JP3839229B2 - 直進電機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石とコイルとを片方側のコアに集めた埋込磁石型構造の電機子を備えた直進電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平2−32750号、特開昭57−196864号等において、永久磁石を一対のコアどうしの間に挟み込むとともに、その永久磁石を挟み込んだコア部に対して駆動コイルを巻回し、上記永久磁石と駆動コイルとを片方側のコアに集めるようにした埋込磁石型の電機子に関する提案が種々なされている。このような埋込磁石型電機子を有する直進電機では、上記電機子を構成する片方側コアに対して相対移動可能に配置された他方側のコアが、磁性体のみから構成されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の埋込磁石型の電機子に関する提案には、基本構造が単に示されているのみであって、実用上必要とされる特性を得るための構成は、いずれの提案においても具体的には開示されておらず、そのままでは通常のモータ等の直進電機としての十分な特性が得られない。
【0004】
そこで本発明は、良好な特性を備えた片側配置型の磁石埋込構造を有する直進電機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の直進電機では、直線方向に一定のピッチをなす一組の凹凸形状部分が直線状に複数組にわたって並設された多数の集磁凹凸歯を有する長尺状の固定界磁コアと、略平行に対向する一対の上記固定界磁コアにおける両集磁凹凸歯どうしの対向部分において、上記両側の集磁凹凸歯のそれぞれに対面しつつ上記固定界磁コアの延在方向に沿って直進移動するように配置された複数個の可動電機子コアと、を備え、前記複数個の可動電機子コアの各々が、当該可動電機子コアの直進移動方向に沿って磁気的に実質的に分離された状態で列状に並設・集合されたものであって、上記複数個の各可動電機子コアは、前記直進移動方向に直交する方向に着磁された永久磁石と、その永久磁石の着磁方向両端面にそれぞれ接触して当該永久磁石を挟むように配置された一対のヨーク部と、それら一対のヨーク部を前記永久磁石とともに巻き込むように巻回された電機子コイルと、上記一対の各ヨーク部における前記直進移動方向の両端部分に、上記電機子コイルを両側から挟むように配置された一対の両端コア部と、これら一対の両端コア部のそれぞれにおける前記固定界磁コアの集磁凹凸歯との突出対向部分に設けられた突極片と、を有する直進電機において、上記複数個の各電機子コアにおける永久磁石の着磁方向は、前記直進移動方向において互いに隣接する電機子コア毎に、交互に反転するように設定されているとともに、前記集磁凹凸歯における一組の凸凹形状部分の直進移動方向の幅寸法として定義される1磁極ピッチが、電気角で360°をなすように設定されたものであって、一つの相の可動電機子コアに設けられた一対の突極片どうしが、前記磁極ピッチにおいて{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=1,2,3・・・)だけ位置ずれした関係に配置され、電気角で180°の位相ずれを有するように設けられている。
【0006】
また、請求項2記載の直進電機では、前記請求項1記載の固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、可動電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されている。
【0007】
さらに、請求項3記載の直進電機では、前記請求項1又は2記載の電機子コイルの数aに対して、前記可動電機子コアの片側に設けられた2a個の各突極片が、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、{1/(2a)}磁極ピッチずつ均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されている。
【0008】
さらにまた、請求項4記載の直進電機では、前記請求項1又は2記載の直進移動方向の一方向において、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している一つの凸形状部分の立下がり側の一端面に対して、前記可動電機子コア側の一つの突極片の一端面が電気角で0°の位置関係に配置されたときに、上記0°の突極片を有する可動電機子コアに隣接する次の可動電機子コアにおける他の突極片の一端面と、その他の突極片に最も近接した固定界磁コア側の集磁凹凸歯における他の凸形状部分の立下がり端面とが、前記電機子コイルの数a、及び1からaまでのある整数bに対して、±(b/2a)磁極ピッチ分だけずれるように配置されたものであって、上記整数bは、整数aとの最小公倍数がa×bとなるような整数になされている。
【0009】
また、請求項5記載の直進電機では、前記請求項1記載の可動電機子コアにおける永久磁石、及び当該永久磁石を両側から挟んだ両ヨーク部の片側部分が、複数個の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向に沿って一体的に連結されているとともに、上記片側の各ヨーク部どうしの間の連結部分は、各ヨーク部どうしを磁気的に実質的に分離させる程度に横断面形状が小さく形成されている。
【0010】
さらにまた、請求項6記載の直進電機では、前記請求項1記載の一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と、凹形状部分の直進移動方向における幅寸法とが、互いに異なる幅をなすように形成されているとともに、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法が、0.45磁極ピッチ以下に形成され、かつ前記可動電機子コアの突極片の直進移動方向における幅寸法が、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と同じ幅になされている。
【0011】
このような構成を有する請求項1,2,3又は4記載の各発明によれば、固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、可動電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されることから、上記可動電機子コアの各突極片においてそれぞれ発生するコギングの各波形も、互いの位相が均等にずれた状態となって、重なり合うことがなくなる。従って、モータ全体の全てのコギング波形を合成したときには、各コギング波形どうしが互いに打ち消し合う結果となり、全体のコギングのレベルは極めて小さく抑えられる。
【0012】
そして、上述したような作用は、上述した固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分と、可動電機子コア側の突極片との対向面積を拡大しても同様であることから、コギングを低減しつつ有効磁束を増大させることが可能になるとともに、巻線スロット等を設けるに際しての性能劣化の発生を回避することも可能となる。
【0013】
さらに、請求項5記載の発明によれば、永久磁石とヨーク部との部品点数が低減されるとともに、永久磁石の両側にヨーク部を貼り付けることによって複数個の可動電機子コアが効率的に製造され、しかも、複数個の可動電機子コア全体の組込精度及び位置精度が向上されるようになっている。
【0014】
また、請求項6記載の発明によれば、固定界磁コアの集磁凹凸歯における凸形状部分の周方向幅が狭くなるように形成されているので、その集磁凹凸歯の凸形状部分が電機子コアの突極片に対向していない場合において、上記電機子コアの突極片から集磁凹凸歯の凸形状部分へ向かう漏れ磁束が良好に低減されることとなり、その分、有効磁束が増大されるようになっている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を直進モータに適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
まず、図1及び図2に示されている実施形態における直進モータ1では、非磁性体からなるモータケース10の対向壁面10a,10aのそれぞれに対して、長尺状の磁性部材からなる一対の固定界磁コア11,11が、互いに対面し合うように固定されている。これら一対の両固定界磁コア11,11は、所定の間隔離して略平行に延在するように配置されており、それらの各固定界磁コア11の対面側の内側縁部分に、凹凸形状をなす多数の集磁凹凸歯11a,11bがそれぞれ設けられている。
【0017】
この集磁凹凸歯11a,11bは、凹凸形状をなすように形成された凸形状部分11aと、凹形状部分11bとを有し、それら凸形状部分11aと凹形状部分11bとの一組が、固定界磁コア11の長手方向に一定のピッチをなして多数組設けられていて、それら各一組の凸形状部分11aと凹形状部分11bとの長手方向(図示上下方向)における幅寸法として定義される1磁極ピッチFpが、電気角で360°をなすように設定されている。また、上述した平行に延在する一対の固定界磁コア11,11における互いに対面し合う両凸形状部分11a,11aどうし、及び両凹形状部分11b,11bどうしは、互いに180°の位相ずれを有するように配置されている。
【0018】
このとき、上記界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける凸形状部分11aの周方向幅と、凹形状部分11bの周方向幅とは、互いに異なる幅寸法をなすように形成されていて、上記凸形状部分11aの先端幅tが、0.45磁極ピッチ以下に相当する寸法を備えるように形成されており、従って、凹形状部分11bは、0.55磁極ピッチ以上に相当する寸法を備えている。
【0019】
一方、略平行に対向する上記両固定界磁コア11,11どうしの内部側に画成された空間部分には、これらの両固定界磁コア11,11のそれぞれと対向するようにして複数個(6個)の可動電機子コア12,12,・・・が、上記各固定界磁コア11の延在方向(図示上下方向)に沿って直線状に往復移動可能に設けられている。これらの各可動電機子コア12どうしは、一体的に直進するように連結されているが、磁気的には実質上分離された状態にて上記固定界磁コア11の長手方向に沿って直線状に並設・集合されている。
【0020】
これらの各可動電機子コア12のそれぞれには、電磁鋼板の積層体から構成された一対のヨーク部12a,12aが、細長状の永久磁石12bを両側から挟み込むように設けられていて、それらの両ヨーク部12a,12aが、上記永久磁石12bの両側面に対して接触した状態で貼り付けられている。また、上記一対のヨーク部12a,12aのうちの片側部分は、複数個(6個)の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向(図1の上下方向)に沿って一体的に連結されていて、上記各永久磁石12bも、複数個(6個)の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向(図1の上下方向)に沿って一体的に連結されている。このとき、上述した片側の各ヨーク部12a,12aどうしを繋いでいる連結部分12cは、各ヨーク部12a,12aどうしを磁気的に実質的に分離させる程度に横断面形状が小さく形成されていて、本実施形態では、上記直進移動方向と直交する方向の厚さが、最小加工厚さである0.3mmに設定されている。
【0021】
また、上記各可動電機子コア12のそれぞれにおける一対のヨーク部12a,12aには、電機子コイル12dが巻回されているとともに、上記各ヨーク部12aにおける直進移動方向(図1の上下方向)の両端部分には、両端コア部12e,12eがそれぞれ設けられていて、それら両端コア部12e,12eによって直進移動方向に挟まれた内側部分に、上述した電機子コイル12dが配置されている。
【0022】
このとき、上記両端コア部12e,12eは、前記直進移動方向と直交する方向(図1の左右方向)に突出する角形の形状になされており、その両端コア部12eの突出方向の先端部分に設けられた突極片12fが、前述した固定界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bに対して近接対向するように配置されている。この突極片12fの直進移動方向における幅寸法は、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分11aの直進移動方向における幅寸法(0.45磁極ピッチ以下)と同じ幅になされている。
【0023】
さらに、上記各電機子コア12のそれぞれに設けられた永久磁石12bには、前記一対のヨーク部12a,12aによる挟持方向(図1の左右方向)に沿って着磁が施されている。それらの各永久磁石12bにおける着磁方向は、前記直進移動方向に沿って隣接する可動電機子コア12毎に交互に反転するように設定されている。
【0024】
一方、本実施形態にかかる直進モータでは、上述したように、固定界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける一組の凹凸形状部分が電気角で360°をなすように設定されているが、その凹凸形状部分の1磁極ピッチFpに対して、前記可動電機子コア12における電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=1,2,3・・・)だけ位置ずれした関係に配置されている。図1に示された実施形態は、C=1の場合であり、電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、0.5磁極ピッチ(0.5Fp)分だけ位置ずれした関係に配置されていて、その電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、180°の位相ずれを備えるように構成されている。
【0025】
より具体的には、特に図3に示されているように、まず前記直進移動方向の一方向において、前記固定界磁コア11側の集磁凹凸歯を構成している、或る一つの凸形状部分11a1の立下がり端面を基準としておき、その固定界磁コア11側の凸形状部分11a1における基準の立下がり端面に対して、いずれか一つの(図3左端側)可動電機子コア12’に設けられた一つの突極片12f1の立下がり端面が、電気角で0°の位置関係に配置されていたとする。そして、このような位置関係において、上述した可動電機子コア12’に隣接する次の可動電機子コア12”における突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接している固定界磁コア11側の他の凸形状部分11a2の立下がり端面とが、±(5/12)磁極ピッチ(5/12Fp)分だけ位置ずれした配置関係になされている。
【0026】
このような配置関係は、前述した電機子コイル12dの数を「a」としたときに、その電機子コイル12dの数「a」と、「1」から電機子コイルの数「a」までのある整数「b」との最小公倍数が「a×b」となるような整数「b」に対して、可動電機子コア12の突極片12fの端面と、当該可動電機子コア12の突極片12fに最も近接している固定界磁コア11側の凸形状部分11aの立下がり端面とが、±(b/2a)磁極ピッチ分だけずらされた配置関係に基づくものであって、上述した実施形態における配置関係は、a=6、b=1〜6に対して、b=5を採用した場合である。ここで、図3中に示されている各数字は、1磁極ピッチを「12」としたときの「位相ずれ」の程度を整数で表したものであるが、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、0から11までの均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されていることが解る。
【0027】
このように本実施形態では、固定界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、可動電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されているものであるから、上記可動電機子コア12の各突極片12fにおいてそれぞれ発生するコギングの各波形も、互いの位相が均等にずれた状態となって、重なり合うことがなくなる。従って、モータ全体の全てのコギング波形を合成したときには、各コギング波形どうしが互いに打ち消し合う結果となり、全体のコギングのレベルは小さく抑えられる。
【0028】
そして、上述したような作用は、上述した固定界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している凸形状部分11aと、可動電機子コア12側の突極片12fとの対向面積を拡大しても同様であることから、コギングを低減しつつ有効磁束を増大させることが可能になる。
【0029】
また、本実施形態では、界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける凸形状部分11aの周方向幅が狭くなるように形成されているので、その集磁凹凸歯11a,11bの凸形状部分11aが電機子コア12の突極片12fに対向していない場合において、上記電機子コア12の突極片12fから集磁凹凸歯11a,11bの凸形状部分11aへ向かう漏れ磁束が良好に低減されることとなり、その分、有効磁束が増大されるようになっている。
【0030】
一方、上述した第1実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図4及び図5にかかる実施形態は、基本的には同様な構成を備えたものであるが、異なる点は、まず、可動電機子コア12における電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=2)だけ位置ずれした関係に配置されており、電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、1.5磁極ピッチ(1.5Fp)分だけ位置ずれした関係に配置されている。また、本実施形態では、電機子コイル12dの数a(=6)に対してb=1を採用しており、特に図5中に示されているように、電機子コイル12dの数6に対して、可動電機子コア12”の突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接した固定界磁コア11側の凸形状部分11a2の立下がり端面とが、±(1/12)磁極ピッチ(1/12Fp)分だけずらした配置関係になされており、それによって、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されている。
【0031】
次に、上述した第1実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図6にかかる実施形態も、基本的には同様な構成を備えたものであるが、上述した各実施形態と異なる点は、まず、電機子コイル12dの数aを8個(a=8)とした点であり、その8個の電機子コイル12dに対して、以下のような各配置関係が考えられる。
【0032】
すなわち、図7乃至図10に示されているように、前記固定界磁コア11側の集磁凹凸歯を構成している一つの凸形状部分11a1の立下がり端面に対して、ある一つの可動電機子コア12’(各図の左端)における一つの突極片12f1の立下がり端面が電気角で0°の位置関係に配置されていたとする。そして、上記可動電機子コア12’に隣接する次の可動電機子コア12”の突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接している固定界磁コア11側の他の凸形状部分11a2の立下がり端面とを、±(1/16)、±(3/16)、±(5/16)、及び±(7/16)磁極ピッチ分だけずらした配置関係が考えられることとなり、それらの各場合の配置関係が、図7、図8、図9及び図10にそれぞれ表されている。
【0033】
このような配置関係は、電機子コイル12dの数を「a」としたときに、その電機子コイル12dの数「a」と、「1」から電機子コイルの数「a」までのある整数「b」との最小公倍数が「a×b」となるような整数「b」に対して、上述した可動電機子コア12の突極片12fの端面と、当該可動電機子コア12に隣接する可動電機子コア12の他の突極片12fに最も近接した固定界磁コア11側の凸形状部分11aの立下がり端面とが、±(b/2a)磁極ピッチだけずらされた配置関係に基づくものであって、上述した図7乃至図10にかかる各実施形態では、a=8、b=1〜8に対して、それぞれb=1,3,5,7を採用した場合である。各図中に示されている各数字は、1磁極ピッチを「16」としたときの「位相ずれ」の程度を表したものであるが、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されている。
【0034】
このような各実施形態においても、上述した実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。このとき、図7のように±(1/2a)磁極ピッチ分だけずらした配置関係の場合、及び図10のように±((a−1)/2a)磁極ピッチ分だけずらした配置関係の場合には、位相ずれが小さいものどうしが隣り合っているため、隣合う相を同相として使用することができ、隣り合う相でN−Sの磁気回路がその内部で回るようになるとともに、巻線作業が容易化される。
【0035】
また、本発明は、上述した各実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図11にかかる実施形態のように、4個の電機子コイル12d(a=4)を使用した場合であっても同様に適用することが可能である。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0037】
また、上述した各実施形態は、モータに対して本願発明を適用したものであるが、モータ以外の発電機等に対しても本発明は同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本願請求項1又は2又は3又は4記載の発明は、界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係を、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置し、電機子コアの各突極片においてそれぞれ発生する各コギング波形どうしが互いに打ち消し合うように構成して、全体のコギングのレベルを小さく抑えつつ有効磁束の増大を可能としたものであるから、小型で高いモータ特性を得ることができ、高い実用性を備えた片側配置型の磁石埋込構造を有する直進電機を得ることができる。
【0039】
また、請求項5記載の発明は、可動電機子コアにおける永久磁石及びヨーク部の片側部分を一体的に連結することによって、永久磁石とヨーク部との部品点数を低減させるとともに、永久磁石の両側にヨーク部を貼り付けることによって複数個の可動電機子コアを効率的に製造可能とし、しかも複数個の可動電機子コア全体の組込精度及び位置精度を向上させるように構成したものであるから、上述した効果をさらに高めるとともに、生産性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、請求項6記載の各発明は、界磁コアの集磁凹凸歯における凸形状部分の周方向幅を狭く形成して漏れ磁束を良好に低減させて有効磁束を更に増大させるように構成したものであるから、上述した効果を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図2】図1に示されたモータにおける一個の電機子コアを拡大して表した横断面説明図である。
【図3】図1に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図5】図4に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図7】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図8】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図9】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの更に他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図10】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの更に他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【符号の説明】
1 モータ
10 モータケース
11 界磁コア
11a,11b 磁極凹凸歯
11a 凸形状部分
11b 凹形状部分
12 電機子コア
12a ヨーク部
12b 永久磁石
12c 連結部
12d 電機子コイル
12e 周端コア部
12f 突極片
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石とコイルとを片方側のコアに集めた埋込磁石型構造の電機子を備えた直進電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平2−32750号、特開昭57−196864号等において、永久磁石を一対のコアどうしの間に挟み込むとともに、その永久磁石を挟み込んだコア部に対して駆動コイルを巻回し、上記永久磁石と駆動コイルとを片方側のコアに集めるようにした埋込磁石型の電機子に関する提案が種々なされている。このような埋込磁石型電機子を有する直進電機では、上記電機子を構成する片方側コアに対して相対移動可能に配置された他方側のコアが、磁性体のみから構成されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の埋込磁石型の電機子に関する提案には、基本構造が単に示されているのみであって、実用上必要とされる特性を得るための構成は、いずれの提案においても具体的には開示されておらず、そのままでは通常のモータ等の直進電機としての十分な特性が得られない。
【0004】
そこで本発明は、良好な特性を備えた片側配置型の磁石埋込構造を有する直進電機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の直進電機では、直線方向に一定のピッチをなす一組の凹凸形状部分が直線状に複数組にわたって並設された多数の集磁凹凸歯を有する長尺状の固定界磁コアと、略平行に対向する一対の上記固定界磁コアにおける両集磁凹凸歯どうしの対向部分において、上記両側の集磁凹凸歯のそれぞれに対面しつつ上記固定界磁コアの延在方向に沿って直進移動するように配置された複数個の可動電機子コアと、を備え、前記複数個の可動電機子コアの各々が、当該可動電機子コアの直進移動方向に沿って磁気的に実質的に分離された状態で列状に並設・集合されたものであって、上記複数個の各可動電機子コアは、前記直進移動方向に直交する方向に着磁された永久磁石と、その永久磁石の着磁方向両端面にそれぞれ接触して当該永久磁石を挟むように配置された一対のヨーク部と、それら一対のヨーク部を前記永久磁石とともに巻き込むように巻回された電機子コイルと、上記一対の各ヨーク部における前記直進移動方向の両端部分に、上記電機子コイルを両側から挟むように配置された一対の両端コア部と、これら一対の両端コア部のそれぞれにおける前記固定界磁コアの集磁凹凸歯との突出対向部分に設けられた突極片と、を有する直進電機において、上記複数個の各電機子コアにおける永久磁石の着磁方向は、前記直進移動方向において互いに隣接する電機子コア毎に、交互に反転するように設定されているとともに、前記集磁凹凸歯における一組の凸凹形状部分の直進移動方向の幅寸法として定義される1磁極ピッチが、電気角で360°をなすように設定されたものであって、一つの相の可動電機子コアに設けられた一対の突極片どうしが、前記磁極ピッチにおいて{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=1,2,3・・・)だけ位置ずれした関係に配置され、電気角で180°の位相ずれを有するように設けられている。
【0006】
また、請求項2記載の直進電機では、前記請求項1記載の固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、可動電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されている。
【0007】
さらに、請求項3記載の直進電機では、前記請求項1又は2記載の電機子コイルの数aに対して、前記可動電機子コアの片側に設けられた2a個の各突極片が、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、{1/(2a)}磁極ピッチずつ均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されている。
【0008】
さらにまた、請求項4記載の直進電機では、前記請求項1又は2記載の直進移動方向の一方向において、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している一つの凸形状部分の立下がり側の一端面に対して、前記可動電機子コア側の一つの突極片の一端面が電気角で0°の位置関係に配置されたときに、上記0°の突極片を有する可動電機子コアに隣接する次の可動電機子コアにおける他の突極片の一端面と、その他の突極片に最も近接した固定界磁コア側の集磁凹凸歯における他の凸形状部分の立下がり端面とが、前記電機子コイルの数a、及び1からaまでのある整数bに対して、±(b/2a)磁極ピッチ分だけずれるように配置されたものであって、上記整数bは、整数aとの最小公倍数がa×bとなるような整数になされている。
【0009】
また、請求項5記載の直進電機では、前記請求項1記載の可動電機子コアにおける永久磁石、及び当該永久磁石を両側から挟んだ両ヨーク部の片側部分が、複数個の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向に沿って一体的に連結されているとともに、上記片側の各ヨーク部どうしの間の連結部分は、各ヨーク部どうしを磁気的に実質的に分離させる程度に横断面形状が小さく形成されている。
【0010】
さらにまた、請求項6記載の直進電機では、前記請求項1記載の一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と、凹形状部分の直進移動方向における幅寸法とが、互いに異なる幅をなすように形成されているとともに、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法が、0.45磁極ピッチ以下に形成され、かつ前記可動電機子コアの突極片の直進移動方向における幅寸法が、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と同じ幅になされている。
【0011】
このような構成を有する請求項1,2,3又は4記載の各発明によれば、固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、可動電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されることから、上記可動電機子コアの各突極片においてそれぞれ発生するコギングの各波形も、互いの位相が均等にずれた状態となって、重なり合うことがなくなる。従って、モータ全体の全てのコギング波形を合成したときには、各コギング波形どうしが互いに打ち消し合う結果となり、全体のコギングのレベルは極めて小さく抑えられる。
【0012】
そして、上述したような作用は、上述した固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分と、可動電機子コア側の突極片との対向面積を拡大しても同様であることから、コギングを低減しつつ有効磁束を増大させることが可能になるとともに、巻線スロット等を設けるに際しての性能劣化の発生を回避することも可能となる。
【0013】
さらに、請求項5記載の発明によれば、永久磁石とヨーク部との部品点数が低減されるとともに、永久磁石の両側にヨーク部を貼り付けることによって複数個の可動電機子コアが効率的に製造され、しかも、複数個の可動電機子コア全体の組込精度及び位置精度が向上されるようになっている。
【0014】
また、請求項6記載の発明によれば、固定界磁コアの集磁凹凸歯における凸形状部分の周方向幅が狭くなるように形成されているので、その集磁凹凸歯の凸形状部分が電機子コアの突極片に対向していない場合において、上記電機子コアの突極片から集磁凹凸歯の凸形状部分へ向かう漏れ磁束が良好に低減されることとなり、その分、有効磁束が増大されるようになっている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を直進モータに適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
まず、図1及び図2に示されている実施形態における直進モータ1では、非磁性体からなるモータケース10の対向壁面10a,10aのそれぞれに対して、長尺状の磁性部材からなる一対の固定界磁コア11,11が、互いに対面し合うように固定されている。これら一対の両固定界磁コア11,11は、所定の間隔離して略平行に延在するように配置されており、それらの各固定界磁コア11の対面側の内側縁部分に、凹凸形状をなす多数の集磁凹凸歯11a,11bがそれぞれ設けられている。
【0017】
この集磁凹凸歯11a,11bは、凹凸形状をなすように形成された凸形状部分11aと、凹形状部分11bとを有し、それら凸形状部分11aと凹形状部分11bとの一組が、固定界磁コア11の長手方向に一定のピッチをなして多数組設けられていて、それら各一組の凸形状部分11aと凹形状部分11bとの長手方向(図示上下方向)における幅寸法として定義される1磁極ピッチFpが、電気角で360°をなすように設定されている。また、上述した平行に延在する一対の固定界磁コア11,11における互いに対面し合う両凸形状部分11a,11aどうし、及び両凹形状部分11b,11bどうしは、互いに180°の位相ずれを有するように配置されている。
【0018】
このとき、上記界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける凸形状部分11aの周方向幅と、凹形状部分11bの周方向幅とは、互いに異なる幅寸法をなすように形成されていて、上記凸形状部分11aの先端幅tが、0.45磁極ピッチ以下に相当する寸法を備えるように形成されており、従って、凹形状部分11bは、0.55磁極ピッチ以上に相当する寸法を備えている。
【0019】
一方、略平行に対向する上記両固定界磁コア11,11どうしの内部側に画成された空間部分には、これらの両固定界磁コア11,11のそれぞれと対向するようにして複数個(6個)の可動電機子コア12,12,・・・が、上記各固定界磁コア11の延在方向(図示上下方向)に沿って直線状に往復移動可能に設けられている。これらの各可動電機子コア12どうしは、一体的に直進するように連結されているが、磁気的には実質上分離された状態にて上記固定界磁コア11の長手方向に沿って直線状に並設・集合されている。
【0020】
これらの各可動電機子コア12のそれぞれには、電磁鋼板の積層体から構成された一対のヨーク部12a,12aが、細長状の永久磁石12bを両側から挟み込むように設けられていて、それらの両ヨーク部12a,12aが、上記永久磁石12bの両側面に対して接触した状態で貼り付けられている。また、上記一対のヨーク部12a,12aのうちの片側部分は、複数個(6個)の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向(図1の上下方向)に沿って一体的に連結されていて、上記各永久磁石12bも、複数個(6個)の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向(図1の上下方向)に沿って一体的に連結されている。このとき、上述した片側の各ヨーク部12a,12aどうしを繋いでいる連結部分12cは、各ヨーク部12a,12aどうしを磁気的に実質的に分離させる程度に横断面形状が小さく形成されていて、本実施形態では、上記直進移動方向と直交する方向の厚さが、最小加工厚さである0.3mmに設定されている。
【0021】
また、上記各可動電機子コア12のそれぞれにおける一対のヨーク部12a,12aには、電機子コイル12dが巻回されているとともに、上記各ヨーク部12aにおける直進移動方向(図1の上下方向)の両端部分には、両端コア部12e,12eがそれぞれ設けられていて、それら両端コア部12e,12eによって直進移動方向に挟まれた内側部分に、上述した電機子コイル12dが配置されている。
【0022】
このとき、上記両端コア部12e,12eは、前記直進移動方向と直交する方向(図1の左右方向)に突出する角形の形状になされており、その両端コア部12eの突出方向の先端部分に設けられた突極片12fが、前述した固定界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bに対して近接対向するように配置されている。この突極片12fの直進移動方向における幅寸法は、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分11aの直進移動方向における幅寸法(0.45磁極ピッチ以下)と同じ幅になされている。
【0023】
さらに、上記各電機子コア12のそれぞれに設けられた永久磁石12bには、前記一対のヨーク部12a,12aによる挟持方向(図1の左右方向)に沿って着磁が施されている。それらの各永久磁石12bにおける着磁方向は、前記直進移動方向に沿って隣接する可動電機子コア12毎に交互に反転するように設定されている。
【0024】
一方、本実施形態にかかる直進モータでは、上述したように、固定界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける一組の凹凸形状部分が電気角で360°をなすように設定されているが、その凹凸形状部分の1磁極ピッチFpに対して、前記可動電機子コア12における電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=1,2,3・・・)だけ位置ずれした関係に配置されている。図1に示された実施形態は、C=1の場合であり、電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、0.5磁極ピッチ(0.5Fp)分だけ位置ずれした関係に配置されていて、その電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、180°の位相ずれを備えるように構成されている。
【0025】
より具体的には、特に図3に示されているように、まず前記直進移動方向の一方向において、前記固定界磁コア11側の集磁凹凸歯を構成している、或る一つの凸形状部分11a1の立下がり端面を基準としておき、その固定界磁コア11側の凸形状部分11a1における基準の立下がり端面に対して、いずれか一つの(図3左端側)可動電機子コア12’に設けられた一つの突極片12f1の立下がり端面が、電気角で0°の位置関係に配置されていたとする。そして、このような位置関係において、上述した可動電機子コア12’に隣接する次の可動電機子コア12”における突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接している固定界磁コア11側の他の凸形状部分11a2の立下がり端面とが、±(5/12)磁極ピッチ(5/12Fp)分だけ位置ずれした配置関係になされている。
【0026】
このような配置関係は、前述した電機子コイル12dの数を「a」としたときに、その電機子コイル12dの数「a」と、「1」から電機子コイルの数「a」までのある整数「b」との最小公倍数が「a×b」となるような整数「b」に対して、可動電機子コア12の突極片12fの端面と、当該可動電機子コア12の突極片12fに最も近接している固定界磁コア11側の凸形状部分11aの立下がり端面とが、±(b/2a)磁極ピッチ分だけずらされた配置関係に基づくものであって、上述した実施形態における配置関係は、a=6、b=1〜6に対して、b=5を採用した場合である。ここで、図3中に示されている各数字は、1磁極ピッチを「12」としたときの「位相ずれ」の程度を整数で表したものであるが、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、0から11までの均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されていることが解る。
【0027】
このように本実施形態では、固定界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、可動電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されているものであるから、上記可動電機子コア12の各突極片12fにおいてそれぞれ発生するコギングの各波形も、互いの位相が均等にずれた状態となって、重なり合うことがなくなる。従って、モータ全体の全てのコギング波形を合成したときには、各コギング波形どうしが互いに打ち消し合う結果となり、全体のコギングのレベルは小さく抑えられる。
【0028】
そして、上述したような作用は、上述した固定界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している凸形状部分11aと、可動電機子コア12側の突極片12fとの対向面積を拡大しても同様であることから、コギングを低減しつつ有効磁束を増大させることが可能になる。
【0029】
また、本実施形態では、界磁コア11の集磁凹凸歯11a,11bにおける凸形状部分11aの周方向幅が狭くなるように形成されているので、その集磁凹凸歯11a,11bの凸形状部分11aが電機子コア12の突極片12fに対向していない場合において、上記電機子コア12の突極片12fから集磁凹凸歯11a,11bの凸形状部分11aへ向かう漏れ磁束が良好に低減されることとなり、その分、有効磁束が増大されるようになっている。
【0030】
一方、上述した第1実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図4及び図5にかかる実施形態は、基本的には同様な構成を備えたものであるが、異なる点は、まず、可動電機子コア12における電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=2)だけ位置ずれした関係に配置されており、電機子コイル12dを挟んだ両突極片12f,12fどうしが、1.5磁極ピッチ(1.5Fp)分だけ位置ずれした関係に配置されている。また、本実施形態では、電機子コイル12dの数a(=6)に対してb=1を採用しており、特に図5中に示されているように、電機子コイル12dの数6に対して、可動電機子コア12”の突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接した固定界磁コア11側の凸形状部分11a2の立下がり端面とが、±(1/12)磁極ピッチ(1/12Fp)分だけずらした配置関係になされており、それによって、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されている。
【0031】
次に、上述した第1実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図6にかかる実施形態も、基本的には同様な構成を備えたものであるが、上述した各実施形態と異なる点は、まず、電機子コイル12dの数aを8個(a=8)とした点であり、その8個の電機子コイル12dに対して、以下のような各配置関係が考えられる。
【0032】
すなわち、図7乃至図10に示されているように、前記固定界磁コア11側の集磁凹凸歯を構成している一つの凸形状部分11a1の立下がり端面に対して、ある一つの可動電機子コア12’(各図の左端)における一つの突極片12f1の立下がり端面が電気角で0°の位置関係に配置されていたとする。そして、上記可動電機子コア12’に隣接する次の可動電機子コア12”の突極片12f2の端面と、当該他の突極片12f2に最も近接している固定界磁コア11側の他の凸形状部分11a2の立下がり端面とを、±(1/16)、±(3/16)、±(5/16)、及び±(7/16)磁極ピッチ分だけずらした配置関係が考えられることとなり、それらの各場合の配置関係が、図7、図8、図9及び図10にそれぞれ表されている。
【0033】
このような配置関係は、電機子コイル12dの数を「a」としたときに、その電機子コイル12dの数「a」と、「1」から電機子コイルの数「a」までのある整数「b」との最小公倍数が「a×b」となるような整数「b」に対して、上述した可動電機子コア12の突極片12fの端面と、当該可動電機子コア12に隣接する可動電機子コア12の他の突極片12fに最も近接した固定界磁コア11側の凸形状部分11aの立下がり端面とが、±(b/2a)磁極ピッチだけずらされた配置関係に基づくものであって、上述した図7乃至図10にかかる各実施形態では、a=8、b=1〜8に対して、それぞれb=1,3,5,7を採用した場合である。各図中に示されている各数字は、1磁極ピッチを「16」としたときの「位相ずれ」の程度を表したものであるが、前記界磁コア11側の集磁凹凸歯11a,11bを構成している各々の凸形状部分11aと、電機子コア12側の各々の突極片12fとの間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ、個々にずれた状態に配置されている。
【0034】
このような各実施形態においても、上述した実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。このとき、図7のように±(1/2a)磁極ピッチ分だけずらした配置関係の場合、及び図10のように±((a−1)/2a)磁極ピッチ分だけずらした配置関係の場合には、位相ずれが小さいものどうしが隣り合っているため、隣合う相を同相として使用することができ、隣り合う相でN−Sの磁気回路がその内部で回るようになるとともに、巻線作業が容易化される。
【0035】
また、本発明は、上述した各実施形態に対応する部材に同一の符号を付した図11にかかる実施形態のように、4個の電機子コイル12d(a=4)を使用した場合であっても同様に適用することが可能である。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0037】
また、上述した各実施形態は、モータに対して本願発明を適用したものであるが、モータ以外の発電機等に対しても本発明は同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本願請求項1又は2又は3又は4記載の発明は、界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係を、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置し、電機子コアの各突極片においてそれぞれ発生する各コギング波形どうしが互いに打ち消し合うように構成して、全体のコギングのレベルを小さく抑えつつ有効磁束の増大を可能としたものであるから、小型で高いモータ特性を得ることができ、高い実用性を備えた片側配置型の磁石埋込構造を有する直進電機を得ることができる。
【0039】
また、請求項5記載の発明は、可動電機子コアにおける永久磁石及びヨーク部の片側部分を一体的に連結することによって、永久磁石とヨーク部との部品点数を低減させるとともに、永久磁石の両側にヨーク部を貼り付けることによって複数個の可動電機子コアを効率的に製造可能とし、しかも複数個の可動電機子コア全体の組込精度及び位置精度を向上させるように構成したものであるから、上述した効果をさらに高めるとともに、生産性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、請求項6記載の各発明は、界磁コアの集磁凹凸歯における凸形状部分の周方向幅を狭く形成して漏れ磁束を良好に低減させて有効磁束を更に増大させるように構成したものであるから、上述した効果を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図2】図1に示されたモータにおける一個の電機子コアを拡大して表した横断面説明図である。
【図3】図1に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図5】図4に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【図7】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図8】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図9】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの更に他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図10】図6に示したモータにおける電機子コアと界磁コアとの更に他の配置・位相関係を表した平面説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかるモータの平面説明図である。
【符号の説明】
1 モータ
10 モータケース
11 界磁コア
11a,11b 磁極凹凸歯
11a 凸形状部分
11b 凹形状部分
12 電機子コア
12a ヨーク部
12b 永久磁石
12c 連結部
12d 電機子コイル
12e 周端コア部
12f 突極片
Claims (6)
- 直線方向に一定のピッチをなす一組の凹凸形状部分が直線状に複数組にわたって並設された多数の集磁凹凸歯を有する長尺状の固定界磁コアと、
略平行に対向する一対の上記固定界磁コアにおける両集磁凹凸歯どうしの対向部分において、上記両側の集磁凹凸歯のそれぞれに対面しつつ上記固定界磁コアの延在方向に沿って直進移動するように配置された複数個の可動電機子コアと、を備え、
前記複数個の可動電機子コアの各々が、当該可動電機子コアの直進移動方向に沿って磁気的に実質的に分離された状態で列状に並設・集合されたものであって、
上記複数個の各可動電機子コアは、前記直進移動方向に直交する方向に着磁された永久磁石と、その永久磁石の着磁方向両端面にそれぞれ接触して当該永久磁石を挟むように配置された一対のヨーク部と、それら一対のヨーク部を前記永久磁石とともに巻き込むように巻回された電機子コイルと、上記一対の各ヨーク部における前記直進移動方向の両端部分に、上記電機子コイルを両側から挟むように配置された一対の両端コア部と、これら一対の両端コア部のそれぞれにおける前記固定界磁コアの集磁凹凸歯との突出対向部分に設けられた突極片と、を有する直進電機において、
上記複数個の各電機子コアにおける永久磁石の着磁方向は、前記直進移動方向において互いに隣接する電機子コア毎に、交互に反転するように設定されているとともに、
前記集磁凹凸歯における一組の凸凹形状部分の直進移動方向の幅寸法として定義される1磁極ピッチが、電気角で360°をなすように設定されたものであって、
一つの相の可動電機子コアに設けられた一対の突極片どうしが、前記磁極ピッチにおいて{C−(1/2)}磁極ピッチ(C=1,2,3・・・)だけ位置ずれした関係に配置され、電気角で180°の位相ずれを有するように設けられていることを特徴とする直進電機。 - 前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、可動電機子コア側の各々の突極片との間の位置関係が、均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されていることを特徴とする請求項1記載の直進電機。
- 前記電機子コイルの数aに対して、前記可動電機子コアの片側に設けられた2a個の各突極片が、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している各々の凸形状部分と、{1/(2a)}磁極ピッチずつ均等な位相角度分ずつ個々にずれた状態に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の直進電機。
- 前記直進移動方向の一方向において、前記固定界磁コア側の集磁凹凸歯を構成している一つの凸形状部分の立下がり側の一端面に対して、前記可動電機子コア側の一つの突極片の一端面が電気角で0°の位置関係に配置されたときに、上記0°の突極片を有する可動電機子コアに隣接する次の可動電機子コアにおける他の突極片の一端面と、当該他の突極片に最も近接した固定界磁コア側の集磁凹凸歯における他の凸形状部分の立下がり端面とが、前記電機子コイルの数a、及び1からaまでのある整数bに対して、±(b/2a)磁極ピッチ分だけずれるように配置されたものであって、
上記整数bは、整数aとの最小公倍数がa×bとなるような整数であることを特徴とする請求項1又は2記載の直進電機。 - 前記可動電機子コアにおける永久磁石、及び当該永久磁石を両側から挟んだ両ヨーク部の片側部分が、複数個の可動電機子コアどうしの間で直進移動方向に沿って一体的に連結されているとともに、
上記片側の各ヨーク部どうしの間の連結部分は、各ヨーク部どうしを磁気的に実質的に分離させる程度に横断面形状が小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載の直進電機。 - 前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と、凹形状部分の直進移動方向における幅寸法とが、互いに異なる幅をなすように形成されているとともに、
前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法が、0.45磁極ピッチ以下に形成され、かつ
前記可動電機子コアの突極片の直進移動方向における幅寸法が、前記一組の集磁凹凸歯を構成している凸形状部分の直進移動方向における幅寸法と同じ幅になされていることを特徴とする請求項1記載の直進電機。
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