JP3840949B2 - 電動式圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を吸入圧縮する圧縮機構、圧縮機構を駆動する電動式のモータ、及びモータを駆動するモータ駆動回路が一体となった電動式圧縮機に関するもので、車両用空調装置や家庭用空調装置等に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電動圧縮機として、例えば特許第3086819号に記載の発明では、モータを駆動する半導体モジュールを電動圧縮機の側面(円筒面)に組み付けて、半導体モジュールと電動圧縮機とを一体化している。このとき、半導体モジュールとモータとは、それぞれの端子が直接に接続されている。
【0003】
本発明は、上記点に鑑み、上記特許発明と異なる、新規な構成にて半導体モジュール等のモータ駆動回路とモータとを電気的に接続することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、流体を吸入圧縮する圧縮機構(Cp)、圧縮機構(Cp)を駆動する電動式のモータ(Mo)、及びモータ(Mo)を駆動するモータ駆動回路(Ic)が一体となった電動式圧縮機であって、
モータ(Mo)に電気的に接続されたモータ側端子(110)と、モータ駆動回路(Ic)に電気的に接続された駆動回路側端子(120)とがその先端側にて接合されて、モータ(Mo)とモータ駆動回路(Ic)とが電気的に接続されているとともに、
両端子(110、120)の接合部分は、絶縁性の樹脂にてモールドされており、
モータ駆動回路(Ic)は、モータ(Mo)のハウジング(101)の外壁部に組み付け固定され、
駆動回路側端子(120)はモータ(Mo)の軸方向と略平行に延び、モータ側端子(110)はモータ(Mo)の径方向と略平行に延びており、
さらに、モータ側端子(110)及び駆動回路側端子(120)のうち少なくとも駆動回路側端子(120)には、湾曲した湾曲部(121)が形成されていることを特徴とする。
【0005】
これにより、各部品の寸法公差及び組み立てバラツキによって両端子(110、120)の位置がずれても、湾曲部(121)が変形することにより両端子(110、120)の位置ずれを吸収することができる。
【0006】
したがって、両端子(110、120)を確実に接合することができるので、端子の接合信頼性が向上するので、両端子(110、120)の接合強度及び耐振性を向上させることができ、電動圧縮機の信頼性(寿命)を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、流体を吸入圧縮する圧縮機構(Cp)、圧縮機構(Cp)を駆動する電動式のモータ(Mo)、及びモータ(Mo)を駆動するモータ駆動回路(Ic)が一体となった電動式圧縮機であって、
モータ駆動回路(Ic)は、モータ(Mo)が収納された円筒状ハウジング(101)の外側面に組み付け固定され、
モータ駆動回路(Ic)に電気的に接続された駆動回路側端子(120)は、円筒状ハウジング(101)の外側面においてモータ(Mo)の軸方向と略平行に延び、
モータ(Mo)に電気的に接続されたモータ側端子(110)は、モータ(Mo)の径方向と略平行に延びて、円筒状ハウジング(101)の内部から円筒状ハウジング(101)の外側面へ突出するようになっており、
モータ側端子(110)の先端側と駆動回路側端子(120)の先端側とが円筒状ハウジング(101)の外側面においてねじ結合されて、モータ(Mo)とモータ駆動回路(Ic)とが電気的に接続されているとともに、両端子(110、120)の接合部分は、絶縁性の樹脂にてモールドされていることを特徴とする。
【0009】
これにより、両端子(110、120)を接合する際に、駆動回路側端子(120)を介して溶接時の熱がモータ駆動回路(Ic)内の半導体部品に伝わってしまうといったことがないので、溶接時の熱によりモータ駆動回路(Ic)内の半導体部品が熱損傷してしまうといった問題は発生しない。
【0010】
請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の電動式圧縮機において、具体的には、モータ側端子(110)の先端側に雄ねじ(113)を形成し、駆動回路側端子(120)の先端側には雄ねじ(113)の寸法よりも大きい寸法に形成された穴部を形成し、
雄ねじ(113)をこの穴部に挿入してモータ側端子(110)の先端側を駆動回路側端子(120)の先端側にねじ結合すればよい。
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明を車両用空調装置(蒸気圧縮式冷凍サイクル)用の電動圧縮機に適用したものであって、図1は本実施形態に係る電動圧縮機100の正面図(一部断面)を示し、図2は図1の上面図である。
【0012】
電動圧縮機100は、冷媒を吸入圧縮するスクロール式の圧縮機構Cp、圧縮機構Cpを駆動するDCブラシレス式の電動モータMo、及びモータMoを駆動するインバータ回路等からなるモータ駆動回路Ic等から構成されたもので、圧縮機構CpとモータMoとは、同軸上、かつ、直列に並んで一体化されている。
【0013】
また、モータ駆動回路Icは、圧縮機構Cp及びモータMoが収納されたハウジングのうち円筒状のモータハウジング101の外側面(モータMo側)にボルトにて組み付けられて、圧縮機構Cp及びモータMoに一体化されている。
【0014】
そして、電動圧縮機100は、モータ駆動回路IcがモータMoを挟んで走行用のエンジン(図示せず。)と反対側に位置するように走行用エンジン(図示せず。)のクランクケースにボルトにて組み付け固定されている。なお、この例では、電動圧縮機100をクランクケースに組み付けたが、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車では、車両ボディに組み付けてもよい。
【0015】
ところで、モータ駆動回路IcとモータMoとは、図1に示すように、モータMoに電気的に接続されたモータ側端子110と、モータ駆動回路Icに電気的に接続された駆動回路側端子120とが接合されて電気的に接続されているとともに、両端子110、120の接合部分は、絶縁性の樹脂(例えば、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリアミド系樹脂等)にてモールド(封止)されている。
【0016】
ここで、駆動回路側端子120はモータMoの軸方向と略平行に延びる板状のもであり、モータ側端子110はモータMoの径方向と略平行に延びる棒状のものであって、両端子110、120はその先端側にて溶接や半田付け等の熱的な接合方法により接合されている。なお、両端子110、120は共にアルミニウム系又は鉄系金属等の導電性を有する金属製である。
【0017】
そして、モータ側端子110及び駆動回路側端子120のうち少なくとも一方の端子(本実施形態では、駆動回路側端子120)には、略U字状に湾曲した湾曲部121が設けられている。
【0018】
なお、モータ側端子110が固定されたベース111は、ベース111とモータハウジング101との間に配置されたガスケット112により隙間が密封された状態でボルト固定され、ベース111に形成されたモータ側端子110が挿入される貫通穴(図示せず。)はガラス封止されている。
【0019】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0020】
本実施形態では、駆動回路側端子120に湾曲部121が設けられているので、各部品の寸法公差及び組み立てバラツキによって両端子110、120の位置ずれても、湾曲部121が変形することにより両端子110、120の位置ずれを吸収することができる。
【0021】
したがって、両端子110、120を確実に接合することができるので、端子の接合(溶接)信頼性が向上するので、両端子110、120の接合強度及び耐振性を向上させることができ、電動圧縮機100の信頼性(寿命)を高めることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、駆動回路側端子120に湾曲部121に湾曲部121を設けたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、両端子110、12に湾曲部121を設ける、又はモータ側端子110にのみ湾曲部121を設けてもよい。因みに、モータ側端子110に湾曲部121を設けるときは、モータ側端子110を駆動回路側端子120のごとく、薄板状とすることが望ましい。
【0023】
(第2実施形態)
第1実施形態では、モータ側端子110と駆動回路側端子120とを溶接したが、本実施形態は、図3、4に示すように、両端子110、120をねじ結合したものである。
【0024】
具体的には、モータ側端子110に雄ねじ113を形成し、一方、駆動回路側端子120にモータ側端子110が挿入される穴(図示せず。)を形成し、ナット130をモータ側端子110の雄ねじ113にねじ込むことにより両端子110、120を結合するものである。
【0025】
これにより、両端子110、120を接合する際に、駆動回路側端子120を介して接合(溶接)時の熱がモータ駆動回路Ic内の半導体部品に伝わってしまうといったことがないので、接合(溶接)時の熱によりモータ駆動回路Ic内の半導体部品が熱損傷してしまうといった問題は発生しない。
【0026】
なお、図3はモータ側端子110の先端側を段付き状として小径部114に雄ねじを形成して大径部115とナット130にて駆動側端子120を挟んで駆動側端子120をモータ側端子110に固定したものである。また、図4はモータ側端子110に円筒状のカラー131を挿入することにより大径部115相当を形成したものである。
【0027】
因みに、本実施形態では、駆動回路側端子120に形成されたモータ側端子110が挿入される穴の寸法を雄ねじ113の寸法より大きくすることで、位置ずれを吸収するが、第1実施形態と同様に、湾曲部121を両端子110、120の少なくとも一方に設けてもよい。
【0028】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、モータMo側にモータ駆動回路Icを組み付けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧縮機構Cp側にモータ駆動回路Icを組み付けてもよい。
【0029】
また、上述の実施形態では、モータMoとしてDCブラシレスモータを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
また、上述の実施形態では、圧縮機構Cpとして、スクロール型の圧縮機構を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明に係る電動圧縮機100は車両用空調装置にその適用が限定されるものではなく、冷蔵庫等のその他の用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電動圧縮機の正面図(一部断面)である。
【図2】図1の上面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電動圧縮機の正面図(一部断面)である。
【図4】本発明の第2実施形態の変形例に係る電動圧縮機の正面図(一部断面)である。
【符号の説明】
100…電動圧縮機、110…モータ側端子、120…駆動回路側端子、
121…湾曲部、Ic…モータ駆動回路、Mo…モータ、Cp…圧縮機構。
Claims (3)
- 流体を吸入圧縮する圧縮機構(Cp)、前記圧縮機構(Cp)を駆動する電動式のモータ(Mo)、及び前記モータ(Mo)を駆動するモータ駆動回路(Ic)が一体となった電動式圧縮機であって、
前記モータ(Mo)に電気的に接続されたモータ側端子(110)と、前記モータ駆動回路(Ic)に電気的に接続された駆動回路側端子(120)とがその先端側にて接合されて、前記モータ(Mo)と前記モータ駆動回路(Ic)とが電気的に接続されているとともに、前記両端子(110、120)の接合部分は、絶縁性の樹脂にてモールドされており、
前記モータ駆動回路(Ic)は、前記モータ(Mo)のハウジング(101)の外壁部に組み付け固定され、
前記駆動回路側端子(120)は前記モータ(Mo)の軸方向と略平行に延び、前記モータ側端子(110)は前記モータ(Mo)の径方向と略平行に延びており、
さらに、前記モータ側端子(110)及び前記駆動回路側端子(120)のうち少なくとも駆動回路側端子(120)には、湾曲した湾曲部(121)が形成されていることを特徴とする電動式圧縮機。 - 流体を吸入圧縮する圧縮機構(Cp)、前記圧縮機構(Cp)を駆動する電動式のモータ(Mo)、及び前記モータ(Mo)を駆動するモータ駆動回路(Ic)が一体となった電動式圧縮機であって、
前記モータ駆動回路(Ic)は、前記モータ(Mo)が収納された円筒状ハウジング(101)の外側面に組み付け固定され、
前記モータ駆動回路(Ic)に電気的に接続された駆動回路側端子(120)は、前記円筒状ハウジング(101)の外側面において前記モータ(Mo)の軸方向と略平行に延び、
前記モータ(Mo)に電気的に接続されたモータ側端子(110)は、前記モータ(Mo)の径方向と略平行に延びて、前記円筒状ハウジング(101)の内部から前記円筒状ハウジング(101)の外側面へ突出するようになっており、
前記モータ側端子(110)の先端側と前記駆動回路側端子(120)の先端側とが前記円筒状ハウジング(101)の外側面においてねじ結合されて、前記モータ(Mo)と前記モータ駆動回路(Ic)とが電気的に接続されているとともに、前記両端子(110、120)の接合部分は、絶縁性の樹脂にてモールドされていることを特徴とする電動式圧縮機。 - 前記モータ側端子(110)の先端側には雄ねじ(113)が形成され、
前記駆動回路側端子(120)の先端側には前記雄ねじ(113)の寸法よりも大きい寸法に形成された穴部が形成され、
前記雄ねじ(113)を前記穴部に挿入して前記モータ側端子(110)の先端側を前記駆動回路側端子(120)の先端側にねじ結合することを特徴とする請求項2に記載の電動式圧縮機。
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