JP3843400B2 - アルキル一置換ハイドロキノン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させて、抗酸化剤、重合禁止剤、安定化剤、写真用薬品、ポリエステルの製造原料などとして有用な一置換ハイドロキノン類を簡便に製造する新規な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルキル一置換ハイドロキノン類を製造する方法としては、一般によく知られているものでは、ハイドロキノンまたはその誘導体と、オレフィンまたはハロゲン化アルキルまたはアルコールとのフリーデル・クラフツ反応によるものがある。この方法は反応温度の制御の問題、多量の酸を使用することによる廃液処理の問題がある。さらに、この製造方法は第2級アルキル置換ハイロドキノン類の製造には適用可能であるが、反応中に転位反応が生じるため第1級アルキル置換ハイドロキノン類の製造には適当なものはない。また、芳香環上での多置換アルキル化反応が起こり易い。他方、ハロゲン化アシルあるいはカルボン酸無水物を使用して、アリールケトンを合成し、ケトン部分を還元してメチレンにする方法がある[W.Bruggingら,Makromol.Chem., vol.189, 2755−2767(1988)]。この方法は、製造工程が多段階で原料物質から目的とする一置換ハイドロキノンに至るまで時間がかかり、また、使用する試薬の種類が多く簡便な製造方法とは言えない。
さらに報告例として、α―オレフィンとハイドロキノンとの反応において、活性白土を用いる方法(特開平6−32754、特開平6−298688)や、強酸性イオン交換樹脂を用いる方法(特開平6−157383、特開平6−157384)などがある。これらの方法によって製造される化合物は第2級アルキル基が導入されたハイドロキノン誘導体であり、第1級アルキル基の導入された一置換ハイドロキノンの製造には適当ではない。また、ハイドロキノンとアルキルモノ置換ハイドロキノンあるいはアルキルポリ置換ハイドロキノンを用いる方法(特開昭59−112934、特開昭59−11294)においても、製造される化合物は第2級アルキル基が導入されたハイドロキノン誘導体である。以上の如く、第1級アルキル基が一つ導入されたハイドロキノン類の簡便な工業的製造法についての報告例が少なく、安全で簡単な操作でかつ短時間の反応でも可能な高能率な一置換ハイドロキノン類の製造法が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第1級アルキル一置換ハイドロキノン類の新規な製造方法を提供することにある。更に、本発明の第二の目的は、操作が簡便で短時間の反応でも製造可能なアルキル一置換ハイドロキノン類の製造方法を提供することにある。更に本発明の第三の目的は、安全で大スケールでの製造にも適したアルキル一置換ハイドロキノン類の新規な製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物の両者を使用し、触媒の存在下、反応させることによって達成された。
【0005】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において、触媒の存在下、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させて一置換ハイドロキノン類を製造する方法は、如何なる方法でもよく、即ち、反応に必要な試薬類の添加法、添加順序、加熱の時期は任意に決定することができる。一般的な方法としては、触媒と、1,4―シクロヘキサンジオン及びアルデヒド化合物を混合させ、大気圧下または封管中で加熱攪伴して反応を行う。
【0006】
本発明に用いる1,4―シクロヘキサンジオンとは下記の化1の式(1)で表わされる。
【0007】
【化1】
【0008】
本発明に用いるアルデヒド化合物とは、ホルムアルデヒド、および分子の中に炭素原子に結合したアルデヒド基をもつ化合物の総称である。好ましくは、一般式(2)で表すことができる。
一般式(2) R―CHO
(一般式(2)中、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、複素環、または水素を表す。)
【0009】
一般式(2)中、Rのアリール基、アルキル基、アルケニル基は置換されていても良く、そのような置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレノイド基、アシル基、スルホニル基などが挙げられる。
【0010】
一般式(2)中、Rは詳しくは、直鎖若しくは分岐のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは1〜22、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル)、環式アルキル基(好ましくは炭素4〜30、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30、例えばフェニル、ナフタレン)、アルケニル基(例えばビニル)、複素環(好ましくは炭素3〜12、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、インドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、キサンテン、フェノキサジン)を表す。
【0011】
一般式(2)で表されるアルデヒド化合物の具体例を下記の化2、化3および化4に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
本発明の方法により得られるアルキル一置換ハイドロキノン類とは、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物との反応で得られるハイドロキノン類であり、芳香環を形成する炭素に一つのアルキル基が結合している。
【0016】
本発明の方法により得られるアルキル一置換ハイドロキノン類とは、下記の化5の一般式(3)で表される。
【0017】
【化5】
【0018】
(一般式(3)中、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、複素環または水素を表す。)
【0019】
一般式(3)中、Rのアリール基、アルキル基、アルケニル基は置換されていても良く、そのような置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレノイド基、アシル基、スルホニル基などが挙げられる。
【0020】
一般式(3)中、Rは詳しくは、直鎖若しくは分岐のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは1〜22、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル)、環式アルキル基(好ましくは炭素4〜30、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30、例えばフェニル、ナフタレン)、アルケニル基(例えばビニル)、複素環(好ましくは炭素3〜12、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、インドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、キサンテン、フェノキサジン)を表す。
【0021】
本発明の方法によって製造され得る一置換ハイドロキノン類の具体例を下記の化6、化7および化8に示すが、本発明がこれによって限定されるものではない。
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
本発明の方法において原料アルデヒド化合物と1,4−シクロヘキサンジオンの割合は様々である。生成物である一置換ハイドロキノン類の収率を1,4―シクロヘキサンジオンを基準とした場合に良好なものにするには、アルデヒド化合物を1,4−シクロヘキサンジオンとのモル比において過剰に使用する。また、生成物である一置換ハイドロキノン類の収率をアルデヒド化合物を基準とした場合に良好なものにするには、1,4−シクロヘキサンジオンをアルデヒド化合物とのモル比において過剰に使用する。アルデヒド化合物を過剰に使用してもアルキル基が二つ以上導入された多置換ハイドロキノン類は生成しない。
【0026】
本発明の方法においては反応時の好ましくない副反応を抑えるために、反応を窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。本発明の方法においては、反応後に希塩酸または水を加え、析出する結晶をろ取または溶媒(例えば、酢酸エチル、ジエチルエーテル)で抽出するのが好ましい。本発明のアルキル一置換ハイドロキノン類は、反応により得られたものを適当な単離手段により単離精製される。そのような単離手段としては、例えば、再結晶法、ろ過法、溶媒抽出法、蒸留法、カラムクロマトグラフィー法、単層クロマトグラフィー法等を挙げることができる。
【0027】
本発明は方法において、触媒の共存下、1,4−シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させる。触媒としては金属ハライドまたは第二級アミンが挙げられる。
【0028】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、金属ハライドとは、具体例としては、塩化リチウム無水物、塩化リチウム一水和物、臭化リチウム無水物、臭化リチウム一水和物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物、塩化マグネシウム六水和物などが挙げられる。少なくともこれらのうち、一種を使用する。本発明における金属ハライドの添加量は、特に限定されないが、好ましくは、反応に用いる1,4−シクロヘキサンジオンに対して0.5モル%以上が適当であるが、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、100モル%以上が更に好ましい。上限としては経済的観点から200モル%以下が好ましい。
【0029】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、無溶媒でもよいが、溶媒を使用するのが好ましい。反応溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好ましい。反応収率をあげる観点から、好ましい非プロトン性溶媒としてはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,1,3,3−テトラメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジンなどが挙げられる。
【0030】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、反応温度は特に限定されないが、好ましくは100℃以上200℃以下が好ましく、特に好ましい温度は160℃以上190℃以下である。この温度は反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。反応物が設定した反応温度に到達させるために、使用するアルデヒド化合物の沸点が大気圧下において設定する反応温度よりも低い場合は反応容器としてオートクレーブ等の耐圧容器を使用するのが好ましい。反応溶媒がピリジンの場合は大気圧下での加熱還流で反応を行うのが好ましい。
【0031】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、反応時間は反応温度との関係で種々設定可能であり、特に限定されないが、好ましくは10分〜2時間、更に好ましくは30分〜2時間、特に好ましくは30分〜1時間である。
【0032】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、用いる第二級アミンとは具体例としては、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリン、ピペリジンなどが挙げられるが、本発明はこれらのアミン類のみに限定されるものではない。本発明における第二級アミンの添加量は、特に限定されないが、好ましくは、反応に用いる1,4−シクロヘキサンジオンに対して6モル%以上が適当であるが、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。上限としては120モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
【0033】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、無溶媒で行うのが好ましい。
【0034】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、反応温度は特に限定されないが、好ましくは100℃以上200℃以下が好ましく、特に好ましい温度は160℃以上190℃以下である。この温度は反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。
【0035】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、反応時間は反応温度との関係で種々設定可能であり、特に限定されないが、好ましくは10分〜2時間、更に好ましくは30分〜1時間、特に好ましくは30分〜40分である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例に記した生成物である一置換ハイドロキノンの収率は仕込みの原料である1,4―シクロヘキサンジオンを基準とした。反応温度は特に断りのない場合には、反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。
【0037】
実施例1.塩化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、エーテル抽出した。抽出液は乾燥後溶媒を留去し、残さはn―ヘキサン/酢酸エチルエステルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して例示化合物(MQ―1)を85%の収率で得た。
【0038】
実施例2〜4.実施例1で実施した方法において、塩化リチウム無水物を臭化リチウム無水物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物に代えた以外は総て実施例1と同一の条件及び方法で実施した結果を表1に掲げた。なお、実施例1の結果も併せて掲げた。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例5.塩化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−1)の反応収率を検量線より求めた結果、80%であった。
【0041】
実施例6〜12.実施例5で実施した方法において、塩化リチウム無水物の0.05モルをを0.1モル、0.025モル、0.0125モル、0.005モル、0.0025モル、0.00125モルおよび0.00025モルに代えた以外は総て実施例7と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表2に掲げた。なお、実施例5の結果も併せて掲げた。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例13〜17.実施例5で実施した方法において、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンをジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,1,3,3−テトラメチル尿素およびピリジンに代えた以外は総て実施例5と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表3に掲げた。なお、実施例5の結果も併せて掲げた。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例18.1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンを使用しなかった以外は総て実施例5と同一の条件及び方法で、反応及び分析を行った。(無溶媒での反応である。)その結果例示化合物(MQ−1)の収率は48%であった。この結果から実施例5および実施例13〜17のように溶媒を用いるのがより好ましい。
【0046】
実施例19〜22.実施例13で実施した方法において、反応時間の60分を120分、30分、15分、5分に代えた以外は総て実施例1と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表4に掲げた。なお、実施例13の結果も併せて掲げた。
【0047】
【表4】
【0048】
実施例23.臭化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびジメチルスルホキシド 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、エーテル抽出した。抽出液は乾燥後溶媒を留去し、残さはn―ヘキサン/酢酸エチルエステルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して例示化合物(MQ―1)を69%の収率で得た。
【0049】
実施例24.塩化リチウム無水物 0.05モル,2−クロロベンズアルデヒド 0.05モル、1,4−シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルの混合物を攪伴し、大気圧下で反応温度160℃で1時間反応した。反応終了後、水を加え、エーテル抽出し、抽出液は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をn−ヘキサン−酢酸エチルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して例示化合物(MQ−4)を86%で得た。
【0050】
実施例25〜38.実施例24で実施した方法において、2−クロロベンズアルデヒドを3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フルアルデヒド、ピリジン−2−アルデヒド、ピリジン−3−アルデヒド、ピリジン−4−アルデヒド、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−チオフェンカルボキシアルデヒド、シンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒドに代えた以外は総て実施例24と同一の条件及び方法で実施した。それぞれの実施例は例示化合物(MQ−3)、(MQ−2)、(MQ−6)、(MQ−7)、(MQ−11)、(MQ−12)、(MQ−8)、(MQ−9)、(MQ−10)、(MQ−13)、(MQ−14)、(MQ−33)、(MQ−31)および(MQ−32)を得ている。これらの収率を表5に掲げた。これらの反応より種々のアルデヒド化合物が、本発明の方法により製造されるアルキル一置換ハイドロキノン類のアルキル基となっていることがわかる。
【0051】
【表5】
【0052】
実施例39.ジイソプロピルアミン 0.015モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、及び1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−1)の反応収率を検量線より求めた結果、74%であった。
【0053】
実施例40〜43.実施例39で実施した方法において、ジイソプロピルアミンの0.015モルを0.003モル、0.005モル、0.03モル、0.06モルに代えた以外は総て実施例39と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表6に掲げた。なお、実施例39の結果も併せて掲げた。
【0054】
【表6】
【0055】
実施例44〜47.実施例39で実施した方法において、ジイソプロピルアミンをピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ピロリジン代えた以外は総て実施例39と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表7に掲げた。なお、実施例39の結果も併せて掲げた。
【0056】
【表7】
【0057】
実施例48.塩化リチウム無水物 0.05モル、デシルアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびピリジン 0.02リットルを混合攪はんし、大気圧下加熱環流して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−21)の反応収率を検量線より求めた結果、83%であった。
【0058】
実施例49〜52.実施例48で実施した方法において、塩化リチウム無水物を臭化リチウム無水物、臭化リチウム一水和物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物に代えた以外は総て実施例48と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表8に掲げた。なお、実施例48の結果も併せて掲げた。
【0059】
【表8】
【0060】
実施例53〜55.実施例48で実施した方法において、ピリジンをジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに代えた以外は総て実施例48と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表9に掲げた。なお、実施例48の結果も併せて掲げた。
【0061】
【表9】
【0062】
実施例56.塩化リチウム無水物 0.05モル、ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液) 4.1g、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルをオートクレーブ中混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―15)を50%の収率で得た。
【0063】
実施例57.塩化リチウム無水物 0.05モル、プロピオンアルデヒド 0.07モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルをオートクレーブ中混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―17)を68%の収率で得た。
【0064】
実施例58.塩化リチウム無水物 0.05モル、n−カプロンアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびピリジン 0.02リットルを混合攪はんし、大気圧下加熱環流して1時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に10%塩酸を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―20)を81%の収率で得た。
【0065】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをラウリルアルデヒドに代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−22)を75%の収率で得た。
【0066】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをn−ドコサナール代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−24)を52%の収率で得た。
【0067】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをイソ吉草アルデヒドに代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−25)を58%の収率で得た。
【0068】
【発明の効果】
本発明に従えば、以下の効果が得られる。(1)操作が簡単で、かつ短時間の反応により、第一級アルキル一置換ハイドロキノン類が製造できる。(2)アルキル多置換ハイドロキノン類が生成物に混在しないため、アルキル一置換ハイドロキノン類の単離精製が容易である。(3)安全で大スケールでのアルキル一置換ハイドロキノン類の製造に適している。(4)アルキル一置換ハイドロキノン類の置換基部分がアルデヒド化合物に由来するという従来にない製造方法であるため、新規なアルキル一置換ハイドロキノン類の製造が可能である。(5)多量の強酸性物質や強塩基性物質を使用しないので反応後の処理が容易である。
【0069】
【産業上の利用分野】
本発明は、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させて、抗酸化剤、重合禁止剤、安定化剤、写真用薬品、ポリエステルの製造原料などとして有用な一置換ハイドロキノン類を簡便に製造する新規な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルキル一置換ハイドロキノン類を製造する方法としては、一般によく知られているものでは、ハイドロキノンまたはその誘導体と、オレフィンまたはハロゲン化アルキルまたはアルコールとのフリーデル・クラフツ反応によるものがある。この方法は反応温度の制御の問題、多量の酸を使用することによる廃液処理の問題がある。さらに、この製造方法は第2級アルキル置換ハイロドキノン類の製造には適用可能であるが、反応中に転位反応が生じるため第1級アルキル置換ハイドロキノン類の製造には適当なものはない。また、芳香環上での多置換アルキル化反応が起こり易い。他方、ハロゲン化アシルあるいはカルボン酸無水物を使用して、アリールケトンを合成し、ケトン部分を還元してメチレンにする方法がある[W.Bruggingら,Makromol.Chem., vol.189, 2755−2767(1988)]。この方法は、製造工程が多段階で原料物質から目的とする一置換ハイドロキノンに至るまで時間がかかり、また、使用する試薬の種類が多く簡便な製造方法とは言えない。
さらに報告例として、α―オレフィンとハイドロキノンとの反応において、活性白土を用いる方法(特開平6−32754、特開平6−298688)や、強酸性イオン交換樹脂を用いる方法(特開平6−157383、特開平6−157384)などがある。これらの方法によって製造される化合物は第2級アルキル基が導入されたハイドロキノン誘導体であり、第1級アルキル基の導入された一置換ハイドロキノンの製造には適当ではない。また、ハイドロキノンとアルキルモノ置換ハイドロキノンあるいはアルキルポリ置換ハイドロキノンを用いる方法(特開昭59−112934、特開昭59−11294)においても、製造される化合物は第2級アルキル基が導入されたハイドロキノン誘導体である。以上の如く、第1級アルキル基が一つ導入されたハイドロキノン類の簡便な工業的製造法についての報告例が少なく、安全で簡単な操作でかつ短時間の反応でも可能な高能率な一置換ハイドロキノン類の製造法が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第1級アルキル一置換ハイドロキノン類の新規な製造方法を提供することにある。更に、本発明の第二の目的は、操作が簡便で短時間の反応でも製造可能なアルキル一置換ハイドロキノン類の製造方法を提供することにある。更に本発明の第三の目的は、安全で大スケールでの製造にも適したアルキル一置換ハイドロキノン類の新規な製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物の両者を使用し、触媒の存在下、反応させることによって達成された。
【0005】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において、触媒の存在下、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させて一置換ハイドロキノン類を製造する方法は、如何なる方法でもよく、即ち、反応に必要な試薬類の添加法、添加順序、加熱の時期は任意に決定することができる。一般的な方法としては、触媒と、1,4―シクロヘキサンジオン及びアルデヒド化合物を混合させ、大気圧下または封管中で加熱攪伴して反応を行う。
【0006】
本発明に用いる1,4―シクロヘキサンジオンとは下記の化1の式(1)で表わされる。
【0007】
【化1】
【0008】
本発明に用いるアルデヒド化合物とは、ホルムアルデヒド、および分子の中に炭素原子に結合したアルデヒド基をもつ化合物の総称である。好ましくは、一般式(2)で表すことができる。
一般式(2) R―CHO
(一般式(2)中、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、複素環、または水素を表す。)
【0009】
一般式(2)中、Rのアリール基、アルキル基、アルケニル基は置換されていても良く、そのような置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレノイド基、アシル基、スルホニル基などが挙げられる。
【0010】
一般式(2)中、Rは詳しくは、直鎖若しくは分岐のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは1〜22、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル)、環式アルキル基(好ましくは炭素4〜30、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30、例えばフェニル、ナフタレン)、アルケニル基(例えばビニル)、複素環(好ましくは炭素3〜12、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、インドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、キサンテン、フェノキサジン)を表す。
【0011】
一般式(2)で表されるアルデヒド化合物の具体例を下記の化2、化3および化4に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
本発明の方法により得られるアルキル一置換ハイドロキノン類とは、1,4―シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物との反応で得られるハイドロキノン類であり、芳香環を形成する炭素に一つのアルキル基が結合している。
【0016】
本発明の方法により得られるアルキル一置換ハイドロキノン類とは、下記の化5の一般式(3)で表される。
【0017】
【化5】
【0018】
(一般式(3)中、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、複素環または水素を表す。)
【0019】
一般式(3)中、Rのアリール基、アルキル基、アルケニル基は置換されていても良く、そのような置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレノイド基、アシル基、スルホニル基などが挙げられる。
【0020】
一般式(3)中、Rは詳しくは、直鎖若しくは分岐のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは1〜22、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル)、環式アルキル基(好ましくは炭素4〜30、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30、例えばフェニル、ナフタレン)、アルケニル基(例えばビニル)、複素環(好ましくは炭素3〜12、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、インドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、キサンテン、フェノキサジン)を表す。
【0021】
本発明の方法によって製造され得る一置換ハイドロキノン類の具体例を下記の化6、化7および化8に示すが、本発明がこれによって限定されるものではない。
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
本発明の方法において原料アルデヒド化合物と1,4−シクロヘキサンジオンの割合は様々である。生成物である一置換ハイドロキノン類の収率を1,4―シクロヘキサンジオンを基準とした場合に良好なものにするには、アルデヒド化合物を1,4−シクロヘキサンジオンとのモル比において過剰に使用する。また、生成物である一置換ハイドロキノン類の収率をアルデヒド化合物を基準とした場合に良好なものにするには、1,4−シクロヘキサンジオンをアルデヒド化合物とのモル比において過剰に使用する。アルデヒド化合物を過剰に使用してもアルキル基が二つ以上導入された多置換ハイドロキノン類は生成しない。
【0026】
本発明の方法においては反応時の好ましくない副反応を抑えるために、反応を窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。本発明の方法においては、反応後に希塩酸または水を加え、析出する結晶をろ取または溶媒(例えば、酢酸エチル、ジエチルエーテル)で抽出するのが好ましい。本発明のアルキル一置換ハイドロキノン類は、反応により得られたものを適当な単離手段により単離精製される。そのような単離手段としては、例えば、再結晶法、ろ過法、溶媒抽出法、蒸留法、カラムクロマトグラフィー法、単層クロマトグラフィー法等を挙げることができる。
【0027】
本発明は方法において、触媒の共存下、1,4−シクロヘキサンジオンとアルデヒド化合物とを反応させる。触媒としては金属ハライドまたは第二級アミンが挙げられる。
【0028】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、金属ハライドとは、具体例としては、塩化リチウム無水物、塩化リチウム一水和物、臭化リチウム無水物、臭化リチウム一水和物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物、塩化マグネシウム六水和物などが挙げられる。少なくともこれらのうち、一種を使用する。本発明における金属ハライドの添加量は、特に限定されないが、好ましくは、反応に用いる1,4−シクロヘキサンジオンに対して0.5モル%以上が適当であるが、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、100モル%以上が更に好ましい。上限としては経済的観点から200モル%以下が好ましい。
【0029】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、無溶媒でもよいが、溶媒を使用するのが好ましい。反応溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好ましい。反応収率をあげる観点から、好ましい非プロトン性溶媒としてはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,1,3,3−テトラメチル尿素、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジンなどが挙げられる。
【0030】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、反応温度は特に限定されないが、好ましくは100℃以上200℃以下が好ましく、特に好ましい温度は160℃以上190℃以下である。この温度は反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。反応物が設定した反応温度に到達させるために、使用するアルデヒド化合物の沸点が大気圧下において設定する反応温度よりも低い場合は反応容器としてオートクレーブ等の耐圧容器を使用するのが好ましい。反応溶媒がピリジンの場合は大気圧下での加熱還流で反応を行うのが好ましい。
【0031】
本発明の方法において金属ハライドを共存させる反応では、反応時間は反応温度との関係で種々設定可能であり、特に限定されないが、好ましくは10分〜2時間、更に好ましくは30分〜2時間、特に好ましくは30分〜1時間である。
【0032】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、用いる第二級アミンとは具体例としては、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリン、ピペリジンなどが挙げられるが、本発明はこれらのアミン類のみに限定されるものではない。本発明における第二級アミンの添加量は、特に限定されないが、好ましくは、反応に用いる1,4−シクロヘキサンジオンに対して6モル%以上が適当であるが、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。上限としては120モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
【0033】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、無溶媒で行うのが好ましい。
【0034】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、反応温度は特に限定されないが、好ましくは100℃以上200℃以下が好ましく、特に好ましい温度は160℃以上190℃以下である。この温度は反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。
【0035】
本発明の方法において第二級アミンを共存させる反応では、反応時間は反応温度との関係で種々設定可能であり、特に限定されないが、好ましくは10分〜2時間、更に好ましくは30分〜1時間、特に好ましくは30分〜40分である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例に記した生成物である一置換ハイドロキノンの収率は仕込みの原料である1,4―シクロヘキサンジオンを基準とした。反応温度は特に断りのない場合には、反応混合物のなかに温度計を入れて測定したものである。
【0037】
実施例1.塩化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、エーテル抽出した。抽出液は乾燥後溶媒を留去し、残さはn―ヘキサン/酢酸エチルエステルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して例示化合物(MQ―1)を85%の収率で得た。
【0038】
実施例2〜4.実施例1で実施した方法において、塩化リチウム無水物を臭化リチウム無水物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物に代えた以外は総て実施例1と同一の条件及び方法で実施した結果を表1に掲げた。なお、実施例1の結果も併せて掲げた。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例5.塩化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−1)の反応収率を検量線より求めた結果、80%であった。
【0041】
実施例6〜12.実施例5で実施した方法において、塩化リチウム無水物の0.05モルをを0.1モル、0.025モル、0.0125モル、0.005モル、0.0025モル、0.00125モルおよび0.00025モルに代えた以外は総て実施例7と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表2に掲げた。なお、実施例5の結果も併せて掲げた。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例13〜17.実施例5で実施した方法において、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンをジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,1,3,3−テトラメチル尿素およびピリジンに代えた以外は総て実施例5と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表3に掲げた。なお、実施例5の結果も併せて掲げた。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例18.1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンを使用しなかった以外は総て実施例5と同一の条件及び方法で、反応及び分析を行った。(無溶媒での反応である。)その結果例示化合物(MQ−1)の収率は48%であった。この結果から実施例5および実施例13〜17のように溶媒を用いるのがより好ましい。
【0046】
実施例19〜22.実施例13で実施した方法において、反応時間の60分を120分、30分、15分、5分に代えた以外は総て実施例1と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表4に掲げた。なお、実施例13の結果も併せて掲げた。
【0047】
【表4】
【0048】
実施例23.臭化リチウム無水物 0.05モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびジメチルスルホキシド 0.02リットルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、エーテル抽出した。抽出液は乾燥後溶媒を留去し、残さはn―ヘキサン/酢酸エチルエステルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して例示化合物(MQ―1)を69%の収率で得た。
【0049】
実施例24.塩化リチウム無水物 0.05モル,2−クロロベンズアルデヒド 0.05モル、1,4−シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルの混合物を攪伴し、大気圧下で反応温度160℃で1時間反応した。反応終了後、水を加え、エーテル抽出し、抽出液は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をn−ヘキサン−酢酸エチルを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して例示化合物(MQ−4)を86%で得た。
【0050】
実施例25〜38.実施例24で実施した方法において、2−クロロベンズアルデヒドを3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フルアルデヒド、ピリジン−2−アルデヒド、ピリジン−3−アルデヒド、ピリジン−4−アルデヒド、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−チオフェンカルボキシアルデヒド、シンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒドに代えた以外は総て実施例24と同一の条件及び方法で実施した。それぞれの実施例は例示化合物(MQ−3)、(MQ−2)、(MQ−6)、(MQ−7)、(MQ−11)、(MQ−12)、(MQ−8)、(MQ−9)、(MQ−10)、(MQ−13)、(MQ−14)、(MQ−33)、(MQ−31)および(MQ−32)を得ている。これらの収率を表5に掲げた。これらの反応より種々のアルデヒド化合物が、本発明の方法により製造されるアルキル一置換ハイドロキノン類のアルキル基となっていることがわかる。
【0051】
【表5】
【0052】
実施例39.ジイソプロピルアミン 0.015モル、ベンズアルデヒド 0.05モル、及び1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルを混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−1)の反応収率を検量線より求めた結果、74%であった。
【0053】
実施例40〜43.実施例39で実施した方法において、ジイソプロピルアミンの0.015モルを0.003モル、0.005モル、0.03モル、0.06モルに代えた以外は総て実施例39と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表6に掲げた。なお、実施例39の結果も併せて掲げた。
【0054】
【表6】
【0055】
実施例44〜47.実施例39で実施した方法において、ジイソプロピルアミンをピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ピロリジン代えた以外は総て実施例39と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表7に掲げた。なお、実施例39の結果も併せて掲げた。
【0056】
【表7】
【0057】
実施例48.塩化リチウム無水物 0.05モル、デシルアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびピリジン 0.02リットルを混合攪はんし、大気圧下加熱環流して1時間反応を行った。反応終了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて反応混合物を分析し、目的とする例示化合物(MQ−21)の反応収率を検量線より求めた結果、83%であった。
【0058】
実施例49〜52.実施例48で実施した方法において、塩化リチウム無水物を臭化リチウム無水物、臭化リチウム一水和物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物に代えた以外は総て実施例48と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表8に掲げた。なお、実施例48の結果も併せて掲げた。
【0059】
【表8】
【0060】
実施例53〜55.実施例48で実施した方法において、ピリジンをジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに代えた以外は総て実施例48と同一の条件及び方法で実施したHPLCデータを表9に掲げた。なお、実施例48の結果も併せて掲げた。
【0061】
【表9】
【0062】
実施例56.塩化リチウム無水物 0.05モル、ホルマリン(37%ホルムアルデヒド水溶液) 4.1g、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルをオートクレーブ中混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―15)を50%の収率で得た。
【0063】
実施例57.塩化リチウム無水物 0.05モル、プロピオンアルデヒド 0.07モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン 0.02リットルをオートクレーブ中混合攪はんし、内温を160℃まで昇温して1時間反応を行った。反応混合物に水を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―17)を68%の収率で得た。
【0064】
実施例58.塩化リチウム無水物 0.05モル、n−カプロンアルデヒド 0.05モル、1,4―シクロヘキサンジオン 0.05モルおよびピリジン 0.02リットルを混合攪はんし、大気圧下加熱環流して1時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に10%塩酸を加え、析出する結晶をろ取して例示化合物(MQ―20)を81%の収率で得た。
【0065】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをラウリルアルデヒドに代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−22)を75%の収率で得た。
【0066】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをn−ドコサナール代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−24)を52%の収率で得た。
【0067】
実施例59.実施例58で実施した方法において、n−カプロンアルデヒドをイソ吉草アルデヒドに代えた以外は総て実施例57と同一の条件及び方法で実施し例示化合物(MQ−25)を58%の収率で得た。
【0068】
【発明の効果】
本発明に従えば、以下の効果が得られる。(1)操作が簡単で、かつ短時間の反応により、第一級アルキル一置換ハイドロキノン類が製造できる。(2)アルキル多置換ハイドロキノン類が生成物に混在しないため、アルキル一置換ハイドロキノン類の単離精製が容易である。(3)安全で大スケールでのアルキル一置換ハイドロキノン類の製造に適している。(4)アルキル一置換ハイドロキノン類の置換基部分がアルデヒド化合物に由来するという従来にない製造方法であるため、新規なアルキル一置換ハイドロキノン類の製造が可能である。(5)多量の強酸性物質や強塩基性物質を使用しないので反応後の処理が容易である。
【0069】
Claims (2)
- アルキル一置換ハイドロキノン類を製造する方法において、1,4―シクロヘキサンジオンをアルデヒド化合物と反応させることを特徴とするアルキル一置換ハイドロキノン類の製造方法。
- 反応を塩化リチウム無水物、塩化リチウム一水和物、臭化リチウム無水物、臭化リチウム一水和物、ヨウ化リチウム無水物、塩化マグネシウム無水物、塩化マグネシウム六水和物および第二級アミンからなる群から選ばれた少なくとも一種の存在下に行う請求項1記載の方法。
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