JP3838760B2 - 車輪径測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄道車輪等の軌条走行用車輪、あるいは平滑な走行面を移動するその他の走行用車輪等の実車輪径を測定するための車輪径測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軌条走行用車輪の摩耗状態等を検査するために行う車輪径の自動測定は、ポテンショメータや超音波センサ、レーザセンサ等の測距センサによりフランジ先端外周上や踏面外周上の3点を測定し、ピタゴラスの定理に基づいた計算により外径を算出し、さらに、画像処理技術を応用して車輪踏面形状を計測し、これらの値から車輪径を算出する方法や、画像処理技術を応用して車輪の踏面形状、フランジ形状、測定基準溝等の各部距離を測定し、これらの計測データから計算により車輪径を算出する方法等が提案されている。しかし、これらの方法では、車輪径を直接測定するのではなく、間接的に測定された複数のデータから車輪径を算出するため、各測定データの誤差が重畳されるという問題があった。特に、円周上の3点から外径を算出する方法では複雑な二次式を用いるため、誤差の増大が大きく実用域に達していないのが現状であった。また、本出願人が出願し登録された特公平5−46881号公報に記載される発明も、フランジ直径検出器を用いて測定したフランジ外周上の3点からフランジ外径を算出し、フランジ高さ検出器の測定データを差し引くことにより車輪径を算出しているため、誤差の重畳の問題があった。そこで、本出願人は特開平7−165073号公報に記載される発明を出願した。この発明はフランジ直径は摩耗せず、車輪削正まで不変であることに着目し、その値を車輪毎にコンピュータに記憶させておき、フランジ高さ検出器でフランジ高さを測定し、該フランジ高さをコンピュータに記憶させた車輪のフランジ直径から差し引くことにより車輪径を自動的に算出するものである。しかし、各車輪のフランジ径を削正毎にコンピュータに入力する必要があり、手数がかかるうえに、装置に記憶手段を付帯させねばならず、コスト高となる問題もあった。しかも、いずれの方法も車輪径またはそれに相当する各部距離を円周上の一カ所または数カ所で測定するため、走行軌条や車輪の凹凸、車輪の偏心・真円度等測定位置の偶然性に影響されるという問題もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、誤差が少なく、且つ安価な車輪径測定方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するためになされた請求項1の発明は、車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyを複数点で測定し、V Y / Vの比またはΔy / ΔLの比が水平方向に直線的に変化することを利用して車輪径を算出することを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x または水平方向移動微小距離Δxと、車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyとを複数点で測定し、V Y / Vの比またはΔ y/ ΔLの比が水平方向に直線的に変化することを利用して車輪径を算出することを特徴とするものである。
また請求項3の発明は、車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x または水平方向移動微小距離Δxを測定し、V x / Vの比またはΔx / ΔLの比が高さH / 車輪半径Rの比に等しいことを利用して車輪径を算出することを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の好ましい実施の形態を図1に基づいて詳細に説明する。
1は車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定する第1の検出器であり、該検出器1は、例えば水平に設置したレーザドップラ測定器を用いるものとする。2は基準面としての走行軌条面上から車輪側面の任意の高さHの水平面における車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyを測定する第2の検出器であり、該検出器2は、例えば垂直に設置したレーザドップラ測定器を用いるものとする。3は前記測定値を演算する演算装置であり、該演算装置3は比較演算器4と、加算器5と、車輪径算出器6とよりなるもので、比較演算器4は、検出器1で測定された車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLと検出器2で測定された車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyとを比較・演算するものである。
【0006】
前記加算器5は比較演算器4による演算のたびに、検出器1で測定された距離(微小距離)を加算して車輪(車両)の積算移動距離を得るものである。また、加算器5は検出器1の出力が速度のときは時間で積分して距離に換算する。車輪径算出器6は比較演算器4により演算された車輪回転速度の上下方向成分と車輪(車両)の移動速度との比または、上下方向移動微小距離と車輪(車両)の移動距離との比と、加算器5により得られた前記車輪(車両)の積算移動距離との関係から車輪径を算出するものである。一方、比較演算器4により演算された前記比と、加算器5により得られた前記車輪(車両)の積算移動距離との関係から求めた傾きによって車輪径を算出してもよい。具体的な算出方法については以下に説明する。
【0007】
以下に請求項1の発明の測定原理を説明する。
車両の移動速度Vと、基準面としての走行軌条面上から車輪側面の任意の高さH の水平面における車輪回転速度との関係は、図2(a)に示される。車輪が走行軌条面上を走行している状態において、車輪の中心を点O、車輪が走行軌条面と接触している点をPとする。また、中心点Oを通る水平面が車輪の踏面(走行面)と交わる点をそれぞれ点A、Bとする。充分微小な時間における車輪の移動速度(車両速度)をV[m/sec]とすると、車輪の中心点Oを通る水平線A、B上の任意の点Eの速度VE[m/sec]は点Pを中心とする半径PEの円の接線方向で、その大きさは
VE=V×PE/PO[m/sec]
である。
また、∠PEO=θとすると、VE[m/sec]の上下方向成分VEY[m/sec]は
VEY=VE×cosθ
=VE×OE/PE
=(V×PE/PO)×OE/PE
=V×OE/PO
ここで、線分POすなわち車輪の半径をR[mm]、線分OEをL[mm]とすると、
VEY=V×L/R[m/sec] (1)
【0008】
一方、任意の高さH の水平面が車輪の踏面(走行面)と交わる点をそれぞれC、Dとする。また、線分CDと線分OPが交わる点をG、線分CDと線分PEが交わる点をFとする。
車輪の水平面CD上の点Fの速度VF[m/sec]は、点Pを中心とする半径PFの接線方向でその大きさは
VF=VE×PF/PE
=(V×PE/PO)×PF/PE
=V×PF/PO [m/sec]
また、車輪の水平面CD上の点Fの速度VF[m/sec]の上下方向成分VY[m/sec]は、
VY=VF×cosθ
=VF×FG/PF
=(V×PF/PO)×FG/PF
=V×FG/PO
ここで、車輪の水平面CD上の点Fから中心点Oを通る鉛直線までの距離、すなわち線分FGをx[mm]とすると、
VY=V×x/R [m/sec] (2)
(1)、(2)式から、水平面における任意の点の車輪回転速度の上下方向成分V Y の大きさは、中心点Oを通る鉛直線からの離隔距離に比例することを示している。これを図2( b) に示す。任意の水平面における車輪回転速度の上下方向成分V Y の大きさは、中心点Oを通る鉛直線までの距離が同じであれば、どの水平面においても同じになり、中心点Oを通る水平面の値と一致する。
さらに、(2)式を変形すると、
VY/V=x/R (3)
となる。
水平面における任意の点Fの車輪回転速度の上下方向成分V Y の大きさと車輪移動速度(車両速度V)との比は、その点から中心点Oを通る鉛直線までの距離xと半径Rとの比に等しい。また、その速度比の値が1のとき、その距離xの値は半径Rを示している。一方、前記比と(x)との関係は1/Rの傾きの直線でもある。
【0009】
この原理に基づき次のような車輪径算出方法を得た。
車両(車輪)がV[m/sec]で移動しているときに、微小距離(ΔL)移動するごとに、(Δy)を測定する。
ここで、
d[mm]:車輪直径
H[mm]:走行軌条面から測定する水平面までの高さ
ΔL[mm]:車両の移動微小距離(車輪中心移動微小距離)
Δx[mm]:車輪(車両)がΔL移動するときに高さHの水平面において車輪が水平方向に移動する距離{=(ΔL)×H/R}
Δy[mm]:車輪(車両)がΔL移動するときに、高さHの水平面において車輪が上下方向に移動する距離
Δt[sec]:車輪(車両)がΔL移動するのにかかった時間 L[mm]:車輪(車両)積算移動距離{=Σ(ΔL)}(:線分OE)(車輪の中心点Oを通る鉛直線を基準としているが、測定前には基準位置が不明のため、{=Σ(ΔL)}は適宜仮想基準位置から測定するものとする。)
x[mm]:高さH[mm]の水平面における車輪回転水平方向積算移動距離{=L×H/R}または{=Σ(Δx)}(車輪の中心点Oを通る鉛直線を基準としているが、測定前には基準位置が不明のため、{=L×H/R} または{=Σ(Δx)}は適宜仮想基準位置から測定するものとする。)
とする。(3)式を再掲すると、
VY/V=x/R
ここで、時間Δtが充分微小であれば、
V=ΔL/Δt VY=Δy/Δt
と表すことができる。これを式(3)に代入すると
(Δy/Δt)/(ΔL/Δt)=x/R
Δy/ΔL=x/R (4)
(Δy/ΔL)と(x)の関係は図3の太線部分のようになる。
また、この太線を(Δy/ΔL)=±1まで延長したとき、この間の(x)の距離は半径の2倍、すなわち車輪径となる。なお、(Δy/ΔL)と(x)の関係は多数回測定したデータの重回帰分析を行って得た回帰直線を用いることが精度上好ましいが、最小2点の測定によっても車輪径は算出できる。
請求項1の発明では高さHの水平面における移動距離(Δx)は測定しておらず、測定しているのは車体の移動距離ΔLである。このため(4)式を用いて車輪径を求めるためにはΔLをΔxに換算する必要がある。図2から明らかなように、L/x = R/Hであるから、(Δy/ΔL)=±1となったときの(L)の距離(Ld)は、直径(d)すなわち車輪径の(R/H)倍となる。
したがって、
Ld=d×R/H
=d×(d/2)/H
=d2/(2×H)
この式を変形すると、
d=√(2×H×Ld) (5)
水平面の高さH[mm]は既知であり、(5)式より車輪径を求めることができる。
また、(3)式をそのまま用いて、時間(Δt)経過ごとに、(V)および(VY)を測定し、(VY/V)と(x)の関係を求めた場合も図3の太線部分のようになる。したがって、この実線を(VY/V)=±1まで延長したとき、この間の(x)の距離は半径の2倍、すなわち、車輪径となる。なお、
V[m/sec]:車輪移動速度(車両速度)
VY[m/sec]:走行軌条面上から高さH[mm]の水平面における車輪回転速度の上下方向成分
である。
また、(VY/V)と(x)の関係は多数回測定したデータの重回帰分析を行って得た回帰直線を用いることが精度上好ましいが、最小2点の測定によっても車輪径は算出できる。請求項1においては高さHの水平面における(V x )は測定していないため、上記と同様に(VY/V)と(L)との関係から(Ld)を求め、既知である水平面の高さ(H)と(5)式から車輪径を求める。なお、車輪移動微小距離(ΔL)は車輪の移動速度(車両速度)(V)を時間で積分して距離に換算すれば求めることができ、さらに、これを積算すれば車輪積算移動距離(L)が求められることはいうまでもない。
しかし、請求項2の発明のように車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向微小移動距離Δyの他、車輪回転速度の水平方向成分(V x )または水平方向微小移動距離( Δx)を測定した場合は、図3の(Vy/V)と(x)の関係または(Δy/ΔL)と(x)の関係より、直接車輪径を求めることができる。なお、水平方向微小移動距離(Δx)は(V x )を時間で積分して距離に換算すれば求めることができ、さらに、これを積算すれば水平方向積算移動距離(x)が求められることはいうまでもない。
また、前記のように速度と距離は換算できるので、それぞれ対応する速度または距離の一方を用いた組み合わせから車輪径を算出できることは勿論である。
一方、図3の(Δy/ΔL)と(x)の関係の太線部分の傾きから別の車輪径算出方法が得られる。
この太線の傾き(k)は(1/R){=(2/d)}を表しており、この値の逆数から車輪径を算出できる。
R=1/k
d=2/k
また、(Δy/ΔL)と(L)の関係において、この太線の傾き(kl)は(1/R){=(2/d)} の(H/R)倍を示しているので、この値の逆数は半径(R)の(R/H)倍、すなわち(R2/H)となる。
R2/H=1/kl
この式を変形すると
R=√(H/kl)
d=√(4×H/kl) (6)
したがって、上式より車輪径を算出できる。
【0010】
このような車輪径算出方法と前記第1の好ましい実施の形態と対応させて説明すれば、検出器1により車輪移動距離(車両移動距離):(ΔL)または車輪移動速度(車両速度):(V)を測定し、検出器2により車輪回転速度の上下方向成分(V Y )または上下方向移動微小距離:(Δy)を測定する。そして、演算装置3の比較演算器4により(Δy/ΔL)または、(VY/V)を演算する。このとき、加算器5により比較演算器4の演算に応じて検出器1で測定された微小距離を加算した車輪積算移動距離{L=Σ(ΔL)}を得る。また、検出器1の出力が速度のときは時間で積分して距離に換算する。そして、算出された車輪(車両)積算移動距離(L)と比較演算器4により算出された(Δy/ΔL)または(VY/V)の値とを車輪径算出器6により重回帰分析を行い回帰直線を得、既知である水平面の高さH[mm]と(Δy/ΔL)または(VY/V)が±1となったときの値(Ld)と(5)式から車輪径を算出する。一方、既知である水平面の高さH[mm]と前記回帰直線の傾きと、(6)式から車輪径を算出することもできる。なお、前記好ましい実施の形態では演算装置3は比較演算器4、加算器5、車輪径算出器6とからなるものとしているが、これらの演算をコンピュータを用いてソフトウエアにより演算処理すれば、市販のパソコンを利用できるので装置を安価に提供できることとなる。また、前記説明では検出器2は車輪回転速度の上下方向成分または上下方向移動微小距離を測定するものとしているが、車輪回転上下方向および水平方向の移動速度または移動微小距離を測定するものとしてもよく、このように3点の測定を行えば演算回数を低減できることとなる。
【0011】
次に、請求項3の発明の実施形態である第2の実施の形態を図4,5に基づいて説明する。
1は車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLの検出器であり、該検出器1は、例えば、レーザドップラ測定器を用いるものとする。2は基準面としての走行軌条面上から車輪側面の任意の高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x または水平方向移動微小距離Δxを測定する検出器であり、該検出器2は、例えば、レーザドップラ測定器を用いるものとする。3は前記測定値を演算する演算装置であり、該演算装置3は比較演算器4と、車輪径算出器6とよりなるもので、比較演算器4は検出器1で測定された車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLと検出器2で測定された車輪回転速度の水平方向成 分V x または水平方向移動微小距離Δxとを比較・演算するものである。車輪径算出器6は比較演算器4により演算された車両の移動速度Vと車輪回転速度の水平方向成分V x との比、または車両の微小距離ΔLと水平方向移動微小距離Δxとの比の平均値から車輪径を算出するものである。
【0012】
次に請求項3の発明の測定原理を説明する。
車両の移動速度Vと基準面としての走行軌条面上から車輪側面の任意の高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x との関係は、図5(a)に示される。車輪が走行軌条面上を走行している状態において、車輪の中心を点O、車輪が走行軌条面と接触している点をPとする。また、中心点Oを通る水平面が車輪の踏面(走行面)と交わる点をそれぞれ点A、Bとする。充分微小な時間における車輪の移動速度(車両速度)をV[m/sec]とすると、車輪の中心点Oを通る水平線A、B上の任意の点Eの速度VE [m/sec]は点Pを中心とする半径PEの円の接線方向で、その大きさは
VE=V×PE/PO[m/sec]
である。
また、∠OPE=θとすると、VE[m/sec]の水平方向速度成分VEX[m/sec]は
VEX=VE×cosθ
=VE×PO/PE
=(V×PE/PO)×PO/PE
=V[m/sec]
すなわち、車輪の中心を通る水平面上の車輪回転速度の水平方向成分V x は車輪移動速度V[m/sec]に等しい。
【0013】
一方、任意の高さHの水平面が車輪の踏面(走行面)と交わる点をそれぞれC、Dとする。また、線分CDと線分OPが交わる点をG、線分CDと線分PEが交わる点をFとする。車輪の水平面CD上の点Fの速度VF[m/sec]は、点Pを中心とする半径PFの接線方向でその大きさは
VF=VE×PF/PE
=(V×PE/PO)×PF/PE
=V×PF/PO [m/sec]
また、車輪の水平面CD上の点Fの速度VF[m/sec]の車輪回転速度の水平方向成分V x [m/sec]は、
VX=VF×cosθ
=VF×PG/PF
=(V×PF/PO)×PG/PF
=V×PG/PO
ここで、線分PGすなわち水平面の高さをH[mm]、線分POすなわち車輪の半径をR[mm]とすると、
VX=V×H/R [m/sec] (7)
(7)式は、車輪回転速度の水平方向成分V x の大きさが水平面の高さに比例することを示している。これを図5(b)に示す。
さらに、(7)式を変形すると、
VX/V=H/R (8)
となる。
任意の高さの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x の大きさと車輪移動速度(車両速度)Vとの比は、その水平面の高さHと半径Rとの比に等しい。また、その、速度比の値が1のとき、水平面の高さHは半径Rを示し、その速度比の値が2のとき、水平面の高さHは直径すなわち車輪径を示す。
【0014】
この原理に基づき次のような車輪径算出方法を得た。
車輪(車両)がV[m/sec]で移動しているときに、微小距離(ΔL)移動するごとに、高さHの水平面において(Δx)を測定する。
ここで、
d[mm]:車輪直径
H[mm]:線分PGすなわち走行軌条面上から車輪が水平方向に移動する距離(Δx)を測定する水平面の高さ
ΔL[mm]:車輪(車両)移動微小距離(車輪中心移動微小距離)
Δx[mm]:車輪(車両)がΔL移動するときに、高さHの水平面において車輪が水平方向に移動する距離
Δt[sec]:車輪(車両)がΔL[mm]移動するのにかかった時間
L[mm]:車輪(車両)積算移動距離{=Σ(ΔL)}(:線分OE)(車輪の中心点Oを通る鉛直線を基準としているが、測定前には基準位置が不明のため、{=Σ(ΔL)}は適宜仮想基準位置から測定するものとする。)
x[mm]:高さH[mm]の水平面における車輪回転水平方向積算移動距離{=Σ(Δx)}(車輪の中心点Oを通る鉛直線を基準としているが、測定前には基準位置が不明のため、{=Σ(Δx)}は適宜仮想基準位置から測定するものとする。)
とする。(8)式を再掲すると、
VX/V=H/R
ここで、時間Δtが充分微小であれば、
V=ΔL/Δt VX=Δx/Δt
と表すことができる。これを(8)式に代入すると
(Δx/Δt)/(ΔL/Δt)=H/R
Δx/ΔL=H/R (9)
(Δx/ΔL)と(x)または(Δx/ΔL)と(L)との関係は図5(c)の太線部分のようになる。
すなわち、(Δx/ΔL)は車輪回転水平方向積算移動距離(x)または車輪積算移動距離(L)に関係なく一定の値となる。さらに、(9)式を変形すると
R=H/(Δx/ΔL) (10)
d=2×H/(Δx/ΔL) (11)
すなわち、水平面の高さHは既知であり、これを測定値(Δx/ΔL)で除せば、半径が算出でき、その値を2倍すれば直径すなわち車輪径となる。なお、(Δx/ΔL)は多数回測定し平均値を用いることが精度上好ましいが、最小1点の測定によっても車輪径は算出できる。
また、(8)式をそのまま用いて、時間(Δt)経過ごとに、(V)および(VX)を測定し、(VX/V)と(x)の関係または(Vx/V)と(L)との関係を求めた場合も図5(c)の太線部分のようになる。
なお、水平方向移動微小距離(Δx)は車輪回転速度の水平方向成分(V x )を時間で積分して距離に換算すれば求めることができ、さらに、これを積算すれば車輪回転水平方向積算移動距離(x)が求められることはいうまでもない。また、車輪移動微小距離(ΔL)は車輪の移動速度(車両速度)(V)を時間で積分して距離に換算すれば求めることができ、さらに、これを積算すれば車輪積算移動距離(L)が求められることはいうまでもない。
さらに、(8)式を変形すると、
R=H/(VX/V) (12)
d=2×H/(VX/V) (13)
すなわち、水平面の高さHは既知であり、これを測定値(VX/V)で除せば、半径が算出でき、その値を2倍すれば直径(d)すなわち車輪径を得ることができる。なお、
V[m/sec]:車輪移動速度(車両速度)
VX[m/sec]:車輪走行面から高さH[mm]の水平面における車 輪回転速度の水平方向成分
である。
また、(VX/V)は多数回測定して平均値を用いるのが精度上好ましい。
さらに、前記のように速度と距離は換算できるので、それぞれ対応する速度または距離の一方を用いた組み合わせから車輪径を算出できることは勿論である。
【0015】
このような車輪径算出方法と第2の好ましい実施の形態と対応させて説明すれば、検出器1により車輪(車両)移動微小距離:(ΔL)、または車輪移動速度(車両速度):(V)を多点で測定する。検出器2により車輪回転水平方向移動微小距離:(Δx)、または車輪回転速度の水平方向成分:(V x )を多点で測定する。そして、演算装置3の比較演算器4により(Δx/ΔL)または、(V x /V)の平均値を演算する。そして、車輪径算出器6により、比較演算器4から得られた(Δx/ΔL)または(Vx/V)の平均値と、既知である水平面の高さH[mm]と、(11)式または(13)式から車輪径を算出する。一方、(10)式または(12)式から車輪半径を得、その値を2倍して車輪径を求めてもよい。なお、前記好ましい実施の形態では演算装置3は比較演算器4、車輪径算出器6とからなるものとしているが、これらの演算をコンピュータを用いてソフトウエアにより演算処理すれば、市販のパソコンを利用できるので装置を安価に提供できることとなる。
【0016】
また、前記各好ましい実施の形態では検出器にレーザドップラ測定器を用いているが、必要精度が得られる測長・速度計を用いても良いことは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
本発明は前記説明によって明らかなように、測定されたV Y / Vの比またはΔy / ΔLの比、あるいはV x / Vの比またはΔx / ΔLの比に基づいて車輪径を求めることにより、車輪径以外の車輪の踏面形状、フランジ形状、測定基準溝あるいはフランジ直径などの数値を用いて間接的に車輪径を求めていないので、誤差の重畳や計算精度の低下を大幅に抑えることができ、しかも、円周上の3点から車輪径を算出する場合のように複雑な二次式を用いるために生じる誤差が大幅に拡大されることもない。また、多数の測定点を測定して得た比に基づいて重回帰分析を行って得た回帰直線を用いることにより高精度の車輪径を得ることができるうえに、車輪や走行軌条の凹凸や、車輪の偏心・真円度等の測定条件のばらつきによる誤差を低減できる。また、V x またはΔxから車輪径を得る場合にも、多数の測定点を測定して平均値を求めることにより、高精度の車輪径を得ることができるうえに、車輪や走行軌条の凹凸や、車輪の偏心・真円度等の測定条件のばらつきによる誤差を低減できる。さらに、車輪(車両)移動速度または車輪(車両)移動距離と車輪回転上下方向および水平方向の移動速度または移動距離との3点の測定を行うことにより前記と同様の効果に加え演算装置の演算回数を低減でき、演算速度を高速化することができる等種々の利点を有するものである。
従って、本発明は従来の問題点を解決した車輪径測定方法および装置として業界の発展に寄与するところ極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の好ましい実施の形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1の好ましい実施の形態の測定原理を示す説明図である。
【図3】 同じく本発明の第1の好ましい実施の形態の測定原理を示す説明図である。
【図4】 本発明の第2の好ましい実施の形態を示すブロック図である。
【図5】 本発明の第2の好ましい実施の形態の測定原理を示す説明図である。
【符号の説明】
1 検出器
2 検出器
3 演算装置
Claims (3)
- 車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyを複数点で測定し、V Y / Vの比またはΔy / ΔLの比が水平方向に直線的に変化することを利用して車輪径を算出することを特徴とする車輪径測定方法。
- 車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x または水平方向移動微小距離Δxと、車輪回転速度の上下方向成分V Y または上下方向移動微小距離Δyとを複数点で測定し、V Y / Vの比またはΔ y/ ΔLの比が水平方向に直線的に変化することを利用して車輪径を算出することを特徴とする車輪径測定方法。
- 車両の移動速度Vまたは移動微小距離ΔLを測定するとともに、車輪走行面から高さHの水平面における車輪回転速度の水平方向成分V x または水平方向移動微小距離Δxを測定し、V x / Vの比またはΔx / ΔLの比が高さH / 車輪半径Rの比に等しいことを利用して車輪径を算出することを特徴とする車輪径測定方法。
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