JP3838185B2 - エンジンの動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの動弁装置に関し、特に、カム軸方向の中央部分をセンタタペットとし、両側方部分を下端近傍で連結されたサイドタペットとする、分割構造のタペットを用いた弁リフト可変式の動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用等のエンジンの吸気弁及び排気弁をタペットを介して直接カムで駆動するダイレクトタイプの動弁装置として、タペットをカム軸方向に3分割し、中央部分をセンタタペットとし、両側方部分を反カム側の端部近傍で一体に連結し、連結部分に弁ステムエンドとの当接部を設けたサイドタペットとして、その二股になったサイドタペットに相対移動可能にセンタタペットを組み込み、ロック機構により結合及び離脱可能とするとともに、カムプロフィールの異なるセンタカムとサイドカムを設けて、ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁の作動特性を変更可能とした動弁装置が従来から知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−329907号公報
【特許文献2】
特開2002−54413号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の動弁装置のタペットは、二股状のサイドタペットにセンタタペットを組み込んだもので、サイドタペットの両側方部分が反カム側で連結され、弁ステムエンドが当接する連結部分と両側方部分のカム当接面との間が離れているため、駆動時にカムの押圧力でサイドタペットの両側方部分が外側に傾いて開き、サイドタペットとタペットガイドホールとのクリアランスが確保できなくて、摺動抵抗が大きくなり、当たり面に偏摩耗が発生するという問題がある。また、そうした問題が生じないよう剛性を確保しようとすると、サイドタペットの質量が大きくなり、軽量化が阻害される。
【0005】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであって、二股状のサイドタペットにセンタタペットを組み込んでなる分割式のタペットを使用する動弁装置において、軽量化を図りつつ、サイドタペットがカム押圧力により両側方へ広がることによる摺動抵抗の増大および偏摩耗を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジンの動弁装置は、カムに当接しタペットガイドホール内を摺動して弁を駆動するタペットを、カム軸方向の中央部分を構成するセンタタペットと、中央部分を挟む一対の側方部分を構成し反カム側の端部近傍で弁ステムエンドとの当接部を有する連結部分により一体に連結された側面視略U字状のサイドタペットとに分割して、センタタペットとサイドタペットとをタペット摺動方向に相対移動可能とするとともに、ロック機構により相互に結合及び離脱可能とし、カムを、センタタペットに対応するセンタカムと、サイドタペットの側方部分に対応する一対のサイドカムとに分割して、センタカムと一対のサイドカムとでカムプロフィールを異ならせ、ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁の作動特性を変更可能としたエンジンの動弁装置であって、センタタペットは、カム軸に直交する方向の両端にサイドタペットの両側方部分へ向けて突出し且つタペット軸方向に延びる突起部を有する平面視略I字状で、各突起部のカム軸に直交する方向に対向する内方側面がカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を構成し、サイドタペットは、両側方部分が、カム軸に直交する方向の両端にセンタタペットの突起部の前記摺接面と摺接するカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接部を有し、サイドタペットの両側方部分の外周面に、カム軸と平行な側面視縦断面において連結部分の上方からカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に傾斜する傾斜部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
このように、サイドタペットの両側方部分の外周面に、カム軸と平行な断面においてカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に傾斜する傾斜部を設けることにより、駆動時にカム押圧力でサイドタペットの両側方部分が外側に傾いて開くときの逃げができる。そのため、サイドタペットとタペットガイドホールとのクリアランスが確保でき、摺動抵抗の増大や偏摩耗の発生を防止することができる。また、タペットの質量が増大せず、軽量化が阻害されない。
【0008】
ここで、サイドタペットの両側方部分に設ける傾斜部は、サイドタペットの両側方部分の外周面を、連結部分の上方からカム当接面に向かってテーパ状に形成するのがよい。連結部分の近傍は、剛性が高いため、タペット幅を狭める必要はなく、ストレートのままでよい。
【0009】
また、センタタペットが、カム軸に直交する方向の両端にサイドタペットの両側方部分へ向けて突出し且つタペット軸方向に延びる突起部を有する平面視略I字状で、各突起部のカム軸に直交する方向に対向する内方側面がカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を構成し、サイドタペットは、両側方部分が、カム軸に直交する方向の両端にセンタタペットの突起部の前記摺接面と摺接するカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接部を有するものである場合に、サイドタペットの両側方部分の、摺接部間のカム軸に直交する方向に延びるタペット軸方向に平行な対向する両内方端面に、摺接部のカム軸方向に対向する内端縁よりも反センタタペット側に凹設された凹設部を形成し、該凹設部に対応してセンタタペットに肉厚を厚くする突出部を形成するのがよい。
【0010】
このように、センタタペットを、平面視略I字状で、サイドタペットの両側方部分へ向けて突出する突起部に摺接面を有するものとし、このセンタタペットの突起部の摺動面と摺接するようサイドタペットに摺接部を設けることで、サイドタペットがサイドカムにより駆動される際に、サイドタペットにかかるカム押圧力を突起部を介してセンタタペットに分散させ、カム駆動時のタペットの倒れによるタペットガイドの摺動面に対する面圧を低減して、偏摩耗を防止することができる。しかし、センタタペットの突起部とサイドタペットの摺接部との摺接面積を確保するためには、センタタペットの突起部の突出量が大きくなり、その分、センタタペットの本体部分のタペット幅が小さくなって、センタタペットの内側にスペースを確保する必要がある場合など、肉厚を厚くすることができず、センタタペットの剛性確保が難しくなる。その場合に、上記のようにサイドタペットの摺接部間の両内方端面に凹設部を形成することで、該凹設部に対応してセンタタペットに肉厚を厚くする突出部を形成することができ、それにより、センタタペット内側のスペースを確保しつつ、センタタペットの剛性を高めることができる。
【0011】
ここで、センタタペットに設ける突出部は、センタタペットの突起部間をカム軸に直交する方向に延びるようリブ状に形成することができ、それにより、センタタペットの剛性を高めることができる。
【0012】
また、このようにセンタタペットの突起部とサイドタペットの摺接部との摺接面積を確保できるとともに、センタタペットの剛性を確保でき、センタタペット内のスペースを確保できる構成とすることで、ロック機構の離脱作動時にセンタタペットをセンタカムに押圧するロストモーションスプリングの配置の自由度が大きくなり、該ロストモーションスプリングを、2スプリングとして、センタタペットのカム軸に直交する方向の両端に分けて配置し、各ロストモーションスプリングを、センタタペットのカム摺接部裏面と、サイドタペットの連結部分に形成されたスプリングシート部との間に配置することが容易となる。このように、ロストモーションスプリングを2スプリングとして、カム軸に直交する方向の両サイドに振り分けることにより、タペット中央に位置するロック機構を避けたスプリング配置が可能で、スプリングの長さの自由度が大きくなり、スプリングを長くしてサイドタペットとセンタタペットとのストローク差を大きくすることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜11は本発明の実施の形態のエンジンの動弁装置を示している。図1は動弁装置の要部の一部カム軸に直交する断面で示す正面図、図2は動弁装置の要部を一部カム軸に平行な断面で示す側面図、図3はタペットの平面図、図4はタペットのカム軸に直交する中心断面で示す正面視縦断面図、図5はタペットのカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図、図6はタペットのロック機構の中心を通る平面視横断面図、図7はタペットのサイドタペット単体のカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図、図8はタペットのサイドタペット単体の平面図、図9はタペットのサイドタペット単体の側面図、図10はタペットのセンタタペット単体の平面図、図11はタペットのセンタタペット単体の正面図である。
【0015】
図1および図2において、1はエンジンのシリンダヘッド上部に配設されたカムキャリア、2はカムシャフト、3はタペット、4はカムキャリアに設けられたタペットガイドホール、5は弁(吸気弁あるいは排気弁)である。タペット3は、図3〜6に示すように、センタタペット31とサイドタペット32とで構成され、このタペット3に対し、カムシャフト2には、センタタペット31に対応する部分に高リフト量のカムプロフィールを有する高速用のセンタカム21が設けられ、センタカム21を挟む両側のサイドタペット32に対応する部分に、低リフト量のカムプロフィールを有する低速用のサイドカム22、23が設けられている。なお、上記センタカム21を挟むサイドカム22、23は、実質弁作動停止となる微小リフト量の同一カムプロフィールを有する停止用カムであってもよい。
【0016】
タペット3は、全体として略円筒状で、センタタペット31によりカム軸(カムシャフト2の中心軸)方向の中央部分が構成され、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bにより側方部分が構成される。そして、センタタペット31の上面が、カム摺接方向(平面視にてカムシャフトの軸線に直交する方向)に長い略矩形平面状のセンタカム当接面を構成し、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの上面が、センタカム当接面の両側を埋めて全体として円形のカム当接面を構成する略三日月形平面状のサイドカム当接面を構成する。
【0017】
サイドタペット32は、図7〜9に示すように、サイドカム当接面を構成する一対のサイドタペット体32a、32bがカム当接面とは反対側(以下、「反カム側」という)の端部近傍で、下面に弁ステムエンド51(図1参照)との当接部33を有する連結部分32cにより一体に連結され、側面視略U字状に形成されたもので、その連結部分32cのカム軸に直交する方向の両端部にスプリングシート部34a、34bが設けられ、各スプリングシート部34a、34bにロストモーションスプリング35a、35bが設置されて、その上から、図3〜6に示すように両サイドタペット体32a、32bの間にセンタタペット31が組み込まれる。タペット3は、サイドタペット32の連結部32c下面の当接部33がシム6を介して弁5のステムエンド51と当接する。
【0018】
センタタペット31は、図10〜11に示すように、上記略矩形平面状のセンタカム当接面のカム摺接方向に沿う側(両長辺側)の端縁から垂直下方に前後対称に延びる一対の端面36a、36bを有し、また、カム軸に直交する方向の両端となる側(両短辺側)の端縁から垂直下方に左右対称に延びる一対の断面円弧状の外方周面37a、37bを有し、カム軸に直交する方向の両端には、外側が外方周面から連続して円弧状にサイドタペット32(サイドタペット体32a、32b)側へ張り出し、内側が、カム軸に直交する方向に対向してカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を構成するよう、前後の端面36a、36bから略直角にカム軸方向に張り出した突起部38a、38b、38c、38dが、タペット軸方向の略全長に亘って突出形成され、全体として平面視略I字状に構成されている。そして、センタタペット31の上部中央には、カム軸方向に平行に前後の端面36a、36b間を貫通する貫通孔39が形成されている。
【0019】
また、サイドタペット32は、上述のように側面視略U字状で、左右一対のサイドタペット体32a、32bの内側に垂直下方に対向して延びる一対の内方端面40a、40bを有し、また、サイドカム当接面のカム軸方向外端側の縁部から垂直下方に前後対称に延びる断面円弧状の外側周面41a、41bを有し、各サイドタペット体32a、32bのカム摺接方向(カム軸に直交する方向)の両端には、上記センタタペット31の突起部38a、38b、38c、38dの摺接面と摺接するよう、カム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接部42a、42b、42c、42dが形成されている。そして、サイドタペット32には、サイドタペット体32a、32bの上部中央に、センタタペット31のセンタカム当接面とサイドタペット32のサイドカム当接面が面一となる時にセンタタペット31の貫通孔39と一直線に段差なく連通するよう、カム軸方向に平行に各内方端面40a、40bから外側周面41a、41bに貫通する貫通孔43a、43bが設けられている。
【0020】
また、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの外周面は、図7及び図8に矢印で示す範囲T、すなわち連結部分32cの上方所定位置からカム当接面(サイドカム当接面)側の範囲を、カム軸と平行な断面においてカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に僅かに傾斜する傾斜部とし、カム当接面に向かってテーパ状に加工している。なお、後述の図12では、説明のためテーパを大きく描いているが、実際には、タペット3の剛性にもよるが、タペット3の上下の直径差で数100ミクロン程度である。
また、サイドタペット32は、サイドタペット体32a、32bの内方端面40a、40bに、両端の摺接部42a、42b、42c、42dが、センタタペット31の端面36a、36bに設けて内側へ突出し、その分、内方端面40a、40bがセンタタペット31の端面36a、36bから離れる形となるよう、凹設部44a、44bが形成されている。そして、その凹設部44a、44bに対応して、センタタペット31には、突起部38aと38b、38cと38dの間の端面36a、36bの部分の肉厚を、貫通孔39の下方で外側に向け厚くするよう、リブ状に突出部45a、45bが形成されている。
【0021】
センタタペット31とサイドタペット32は、センタタペット31のセンタカム摺接面がセンタカム21のベースサークル部に当接し、サイドタペット32のサイドカム摺接面がサイドカム22、23のベースサークル部に当接している状態で、センタタペット31のセンタカム摺接面とサイドタペット32のサイドカム摺接面とが略面一となり、その状態で、センタタペット31の貫通孔39とサイドタペット32の貫通孔43a、43bが一直線に連通する。
【0022】
また、サイドタペット32の一方のサイドタペット体32bの貫通孔43bには、油圧によりセンタタペット31の貫通孔56内に突出可能なよう油圧プランジャ71が内蔵され、センタタペット31を貫通する貫通孔39には、上記油圧プランジャ71に押されてサイドタペット32の他方のサイドタペット体32aの貫通孔43a内に突出可能なようロックピン72が内蔵され、また、ロックピン72を、センタタペット31とサイドタペット32とが相互に離脱しタペット摺動方向に相対移動可能となる位置へ付勢するリターンスプリング73が内蔵されている。
【0023】
そして、センタタペット31の貫通孔39には、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの内方端面40a、40bに対向する前後の端面36a、36bに開口する部分に、センタタペット31の端面36a、36bと面一となるようブッシュ74、75がそれぞれ挿入固定される。そのうち、油圧プランジャ71側の端部に固定されるブッシュ75は、ロックピン72外周の鍔部76に当接して、ロックピン72の油圧プランジャ71側への移動を規制する。また、もう一方の端部に固定されるブッシュ74は、ロックピン72外周の上記鍔部76との間にリターンスプリング73を圧縮状態で保持する。
【0024】
さらに、サイドタペット32側の両貫通孔43a、43bには、ブッシュ77、78が各々挿入固定される。そのうち、油圧プランジャ71を内蔵する方のサイドタペット体32bの貫通孔43bに挿入固定されたブッシュ78は、タペット外周側が端壁78aで塞がれ、内側が油圧プランジャ71を摺動嵌合させる嵌合孔78bを構成する。また、他方のサイドタペット体32aの貫通孔43aに挿入固定されるブッシュ77は、その軸方向内側に、ロックピン72の端部を嵌合させる嵌合孔77bを有し、ロックピン72の移動を規制するストッパとして機能する。これらサイドタペット32側のブッシュ77、78は、センタタペット31側の端部を貫通孔61a、61bよりそれぞれ所定寸法突出させ、センタタペット31の貫通孔56に挿入固定したブッシュ74、75の端面にそれぞれ所定間隔をおいて対峙させる。
【0025】
また、ブッシュ77が挿入固定される方(後側)のサイドタペット体32aの外側周面41aは、貫通孔43aが開口する部分が垂直に切り欠かれ、この切り欠かれた部分に、上記ブッシュ77に支持されたピン86により揺動自在に支承された回止部材87が装着され、タペット3の周方向の回動を防止している。
【0026】
また、センタタペット31には、上述のように、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bと対峙する両端面54a、54bに、貫通孔39の下方を通るようリブ状の突出部45a、45bが形成されているが、それら突出部45a、45bは、また、貫通孔39の下部に沿う部分が、カム軸方向にサイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの内方端面40a、40bへ向けて突出することにより、両サイドタペット体32a、32bの貫通孔43a、43bに装着された内方へ突出するブッシュ77、78の端部に係止される係止部89a、89bを構成している。これら係止部89a、89bが両側でサイドタペット32側のブッシュ77、78に係止されることにより、センタタペット31はタペット摺動方向上方への移動が規制される。
【0027】
このようにして、貫通孔39、43a、43b、油圧プランジャ71、ロックピン72及びリターンスプリング73等により、センタタペット31とサイドタペット32とを相互に結合及び離脱可能とするロック機構が構成されている。
【0028】
このロック機構において、油圧プランジャ71は、油圧が作用すると、ロックピン72側に移動して端部がセンタタペット31側の貫通孔39内に入り込むとともに、ロックピン72をリターンスプリング73に抗して移動させ、ロックピン72の端部をサイドタペット32の上記他方(後方側)のサイドタペット体32aの貫通孔43a内に入り込ませる。この時、油圧プランジャ71がセンタタペット31とサイドタペット32の上記一方(前方側)のサイドタペット体32bとの分割部分に跨がるとともに、ロックピン72がセンタタペット31とサイドタペット32の他方のサイドタペット体32aとの分割部分に跨がり、それらが協動してセンタタペット31とサイドタペット32とを結合し、ロック状態となる。また、油圧が解放されると、リターンスプリング73がロックピン72を油圧プランジャ71側に押し返し、油圧プランジャ71が元の位置に復帰して、ロックピン72の両端面がセンタタペット31の貫通孔39内でセンタタペット31とサイドタペット32との分割部分と略面一になって、センタタペット31がサイドタペット32から離脱し、アンロック状態(ロック解除)となる。
【0029】
このように、ロック機構は油圧によりロック状態とアンロック状態とに切り換え可能で、ロック状態においては、サイドタペット32とセンタタペッ31とが結合し、サイドタペット32と、センタカム21により駆動されるセンタタペット31とが協働して、弁を高速態様でリフトさせる。また、アンロック状態においては、センタタペット31がサイドタペット32から離脱して、ロストモーションスプリング35a、35bによりセンタカム21に押圧された状態で自由移動し、サイドタペット32がサイドタペット22、23を駆動して、弁を低速態様でリフトさせ、あるいは実質作動停止とする。
【0030】
また、タペット3には、上述のように、ピン86を挿入するブッシュ77が挿入固定される方(後側)のサイドタペット体32aの外側周面41aの、貫通孔43a周辺の切り欠かれた部分に、回止部材87が装着されている。この回止部材87は、略矩形板状で、長手方向の一側に偏心した位置に略垂直方向からピン86の一端が挿入固定されている。
【0031】
そして、図2に示すように、タペットガイドホール4の内周には、タペット3側に保持された回止部材87を係合させてタペット摺動方向にのみ移動可能とするよう、タペット摺動方向に延びる溝88が設けられている。回止部材87は、上端がカム当接面に近づくようロック受けピン86に対し上側に長くなる姿勢で取り付けられる。そして、タペットガイドホール4内周の溝88と協働してタペット4の回転を規制する。
【0032】
上記ロック機構の油圧プランジャ71を作動させるための油圧は、オイルポンプ(油圧源)から供給されて、図示しない油圧制御弁により制御され、タペット3のロック機構をロック状態とするエンジン高速時に、油圧プランジャ71背部の作動油圧室に供給される。そのため、図1に示すように、カムキャリア1にオイルギャラリ91が設けられ、オイルギャラリ91からの油圧をタペット3のロック機構へ供給するよう、オイルギャラリ91から分岐してタペットガイドホール4の内周面に開口する作動油供給通路93が設けられ、サイドタペット32のサイドカム摺接面がサイドカム22、23のベースサークル部に当接した状態で、作動油供給通路93のタペットガイドホール4内周面における開口部と連通するよう、サイドタペット32の一方のサイドタペット体32bに、作動油圧室への油路94が形成されている。
【0033】
オイルポンプ(油圧源)からの油圧は、油圧制御弁で制御されてオイルギャラリ91に導かれ、サイドタペット32のサイドカム摺接面がサイドカム22、23のベースサークル部に当接し、作動油供給通路93のタペットガイドホール4内周面における開口部がタペット側の油路94と連通したときに、作動油供給通路93を経てタペット3側の油路94に導入され、油圧プランジャ71背部の作動油圧室に供給される。
【0034】
この実施の形態のエンジンの動弁装置は、タペット3の側方部分を構成するサイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの外周面の所定範囲Tに、カム軸と平行な断面においてカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に傾斜するテーパ状の傾斜部を設けたことにより、図12に示すように駆動時にカム押圧力が作用してサイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bが外側に傾いて開くときの逃げができ、したがって、サイドタペット32とタペットガイドホール4とのクリアランスが確保できて、摺動抵抗の増大や偏摩耗の発生を防止することができる。また、タペット3の質量が増大せず、軽量化が阻害されない。図12は本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのサイドタペット外周テーパ加工による作用を説明する模式図である。
【0035】
また、この実施の形態のエンジンの動弁装置は、サイドタペット32の摺接部42aと42b、42cと42dの間の内方端面40a、40bに凹設部44a、44bを形成し、該凹設部44a、44bに対応してセンタタペット31に肉厚を厚くするリブ状の突出部45a、45bを形成したことにより、センタタペット31の突起部38a、38b、38c、38dとサイドタペット32の摺接部42a、42b、42c、42dとの摺接面積を確保するとともにセンタタペットの剛性を確保することができ、また、センタタペット31内にスペースを確保できて、ロストモーションスプリング35a、35bを両側に振り分けて2個配置することが可能となり、スプリングを長くしてサイドタペット32とセンタタペット31とのストローク差を大きくすることが可能となる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、カムキャリアを別体としてシリンダヘッド上部にカムキャリアを組み付けるエンジンついて説明したが、カムキャリアを別体としない一体構造のシリンダヘッドを備えたエンジンに対しても本発明を適用できることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のエンジンの動弁装置は、二股状のサイドタペットにセンタタペットを組み込んでなる分割式のタペットを使用する動弁装置において、サイドタペットの両側方部分の外周面に、カム軸と平行な断面においてカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に傾斜する傾斜部を設けることにより、軽量化を図りつつ、サイドタペットがカム押圧力により両側方へ広がることによる摺動抵抗の増大および偏摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の動弁装置の要部の一部カム軸に直交する断面で示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態の動弁装置の要部の一部カム軸に平行な断面で示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのカム軸に直交する中心断面で示す正面視縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのロック機構の中心を通る平面視横断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのサイドタペット単体のカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのサイドタペット単体の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのサイドタペット単体の正面図である。
【図10】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのセンタタペット単体の平面図である。
【図11】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのセンタタペット単体の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の動弁装置のタペットのサイドタペット外周テーパ加工による作用を説明する模式図である。
【符号の説明】
2 カムシャフト
3 タペット
4 タペットガイドホール
5 弁
21 センタカム
22、23 サイドカム
31 センタタペット
32 サイドタペット
32a、32b サイドタペット体
32c 連結部分
34a、34b スプリングシート部
35a、35b ロストモーションスプリング
36a、36b 端面
38a、38b、38c、38d 突起部
40a、40b 内方端面
41a、41b 外側周面
42a、42b、42c、42d 摺接部
44a、44b 凹設部
45a、45b 突出部
T 傾斜部の範囲
Claims (4)
- カムに当接しタペットガイドホール内を摺動して弁を駆動するタペットを、カム軸方向の中央部分を構成するセンタタペットと、前記中央部分を挟む一対の側方部分を構成し反カム側の端部近傍で弁ステムエンドとの当接部を有する連結部分により一体に連結された側面視略U字状のサイドタペットとに分割して、センタタペットとサイドタペットとをタペット摺動方向に相対移動可能とするとともに、ロック機構により相互に結合及び離脱可能とし、前記カムを、前記センタタペットに対応するセンタカムと、前記サイドタペットの側方部分に対応する一対のサイドカムとに分割して、センタカムと一対のサイドカムとでカムプロフィールを異ならせ、前記ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁の作動特性を変更可能としたエンジンの動弁装置であって、
前記センタタペットは、カム軸に直交する方向の両端にサイドタペットの前記両側方部分へ向けて突出し且つタペット軸方向に延びる突起部を有する平面視略I字状で、各突起部のカム軸に直交する方向に対向する内方側面がカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を構成し、
前記サイドタペットは、前記両側方部分が、カム軸に直交する方向の両端に前記センタタペットの突起部の前記摺接面と摺接するカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接部を有し、
前記サイドタペットの両側方部分の外周面に、カム軸と平行な側面視縦断面において前記連結部分の上方からカム当接面に向かうほどタペット幅が漸減する方向に傾斜する傾斜部が設けられたことを特徴とするエンジンの動弁装置。 - 前記サイドタペットの両側方部分の、前記摺接部間のカム軸に直交する方向に延びるタペット軸方向に平行な対向する両内方端面に、前記摺接部のカム軸方向に対向する内端縁よりも反センタタペット側に凹設された凹設部を形成し、該凹設部に対応してセンタタペットに肉厚を厚くする突出部を形成したことを特徴とする請求項1記載のエンジンの動弁装置。
- 前記突出部は、センタタペットの前記突起部間をカム軸に直交する方向に延びるようリブ状に形成したことを特徴とする請求項2記載のエンジンの動弁装置。
- 前記ロック機構の離脱作動時に前記センタタペットを前記センタカムに押圧するロストモーションスプリングを有し、該ロストモーションスプリングを、前記センタタペットのカム軸に直交する方向の両端に分けて配置し、各ロストモーションスプリングを、前記センタタペットのカム摺接部裏面と、前記サイドタペットの連結部分に形成されたスプリングシート部との間に配置したことを特徴とする請求項2記載のエンジンの動弁装置。
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