別する。
プリンタは、ペンID61と、それ自身のプリンタID62と、ページID50と、ストロークパスとを、通常の方法でページサーバ10に転送する。
ページサーバは、ページIDによって識別されたページ記述5をロードするとともに、もしあるとすればストロークがどの入力要素の領域58を横切るかを判断する。関連する入力要素がテキストフィールド878である場合、ページサーバは、そのストロークをテキストフィールドのデジタルインクに付与する。
ページサーバは、テキストフィールドの領域内においてアクティブでない期間の後、ペンIDおよび係属中のストロークを判断するために登録サーバ11に送る。登録サーバは、ペンに対応するユーザを識別するとともに、ユーザの蓄積された手書きモデル822を使用して、手書きされたテキストとしてストロークを判断する。登録サーバは、ストロークをテキストに変換すると、そのテキストを要求するページサーバに戻す。ページサーバは、そのテキストをテキストフィールドのテキスト値に付与する。
5.4 サイン照合プロトコル
その領域をストロークが横切る入力要素がサインフィールド880である場合、ページサーバ10は、ストロークをサインフィールドのデジタルインクに付与する。
ページサーバは、サインフィールドの領域内においてアクティブでない期間の後、ペンID61および係属中のストロークを照合するために登録サーバ11に送る。登録サーバは、サインフィールドが一部を成すフォームに関連付けられたアプリケーションID64と、フォームIDと、現在のデータコンテンツ(データ内容)とを送る。登録サーバは、ペンに対応するユーザを識別するとともに、ユーザのダイナミックサインバイオメトリック818を使用して、ストロークをユーザのサインとして確認(照合)する。登録サーバは、サインを照合すると、アプリケーションID64およびユーザID60を使用して、ユーザのアプリケーション固有の秘密サインキーを識別する。その後、登録サーバは、そのキーを使用して、フォームデータのデジタルサインを形成するとともに、そのデジタルサインを要求するページサーバに戻す。ページサーバは、デジタルサインをサインフィールドに割り当てるとともに、対応するフォームの状態を凍結する。
デジタルサインは、対応するユーザのエイリアスID65を含んでいる。これにより、1つのフォームは、複数のユーザのサインを取得することができる。
5.5 フォーム提出プロトコル
フォーム提出プロトコルの好ましい実施の形態が図46に示されている。
フォーム提出は、フォームハイパーリンク起動によって行なわれる。したがって、フォーム提出は、幾つかのフォーム固有の付与(追加)を伴って、項目5.2に規定されたプロトコルに従う。
また、フォームハイパーリンクの場合、ページサーバ10によってアプリケーション71に送られるハイパーリンク起動メッセージは、フォームID56と、フォームの現在のデータコンテンツ(データ内容)とを含んでいる。フォームが任意のサインフィールドを含んでいる場合、アプリケーションは、対応するデジタルサインに関連付けられたエイリアスID65を抽出し且つ登録サーバ11から対応する証明書を得ることにより、各サインフィールドを確認する。
5.6 手数料支払いプロトコル
手数料支払いプロトコルの好ましい実施の形態が図47に示されている。
電子商取引環境においては、クリックスルー、トランザクション、セールでアプリケーションプロバイダから発行者に料金および手数料を支払っても良い。また、料金に関する手数料および手数料に関する手数料を発行者からプリンタのプロバイダへ支払うことができても良い。
対象のアプリケーションプロバイダ(ターゲットアプリケーションプロバイダ)70a(例えば取引先)からソースアプリケーションプロバイダ70b(例えば発行者)へ、また、ソースアプリケーションプロバイダ70bからプリンタプロバダ72へ、料金または手数料の入金(credit)を送るために、ハイパーリンク要求ID52が使用される。
項目5.2で説明したように、ハイパーリンクが最初に起動される(アクティブにされる)と、ターゲットアプリケーションは、ページサーバ10からハイパーリンク要求IDを受ける。ターゲットアプリケーションは、ソースアプリケーションプロバイダに入金する必要がある場合、ハイパーリンク要求IDと共にアプリケーションプロバイダの入金を当初のページサーバに送る。ページサーバは、ハイパーリンク要求IDを使用してソースアプリケーションを識別するとともに、ソースアプリケーションID64、それ自身のサーバID53、ハイパーリンク要求IDと共に入金を関連する登録サーバ11に送る。登録サーバは、対応するアプリケーショプロバイダの口座827に入金する。また、登録サーバは、アプリケーションプロバイダに通知する。
アプリケーションプロバイダは、プリンタプロバイダに入金する必要がある場合、ハイパーリンク要求IDと共にプリンタプロバイダの入金を当初のページサーバに送る。ページサーバは、ハイパーリンク要求IDを使用してプリンタを識別するとともに、プリンタIDと共に入金を関連する登録サーバに送る。登録サーバは、対応するプリンタプロバイダの口座814に入金する。
ソースアプリケーションプロバイダは、随意的に、ターゲットアプリケーションプロバイダの同一性を知らされるとともに、プリンタプロバイダは、ソースアプリケーションの同一性が知らされる。
6. ネットページペン記述
6.1 ペンメカニクス
図8および図9を参照すると、ペンは、全体として参照符号101で示されており、ハウジング102を有している。ハウジング102は、ペンの部品を装着するための内部空間104を形成する壁103を有するプラスチック成形品の形態を成している。ペントップ105は、ハウジング102の一端部106に、操作時に回転できるように装着されている。ハウジング102の反対側の端部108には、半透明のカバー107が固定されている。また、カバー107は、成形プラスチックから成り、ハウジング102内に装着された状態LED116をユーザが見ることができるように、半透明材料によって形成されている。カバー107は、ハウジング102の端部108をほぼ取り囲む主部109と、主部109から後側に突出し且つハウジング102の壁103に形成された対応する溝111内に嵌合する突出部110とを有している。ハウジング102内には、突出部110の後側に、無線アンテナ112が装着されている。金属末端部品114を受けるために、カバー107の開口113Aを取り囲むネジ113が設けられている。金属末端部品114は対応するネジ115を有している。金属末端部品114は、インクカートリッジを交換できるように、取り外し可能になっている。
また、カバー107内には、フレックスPCB117上に、3色状態LED116が装着されている。フレックスPCB上には、アンテナ112も装着されている。状態LED116は、全周にわたって良く見えるように、ペン101の先端に装着されている。
ペンは、通常のマーキングインクペンおよびマーキングでないスタイラスペンとして機能することができる。ハウジング102内には、ペン先119を有するインクペンカートリッジ118およびスタイラスペン先121を有するスタイラス120が並設されている。ペントップ105の回転により、インクカートリッジペン先119またはスタイラスペン先121のいずれか一方を金属末端部品114の開口端122を通じ押し進めることができる。インクカートリッジ118およびスタイラス120には、各スライダブロック123,124が装着されている。回転可能なカムバレル125は、操作時にペントップ105に固定されており、ペントップ105と共に回転するように設けられている。カムバレル125は、カムバレルの壁181に形成された溝の形態を成すカム126を有している。スライダブロック123,124から突出するカム従動子127,128は、カム溝126内に嵌合する。カムバレル125が回転すると、スライダブロック123または124が相対的に移動して、ペンのペン先119またはスタイラスペンのペン先121のいずれか一方が金属末端部品114の穴122から突出する。ペン101は3つの操作状態を有している。ペントップ105を90°段階的に回転させることにより、以下の3つの状態が得られる。
・スタイラス120のペン先121が出る
・インクカートリッジ118のペン先119が出る
・インクカートリッジ118のペン先119およびスタイラス120のペン先121のいずれも出ない
第2のフレックスPCB129は、ハウジング102内に設置されたエレクトロニクスシャーシ130上に装着されている。第2のフレックスPCB129は、赤外線を形成して表面上に放射する赤外線LED131を実装している。第2のフレックスPCB上には、表面から反射した放射線を受ける画像センサ132が装着して設けられている。また、第2のフレックスPCB129は、RF送信器およびRF受信器を有する無線周波数チップ133と、ペン101の動作を制御するコントローラチップ134とを実装している。光学ブロック135(成形透明プラスチックによって形成された)は、カバー107内に配置されており、赤外線ビームを表面上に放射して、画像センサ132上に画像を受ける。給電ワイヤ136は、第2のフレックスPCBの構成部品を、カムバレル125内に取り付けられたバッテリ接点137に接続する。バッテリ接点137およびカムバレル125には端子138が接続している。カムバレル125内には、バッテリ接点と接触した状態で、3ボルト再充電可能バッテリ139が配置されている。第2のフレックスPCB129の周囲には、誘導によってバッテリ139を再充電することができる誘導充電コイル140が装着されている。また、第2のフレクスPCB129は、ペンのペン先119またはスタイラスペンのペン先121によって表面に加えられる力を判断できるように、スタイラスペン120またはインクカートリッジ118を使用して書く時のカムバレル125の変位を検知する赤外線LED143および赤外線フォトダイオード144を実装している。IRフォトダイオード144は、スライダブロック123,124上に装着されたリフレクタ(図示せず)を介して、IR LED143からの光を検知する。
ペン101の把持に役立つように、ゴムグリップパッド141,142は、ハウジング102の端部108に向って設けられている。また、ペントップ105は、ペン101をポケットに引掛けるためのクリップ142を有している。
6.2 ペンコントローラ
ペン101は、ペン先の近傍の表面領域を赤外線スペクトルで画像化することによりペンのペン先(スタイラスペンのペン先121またはインクカートリッジのペン先119)の位置を判断するように構成されている。ペンは、最も近い位置タグからの位置データを記録するとともに、光学素子135およびコントローラチップ134を使用して位置タグからのペン先121,119の距離を計算するように構成されている。コントローラチップ134は、画像化されたタグ上で観察される透視歪みから、ペンの方向およびペン先とタグとの間の距離を計算する。
位置タグからの制御データは、ペンにその「アクティブ領域」LED(これは、実際、3色LED116の1つのモードであり、撮像されている領域が「アクティブ領域」であることをペンが制御データから判断すると黄色になる)を活性化するように命令する制御ビットを含んでよい。したがって、ボタンまたはハイパーリンクのアクティブ領域に対応する表面上の領域は、このLEDを活性化するためにコード化されて、ペン101がボタンまたはハイパーリンク上を通過するときにそれらがアクティブであるという視覚的フィードバックをペンのユーザに提供することができる。また、制御データは、ペンに連続的なペン圧読取値を取り込むように命令してもよい。したがって、署名入力領域に対応する表面上の領域は、連続的なペン圧を取り込むためにコード化することができる。
表面に対するペンの動作は、一連のストロークを含むことがある。ストロークは、ペンダウン事象により開始されペンアップ事象により完了する、タイムスタンプされたペンの表面上の位置のシーケンスからなる。ペン圧は、例えば、ペンが署名を取り込んでいるとき、ペンが「アップ」または「ダウン」のどちらかを示すための閾値に対して解釈されるとともに、連続値として解釈されることができることに留意されたい。取り込まれたストロークのシーケンスは、いわゆる「ディジタルインク」を構成する。ディジタルインクは、手書きのオンライン認識と署名のオンライン確認のために、手描きと手書きのディジタル交換の基準を形成するように、コンピュータシステムと共に使用することができる。
RFチップ133とアンテナ112を使用して、ペン101は、ディジタルインクデータ(セキュリティのために暗号化され、効率的に伝送するためパッケージングされている)をコンピュータシステムに送信することができる。
ペンが受信機の範囲にあるとき、ディジタルインクデータは、形成されたときに送信される。ペンが範囲外に動くとき、ディジタルインクデータを、ペン内でバッファリングして(ペンの回路は、ペンが表面上で動く約12分間、ディジタルインクデータを格納するように構成されているバッファを含む)、後に送信することができる。
コントローラチップ134は、ペン内の第2のフレックスPCB129上に実装されている。図10は、コントローラチップ134の構造を詳細に示すブロック図である。また、図10は、RFチップ133、画像センサ132、3色状態LED116、IR照明LED131、IR力センサLED143、力センサフォトダイオード144の代表的な例を示している。
ペンコントローラチップ134は、制御プロセッサ145を有している。バス146は、コントローラチップ134の構成部品間でのデータのやりとりを可能にする。フラッシュメモリ147および512KB DRAM148も含まれている。A/D変換器149は、力センサフォトダイオード144からのアナログ信号をデジタル信号に変換するために設けられている。
画像センサインタフェース152は画像センサ132と接続している。また、RF回路155とアンテナ112に接続されたRF共振器・誘導子156とを有するRFチップ133に接続するようにトランシーバコントローラ153およびベースバンド回路154も含まれている。
制御プロセッサ145は、表面からのタグからの位置データを画像センサ132によって取得してデコードするとともに、力センサフォトダイオード144を監視してLED116,131,143を制御し、無線トランシーバ153により短距離無線通信を行なう。制御プロセッサは、中程度の性能(〜40MHz)の汎用RISCプロセッサである。
プロセッサ145、デジタルトランシーバ構成部品(トランシーバコントローラ153およびベースバンド回路154)、画像センサインタフェース152、フラッシュメモリ147、512KB DRAM148は、1つのコントローラASICに集積されている。アナログRF構成部品(RF回路155およびRF共振器・誘導子156)は、別個のRFチップ内に設けられている。
イメージセンサは、IRフィルタを有する近似解像度が215×215画素のCCDである(このようなセンサは、Matsushita Electronic Corporationにより製造され、Itakura、K T Nobusada、N Okusenya、R Nagayoshi、およびM Ozaki、「A 1mm 50k−Pixel IT CCD Image Sensor for Miniature Camera System」、IEEE Transactions on Electronic Devices、Volt 47、number 1、2000年1月の論文に記述されている。これは、参照により本願明細書に援用されたものとする)。
コントローラASIC134は、ペン101が表面と接触していない場合、アクティブではない時間後に静止状態を入力する。コントローラASIC134は、力センサフォトダイオード144を監視し且つペンを下ろした際にパワーマネージャ151によってコントローラ134の目を覚まさせる専用の回路150を組み込んでいる。
無線トランシーバは、通常において携帯電話により使用される使用許諾されていない900MHz帯域で、または、使用許諾されていない2.4GHzの工業・科学・医療(ISM)帯域で、通信を行なうとともに、周波数ホッピングおよび衝突検知を使用して、干渉が無い通信を行なう。
6.3 ペン光学機器
上述したように、ペン光学機器は、成形された光学機器本体135により与えられる。図67に、光学機器本体135により与えられた光学機器を略図的に示す。この光学機器は、赤外LED131からの放射を焦点合わせするための第1のレンズ157、ミラー158、ビームスプリッタ159、対物レンズ160、およびイメージセンサ132上に画像のピントを合わせるための第2のレンズ161を含む。軸方向の光線162は光路を示す。
光路は、シャープな画像を、要求された傾き範囲内で視野錘体192と交差する被撮像表面の該当部分193のイメージセンサ132に分配するようにデザインされている(以下参照)。主な焦点合わせ要素は、対物レンズ160である。また、これは、視野内の表面上にIR照射LED131からの照射を投影するためにも逆に使用される。対物レンズの焦点にイメージセンサ132とIR LED131の両方を配置することは実用的でないため、ビームスプリッタ159を使用してこの光路を分割し、各通路にリレーレンズ157および161を分離することにより、イメージセンサ132およびIR LED131でそれぞれに再焦点合わせを行う。また、これにより、この2つの光路上に異なる口径を置くことも可能になる。
イメージセンサ132のエッジはキャプチャフィールドのフィールドストップとして作用し、キャプチャ経路は、その結果生じる物体空間の角度視野が要求通りになるようにデザインされている(すなわち、この実施形態の応用の場合20°ぎりぎり)。照射経路はキャプチャ経路と同じ物体空間視野を生成するようにデザインされているため、照明は、物体空間視野を最大パワーと均一性で満たす。
IR LED 131はフレームキャプチャと同期させてストローブされる。焦点合わせされた照明を使用することにより、短時間露光と小さい口径の両方が可能になる。短時間露光により運動のぼけが防止され、したがって、ペン移動中の位置タグのデータを取り込むことができるようになる。口径が小さいことによって、傾きにより生じる表面全範囲の奥行きに対して、フィールドの奥行きが十分な大きさにすることができる。キャプチャ経路は、この目的のための明白な口径ストップ191を含む。
イメージセンサ132は、可視および近赤外部分のスペクトル全体に強い応答を有するため、キャプチャ経路上でこれの前に赤外線フィルタ163を配置することにより、赤外線フィルタ163は、近赤外線に透過するインクを使用して印刷されることがある表面上の他のグラフィックから干渉されずに、表面上のタグデータのクリーン画像を取り込む。
6.4 ペン処理
ペンのスタイラスニブ121またはインクカートリッジニブ119が表面と接触しているとき、ペンは、その位置と表面に対する配向を100Hzで決定して、正確に手書き認識をすることができる(Tappert,C、C Y Suen、 およびT Wakahara、「The State of the Art in On−Line Hand Writing Recognition」IEEE Transactions on Patent Analysis and Machine Intelligence、Vol.12、number 8、August 1990の文献を参照されたい。この開示は、相互参照により本願明細書に援用されたものとする)。力センサフォトダイオード144は、ペンが「アップ」であるか「ダウン」であるかの相対閾値を示すために利用される。上述したように、力は連続値としても取り込まれ、署名の全力学を確認することができる。
ペンは、表面上のニブの位置および配向119および121を、赤外線スペクトルで、ニブ119および121付近の表面領域を撮像することにより決定する。ペンは、最も近いタグデータを復号し、位置タグに対するニブ119、121の位置を、撮像されるタグ上の観測される透視ひずみとペン光学機器135の既知の幾何学的配置から計算する(以下参照)。タグの位置解像度は低くてもよいが、調節された位置解像度は非常に高く、正確な手書き認識に要求される200dpi解像度を容易に超えるものである(上記参照)。
表面に対するペンの動作は一連のストロークとして取り込まれる。ストロークは、ペンダウン事象により開始されペンアップ事象により完了する、タイムスタンプされたペンの表面上の位置のシーケンスからなる。また、ストロークは、表面の領域IDが変更するたびに、すなわち、通常の環境下におけるストロークの開始時に、領域IDでタグ付けされる。上述したように、各位置タグは、表面上の位置を表すデータと、タグを存在する表面の領域を表す領域データも含む。
図68は、ペン内の位置タグおよびストローク処理を示す図である。ペンコントローラ134は、空のストロークを開始する(164において)。次いで、力センサフォトダイオード144を介して、ニブ力を継続的にサンプリングし(165において)、ペンダウン状態をチェックする(166において)。ペンがペンダウン状態にあれば、ペンコントローラ134は、表面の画像を取り込み(167において)、取り込んだ画像にタグの位置を決め(168において)、タグからデータを復号し(169において)、表面に対するペン位置および配向を推測し(170において)、現行ストロークデータに位置データを追加する(171において)。ペンアップ事象を検出すると、すなわち、空でないストロークの存在により示されたペンダウン状態後のペンアップ状態を検出すると(172において)、ペンコントローラ134は、ストロークデータを暗号化し(173において)、RFチップ133およびアンテナ112を介してコンピュータシステムにストロークデータを送信する(174において)。次いで、別の空のストロークを開始する。
適度に速い8ビットが増加すると仮定すると(3サイクル)、処理アルゴリズムは、ペンがアクティブなときにプロセッサの時間の約80%を使用する(以下参照)。
ペンが送信するコンピュータシステムの範囲外にあれば、ペンは、ディジタルインクをその内部メモリにバッファする。ペンは、ペンが次にコンピュータシステムの範囲内にあるときに任意のバッファされたディジタルインクを送信する。ペンの内部メモリがいっぱいのとき、ペンは、ディジタルインクの取り込みを中止し、その代わりに、ユーザがペンで書こうとするときはいつでもエラーLEDを点滅させる。
表4に、ペンからコンピュータシステムに送信される未加工ディジタルインクの構成要素を列挙する。図69は、未加工ディジタルインクの構造を示す図である。ペンがオフライン作業中にペンにバッファされるディジタルインクは、システムに送信されるディジタルインクと同じ形式で格納される。
ペン101がコンピュータシステムと接続するとき、コントローラ134は、未加工ディジタルインクヘッダ182の形で、ペンID、ニブID、現在の絶対時間、およびオフラインになる前にペンがシステムから獲得した最終絶対時間をシステムに通知する。これにより、システムは、ペンのクロックの任意のドリフトを計算し、これに応じて、ペンから受信した任意のディジタルインクをタイムシフトすることができる。次いで、ペンは、リアルタイムクロックをシステムの正確なリアルタイムクロックと同期させる。ペンIDにより、コンピュータシステムで作動中のペンが複数ある場合、コンピュータシステムがペンを識別することができる。ペンIDは、例えば、ペンを使用してペンの所有者を識別し、その所有者と特定の指示された方法で対話するようなシステムにおいて重要となる場合がある。別の実施形態において、これは必要とされない場合がある。ニブIDにより、コンピュータシステムは、どのニブ、スタイラスニブ121、またはインクカートリッジニブ119が現在使用されているかを識別することができる。コンピュータシステムは、どのニブが使用されているかに応じて、動作を変更することができる。例えば、インクカートリッジ119が使用中であれば、表面上に作られたインクマーキングにより直接的なフィードバックが提供されるため、コンピュータシステムは、フィードバック出力の生成を延期することができる。スタイラスニブ121が使用されている場合、コンピュータシステムは、直接的なフィードバック出力を生成することができる。
ストローク開始時、ペンコントローラ134は、未加工ストロークヘッダ183に、システムに通知された最終絶対時間以降の経過時間を記録する。ストロークにおける各ペンの位置に対して、コントローラ134は、未加工ペン位置177の形で、現行タグからのペンニブ119、121のxおよびyオフセット、ペンのx、y、およびz回転、およびニブ力を記録する。変更があった場合には、タグ変更178の形で、タグID(領域内のタグを識別する)を記録するだけである。タグの周波数は通常の位置サンプリングの周波数よりも小さいため、タグIDは、多くの連続的なペン101位置に対して一定であり、ストロークが短ければ、ストローク全体に対して一定であってよい。
ペンが、100Hzで位置と配向をサンプリングするため、ストローク内のペンの位置は、100Hzで暗黙的にクロックされ、明白なタイムスタンプを必要としない。ペンが、例えば、タグを復号できないなどの理由でペン位置を計算できなければ、ペンは、暗黙的クロックを保存するために依然としてペン位置を記録しておかなければならない。したがって、ペンは、未知ペン位置179の形で、位置を未知として記録することにより、コンピュータシステムが、必要に応じて、隣接するサンプルから位置を後で補間することができるようにする。
ストロークの32ビット時間オフセットが有限範囲を有するため(すなわち、49.7日)、ペンは、時間変更176の形で、ストロークに対する絶対時間を選択的に記録する。これは、この後のストロークの時間オフセットが測定される絶対時間になる。
領域IDが多くの連続的なストロークに対して一定であるため、ペンは、領域変更180の形で、領域IDが変更したときにそれを記録するだけである。これは、この後のペン位置に暗黙的に関連付けられる領域IDになる。
ユーザは、あるストロークから次のストロークの間でニブ119、121を変更することができるため、ペンは、ニブ変更175の形で、ストロークに対するニブIDを選択的に記録する。これは、この後のストロークに暗黙的に関連付けられるニブIDになる。
ストロークの各構成要素は、表5に列挙するように、エントロピーコード化プレフィックスを有する。
持続時間1秒の10mmのストロークは、2つまたは3つのタグにわたり、100個の位置サンプルを含み、したがって、約5500ビットのサイズを有する。したがって、オンラインの連続ディジタルインクキャプチャには、5.5Kbpsの最大伝送速度が必要となり、オフラインの連続ディジタルインクキャプチャには、1分当たり約40Kbyteのバッファメモリが必要となる。したがって、ペンの512KB DRAM48は、12分を超える連続ディジタルインクを保持することができる。時間、領域、およびニブの変更は、要求される伝送速度とバッファメモリに対して無視できる程度の影響しかもたないほど少ない頻度でしか発生しない。ペン位置のさらなる圧縮により、伝送速度とバッファメモリ要件をさらに低減することができる。
各未加工ストロークは、コンピュータシステムに送信される前に、Triple−DESアルゴリズム(Schneier,B、Applied Cryptography、Second Edition、Wiley 1996。この開示は、相互参照により本明細書に援用されたものとする)を使用して暗号化される。ペンとコンピュータシステムは、この目的のために定期的にセッション鍵を交換する。暗号化ビット当たり50サイクルという控え目な推定に基づくと、1秒5500ビットストロークの暗号化は、プロセッサ45の時間の0.7%を消費する。
6.5 他のペンの実施形態
代替実施形態において、ペンは、基地局またはネットページプリンタとの短距離通信の場合、赤外線データ協会(IrDA:Infrared Data Association)インタフェースを組み込んでいる。
さらなる実施形態において、ペン101は、ペン軸の垂直平面に取り付けられた一対の直交加速度計を含む。図9および図10に、加速度計190を仮輪郭線で示す。
加速度計を設けることにより、ペンのこの実施形態は、表面位置タグを参照せずに運動を感知することができ、位置タグはより低い速度でサンプリングすることができる。次いで、各位置タグIDは、表面上の位置ではなく着目する対象物を識別することができる。例えば、対象物がユーザインターフェース入力要素であれば(例えば、コマンドボタン)、入力要素の領域内にある各位置タグのタグIDは、入力要素を直接的に識別することができる。
加速度計によりxおよびyのそれぞれの方向に対して測定される加速度は、瞬間速度と位置を生成するために時間に関して積分される。
ストロークの開始位置は未知であるため、ストローク内の相対位置だけが計算される。位置の積分により、感知された加速度のエラーが蓄積されるが、加速度計は、通常、高解像度を有し、エラーが蓄積されるストロークの持続時間は短い。
7. ネットページプリンタ記述
7.1 プリンタメカニズム
垂直に装着されたネットページ壁プリンタ610が図11に完全に組み立てられた状態で示されている。図12および図12aに示されるように、ネットページ壁プリンタ610は、両面(複合)8 1/2Memjet(登録商標)プリントエンジン602,603レター/A4サイズの媒体上にネットページを印刷する。ネットページ壁プリンタは直線状の紙経路を使用する。この場合、紙604は、完全に裁ち切りでシートの両面を同時にフルカラー印刷する両面プリントエンジン602,603を通過する。
内蔵接着システム605は、印刷された各シートの一端縁に沿って接着剤のストリップを塗布することにより、シートを前回のシートに押し付けて接着することができる。これにより、最終的に、1シート〜数百シートの範囲の厚さとなり得る装丁された文書618が形成される。
両面プリントエンジンに連結された図13に示される交換式のインクカートリッジ627は、定着材、接着剤およびシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、赤外インクを格納するための嚢(袋)またはチャンバを有している。また、カートリッジは、ベース成形品内にミクロエアフィルタを有している。ミクロエアフィルタは、ホース639を介して、プリンタの内側のエアポンプ638に接続している。これにより、濾過された空気を印字ヘッドに供給し、微少粒子がMemjet(登録商標)印字ヘッド350内に侵入して印字ヘッドノズルが詰まってしまうことを防止する。エアフィルタをカートリッジ内に組み込むことにより、フィルタの稼働寿命がカートリッジの寿命と有効にリンクする。インクカートリッジは、3000ページ(1500シート)を印刷して接着できる能力をもって、完全にリサイクルできる製品である。
図12に示されるように、伝動の媒体ピックアップローラアセンブリ626は、第1のプリントエンジン602の紙センサを通り過ぎて媒体トレイから直接送り込まれる一番上にあるシートを、両面Memjet(登録商標)印字ヘッドアセンブリへと押し出す。2つのMemjet(登録商標)プリントエンジン602,603は、直線状の紙経路に沿って対向して一列に連続する形態で装着されている。紙604は、内蔵電動ピックアップローラ626によって、第1のプリントエンジン602内に引き込まれる。紙604の位置およびサイズが検知されて、完全裁ち切り印刷(full bleed printing)が開始される。できるだけ短時間で乾くように、定着材が同時に印刷される。
紙は、ゴム引きされたローラに抗する一組の電動出口スパイクホイール(直線状の紙経路に沿って一列に並べられる)を介して、第1のMemjet(登録商標)プリントエンジン602から排出する。これらのスパイクホイールは、“濡れた”印刷面と接触して、シート604を第2のMemjet(登録商標)プリントエンジン603内へと供給する。
図12および図12aに示されるように、紙604は、両面プリントエンジン602,603から接着アセンブリ605へと送られる。印刷されたページは、繊維質の支持ローラを有する電動スパイクホイール軸670と、スパイクホイールおよび瞬間作用接着剤ホイールを有する他の可動軸との間を通る。可動軸/接着剤アセンブリ673が金属支持ブラケットに装着されており、ページは、前方に搬送され、カムシャフトの作用によりギアを介して電動軸670と接続する。別個のモータがこのカムショフトに動力を供給する。
接着剤ホイールアセンブリ673は、インクカートリッジ627からの接着供給ホース641のための回転カップリングを有する複数の中空の軸679から成る。この軸679は、接着剤ホイールに接続しており、放射状の穴を通じた毛細管作用により接着剤を吸収する。正面に開口を有する成形ハウジング682が接着剤ホイールを取り囲んでいる。旋回するサイド成形品およびスプリング付きの外側ドアは、金属ブラケットに取り付けられており、アセンブリ673の残りの部分が前方に押されると、ヒンジで横向きに動く。この動きにより、成形ハウジング682の正面を通じて接着剤ホイールが露出する。非作動中において、引張りバネは、アセンブリを閉じて、接着剤ホイールを有効にキャップする。
シート604が接着剤ホイールアセンブリ673内に入ると、シートが接着アセンブリ605内ヘと下方に搬送されるにつれて、接着剤は、正面(文書の1番目のシートから離れた面)の一方の垂直縁部に塗布される。
7.2 プリンタコントローラ構造
図14に示されるように、ネットページプリンタコントローラは、制御プロセッサ750と、工場で組み込まれる或は現地で組み込まれるネットワークインタフェースモジュール625と、無線トランシーバ(トランシーバコントローラ753、ベースバンド回路754、RF回路755、RF共振器・誘導子756)と、デュアルラスター画像プロセッサ(RIP)DSP757と、両面プリントエンジンコントローラ760a,760bと、フラッシュメモリ658と、64MBのDRAM657とから成る。
制御プロセッサは、ネットワーク19およびローカル無線ネットページペン101と通信を行ない、ヘルプボタン617を感知するとともに、ユーザインタフェースLED613〜616を制御して給紙し、RIP DSP757とプリントエンジンコントローラ760とを同期させる。制御プロセッサは、中程度の性能の汎用マイクロプロセッサから成る。制御プロセッサ750は、高速シリアルバス659を介して、プリントエンジンコントローラ760と通信を行なう。
RIP DSPは、ページ記述を、ラスター化して、ネットページプリンタの圧縮されたページフォーマットへと圧縮する。各プリントエンジンコントローラは、ページ画像を、拡大してディザリングし、その対応するMemjet(登録商標)印字ヘッド350にリアルタイムで印刷する(毎分30ページを越える速度で)。両面プリントエンジンコントローラは、シートの両面を同時に印刷する。
マスタープリントエンジンコントローラ760aは、マスターQAチップ665およびインクカートリッジQAチップ761と協働して、紙搬送を制御してインクの使用を監視する。
プリンタコントローラのフラッシュメモリ658は、プロセッサ750およびDSP767の両方のためのソフトウエアを保持するとともに、コンフィギュレーション・データを保持する。これは、立ち上げ時(起動時)にメインメモリ657にコピーされる。
プロセッサ750、DSP757、デジタルトランシーバ構成部品(トランシーバコントローラ753およびベースバンド回路754)は、1つのコントローラASIC656に集積される。アナログRF構成部品(RF回路755およびRF共振器・誘導子756)は、別個のRFチップ762内に設けられている。工場で選択され或は現場で選択されるネットワーク接続をネットページプリンタが可能にするため、ネットワークインタフェースモジュール625は分離される。また、フラッシュメモリ658および2×256メガビット(64MB)DRAM657も外部である。プリントエンジンコントローラ760は、別個のASIC内に設けられている。
様々なネットワークインタフェースモジュール625が設けられている。各ネットワークインタフェースモジュールは、ネットページネットワークインタフェース751および任意にローカルコンピュータまたはネットワークインタフェース752を形成する。ネットページネットワークインターネットインタフェースは、POTSモデムと、ハイブリッド・ファイバ−同軸(HFC)ケーブルモデムと、ISDNモデムと、DSLモデムと、衛生トランシーバと、現在および次世代の携帯電話トランシーバと、無線加入者回線(WLL)トランシーバとを有している。ローカルインタフェースは、IEEE1284(パラレルポート)と、10ベース−Tおよび100ベース−Tイーサネットと、USBおよびUSB2.0と、IEEE1394(ファイヤ・ライン)と、様々な新しいホームネットワークインタフェースとを有している。インターネット接続がローカルネットワークで利用できる場合、ローカルネットワークインタフェースをネットページネットワークインタフェースとして使用することができる。
無線トランシーバ753は、携帯電話で通常使用されている使用許諾されていない900MHz帯域で、あるいは、使用許諾されていない2.4GHzの工業・科学・医療(ISM)帯域で、通信を行なうとともに、周波数ホッピングおよび衝突検知を使用して、干渉が無い通信を行なう。
プリンタコントロ−ラは、随意的に、ネットページカメラ等の装置から“噴出された”データを受けるための赤外線データ関連付け(IrDA)インタフェースを組み込んでいる。他の実施の形態において、プリンタは、適切に構成されたネットページペンと短距離通信のため、IrDAインタフェースを使用する。
7.2.1 ラスター化および印刷
メインプロセッサ750は、文書のページレイアウトおよびページオブジェクトを受けて確認すると、適当なRIPソフトウエアをDSP757上で実行する。
DSP757は、各ページ記述をラスター化するとともに、ラスター化されたページ画像を圧縮する。メインプロセッサは、圧縮された各ページ画像をメモリ内に記憶する。複数のDSPの負荷バランシングを行なう最も簡単な方法は、各DSPに別個のページをラスター化させることである。一般に、任意の数のラスター化されたページをメモリ内に記憶することができるため、DSPを常にビジー状態に維持することができる。短い文書をラスター化する時にDSPの利用を減らす方法は、この方法だけである。
ページ記述における透かし領域は、無視できるサイズまでロス無く圧縮され且つ圧縮されたページ画像の一部を形成するコントーン(contone)解像度バイレベル(bi−level)ビットマップにラスター化される。
印刷されたページの赤外線(IR)層は、コード化されたネットページタグを約6個/インチの密度で含んでいる。各タグは、ページID、タグID、制御ビットをエンコードするとともに、各タグのデータコンテンツ(データ内容)は、ラスター化中に形成され、圧縮されたページ画像中に記憶される。
メインプロセッサ750は、連続する(背中合わせの)ページ画像を、両面プリントエンジンコントローラ760に送る。各プリントエンジンコントローラ760は、圧縮されたページ画像をそのローカルメモリ内に記憶するとともに、ページ拡大および印刷パイプラインを開始する。ページ拡大および印刷は、パイプライン化される。これは、114MBバイレベル(2層)CMYK+IRページ画像の全てをメモリ内に記憶することは現実的でないからである。
7.2.2 プリントエンジンコントローラ
プリントエンジンコントローラ760のページ拡大および印刷パイプラインは、高速IEEE1394シリアルインタフェース659と、標準JPEGデコーダ763と、標準グループ4ファックスデコーダ764と、カスタムハーフトナー/合成器ユニット765と、カスタムタグエンコーダ766と、ラインローダ/フォーマッターユニット767と、Memjet(登録商標)印字ヘッド350へのカスタムインタフェース768とから成る。
プリントエンジンコントローラ360は、ダブルバッファリング方式で動作する。高速シリアルインタフェースによって1ページがDRAM769内にロードされる間、予めロードされたページは、DRAM769によって読み取られ、プリントエンジンコントローラパイプラインを通過する。ページの印刷が終了すると、たった今ロードされたページは、他のページがロードされる間に印刷される。
パイプラインの第1の段階は、JPEG圧縮されたコントーンCMYK層を拡大し(763)、グループ4ファックス圧縮されたバイレベルブラック層を拡大する(764)とともに、項目1.2に規定されたタグフォーマットにしたがってバイレベルネットページタグ層を全て平行にする(766)。第2の段階は、コントーンCMYK層をディザリングして(765)、結果として得られたバイレベルCMYK層にわたってバイレベルブラック層を合成する(765)。合成されたバイレベルCMYK+IRドットデータは、蓄えられ、一組のラインバッファによってMemjet(登録商標)印字ヘッド350上に印刷するためにフォーマットされる(767)。これらの殆どのラインバッファは、外部DRAM内に記憶される。最後の段階は、印字ヘッドインタフェース768を介して、6チャンネルのバイレベルドットデータ(定着剤を含む)をMemjet(登録商標)印字ヘッド350に印刷する。
幾つかのプリントエンジンコントローラ760は、例えば両面構成のように同時に使用されると、共有ライン同期信号770によって同期される。外部マスター/スレーブピン771を介して選択された1つのプリントエンジン760だけが、ライン同期信号770を共有ラインに形成する。
プリントエンジンコントローラ760は低速プロセッサ772を有している。この低速プロセッサ772は、ページ拡大とレンダリングパイプラインとを同期させるとともに、低速シリアルバス773を介して印字ヘッド350を構成するとともに、ステッピングモータ675,676を制御する。
8 1/2”バージョンのネットページプリンタにおいて、2つのプリントエンジンはそれぞれ、ページの長い寸法(l1)に沿って1分間に30枚のレターページを印刷し、1600dpiで8.8KHzのライン料率を与える。12”バージョンのネットページプリンタにおいて、2つのプリントエンジンはそれぞれ、ページの短い寸法(8 1/2”)に沿って1分間に45枚のレターページを印刷し、10.2KHzのライン料率を与える。これらのライン料率は、現在の設計においては30kHzを越えるMemjet(登録商標)印字ヘッドの作動周波数内において良好である。
8.ネットページタグ
8.1 タグのタイル張り
8.1.1 平坦な表面のタグのタイル張り
感知デバイスを介したタグ付き領域との「シングルクリック」を支持するために、感知デバイスは、少なくとも1つのタグ全体4を、領域のどの位置にあっても、またはどの配向に配置されていても、視野において見ることができなければならない。したがって、感知デバイスの視野の必要とされる直径は、タグ4のサイズと空間の関数である。
上述した好適なタグ4のように、タグの形状が円形である場合、センサの視野の最小直径mは、図52に示し、式1に定義したように、直径kのタグ500が、正三角形格子上にタイル張りされているときに獲得される。これは、中心間のタグ間隔が、タグ直径Kと同じであるときに達成される。
タグの直径kが256ドット(1600dpiで〜4mm)の場合、mは552ドット(〜8.8mm)である。静的な領域が16ドットの場合、すなわち効果的なタグの直径kが272ドット(〜4.3mm)の場合、mは587ドット(〜9.3mm)に増大する。
タグ4が、距離s離れる方向に動き、sが少なくともkと同じ大きさの場合、最小限の視野は、式2により与えられる。
例えば、タグのレンダリングをより容易にするために、タグ500の連続する線の間の水平方向において、重複することが望ましくないとき、タグは、式3により与えられる最小量だけ離れる方向に移動しなければならない。したがって、256ドットの直径のタグに対しては、uは40ドット(1600dpiで〜0.6mm)である。これは、タグに必要な静的な領域を超えるため、タグの線が重複しないようにレンダリングされる場合、静的な領域は無視することができる。
式2においてs=k+uとおくことにより、式4が得られる。したがって、256ドットの直径のタグに対して、sは296ドット(1600dpiで〜4.7mm)であり、mは598ドット(〜9.5mm)である。
8.1.2 球状表面のタグのタイル張り
正二十面体は、球体のほぼ正三角形のタイル張りを生成するための基礎として使用される場合が多い。図53の二十面体526のような正二十面体は、30のエッジ530および12の頂点532を共有し、エッジ530の5つが各頂点532において出会う、サイズが等しい20の正三角形の面528からなる。
要求されるタイル張りを達成するために、二十面体526をターゲット球体に内接させ、二十面体526の各三角形528は、三角形の合計数が望ましくなるように、数とサイズが等しい再分割三角形に再分割される。二十面体の各エッジ350がνの等間隔に分割され、各エッジに沿ってν−1の点のセットを定義し、また、任意の2つの隣接するエッジに沿う対応する点の各対が、他の共有されている隣接するエッジに平行な線によって結合される場合、そのように描かれた線は、サイズが等しく再分割された所望の正三角形の頂点において交差し、二十面体526の三角形の面528当たりν2の三角形、または合計で20ν2の三角形を創出する。結果として得られる10ν2+2の頂点のうち、5つの三角形の面は、二十面体526の12の当初の頂点の各々において出会い、6つの三角形の面は、残りの頂点の各々において出会う。12の当初の頂点532は、すでに球体上にあるが、残りの頂点は、球体内にある。したがって、各創出された頂点は、集中的に球体上に射影され、望ましいタイル張りを与える。
このように正多面体によって近似された球体は、測地線と呼ばれ、パラメータνは、測地線の度数と呼ばれる。図54は、ν=3、すなわち180の面528を有する二十面体の測地線534を示す。
再分割された三角形が、二十面体526の面の中心に近くなるほど、球体の表面からは遠くなり、したがって、球面上に射影されたとき、大きくなる。射影された再分割三角形のサイズの変動を最小限に抑えるために、再分割頂点は、射影前に規則正しく配置することができる(Tegmark.M.、「An Icosahedron−Based Method for Pixelizing the Celestial Sphere」、ApJ Letters、470、L81、October 14、1996)。ν=1の場合、頂点は創出されず、頂点において三角形の面により張られている角度は、60°のままである。しかしながら、νが増大するにつれ、各当初の頂点を囲んでいる5つの三角形の面により画定される表面は次第に平坦になり、各三角形の面の頂点角は、72°(すなわち360°/5)に収束する。これは、球体にタグをタイル張りする最悪の場合を定義する。72°の二等辺三角形では、底辺の長さは、2辺の長さの1.18倍である。したがって、センサの視野を計算するための最大のタグの間隔sは、1.18kに近い。したがって、タグの直径が256ドットで、静的な領域が16ドットの場合、すなわち、効果的なタグの直径kが272ドット(〜4.3mm)の場合、mは、式2により、643ドット(〜10.2mm)である。
外接する球体の中心において、二十面体の各エッジにより張られた角度は、式5により与えられる。
半径rの球体の場合、中心的に射影された各エッジの弧の長さは、rθである。タグの直径Kを同じ単位でrとすると、球体を覆うために必要なタグの数nは、式6により与えられる。
与えられたnに対し、rは式7によって限定される。
球体を覆う複数の領域を必要とせずに16ビットのタグIDを使用することができるように、nが216に限定され、Kが上記のように4.3mmとされる場合、rは〜310mmに限定される。
典型的な球体の半径は、160mmである。〜177mmの射影された弧の長さは、均等に間隔を置いて配置された41のタグに適合し、追加の間隔は無視することができる。このような球体は、全体で16812のタグを使用する。
8.1.3 任意の湾曲表面のタグのタイル張り
三角形のメッシュは、不連続性または単一性を導入せずに、任意のトポグラフィとトポロジの表面を近似することができ、メッシュの局所的なスケールは、表面の局所的な湾曲とエラーバウンドにより規定される。特定の表面に対して三角形のメッシュが存在すると仮定すると、各メッシュの三角形が、最小の頂点角と最小のエッジの長さであるかぎり、タグの効果的な不規則なタイル張りを生成することができる。タイル張りは、感知デバイスの視野が、表面上の感知デバイスの任意の位置で、少なくとも1つの完全なタグを含むことが保証されていれば、特定の感知デバイスに関して効果的であると見なされる。
タイル張りの手順は、メッシュの各頂点にタグを配置することにより開始されるため、最小のエッジの長さは、タグの直径kと同じである。タイル張りの手順は、長さがタグの最大間隔sを超える任意のエッジの中点にタグを挿入することにより進行する。図9に示すように、タグの最大間隔sは、2つの隣接するタグ4aと4bが、距離s+εだけ離れていれば、それらの間に他のタグ4cの空間があるように計算され、すなわち式8が使用される。
しかしながら、長さがs+εである2つのエッジの間の頂点角が60°未満であれば、挿入されたタグは重複することになる。
挿入されたタグが重複しないようにするために、t≧kの場合、タグの最小空間tが導入される。最小の頂点角αは、式9に示すように、kとtの関数になる。
t=kの場合、βは60°に限定され、すなわち、メッシュは、辺の長さが等しくなるように限定されることは明らかである。しかしながら、図56に示すように、t>kの場合、挿入したタグが重複せずに、βを60°未満とすることができる。
タグの最大間隔sは、式10によれば、新しいタグの最小間隔tに基づかなければならない。
特定のメッシュの三角形を考慮する場合、タグを挿入する4つの別々のシナリオが存在する。最小の頂点角が30°未満(すなわち60°の半分)であると仮定することにより、メッシュの三角形が、長さがs未満であるかまたはそれに等しい少なくとも1つのエッジを有するときはいつでも、残りの2つのエッジは、長さが2s未満であることが分かる。実際、最小の頂点角は、通常、少なくとも45°である。
第1のシナリオ(図57)において、三角形546のエッジの長さはsを超えないため、三角形のタグ付けは、すでに完了している。
第2のシナリオ(図58)において、三角形550の1つのエッジ548の長さはsを超える。エッジ548の中点にタグ552を挿入して、三角形550のタグ付けを完了する。
第3のシナリオ(図59)において、三角形558の2つのエッジ554、556の長さはsを超える。タグ560、562は、2つの長いエッジ554、556の各々の中点に挿入され、これにより、三角形558のタグ付けが完了されてよい。2つの挿入されたタグ560、562の中心は、元の三角形558の短いエッジ568の2つの頂点564、566とともに台形を形成する。台形のどちらかの対角線の長さがsを超えれば、三角形のタグ付けを完了するために、最後のタグ570が台形の中心に挿入される。
第4のシナリオ(図60)において、三角形573の3つのすべてのエッジ572の長さはsを超える。タグ付けされた頂点574が、各エッジ572の中点に挿入され、3つの新しい頂点574が、エッジ576により結合される。次いで、タグ付けの手順が、4つの結果的に得られる三角形577、578、579.および580の各々に反復して適用される。新しい三角形は、元の三角形573と同じ形状を有するため、最小の頂点角を守ることに留意されたい。
表4に、タグのタイル張りの変数をまとめる。
8.2 タグの感知
8.2.1 ペンの配向
ペンのような感知デバイスを快適な筆記用具として使用することができるようにするために、ペンの配向の範囲が支持されなければならない。ペンニブは、表面と接触するように制約されるため、ペンの配向は、図61に示すように、ペンのヨー(z回転)、ピッチ(x回転)、およびロール(y回転)により特徴付けることができる。ペンのヨーは制約を受けないようにされなければならないが、ペンのピッチとロールおよびピッチとロールの組み合わせからもたらされるペンの全体的な傾斜を制約することは妥当である。
ヨーは、従来、例えば、ペンデバイスの場合、表面の方向ではなく、物理軸に周りのねじれを定義するように、ピッチの後に加えられる。しかしながら、マーキングニブを有するペンでは、イメージセンサがペンの軸から離れて取り付けられ、したがって、ペンの画像感知能力(ひいては、そのヨー感知能力)は、以下で議論するように、ペンがほぼ垂直に維持されないかぎり制限される。したがって、ヨーは、ピッチの前に加えられ、ピッチとロールを一定に保ちながら、表面に対してペンを回転させることによって、ヨー全体の範囲を指定することが可能になる。
従来、ピッチとロールは、それぞれy回転およびx回転として定義されている。本願明細書では、ピッチとロールはそれぞれx回転およびy回転として定義されているが、その理由は、ピッチとロールが、ユーザから見たとき、y軸が本来の縦軸であり、x軸が本来の横軸である、表面のx−y座標系に関して定義されているからである。右手系の3D座標系では、ロールは、従来、反時計回りのとき正であると定義され、ピッチとヨーは、従来、時計回りのとき正であると定義されている。本願明細書では、すべての回転は、反時計回りのとき正であると定義されている。
ペンの全体の傾斜(θ)は、式11により、ピッチ(φ)とロール(ψ)に関係付けられている。
ペンの傾斜は、表面の特徴が視野の異なる点で撮像されるスケールに影響を与え、したがって、イメージセンサの解像度に影響を与える。ペンニブのすぐ下の領域を感知することは実用的でないので、ペンの傾斜は、ニブから撮像領域の中心までの距離にも影響を与える。この距離は、タグから決定された位置から正確なニブの位置を得ることができるように、既知のものでなければならない。
8.2.2 画像感知
視野は、半立体角α(2αの角度視野を与える)と、光軸が垂直であるとき、表面より上の頂点の高さDとにより定義された錘体としてモデリングすることができる。通常、イメージセンサは矩形であるが、上記に定量化したように、イメージセンサの最も大きい楕円のサブ領域のみが、表面の十分に大きな部分が確実に撮像されることに関係する。
錘体の視野と表面との交差により、表面上に楕円のウィンドウが画定される。このウィンドウは、光軸が垂直であるとき円形である。
図62は、ペンの光軸の所与のピッチに関係付けられた傾斜θに対し、ペンのニブ(点A)と、ペンの光軸(CE)と、視野のウィンドウ(FH)との間の幾何学的関係を示す。傾斜は、垂直から時計回りが正であるように定義されている。以下の式は、正と負の傾斜の両方に適用される。
ペンが傾斜していないとき、ウィンドウの直径(すなわち、|BD|)は、式12により与えられる。
ペンが傾斜していないとき、ニブからウィンドウの縁までの距離(すなわち、|AB|)がTであれば、ニブからウィンドウの中心までの距離S(すなわち、|AC|)は、式13により与えられる。
ペンがθだけ傾斜しているとき、光軸に沿った視点から表面までの距離は、d(すなわち、|GE|)まで低減され、式14により与えられる。
次いで、ウィンドウの幅(すなわち、|FH|)は、式15によって与えられる。
Dとαは、十分に大きな領域が、支持されている傾斜範囲にわたって撮像されるように選択されなければならない。領域の必要な最小の直径mは、式4により与えられるが、実際に撮像された領域の幅は、式15により与えられる。次いで、これは式16を与える。
Dとαが決定されると、撮像された領域が十分にサンプリングされるように、すなわち、最大の特徴周波数が、ナイキスト周波数またはそれ以上でサンプリングされるように、イメージセンサの解像度が選択されなければならない。
撮像されたとき、表面のスケールは、視点からの距離が増大し、視光線に対する傾斜が増大するとともに減少する。両方のファクタとも、正の傾斜に対しては点Fにおいて、負の傾斜に対しては点Hにおいて、すなわち、視点から最も遠いウィンドウの点において、最大の効果を有する。以下の議論でFについて言及することは、傾斜が負のときのHに当てはまることに留意されたい。
視点から点Fまでの距離(すなわち、|EF|)は、式17により与えられる。
Fを通る視光線に対する表面の傾斜によるスケーリング(EF)は、式18により与えられる。
表面の特徴周波数がfであれば、両方のファクタによるFに対する(すなわち、視野に関する)角度表面特徴周波数ωは、式19により与えられる。
対象物の平面傾斜がない場合(すなわちθ=0)、これは、式20となる。
イメージセンサは、定義により、少なくとも角度視野全体を撮像することが必要である。イメージセンサの画素密度は均一であるため、最大周波数で、視野全体を撮像しなければならない。画像空間の角度視野が2α'、光軸に対するイメージセンサの傾斜(すなわち、画像面の傾斜)がθ'、および、サンプリングレートがn(この場合、ナイキスト定理によりn≧2)であるとすると、最小のイメージセンサの解像度qは、式21と式22により与えられる。
式22の分子の余弦2乗項は、式19の分母の余弦2乗項と同じ理由から得られる。
画像面が傾斜しておらず(すなわち、θ'=0)、画像空間と対象物空間の角度視野が等しいとき(すなわち、α'=α)、これは、式23および式24となる。
対象物の平面が傾斜していないとき(すなわち、θ=0)、これは、さらに式25となる。
画像平面の傾斜と対象物の平面の傾斜が等しく(すなわち、θ'=θ)、画像空間と対象物空間の角度視野が等しいとき(すなわち、α'=α)、式22は、式26となる。
したがって、画像平面の傾斜を対象物平面の傾斜に整合させることにより、イメージセンサの傾斜がゼロに固定されているとき、必要なイメージセンサのサイズが小さくなり、取り込んだ画像から透視ねじれが排除される。しかしながら、イメージセンサの傾斜が変動するということは、実際には比較的コストのかかる選択肢であり、また、より大きな被写界深度を必要とする。
図63は、ペンの光軸の所与のロールに関係付けられた傾斜θに対する、ペンのニブ(点A)と、ペンの光軸(CE)と、視野のウィンドウ(FH)との幾何学的関係を示す。この場合も、傾斜は、垂直から時計回りを正と定義されている。式13を例外として、先行する式は、等しくロールに誘導された傾斜に適用される。ロールに誘導された傾斜に対しては、ニブからウィンドウの中心までの距離S(すなわち、|AC|)は、式13により定義されたものではなく、ゼロである。
ピッチに誘導された傾斜に対しては、傾斜の範囲の大きさは、イメージセンサの要求が同じ最小(負)傾斜と最大(正)傾斜を選択することにより最大になる。ピッチに誘導された傾斜に対しては、表面は、同じ大きさの正の傾斜より負の傾斜に対してより離れているため、最小値の大きさは、最大値より小さい。ロールに誘導された傾斜に対して、これらの大きさは同じである。
上述したように、タグ4の最も小さな特徴は、データビットをコード化する構造であり、これらの最小直径は、8ドットである。これは、1600dpiで1mm当たり約7.9の最大特徴周波数を与える。
上記の式4に従って計算すると、タグの連続する線の間に重複のない直径が256ドットであるタグの正三角形のタイル張りは、598ドットの表面上で最小の視野ウィンドウ直径、すなわち、1600dpiで約9.5mmを必要とする。
ほとんどの人は、約+30°のピッチおよび0°のロールでペンを持つ。ボールペンニブのインクボールは、約+50°のピッチ(すなわち、水平線から40°)を超えると、表面との効果的な接触を失う。したがって、妥当なターゲットピッチの範囲は、式11により与えられるように、より大きな制限がピッチとロールの組み合わせに課せられることを考慮すると、−10°から+50°であり、妥当なロールの範囲は、−30°から+30°である。
非常にコンパクトな(1.5mm2)Matsushita CCDイメージセンサ(Matsushita Electronic Coporation、および、Itakura、K T Nobusada、N Okusenya、R Nagayoshi、およびM Ozakiによる論文「A 1mm 50k−Pixel IT CCD Image Sensor for Miniature Camera System」、IEEE Transactions on Electronic Devices、Volt 47、number 1、2000年1月に記載されている)は、ペンなどのコンパクトなデバイスに使用するのに適している。これは、215×215画素の解像度が利用可能である。画像と対象物の空間角度視野が等しく、画像平面の傾斜がなく、ニブからウィンドウのまでの距離Tが4mmであると仮定すると、上述した望ましいピッチとロールの範囲を獲得するために、式16と式24を使用して幾何学的配置を最適化することにより、視距離Dが30mmで角度視野が18.8°(α=9.4°)である、−16°から+48°(64°)のピッチ範囲と、−28°から+28°(56°)のロール範囲が得られる。利用可能なピッチ範囲は、実際には−21°から+43°であり、これは、物理軸に対し光軸を−5°で向けることにより、望ましい範囲に近くなるようにマッピングされる。傾斜の範囲は、画像平面のゼロでない傾斜を最適化することにより、わずかに拡大することができることに留意されたい。
したがって、ペン全体の傾斜は、ピッチ平面の大きい角度が64°であり、ロール平面の小さい角度が56°である楕円錘に制限される。
表5に、画像感知変数をまとめる。
8.3 タグの復号化
8.3.1 タグの画像処理および復号化
タグの画像処理については、セクション1.2.4にすでに記載した。これは、タグに関する2D透視変換とならびに復号したタグデータの知識により最適化される。
8.3.2 ペン変換の推測
上述したように、取り込んだ画像におけるタグの透視ねじれの原因となる2D透視変換が獲得されると、セクション8.4で以下に記載するように、ペンの光軸に関する対応する離散3Dタグ変換を推測することができる。
離散3Dタグ変換が認識されると、対応する3Dペン変換、すなわち表面に対するペンの物理軸の変換を推測することができる。ペンの物理軸は、ペンの形状に埋め込まれ、ペンのユーザにより経験される軸である。これは、ニブを通過する。図64に、物理軸と光軸の関係を示す。
3つの座標空間を定義することが便利である。センサ空間において、光軸はz軸と一致し、視点は原点にある。ペン空間において、物理軸はz軸と一致し、ニブは原点にある。タグ空間において、タグ4はx−y平面にあり、その中心は原点にある。タグ変換は、タグ4をタグ空間からセンサ空間に変換する。
図64に、センサ空間を示す。図64の点のラベル付けは、図62のラベル付けと一致している。視点はE、感知点はG、ニブはAにある。光軸と表面の交点Gは、感知点と呼ばれる。ニブが点とみなされる図62に示した幾何的配置とは対照的に、この場合、ニブは小さな球体と見なされる。ニブが湾曲していれば、物理軸の傾斜は、感知点と、ニブと表面の間の接触点とのずれに影響を与える。球体であるニブの中心点Kの周りを物理軸が旋回し、この点を旋回点と呼ぶ。
ニブは、光軸が垂直であるとき、点Aにおいて表面とわずかに接触する。KAは、光軸に平行であるように定義される。しかしながら、ペンが傾斜しているとき、図65に示すように、点Lで接触する。ニブの半径をRとすると、AまたはLなど、表面からの旋回点Kの距離は常にRである。
離散タグ変換は、感知点からのタグの中心の並進、3Dタグ回転、および視点からの感知点の並進を含む。
離散タグ変換において視点からの感知点の並進dが与えられると、式14により、感知点は式27により与えられる。
物理軸は、y並進とx回転(すなわちピッチ)だけ、光軸から異なるだけなので、物理軸は、y−z平面にある。図64を参照すると、(図62と同じように)|AC|=Sおよび|EC|=Dであり、センサ空間では、旋回点の位置が式28により与えられることが明らかである。
したがって、感知点から旋回点までのベクトルは、式29により与えられる。
旋回点から接触点までベクトルは、定義により、長さがRの表面法線である。これは、式30および式31に示すように、3Dタグ回転Mをタグ空間の表面法線に適用し、結果を正規化し、Rでスケーリングすることにより構築される。
次いで、式32により、感知点から接触点までのベクトルが獲得される。
これは、タグ変換3D回転の逆変換を適用することにより、タグ空間に変換され、次いで、タグの中心から感知点までのベクトルに追加されて、式33により、タグ空間における、すなわち、表面上におけるタグの中心から接触点までのベクトルをもたらす。
これは、タグIDにより示されているように、最終的にタグの絶対位置に追加されて、タグ付き領域におけるニブの望ましい絶対位置をもたらす。式34を参照。
最終ステップは、タグの3D配向からペンの3D配向を推測するものである。ペンの離散回転は、単にタグの離散回転の逆関数であり、ペンのピッチは、式35、式36、および式37に定義されているように、ペンの軸に対する光軸のピッチ(φsensor)の効果を含む。
8.4 タグの変換の推測
イメージセンサにより取り込まれたタグ4の画像は、タグに対するイメージセンサの位置と配向による透視ねじれを含む。タグの透視ねじれが画像空間で見い出されると、8自由度の透視変換が、4つのタグ空間と画像空間の点の対を関係付ける公知の式を解くことに基づいて推測される。タグの画像を生じるこの離散変換ステップは、記号的に連結され、一連の連立非線形方程式は、連結変換と透視変換の対応する項を等しくすることにより獲得される。これらの式を解くことにより、ニブからの望ましいタグのずれ、3Dタグ回転、および表面からの視点のずれを含む離散変換ステップが得られる。
8.4.1 タグ変換のモデリング
タグ空間から画像空間へのタグ4の変換は、以下の変換ステップの連結としてモデリングすることができる。
・ x−y変換(タグから視点までのずれによる)
・ z回転(タグのヨーによる)
・ x回転(タグのピッチによる)
・ y回転(タグのロールによる)
・ z並進(タグから視点までのずれによる)
・ 透視射影(指定された焦点距離を有する)
・ x−yスケール(視点のサイズに対する)
これらは、記号的に連結されて、タグの変換に影響を与える単一変換行列を生成する。表7は、以下のセクションで使用される離散変換の変数、ならびに各変数の範囲をまとめたものである。
式42により、x−y平面において、t
xおよびt
yだけ並進させる(式中、A=t
xおよびB=t
y)。
式43により、zの周りにγだけ回転させ(式中、C=cos(γ)およびD=sin(γ))、式44が得られる。
式45により、xの周りにφだけ回転させ(式中、E=cos(φ)およびF=sin(φ))、式46が得られる。
式47により、yの周りにψだけ回転させ(式中、G=cos(ψ)およびH=sin(ψ))、式48が得られ、KとLは、式49と式50により定義される。
式51により、z方向にtzだけ並進させ(式中、I=tz)、式52が得られる。
式53により、焦点距離λおよび射影面z=0で透視射影させ(式中、J=1/λ)、式54が得られる。
式55により、Sだけビューポートに対してスケールし、式56が得られる。
式57により、x−y平面(z=0)において、点を変換し、式58が得られる。
最後に、KおよびLを拡大し、式59が得られる。
8.4.2 2D透視変換
式60に定義したように、推測した8自由度の2D透視変換行列が与えられると、未知のiで乗算して、式61に示すように、一般的な9自由度の形態の
行列が獲得される。
式62により、2Dの点を変換して、式63が得られる。
8.4.3 タグ変換の推測
8.4.3.1 係数の等化
式59の係数を式63の係数と等しいとみなすことにより、式64から式72が得られ、未知数が11である9つの非線形方程式となる。
これらの式は、式73に示すように、角度の正弦と余弦(すなわち、ヨー、ピッチ、およびロールの任意の1つの正弦および余弦)を関係付ける三角法識別により必要とされる際に増補される。
角度の正弦と余弦が与えられると、式74に示すように、2つの増補された逆正接を使用して、対応する角度が獲得される。
8.4.3.2 X−Yのずれに対する解法
式64と式65を使用して式66を簡単にし、式75、次いで式76を得ることができる。
式67と式68を使用して式69を簡単にし、式77、次いで式78を得ることができる。
式70と式71を使用して式72を簡単にし、式79、次いで式80を得ることができる。
式76を式81として書き直し、式78を式82として書き直すことができる。
式81と式82を等しいとし、Bに対して解くことにより、式83から式85、および最終的に、Bを定義する式86が得られる。
Bの代わりの値を式82に代入し、簡単にすることにより、式87から式90、および最終的に、Aを定義する式91が得られる。
したがって、これにより、A=txおよびB=tyであるため、視点からのタグ4のx−yのずれが与えられる。
8.4.3.3 ピッチの解法
式68から、式92を得ることができる。
式67から、式93を得ることができる。
式64、式92、および式93から、式94を得ることができる。
式65、式92、および式93から、式95を得ることができる。
式70、式92、および式93から、式96を得ることができる。
式71、式92、および式93から、式97を得ることができる。
式94から、式98を得ることができる。
式95から、式99を得ることができる。
式96から、式100を得ることができる。
式97から、式101を得ることができる。
式98および式99から、式102次いで式103を得ることができる。
式100および式101から、式104次いで式105を得ることができる。
式103および式105から、式106次いで式107を得ることができる。
式107は、GおよびHが両方ともゼロでない場合のみ、有効な基底を有する。|ψ|<π/2であるため、ロールの余弦(G)は常に正であり、したがってゼロでない。ロールの正弦(H)は、ロールがゼロでない場合のみ、ゼロでない。セクション6.7.3.10に、ゼロのピッチおよびロールに対する特有の処理について記載する。
したがって、これにより、F=sin(φ)であるため、式108により、ピッチの正弦、および式73によってピッチの余弦(E)の大きさが与えられる。
|φ|<π/2であるため、ピッチの余弦(E)は常に正であり、したがって、平方根をとるときにあいまいさが存在しない。しかしながら、正弦(F)の符号は、セクション6.7.3.9に記載したように、他の手段により決定されなければならない。
EとFが与えられると、式109により、ピッチが獲得される。
8.4.3.4 ロールに対する解法
式103から、式110を得ることができる。
式73から、式111次いで式112を得ることができる。
したがって、これにより、H=sin(ψ)であるため、式113により、ロールの正弦、および式73によりロールの余弦(G)の大きさが与えられる。
|ψ|<π/4なので、ロールの余弦(G)は常に正であり、したがって、平方根をとるときにあいまいさが存在しない。しかしながら、正弦(H)の符号は、セクション6.7.3.9に記載したように、他の手段により決定されなければならない。
GおよびHが与えられると、式114により、ロールが獲得される。
8.4.3.5 ヨーに対する解法
式73、式92、および式93から、式115次いで式116を得ることができる。
式92および式116から、式117次いで式118を得ることができる。
式92および式116から、式119次いで式120を得ることができる。
式116、したがって、式118と式120において、平方根の符号は、式80から決定することができる、iの符号により決定されて、式121が与え
られる。
I(tz)が負、J(1/λ)が正、およびIJ<−1(|tz|>λのた
め)であるため、式122が成り立つ。
CおよびDが与えられると、ヨーは、式123により獲得される。
8.4.3.6 ビューポートスケールに対する解法
ヨーの余弦(C)と正弦(D)は、定義により、同時にゼロであることはない。ピッチの余弦(E)はゼロでないため、常に式67または式68のいずれかを使用して、ビューポートスケール(S)を決定することができる。
Dがゼロでなければ、式67から、式124を得ることができる。
または、Cがゼロでなければ、式68から、式125を得ることができる。
8.4.3.7 焦点距離に対する解法
同様に、ロールの余弦(G)はゼロでないため、式70または式71のいずれかを使用して、ピッチまたはロールがゼロでないかぎり、焦点距離の逆数(J)を決定することができる。しかしながら、ピッチおよびロールの正弦(FおよびH)の符号は、未知である可能性がある。しかしながら、ピッチとロールの正弦の積(FH)の符号は、式126に示したように、式103により与えられる。
Jの符号は既知であるので、任意に符号をFに割り当てることができる。giがゼロでなければ、式70から、式127を得ることができる。
hiがゼロでなければ、式71から、式128を得ることができる。
実際、式127の使用と式128の使用との間の選択は、giとhiのどち
らがより大きな大きさを有するかに基づく。giとhiが両方ともゼロであれ
ば、すなわちピッチとロールが両方ともゼロであれば、焦点距離の逆数は未知である。
8.4.3.8 zのずれに対する解法
焦点距離の逆数(J)が分かれば、式129により、式80から、zのずれ(I)が獲得される。
再び、焦点距離の逆数(J)が未知であれば、すなわち、ピッチとロールが両方ともゼロであれば、zのずれ(I)は未知である。
8.4.3.9 ピッチおよびロールの方向の決定
ピッチとロールの正弦の積(FH)の符号は、式126により与えられる。−π/4<ψ<π/4であるため、+π/4のロール調整を導入して、任意の他の仮定を無効にすることなく、ロールが常に正であることが確保される。ロール調整が導入されると、式126は、ピッチのみの正弦(F)の符号を与える。
ロール調整は、以下のように導入される。ビューポートスケール(S)、焦点距離の逆数(J)、およびzのずれ(I)は、すべて記載したように計算さ
れる。3D変換行列は、2D透視変換行列から創出される。ビューポートスケール、焦点距離の射影、およびz並進の逆変換を、反対の順序で3D行列に適用する。次いで、行列にπ/4のy回転行列を事前に乗算することにより、ロール調整を適用する。ロール、ピッチ、およびヨーは、記載したように計算される。ロールは正であるため、ピッチの方向はこの段階で既知である。最後に、π/4のロール調整をロールから減算して、実際のロールを得る。
ロールとピッチが両方ともゼロのとき、焦点距離とzのずれは、上述したように、両方とも未知である。しかしながら、この場合、ピッチとロールはすでに既知であるため、ロールを調整する必要はない。
8.4.3.10 ゼロのピッチとロールの処理
ピッチまたはロールがゼロのとき、式107に基づく一般的な解法は無効になる。図85の表は、式64から式71の12の縮退形式を示し、これは、ヨーが、ゼロ(またはπ)、π/2(または3π/2)、およびゼロでないと多様であるとき、および、ピッチとロールがゼロまたはゼロでないと多様であるときの結果である。図86および図87の表は、ピッチおよび/またはロールがゼロである場合を検出および処理するために必要な論理を記述しており、各ケースは、図85の表に現れるゼロにより誘導される。図85の表のケースは、図86および図87の表のケース番号でラベル付けされている。
結論
好適な実施形態およびいくつかの特定の代替実施形態を参照して、本発明を記載した。しかしながら、当業者であれば、特別に記載したものとは異なる多数の他の実施形態も、本発明の趣旨および範囲内にあることを理解するであろう。したがって、本発明は、相互参照により適切であるとして援用された文献を含めて、本願明細書に記載した特定の実施形態に限定されることを意図していないことが理解されるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によりのみ限定される。